JP2007276457A - 電気絶縁用シートおよびそれを用いてなるモーター - Google Patents

電気絶縁用シートおよびそれを用いてなるモーター Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた成形加工性を有しており、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料用途に使用することができる。特に、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などに好適に使用できる電気絶縁用シートを提供する。
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドとそれ以外にポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)および接着層(c層)を用いてなる電気絶縁用シートとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた成形加工性を有する電気絶縁用シートに関するものである。特に、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料用途に使用することができる。さらに詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などに好適に使用できる電気絶縁用シートに関するものである。
近年、モーターの電気絶縁材などには、高温における耐熱性および耐加水分解性を有することが要求されるようになってきた。例えば、冷蔵庫やエアコンディショナーなどに用いられるモーターの電気絶縁材料としては、環境上の問題から、特定フロン全廃に関連した新代替冷媒が提案されているが、該冷媒およびそれに対応する潤滑油は水分を吸着し易く、耐熱性に加えて、耐加水分解性が要求されている。また、ハイブリッド自動車に使用されているモーターの電気絶縁材料としては、耐熱性に加え、使用環境下において水分が侵入するため耐加水分解が要求されている。
ポリアリーレンスルフィドフィルムは、優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性および低吸湿性などの特長を有しており、特に電気・電子機器、機械部品および自動車部品などに好適に使用されている。
近年、その電気絶縁性や低吸湿性の高さを活かし、電気絶縁材料へのポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略称することがある)フィルムの適用が進められている。例えば、(1)二軸配向したPPSフィルムを電気絶縁材料として用いることが知られている(特許文献1参照)。また、(2)二軸配向PPSフィルムが接着剤を介して積層されたシート(特許文献2参照)や(3)二軸配向PPSフィルムとアラミド繊維シートが接着剤を介して積層されたシート(特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、上記の従来のフィルムやシート、積層フィルムおよび積層体は、下記の問題点を有している。すなわち、上記(1)から(3)項のフィルムは、引張破断伸度、耐衝撃性や引き裂き強さが十分ではないことがあり、例えば、モーターのスロットライナーやウェッジとして用いる場合、フィルムが裂けたり、フィルムがデラミネーションを起こしたりすることがあった。
上記のように、ポリフェニレンスルフィドフィルムは、靭性や引張破断伸度が低く、その適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれていた。その靭性を改良する一方法として、ポリフェニレンスルフィド中に他の熱可塑性樹脂を混合した樹脂組成物やフィルムが提案されている。例えば、PPS中にナイロン11およびナイロン12を平均分散径1μm以下で分散させた組成物(特許文献4参照)、PPSとポリアミドとエポキシ樹脂からなる組成物(特許文献5参照)、PPSとポリアミドからなる組成物(特許文献6,7参照)、PPSとポリエーテルイミドからなるフィルム(特許文献8参照)、PPSとポリスルホンからなるフィルム(特許文献9参照)等が開示されているが、PPS中にポリアミドやポリエーテルイミド、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂を10〜500nmの範囲に超微分散化させた樹脂組成物やフィルムについては記載されていない。一方、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を特性分散形状で超微分散させた樹脂組成物が提案されている(特許文献10参照)。しかし、この樹脂組成物は溶融混練時のせん断場で一旦相溶させ、非せん断下で再度不安定状態となり相分離するいわゆるせん断場依存型相溶解・相分離による構造形成をさせており、シートやフィルムを成形する場合、その構造安定性が十分ではないことがあり、さらに、二軸延伸フィルムを成形するための最適な方法などについて記載されていない。また、ポリエーテルイミドを0.1μm未満の範囲に分散させたPPSフィルムについて開示されている(特許文献11参照)が、電気絶縁用シートに好適な成型加工性を向上させる延伸方法などの二軸延伸フィルムを成形するための最適な方法などについて記載されていない。
特開昭55−35456号公報 特開昭62−292431号公報 特開昭60−63158号公報 特開平3−81367号公報 特開昭59−155462号公報 特開昭63−189458号公報 特開2001−302918号公報 特開平4−146935号公報 特開昭62−121761号公報 特開2003−113307号公報 特開2001−261959号公報
そこで本発明の目的は、優れた耐熱性、耐加水分解性を有する二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの引張破断伸度を向上させることで成形加工性に優れた電気絶縁用シートを提供することである。特に、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料用途に使用することができる。さらに詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などに好適に使用できることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、ポリアリーレンスルフィドとそれ以外にポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)および接着層(c層)を用いてなる電気絶縁用シートを特徴とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、優れた耐熱性、耐加水分解性を有するポリアリーレンスルフィドを含む層の引張破断伸度を向上させることで成形加工性に優れた高品質の電気絶縁用シートを得ることが可能となる。特に、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などにおいて、好適に使用できる電気絶縁用シートを得ることができる。
以下、本発明の電気絶縁用フィルムについて説明する。本発明の電気絶縁用フィルムは、ポリアリーレンスルフィドとそれ以外にポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)および接着層(c層)を用いてなる電気絶縁用シートとすることが重要である。ポリアリーレンスルフィドを含む層を用いることで、耐熱性や耐加水分解性に優れる電気絶縁用シートとすることができる。a層は、無配向、一軸配向および二軸配向があるが、耐熱性の観点から二軸配向が好ましい。特に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを用いることが好ましく例示される。その場合、a層は中央層にあることが好ましい。
本発明の電気絶縁用シートにおいて、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)は、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含む。ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたとき、ポリアリーレンスルフィドを60〜99重量部と熱可塑性樹脂Aを1〜40重量部含んでいることが好ましく、ポリアリーレンスルフィドを60〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜40重量部とするのがより好ましく、ポリアリーレンスルフィドを70〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜30重量部とするのがさらに好ましく、ポリアリーレンスルフィドを85〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜15重量部とするのが最も好ましい。熱可塑性樹脂Aが40重量部を超えると、離型フィルムの耐熱性などが損なわれることがある。また、熱可塑性樹脂Aが1重量部未満であると、引張破断伸度を向上して靭性を付与することが困難となることがある。
また、この熱可塑性樹脂Aは分散相を形成していることが好ましく、分散相を形成する場合、分散相の平均分散径の平均値は10〜500nmであることが好ましい。これにより、得られるフィルムには引張破断伸度が向上して変形追従性などが向上した特性を付与しやすい。
本発明の電気絶縁用シートは、ポリアリーレンスルフィドが本来有する優れた耐熱性とともに、優れた引張伸度と靭性とを有するものである。かかる特性を発現させるためには、ポリアリーレンスルフィドを含む層では、ポリアリーレンスルフィドが海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、他の熱可塑性樹脂Aが島相(分散相)を形成することが好ましい。さらに分散相の平均分散径が10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは20〜300nmであり、さらに好ましくは30〜200nmである。ポリアリーレンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリーレンスルフィドの耐熱性の優れた特性をフィルムに大きく反映させることができる。また、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性および引張破断伸度の向上のバランスに優れた電気絶縁用シートを得ることが可能となる。分散相の平均分散径が10nm未満であると、本発明の引張伸度向上や追従変形性の効果を十分に付与することができないことがある。また、平均分散径の平均値が500nmより大きいと、耐熱性が悪化したり、引張伸度が向上する効果が得られにくかったりすることがある。
ここでいう分散相の平均分散径とは、(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断した面に対して観察されるそれぞれの分散粒子径を数平均したものである。(ア)の切断面に現れる分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求め、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とし、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とする。
測定は、例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、必要に応じて、画像処理を行うことにより、任意の100個の分散粒子の平均分散径を計算する。
熱可塑性樹脂Aの分散相の形状は、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状であることが好ましい。分散相のアスペクト比は、1〜20の範囲であることが好ましい。さらに好ましい分散相のアスペクト比の範囲は2〜15であり、より好ましい範囲は2〜10である。これら島成分のアスペクト比を上記範囲にすることにより、引張伸度の向上した本発明の電気絶縁用シートを得やすいので好ましい。ここで、アスペクト比は、分散相の平均長径/平均短径の比を意味するものである。該アスペクト比は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの手法を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作成し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、必要に応じて、画像処理を行うことにより、アスペクト比を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
本発明でいうポリアリーレンスルフィドとは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される構成単位などが挙げられる。
Figure 2007276457
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
Figure 2007276457
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、下記の構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
Figure 2007276457
PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明において、得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネートおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチルー2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気や酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択され、より好ましくは200〜270℃であり、また、加熱処理時間は、通常0.5〜100時間が選択され、より好ましくは2〜50時間であるが、この両者を制御することにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置であってもよいが、効率よくしかも均一に処理するためには、回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置でもよいが、効率よく、しかも、より均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。本発明で用いるPPS樹脂は、引張破断伸度の向上の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。脱イオン処理の具体的方法としては、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理、および有機溶剤洗浄処理などを例示することができ、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
PPS樹脂の有機溶剤洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、有機溶剤としては、PPS樹脂を分解する作用などを有していないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の中で、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムが特に好ましく用いられる。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について特に制限はなく、常温〜300℃の範囲で任意の温度を選択することができる。洗浄温度が高くなるほど、洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂の熱水洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱し攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂の酸水溶液洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸やジクロロ酢酸などのハロゲン置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸やクロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸やサリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびフマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸および珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸と塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いられる水は、酸処理によりPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。酸水溶液洗浄処理を施すと、PPS樹脂の酸末端成分が増加して、他の熱可塑性樹脂Aと混合する場合に分散混合性が高まり、分散相の平均分散径が小さくなる効果が得られやすくなるので好ましい。
本発明の電気絶縁用シートにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層体とする場合、a層には、熱可塑性樹脂Aとして、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を用いることができる。
本発明の電気絶縁用シートにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層体とする場合、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aは、ポリアミドが好適に用いられる。ポリアミドは公知のポリアミドであれば特に制限はないが、一般にアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、有用なポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)などのホモポリアミド樹脂ないしはこれらの共重合体である共重合ポリアミド(ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/66/610、66/6T)などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は混合物として用いることもできる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
上記のなかでもホモポリアミド樹脂として、ナイロン6やナイロン610、ナイロン46などがより好ましく用いられる。特に、ナイロン610がポリアリーレンスルフィドと押出するうえで耐熱性が高く、かつ、引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高いので、好ましく使用される。また、共重合ポリアミドとして、ナイロン6を他のポリアミド成分を共重合してなる共重合体ナイロン6/66共重合体が引張伸度を向上させて靭性を発現させる上で、より好ましく用いられ、特にナイロン6/66共重合体が引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高く、ナイロン6共重合量がナイロン66より多いナイロン6/66共重合体が特に好ましく用いられる。
本発明の電気絶縁用シートにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層体とする場合、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aとして用いられる他の例として、ポリエーテルイミドが挙げられる。ポリエーテルイミドは、特に限定されないが、例えば、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有する構造単位であるポリマーを好ましく挙げることができる。
Figure 2007276457
ただし、上記式中R1は、2〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族基、脂環族基からなる群より選択された2価の有機基であり、R2は、前記Rと同様の2価の有機基である。
上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族基
Figure 2007276457
を挙げることができる。
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると本発明の効果が得やすく、ポリアリーレンスルフィドとの相溶性、溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
Figure 2007276457
この構造単位を有するポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。例えば、m−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(前者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテム1000”および“ウルテム1010”が挙げられる。また、p−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(後者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテムCRS5000”が挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる電気絶縁用シートには、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aとして用いられる他の例として、分子骨格にスルホン基を含むポリスルホンやポリエーテルスルホンが挙げられる。ポリスルホンやポリエーテルスルホンは、公知のものを種々使用することができる。ポリアリーレンスルフィドとの混合性の観点から、ポリエーテルスルホンの末端基として、塩素原子、アルコキシ基あるいはフェノール性水酸基が挙げられる。
本発明においては、引張伸度をより向上させて、より優れた靭性を発現させるため、相溶化剤として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の基を有する化合物をa層におけるポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの合計100重量部に対し、0.1〜5重量部添加することが好ましい。より好ましくは0.2〜3重量部添加することであり、さらに好ましくは0.25〜2重量部添加することである。相溶化剤の添加量が0.1重量部未満であると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの相溶性が不良となり、本発明の効果が得られにくかったりすることがある。また、相溶化剤の添加量が5重量部を超えると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの反応性が高まりすぎて、溶融粘度が増加してフィルム押出成形がしにくくなったりすることがある。
かかる相溶化剤の具体例としては、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2.2.5.5.−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル、ビスフェノールの替わりにハロゲン化ビスフェノールを用いたもの、ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。またその他ノボラック型エポキシ樹脂も挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有し、通常ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。また、ノボラック型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる。原料のフェノール類としては特に制限はないがフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール、p−ターシャリーブチルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびこれらの縮合物が挙げられる。
またその他エポキシ基を有するオレフィン共重合体も挙げられる。かかるエポキシ基を有するオレフィン共重合体(エポキシ基含有オレフィン共重合体)としては、オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体が挙げられる。また、主鎖中に二重結合を有するオレフィン系重合体の二重結合部分をエポキシ化した共重合体も使用することができる。
オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限なく、α−オレフィンなどとともに共重合せしめたり、オレフィン(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量はエポキシ基含有オレフィン系共重合体の原料となる単量体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等を共重合することも可能である。
またかかるオレフィン共重合体はランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式でも良い。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合してなるオレフィン共重合体は、中でも、α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を共重合してなるオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g―ポリスチレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−PMMA、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
さらに、本発明の電気絶縁用シートのポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)に用いられる相溶化剤の最も好ましい例として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。中でも、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を用いると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)において、破断伸度を本発明の好ましい範囲に制御しやすくなる。
本発明の電気絶縁用シートには、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)以外に、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)が用いられる。b層には、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂層からなるフィルム、シート、繊維シートなどが積層される。二種類以上の樹脂から構成されてもよい。
本発明の電気絶縁シートが使用される環境から、b層には耐熱性樹脂が好ましく使用される。融解温度を有する結晶性樹脂として、融点が200℃以上のポリエステル系樹脂からなるフィルム、シート、繊維シートが例示され、好ましくはポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレートとの共重合体、ブチレンテレフタレートとヘキサメチレンテレフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレン−2,6−ナフタレートとの共重合体およびこれらのブレンド物などを用いることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。さらに、b層には融解温度を有さない非晶性耐熱性樹脂であることが好ましいのでポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂からなるフィルム、シート、繊維シートが好ましく例示され、中でもポリイミドフィルムやアラミドフィルム、アラミド繊維シートが好ましい。
本発明の電気絶縁用シートには、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)以外に、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)および接着層(c層)が用いられるが、特に、a層とb層の間に接着層(c層)が積層されていることが好ましい。ここでいう接着層とは、本発明の積層フィルムのa層とb層の間に積層されることにより、積層しない場合に比べてa層−b層間の接着力を向上させることができる層をいう。
かかるc層に用いる化合物としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アクリル系化合物やウレタン系化合物に代表される接着剤、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系などの種々の樹脂の単体または混合物、化合物、変成物等を用いることができ、溶液系、無溶剤系を問わない。
特に、耐熱性やハンドリング性などの観点からエポキシ系化合物が好ましく使用される。エポキシ系化合物はエポキシ基を分子中に少なくとも2個以上含むものであればよく、例えばビスフェノ−ルA型エポキシ系化合物、ビスフェノ−ルF型エポキシ系化合物,あるいはビフェノ−ル型エポキシ系化合物あるいはノボラック型エポキシ系化合物などが挙げられる。また、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ系化合物、特に臭素化エポキシ系化合物を用いることが有効である。この際、臭素化エポキシ系化合物のみでは難燃性の付与はできるものの接着剤の耐熱性の低下が大きくなるため非臭素化エポキシ系化合物との混合系とすることがさらに有効である。臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合して用いても良い。
また、c層に用いる化合物には硬化剤を使用することも好ましい。硬化剤としてジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトリアミンなどのアミン系化合物、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ−ル等のイミダゾール誘導体、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、7,1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等のDBU系化合物、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン系化合物、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール等の芳香族三級アミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族三級アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の有機酸、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペラジン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、三塩化ホウ素のアミン錯体、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ホウ素アミン塩、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化スズ等のホウフッ化金属等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して用いても良い。硬化剤としてレゾール型、ノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を用いてもよい。フェノール樹脂としてはたとえばフェノール、ビフェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの等が挙げられる。硬化剤の添加量は0.01〜50重量部が好ましい。0.01重量部未満では硬化が不十分となり十分な耐熱性がえられない。また50重量部を越えると塗膜が脆くなり接着性が低下して好ましくない。耐熱性の良好なものを得るためジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンを使用することが特に好ましい
接着層(c層)を積層する方法は、グラビアコータ法、リバースコータ法、ダイコータ法などのコーティング法、またドライラミネート法やエクストルジョンラミネート法などのラミネート法などの周知の方法を適用することができる。コーティングする方法が好ましく例示され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に塗布した上にポリアリーレンスルフィドを含む二軸延伸フィルムを積層して、必要に応じて硬化させる方法が適用できる。
また上記のエクストルジョンラミネート法で、例えば製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにc層をエクストルジョンラミネートし、さらに幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できるし、コーティング法で、製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにc層をコーティングした後、幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できる。
本発明の積層フィルムのc層の積層厚みは、例えば、0.1〜30μmであることが好ましい。c層の積層厚みが上記範囲でないと、層間接着力を十分向上できない場合がある。c層の積層厚みが上記範囲を超えると、例えば本発明の電気絶縁用シートして用いる場合、c層が溶融、剥離して工程を汚してしまう場合がある。c層の積層厚みは、より好ましくは、0.2〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
本発明の電気絶縁用シートは、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を中央層として、最外層をポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)とした積層構成や、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を最外層として、中央層をポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)とした積層構成などがある。耐熱性などの観点から、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を中央層として、最外層をポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)とした積層構成がより好ましい。
本発明の電気絶縁用シートに用いられるa層のポリアリーレンスルフィドを含むフィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度は、いずれも100〜250(%)であることが好ましく、より好ましくは120〜230(%)、さらに好ましくは140〜200(%)である。破断伸度の好ましい範囲を達成するためには、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)における熱可塑性樹脂Aの含有量やポリアリーレンスルフィドを含む層を得るための延伸倍率や延伸温度、熱固定温度などを制御することで可能である。フィルムの長手方向と幅方向の破断伸度が100(%)未満であれば、電気絶縁用シートとして加工する時や使用する時に割れたり裂けたりすることがある。また、フィルムの長手方向と幅方向のいずれの方向にも破断伸度が250(%)を超えるフィルムを得るためには、フィルムの平面性が悪化したり、機械的強度が低下してフィルムのこしが低下したりすることがある。また、本発明のポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)の長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度は、いずれも100〜250(%)であることが好ましく、より好ましくは少なくとも一方向が120〜230(%)、さらに好ましくは140〜200(%)である。離型フィルムとして、積層フィルムを用いる場合、ポリアリーレンスルフィドを用いてなる層(a層)の伸度が積層フィルムの伸度に最も影響するため、a層の引張破断伸度をこの範囲にすることが好ましい。
本発明において、ポリアリーレンスルフィドを含む層に熱可塑性樹脂Aを混合する場合、その混合時期は、特に限定されないが、溶融押出前に、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法や、溶融押出時に混合して溶融混練させる方法などがある。中でも、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて予備混練してマスターチップ化する方法などが好ましく例示される。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。二軸押出機で混合する場合、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、混練部ではポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+5〜55℃の温度範囲が好ましい。さらに好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜45℃であり、より好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜35℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所以上設けたスクリュー形状にする。この際、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、プラスチック成形加工学会誌「成形加工」第15巻第6号、382〜385頁(2003年)に記載された超臨界流体を利用する方法なども好ましく例示することができる。
本発明の電気絶縁用シートは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステルおよびワックスなどの有機滑剤など他の成分が添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性や耐スクラッチ性等を付与するために、無機粒子や有機粒子などを添加することもできる。そのような添加物としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリアリーレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の電気絶縁用シートの全厚みは、100〜500μmであることが好ましい。電気絶縁用シートの全厚みが100μm未満であると、例えば本発明のシートを電気絶縁用シートとして用いる場合、絶縁性に劣ることがある。また、全厚みが500μmを超えると、例えば本発明の電気絶縁用シートをモーター絶縁材用に断裁して用いる際に、カット不良が発生することがある。本発明の電気絶縁用シートの全厚みは、より好ましくは125〜400μm、さらに好ましくは150〜350μmである。
また、本発明の電気絶縁用シートは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明の電気絶縁用シートは、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料用途に使用することができる。さらに詳しくは、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などに好適に使用できる電気絶縁用シートなどに好適に使用できる。
次いで、本発明の電気絶縁用シートを製造する方法について説明する。電気絶縁用シートして、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを用いた場合、中でも熱可塑性樹脂Aとしてポリアミドであるナイロン6を用いてポリ−p−フェニレンスルフィドに混合した場合に、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造を例にとって説明するが、本発明は、下記の記載に限定されないことは無論である。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する場合、溶融押出前に、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、上記PPSとナイロン6を二軸混練押出機に投入し、PPSとナイロン6の重量分率が99/1〜60/40のブレンド原料を作成することが好ましい。ブレンド原料の樹脂組成物の混合・混練方法は、各種の混合・混練手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダーあるいはタンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混練機にて溶融混練することでもよい。その後、前記ブレンド原料を必要に応じてPPS、これらの回収原料と共に押出機に投入して、目的とする組成としたものを原料とすることが、フィルムの品質と製膜性の観点で好ましい。上記原料を作成する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。この押出機内で異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンドおよび金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。積層フィルムを作製する場合には、2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、積層させる樹脂組成物と溶融状態のポリフェニレンスルフィドおよびナイロン6を用いてなる樹脂組成物をそれぞれ積層させる。溶融シートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
上記の好ましい二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造法のより具体的な条件は、以下のとおりである。
まず、ポリフェニレンスルフィドのペレットまたは顆粒とポリアミドのペレットとを、一定の割合で混合して、ベント式の二軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いることが好ましく、さらに、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、混練部を290〜340℃の温度範囲であることが好ましく、さらに好ましい温度範囲は295〜330℃であり、より好ましい温度範囲は300〜320℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、破断伸度を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を2箇所以上設けて、各混練部の間を通常のフィードスクリューとしたスクリュー形状にすることはさらに好ましい。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する上で、ポリフェニレンスルフィドとナイロン6の混合組成物あるいは相溶化剤が添加されると、分散不良物が低減できて相溶性が高まることがある。
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、PPSとナイロン6からなるブレンドチップ、必要に応じてPPSや製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して、180℃で3時間以上真空乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは320〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度については、PPSや他の熱可塑性樹脂Aの構造成分により異なるが、例えば、PPSが90重量部とナイロン6が10重量部からなる樹脂組成物を例にとって以下説明する。
未延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜4倍、好ましくは2.5〜3.7倍、さらに好ましくは2.7〜3.5倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、(Tg(PPSのガラス転移温度)+10)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+15)〜(Tg+30)℃の範囲である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+50)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲である。特に、TD延伸には、MD延伸の延伸温度より3〜15℃だけ低温で延伸することが好ましく、さらに好ましくは5〜10℃低温に設定する。また、TD延伸の延伸倍率は、2〜4.5倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4倍、さらに好ましくは2.7〜3.5倍の範囲である。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱固定温度は、230〜280℃、より好ましくは230〜280℃、さらに好ましくは250〜275℃の範囲である。熱固定は温度を変更して2段で実施するのが特に好ましい。熱固定時間は0.2〜30秒の範囲で行うことが好ましい。さらにこのフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却することが好ましい。弛緩率は、本発明の破断伸度向上の効果を得て、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜7%、さらに好ましくは3〜5%の範囲である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得る。
本発明の電気絶縁用シートがポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)とポリイミド系樹脂層(b層)を有する積層フィルムである場合の積層方法は、a層とb層の間に接着層(c層)をコーティング法で設ける方法が好ましい。その場合、a層にc層を塗布してからb層を積層する方法、または、b層にc層を塗布してからa層を積層する方法が適用できる。必要に応じて、乾燥や硬化処理を施す。
本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)分散相の平均分散径、アスペクト比
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作製した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色を好適に使用した。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにして分散相の大きさを求めた。ひとつの画像で分散相が100個未満の場合は、同じ方向の別の切断面を観察して100個の分散相を選択することができる。(ア)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。さらに、I,J,Kの中から、最大値を平均長径L、最小値を平均短径Dと決定し、分散相のアスペクト比をL/Dとした。
(2)ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。試料数3にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
装置: TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
また、示唆走査熱量計として、セイコ−インスツルメンツ社製DSC(RDC220)、デ−タ解析装置として同社製ディスクステ−ション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温した後、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピ−クの温度を融解温度(Tm)とした。
(3)破断強度、破断伸度
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:100mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(4)成形加工性
モーター加工機(小田原エンジニアリング社製)を用いて、フィルムを12×80mmのサイズ(フィルムの長手方向を80mmとした)に打ち抜き、さらに折り目をつける加工をトータルの加工速度2個/秒の速度で1,000個のサンプルを作製し、割れや亀裂の発生数を数えて、以下のように判断した。
優:割れや亀裂の発生数が50個未満
良:割れや亀裂の発生数が50〜100個
可:割れや亀裂の発生数が100〜200個
不可:割れや亀裂の発生数が200個を超える。
(5)耐熱性
フィルムを温度220℃で1000時間処理した後に破断伸度が処理前の60%以上であると良、60%未満1/2以上であると可、1/2未満であると不可として判定した。
(参考例1)PPS(PPS−1)の重合
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10,235.46g(69.63モル)、NMP9,009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1,260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26,300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31,900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56,000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70,000gで洗浄、濾別した。70,000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPSは、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1,000/s)であり、ガラス転移温度が90℃、融点が285℃であった。
(実施例1)
参考例1で作成したPPS樹脂(PPS−1)95重量部と、熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)(ガラス転移温度215℃)5重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とポリエーテルイミドの合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.25重量部を配合後、310℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップXを作製した。a層の原料として、PPS−1/PEI(95/5重量%)のブレンドチップXに平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。Tダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度265℃で5秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ120μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
次に、厚み50μmのポリイミド(PI)フィルム(東レデュポン製“カプトン”)(b層)の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、得られた厚み120μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)が中央層になるように、ポリイミドフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み230μmの5層積層シート(b層/c層/a層/c層/b層)を得た。
得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例2,3)
熱可塑性樹脂Aであるポリエーテルイミドの添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例4)
熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(東レ製“アミラン”CM2001)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例5)
熱可塑性樹脂Aとしてポリスルホン(アモコ社製 UDEL)(PSF)(ガラス転移温度190℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例6)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルスルホン(アモコ社製 RADEL)(PES)(ガラス転移温度225℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例7)
b層の樹脂層として厚み50μmのアラミド繊維シート(帝人アドバンスフィルム製“ノメックス”)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に優れたものであった。
(実施例8)
b層の樹脂層として厚み4.5μmのアラミドフィルム(東レ製“ミクトロン”ML40)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例9)
b層の樹脂層として厚み50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム製“テオネックス”)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例10,11)
熱可塑性樹脂Aであるポリエーテルイミドの添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例12)
実施例1と同様にして得られた厚み100μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、厚み50μmのポリイミド(PI)フィルム(東レデュポン製“カプトン”)(b層)が中央層になるように、ポリイミドフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み230μmの5層積層シート(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例13)
中央層のb層の樹脂層として厚み50μmのアラミド繊維シート(帝人アドバンスフィルム製“ノメックス”)を用いる以外は、実施例12と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例14)
中央層のb層の樹脂層として厚み4.5μmのアラミドフィルム(東レ製“ミクトロン”ML40)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(実施例15)
中央層のb層の樹脂層として厚み50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム製“テオネックス”)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工特性に十分なものであった。
(比較例1)
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂だけを用いて製膜したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを作製した。得られた積層シートは、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工特性に不十分であった。
(比較例2)
実施例1と同様にして得た厚み50μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(b層)の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、実施例1で得られた厚み120μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)が中央層になるように、b層を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み230μmの5層積層シート(b層/c層/a層/c層/b層)を得た。得られた積層シートの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおり、成形加工特性に不十分であった。
Figure 2007276457
本発明の電気絶縁用シートは、モーター、トランス、絶縁ケーブルなどの電気絶縁材料用途に使用することができる。特に、給湯器モーター用電気絶縁材料や、ハイブリッド車などに使用されるカーエアコン用モーターや駆動モーター用などの電気絶縁材料などに好適に使用できる。

Claims (11)

  1. ポリアリーレンスルフィドとポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)、ポリアリーレンスルフィド以外の樹脂を用いてなる層(b層)および接着層(c層)を用いてなる電気絶縁用シート。
  2. ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドである請求項1に記載の電気絶縁用シート。
  3. 前記a層がポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が60〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜40重量部であるポリアリーレンスルフィドフィルムを含む積層フィルムである請求項1または2に記載の電気絶縁用シート。
  4. 前記a層のフィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度がいずれも100〜250(%)である請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用シート。
  5. 前記b層がポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂層からなるフィルム、シート、繊維シートである請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用シート。
  6. ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を中央層として、最外層をポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)とした請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用シート。
  7. ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を最外層として、中央層をポリアリーレンスルフィド以外の樹脂からなる層(b層)とした請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用シート。
  8. 前記b層をポリイミドフィルムとした請求項6または7に記載の電気絶縁用シート。
  9. 前記b層をアラミド繊維シートとした請求項6または7に記載の電気絶縁用シート。
  10. 前記b層をポリエステルシートとした請求項6または7に記載の電気絶縁用シート。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の電気絶縁用シートを絶縁部材として用いていてなるモーター。
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