JP2007190689A - 離型フィルムおよびそれからなるプリント配線基板用離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた離型性、耐熱性、熱寸法安定性を有しており、さらに引張破断伸度が向上して追従変形性に優れて、各種工業材料の工程非汚染性に優れた離型フィルム、例えば、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの離型性工程保護フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)からなる積層フィルムであり、長手方向と幅方向の引張破断伸度がいずれも100〜250%である離型フィルムとする。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)からなる積層フィルムであり、長手方向と幅方向の引張破断伸度がいずれも100〜250%である離型フィルムとする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、離型性、耐熱性、熱寸法安定性に優れた離型フィルムに関し、特に引張破断伸度が向上して追従変形性に優れて、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの工程非汚染性に優れた離型フィルムおよびプリント配線基板用離型フィルムに関するものである。
電子機器、情報機器の急激な発展に伴い、液晶膜や高機能高分子膜、セラミックグリーンシートの要求レベルも向上し、膜厚の極薄化、均質性、表面性(異物、傷、凹凸が少ないこと)、平面性などの要求特性が厳しくなっている。これらの機能膜は単独で製造することが困難であり、別の高分子シートやフィルム、金属板やガラス板上に該機能膜樹脂を塗布し、固化した後に別の高分子シートやフィルム、金属板、ガラス板等から剥離して製造されるケースが多い。
特に電子機器や情報機器に使用される場合は他の機材と張り合わせしたり、該機能膜上に別の樹脂を塗布したりする加工が入り、しかも連続加工される場合が多いため、その離型材として高分子シートやフィルムが使用されるケースが多い。
従って、離型用途に用いられるシートやフィルムにも要求品質が厳しくなってきている。該機能膜(以下被離型膜という場合がある)の品質を阻害しないために、表面性や平面性に優れることはもちろんのこと、加工時の作業性をよくするために、耐熱性、熱寸法安定性、耐薬品性、離型性、機械特性、耐汚染性(離型時にフィルムの削れ粉が転写してしまうことや、フィルム表面に別の離型塗料が塗布されていると離型時に該塗料等が被離型膜に転写してしまうことがあり、その恐れがないこと)等を兼ね備えている必要がある。
従って、離型用途に用いられるシートやフィルムにも要求品質が厳しくなってきている。該機能膜(以下被離型膜という場合がある)の品質を阻害しないために、表面性や平面性に優れることはもちろんのこと、加工時の作業性をよくするために、耐熱性、熱寸法安定性、耐薬品性、離型性、機械特性、耐汚染性(離型時にフィルムの削れ粉が転写してしまうことや、フィルム表面に別の離型塗料が塗布されていると離型時に該塗料等が被離型膜に転写してしまうことがあり、その恐れがないこと)等を兼ね備えている必要がある。
中でも、近年の電子機器の急速な進歩に伴うICの集積度の増大により、電子機器のより高精度、高密度、高信頼性化が要求され、プリント配線基板が多用されている。このプリント配線基板としては、各種多層プリント配線基板、フレキシブルプリント配線板などが実用化されている。
こうしたプリント配線基板を製造する際の下記に示すような加熱プレス工程において、加熱圧着する各構成体以外の構成体同士の接着を防止したり、プリプレグや接着剤などの流出などによる工程汚染を防止するために、フッ素系フィルム、ポリメチルペンテン系フィルム、ポリプロピレンフィルム、シリコンコートフィルム、ポリエステルフィルムなどに代表される種々の離型フィルムが用いられる。これら離型フィルムに要求される特性は、下記のように各プロセスに応じて異なる。
多層プリント配線基板は、例えば一対の片面銅張積層板または一対の両面銅張積層板を両面外装として、その内側に一層または二層以上の内層回路板をプリプレグ(エポキシ樹脂など)を介して交互に積み重ね、これらを治具で挟持するとともにクッション材を介してプレス熱板で熱プレスして、プリプレグを硬化させて強固に一体化させた後、該積層体に穴開け、スルーホールメッキなどの処理を行い、表面をエッチングすることで形成される。この際、銅貼積層板と治具との間で両者が接着しないように離型フィルムが用いられる。この離型フィルムの剛性が低かったり、寸法安定性に劣ると、上記加熱プレス工程において離型フィルムが軟化もしくは収縮し、シワが入ってしまうため、銅貼積層板に悪影響を及ぼすことがあった。
また、銅貼積層板の銅箔には、プリプレグとの接着性を高めるために表面を酸化して粗らした、いわゆる黒化処理銅箔が用いられることが多い。この際、上記したような離型フィルムを用いると軟化による剛性不足により、加熱プレス工程でフィルムの表面が黒化処理銅箔面の凹凸に食い込み、離型フィルムが剥離できなくなるという問題が起こることがあった。
こうした問題点を解決するため、例えば一軸延伸して、剛性を高めたポリメチルペンテン系フィルム(例えば、特許文献1など参照)や、中間層にポリエチレンもしくはポリプロピレンからなる層を適宜易接着層を介して積層し、製膜安定性を改良した、一軸あるいは二軸延伸ポリメチルペンテン系フィルム(例えば、特許文献2および特許文献3など参照)などが提案されている。
一方、フレキシブルプリント配線基板は、ポリイミドやポリエステルなどからなるベースフィルムと銅箔とを必要に応じて熱硬化型の接着剤を用いて貼り合わせた銅貼積層板を用い、銅箔側にエッチングして回路を形成し、回路保護のためにその上に接着剤を塗布したポリイミドフィルムやポリエステルフィルムなどをカバーレイとして加熱プレスし、接着させて製造される。この際、カバーレイとプレス熱板との間で両者が接着しないように、例えば上記したような離型フィルムが使用される。
該基板上に形成された電気回路(銅箔)面はプリント部と非プリント部ではその高さが異なる。該回路面をカバーレイで被覆する際、上記したような離型フィルムを用いると回路面の凹凸への追従性不足により、非プリント部に空隙が形成され、封入された残存空気が経時とともに銅回路を酸化し、電気回路の寿命を著しく低下させるという問題点があった。また、他の部品との電気的接続のための端子部分には、カバーレイの被覆を行わず、接続部分の銅回路が露出した状態となっているが、上記したような離型フィルムを用いると回路面の凹凸への追従性不足により、加熱プレス工程でカバーレイに塗布された接着剤が露出部分の銅回路表面上に溶融・流出し、基板の電気的接続不良を引き起こすという問題があった。
近年、高品質のプリント配線基板に対する要求が益々高まりつつあるなか、その製造工程で使用する上記に例示した離型フィルムは必ずしも十分な品質を有するものではなかった。ポリメチルペンテン系樹脂は、延伸(特に二軸延伸)すると、延伸が安定せず製膜中に破れが多発したり、延伸ムラが発生することがある。特許文献1のフィルムでは、一軸延伸が安定せず、生産性に劣るとともに、黒化処理銅箔面からの離型性が不十分だった。また、特許文献2や特許文献3のフィルムでは、延伸性は改良されているものの耐熱性などが不十分であった。
一方、ポリアリーレンスルフィドフィルムは、優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性および低吸湿性などの特長を有しており、特に電気・電子機器、機械部品、自動車部品および工程・離型材などに好適に使用されている。
中でも、優れた耐熱性、剛性、離型性をいかした工程・離型材料へのポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略称することがある)フィルムの適用が進められている。例えば液晶膜の離型フィルムとして用いることが提案されている(例えば、特許文献4など参照)。
しかしながら、上記の従来のPPSフィルムは、靭性や引張破断伸度が低いために変形追従性が低く、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの製造工程の保護フィルムとして用いるには不十分であった。
上記のように、ポリフェニレンスルフィドフィルムは、靭性や引張破断伸度が低く、その適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれていた。その靭性を改良する一方法として、ポリフェニレンスルフィド中に他の熱可塑性樹脂を混合した樹脂組成物やフィルムが提案されている。例えば、PPS中にナイロン11およびナイロン12を平均分散径1μm以下で分散させた組成物(特許文献5参照)、PPSとポリアミドとエポキシ樹脂からなる組成物(特許文献6参照)、PPSと共重合ポリアミドからなる組成物(特許文献7参照)、PPSとポリスルホンからなるフィルム(特許文献8参照)等が開示されているが、PPS中にポリアミドやポリスルホンなどの熱可塑性樹脂を10〜300nmの範囲に超微分散化させた樹脂組成物やフィルムについては記載されていない。一方、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を特性分散形状で超微分散させた樹脂組成物が提案されている(特許文献9参照)。しかし、この樹脂組成物は溶融混練時のせん断場で一旦相溶させ、非せん断下で再度不安定状態となり相分離するいわゆるせん断場依存型相溶解・相分離による構造形成をさせており、シートやフィルムを成形する場合、その構造安定性が十分ではないことがあり、さらに、二軸延伸フィルムを成形するための最適な方法などについて記載されていない。
特開平3−73588号公報
特開2002−225207号公報
特開2005−67193号公報
特開2005−7745号公報
特開平3−81367号公報
特開昭59−155462号公報
特開昭63−189458号公報
特開昭63−121761号公報
特開2003−113307号公報
本発明の目的は、上記課題を解消すべくなされたものであり、離型性、剛性、寸法安定性、耐熱性に優れるのはもちろんのこと、靭性や破断伸度が向上することで変形追従性が向上して、フィルムの溶融・流出により工程を汚染することがなく、特に上記したようなプリント配線基板製造用の離型フィルムとして、いずれの製造プロセスにも適応可能である離型フィルムおよびプリント配線基板用離型フィルムを提供することである。
上記目的を達成するために本発明は、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)からなる積層フィルムであり、長手方向と幅方向の引張破断伸度がいずれも100〜250%である離型フィルムを特徴とする。
ここで、ポリアリーレンスルフィドを含む層は、ポリアリーレンスルフィド以外にポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含むことも好ましい。
本発明によれば、優れた離型性、耐熱性、熱寸法安定性を有しており、さらに引張破断伸度が向上して追従変形性に優れて、各種工業材料の工程非汚染性に優れた離型フィルムを得ることが可能となる。例えば、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの離型性工程保護フィルムを得ることができる。
以下、本発明の離型フィルムについて説明する。本発明の離型フィルムは、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を有する積層フィルムとすることが重要である。ポリアリーレンスルフィドを含む層を積層することで、離型性や耐熱性に優れるフィルムとすることができる。a層は、無配向、一軸配向および二軸配向があるが、耐熱性の観点から二軸配向が好ましい。特に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを用いて積層フィルムとするのが好ましく例示される。その場合、a層は最外層にあることが好ましい。
本発明の離型フィルムは、ポリアリーレンスルフィドを含んでいるが、ポリアリーレンスルフィドの結晶融解熱量が30〜50(J/g)であることが好ましい。結晶融解熱量のより好ましい範囲は、33〜45(J/g)であり、さらに好ましい範囲は35〜43(J/g)である。ポリアリーレンスルフィドの結晶融解熱量は、ポリアリーレンスルフィドの結晶量を反映する。融解熱量が50(J/g)より大きいと、フィルムがもろくなりやすく、例えば、フィルムの加工時や使用時に破損したり、実用上使用に耐えないことがあったりする。また、融解熱量が30(J/g)未満であると、熱収縮が大きく耐熱性が不足したり、離型時の応力でフィルム表面が削れたりすることがある。ここでいう結晶融解熱量とは、示差走査熱量測定(DSC)において観測される融点の吸熱ピークの熱量のことをいう。
本発明の離型フィルムにおいて、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)は、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含むことが好ましい。ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたとき、ポリアリーレンスルフィドを60〜99重量部と熱可塑性樹脂Aを1〜40重量部含んでいることが好ましく、ポリアリーレンスルフィドを60〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜40重量部とするのがより好ましく、ポリアリーレンスルフィドを70〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜30重量部とするのがさらに好ましく、ポリアリーレンスルフィドを80〜93重量部と熱可塑性樹脂Aを7〜20重量部とするのが最も好ましい。熱可塑性樹脂Aが40重量部を超えると、離型フィルムの耐熱性などが損なわれることがある。また、熱可塑性樹脂Aが1重量部未満であると、引張破断伸度を向上して靭性を付与することが困難となることがある。また、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)がポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aとを含む場合、最外層にポリアリーレンスルフィドからなる層が積層されたフィルムも離型性の観点から好ましく例示される。
また、この熱可塑性樹脂Aは分散相を形成していることが好ましく、分散相を形成する場合、分散相の平均分散径の平均値は10〜500nmであることが好ましい。これにより、得られるフィルムには引張破断伸度が向上して変形追従性などが向上した特性を付与しやすい。
本発明の離型フィルムは、ポリアリーレンスルフィドが本来有する優れた耐熱性、離型性とともに、優れた引張伸度と靭性とを有するものである。かかる特性を発現させるためには、ポリアリーレンスルフィドを含む層では、ポリアリーレンスルフィドが海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、他の熱可塑性樹脂Aが島相(分散相)を形成することが好ましい。さらに分散相の平均分散径が10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは20〜300nmであり、さらに好ましくは30〜200nmである。ポリアリーレンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリーレンスルフィドの耐熱性、離型性の優れた特性をフィルムに大きく反映させることができる。また、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性および引張破断伸度の向上のバランスに優れた離型フィルムを得ることが可能となる。分散相の平均分散径が10nm未満であると、本発明の引張伸度向上や追従変形性の効果を十分に付与することができないことがある。また、平均分散径の平均値が500nmより大きいと、耐熱性が悪化したり、引張伸度が向上する効果が得られにくかったりすることがある。
本発明の離型フィルムは、ポリアリーレンスルフィドが本来有する優れた耐熱性、離型性とともに、優れた引張伸度と靭性とを有するものである。かかる特性を発現させるためには、ポリアリーレンスルフィドを含む層では、ポリアリーレンスルフィドが海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、他の熱可塑性樹脂Aが島相(分散相)を形成することが好ましい。さらに分散相の平均分散径が10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは20〜300nmであり、さらに好ましくは30〜200nmである。ポリアリーレンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリーレンスルフィドの耐熱性、離型性の優れた特性をフィルムに大きく反映させることができる。また、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性および引張破断伸度の向上のバランスに優れた離型フィルムを得ることが可能となる。分散相の平均分散径が10nm未満であると、本発明の引張伸度向上や追従変形性の効果を十分に付与することができないことがある。また、平均分散径の平均値が500nmより大きいと、耐熱性が悪化したり、引張伸度が向上する効果が得られにくかったりすることがある。
ここでいう分散相の平均分散径とは、(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断した面に対して観察されるそれぞれの分散粒子径を数平均したものである。(ア)の切断面に現れる分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求め、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とし、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とする。
測定は、例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、必要に応じて、画像処理を行うことにより、任意の100個の分散粒子の平均分散径を計算する。 熱可塑性樹脂Aの分散相の形状は、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状であることが好ましい。分散相のアスペクト比は、1〜20の範囲であることが好ましい。さらに好ましい分散相のアスペクト比の範囲は2〜15であり、より好ましい範囲は2〜10である。これら島成分のアスペクト比を上記範囲にすることにより、引張伸度の向上した本発明の離型フィルムを得やすいので好ましい。ここで、アスペクト比は、分散相の平均長径/平均短径の比を意味するものである。該アスペクト比は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの手法を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作成し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、必要に応じて、画像処理を行うことにより、アスペクト比を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
本発明でいうポリアリーレンスルフィドとは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される構成単位などが挙げられる。
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、下記の構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明において、得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネートおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチルー2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気や酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択され、より好ましくは200〜270℃であり、また、加熱処理時間は、通常0.5〜100時間が選択され、より好ましくは2〜50時間であるが、この両者を制御することにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置であってもよいが、効率よくしかも均一に処理するためには、回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置でもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。本発明で用いるPPS樹脂は、引張破断伸度の向上の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。脱イオン処理の具体的方法としては、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理、および有機溶剤洗浄処理などを例示することができ、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
PPS樹脂の有機溶剤洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、有機溶剤としては、PPS樹脂を分解する作用などを有していないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の中で、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムが特に好ましく用いられる。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について特に制限はなく、常温〜300℃の範囲で任意の温度を選択することができる。洗浄温度が高くなるほど、洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂の熱水洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱し攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂の酸水溶液洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸やジクロロ酢酸などのハロゲン置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸やクロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸やサリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびフマル酸などのジカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸および珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸と塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いられる水は、酸処理によりPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。酸水溶液洗浄処理を施すと、PPS樹脂の酸末端成分が増加して、他の熱可塑性樹脂Aと混合する場合に分散混合性が高まり、分散相の平均分散径が小さくなる効果が得られやすくなるので好ましい。
本発明の離型フィルムにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を有する積層フィルムとする場合、a層には、熱可塑性樹脂Aとして、例えば、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を用いることができる。本発明では、熱可塑性樹脂Aは、ポリアリーレンスルフィドの混合性および本発明の効果発現の観点から、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンから少なくとも1種以上選ばれることが好ましい。特に、ポリアミドはそれ自体が靭性を有するポリマーであるため、好ましく用いられる。
本発明の離型フィルムにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を有する積層フィルムとする場合、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aは、ポリアミドが好適に用いられる。ポリアミドは公知のポリアミドであれば特に制限はないが、一般にアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、有用なポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)などのホモポリアミド樹脂ないしはこれらの共重合体である共重合ポリアミド(ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/66/610、66/6T)などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は混合物として用いることもできる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
上記のなかでもホモポリアミド樹脂として、ナイロン6やナイロン610、ナイロン46などがより好ましく用いられる。特に、ナイロン610がポリアリーレンスルフィドと押出するうえで耐熱性が高く、かつ、引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高いので、好ましく使用される。また、共重合ポリアミドとして、ナイロン6を他のポリアミド成分を共重合してなる共重合体ナイロン6/66共重合体が引張伸度を向上させて靭性を発現させる上で、より好ましく用いられ、特にナイロン6/66共重合体が引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高く、ナイロン6共重合量がナイロン66より多いナイロン6/66共重合体が特に好ましく用いられる。
本発明の離型フィルムにおいてポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を有する積層フィルムとする場合、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aとして用いられる他の例として、ポリエーテルイミドが挙げられる。ポリエーテルイミドは、特に限定されないが、例えば、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有する構造単位であるポリマーを好ましく挙げることができる。
ただし、上記式中R1は、2〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族基、脂環族基からなる群より選択された2価の有機基であり、R2は、前記Rと同様の2価の有機基である。
上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族基
を挙げることができる。
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると本発明の効果が得やすく、ポリアリーレンスルフィドとの相溶性、溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
この構造単位を有するポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。例えば、m−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(前者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテム1000”および“ウルテム1010”が挙げられる。また、p−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(後者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテムCRS5000”が挙げられる。
本発明のポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を有する積層フィルムからなる離型フィルムには、a層に含まれる熱可塑性樹脂Aとして用いられる他の例として、分子骨格にスルホン基を含むポリスルホンやポリエーテルスルホンが挙げられる。ポリスルホンやポリエーテルスルホンは、公知のものを種々使用することができる。ポリアリーレンスルフィドとの混合性の観点から、ポリエーテルスルホンの末端基として、塩素原子、アルコキシ基あるいはフェノール性水酸基が挙げられる。また、熱可塑性樹脂Aとして、ポリアリーレンスルフィドと分子構造が近似するポリフェニレンエーテルなども好ましく例示される。
本発明においては、引張伸度をより向上させて、より優れた靭性を発現させるため、相溶化剤として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の基を有する化合物をa層におけるポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの合計100重量部に対し、0.1〜5重量部添加することが好ましい。より好ましくは0.2〜3重量部添加することであり、さらに好ましくは0.3〜2重量部添加することである。相溶化剤の添加量が0.1重量部未満であると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの相溶性が不良となり、本発明の効果が得られにくかったりすることがある。また、相溶化剤の添加量が5重量部を超えると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの反応性が高まりすぎて、溶融粘度が増加してフィルム押出成形がしにくくなったりすることがある。
かかる相溶化剤の具体例としては、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2.2.5.5.−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル、ビスフェノールの替わりにハロゲン化ビスフェノールを用いたもの、ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。またその他ノボラック型エポキシ樹脂も挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有し、通常ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。また、ノボラック型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる。原料のフェノール類としては特に制限はないがフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール、p−ターシャリーブチルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびこれらの縮合物が挙げられる。
またその他エポキシ基を有するオレフィン共重合体も挙げられる。かかるエポキシ基を有するオレフィン共重合体(エポキシ基含有オレフィン共重合体)としては、オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体が挙げられる。また、主鎖中に二重結合を有するオレフィン系重合体の二重結合部分をエポキシ化した共重合体も使用することができる。
オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限なく、α−オレフィンなどとともに共重合せしめたり、オレフィン(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量はエポキシ基含有オレフィン系共重合体の原料となる単量体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等を共重合することも可能である。
またかかるオレフィン共重合体はランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式でも良い。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合してなるオレフィン共重合体は、中でも、α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を共重合してなるオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g―ポリスチレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−PMMA、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
さらに、本発明の離型フィルムのポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)に用いられる相溶化剤の最も好ましい例として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。中でも、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネートプロピルトリクロロシランなどのイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を用いると、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aを含む層(a層)において、破断伸度や離型性を本発明の好ましい範囲に制御しやすくなる。
本発明の離型フィルムには、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)以外に、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂層が積層されることが好ましい。本発明の離型フィルムが積層フィルムである場合、二種類以上の樹脂から構成されてもよい。
さらに、二種類以上の互いに非相溶である樹脂から構成される樹脂組成をシート状に溶融押出し、少なくとも一成分が他成分内に球状または繊維状または層状に分散した未延伸シートを作製し、該シートを二軸延伸することにより、空洞を形成させた、クッション性に優れる、いわゆる空洞含有フィルムとすることもできる。
上記ポリオレフィン系樹脂を構成する単量体成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、5−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、 ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられ、これらの単独重合体や上記単量体成分から選ばれる少なくとも2種以上の共重合体、およびこれら単独重合体や共重合体のブレンド物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。上記の単量体成分以外にも、例えば、ビニルアルコール、無水マレイン酸、アクリル酸系化合物などを共重合、グラフト重合しても構わないが、これらに限定されるわけではない。
本発明で用いられるポリエチレンは、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとの共重合体である。炭素原子数3〜20のα-オレフィンとしては、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物が挙げられる。このうち炭素原子数3〜10のα-オレフィンを用いることが特に好ましい。
なお、ポリエチレンは、その特性を損なわない範囲内で、ジエン化合物から誘導される成分単位等のような、α-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を含んでいてもよい。ジエン成分の含有量は、通常は0〜1モル%、好ましくは0〜0.5モル%である。ポリエチレンでは、エチレンと炭素原子数3〜20のα-オレフィンとのモル比(エチレン/α-オレフィン)は、α-オレフィンの種類によっても異なるが、一般に100/0〜99/1、好ましくは100/0〜99.5/0.5である。共重合体として、例えば、エチレンー酢酸ビニル共重合体などが好ましく例示される。
本発明で用いられるポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体である。プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα-オレフィンとしては、例えば1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよびこれらの混合物が挙げられる。このうち炭素原子数4〜10のα-オレフィンを用いることが特に好ましい。
ポリプロピレンでは、プロピレンと、プロピレン以外の炭素原子数2〜20のα-オレフィンとのモル比(プロピレン/α-オレフィン(プロピレンを除く))は、α-オレフィンの種類によっても異なるが、一般に100/0〜90/10、好ましくは100/0〜95/5である。なお、ポリプロピレンは、その特性を損なわない範囲内で、ジエン化合物から誘導される成分単位等のような、α-オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位等を含んでいてもよい。ジエン成分の含有量は、通常は0〜1モル%、好ましくは0〜0.5モル%である。
また、ポリオレフィン系樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂も好ましく例示される。かかるポリメチルペンテン系樹脂とは、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体であってもよいし、4−メチル−1−ペンテンと、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどに代表される、4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2〜20のα−オレフィンなどとの共重合体であってもよいし、これら単独重合体、共重合体やその他の樹脂のブレンド物であってもよく、従来公知の方法で製造することができる。上記において、炭素原子数2〜20のα−オレフィンと共重合する場合は、より好ましくは炭素原子数7〜20、さらに好ましくは炭素原子数8〜20、さらにより好ましくは炭素原子数10〜20のα−オレフィンと共重合することが耐薬品性、成形性、剛性などの観点から好ましい。また、ポリメチルペンテン系樹脂として上記のような共重合体を用いる場合、共重合成分の繰返し単位を7重量%以下、好ましくは3〜7重量%、より好ましくは4〜6重量%の範囲で含有することが耐薬品性、成形性、剛性などの観点から好ましい。かかるポリメチルペンテン系樹脂の具体例としては、例えば三井化学(株)社製“TPX”などが挙げられる。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ジカルボン酸成分とグリコール成分を主たる構成成分とするポリエステルなどが挙げられるが、これに限定されるわけではない。
かかるジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸などが挙げられる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等などが挙げられる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらにはヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2′ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを用いることができる。中でもエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールが好ましく用いられる。これらのグリコール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、フィルムの成形性、取扱い性の向上を目的として、上記ポリエステルに、トリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの多官能化合物やp−オキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸などを共重合してもよい。
上記ポリエステル系樹脂としては、好ましくはポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレートとの共重合体、ブチレンテレフタレートとヘキサメチレンテレフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレン−2,6−ナフタレートとの共重合体およびこれらのブレンド物などを用いることができるが、これらに限定されるわけではない。
上記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ポリエチレンイソフタラミド、ポリメタキシレンアジパミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド/テレフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/モノメチルテレフタラミド)、ヘキサメチレンイソフタラミド/テレフタラミドとε−カプロラクタムとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタラミドとヘキサメチレンアジパミドとの共重合体、およびこれらから選ばれる少なくとも2種以上のブレンド物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
本発明の離型フィルムにおいては、耐熱性、成形性、生産コストなどの観点から、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)とポリオレフィン系樹脂層(b層)を有することが好ましい。中でも、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を最外層にして、中央層をポリオレフィン系樹脂層(b層)とした積層フィルムが本発明の効果を発現するために最も好ましい。また、本発明の変形追従性などの効果を発現するためには、オレフィン系樹脂(b層)として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンおよびそれらの共重合体や変性体を用いることが好ましい。
本発明の離型フィルムが、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)とポリオレフィン系樹脂層(b層)を有する積層フィルムには、a層とb層の間に少なくとも一層の接着層(c層)が積層されていることが好ましい。ここでいう接着層とは、本発明の積層フィルムのa層とb層の間に積層されることにより、積層しない場合に比べてa層−b層間の接着力を向上させることができる層をいう。
かかるc層に用いる化合物としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アクリル系化合物やウレタン系化合物に代表される接着剤、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系などの種々の樹脂の単体または混合物、化合物、変成物等を用いることができ、溶液系、無溶剤系を問わない。
特に、耐熱性やハンドリング性などの観点からエポキシ系化合物が好ましく使用される。エポキシ系化合物はエポキシ基を分子中に少なくとも2個以上含むものであればよく、例えばビスフェノ−ルA型エポキシ系化合物、ビスフェノ−ルF型エポキシ系化合物,あるいはビフェノ−ル型エポキシ系化合物あるいはノボラック型エポキシ系化合物などが挙げられる。また、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ系化合物、特に臭素化エポキシ系化合物を用いることが有効である。この際、臭素化エポキシ系化合物のみでは難燃性の付与はできるものの接着剤の耐熱性の低下が大きくなるため非臭素化エポキシ系化合物との混合系とすることがさらに有効である。臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合して用いても良い。
また、c層に用いる化合物には硬化剤を使用することも好ましい。硬化剤としてジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトリアミンなどのアミン系化合物、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ−ル等のイミダゾール誘導体、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、7,1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等のDBU系化合物、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン系化合物、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール等の芳香族三級アミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族三級アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の有機酸、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペラジン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、三塩化ホウ素のアミン錯体、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ホウ素アミン塩、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化スズ等のホウフッ化金属等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して用いても良い。硬化剤としてレゾール型、ノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を用いてもよい。フェノール樹脂としてはたとえばフェノール、ビフェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの等が挙げられる。硬化剤の添加量は0.01〜50重量部が好ましい。0.01重量部未満では硬化が不十分となり十分な耐熱性がえられない。また50重量部を越えると塗膜が脆くなり接着性が低下して好ましくない。耐熱性の良好なものを得るためジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンを使用することが特に好ましい
接着層(c層)を積層する方法は、グラビアコータ法、リバースコータ法、ダイコータ法などのコーティング法、またドライラミネート法やエクストルジョンラミネート法などのラミネート法などの周知の方法を適用することができる。コーティングする方法が好ましく例示され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に塗布した上にポリアリーレンスルフィドを含む二軸延伸フィルムを積層して、必要に応じて硬化させる方法が適用できる。
接着層(c層)を積層する方法は、グラビアコータ法、リバースコータ法、ダイコータ法などのコーティング法、またドライラミネート法やエクストルジョンラミネート法などのラミネート法などの周知の方法を適用することができる。コーティングする方法が好ましく例示され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に塗布した上にポリアリーレンスルフィドを含む二軸延伸フィルムを積層して、必要に応じて硬化させる方法が適用できる。
また上記のエクストルジョンラミネート法で、例えば製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにc層をエクストルジョンラミネートし、さらに幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できるし、コーティング法で、製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにc層をコーティングした後、幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できる。
本発明の積層フィルムのc層の積層厚みは、例えば、0.1〜30μmであることが好ましい。c層の積層厚みが上記範囲でないと、層間接着力を十分向上できない場合がある。c層の積層厚みが上記範囲を超えると、例えば本発明の離型フィルムをプリント配線基盤の離型フィルムとして用いる場合、c層が溶融、剥離して工程を汚してしまう場合がある。c層の積層厚みは、より好ましくは、0.2〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
本発明の離型フィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度は、いずれも100〜250(%)であることが好ましく、より好ましくは120〜230(%)、さらに好ましくは140〜200(%)である。破断伸度の好ましい範囲を達成するためには、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)における熱可塑性樹脂Aの含有量やポリアリーレンスルフィドを含む層を得るための延伸倍率や延伸温度、熱固定温度などを制御することで可能である。フィルムの長手方向と幅方向の破断伸度が100(%)未満であれば、例えば、プリント配線基板の熱プレス工程保護フィルムとして使用する場合、加熱プレス工程で変形追従性が不十分となり、カバーレイに塗布された接着剤などが銅回路表面上に溶融・流出して、基板の電気的接続不良を起こしたりすることがある。また、フィルムの長手方向と幅方向のいずれの方向にも破断伸度が250(%)を超えるフィルムを得るためには、フィルムの平面性が悪化したり、機械的強度が低下してフィルムのこしが低下したりすることがある。また、本発明のポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)の長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度は、いずれも100〜250(%)であることが好ましく、より好ましくは少なくとも一方向が120〜230(%)、さらに好ましくは140〜200(%)である。離型フィルムとして、積層フィルムを用いる場合、ポリアリーレンスルフィドを用いてなる層(a層)の伸度が積層フィルムの伸度に最も影響するため、a層の引張破断伸度をこの範囲にすることが好ましい。
本発明において、ポリアリーレンスルフィドを含む層に熱可塑性樹脂Aを混合する場合、その混合時期は、特に限定されないが、溶融押出前に、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法や、溶融押出時に混合して溶融混練させる方法などがある。中でも、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて予備混練してマスターチップ化する方法などが好ましく例示される。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。二軸押出機で混合する場合、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、混練部ではポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+5〜55℃の温度範囲が好ましい。さらに好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜45℃であり、より好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜35℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所以上設けたスクリュー形状にする。この際、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、プラスチック成形加工学会誌「成形加工」第15巻第6号、382〜385頁(2003年)に記載された超臨界流体を利用する方法なども好ましく例示することができる。
本発明の離型フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステルおよびワックスなどの有機滑剤など他の成分が添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性や耐スクラッチ性等を付与するために、無機粒子や有機粒子などを添加することもできる。そのような添加物としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリアリーレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の離型フィルムの全厚みは、10〜500μmであることが好ましい。離型フィルムの全厚みが10μm未満であると、例えば本発明のフィルムをプリント配線基板用の離型フィルムとして用いる場合、クッション性不足などを補うためにフィルムを2枚以上積み重ねて使用する場合があるため、ハンドリング性に劣ることがある。また、全厚みが500μmを超えると、例えば本発明の離型フィルムを枚葉に断裁して用いる際に、カット不良が発生することがある。本発明の離型フィルムの全厚みは、より好ましくは15〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm、最も好ましくは25〜250μmである。
また、本発明の離型フィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明の離型フィルムは、各種工業材料の工程非汚染性に優れた離型フィルムとして用いることができる。例えば、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの離型性工程保護フィルムなどに好適に使用できる。
次いで、本発明の離型フィルムを製造する方法について説明する。離型フィルムとして、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを用いた場合、中でも熱可塑性樹脂Aとしてポリアミドであるナイロン6を用いてポリ−p−フェニレンスルフィドに混合した場合に、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造を例にとって説明するが、本発明は、下記の記載に限定されないことは無論である。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する場合、溶融押出前に、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、上記PPSとナイロン6を二軸混練押出機に投入し、PPSとナイロン6の重量分率が99/1〜60/40のブレンド原料を作成することが好ましい。ブレンド原料の樹脂組成物の混合・混練方法は、各種の混合・混練手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダーあるいはタンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混練機にて溶融混練することでもよい。その後、前記ブレンド原料を必要に応じてPPS、これらの回収原料と共に押出機に投入して、目的とする組成としたものを原料とすることが、フィルムの品質と製膜性の観点で好ましい。上記原料を作成する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。この押出機内で異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンドおよび金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。積層フィルムを作製する場合には、2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、積層させる樹脂組成物と溶融状態のポリフェニレンスルフィドおよびナイロン6を用いてなる樹脂組成物をそれぞれ積層させる。溶融シートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
上記の好ましい二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造法のより具体的な条件は、以下のとおりである。
まず、ポリフェニレンスルフィドのペレットまたは顆粒とポリアミドのペレットとを、一定の割合で混合して、ベント式の二軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いることが好ましく、さらに、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、混練部を290〜340℃の温度範囲であることが好ましく、さらに好ましい温度範囲は295〜330℃であり、より好ましい温度範囲は300〜320℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、破断伸度を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を2箇所以上設けて、各混練部の間を通常のフィードスクリューとしたスクリュー形状にすることはさらに好ましい。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する上で、ポリフェニレンスルフィドとナイロン6の混合組成物あるいは相溶化剤が添加されると、分散不良物が低減できて相溶性が高まることがある。
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、PPSとナイロン6からなるブレンドチップ、必要に応じてPPSや製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して、180℃で3時間以上真空乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは320〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度については、PPSや他の熱可塑性樹脂Aの構造成分により異なるが、例えば、PPSが90重量部とナイロン6が10重量部からなる樹脂組成物を例にとって以下説明する。
未延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜4倍、好ましくは2.5〜3.7倍、さらに好ましくは2.7〜3.5倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、(Tg(PPSのガラス転移温度)+10)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+15)〜(Tg+30)℃の範囲である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+50)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲である。特に、TD延伸には、MD延伸の延伸温度より3〜15℃だけ低温で延伸することが好ましく、さらに好ましくは5〜10℃低温に設定する。また、TD延伸の延伸倍率は、2〜4.5倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4倍、さらに好ましくは2.7〜3.5倍の範囲である。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱固定温度は、230〜280℃、より好ましくは230〜280℃、さらに好ましくは250〜275℃の範囲である。熱固定は温度を変更して2段で実施するのが特に好ましい。熱固定時間は0.2〜30秒の範囲で行うことが好ましい。この熱固定温度を好ましい範囲で設定することで、ポリアリーレンスルフィドの結晶融解熱量を制御しやすく、本発明の効果を得やすくなる。さらにこのフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却することが好ましい。弛緩率は、本発明の破断伸度向上の効果を得て、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜7%、さらに好ましくは3〜5%の範囲である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得る。
本発明の離型フィルムがポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)とポリオレフィン系樹脂層(b層)を有する積層フィルムである場合の積層方法は、a層とb層の間に接着層(c層)をコーティング法で設ける方法が好ましい。その場合、a層にc層を塗布してからb層を積層する方法、または、b層にc層を塗布してからa層を積層する方法が適用できる。必要に応じて、乾燥や硬化処理を施す。
本発明の離型フィルムが積層フィルムである場合、b層の積層積みは、1μm以上であり、かつフィルムの全厚みの2/3以下であることが好ましい。なお、ここでいうb層の積層厚みとは、b層をa層の両面に積層している場合には、両b層の積層厚みの和であり、フィルムの全厚みとは、a層の厚みとb層の積層厚みとの和である。b層の積層厚みが上記範囲未満であると、例えばb層をラミネートする際に、フィルム切れなどにより均一な厚みでb層を積層することが困難になることがある。また、b層の積層厚みが上記範囲を越えると、例えば耐熱性が不足することがある。b層の積層厚みは、より好ましくは5μm以上、かつフィルムの全厚みの3/5以下であり、さらに好ましくは8μm以上、かつフィルムの全厚みの1/2以下である。
本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、結晶融解熱量
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。試料数3にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。試料数3にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
装置: TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
また、示唆走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温して、観測されるポリアリーレンスルフィドの融解の吸熱ピークの熱量を結晶融解熱量とした。その後、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
また、示唆走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温して、観測されるポリアリーレンスルフィドの融解の吸熱ピークの熱量を結晶融解熱量とした。その後、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
(2)破断伸度
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:100mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:100mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(3)分散相の平均分散径、アスペクト比
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作成した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色を行った。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにしてそれぞれの分散相の大きさを求めた。(ア)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。さらに、I,J,Kの中から、最大値を平均長径L、最小値を平均短径Dと決定し、分散相のアスペクト比をL/Dとした。
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作成した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色を行った。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにしてそれぞれの分散相の大きさを求めた。(ア)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。さらに、I,J,Kの中から、最大値を平均長径L、最小値を平均短径Dと決定し、分散相のアスペクト比をL/Dとした。
(4)溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mmとして、予熱時間を5分に設定して、測定した。
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mmとして、予熱時間を5分に設定して、測定した。
(5)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR230℃)
JIS K6758(1976年)に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、2.16kgf)に従って測定した(単位:g/10分)。
JIS K6758(1976年)に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、2.16kgf)に従って測定した(単位:g/10分)。
(6)ポリメチルペンテン系樹脂のメルトフローレート(MFR260℃)
ASTM D 1238(1998年)に従って、260℃、5.0kgfの条件下で測定した(単位:g/10分)。
ASTM D 1238(1998年)に従って、260℃、5.0kgfの条件下で測定した(単位:g/10分)。
(7)耐熱性
フィルムから10cm×10cmの試料を切り出して温度200℃で30分間オーブンに置いた。その後、温度23℃、65%RHの条件で30分放置してから、4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、下記の基準に従って評価した。○と△が合格である。
フィルムから10cm×10cmの試料を切り出して温度200℃で30分間オーブンに置いた。その後、温度23℃、65%RHの条件で30分放置してから、4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、下記の基準に従って評価した。○と△が合格である。
○:反り量が5mm未満である。
△:反り量が5mm以上、10mm未満である。
×:反り量が10mm以上である。
(8)プリント配線基板製造用離型フィルムとしての適応性
プリント配線基板製造用の離型フィルムとしての適応性を評価するため、多層プリント配線基板およびフレキシブルプリント配線基板の製造プロセスを想定した以下の2種類の評価のうち、いずれかに供した。
プリント配線基板製造用の離型フィルムとしての適応性を評価するため、多層プリント配線基板およびフレキシブルプリント配線基板の製造プロセスを想定した以下の2種類の評価のうち、いずれかに供した。
ア.多層プリント配線基板製造プロセス適応性
(A)銅箔に対する離型性
厚さ30μm、純度99.9%以上の圧延銅箔を15×15cmに切り出し、この両面に同じ寸法に切り出した本発明の離型フィルムを積層し、その両面を20×20cmのステンレス板ではさみ、さらにステンレス板の両面をクッション板として厚さ250μm、20×20cmのクラフト紙ではさみ、(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
(A)銅箔に対する離型性
厚さ30μm、純度99.9%以上の圧延銅箔を15×15cmに切り出し、この両面に同じ寸法に切り出した本発明の離型フィルムを積層し、その両面を20×20cmのステンレス板ではさみ、さらにステンレス板の両面をクッション板として厚さ250μm、20×20cmのクラフト紙ではさみ、(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
(B)黒化銅箔に対する離型性
また、上記圧延銅箔を亜塩素酸ソーダにて黒化処理した以外は同様の構成で(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
上記(A)、(B)に示した構成体を、プレス温度190℃、プレス圧力20kg/cm2、プレス時間30分の条件で加熱プレスし、得られたプレス体について、該プレス体から本発明の積層フィルムを剥離した際に、銅箔および黒化処理銅箔からの離型性を目視、顕微鏡により観察して下記の基準で評価した。
すなわち、本発明の離型フィルムが銅箔および黒化処理銅箔から面積分率で100%完全に剥離可能であったものを○とし、フィルムが一部箔面に残った(離型残り)もののうち、○には当てはまらず90%以上剥離可能であったものを△、○および△には当てはまらず90%未満しか剥離できなかったものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
また、上記圧延銅箔を亜塩素酸ソーダにて黒化処理した以外は同様の構成で(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
上記(A)、(B)に示した構成体を、プレス温度190℃、プレス圧力20kg/cm2、プレス時間30分の条件で加熱プレスし、得られたプレス体について、該プレス体から本発明の積層フィルムを剥離した際に、銅箔および黒化処理銅箔からの離型性を目視、顕微鏡により観察して下記の基準で評価した。
すなわち、本発明の離型フィルムが銅箔および黒化処理銅箔から面積分率で100%完全に剥離可能であったものを○とし、フィルムが一部箔面に残った(離型残り)もののうち、○には当てはまらず90%以上剥離可能であったものを△、○および△には当てはまらず90%未満しか剥離できなかったものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
イ.フレキシブルプリント配線基板製造プロセス適応性
東レ(株)製銅張ポリイミドフィルム“Fタイプ”(片面銅張品、各厚み:銅箔/接着剤/ポリイミドフィルム=12/10/25μm)を15×15cmに切り出し、この銅箔面の半分に、7.5×10cmに切り出した東レ(株)製カバーレイフィルム“Tタイプ”(各厚み:接着剤/ポリイミドフィルム=25/25μm)を積層し、該カバーレイフィルム上に15×15cmの本発明の離型フィルムを、銅張りフィルム上に厚さ200μm、15×15cmのテフロン(登録商標)シートを、それぞれ離型フィルムとして積層した。該構成体の両面を20×20cmのステンレス板ではさみ、さらにステンレス板の両面をクッション板として厚さ250μm、20×20cmのクラフト紙ではさみ、(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
上記構成体を、プレス温度160℃、プレス圧力50kg/cm2、プレス時間50分の条件でカバーレイフィルムを銅張ポリイミドフィルムに加熱プレスし、接着剤を硬化させた後、得られたプレス体について、該プレス体から本発明の積層フィルムを剥離した際に、該基板からの離型性ならびに該基板のプレス状態を目視、顕微鏡により観察して以下の3点から評価した。
東レ(株)製銅張ポリイミドフィルム“Fタイプ”(片面銅張品、各厚み:銅箔/接着剤/ポリイミドフィルム=12/10/25μm)を15×15cmに切り出し、この銅箔面の半分に、7.5×10cmに切り出した東レ(株)製カバーレイフィルム“Tタイプ”(各厚み:接着剤/ポリイミドフィルム=25/25μm)を積層し、該カバーレイフィルム上に15×15cmの本発明の離型フィルムを、銅張りフィルム上に厚さ200μm、15×15cmのテフロン(登録商標)シートを、それぞれ離型フィルムとして積層した。該構成体の両面を20×20cmのステンレス板ではさみ、さらにステンレス板の両面をクッション板として厚さ250μm、20×20cmのクラフト紙ではさみ、(株)ゴンノ水圧機製作所製27t加熱プレス機に挿入した。
上記構成体を、プレス温度160℃、プレス圧力50kg/cm2、プレス時間50分の条件でカバーレイフィルムを銅張ポリイミドフィルムに加熱プレスし、接着剤を硬化させた後、得られたプレス体について、該プレス体から本発明の積層フィルムを剥離した際に、該基板からの離型性ならびに該基板のプレス状態を目視、顕微鏡により観察して以下の3点から評価した。
(A)離型残り
本発明の離型フィルムが銅張ポリイミドフィルムの銅箔面から完全に剥離可能であったものを○、フィルムが一部箔面に残った(離型残り)もののうち、○に当てはまらず90%以上剥離可能であったものを△、○および△には当てはまらず90%未満しか剥離できなかったものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
本発明の離型フィルムが銅張ポリイミドフィルムの銅箔面から完全に剥離可能であったものを○、フィルムが一部箔面に残った(離型残り)もののうち、○に当てはまらず90%以上剥離可能であったものを△、○および△には当てはまらず90%未満しか剥離できなかったものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
(B)接着剤流出
銅張ポリイミドフィルム上のカバーレイフィルム端面からの接着剤の流出が0.1mm以下であるものを○、接着剤の流出が0.1〜0.5mmのものを△、0.5mmを越えるものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
銅張ポリイミドフィルム上のカバーレイフィルム端面からの接着剤の流出が0.1mm以下であるものを○、接着剤の流出が0.1〜0.5mmのものを△、0.5mmを越えるものを×とした。工業的に実用に供することができるのは、○、△のものである。
(参考例1)PPS(PPS−1)の重合
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10,235.46g(69.63モル)、NMP9,009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1,260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26,300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31,900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56,000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70,000gで洗浄、濾別した。70,000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPSは、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1,000/s)であり、ガラス転移温度が90℃、融点が285℃であった。
(参考例2)ポリアミド−1(PA−1)、ナイロン6/66共重合体
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの塩(AH塩)の50重量%水溶液およびε−カプロラクタム(CL)を、AH塩が20重量部、CLが80重量部になるように混合し、30リットルのオートクレーブに仕込んだ。内圧10kg/cm2で270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、撹拌しながら0.5kg/cm2まで徐々に減圧して撹拌を停止した。窒素で常圧に戻した後、ストランドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去して乾燥した。このようにして得られた共重合ポリアミド6/66樹脂の相対粘度は4.20、融点は193℃であった。
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの塩(AH塩)の50重量%水溶液およびε−カプロラクタム(CL)を、AH塩が20重量部、CLが80重量部になるように混合し、30リットルのオートクレーブに仕込んだ。内圧10kg/cm2で270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、撹拌しながら0.5kg/cm2まで徐々に減圧して撹拌を停止した。窒素で常圧に戻した後、ストランドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去して乾燥した。このようにして得られた共重合ポリアミド6/66樹脂の相対粘度は4.20、融点は193℃であった。
(参考例3)二軸配向ポリプロプレンフィルムの製造方法
b層樹脂として、メルトフローレート(MFR230℃):2.3g/10分、融点(Tm):161℃、ホモポリプロピレンを一軸押出機に供給して280℃で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度25℃の金属ドラムにエアナイフを用いて巻き付けて密着冷却固化し、シート状に成形した。
b層樹脂として、メルトフローレート(MFR230℃):2.3g/10分、融点(Tm):161℃、ホモポリプロピレンを一軸押出機に供給して280℃で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度25℃の金属ドラムにエアナイフを用いて巻き付けて密着冷却固化し、シート状に成形した。
この未延伸シートを135℃に保たれたロールに通して予熱し、140℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に5倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続き、この縦延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で横方向に9倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却して巻き取った厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(b層として使用する)を得た。
(参考例4)ポリメチルペンテンフィルムの製造方法
b層樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂“TPX”RT−18(三井化学製)(MFR260℃=26g/10分)を一軸押出機に供給して300℃で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出して未延伸フィルムを得た。
b層樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂“TPX”RT−18(三井化学製)(MFR260℃=26g/10分)を一軸押出機に供給して300℃で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出して未延伸フィルムを得た。
この未延伸シートを155℃に保たれたロールに通して予熱し、165℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に2倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続き、この縦延伸フィルムをテンターに導入して160℃で予熱し、165℃で横方向に2倍に延伸した後、冷却して巻き取った厚さ30μmの二軸延伸ポリメチルペンテンフィルム(b層として使用)を得た。
(実施例1)
参考例1で作成したPPS樹脂(PPS−1)90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとして参考例2で作成したナイロン6/66共重合体(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン6/66共重合体の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.5重量部を配合後、310℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップXを作製した。a層の原料として、PPS−1/PA−1(90/10重量%)のブレンドチップXに平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。Tダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、未延伸シートを得た。
参考例1で作成したPPS樹脂(PPS−1)90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとして参考例2で作成したナイロン6/66共重合体(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン6/66共重合体の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.5重量部を配合後、310℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップXを作製した。a層の原料として、PPS−1/PA−1(90/10重量%)のブレンドチップXに平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。Tダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度277℃で5秒間の熱処理と265℃で5秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
得られた厚み30μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層として、a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、ポリエチレンフィルム(タマポリ製GF−3、厚み30μm)(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例2,3)
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例4と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例4)
実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例3で得た二軸配向ポリプロピレンフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例3で得た二軸配向ポリプロピレンフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例5)
実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例4で得た二軸配向ポリメチルペンテンフィルムを(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
実施例1と同様にして、厚み30μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例4で得た二軸配向ポリメチルペンテンフィルムを(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例6)
参考例1で作成したPPS樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥し、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。Tダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.6倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.3倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度277℃で5秒間の熱処理と265℃で5秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
参考例1で作成したPPS樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥し、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給した。Tダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、未延伸シートを得た。
この未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.6倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.3倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度277℃で5秒間の熱処理と265℃で5秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。
上記により得られた二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層とする以外は実施例1と同様にして、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に十分なものであった。
(実施例7)
実施例1で得られた未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度240℃で5秒間の熱処理と220℃で5秒間の熱処理を行った後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。
実施例1で得られた未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度240℃で5秒間の熱処理と220℃で5秒間の熱処理を行った後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。
上記により得られた二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層とする以外は実施例1と同様にして、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例8)
実施例1と同様にして、厚み5μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例3と同様にして得た厚み80μmの二軸配向ポリプロピレンフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
実施例1と同様にして、厚み5μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(a層)を得た。a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(c層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、a層フィルムが最外層になるように、参考例3と同様にして得た厚み80μmの二軸配向ポリプロピレンフィルム(b層)を重ねてから150℃で1時間かけてc層を硬化させて、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、このフィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例9)
実施例1で得られた未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度220℃で5秒間の熱処理を行った後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。
実施例1で得られた未延伸シートを加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用いロールの周速差を利用して105℃の温度でフィルムの縦方向に3.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、予熱温度95℃、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度220℃で5秒間の熱処理を行った後、フィルムエッジを除去し、厚さ30μmの二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。
上記により得られた二軸配向積層ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層とする以外は実施例1と同様にして、厚み100μmの5層積層フィルム(a層/c層/b層/c層/a層)を得た。
得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したものであった。
(実施例10)
熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(東レ製“アミラン” CM2001)(ポリアミド−2(PA−2))を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(東レ製“アミラン” CM2001)(ポリアミド−2(PA−2))を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例11)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)(ガラス転移温度215℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)(ガラス転移温度215℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例12)
熱可塑性樹脂Aとしてポリスルホン(アモコ社製 UDEL)(PSF)(ガラス転移温度190℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリスルホン(アモコ社製 UDEL)(PSF)(ガラス転移温度190℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(実施例13)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルスルホン(アモコ社製 RADEL)(PES)(ガラス転移温度225℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルスルホン(アモコ社製 RADEL)(PES)(ガラス転移温度225℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層スルフィドフィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、この積層フィルムは、引張伸度とプリント配線基板用離型フィルム特性に優れたものであった。
(比較例1)
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂だけを用いて製膜したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムは、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、引張伸度やプリント配線基板用離型フィルム特性に不十分なフィルムであった。
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂だけを用いて製膜したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムは、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、引張伸度やプリント配線基板用離型フィルム特性に不十分なフィルムであった。
(比較例2,3)
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおり、引張伸度やプリント配線基板用離型フィルム特性に不十分なフィルムであった。
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおり、引張伸度やプリント配線基板用離型フィルム特性に不十分なフィルムであった。
本発明の離型フィルムは、各種工業材料の工程非汚染性に優れた離型フィルムとして用いることができる。例えば、多層プリント配線基板やフレキシブルプリント配線基板などの離型性工程保護フィルムなどに好適に使用できる。
Claims (10)
- ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層フィルムであり、長手方向と幅方向の引張破断伸度がいずれも100〜250%である離型フィルム。
- ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドである請求項1に記載の離型フィルム。
- 少なくとも片方の最外層にポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層フィルムである請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 前記ポリアリーレンスルフィドの結晶融解熱量が30〜50(J/g)である請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
- 積層フィルムがポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)とポリオレフィン系樹脂層(b層)を用いてなる積層フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
- 前記ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)を用いてなる積層フィルムがポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)、ポリオレフィン系樹脂層(b層)および接着層(c層)を用いてなる請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。
- ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)が、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含む請求項1〜6のいずれかに記載の離型フィルム。
- ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が60〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜40重量部であるポリアリーレンスルフィドフィルムを含む積層フィルムである請求項7に記載の離型フィルム。
- 熱可塑性樹脂Aがポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含む積層フィルムである請求項7または8に記載の離型フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の離型フィルムからなるプリント配線基板用離型フィルム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006008306A JP2007190689A (ja) | 2006-01-17 | 2006-01-17 | 離型フィルムおよびそれからなるプリント配線基板用離型フィルム |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012057118A (ja) * | 2010-09-13 | 2012-03-22 | Toray Ind Inc | 離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムおよび成型方法 |
JP2012135935A (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-19 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 離型フィルム |
CN114599519A (zh) * | 2019-10-24 | 2022-06-07 | 日东电工株式会社 | 层叠体的制造方法、涂装物的制造方法、接合结构体的制造方法、热转印片及层叠体 |
-
2006
- 2006-01-17 JP JP2006008306A patent/JP2007190689A/ja active Pending
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