JP2012057118A - 離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムおよび成型方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と粒子(B)のみからなる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであり、フィルムの長手あるいは幅方向のいずれか一方の160℃、10分の熱収縮率が1.5%以上であり、もう一方の160℃、10分の熱収縮率が0.5%以上である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
【選択図】 なし
Description
(1)実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と粒子(B)のみからなる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであり、フィルムの長手あるいは幅方向のいずれか一方の160℃、10分の熱収縮率が1.6%以上であり、もう一方の160℃、10分の熱収縮率が0.5%以上である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム、
(2)融点直下の微小吸熱ピーク温度(Tmeta)が230℃以上255℃以下である(1)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム、
(3)粒子(B)がバテライト型炭酸カルシウムである(1)または(2)に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム、
(4)粒子(B)を0.5〜3重量%含有する(1)〜(3)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム、
(5)3次元成型用である(1)〜(4)のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム、
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される繰り返し単位が採用されたものが好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと称する場合がある)、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、PPSが好ましく例示される。本発明においては、上記ポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、下記構造式で示されるパラフェニレンスルフィド単位を好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上含むことが望ましい(パラフェニレンスルフィドからなるPPSをp−PPSを称する)。パラフェニレンスルフィド単位が95モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、離型用フィルムとして耐熱性、離型性などを損なう場合がある。
p−PPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
上述のようにして得られたp−PPSを減圧下で乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは310〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内に通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このフィルター部分や口金の設定温度は、押出機の溶融部の温度より3〜20℃高い温度にすることが好ましく、より好ましくは5〜15℃高い温度にする。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この二軸延伸フィルムを緊張下で熱固定する。本発明においては、本願規定の熱収縮率達成の観点から、2段以上の異なる温度で熱固定を行うことが好ましく、1段目の熱固定温度は160〜200℃、好ましくは180〜200℃であり、続いて行う後段の熱固定および/または弛緩熱処理の最高温度は230〜255℃、好ましくは、240〜255℃である。本願発明の熱収縮を達成する観点から、フィルム幅方向に0〜5%の範囲で弛緩処理することが好ましく、より好ましくは0〜3%であり、さらに好ましくは0%、すなわち定長で熱処理する。
幅10mm、長さ200mmにサンプリングした試料に、約100mm間隔となるように直線を引き、その間隔の長さを万能投影機により測定し、L0(mm)とする。次に、該サンプルを2.5gの荷重下で、160℃に加熱されたギアオーブン中で、10分間保持し、その後、室温で2時間冷却した後、再び、直線の間隔を万能投影機で測定し、L(mm)とする。この測定結果から、熱収縮率=((L0−L)/L0)×100)(%)とし、フィルム長手方向および幅方向につきそれぞれn数5サンプルの平均値を採用した。なお、熱収縮率の符号が、「−(負)」の場合は伸びを示している。
JIS K7121−1987に従って示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上、室温から350℃まで、昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融点直下の微小吸熱ピークをTmetaとした。
幅600mmで巻き取られたフィルムロール品を幅500mm×長さ900mmサイズに切り出し、離型フィルムおよびエポキシプリプレグを重ね合わせ、曲面形状を有した金型を設置したプレス成型機で160℃、1MPaの圧力を5分間加えたのちにサンプルを取り出して、室温中に十分冷却してから、エポキシプリプレグと離型フィルムを手で引き剥がした。離型性、エア噛み、皺、金型汚れについて、以下の基準で判断した。○、△が合格水準である(○が△よりも優れる)。
○:フィルムが破断することなくプリプレグから容易に剥がれた
△:フィルムが一部破断するがプリプレグから剥がれた
×:プリプレグから剥がれなかった
皺
○:プリプレグ表面にフィルム皺の転写が存在しない
×:プリプレグの製品部分にフィルム皺が転写する
50Lオートクレーブ(SUS316製)に水硫化ナトリウム(NaSH)56.25モル、水酸化ナトリウム54.8モル、酢酸ナトリウム16モル、およびN−メチルピロリドン(NMP)170モルを仕込む。次に、窒素ガス気流下に撹拌しながら内温を220℃まで昇温させ脱水を行なった。脱水終了後、系を170℃まで冷却した後、55モルのp−ジクロロベンゼン(p−DCB)と0.055モルの1,2,4,−トリクロロベンゼン(TCB)を2.5LのNMPとともに添加し、窒素気流下に系を2.0kg/cm2まで加圧封入した。235℃にて1時間、さらに270℃にて5時間撹拌下にて加熱後、系を室温まで冷却、得られたポリマーのスラリーを水200モル中に投入し、70℃で30分間撹拌後、ポリマーを分離する。このポリマーをさらに約70℃のイオン交換水(ポリマー重量の9倍)で撹拌しながら5回洗浄後、約70℃の酢酸カルシウムの1重量%水溶液にて窒素気流下にて約1時間撹拌した。さらに、約70℃のイオン交換水で3回洗浄後、分離し、120℃、1torrの雰囲気下で20時間乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド粉末を得た。
〔粒子ペレット1〕
平均粒径1.2μmのバテライト型炭酸カルシウム粒子をエチレングリコール中に50重量%分散させたスラリーを調製した。このスラリーをフィルタで濾過した後、ヘンシェルミキサーを用いて、(1)で得られたPPS粉末に炭酸カルシウムの含有量が7重量%となるよう混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量7重量%の粒子ペレット1を得た。
粉砕後にフルイで分級した平均粒径1.2μmの重質炭酸カルシウム(カルサイト型炭酸カルシウム)微粉末をヘンシェルミキサを用いて(1)で得られたPPS粉末に炭酸カルシウムの含有量が20重量%となるように混合した。得られた混合物を、30mm径の二軸のスクリューを有するベント押出機に供給し、温度320℃で溶融した。この溶融物を金属繊維からなる95%カット孔径10μmのフィルタに通して瀘過した後、2mm孔径ダイから押し出し、ガット状の樹脂組成物を得た。さらに該組成物を約3mm長に裁断し、粒子含有量20重量%の粒子ペレット2を得た。
(1)で得られたポリマのみ用い、粒子を添加しなかった他は、上記粒子ペレットと同様にして溶融押出し、粒子を含有しない無粒子ペレットを得た。
上記で得られた無粒子ペレットに粒子ペレット1を炭酸カルシウムの含有量が0.5質量%となるように混合した後、回転式真空乾燥機を用いて、3mmHgの減圧下にて温度180℃で4時間乾燥させた。得られた乾燥チップを、溶融部が310℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給し、温度320℃に設定したフィルターで濾過した後、温度310℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
実施例1で2段目熱処理温度を230℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で2段目熱処理温度を210℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に3.8倍とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、炭酸カルシウムの含有量を3重量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、炭酸カルシウムの含有量を1重量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、炭酸カルシウムの含有量を5重量%とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で用いた粒子ペレット1に代えて粒子ペレット2を用い、実施例1と同様に炭酸カルシウムの含有量が0.5質量%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で2段目熱処理温度を265℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で1段目熱処理温度を250℃、2段目熱処理温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、延伸倍率を縦方向に3.4倍、横方向に3.4倍とした以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
実施例1で、弛緩処理ゾーンで横方向に7%の弛緩処理を行った以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムを作製した。
2.皺
3.離型フィルム
Claims (5)
- 実質的にポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と粒子(B)のみからなる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであり、フィルムの長手方向あるいは幅方向のいずれか一方の160℃、10分の熱収縮率が1.6%以上であり、もう一方の160℃、10分間処理したときの熱収縮率が0.5%以上である離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 融点直下の微小吸熱ピーク温度(Tmeta)が230℃以上255℃以下である請求項1に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 粒子(B)がバテライト型炭酸カルシウムである請求項1または2に記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 粒子(B)を0.5〜3質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
- 3次元成型用である請求項1〜4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム。
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