JP2014069385A - 耐熱離型用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた耐熱性、成形追従性、平面性、粗面転写性を示す離型用フィルムを提供すること。
【解決手段】
(I)熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであって、次の物性(1)〜(4)をすべて満足する耐熱離型用フィルム。
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μm
(3)(2)を満たす面に関し、175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が下記式を満たす。
(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
【選択図】なし
【解決手段】
(I)熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであって、次の物性(1)〜(4)をすべて満足する耐熱離型用フィルム。
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μm
(3)(2)を満たす面に関し、175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が下記式を満たす。
(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性樹脂の加熱成形加工時に有用な耐熱離型用フィルムに関するものであり、特に、耐熱性、成形追従性、粗面転写性等が要求される半導体封止工程に最適な耐熱離型用フィルムに関する。
半導体封止の分野では、基板の薄膜化や回路ギャップの微細化に伴い、基板へのダメージが少なく、狭い回路ギャップへの樹脂充填性が良好な圧縮成形法による封止が注目を集めている。圧縮成形法では、成形後に金型と封止樹脂との剥離を補助したり、圧縮成形中に金型可動部の隙間に封止樹脂が流入するのを防いだりする目的で、封止樹脂と金型の間に離型フィルムが用いられるのが一般的である(特許文献1参照)。
該離型フィルムには、耐熱性や離型性の高さはもちろん、金型形状に柔軟に追従する成形追従性の良さや、成形中に皺が発生しない平面性の良さなどが求められる。成形追従性が不十分であると、圧縮成形の直前に離型フィルムを金型に真空吸着させる際にリークが発生し、真空度を保てなかったり、成形した封止樹脂のエッジ部に形状の欠陥が発生したりして生産の歩留まりが悪化するおそれがある。フィルムの平面性が悪く、成形中に皺が発生すると、発生した皺が封止成形体に転写して製品の外観を損ねるおそれがある。
また、封止された半導体基板は、後の工程で封止樹脂の表面にレーザーマーカー等で刻印されるが、その際、刻印の視認性を高める目的で封止樹脂表面が梨地状になっていることが求められる。梨地の形成は刻印の視認性を高めるだけでなく、封止樹脂表面についた微細な傷を見えにくくする効果を有し、さらに、成形中に封止樹脂の流動によって発生する流動模様を目立たなくする効果を有する。梨地形成のためには、十分に粗面化された離型フィルムを用いて成形を行い、離型フィルムの表面形状を封止樹脂表面に転写させる方法(特許文献2参照)が一般的である。
従来、圧縮成形用の離型フィルムとしては、耐熱性や離型性に優れたフッ素系フィルムやポリメチルペンテンフィルムなどが用いられてきた。しかし、フッ素系フィルムは高価である上、使用後の焼却廃棄処理において燃焼しにくく、かつ、燃焼時に有毒ガスを発生するという問題点があった。ポリメチルペンテンフィルムは、成形途中でフィルムに皺が入りやすく、皺が封止樹脂成形体に転写してしまうという問題点があった。
一方、ポリアリーレンスルフィドフィルムは、耐熱性および離型性に優れ、廃棄焼却が可能なフィルムであることから、高価なフッ素系フィルムに代わる汎用的な離型フィルムとしての期待が高まっている。これまでに、例えば、粒子添加によって表面を粗面化した離型用二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(特許文献3参照)や、ポリフェニレンスルフィド樹脂を表面層に有し、中間層に熱変形温度の低い樹脂を積層して柔軟性を向上させた積層フィルム(特許文献4参照)などが提案されている。しかしながら、特許文献3に記載のフィルムは粗面の程度が不十分であるために好ましい外観の封止樹脂表面を形成することができず、また、フィルムが硬いために十分な成形追従性が得られないという問題があった。特許文献4に記載の積層フィルムは成形追従性には優れているものの、封止樹脂表面の梨地形成について配慮されておらず、該フィルムを用いて作成した封止樹脂成形体の表面は刻印の視認性が悪かった。
本発明は、優れた耐熱性、成形追従性、平面性、粗面転写性を示す半導体封止用の離型フィルムを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のポリアリーレンスルフィドフィルムは主として次の構成を有する。すなわち、
(I)熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであって、次の物性(1)〜(4)をすべて満足する耐熱離型用フィルム、
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下である。
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲である。
(I)熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであって、次の物性(1)〜(4)をすべて満足する耐熱離型用フィルム、
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下である。
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲である。
(3)(2)を満たす面に関し、175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が下記式を満たす。
(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
(II)(I)記載のフィルムの前記物性(2)、(3)を共に満たす面のA層の上にさらに離型コート層を設けたことを特徴とする(I)に記載の耐熱離型用フィルム、
(III)(I)記載のフィルムの前記物性(2)、(3)を共に満たす面がラビング処理されていることを特徴とする(I)に記載の耐熱離型用フィルム、
(IV)基層部(B層)の厚みと、表層部(A層)の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が0.05〜0.4の範囲にあることを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載の耐熱離型用フィルム
である。
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
(II)(I)記載のフィルムの前記物性(2)、(3)を共に満たす面のA層の上にさらに離型コート層を設けたことを特徴とする(I)に記載の耐熱離型用フィルム、
(III)(I)記載のフィルムの前記物性(2)、(3)を共に満たす面がラビング処理されていることを特徴とする(I)に記載の耐熱離型用フィルム、
(IV)基層部(B層)の厚みと、表層部(A層)の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が0.05〜0.4の範囲にあることを特徴とする(I)〜(III)のいずれかに記載の耐熱離型用フィルム
である。
本発明によれば、成形追従性、平面性、粗面転写性に優れた耐熱離型用フィルムを用いた半導体封止成形が可能となり、表面意匠性に優れ、形状欠陥の少ない高品位な封止基板を効率的に得ることができる。
以下、本発明について説明する。
本発明の耐熱離型用フィルムは、熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであり、次の物性(1)〜(4)をすべて満足することが重要である。
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下である。
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲である。
本発明の耐熱離型用フィルムは、熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであり、次の物性(1)〜(4)をすべて満足することが重要である。
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下である。
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲である。
(3)(2)を満たす面に関し、175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が下記式を満たす。
(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
(4)175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲である。
以下、上記の各物性について説明する。
まず、物性(1)では、積層フィルム全体の175℃における引張弾性率がMD・TD両方向ともに150MPa以下であることが重要である。より好ましくは130MPa以下であり、さらに好ましくは120MPa以下である。175℃における引張弾性率が150MPaを超えると、金型への成形追従性が不足し、離型フィルムを金型に真空吸着させた際にリークが発生して真空度の維持が難しかったり、封止成形体のエッジ部に形状の欠陥が発生したりする場合がある。175℃における引張弾性率の下限値は、離型フィルムとして使用する際の作業性の観点から30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは50MPa以上、さらに好ましくは70MPa以上である。
まず、物性(1)では、積層フィルム全体の175℃における引張弾性率がMD・TD両方向ともに150MPa以下であることが重要である。より好ましくは130MPa以下であり、さらに好ましくは120MPa以下である。175℃における引張弾性率が150MPaを超えると、金型への成形追従性が不足し、離型フィルムを金型に真空吸着させた際にリークが発生して真空度の維持が難しかったり、封止成形体のエッジ部に形状の欠陥が発生したりする場合がある。175℃における引張弾性率の下限値は、離型フィルムとして使用する際の作業性の観点から30MPa以上であることが好ましく、より好ましくは50MPa以上、さらに好ましくは70MPa以上である。
物性(2)では、積層フィルムの少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲であることが重要である。より好ましくは1〜3μmの範囲である。表面粗さが両面とも0.5μm未満の場合、成形された封止樹脂表面への転写が不十分となり、表面全体の光反射が起きやすくなるため、後工程でレーザーマーカーによる刻印を行った際に刻印の視認性が悪くなる場合がある。一方、表面粗さが両面とも5μmを超える場合、封止樹脂成形体の表面凹凸が粗大となりすぎることにより、表面の細かい傷が目立ちやすくなる場合がある。
物性(3)では、上記物性(2)を満たす面に関し、積層フィルム全体を175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が、熱処理する前の表面粗さ(SRa1)との間で(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15の関係にあることが重要である。より好ましくは(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.10である。SRa1とSRa2の関係が(SRa1−SRa2)/SRa1 ≧ 0.15となる場合、封止成形工程の加熱の途中で離型フィルム表面の凹凸が大きく変動し、それに伴って封止樹脂成形体の表面外観に凹凸の転写斑が発生し、均一な表面外観をもった高品位な製品が得られない場合がある。
物性(4)では、積層フィルム全体の175℃におけるTD方向の熱収縮率が1.0〜3.0%の範囲であることが重要である。より好ましくは1.5〜2.5%、である。熱収縮率が1.0%未満であると、封止工程の予熱段階で離型フィルムに発生する弛みがとれず、弛んだ状態で金型に吸着されることによって皺が発生する場合がある。熱収縮率が3.0%を超えると、熱収縮に伴う平面性の悪化により封止樹脂表面に転写される凹凸形状が不均一となる場合がある。
本発明の耐熱離型用フィルムの基層部に用いる熱可塑性樹脂とは、積層されたフィルム全体の柔軟性が前記の物性(1)を満足する限りは特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂などが挙げられる。中でも、柔軟性の高さからはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのオレフィン樹脂が好ましく、また、生産性の観点からは層間接着剤なしで表層部と共に一括製膜することが容易なポリエステル樹脂やポリアリーレンスルフィド樹脂などが好ましい。
ポリエステル樹脂やポリアリーレンスルフィド樹脂を基層部として用いる場合、前記の物性(1)を満足する耐熱離型用フィルムを得るためには、基層部樹脂の融解温度が表層部のポリアリーレンスルフィド樹脂の融解温度よりも低いことが好ましく、その場合の融解温度の差は20〜100℃の範囲であることが好ましい。
また、基層部がポリエステル樹脂の場合、非晶性のポリエステル樹脂成分、すなわち、ジオール成分として脂環族ジオール成分を共重合した共重合ポリエステル樹脂や、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸を共重合した共重合ポリエステル樹脂、ジカルボン酸成分として脂環族ジカルボン酸を共重合した共重合ポリエステル樹脂などを、通常の結晶性ポリエステル樹脂に対して混合して使用することが柔軟性の観点から好ましい。ここで、非晶性のポリエステル樹脂成分とは、通常の結晶性ポリエステル樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのホモポリマーに対し、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分や1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分などを共重合したものが挙げられる。
本発明の耐熱離型用フィルムは、その表層部がポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなることが耐熱性や離型性の観点から重要である。ポリアリーレンスルフィドとは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするものであり、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(L)などで表される繰り返し単位などがあるが、なかでも式(A)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
(ただし、式中のR1,R2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(M)〜式(P)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(M)〜式(P)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
また、本発明に用いるポリアリーレンスルフィドは上記繰り返し単位を有するランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらポリアリーレンスルフィドの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、ポリマーの主要構成単位として下記式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%、さらに好ましくは95モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)が挙げられる。かかるp−フェニレンスルフィド単位が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、ポリアリーレンスルフィドフィルムの特徴である耐熱性、寸法安定性などを損なうことがある。
本発明においてポリアリーレンスルフィドの溶融粘度としては特に制限は無いが、温度310℃、剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2,000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。また、ポリアリーレンスルフィドの分子量にも特に制限は無く、一般的なポリアリーレンスルフィドを用いることが可能であり、この様なポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量としては5,000〜1,000,000が例示でき、7,500〜500,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましい。
ポリアリーレンスルフィドの製造方法は特に限定されないが、例えば特開平5−163349号公報に代表される、少なくとも1個の核置換ハロゲンを含有する芳香族化合物またはチオフェンとアルカリ金属モノスルフィドとを極性有機溶媒中で高められた温度において反応せしめる方法、好ましくはスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物とを有機極性溶媒中で接触させることによって得ることができる。
本発明において、得られたポリアリーレンスルフィドを、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネ−トおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
本発明の耐熱離型用フィルムは、前記のフィルム物性(1)〜(4)を阻害しない範囲であれば、基層部と表層部のそれぞれに対して、個別に異種ポリマーや粒子、フィラー等をブレンドしてもよく、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の耐熱離型用フィルムの厚みは、離型フィルムとして使用する際の粗面転写性や生産性の観点から5〜200μmの範囲が好ましく、より好ましくは、10〜150μmの範囲、さらに好ましくは20〜100μmの範囲である。厚みが200μmを超えると、半導体封止工程の予熱に必要な時間を延長する必要が生じて生産性が悪化する場合がある。厚みが5μm未満になると、半導体封止工程にあるフィルム搬送装置の張力制御が困難となり、フィルムが変形して封止樹脂表面に転写する凹凸形状が不均一となったり皺が発生したりする場合がある。
本発明の耐熱離型用フィルムは、基層部(B層)の厚みと、表層部(A層)の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が0.05〜0.4の範囲にあることが好ましい。より好ましくは0.06〜0.3の範囲である。積層比が0.05未満の場合、耐熱離型用フィルム全体の厚みが薄い場合に、表層部のポリアリーレンスルフィド層が非常に薄くなり、封止工程の途中で表層部が削れて基層部が表面に露出し、離型性が悪化する場合がある。積層比が0.4を超える場合、フィルムの柔軟性が不足し、本発明の耐熱離型用フィルムに必要な前記の物性(1)を満足できなくなる場合がある。また、本発明の耐熱離型用フィルムの両面にある表層部(A層)の表裏の厚み差は±10%以下であることがカールを抑制するために好ましい。
本発明の耐熱離型用フィルムは、前記の物性(2)を満足するために、基層部(B層)と表層部(A層)が積層された後に、少なくとも片面がエンボス加工されていることが好ましい。エンボス加工の条件は、まず、エンボス温度が150〜230℃の範囲であることが、前記の物性(3)を満足するために重要であり、より好ましくは170〜220℃の範囲である。エンボス温度が150℃未満である場合、半導体封止工程で175℃までに加熱された際に、エンボスによって付与した突起形状が加熱緩和によって消滅もしくは微弱化するが、その緩和の程度が面内で必ずしも均一とならないために、封止樹脂表面に転写する凹凸形状に転写斑が発生し、均一な表面外観をもった高品位な製品が得られない場合がある。エンボス温度が230℃を超える場合、エンボス加工の際にフィルムに皺が入ったり、フィルムがエンボスロールに粘着したりして、均一なエンボスができなくなる場合がある。エンボス加工する際の圧力は、線圧が20〜200kgf/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50〜160kgf/cmの範囲である。線圧が200kgf/cmを超える場合、フィルムがエンボスロールに粘着する場合があり、線圧が20kgf/cm未満であると、エンボスによる凹凸転写が不十分となる場合がある。エンボス加工の加工速度は、1〜50m/minの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜40m/minである。加工速度が50m/minを超えるとエンボスによる凹凸転写が不十分となる場合があり、加工速度が0.5m/min未満であるとフィルムに皺が入ったり、フィルムがエンボスロールに粘着したりする場合がある。エンボスロールの凹凸柄は、加工後に得られるフィルムが前記物性(2)を満足する限りは特に限定されないが、封止樹脂表面についた微細な傷を見えにくくする効果が特に高いためにサンドブラスト柄が好ましく、その場合、サンドブラスト柄のサンドの番手は#20〜#400のものが好ましい。
熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)を積層する方法は特に限定されないが、例えば、各層をそれぞれ個別に製膜した後、接着剤や熱融着によってA層/B層/A層の構成となるようにラミネート接着する方法や、A層を製膜した後に、2層のA層の間にB層を溶融押出して一体化させる方法、A層とB層をA層/B層/A層の構成となるように溶融複合押出した後、二軸延伸製膜する方法などが挙げられる。接着剤や熱融着によってラミネート接着する場合、層間の密着性を高めるために基材部および表層部の対向面の片側もしくは両側にプライマーコートやフレーム処理、プラズマ処理、コロナ処理等を行った後に貼り合せても良い。接着剤の厚みは1〜10μmの範囲が密着力と加工性の点で好ましい。用いる接着剤は、ポリウレタン系、アクリル系、オレフィン系、エポキシ系、シリコーン系、ポリエステル系等が好ましい。
本発明の基層部(B層)の樹脂層は、延伸された状態であっても、未延伸の状態であっても良いが、前記物性(1)をより好ましい範囲とするためには、未延伸(すなわち、面内の分子鎖配向が少ない)の状態であることが好ましい。かかる基層部を得る方法としては、例えば、Tダイ法やインフレーション法などの周知の方法により未延伸シートを製膜する方法や、表層部(A層)とともにA層/B層/A層の構成となるように溶融複合押出をした後、二軸延伸製膜する過程でB層の融解温度よりも高い温度で熱処理し、B層の分子鎖配向を緩和させて未延伸状態に近づける方法などが挙げられる。B層の分子鎖配向を緩和させて未延伸状態に近づける場合、面内の分子鎖配向を弱めて柔軟性を高めるために、二軸延伸時の延伸倍率をMD・TD両方向ともに2.5〜3.5倍の範囲とすることが好ましい。
本発明の表層部(A層)は、耐熱性や離型性の観点から二軸延伸されていることが好ましく、特に、基層部(B層)が未延伸シートである場合には、表層部のポリアリーレンスルフィド樹脂が、TD方向に3.4倍以上の延伸倍率で延伸されていることが、前記物性(4)を満足するために好ましい。
本発明の耐熱離型用フィルムは、前記物性(2)、(3)を共に満たす面のA層の上に、さらに離型コート層が設けられている、もしくは、該A層がラビング処理されていることが、離型性の観点から好ましい。離型コート層もしくはラビング処理が施されていない場合、半導体封止工程において離型フィルムが自動的に剥離するだけの高い離型性が得られず、封止装置でのフィルムの搬送に不具合が生じる場合がある。離型コート層としては、シリコーン系、脂肪酸系、フッ素系などの公知のコーティング剤を用いることができる。特に、離型性の観点からはシリコーン系の離型コートが好ましい。
ラビング処理とは、布を用いてフィルムの表面を物理的に摩擦することをいう。ラビング処理の方法は特に限定されないが、例えば、既知のラビング装置を用いることができる。ラビングの条件の目安としては、下記式Mで表されるラビング密度(mm)が300mm以上となるような条件でラビングすることが好ましい。
M = NL(2πRn/60V±1)
上記式中のNはラビングの回数であり、Lはフィルム表面に触れているラビング布の長さ(mm)であり、Rはラビング布厚みを含めたラビングローラーの半径(mm)であり、nはラビングローラーの回転数(rpm)であり、Vはフィルムの移動速度(mm/s)である。式M中の+、−の符号は、ラビングローラーをフィルムの移動方向に逆らう方向に回転させる場合には+とし、同じ方向に回転させる場合には−として計算する。ラビング布の素材としては酢酸セルロース、綿、レーヨン、ポリアミド、アクリル、アラミドなどが好適に用いられる。ラビング布の形態としては、不織布、パイル織り、ベルベット織りが好ましい。フィルム表面にラビング処理が施される時期は、前記のエンボス加工が施される前であることが好ましい。エンボス加工後にラビング処理した場合、エンボスによって形成された凹凸の影響で面全体を均一にラビングすることができず、離型性が改善しない場合がある。
上記式中のNはラビングの回数であり、Lはフィルム表面に触れているラビング布の長さ(mm)であり、Rはラビング布厚みを含めたラビングローラーの半径(mm)であり、nはラビングローラーの回転数(rpm)であり、Vはフィルムの移動速度(mm/s)である。式M中の+、−の符号は、ラビングローラーをフィルムの移動方向に逆らう方向に回転させる場合には+とし、同じ方向に回転させる場合には−として計算する。ラビング布の素材としては酢酸セルロース、綿、レーヨン、ポリアミド、アクリル、アラミドなどが好適に用いられる。ラビング布の形態としては、不織布、パイル織り、ベルベット織りが好ましい。フィルム表面にラビング処理が施される時期は、前記のエンボス加工が施される前であることが好ましい。エンボス加工後にラビング処理した場合、エンボスによって形成された凹凸の影響で面全体を均一にラビングすることができず、離型性が改善しない場合がある。
本発明の耐熱離型用フィルムを製造する方法について、表層部の樹脂にポリフェニレンスルフィド樹脂、基層部の樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて共押出二軸延伸した場合を例にとって説明するが、本発明は、かかる例に限定して解釈されるものではない。
まず、既知の方法で重合して作製したポリエチレンテレフタレート樹脂を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が280〜300℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(B層)に供給する。また、一方で、既知の方法で重合して作製したポリフェニレンスルフィド樹脂を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が300〜340℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機1(A層)に供給する。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーを、繊維焼結ステンレス金属フィルターを通過させた後、280〜310℃に設定した3層用の合流ブロックを用いて3層積層(A層/B層/A層)する。その際、合流ブロックを通過させるポリマー流量は、B層の厚みと、A層の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が、0.05〜0.4の範囲となるようにそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を変化させて調節することが好ましい。
まず、既知の方法で重合して作製したポリエチレンテレフタレート樹脂を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が280〜300℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(B層)に供給する。また、一方で、既知の方法で重合して作製したポリフェニレンスルフィド樹脂を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が300〜340℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機1(A層)に供給する。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーを、繊維焼結ステンレス金属フィルターを通過させた後、280〜310℃に設定した3層用の合流ブロックを用いて3層積層(A層/B層/A層)する。その際、合流ブロックを通過させるポリマー流量は、B層の厚みと、A層の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が、0.05〜0.4の範囲となるようにそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を変化させて調節することが好ましい。
このように溶融ポリマーを3層積層状態にし、温度280〜310℃に設定したTダイの口金から溶融押出した後、表面温度が20〜70℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。
次に、この未延伸積層フィルムを、加熱された複数の加熱ロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して1段もしくは2段以上の多段でフィルムの長手方向に延伸した後、テンターを用いて幅方向に1段もしくは2段以上の多段で延伸する。延伸温度は、長手方向、幅方向ともに70〜130℃の範囲であることが好ましい。延伸倍率は長手方向、幅方向ともに2.5〜4.5倍の範囲が好ましく、より好ましくは2.6〜4.0倍の範囲である。続いて、テンター内でフィルムの熱処理を行うが、熱処理温度は基層部のポリエチレンテレフタレートの融解温度よりも高い温度であることが好ましい。熱理後には幅方向に弛緩処理を行ってもよいが、弛緩処理を行う場合、弛緩率は0.1〜8%であることが好ましく,より好ましくは0.5%〜5%である。その後、室温まで冷却してフィルムエッジを除去し、二軸配向積層フィルムを得る。
次に、得られた二軸配向積層フィルムの片面もしくは両面に対して、番手が#20〜400のサンブラスト柄のエンボスロールを用いて、エンボスロールの表面温度が150〜230℃、線圧が20〜200kgf/cm、ライン速度が1〜50m/minの条件でエンボス加工し、目的とする耐熱離型用フィルムを得る。
物性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)引張弾性率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて下記条件にて測定した。フィルムの長手方向および幅方向について、それぞれサンプルを変更して10回測定を行い、その平均値を求めた。
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて下記条件にて測定した。フィルムの長手方向および幅方向について、それぞれサンプルを変更して10回測定を行い、その平均値を求めた。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:175℃
予熱時間:40秒
(2)表面粗さ
小坂研究所製SURF CORDER ET 4000Aを用い、下記条件にて表面の中心面平均粗さを測定した。サンプルを変更して10回測定し、その平均値をSRa1とした。
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:300mm/分
測定環境:175℃
予熱時間:40秒
(2)表面粗さ
小坂研究所製SURF CORDER ET 4000Aを用い、下記条件にて表面の中心面平均粗さを測定した。サンプルを変更して10回測定し、その平均値をSRa1とした。
触針曲率半径:2μm
測定長(X方向):1mm
Y方向長さ:1mm
測定間隔:10μm
測定速度:0.5mm/s 。
測定長(X方向):1mm
Y方向長さ:1mm
測定間隔:10μm
測定速度:0.5mm/s 。
(3)175℃加熱処理後の表面粗さ
フィルムを、長手方向がMD方向となるように50cm×30cmの長方形にカットし、長方形の短辺の上下のみが幅1cmで固定されるように同じサイズの金属枠に固定し、175℃の熱風オーブンン中で、3分間加熱した。その後、取り出して金属枠から外し、中央部分からサンプリングしたサンプルを用いて(2)と同様の測定を行い、175℃加熱処理後の表面粗さSRa2を求めた。
フィルムを、長手方向がMD方向となるように50cm×30cmの長方形にカットし、長方形の短辺の上下のみが幅1cmで固定されるように同じサイズの金属枠に固定し、175℃の熱風オーブンン中で、3分間加熱した。その後、取り出して金属枠から外し、中央部分からサンプリングしたサンプルを用いて(2)と同様の測定を行い、175℃加熱処理後の表面粗さSRa2を求めた。
(4)熱収縮率
長手方向がTD方向となるように10mm×200mmの長方形にサンプリングした試料に、約100mm間隔となるように2本の直線の印をつけ、その直線の間隔を万能投影機により測長してL0(mm)とした。次に、該サンプルを175℃に加熱された熱風ギアオーブン中で2.5gの荷重下で10分間保持し、その後、室温で2時間冷却した後、再び直線の間隔を万能投影機で測長してL(mm)とした。熱収縮率は、
熱収縮率=((L0−L)/L0)×100(%)
として計算し、10サンプルを測定した結果の平均値を採用した。なお、熱収縮率の符号がマイナスの場合は伸長したことを示す。
長手方向がTD方向となるように10mm×200mmの長方形にサンプリングした試料に、約100mm間隔となるように2本の直線の印をつけ、その直線の間隔を万能投影機により測長してL0(mm)とした。次に、該サンプルを175℃に加熱された熱風ギアオーブン中で2.5gの荷重下で10分間保持し、その後、室温で2時間冷却した後、再び直線の間隔を万能投影機で測長してL(mm)とした。熱収縮率は、
熱収縮率=((L0−L)/L0)×100(%)
として計算し、10サンプルを測定した結果の平均値を採用した。なお、熱収縮率の符号がマイナスの場合は伸長したことを示す。
(5)樹脂の融解温度
JIS K7121−1987に準じ、示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて測定した。試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(℃)とした。
JIS K7121−1987に準じ、示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて測定した。試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(℃)とした。
(6)フィルム厚み
ダイヤルゲージ厚み計(ミツトヨ社製)を用いて10点測定し、平均値を求めた。
ダイヤルゲージ厚み計(ミツトヨ社製)を用いて10点測定し、平均値を求めた。
(7)積層比
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトーム(ST−201)を用いて断面切断したフィルムのスライス片を走査型電子顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定し、A層の積層比を下式で算出した。
A層の積層比=A層厚み/(A層厚み+B層厚み)
(8)成形追従性、離型性、皺・転写斑
圧縮成型タイプの半導体封止装置(封止面積60mm×240mm,封止高さ1mm)を用いて成形評価を行った。離型フィルムは、長手方向がMD方向になるように、120mm×500mmの長方形サイズで用意し、175℃に加熱された封止装置の下金型の上に、表面粗さのより大きい面が上向き(熱硬化性エポキシ樹脂と接触する側)になるように設置した。設置する際、長方形にサンプリングしたフィルムの短辺の両端を、フィルムが弛まないように把持した状態で固定して設置した。次いで、離型フィルムを下金型上に設置した直後に、下金型側から真空引きして離型フィルムを下金型に吸着させるが、この時、真空ゲージの値を参考にしてリークの程度を確認した。次いで熱硬化性エポキシ樹脂をフィルム上に載置したのち、半導体基板が取り付けられた上金型を閉じ、175℃で3分間、10MPaの圧力を加えて圧縮成形を行った。その後、金型を開いて封止樹脂成形体とフィルムとが重なった状態のまま装置から取り出し、室温中で十分冷却してからフィルムを剥離した。封止樹脂成形体の表面状態を目視で確認し、成形追従性、離型性、皺・転写斑について、以下の基準で判断した。A、Bが合格水準である(AがBよりも優れる)。
日本ミクロトーム研究所製電動ミクロトーム(ST−201)を用いて断面切断したフィルムのスライス片を走査型電子顕微鏡で観察し、各層の厚みを測定し、A層の積層比を下式で算出した。
A層の積層比=A層厚み/(A層厚み+B層厚み)
(8)成形追従性、離型性、皺・転写斑
圧縮成型タイプの半導体封止装置(封止面積60mm×240mm,封止高さ1mm)を用いて成形評価を行った。離型フィルムは、長手方向がMD方向になるように、120mm×500mmの長方形サイズで用意し、175℃に加熱された封止装置の下金型の上に、表面粗さのより大きい面が上向き(熱硬化性エポキシ樹脂と接触する側)になるように設置した。設置する際、長方形にサンプリングしたフィルムの短辺の両端を、フィルムが弛まないように把持した状態で固定して設置した。次いで、離型フィルムを下金型上に設置した直後に、下金型側から真空引きして離型フィルムを下金型に吸着させるが、この時、真空ゲージの値を参考にしてリークの程度を確認した。次いで熱硬化性エポキシ樹脂をフィルム上に載置したのち、半導体基板が取り付けられた上金型を閉じ、175℃で3分間、10MPaの圧力を加えて圧縮成形を行った。その後、金型を開いて封止樹脂成形体とフィルムとが重なった状態のまま装置から取り出し、室温中で十分冷却してからフィルムを剥離した。封止樹脂成形体の表面状態を目視で確認し、成形追従性、離型性、皺・転写斑について、以下の基準で判断した。A、Bが合格水準である(AがBよりも優れる)。
成形追従性
A:吸着時にほとんどリークが発生せず、金型形状どおりの封止樹脂成形体が得られた。
B:吸着時に一部リークが発生するが、ほぼ金型形状どおりの封止樹脂成形体が得られた。
C:吸着時にリークが発生し、封止樹脂成形体の形状に欠陥が発生した。
A:吸着時にほとんどリークが発生せず、金型形状どおりの封止樹脂成形体が得られた。
B:吸着時に一部リークが発生するが、ほぼ金型形状どおりの封止樹脂成形体が得られた。
C:吸着時にリークが発生し、封止樹脂成形体の形状に欠陥が発生した。
離型性
A:ほとんど力を加えることなく、フィルムを封止樹脂成形体から容易に剥離できた。
B:力を加えることでフィルムを封止樹脂成形体から剥離できた。
C:フィルムが封止樹脂成形体に強く密着し、剥離できなかった。
皺・粗面転写斑
A:封止樹脂成型体の表面に皺模様や粗面の転写斑がなく、均一な表面であった。
A:ほとんど力を加えることなく、フィルムを封止樹脂成形体から容易に剥離できた。
B:力を加えることでフィルムを封止樹脂成形体から剥離できた。
C:フィルムが封止樹脂成形体に強く密着し、剥離できなかった。
皺・粗面転写斑
A:封止樹脂成型体の表面に皺模様や粗面の転写斑がなく、均一な表面であった。
B:封止樹脂成型体の表面に皺模様はなかったが、一部に粗面の転写斑による模様が観察された。
C:封止樹脂成型体の表面に皺模様はなかったが、全面に粗面の転写斑による模様が観察された。
D:封止樹脂成型体の表面に皺模様が観察された。
D:封止樹脂成型体の表面に皺模様が観察された。
(9)マーカー視認性
(8)で得られた半導体封止成形体の表面に、キーエンス社製のYAGレーザーマーカー(MY9500)を用いてレーザー波長1.06μm、レーザー出力14Aで、字幅0.9mm、字の太さ0.1mmでマーキングし、その視認性を目視で確認し、以下の基準で判断した。A、Bが合格水準である(AがBよりも優れる)。
(8)で得られた半導体封止成形体の表面に、キーエンス社製のYAGレーザーマーカー(MY9500)を用いてレーザー波長1.06μm、レーザー出力14Aで、字幅0.9mm、字の太さ0.1mmでマーキングし、その視認性を目視で確認し、以下の基準で判断した。A、Bが合格水準である(AがBよりも優れる)。
マーカー視認性
A:視認性が極めて良く、様々な角度から明瞭に読みとることができた。
B:視認性が良いが、角度によって読みとりにくい場合があった。
C:視認性が悪く、読みとりが困難であった。
A:視認性が極めて良く、様々な角度から明瞭に読みとることができた。
B:視認性が良いが、角度によって読みとりにくい場合があった。
C:視認性が悪く、読みとりが困難であった。
(参考例1)ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)の作製
オートクレーブに、47%水硫化ナトリウム9.44kg(80モル)、96%水酸化ナトリウム3.43kg(82.4モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13.0kg(131モル)、酢酸ナトリウム2.86kg(34.9モル)、及びイオン交換水12kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら235℃まで3時間かけて徐々に加熱し、水17.0kgおよびNMP0.3kg(3.23モル)を留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。次に、主要モノマーとしてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)11.5kg(78.4モル)、副成分モノマーとして1,2,4−トリクロロベンゼン 0.007kg(0.04モル)、を加え、NMP22.2kg(223モル)を追添加して反応容器を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温した。270℃で30分経過後、水1.11kg(61.6モル)を10分かけて系内に注入し、270℃で更に反応を100分間継続した。その後、水1.60kg(88.8モル)を系内に再度注入し、240℃まで冷却した後、210℃まで0.4℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急冷した。内容物を取り出し、32リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別した。得られた粒子を再度38リットルのNMPにより85℃で洗浄した。その後67リットルの温水で5回洗浄、濾別し、0.05重量%酢酸カルシウム水溶液70,000gで5回洗浄、濾別した。得られた粒子を60℃で熱風乾燥し、120℃で20時間減圧乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂は、融解温度が280℃であった。
オートクレーブに、47%水硫化ナトリウム9.44kg(80モル)、96%水酸化ナトリウム3.43kg(82.4モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)13.0kg(131モル)、酢酸ナトリウム2.86kg(34.9モル)、及びイオン交換水12kgを仕込み、常圧で窒素を通じながら235℃まで3時間かけて徐々に加熱し、水17.0kgおよびNMP0.3kg(3.23モル)を留出したのち、反応容器を160℃に冷却した。次に、主要モノマーとしてp−ジクロロベンゼン(p−DCB)11.5kg(78.4モル)、副成分モノマーとして1,2,4−トリクロロベンゼン 0.007kg(0.04モル)、を加え、NMP22.2kg(223モル)を追添加して反応容器を窒素ガス下に密封し、400rpmで撹拌しながら、200℃から270℃まで0.6℃/分の速度で昇温した。270℃で30分経過後、水1.11kg(61.6モル)を10分かけて系内に注入し、270℃で更に反応を100分間継続した。その後、水1.60kg(88.8モル)を系内に再度注入し、240℃まで冷却した後、210℃まで0.4℃/分の速度で冷却し、その後室温近傍まで急冷した。内容物を取り出し、32リットルのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別した。得られた粒子を再度38リットルのNMPにより85℃で洗浄した。その後67リットルの温水で5回洗浄、濾別し、0.05重量%酢酸カルシウム水溶液70,000gで5回洗浄、濾別した。得られた粒子を60℃で熱風乾燥し、120℃で20時間減圧乾燥することによって白色のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂は、融解温度が280℃であった。
(参考例2)ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−2)の作製
主要モノマーとして70.6モルのp−ジクロベンゼン、副成分モノマーとして7.8モルのm−ジクロロベンゼン、および0.04モルの1,2,4−トリクロルベンゼンを用いたこと以外は、上記参考例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド樹脂を作製した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂は融解温度が251℃であった。
主要モノマーとして70.6モルのp−ジクロベンゼン、副成分モノマーとして7.8モルのm−ジクロロベンゼン、および0.04モルの1,2,4−トリクロルベンゼンを用いたこと以外は、上記参考例1と同様にしてポリフェニレンスルフィド樹脂を作製した。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂は融解温度が251℃であった。
(参考例3)ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−1)の作製
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、副生したジエチレングリコール成分が、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は融解温度が250℃であった。
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、副生したジエチレングリコール成分が、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は融解温度が250℃であった。
(参考例4)ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−2)の作製
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が、グリコール成分に対して33mol%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 EatsterPETG6763)と、上記参考例3で作製したPET−1とを質量比76:24で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、280℃で溶融混練し、副生したジエチレングリコールが、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合された、1,4−シクロヘキサンジメタノール25mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(ジエチレングリコール共重合率2モル%)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は融解温度が243℃であった。
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が、グリコール成分に対して33mol%共重合された共重合ポリエステル(イーストマン・ケミカル社製 EatsterPETG6763)と、上記参考例3で作製したPET−1とを質量比76:24で混合し、ベント式二軸押出機を用いて、280℃で溶融混練し、副生したジエチレングリコールが、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合された、1,4−シクロヘキサンジメタノール25mol%共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(ジエチレングリコール共重合率2モル%)を得た。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は融解温度が243℃であった。
(実施例1)
参考例3で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が280℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(B層)に供給した。また、一方で、参考例1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機1(A層)に供給した。
参考例3で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が280℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機2(B層)に供給した。また、一方で、参考例1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機1(A層)に供給した。
次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーを、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後、290℃に設定した3層用の合流ブロックを用いて3層積層(A層/B層/A層)した。合流ブロックを通過させるポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの全厚みに対する表層部(A層)の積層比が0.2となるように、各層の厚みをそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。なお、両面のA層の厚みは同じになるように合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にし、温度290℃に設定したTダイの口金から溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製した。
この未延伸積層フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、95℃の温度でフィルムの長手方向に2.8倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度100℃、延伸倍率2.8倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度275℃で8秒間の熱処理を行った後、幅方向の弛緩処理を行うことなく室温まで冷却してフィルムエッジを除去し、二軸配向積層フィルムを得た。
その後、得られた二軸配向積層フィルムの片面に対して、サンドブラスト柄(番手#100)のエンボスロールを用いて、エンボスロール表面温度180℃、線圧140kg/cm、ライン速度15m/minの条件でエンボス加工を実施し、厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
その後、得られた二軸配向積層フィルムの片面に対して、サンドブラスト柄(番手#100)のエンボスロールを用いて、エンボスロール表面温度180℃、線圧140kg/cm、ライン速度15m/minの条件でエンボス加工を実施し、厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1の未延伸積層フィルムの作製の際に、参考例3で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−1)と参考例4で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−2)とを重量比が70:30となるようにブレンドし、180℃で3時間減圧乾燥して単軸押出機2(B層)に供給したことと、最終フィルムの全厚みに対する表層部(A層)の積層比が0.25となるようにポリマー流量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1の未延伸積層フィルムの作製の際に、参考例3で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−1)と参考例4で得たポリエチレンテレフタレート樹脂(PET−2)とを重量比が70:30となるようにブレンドし、180℃で3時間減圧乾燥して単軸押出機2(B層)に供給したことと、最終フィルムの全厚みに対する表層部(A層)の積層比が0.25となるようにポリマー流量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例3)
実施例2と同様にして、エンボス加工された厚み50μmの二軸配向積層フィルムを得た後、そのエンボス加工された面の表面にコロナ処理を施し、その上に0.1μmの膜厚でシリコーンコートをコーティングし、離型コート層を設けた耐熱離型用フィルムを得た。
実施例2と同様にして、エンボス加工された厚み50μmの二軸配向積層フィルムを得た後、そのエンボス加工された面の表面にコロナ処理を施し、その上に0.1μmの膜厚でシリコーンコートをコーティングし、離型コート層を設けた耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例4)
実施例2で、二軸延伸により二軸配向積層フィルムを作成した後、エンボス加工を実施する前に、エンボス加工する面に対してラビング処理を施したこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。ラビング処理には、ニュートム社製のラビング装置を用い、ラビング布にはレーヨン製のパイル布を用い、ラビング密度が2000mmになる条件でラビングした。
実施例2で、二軸延伸により二軸配向積層フィルムを作成した後、エンボス加工を実施する前に、エンボス加工する面に対してラビング処理を施したこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。ラビング処理には、ニュートム社製のラビング装置を用い、ラビング布にはレーヨン製のパイル布を用い、ラビング密度が2000mmになる条件でラビングした。
(実施例5)
(a)二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの作製
参考例1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給して溶融し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後に310℃に設定したTダイの口金から溶融押出しし、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化させて、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、95℃の温度でフィルムの長手方向に3.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度275℃で8秒間の熱処理を行った後、幅方向の弛緩処理を行うことなく室温まで冷却してフィルムエッジを除去し、厚み4.5μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A層)を得た。
(a)二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの作製
参考例1で作製したポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が320℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に供給して溶融し、繊維焼結ステンレス金属フィルター(14μmカット)を通過させた後に310℃に設定したTダイの口金から溶融押出しし、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化させて、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、95℃の温度でフィルムの長手方向に3.5倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.5倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度275℃で8秒間の熱処理を行った後、幅方向の弛緩処理を行うことなく室温まで冷却してフィルムエッジを除去し、厚み4.5μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A層)を得た。
(b)二軸配向ポリプロピレンフィルムの作製
公知のホモポリプロピレンを一軸押出機に供給して280℃ で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度25℃の金属ドラムにエアナイフを用いて巻き付けて密着冷却固化し、シート状に成形した。この未延伸シートを135℃に保たれたロールに通して予熱し、140℃ に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に5倍延伸して直ちに室温に冷却した。引き続き、この縦延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で横方向に9倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却してフィルムエッジを除去し、厚み35μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(B層)を得た。
公知のホモポリプロピレンを一軸押出機に供給して280℃ で溶融させ、200メッシュの単板濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度25℃の金属ドラムにエアナイフを用いて巻き付けて密着冷却固化し、シート状に成形した。この未延伸シートを135℃に保たれたロールに通して予熱し、140℃ に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に5倍延伸して直ちに室温に冷却した。引き続き、この縦延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で横方向に9倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却してフィルムエッジを除去し、厚み35μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(B層)を得た。
(c)接着剤の調製
東洋モートン社製のポリウレタン系接着剤“アドコート”76P1を、調製主剤と硬化剤との混合比を主剤/硬化剤=100/8とし、酢酸エチルを溶剤として、固形分濃度が32重量%となるように調整した。
東洋モートン社製のポリウレタン系接着剤“アドコート”76P1を、調製主剤と硬化剤との混合比を主剤/硬化剤=100/8とし、酢酸エチルを溶剤として、固形分濃度が32重量%となるように調整した。
(d)積層フィルムの作製
(c)で調整した接着剤を用い、(a)で作製した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A層)と、(b)で作製した二軸配向ポリプロピレンフィルム(B層)とを、3層積層(A層/B層/A層)となるように接着積層した。接着方法は、まず、接着される両表面に対してコロナ処理を施した後、グラビアロール法によりA層側に接着剤を塗布した。次いで、80℃で3分間加熱して溶剤を乾燥させた後、ロールラミネーターを用いて温度80℃、線圧3kg/cmで貼り合せた。接着剤の塗布量は、接着剤の厚みが乾燥後で3μmとなるように調整した。得られた積層フィルムは60℃で50時間保持して接着剤を硬化させた。
(c)で調整した接着剤を用い、(a)で作製した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A層)と、(b)で作製した二軸配向ポリプロピレンフィルム(B層)とを、3層積層(A層/B層/A層)となるように接着積層した。接着方法は、まず、接着される両表面に対してコロナ処理を施した後、グラビアロール法によりA層側に接着剤を塗布した。次いで、80℃で3分間加熱して溶剤を乾燥させた後、ロールラミネーターを用いて温度80℃、線圧3kg/cmで貼り合せた。接着剤の塗布量は、接着剤の厚みが乾燥後で3μmとなるように調整した。得られた積層フィルムは60℃で50時間保持して接着剤を硬化させた。
(e)耐熱離型用フィルムの作製
(d)で得た積層フィルムの片面対して、実施例1と同様の方法でエンボス加工を実施し、厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(d)で得た積層フィルムの片面対して、実施例1と同様の方法でエンボス加工を実施し、厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例6)
(f)ポリメチルペンテンフィルムの作製
公知の4−メチル−1−ペンテン系共重合体(1−デセン含有量;6質量%、融解温度;228℃)を一軸押出機に供給して290℃で溶融させ、Tダイの口金から押出して厚み35μmの未延伸ポリメチルペンテンフィルムを得た。
上記(f)で得た未延伸ポリメチルペンテンフィルムをB層、実施例5(a)で作製した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをA層として、実施例5と同様の方法でA層とB層を3層に接着積層し、実施例5と同様にエンボス加工を施して厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(f)ポリメチルペンテンフィルムの作製
公知の4−メチル−1−ペンテン系共重合体(1−デセン含有量;6質量%、融解温度;228℃)を一軸押出機に供給して290℃で溶融させ、Tダイの口金から押出して厚み35μmの未延伸ポリメチルペンテンフィルムを得た。
上記(f)で得た未延伸ポリメチルペンテンフィルムをB層、実施例5(a)で作製した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをA層として、実施例5と同様の方法でA層とB層を3層に接着積層し、実施例5と同様にエンボス加工を施して厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例7)
実施例1で、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に3%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に3%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例8)
実施例2で、エンボス加工時の線圧を40kg/cmとしたこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例2で、エンボス加工時の線圧を40kg/cmとしたこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例9)
実施例1で、エンボス加工時のエンボスロール表面温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、エンボス加工時のエンボスロール表面温度を150℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例10)
実施例2で、二軸配向積層フィルムを作製する際の幅方向の延伸倍率を3.6倍とし、さらに、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に1%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例2で、二軸配向積層フィルムを作製する際の幅方向の延伸倍率を3.6倍とし、さらに、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に1%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(実施例11)
実施例1で、番手が#40のサンドブラスト柄のエンボスロールを用いてエンボス加工を実施したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、番手が#40のサンドブラスト柄のエンボスロールを用いてエンボス加工を実施したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1で、幅方向の延伸を行った後の熱処理の温度を240℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、幅方向の延伸を行った後の熱処理の温度を240℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1で、二軸延伸積層フィルムにエンボス加工を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、二軸延伸積層フィルムにエンボス加工を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1で、エンボス加工時のエンボスロール表面温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、エンボス加工時のエンボスロール表面温度を140℃としたこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例4)
実施例1で、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に5%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、テンターでの熱処理の後に、引き続き180℃にコントロールされた冷却ゾーンで幅方向に5%の弛緩処理を実施し、その後に室温で冷却したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例5)
実施例1で、最終フィルムの全体厚みに対する表層部(A層)の積層比が0.45になるようにポリマー流量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例1で、最終フィルムの全体厚みに対する表層部(A層)の積層比が0.45になるようにポリマー流量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
(比較例6)
実施例2で、二軸配向積層フィルムを作製する際の幅方向の延伸倍率を3.6倍としたこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
実施例2で、二軸配向積層フィルムを作製する際の幅方向の延伸倍率を3.6倍としたこと以外は、実施例2と同様にして厚み50μmの耐熱離型用フィルムを得た。
本発明の耐熱離型用フィルムは、半導体封止工程において、金型と封止樹脂成形体の離型をスムーズに行うための離型フィルムとして好適である。本発明の耐熱離型用フィルムは、半導体封止工程に限らず、耐熱性、成形追従性、粗面転写性等が要求される各種耐熱離型用途の離型フィルムとしても応用することができるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂を含んでなる基層部(B層)の両面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含んでなる表層部(A層)が積層されてなる積層フィルムであって、次の物性(1)〜(4)をすべて満足する耐熱離型用フィルム。
(1)175℃における引張弾性率が、MD・TD両方向ともに150MPa以下である。
(2)少なくとも片面の表面粗さ(SRa1)が0.5〜5μmの範囲である。
(3)(2)を満たす面に関し、175℃で3分間熱処理した後の表面粗さ(SRa2)が下記式を満たす。
(SRa1−SRa2)/SRa1 < 0.15
(4)175℃における熱収縮率がMD・TD両方向ともに1.0〜3.0%の範囲である。 - 請求項1に記載の前記物性(2)、(3)を共に満たす面のA層の上にさらに離型コート層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の耐熱離型用フィルム。
- 請求項1に記載の前記物性(2)、(3)を共に満たす面がラビング処理されていることを特徴とする請求項1に記載の耐熱離型用フィルム。
- 基層部(B層)の厚みと、表層部(A層)の厚みの積層比(A層厚み/(A層厚み+B層厚み))が0.05〜0.4の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱離型用フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012216152A JP2014069385A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 耐熱離型用フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012216152A JP2014069385A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 耐熱離型用フィルム |
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JP2014069385A true JP2014069385A (ja) | 2014-04-21 |
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ID=50745067
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JP2012216152A Pending JP2014069385A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 耐熱離型用フィルム |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016093178A1 (ja) * | 2014-12-09 | 2016-06-16 | 旭硝子株式会社 | 離型フィルムおよび半導体パッケージの製造方法 |
-
2012
- 2012-09-28 JP JP2012216152A patent/JP2014069385A/ja active Pending
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KR20170093102A (ko) * | 2014-12-09 | 2017-08-14 | 아사히 가라스 가부시키가이샤 | 이형 필름 및 반도체 패키지의 제조 방법 |
JPWO2016093178A1 (ja) * | 2014-12-09 | 2017-09-14 | 旭硝子株式会社 | 離型フィルムおよび半導体パッケージの製造方法 |
KR102476428B1 (ko) * | 2014-12-09 | 2022-12-09 | 에이지씨 가부시키가이샤 | 이형 필름 및 반도체 패키지의 제조 방법 |
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