JP2011131465A - 離型フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステル系樹脂を含有するフィルムの表面を摩擦処理ロールで摩擦処理する工程を有する離型フィルムの製造方法であって、前記摩擦処理ロールの表面の素材は、引張強度が1.0〜5.0g/dである繊維からなる織物であり、前記摩擦処理を、下記式(1)で表される仕事エネルギー量En(KJ)が50〜500KJとなるように行う離型フィルムの製造方法。
[数1]
式(1)中、Arは摩擦処理装置が摩擦処理する面積(m2)を表し、Jは摩擦処理するための単位時間あたりの仕事量(KJ/分)を表し、Wは摩擦処理されるフィルムの巾(m)を表し、LSは摩擦処理されるフィルムのライン速度(m/分)を表す。
【選択図】なし
Description
しかしながら、フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性に優れているが、高価であるうえ、廃棄処理において焼却する際に燃焼しにくく、有毒ガスを発生する。また、シリコーン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリメチルペンテンフィルムは、シリコーン又は構成成分中の低分子量体が移行することによってプリント配線基板とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがある。また、ポリプロピレンフィルムは耐熱性に劣り、離型性も不充分である。
しかしながら、このような熱処理は高温で行われ、また、長時間を必要とすることから、コストの増大を招くことが問題である。また、離型性を向上させるために離型フィルムに摩擦処理を施すことも検討されているが、このような摩擦処理は摩擦処理ロールを高速で回転させながら高圧で行われることから、離型フィルムの表面にシワ、傷等の損傷を生じさせ、例えば、基板表面の凹凸に対する離型フィルムの追従性が低下する等の不具合が生じる。従って、コストを抑制し、かつ、離型フィルムに生じる損傷を抑制しながら、離型性を更に向上させた離型フィルムを製造することのできる新たな方法が求められている。
上記摩擦処理する工程において、上記摩擦処理ロールの表面の素材は、引張強度が1.0〜5.0g/dである繊維からなる織物である。このような織物を上記摩擦処理ロールの表面の素材に用いることで、摩擦処理を行うことによって離型フィルムに生じるシワ、傷等の損傷を抑制することができる。
なお、本明細書中、繊維の引張強度とは、JIS−L−1095に準拠する方法により求められる繊維一本の引張強度を意味する。
なお、本明細書中、繊維の伸度とは、JIS−L−1095に準拠する方法により求められる繊維一本の引張伸度を意味する。
なお、本明細書中、織物の摩擦係数とは、JIS−K−7125に準拠する方法により求められる2mmのポリカーボネート板に対しての織物の摩擦係数を意味する。
なお、本明細書中、織物の弾性率とは、JIS−K−7127に準拠する方法により求められる織物の硬さを意味する。
なお、本明細書中、織物の引張強度とは、JIS−K−7127に準拠する方法により求められる織物の引張強度を意味する。
また、上記摩擦処理するための単位時間あたりの仕事量J(KJ/分)は、単位時間あたりの摩擦処理装置とフィルムとの間の圧力と摩擦処理した回数とを掛け算することにより求められる。
また、上記摩擦処理されるフィルムの巾W(m)は、摩擦処理装置が摩擦処理するフィルムの巾である。
更に、上記摩擦処理されるフィルムのライン速度LS(m/分)は、フィルムが摩擦処理装置を通過する速度である。
上記ポリエステル系樹脂を用いることで、優れた機械的性能、とりわけ、通常熱プレス成形を行う170℃程度の温度域において優れた機械的性能を発現する離型フィルムを製造することができる。また、上記ポリエステル系樹脂を用いることで、得られる離型フィルムを焼却処理する際の環境負荷が軽減され、経済的にも有利である。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は特に限定されないが、例えば、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオールとを反応させて得られる結晶性芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂として、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール及び高分子量ジオールとを反応させて得られる結晶性芳香族ポリエステル樹脂(以下、「ポリエーテル骨格を主鎖中に有する結晶性芳香族ポリエステル樹脂」ともいう)、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオールとを反応させて得られる結晶性芳香族ポリエステル樹脂をカプロラクトンモノマーに溶解させた後、カプロラクトンを開環重合させて得られる結晶性芳香族ポリエステル樹脂(以下、「ポリカプロラクトン骨格を主鎖中に有する結晶性芳香族ポリエステル樹脂」ともいう)等も挙げられる。
通常、熱プレス成形は200℃未満で行われることから、このような融点の高い樹脂を用いることで、熱プレス成形時にも溶融することがなく離型性を有する離型フィルムを製造することができ、このような離型フィルムは熱プレス成形時の破壊が抑制される。なお、示差走査熱量計として、例えば、DSC 2920(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
上記熱安定剤は特に限定されず、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
上記難燃剤は特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
上記帯電防止剤は特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
上記高級脂肪酸塩は特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
上記ゴム成分は特に限定されず、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロプレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記アスペクト比の大きい無機化合物を含有することにより、高温での離型性が向上した離型フィルムを製造することができ、更に、離型フィルムに含まれる添加剤、低分子量物等が離型フィルム表面へブリードアウトすることを抑制することができ、熱プレス成形時のクリーン性が向上する。
上記アスペクト比の大きい無機化合物は特に限定されず、例えば、クレイ等の層状ケイ酸塩、ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
上記中間層は、示差走査熱量計を用いて測定した融点が60℃以上130℃未満であるポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。
離型フィルムには、プリント配線基板、フレキシブルプリント基板等の基板表面の凹凸に対する追従性も必要とされている。対形状追従性の低い離型フィルムを用いると、熱プレス成形時にボイドが発生したり、基板の電極部にカバーレイフィルムの接着剤が流れ出し、電極部のめっき処理の障害となったりする。これに対し、上記ポリオレフィン系樹脂を用いることで、得られる中間層は接着剤が溶融を開始する温度付近で軟化を開始することから、例えば100μm以下等の微細な銅回路ピッチを有するフレキシブルプリント基板に対しても充分な追従性を有する離型フィルムを製造することができる。
上記中間層に上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が60℃以上130℃未満であるポリオレフィン系樹脂のような軟化温度の低い樹脂を用いる場合には、熱プレス成形時の圧力によって、離型フィルムの端部で上記中間層から樹脂が染み出し、基板、熱プレス板等を汚染してしまうことがある。これに対し、更に上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂を併用することで、熱プレス成形時に離型フィルムの端部で生じる上記中間層からの樹脂の染み出しを抑制することができる。
上記示差走査熱量計を用いて測定した融点が130℃以上である樹脂は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、結晶性芳香族ポリエステル樹脂等が挙げられる。
また、上記中間層の厚さを10〜200μmとすることが好ましい。上記中間層の厚さが10μm未満であると、上記中間層が薄すぎ、熱プレス成形時において中間層が軟化すると、部分的に中間層が存在しない箇所が発生し、プレス圧力を基板に均一に荷重することができないことがある。上記中間層の厚さが200μmを超えると、上記中間層が必要以上に厚いため、熱プレス成形時に離型フィルムの端部で生じる上記中間層からの樹脂の染み出しを抑制できないことがある。上記中間層の厚さのより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は100μmである。
本発明の離型フィルムの製造方法によれば、上述したような摩擦処理する工程を行うことにより、熱処理等の他の工程を行わなくても極めて高い離型性を有する離型フィルムを製造することができるが、更に、熱処理を行うことで、得られる離型フィルムの耐熱性、寸法安定性、離型性を更に向上させることができる。なお、上記熱処理する工程は、上記摩擦処理する工程の前に行われることが好ましい。
また、上記熱プレス成形法では、例えば、表層となる上記ポリエステル系樹脂を含有するフィルムと、中間層となるフィルムとを重ね合わせて熱プレス成形する。
また、上記熱処理の温度は、上記ポリエステル系樹脂のガラス転移温度以上かつ融点以下であれば特に限定されないが、40〜200℃とすることが好ましい。上記熱処理の温度が40℃未満であると、熱処理による離型性の向上効果がほとんど得られないことがある。上記熱処理の温度が200℃を超えると、熱処理時に上記ポリエステル系樹脂を含有するフィルムが変形しやすくなり、離型フィルムを製造することができないことがある。上記熱処理の温度のより好ましい下限は50℃、より好ましい上限は80℃である。
また、本発明の離型フィルムの製造方法によって製造される離型フィルムは、離型フィルムの巾方向(以下、TDという)と長さ方向(以下、MDという)の寸法変化率が同方向かつ同等程度であることが好ましい。一方(例えば、MD)が収縮し、他方(例えば、TD)が伸長するというように、縦横の寸法変化が異なる場合には、離型フィルムにより、熱プレス成形時にフレキシブルプリント基板の回路パターンを損なうことがある。
表層用の結晶性芳香族ポリエステル樹脂としてポリブチレンテレフタレート(ノバデュラン5010R5、三菱エンジニアリングプラスチックス社製、融点224℃)を、中間層用のポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン(エクセレンFX(CX5501)、住友化学社製、融点66℃)とエチレン−メチルメタクリレート共重合体(アクリフト(WH401)、住友化学社製、融点86℃)とポリプロピレン(PS207A、サンアロマー社製、融点160℃)とを、共押出成形機に投入し、Tダイスより共押出成形して、表層の厚さ10μm、中間層の厚さ80μmのフィルムを得た。なお、融点は、示差走査熱量計(DSC 2920、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
なお、仕事エネルギー量は、摩擦処理装置が摩擦処理する面積Ar(m2)、摩擦処理するための単位時間あたりの仕事量J(KJ/分)、摩擦処理されるフィルムの巾W(m)及び摩擦処理されるフィルムのライン速度LS(m/分)を、式(1)に当てはめることにより算出した。
摩擦処理ロールの表面の素材と仕事エネルギー量とを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
事前に60℃で加熱(予備加熱)した状態で摩擦処理したこと以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
摩擦処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
摩擦処理ロールの表面の素材と仕事エネルギー量とを表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
実施例、比較例で得られた離型フィルムについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
200mm角に切り抜いたカバーレイフィルム(CISV−2535、ニッカン工業社製)のエポキシ接着剤面と、得られた離型フィルムとを重ね、スライド式真空ヒータープレス(MKP−3000v−MH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて、圧力30kgf、180℃、6分間でプレスを行った後、23℃、50%RHの条件で1日養生した。その後、養生後のサンプルから巾30mm、長さ150mmの評価サンプルを切り出し、この評価サンプルについて、テンシロン(STA−1150、エーアンドデー社製)を用いて、剥離速度500mm/分、剥離角度180°で剥離力(N/30mm)を測定した。
得られた離型フィルムについて、目視検査をすることにより損傷の有無を評価した。単位面積1m2において、幅1mm以上又は長さ100mm以上のシワ又は傷が1本以上観察された場合を×、観察されなかった場合を○として評価を行った。
Claims (3)
- 引張強度が1.0〜5.0g/dである繊維は、更に、伸度が1〜30%であることを特徴とする請求項1記載の離型フィルムの製造方法。
- 更に、熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1又は2記載の離型フィルムの製造方法。
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