JP2007276456A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性を有する二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属板を熱融着によって直接接合した積層体や、耐熱性、耐湿熱性および接着力に優れた電気絶縁層を有する金属を提供する。
【解決手段】 金属板の少なくとも片面に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体であって、該フィルムが、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含むポリアリーレンスルフィドフィルムであって、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が70〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜30重量部である二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 金属板の少なくとも片面に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体であって、該フィルムが、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含むポリアリーレンスルフィドフィルムであって、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が70〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜30重量部である二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性を有する二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属板を熱融着によって直接接合した積層体に関するものであり、耐熱性、耐湿熱性および接着力に優れた電気絶縁層を有する金属に関するものである。電気・電子回路基板、通信回路のシールド基板や放熱基板などの絶縁基板に使用することができる。
近年、電子部品、電子機器の急速な発達に伴い、自動車や産業機器分野では電気、電子回路、通信回路のシールド基板や放熱基板(回路基板)、絶縁基板が多用されている。これらの基板は単にシールド効果や放熱、絶縁目的のみが要求されるのではなく、耐熱性、耐湿熱性等の耐環境性に加えその環境における電気絶縁性や加工性、低価格化等の要求が厳しくなってきている。従来この分野においては、有機や無機の繊維シートにエポキシ樹脂等を含浸させたものを金属板に積層し熱硬化させたものや、ポリイミド樹脂を塗布したり、ポリイミドフィルムと金属板とをポリイミド樹脂を介して積層したもの、また金属板の表面にシリコンやエポキシ等の耐熱樹脂を塗布したものが用いられていた。
しかし、これらの積層体は下記の問題点を有していた。すなわち、前記繊維シートにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させたものやポリイミドフィルムや同樹脂を金属板に積層したものは、熱硬化やイミド化に時間がかかり加工性が悪くコストアップすることや、樹脂自体が吸湿したりして誘電特性が悪い等の問題点がある。またシリコン、エポキシ等の耐熱樹脂を直接金属板に塗布したものは、樹脂の熱硬化等で加工に時間がかかる上、温湿度下に放置されたときの電気絶縁性の信頼性が乏しかった。
以上の状況から、耐環境性に優れ、かつ加工性に優れる(加工に時間がかからない)熱可塑性樹脂フィルムを金属板に熱融着接合することが検討されており、耐熱性、耐湿熱性、耐薬品性、電気特性(誘電特性含む)等をバランス良く兼ね備えたポリフェニレンスルフィド(以下PPSと略称することがある)フィルムと金属板の熱融着積層体があり、例えば、(1)二軸延伸PPSフィルムの表面にプラズマ処理やコロナ処理等を施し該PPSの融点以下の温度で熱融着したものを金属ベース回路基板に用いたもの(例えば特許文献1参照)、(2)二軸延伸PPSフィルムと未延伸PPSフィルムの積層フィルムの未延伸PPSの面と金属板を熱融着接合したもの(例えば特許文献2参照)、(3)二軸延伸ポリ−p−フェニレンサルファイドフィルムに共重合PPS層を積層したPPS積層フィルムの共重合PPS層と金属板を熱融着積層したものを金属ベース回路基板に用いたもの(例えば特許文献3参照)などが例示される。
しかしながら、上記(1)から(3)の積層体では、フィルムと金属との密着力が十分ではなかったり、金属とフィルムからなる絶縁基板の曲げ加工や絞り成形などの成形加工性が不十分である場合がある。そこで、二軸配向PPSフィルムの配向度を制御して成形性を改善した絶縁基板がある(例えば、特許文献4参照)が、PPSフィルムの破断伸度が不十分であるために、成形する形状により破断したりクラックが発生したりすることがあった。
上記のように、ポリフェニレンスルフィドフィルムは、靭性や引張破断伸度が低く、その適用が限定されているのが現状であり、その改良が強く望まれていた。その靭性を改良する一方法として、ポリフェニレンスルフィド中に他の熱可塑性樹脂を混合した樹脂組成物やフィルムが提案されている。例えば、PPS中にナイロン11およびナイロン12を平均分散径1μm以下で分散させた組成物(特許文献5参照)、PPSとポリアミドとエポキシ樹脂からなる組成物(特許文献6参照)、PPSとポリアミドからなる組成物(特許文献7,8参照)、PPSとポリエーテルイミドからなるフィルム(特許文献9参照)、PPSとポリスルホンからなるフィルム(特許文献10参照)等が開示されているが、PPS中にポリアミドやポリスルホンなどの熱可塑性樹脂を10〜500nmの範囲に超微分散化させた樹脂組成物やフィルムについては記載されていない。一方、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を特性分散形状で超微分散させた樹脂組成物が提案されている(特許文献11参照)。しかし、この樹脂組成物は溶融混練時のせん断場で一旦相溶させ、非せん断下で再度不安定状態となり相分離するいわゆるせん断場依存型相溶解・相分離による構造形成をさせており、シートやフィルムを成形する場合、その構造安定性が十分ではないことがあり、さらに、二軸延伸フィルムを成形するための最適な方法などについて記載されていない。また、ポリエーテルイミドを0.1μm未満の範囲に分散させたPPSフィルムについて開示されている(特許文献12参照)が、成型加工性を向上させる延伸方法などの二軸延伸フィルムを成形するための最適な方法などについて記載されていない。
特開平1−95586号公報
特開平3−90349号公報
特開平6−91812号公報
特開2005−88273号公報
特開平3−81367号公報
特開昭59−155462号公報
特開昭63−189458号公報
特開2001−302918号公報
特開平4−146935号公報
特開昭62−121761号公報
特開2003−113307号公報
特開2001−261959号公報
そこで本発明の目的は、優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性を有する二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属板を熱融着によって直接接合した積層体であり、耐熱性、耐湿熱性および接着力に優れた電気絶縁層を有する金属を提供することである。本発明は、電気・電子回路基板、通信回路のシールド基板や放熱基板などの絶縁基板に好適に使用することができる。
上記目的を達成するために本発明は、金属板の少なくとも片面に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体であって、該フィルムが、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含むポリアリーレンスルフィドフィルムであって、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が70〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜30重量部である二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体を特徴とする。
ここで、ポリアリーレンスルフィド中に、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂Aを含むことも好ましい。
本発明によれば、以下に説明するとおり、優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性、耐薬品性を有する二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの引張破断伸度を向上させることで成形加工性に優れた高品質の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属とが積層された積層体を得ることが可能となる。特に、電気・電子回路基板、通信回路のシールド基板や放熱基板などの絶縁基板に好適に使用できる二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属とが積層された積層体を得ることができる。
以下、本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムについて説明する。本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、ポリアリーレンスルフィドと、ポリアリーレンスルフィドとは異なる他の熱可塑性樹脂Aとを含む二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムであって、ポリアリーレンスルフィドと他の熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたとき、ポリアリーレンスルフィドを70〜99重量部と熱可塑性樹脂Aを1〜30重量部含んでいる。また、この熱可塑性樹脂Aは分散相を形成しており、その平均分散は10〜500nmである。これにより、得られるフィルムには引張破断伸度が向上した特性を付与することができる。
二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムにおいて、ポリアリーレンスルフィドと他の熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたとき、ポリアリーレンスルフィドを70〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜30重量部とするのが好ましく、さらに好ましくは、ポリアリーレンスルフィドを80〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜20重量部とするのがよい。熱可塑性樹脂Aが30重量部を超えると、二軸配向ポリアリーレンスルフィドの耐熱性や耐薬品性などが損なわれることがある。また、熱可塑性樹脂Aが1重量部未満であると、引張破断伸度を向上して靭性を付与することが困難となる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、ポリアリーレンスルフィドフィルムが本来有する優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性とともに、優れた引張伸度と靭性とを有するものである。かかる特性を発現させるためには、ポリアリーレンスルフィドが海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、他の熱可塑性樹脂Aが島相(分散相)を形成することが重要である。ここでいう分散相とは、連続相である海相の中で、島相として散在した相のことであり、分散相の形状は、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状である。また、隣り合った分散相が互いに結合したものも含まれる。本発明の分散相は、透過型電子顕微鏡を用いて確認することができる。さらに熱可塑性樹脂Aの平均分散径が10〜500nmであることが好ましく、20〜300nmの範囲、さらに好ましくは30〜200nm、最も好ましくは30〜120nmの範囲である。ポリアリーレンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリーレンスルフィドの耐熱性、耐薬品性、電気特性の優れた特性をフィルムに大きく反映させることができる。また、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性および引張破断伸度の向上のバランスに優れた二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを得ることが可能となる。分散相の平均分散径が10nm未満であると、本発明の引張伸度向上の効果を十分に付与することができないことがある。また、平均分散径が500nmより大きいと、耐熱性が悪化したり、延伸時にフィルム破れが発生したりすることがある。なお、隣り合った分散相が互いに結合した場合、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状である相を1個の分散相として平均分散径を算出する。 ここでいう分散相の平均分散径とは、フィルム長手方向の径と幅方向の径と厚さ方向の径の平均値を意味する。該平均分散径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、画像処理を行うことにより、平均分散径を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、ポリアリーレンスルフィドフィルムが本来有する優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性とともに、優れた引張伸度と靭性とを有するものである。かかる特性を発現させるためには、ポリアリーレンスルフィドが海相(連続相あるいはマトリックス)を形成し、他の熱可塑性樹脂Aが島相(分散相)を形成することが重要である。ここでいう分散相とは、連続相である海相の中で、島相として散在した相のことであり、分散相の形状は、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状である。また、隣り合った分散相が互いに結合したものも含まれる。本発明の分散相は、透過型電子顕微鏡を用いて確認することができる。さらに熱可塑性樹脂Aの平均分散径が10〜500nmであることが好ましく、20〜300nmの範囲、さらに好ましくは30〜200nm、最も好ましくは30〜120nmの範囲である。ポリアリーレンスルフィドが連続相を形成することによりポリアリーレンスルフィドの耐熱性、耐薬品性、電気特性の優れた特性をフィルムに大きく反映させることができる。また、平均分散径を上記の範囲にすることにより、耐熱性および引張破断伸度の向上のバランスに優れた二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを得ることが可能となる。分散相の平均分散径が10nm未満であると、本発明の引張伸度向上の効果を十分に付与することができないことがある。また、平均分散径が500nmより大きいと、耐熱性が悪化したり、延伸時にフィルム破れが発生したりすることがある。なお、隣り合った分散相が互いに結合した場合、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状である相を1個の分散相として平均分散径を算出する。 ここでいう分散相の平均分散径とは、フィルム長手方向の径と幅方向の径と厚さ方向の径の平均値を意味する。該平均分散径は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、画像処理を行うことにより、平均分散径を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
分散相のアスペクト比は、特に限定されないが、1〜20の範囲であることが好ましい。さらに好ましい分散相のアスペクト比の範囲は2〜15であり、より好ましい範囲は2〜10である。これら島成分のアスペクト比を上記範囲にすることにより、引張伸度の向上した二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを得やすいので好ましい。ここで、アスペクト比は、分散相の平均長径/平均短径の比を意味するものである。該アスペクト比は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。例えば、サンプルを超薄切片法で作製し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、画像処理を行うことにより、アスペクト比を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
本発明でいうポリアリーレンスルフィドとは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される構成単位などが挙げられる。
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSとも言う。)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSとも言う。)が好ましく例示され、ポリマーの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるp−フェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性および誘電特性などを損なうことがある。
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられ、具体例として、下記の構造単位を挙げることができる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
PPS樹脂およびPPS樹脂組成物の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、100〜2000Pa・sの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは200〜1,000Pa・sの範囲である。
本発明でいうPPSは種々の方法、例えば、特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法、あるいは、特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きい重合体を得る方法などによって製造することができる。
本発明において、得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネートおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチルー2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは、実質的に線状のPPSポリマーであるので、安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルクおよびカオリンなどの無機や有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤および酸化防止剤などを添加してもよい。
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気や酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択され、より好ましくは200〜270℃であり、また、加熱処理時間は、通常0.5〜100時間が選択され、より好ましくは2〜50時間であるが、この両者を制御することにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置であってもよいが、効率よくしかも均一に処理するためには、回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置でもよいが、効率よくしかもより均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。本発明で用いるPPS樹脂は、引張破断伸度の向上の目標を達成するために熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、脱イオン処理を施されたPPS樹脂であることが好ましい。脱イオン処理の具体的方法としては、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理、および有機溶剤洗浄処理などを例示することができ、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
PPS樹脂の有機溶剤洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、有機溶剤としては、PPS樹脂を分解する作用などを有していないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の中で、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムが特に好ましく用いられる。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について特に制限はなく、常温〜300℃の範囲で任意の温度を選択することができる。洗浄温度が高くなるほど、洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂の熱水洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱し攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の方が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂の酸水溶液洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸やジクロロ酢酸などのハロゲン置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸やクロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸やサリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびフマル酸などのジカルボンン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸および珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸と塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いられる水は、酸処理によりPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。酸水溶液洗浄処理を施すと、PPS樹脂の酸末端成分が増加して、他の熱可塑性樹脂Aと混合する場合に分散混合性が高まり、分散相の平均分散径が小さくなる効果が得られやすくなるので好ましい。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムに含有されるポリアリーレンスルフィドとは異なる他の熱可塑性樹脂Aとしては、例えば、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を用いることができる。本発明では、熱可塑性樹脂Aは、ポリアリーレンスルフィドの混合性および本発明の効果発現の観点から、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンから少なくとも1種以上選ばれることが好ましい。特に、ポリアミドはそれ自体が靭性を有するポリマーであるため、好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドに含まれる熱可塑性樹脂Aは、ポリアミドが好適に用いられる。ポリアミドは公知のポリアミドであれば特に制限はないが、一般にアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分とするポリアミドである。その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン、2−メチルペンタメチレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、有用なポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)などのホモポリアミド樹脂ないしはこれらの共重合体である共重合ポリアミド(ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/66/610、66/6T)などが挙げられる。これらのポリアミド樹脂は混合物として用いることもできる(“/”は共重合を表す。以下同じ)。
上記の中で、ホモポリアミド樹脂としてはナイロン6やナイロン610、ナイロン46などがより好ましく用いられる。特に、ナイロン610がポリアリーレンスルフィドと押出するうえで耐熱性が高く、かつ、引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高いので、好ましく使用される。また、共重合ポリアミドとしてはナイロン6を他のポリアミド成分を共重合してなる共重合体が引張伸度を向上させて靭性を発現させる上で、より好ましく用いられ、特にナイロン6/66共重合体が引張伸度を向上させて靭性発現の効果が高く、ナイロン6共重合量がナイロン66より多いナイロン6/66共重合体が特に好ましく用いられる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムに含まれる他の熱可塑性樹脂Aとして好ましく用いられる他の例として、ガラス転移温度が150℃以上である非晶性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。熱可塑性樹脂Aとして、ポリエ−テルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンを用いる場合、ポリアリ−レンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたとき、ポリアリ−レンスルフィドを80〜95重量部と熱可塑性樹脂Aを5〜20重量部とするのがさらに好ましく、ポリアリ−レンスルフィドを90重量部以上95重量部未満と熱可塑性樹脂Aを5重量部以上10重量部未満とするのが最も好ましい。
ポリエーテルイミドは、特に限定されないが、例えば、下記一般式で示されるように、ポリイミド構成成分にエーテル結合を含有する構造単位であるポリマーを好ましく挙げることができる。
ただし、上記式中R1は、2〜30個の炭素原子を有する2価の芳香族または脂肪族基、脂環族基からなる群より選択された2価の有機基であり、R2は、前記Rと同様の2価の有機基である。
上記R1、R2としては、例えば、下記式群に示される芳香族基
を挙げることができる。
本発明では、ガラス転移温度が350℃以下、より好ましくは250℃以下のポリエーテルイミドを用いると本発明の効果を得やすく、ポリアリーレンスルフィドとの相溶性、溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの縮合物が好ましい。
この構造単位を有するポリエーテルイミドは、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、ジーイープラスチックス社より入手可能である。例えば、m−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(前者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテム1000”および“ウルテム1010”が挙げられる。また、p−フェニレンジアミン由来の単位を含む構造単位(後者の式)を有するポリエーテルイミドとして、“ウルテムCRS5000”が挙げられる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムに含まれる他の熱可塑性樹脂Aとして用いられる他の例として、分子骨格にポリアリーレンスルフィドと同じ硫黄原子を含むポリスルホンやポリエーテルスルホンが挙げられる。ポリスルホンやポリエーテルスルホンは、公知のものを種々使用することができる。ポリアリーレンスルフィドとの混合性の観点から、ポリエーテルスルホンの末端基として、塩素原子、アルコキシ基あるいはフェノール性水酸基が挙げられる。また、熱可塑性樹脂Aとして、ポリアリーレンスルフィドと分子構造が近似するポリフェニレンエーテルなども好ましく例示される。
本発明においては、引張伸度をより向上させて、より優れた靭性を発現させるため、相溶化剤として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の基を有する化合物をポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの合計100重量部に対し、0.1〜10重量部添加することが好ましい。
かかる相溶化剤の具体例としては、ビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、ビスフェノールF、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ビスフェノールS、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2.2.5.5.−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノール類のグリシジルエーテル、ビスフェノールの替わりにハロゲン化ビスフェノールを用いたもの、ブタンジオールのジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系エポキシ化合物、フタル酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系化合物、N−グリシジルアニリン等のグリシジルアミン系化合物等々のグリシジルエポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油等の線状エポキシ化合物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の環状系の非グリシジルエポキシ樹脂などが挙げられる。またその他ノボラック型エポキシ樹脂も挙げられる。ノボラック型エポキシ樹脂はエポキシ基を2個以上有し、通常ノボラック型フェノール樹脂にエピクロルヒドリンを反応させて得られるものである。また、ノボラック型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応により得られる。原料のフェノール類としては特に制限はないがフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール、p−ターシャリーブチルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびこれらの縮合物が挙げられる。
またその他エポキシ基を有するオレフィン共重合体も挙げられる。かかるエポキシ基を有するオレフィン共重合体(エポキシ基含有オレフィン共重合体)としては、オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入して得られるオレフィン共重合体が挙げられる。また、主鎖中に二重結合を有するオレフィン系重合体の二重結合部分をエポキシ化した共重合体も使用することができる。
オレフィン系(共)重合体にエポキシ基を有する単量体成分を導入するための官能基含有成分の例としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する単量体が挙げられる。
これらエポキシ基含有成分を導入する方法は特に制限なく、α−オレフィンなどとともに共重合せしめたり、オレフィン(共)重合体にラジカル開始剤を用いてグラフト導入するなどの方法を用いることができる。
エポキシ基を含有する単量体成分の導入量はエポキシ基含有オレフィン系共重合体の原料となる単量体全体に対して0.001〜40モル%、好ましくは0.01〜35モル%の範囲内であるのが適当である。
本発明で特に有用なエポキシ基含有オレフィン共重合体としては、α−オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合成分とするオレフィン系共重合体が好ましく挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレンが好ましく挙げられる。また、これら共重合体にはさらに、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸およびそのアルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル等を共重合することも可能である。
またかかるオレフィン共重合体はランダム、交互、ブロック、グラフトいずれの共重合様式でも良い。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを共重合してなるオレフィン共重合体は、中でも、α−オレフィン60〜99重量%とα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を共重合してなるオレフィン共重合体が特に好ましい。
上記α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしては、具体的にはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもメタクリル酸グリシジルが好ましく使用される。
α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを必須共重合成分とするオレフィン系共重合体の具体例としては、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体(”g”はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g―ポリスチレン、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−アクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体−g−PMMA、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。
さらに、相溶化剤の具体例として、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。
上記のエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される一種以上の官能基を有するアルコキシシランが本発明の相溶化剤の最も好ましい例として挙げられ、それを使用すると熱可塑性樹脂Aを含む二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの分散相の分散不良による粗大分散物を低減しやすく、平均分散径を本発明の好ましい範囲に制御しやすくなり、本発明の効果が得られやすい。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)の引張破断伸度は、長手方向と幅方向のいずれも100〜250(%)であることが好ましい。より好ましくは長手方向と幅方向のいずれも120〜230(%)である。さらに、さらに好ましくは140〜200(%)である。破断伸度の好ましい範囲を達成するためには、熱可塑性樹脂Aの含有量と分散相の平均分散径を本発明の好ましい範囲に制御することが好ましい。フィルムの長手方向と幅方向の破断伸度がいずれも100(%)未満であれば、例えば、金属と積層して使用する絶縁基板の加工工程で靭性が不足して破損したり、実用上使用に耐えないことがあったりする。また、フィルムの長手方向と幅方向のいずれの方向にも破断伸度が250(%)を超えるフィルムを得るためには、延伸工程において延伸倍率を下げる必要があるが、フィルムの平面性が悪化したり、機械的強度が低下してフィルムのこしが低下したりすることがある。
本発明の二軸配向ポリアリ−レンスルフィドフィルムは、ポリアリ−レンスルフィドの結晶融解熱量が20〜45(J/g)であることが好ましい。結晶融解熱量のより好ましい範囲は、23〜40(J/g)であり、さらに好ましい範囲は25〜37(J/g)である。ポリアリ−レンスルフィドの結晶融解熱量は、ポリアリ−レンスルフィドの結晶量を反映する。融解熱量が45(J/g)より大きいと、フィルムがもろくなりやすく、例えば、フィルムの加工時や使用時に破損したり、実用上使用に耐えないことがあったりする。また、融解熱量が20(J/g)未満であると、熱収縮が大きくなり、耐熱性が不足したりすることがある。ポリアリ−レンスルフィドフィルムの結晶融解熱量は、例えば、横延伸前の予熱温度、横延伸における延伸温度、さらに延伸後の熱固定温度を本発明の好ましい範囲にすることにより、本発明の範囲にすることができる。ここでいう結晶融解熱量とは、示唆走査熱量測定(DSC)において観測される融点の吸熱ピ−クの熱量のことをいう。
本発明において、ポリアリーレンスルフィドと他の熱可塑性樹脂Aを混合する時期は、特に限定されないが、溶融押出前に、ポリアリーレンスルフィドとその他の熱可塑性樹脂Aの混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法や、溶融押出時に混合して溶融混練させる方法などがある。中でも、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて予備混練してマスターチップ化する方法などが好ましく例示される。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。二軸押出機で混合する場合、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、混練部ではポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+5〜55℃の温度範囲が好ましい。さらに好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜45℃であり、より好ましい温度範囲はポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10〜35℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を好ましくは2箇所以上、さらに好ましくは3箇所以上設けたスクリュー形状にする。この際、原料の混合順序には特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練し更に残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは2軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、プラスチック成形加工学会誌「成形加工」第15巻第6号、382〜385頁(2003年)に記載された超臨界流体を利用する方法なども好ましく例示することができる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステルおよびワックスなどの有機滑剤など他の成分が添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性や耐スクラッチ性等を付与するために、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムに、無機粒子や有機粒子などを添加することもできる。そのような添加物としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリアリーレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの厚さは、用途等により異なるが500μm以下が好ましく、より好ましくは10〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは20〜200μmの範囲である。
また、本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明でいう金属板は、熱融着加工や打ち抜き、曲げ、絞り成形等の加工性の観点から、厚さが0.2〜5mmが好ましく、0.25〜3mmを用いることがより好ましい。金属としては、アルミニウム、銅、鉄などの純粋な金属や2種以上の金属の合金およびこれらの酸化物を用いることができる。また、2層以上の金属板が積層されていてもよい。該金属の表面に、酸化、別の金属原子の付加、薬品処理等の表面処理が施されていることはむしろ好ましい。該金属の表面粗さ(粗さの最大と最小差:Rt)は、5μm以下が熱融着性、絶縁の信頼性、熱圧着の加工性の点で好ましい。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属との積層体の用途は、特に限定されないが、例えば、電気・電子回路基板、通信回路のシールド基板や放熱基板などの絶縁基板などに好適に使用できる。
本発明の積層体は、二軸配向ポリアリーレンスルフィド層(a層)と金属の間に、無配向ポリアリーレンスルフィド層や共重合ポリフェニレンスルフィド層などのポリアリーレンスルフィド層やその他のポリマー層、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデンまたはアクリル系ポリマーからなる層を直接、あるいは接着剤などの層を介して、さらに積層させて用いてもよい。また、二軸配向ポリアリーレンスルフィド層(a層)と金属の間に少なくとも一層の接着層(d層)が積層されていることも好ましく例示される。ここでいう接着層とは、本発明の積層フィルムのa層と金属の間に積層されることにより、積層しない場合に比べてa層−金属間の接着力を向上させることができる層をいう。
本発明で好ましく用いられる無配向ポリアリーレンスルフィド層(b層)とは、溶融成形してなるフィルム、シート、板の総称で、実質的に無配向のものをいう。厚みは、1mm以下であることが好ましい。特に、最外層に二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(a層)を設けて、中央層を無配向ポリアリーレンスルフィド層(b層)とした3層構成(a/b/金属)の積層体が好ましく例示される。
本発明の積層体の積層方法は特に限定されないが、接着剤を介さずに、熱融着によって固着させた熱ラミネート法が層間接着性を向上させる点で好ましく用いられる。
本発明の積層体は、積層に先駆けて、無配向ポリアリーレンスルフィド層に熱処理や酸化架橋処理が行われてもよい。また、無配向ポリアリーレンスルフィド層(b層)および二軸配向ポリアリーレンスルフィド層(a層)の表面にコロナ放電処理やプラズマ処理を施すことは好ましく用いられる。
無配向ポリアリーレンスルフィド層(b層)と二軸配向ポリアリーレンスルフィド層(a層)からなる積層ポリアリーレンスルフィドシートの各層の配向は、例えば、超薄切片法などで積層シート断面を作製し、シート断面に対してレーザーラマン分光や赤外分光などの手法を用いて測定することができる。各層の厚みが十分でなければ、斜め切削法などを用いてサンプル切片を作製することができる。
無配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造方法は、PPS樹脂組成物および共重合PPSを十分に乾燥した後、別々のエクストルーダーに供給するか、あるいは、共重合PPSを10〜100重量%の割合でPPS樹脂組成物に混合し、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で樹脂組成物の融点以上の温度に加熱された溶融押出機に供給し、口金より押し出し、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの表面温度が樹脂組成物のガラス転移点以下のキャスティングドラム上で密着冷却固化させ、無配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製する。また、溶融押出機中で異物や変質ポリマーを除去するために各種フィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。
また、本発明の場合、最外層の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの層(a層)間に共重合ポリフェニレンスルフィド層(c層)を含有させることが本発明の積層シートの破断伸度を本発明の好ましい範囲にするために好ましく用いられる。特に、最外層に二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(a層)を設けて、中央層を共重合ポリフェニレンスルフィド層(c層)とした3層構成(a/c/金属)の積層体が好ましく例示される。
本発明で用いられる共重合ポリフェニレンスルフィドとしては、繰り返し単位の50モル%以上95モル%未満、好ましくは70モル%以上92モル%未満、さらに好ましくは80モル%以上92モル%未満がp−フェニレンスルフィドユニットで構成されているものを用いることができる。かかる成分が50モル%未満では、フィルムの耐熱性低下が著しくなる場合があり、95モル%以上では、層間接着性を十分高められず、積層シートとして高伸度化できない場合がある。
共重合単位としては、下記に示すm−フェニレンスルフィド単位、
(ここでXは、アルキレン、CO、SO2単位を示す。)
(ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、これらの複合の単位が存在してもかまわない。好ましい共重合単位は、m−フェニレンスルフィド単位である。これらの単位の共重合量は、3モル%以上50モル%以下が好ましく、より好ましくは5モル%以上30モル%以下、さらに好ましくは8モル%以上20モル%である。かかる共重合成分が3モル%未満では、層間接着性を十分高められず、積層シートとして高伸度化できない場合があり、その結果フィルムの破断伸度が低下し、耐衝撃性改良効果が乏しくなる場合がある。50モル%を超えると、耐熱性の低下が著しくなる場合がある。このような共重合体の共重合組成はNMR法によって測定することができる。
本発明で用いられる共重合ポリフェニレンスルフィドの上記成分と共重合成分との共重合の態様は、特に限定はないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明においては、共重合ポリフェニレンスルフィドを構成する共重合体の繰り返し単位の残りの部分においては、さらに他の共重合可能な構成単位で構成されてもよいが、例えば、化(7)に代表される3官能性フェニルスルフィドは、共重合体全体の1モル%以下であることが好ましい。
共重合PPSの重合法は、例えば、次のような方法がある。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンおよび副成分モノマを本発明でいう比率で配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で重合助剤の存在下に高温高圧化で反応させる。副成分モノマとしては、
(ここでXは、アルキレン、CO、SO2単位を示す。)
(ここでRは、アルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、これらの複数の副成分モノマが存在してもかまわない。好ましい副成分モノマは、
である。
本発明に用いられる共重合ポリフェニレンスルフィドの融点は、180℃以上260℃以下が好ましく、より好ましくは200℃以上250℃以下であり、さらに好ましくは220℃以上240℃以下である。融点が180℃未満の場合、耐熱性低下が著しくなる場合があり、260℃を超えると層間接着性を十分高められず、積層シートとして高伸度化できない場合がある。
また、本発明の積層体が、ポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)と金属の間に少なくとも一層の接着層(d層)が積層されていることも好ましく例示される。
かかるd層に用いる化合物としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アクリル系化合物やウレタン系化合物に代表される接着剤、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系などの種々の樹脂の単体または混合物、化合物、変成物等を用いることができ、溶液系、無溶剤系を問わない。
特に、耐熱性やハンドリング性などの観点からエポキシ系化合物が好ましく使用される。エポキシ系化合物はエポキシ基を分子中に少なくとも2個以上含むものであればよく、例えばビスフェノ−ルA型エポキシ系化合物、ビスフェノ−ルF型エポキシ系化合物,あるいはビフェノ−ル型エポキシ系化合物あるいはノボラック型エポキシ系化合物などが挙げられる。また、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ系化合物、特に臭素化エポキシ系化合物を用いることが有効である。この際、臭素化エポキシ系化合物のみでは難燃性の付与はできるものの接着剤の耐熱性の低下が大きくなるため非臭素化エポキシ系化合物との混合系とすることがさらに有効である。臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合して用いても良い。
また、d層に用いる化合物には硬化剤を使用することも好ましい。硬化剤としてジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトリアミンなどのアミン系化合物、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ−ル等のイミダゾール誘導体、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、7,1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等のDBU系化合物、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン系化合物、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール等の芳香族三級アミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族三級アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の有機酸、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペラジン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、三塩化ホウ素のアミン錯体、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ホウ素アミン塩、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化スズ等のホウフッ化金属等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して用いても良い。硬化剤としてレゾール型、ノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を用いてもよい。フェノール樹脂としてはたとえばフェノール、ビフェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基、シアノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの等が挙げられる。硬化剤の添加量は0.01〜50重量部が好ましい。0.01重量部未満では硬化が不十分となり十分な耐熱性がえられない。また50重量部を越えると塗膜が脆くなり接着性が低下して好ましくない。耐熱性の良好なものを得るためジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミンを使用することが特に好ましい
接着層(d層)を積層する方法は、グラビアコータ法、リバースコータ法、ダイコータ法などのコーティング法、またドライラミネート法やエクストルジョンラミネート法などのラミネート法などの周知の方法を適用することができる。コーティングする方法が好ましく例示され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に塗布した上にポリアリーレンスルフィドを含む二軸延伸フィルムを積層して、必要に応じて硬化させる方法が適用できる。
接着層(d層)を積層する方法は、グラビアコータ法、リバースコータ法、ダイコータ法などのコーティング法、またドライラミネート法やエクストルジョンラミネート法などのラミネート法などの周知の方法を適用することができる。コーティングする方法が好ましく例示され、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムの両面に塗布した上にポリアリーレンスルフィドを含む二軸延伸フィルムを積層して、必要に応じて硬化させる方法が適用できる。
また上記のエクストルジョンラミネート法で、例えば製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにd層をエクストルジョンラミネートし、さらに幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できるし、コーティング法で、製膜工程中のa層の縦一軸延伸フィルムにd層をコーティングした後、幅方向に延伸して熱処理する方法も適用できる。
本発明の積層体のd層の積層厚みは、例えば、0.1〜30μmであることが好ましい。d層の積層厚みが上記範囲でないと、層間接着力を十分向上できない場合がある。d層の積層厚みが上記範囲を超えると、例えば、使用や加工時にd層が溶融、剥離する場合がある。d層の積層厚みは、より好ましくは、0.2〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmである。
本発明の積層体の樹脂フィルムの中で最外層の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの層の厚みは、樹脂フィルムの総厚みの2%以上50%以下であることが、積層体の成形加工性や耐衝撃性の点で好ましい。より好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上20%以下である。二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの層の厚みが、総厚みの2%未満の場合、積層体の金属との密着性が低下し、はがれなどが発生する場合があり、50%を超えると積層フィルムの破断伸度が低下し、成形加工におけるフィルム割れ発生が増加する場合がある。
本発明の積層体の中でポリアリーレンスルフィドの層の厚みは、例えば、超薄切片法などで積層シート断面を作製し、シート断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡などを用いて測定することができる。
次いで、本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムを製造する方法について、熱可塑性樹脂Aとしてポリアミドであるナイロン6を用いてポリ−p−フェニレンスルフィドに混合した場合に、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造を例にとって説明するが、本発明は、下記の記載に限定されないことは無論である。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する場合、溶融押出前に、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、上記PPSとナイロン6を二軸混練押出機に投入し、PPSとナイロン6の重量分率が99/1〜60/40のブレンド原料を作製することが好ましい。ブレンド原料の樹脂組成物の混合・混錬方法は、特に限定されることはなく各種混合・混錬手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダーあるいはタンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混錬機にて溶融混練することでもよい。その後、前記ブレンド原料を必要に応じてPPS、これらの回収原料と共に押出機に投入して、目的とする組成としたものを原料とすることが、フィルムの品質と製膜性の観点で好ましい。上記原料を作製する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。この押出機内で異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンドおよび金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。積層フィルムを作製する場合には、2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリフェニレンスルフィドおよび熱可塑性樹脂Aの樹脂組成物をそれぞれ積層させる。溶融シートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。
上記の好ましい二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの製造法のより具体的な条件は、以下のとおりである。
まず、ポリフェニレンスルフィドのペレットまたは顆粒とポリアミドのペレットとを、一定の割合で混合して、ベント式の二軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いることが好ましく、さらに、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、混練部を290〜340℃の温度範囲であることが好ましく、さらに好ましい温度範囲は295〜330℃であり、より好ましい温度範囲は300〜320℃である。混練部の温度範囲を好ましい範囲にすることは、せん断応力を高めやすく、分散不良物も低減できる効果が高くなり、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。スクリュー回転数を好ましい範囲に設定することで、高いせん断応力が付加され易く、分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができる。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。さらに、二軸スクリューにおいて、混練力を高めるためにニーディングパドルなどによる混練部を設けることは好ましく、その混練部を2箇所以上設けて、各混練部の間を通常のフィードスクリューとしたスクリュー形状にすることはさらに好ましい。
ポリフェニレンスルフィドとナイロン6を混合する上で、ポリフェニレンスルフィドとナイロン6の混合組成物あるいは相溶化剤が添加されると、分散不良物が低減できて相溶性が高まることがある。
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、PPSとナイロン6からなるブレンドチップ、必要に応じてPPSや製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して、180℃で3時間以上真空乾燥した後、押出機の溶融部を300〜350℃の温度、好ましくは320〜340℃に加熱された押出機に投入する。その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させ、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このフィルター部分や口金の設定温度は、押出機の溶融部の温度より3〜20℃高い温度にすることが好ましく、より好ましくは5〜15℃高い温度にする。フィルター部分や口金の温度を押出機の溶融部の温度より高くすることで、異常滞留を抑制することができ、本発明の好ましい分散径にすることができる。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度については、PPSや他の熱可塑性樹脂Aの構造成分により異なるが、例えば、PPSが90重量部とナイロン6が10重量部からなる樹脂組成物を例にとって以下説明する。
未延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜4倍、好ましくは2.5〜4倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg(PPSのガラス転移温度)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+5)〜(Tg+50)℃、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+10)〜(Tg+30)℃の範囲である。最も好ましくは(Tg+15)〜(Tg+30)℃の範囲である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+60)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+50)℃、さらに好ましくは(Tg+10)〜(Tg+40)℃の範囲である。特に、TD延伸には、MD延伸の延伸温度より3〜15℃だけ低温で延伸することが好ましく、さらに好ましくは5〜10℃低温に設定する。TD延伸の延伸温度を好ましい範囲に設定することで、ポリアリ−レンスルフィドの結晶化を過度に進行させずに分子鎖配向を本発明の範囲に制御しやすく、破断伸度向上や成形加工性向上の本発明の効果を得やすくなる。さらに、TD延伸の延伸ゾ−ンの前の予熱ゾ−ンにおいて、予熱温度をTD延伸の温度より3〜10℃だけ低温で実施することが好ましく、さらに好ましくは5〜7℃だけ低温に設定する。TD延伸前の予熱温度を好ましい範囲に設定することで、ポリアリ−レンスルフィドの結晶化を過度に進行させずに分子鎖配向を本発明の範囲に制御しやすく、破断伸度向上や成形加工性向上の本発明の効果を得やすくなる。延伸倍率は、2〜4倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4倍、さらに好ましくは2.8〜3.5倍の範囲である。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱固定温度は、200〜270℃、より好ましくは210〜260℃、さらに好ましくは220〜255℃の範囲である。熱固定は温度を変更して2段で実施するのも好ましい。その場合、2段目の熱固定温度を1段目より5〜20℃温度を高くするのが好ましい。熱固定時間は0.2〜30秒の範囲で行うことが好ましく、5〜20秒の範囲がさらに好ましい。さらにこのフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却する。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜8%、さらに好ましくは3〜7%の範囲である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得る。
次に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属を積層する方法について説明する。積層する方法は、接着剤などの接着性樹脂を用いる方法や高温高圧下で両者を熱圧着する方法などがあるが、特に、接着剤を使用せず、高温高圧下で両者を熱圧着する方法を用いることができる。熱圧着の方法は、加熱ロールによる方法や熱板プレスなどによって行われるが、生産プロセス上の観点から加熱ロールによる方法が好ましい。また、金属板を加熱した直後に冷却してPPSと金属板を熱融着(熱圧着)する方法が、積層体を均等に高温加熱でき熱圧着後瞬時に冷却できるためフィルムの平面性などの観点から好ましい。金属板の加熱からフィルムを熱圧着までの時間は1〜10秒の範囲が好ましく、熱圧着時のプレス圧は1〜10kg/cm2、プレス時間は5秒以下が密着性、熱圧着後のPPS層の品位保持(皺、気泡等)の点で好ましい。金属板の加熱方式は、一般に熱風、電気ヒータ、加熱ロール方式が用いられ、プレスロールの冷却は水やその他の媒体が一般的に用いられる。
無配向ポリフェニレンスルフィド層(b層)を用いて二軸配向ポリフェニレンスルフィド層(a層)と金属を積層して積層体(a/b/金属)を作製する場合、熱圧着の条件は、温度180℃〜270℃、圧力1〜20kg/cm2の条件であることが好ましい。温度が180℃未満であると接着力が十分に高められない場合があり、270℃を超えると、積層シートの平面性が急激に悪化し、機械特性が悪化する場合がある。一方、圧力が1kg/cm2未満では熱圧着の温度を上げても接着性に乏しく、逆に圧力が20kg/cm2を超えると、積層シートの平面性が悪化したり、無配向ポリフェニレンスルフィド層が破断したりする場合がある。接着性、機械特性の観点からより好ましい熱圧着温度は、200℃〜250℃の範囲であり、さらに好ましくは220℃〜240℃の範囲である。一方、より好ましい熱圧着圧力は、3〜15kg/cm2の範囲であり、さらに好ましくは、5〜10kg/cm2の範囲であるがこれらに限定されるものではない。
一方、共重合ポリフェニレンスルフィド層(c層)を用いて二軸配向ポリフェニレンスルフィド層(a層)と金属を積層して積層体(a/c/金属)を作製する場合、ポリフェニレンスルフィド層(a層)の少なくとも片面に共重合ポリフェニレンスルフィド層を積層した共押出シートを二軸延伸して得られた2層(a/c)からなる二軸延伸積層フィルムを用いて熱圧着することが好ましい。
共重合ポリフェニレンスルフィド層を積層した二軸延伸積層フィルムの製造方法について説明する。ポリフェニレンスルフィド原料と、共重合ポリフェニレンスルフィド原料を別々の溶融押出装置に供給し、個々の原料の融点以上に加熱する。加熱により溶融された各原料は、溶融押出装置と口金出口の間に設けられた合流装置で溶融状態で2層または3層に積層され、スリット状の口金出口から押し出される。かかる溶融積層体を冷却ドラム上でポリフェニレンスルフィドのガラス転移点以下に冷却し、実質的に非晶状態の2層または3層積層の未延伸シートを得る。該未延伸シートを上記のポリフェニレンスルフィドシートと同様の方法により二軸延伸することができる。
熱圧着の温度条件は、接着性や機械特性の観点から、(共重合ポリフェニレンスルフィドの融点)〜280℃の範囲が好ましく、(共重合ポリフェニレンスルフィドの融点+10)℃〜280℃の範囲であることがより好ましい。また、これにより、二軸配向した共重合ポリフェニレンスルフィド層を構成するポリマー鎖の一部が無配向化されるものと考えられる。熱圧着温度が共重合ポリフェニレンスルフィドの融点未満であると接着力が十分に高められない場合があり、280℃を超えると、積層シートの平面性が急激に悪化し、機械特性が悪化する場合がある。また、熱圧着の圧力は、1〜20kg/cm2の条件であることが好ましい。一方、圧力が1kg/cm2未満では熱圧着の温度を上げても接着性に乏しく、逆に圧力が20kg/cm2を超えると、積層シートの平面性が悪化したりする場合がある。一方、より好ましい熱圧着圧力は、3〜15kg/cm2の範囲であり、さらに好ましくは、5〜10kg/cm2の範囲であるがこれらに限定されるものではない。
本発明で用いられる共重合ポリフェニレンスルフィド層およびポリフェニレンスルフィド層には、より強固な接着性を付与するために、コロナ放電処理やプラズマ処理を施すことも本発明の好ましい態様に含まれる。また本発明においては、本発明の効果を妨げない限り必要に応じて、さらに他のシート層を積層してもかまわない。
本発明の積層体がポリアリーレンスルフィドを含む層(a層)と金属の間に接着層(d層)を設ける場合は、コーティング法で設ける方法が好ましい。その場合、a層にd層を塗布してから金属板を積層する方法、または、金属板にd層を塗布してからa層を積層する方法が適用できる。必要に応じて、乾燥や硬化処理を施す。 本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)分散相の平均分散径、アスペクト比
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作製した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色を使用した。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにして分散相の大きさを求めた。ひとつの画像で分散相が100個未満の場合は、同じ方向の別の切断面を観察して100個の分散相を選択することができる。(ア)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。さらに、I,J,Kの中から、最大値を平均長径L、最小値を平均短径Dと決定し、分散相のアスペクト比をL/Dとした。
フィルムを(ア)長手方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(イ)幅方向に平行かつフィルム面に垂直な方向、(ウ)フィルム面に対して平行な方向に切断し、サンプルを超薄切片法で作製した。分散相のコントラストを明確にするために、オスミウム酸やルテニウム酸、リンタングステン酸などで染色してもよい。熱可塑性樹脂Aがポリアミドの場合では、リンタングステン酸による染色を使用した。切断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、2万倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個の分散相を選択し、必要に応じて画像処理を行うことにより、次に示すようにして分散相の大きさを求めた。ひとつの画像で分散相が100個未満の場合は、同じ方向の別の切断面を観察して100個の分散相を選択することができる。(ア)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚み方向の最大長さ(la)と長手方向の最大長さ(lb)、(イ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム厚さ方向の最大長さ(lc)と幅方向の最大長さ(ld)、(ウ)の切断面に現れる個々の分散相のフィルム長手方向の最大長さ(le)と幅方向の最大長さ(lf)を求めた。次いで、分散相の形状指数I=(lbの数平均値+leの数平均値)/2、形状指数J=(ldの数平均値+lfの数平均値)/2、形状指数K=(laの数平均値+lcの数平均値)/2とした場合、分散相の平均分散径を(I+J+K)/3とした。さらに、I,J,Kの中から、最大値を平均長径L、最小値を平均短径Dと決定し、分散相のアスペクト比をL/Dとした。
(2)ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、結晶融解熱量
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。試料数3にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
擬似等温法にて下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121(1987年)に従って決定した。試料数3にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
装置: TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)。
測定条件:
加熱温度:270〜570K(RCS冷却法)
温度校正:高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量:5mg
試料容器:アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器:アルミニウム製開放型容器(18mg)。
なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
また、示唆走査熱量計として、セイコ−インスツルメンツ社製DSC(RDC220)、デ−タ解析装置として同社製ディスクステ−ション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温して、観測される融解の吸熱ピ−クの熱量を結晶融解熱量とした。その後、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピ−クのピ−ク温度を融解温度(Tm)とした。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
また、示唆走査熱量計として、セイコ−インスツルメンツ社製DSC(RDC220)、デ−タ解析装置として同社製ディスクステ−ション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温して、観測される融解の吸熱ピ−クの熱量を結晶融解熱量とした。その後、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピ−クのピ−ク温度を融解温度(Tm)とした。
(3)破断伸度
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
ASTM−D882(1997年)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行い、試料数10にて、それぞれについてその測定をして、平均値をとった。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:100mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:100mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
(4)成形加工性
積層体を、サイズが50mmφ、深さが最大40mmφの半球状に常温にてプレスで絞り成形したときの成形常態を、顕微鏡により断面観察し下記の基準で評価した。50回実施した。
◎:樹脂層に剥がれやクラック等が全く見られず、成形性に問題ないレベル。
○:50回の中で樹脂層に微少な剥がれが発生したのが5回以下であり、クラックはなく実用上問題ないレベル。
△:50回の中で樹脂層に剥がれが発生したのが6回以上15回以下、またはクラックが発生したのが15回以下であるレベル。
×:50回の中で樹脂層に剥がれまたは/およびクラックが16回以上発生し実用上問題になるレベル。
積層体を、サイズが50mmφ、深さが最大40mmφの半球状に常温にてプレスで絞り成形したときの成形常態を、顕微鏡により断面観察し下記の基準で評価した。50回実施した。
◎:樹脂層に剥がれやクラック等が全く見られず、成形性に問題ないレベル。
○:50回の中で樹脂層に微少な剥がれが発生したのが5回以下であり、クラックはなく実用上問題ないレベル。
△:50回の中で樹脂層に剥がれが発生したのが6回以上15回以下、またはクラックが発生したのが15回以下であるレベル。
×:50回の中で樹脂層に剥がれまたは/およびクラックが16回以上発生し実用上問題になるレベル。
(参考例1)PPSの重合(PPS−1)
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
撹拌機付きの70リットルオートクレーブに、47.5%水硫化ナトリウム8,267.37g(70.00モル)、96%水酸化ナトリウム2,957.21g(70.97モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)11,434.50g(115.50モル)、酢酸ナトリウム2,583.00g(31.50モル)、及びイオン交換水10,500gを仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水14,780.1gおよびNMP280gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は、NMPの加水分解に消費された水分を含めて1.06モルであった。また、硫化水素の飛散量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02モルであった。
次に、p−ジクロロベンゼン10,235.46g(69.63モル)、NMP9,009.00g(91.00モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら、0.6℃/分の速度で238℃まで昇温した。238℃で95分反応を行った後、0.8℃/分の速度で270℃まで昇温した。270℃で100分反応を行った後、1,260g(70モル)の水を15分かけて圧入しながら250℃まで1.3℃/分の速度で冷却した。その後200℃まで1.0℃/分の速度で冷却してから、室温近傍まで急冷した。
内容物を取り出し、26,300gのNMPで希釈後、溶剤と固形物をふるい(80mesh)で濾別し、得られた粒子を31,900gのNMPで洗浄、濾別した。これを、56,000gのイオン交換水で数回洗浄、濾別した後、0.05重量%酢酸水溶液70,000gで洗浄、濾別した。70,000gのイオン交換水で洗浄、濾別した後、得られた含水PPS粒子を80℃で熱風乾燥し、120℃で減圧乾燥した。得られたPPSは、溶融粘度が200Pa・s(310℃、剪断速度1,000/s)であり、ガラス転移温度が90℃、融点が285℃であった。
(参考例2)共重合PPS組成物(PPS−2)の調製
オートクレーブに、100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの水酸化ナトリウムおよび25リットルのNMPを仕込み、攪拌しながら徐々に220℃まで昇温して含有されている水分を蒸留により除去した。
オートクレーブに、100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの水酸化ナトリウムおよび25リットルのNMPを仕込み、攪拌しながら徐々に220℃まで昇温して含有されている水分を蒸留により除去した。
脱水の終了した系内へ主成分モノマとして89.8モル%のp−ジクロルベンゼン、副成分モノマとして10モル%のm−ジクロルベンゼン、および0.2モル%の1,2,4−トリクロロベンゼンを5リットルのNMPとともに添加し、170℃で窒素を3kg/cm2加圧封入後、昇温し、260℃にて4時間重合した。重合終了後冷却し、蒸留水中にポリマーを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマーを採取した。
このポリマーを90℃の蒸留水により5回洗浄した後、減圧下120℃にて乾燥して融点が260℃の白色粒子状の共重合PPS組成物を得た。
(参考例3)ポリアミド−2(PA−2)、ナイロン6/66共重合体
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの塩(AH塩)の50重量%水溶液およびε−カプロラクタム(CL)を、AH塩が20重量部、CLが80重量部になるように混合し、30リットルのオートクレーブに仕込んだ。内圧10kg/cm2で270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、撹拌しながら0.5kg/cm2まで徐々に減圧して撹拌を停止した。窒素で常圧に戻した後、ストランドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去して乾燥した。このようにして得られた共重合ポリアミド6/66樹脂の相対粘度は4.20、融点は193℃であった。
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの塩(AH塩)の50重量%水溶液およびε−カプロラクタム(CL)を、AH塩が20重量部、CLが80重量部になるように混合し、30リットルのオートクレーブに仕込んだ。内圧10kg/cm2で270℃まで昇温した後、内温を245℃に保ち、撹拌しながら0.5kg/cm2まで徐々に減圧して撹拌を停止した。窒素で常圧に戻した後、ストランドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去して乾燥した。このようにして得られた共重合ポリアミド6/66樹脂の相対粘度は4.20、融点は193℃であった。
(参考例4)無配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(シート)
上記(参考例1)で得られたPPS組成物を180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、エクストルーダーに供給し、310℃で溶融させ、金属繊維を用いた95%カット孔径10μmフィルターで濾過したのち、口金上部にある装置でPPS組成物(50μm)となるように吐出量を調整し、400mm幅、間隔1.0mmの直線上リップを有するTダイ型口金より吐出させた。このようにして押し出した溶融シートは、静電印加法により表面を25℃に保った金属ドラム上で冷却密着固化させ、厚み25μmの無配向ポリフェニレンスルフィドシートを得た。
上記(参考例1)で得られたPPS組成物を180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、エクストルーダーに供給し、310℃で溶融させ、金属繊維を用いた95%カット孔径10μmフィルターで濾過したのち、口金上部にある装置でPPS組成物(50μm)となるように吐出量を調整し、400mm幅、間隔1.0mmの直線上リップを有するTダイ型口金より吐出させた。このようにして押し出した溶融シートは、静電印加法により表面を25℃に保った金属ドラム上で冷却密着固化させ、厚み25μmの無配向ポリフェニレンスルフィドシートを得た。
(実施例1)
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(東レ製、“アミラン”CM2001)(ポリアミド−1(PA−1))10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニ−ディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュ−直径30mm、スクリュ−長さ/スクリュ−直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュ−回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX(樹脂X)を作製した。
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(東レ製、“アミラン”CM2001)(ポリアミド−1(PA−1))10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニ−ディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュ−直径30mm、スクリュ−長さ/スクリュ−直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュ−回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX(樹脂X)を作製した。
参考例2で得られた共重合PPS組成物(PPS−2)および得られた樹脂Xをそれぞれ180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Xに均一に分散配合したのちに、別々のエクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、口金上部にあるフィードブロックで積層して、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、樹脂X/共重合PPSの2層積層の未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(PPS−2)(20μm/5μm)の厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。
1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmのアルミニウム板(表面にリン酸クロム塩処理)を準備した。金属との積層には、アルミ板の表面処理面とフィルムの共重合PPS層が積層されるように、アルミ板を連続にヒータで加熱しながら、金属ロール(25℃に通水冷却)とシリコンゴム被覆ロール(25℃に通水冷却)からなるプレスロールに供給し、該プレスロールで二軸延伸PPSフィルムと連続的に熱圧着積層した。加熱されたアルミ板の表面温度は270℃で、プレスロールに供給された二軸延伸PPSフィルムがアルミ板と熱圧着される直前の温度は250℃(赤外線温度計で測定)であり、プレス圧力は10kg/cm2に調整した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に3.7倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に3.7倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.7倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.7倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例4)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂X/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例1と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例5,6)
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例7)
熱可塑性樹脂Aとして、参考例3で作製したナイロン6/66共重合体(PA−2)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとして、参考例3で作製したナイロン6/66共重合体(PA−2)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例8)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)(ガラス転移温度215℃)を用いた。参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、ポリエーテルイミド10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とポリエーテルイミドの合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニ−ディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュ−直径30mm、スクリュ−長さ/スクリュ−直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュ−回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップY(樹脂Y)を作製した。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)(ガラス転移温度215℃)を用いた。参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、ポリエーテルイミド10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とポリエーテルイミドの合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニ−ディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュ−直径30mm、スクリュ−長さ/スクリュ−直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュ−回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップY(樹脂Y)を作製した。
参考例2で得られた共重合PPS組成物(PPS−2)および得られた樹脂Yをそれぞれ180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Yに均一に分散配合したのちに、別々のエクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、口金上部にあるフィードブロックで積層して、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、樹脂Y/共重合PPSの2層積層の未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(PPS−2)(20μm/5μm)の厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例9)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)を用いて、添加量を5重量部とする以外は、実施例8と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)を用いて、添加量を5重量部とする以外は、実施例8と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例10)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)を用いて、添加量を25重量部とする以外は、実施例8と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルイミド(ジーイープラスチックス社製 ウルテム1010)(PEI)を用いて、添加量を25重量部とする以外は、実施例8と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例11)
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に3.7倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に3.7倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例12)
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.7倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.7倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例13)
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
実施例9と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度260℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、樹脂Y/共重合PPS(20μm/5μm)の厚さ25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。以下、実施例9と同様にして、金属と積層した積層体を作製した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例14)
熱可塑性樹脂Aとしてポリスルホン(アモコ社製 UDEL)(PSF)(ガラス転移温度190℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリスルホン(アモコ社製 UDEL)(PSF)(ガラス転移温度190℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例15)
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルスルホン(アモコ社製 RADEL)(PES)(ガラス転移温度225℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
熱可塑性樹脂Aとしてポリエーテルスルホン(アモコ社製 RADEL)(PES)(ガラス転移温度225℃)を用いる以外は、実施例1と同様にして、金属と二軸配向PPSフィルムを積層した積層体を作製した。得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に優れたものであった。
(実施例16)
実施例1と同様にして得られた樹脂Xを180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Xに均一に分散配合したのちに、エクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
実施例1と同様にして得られた樹脂Xを180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Xに均一に分散配合したのちに、エクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムを実施例1と同様にして、厚さ25μmの二軸配向PPSシートを作製した。
金属との積層には、実施例1と同じアルミ板の表面処理面と、参考例4で得られた無配向PPSシート、得られた二軸延伸PPSフィルムをこの順に重ねて積層されるように、アルミ板を連続にヒータで加熱しながら、金属ロール(25℃に通水冷却)とシリコンゴム被覆ロール(25℃に通水冷却)からなるプレスロールに供給し、該プレスロールでPPSフィルムと連続的に熱圧着積層した。加熱されたアルミ板の表面温度は270℃で、プレスロールに供給された二軸延伸PPSフィルムがアルミ板と熱圧着される直前の温度は250℃(赤外線温度計で測定)であり、プレス圧力は10kg/cm2に調整した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に十分なものであった。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に十分なものであった。
(実施例17)
実施例9と同様にして得られた樹脂Yを180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Yに均一に分散配合したのちに、エクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
実施例9と同様にして得られた樹脂Yを180℃にて3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を樹脂Yに均一に分散配合したのちに、エクストルーダーに供給し、320℃で溶融させ、押出機で溶融したポリマ−を温度330℃に設定したフィルタ−で濾過した後、温度330℃に設定したTダイの口金から溶融押出して表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムを実施例1と同様にして、厚さ25μmの二軸配向PPSシートを作製した。
金属との積層には、実施例1と同じアルミ板の表面処理面と、参考例4で得られた無配向PPSシート、得られた二軸延伸PPSフィルムをこの順に重ねて積層されるように、アルミ板を連続にヒータで加熱しながら、金属ロール(25℃に通水冷却)とシリコンゴム被覆ロール(25℃に通水冷却)からなるプレスロールに供給し、該プレスロールでPPSフィルムと連続的に熱圧着積層した。加熱されたアルミ板の表面温度は270℃で、プレスロールに供給された二軸延伸PPSフィルムがアルミ板と熱圧着される直前の温度は250℃(赤外線温度計で測定)であり、プレス圧力は10kg/cm2に調整した。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に十分なものであった。
得られた二軸配向PPSフィルムと金属からなる積層体の構成や特性についての測定、評価結果は、表1に示したとおりであり、成形加工性に十分なものであった。
(実施例18)
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数80回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX2を作製した。樹脂Xを樹脂X2に変更する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、310℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数80回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX2を作製した。樹脂Xを樹脂X2に変更する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例19)
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、350℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX3を作製した。樹脂Xを樹脂X3に変更する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
参考例1で作製したPPS樹脂90重量部を180℃で3時間減圧乾燥し、熱可塑性樹脂Aとしてナイロン610(PA−1)10重量部を120℃で3時間減圧乾燥し、さらにPPS樹脂とナイロン610の合計100重量部に対して、相溶化剤としてγ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、”KBE9007”)0.3重量部を配合後、350℃に加熱された、ニーディングパドル混練部を3箇所設けたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップX3を作製した。樹脂Xを樹脂X3に変更する以外は、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例20)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度285℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度285℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例21)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に4.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して103℃の温度でフィルムの縦方向に4.2倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度100℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例22)
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率4.2倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
実施例1と同様にして得られた未延伸フィルムに対して、加熱された複数のロ−ル群からなる縦延伸機を用いロ−ルの周速差を利用して107℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンタ−に導き、延伸温度105℃、延伸倍率4.2倍でフィルムの幅方向に延伸を行い、引き続いて温度250℃で10秒間の熱処理を行った後、150℃にコントロ−ルされた冷却ゾ−ンで横方向に4%弛緩処理を行い室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚み25μmの二軸配向PPSフィルムを作製した。実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例23)
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの銅板を用いる以外は実施例1と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの銅板を用いる以外は実施例1と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例24)
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの銅板を用いる以外は実施例9と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの銅板を用いる以外は実施例9と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例25)
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの鉄板を用いる以外は実施例9と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
金属板を1mm厚さ、表面粗さ(Rt)が3μmの鉄板を用いる以外は実施例9と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例26)
実施例16と同様にして得られた厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層として、a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(d層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、銅板(1mm厚さ、表面粗さ(Rt)3μm)に重ねてから150℃で1時間かけてd層を硬化させて、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
実施例16と同様にして得られた厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層として、a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(d層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、銅板(1mm厚さ、表面粗さ(Rt)3μm)に重ねてから150℃で1時間かけてd層を硬化させて、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。
(実施例27)
実施例17と同様にして得られた厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層として、a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(d層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、銅板(1mm厚さ、表面粗さ(Rt)3μm)に重ねてから150℃で1時間かけてd層を硬化させて、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。 (比較例1)
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂だけを用いて製膜したこと以外は、実施例1と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を作製した。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
実施例17と同様にして得られた厚み25μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムをa層として、a層の片面にエポキシ系接着剤“ケミットTE2301”(東レファインケミカル製)(d層)を厚み5μmに調整してグラビアロールで塗布し、100℃で3分間乾燥した。さらに、銅板(1mm厚さ、表面粗さ(Rt)3μm)に重ねてから150℃で1時間かけてd層を硬化させて、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に十分であった。 (比較例1)
参考例1で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂だけを用いて製膜したこと以外は、実施例1と同様にして、二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を作製した。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
(比較例2,3)
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
熱可塑性樹脂AであるPA−1の添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
(比較例4,5)
熱可塑性樹脂AであるPEIの添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例9と同様にして、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
熱可塑性樹脂AであるPEIの添加量を表1に示した通り変更した以外は、実施例9と同様にして、実施例1と同様にして二軸配向PPSフィルムと金属との積層体を得た。得られた積層体は、その特性について測定、評価した結果を表1に示したとおり、成形加工性に不十分であった。
本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムと金属からなる積層体は、電気・電子回路基板、通信回路のシールド基板や放熱基板などの絶縁基板に好適に使用できる。
Claims (8)
- 金属板の少なくとも片面に、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムが積層された積層体であって、該フィルムが、ポリアリーレンスルフィドとは異なる熱可塑性樹脂Aを含み、ポリアリーレンスルフィドと熱可塑性樹脂Aの含有量の和を100重量部としたときにポリアリーレンスルフィドの含有量が70〜99重量部、熱可塑性樹脂Aの含有量が1〜30重量部である積層体。
- ポリアリーレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドである請求項1に記載の積層体。
- ポリアリーレンスルフィドの結晶融解熱量が20〜45(J/g)である請求項1または2に記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂Aがポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの長手方向および幅方向の引張破断伸度がいずれも100〜250%である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を用いてなる電子回路基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を用いてなる通信回路のシールド基板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の積層体を用いてなる放熱基板。
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