JP2012052105A - 電子ペーパー用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐加水分解性、耐候性、紫外線の遮蔽性に優れ、かつ視認性に優れた電子ペーパー用二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一つの最外層が、リン元素の含有量が170ppm以下であり、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルからなる積層ポリエステルフィルムであり、波長380nmの光線透過率が5.0%以下であり、波長400nmの光線透過率が80%以上であることを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐加水分解性、耐候性、紫外線の遮蔽性に優れ、かつ視認性に優れた電子ペーパー用ポリエステルフィルムに関するものであり、具体的には、高温高湿度環境や屋外での使用の際に起こりうる、脆化やデラミネーションによる外観不良を防ぎ、紫外線の遮蔽性と視認性が良好なポリエステルフィルムに関するものである。
電子ペーパーディスプレイは、表示中の消費電力が不要か、または極小であり、書き換え時の消費電力も非常に少ないため、他のディスプレイより低消費電力に優れている。また、紙と同じように反射光を利用して表示を行うため、視野角が広く直射日光に当たっても見やすく、目に対する負担が少ないという、高い視認性を持っている。さらには紙のように薄く作れ、表示基板にプラスチック・フィルムを使えば、曲げても品質を損なわずに表示できるディスプレイとして期待され、電子掲示板、広告看板、電子案内板用やオフィス、家庭内の情報表示ボード用や緊急災害時の情報表示板の表示デバイスや電子書籍、新聞代用品、さらには教科書などの様々な表示デバイスとして期待され、使用環境も広がってきている。
特許文献1には、紫外線に対し高い耐久性を備える電子ペーパー用ポリエステルフィルムに関する技術が開示されているが、電子ペーパーの用途、使用環境が広がり、耐加水分解性に関する耐久性を高度に求められるようになってきている。
通常のポリエステルフィルムを高温高湿度環境で使用すると、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、デラミネーションの要因となることが知られている。よって、ポリエステルフィルムを、例えば屋外で使用する場合、あるいは高湿度環境で使用する場合を想定し、加水分解を抑制すべく様々な検討が行われている。
ポリエステルの加水分解は、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基量が高いほど分解が速いことが知られている。よって、特許文献2には、エポキシ化合物を使用することで、分子鎖末端のカルボン酸をエステル化し、末端カルボキシル基量を低減させることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、エポキシ化合物は、製膜プロセスでの溶融押出工程、または、マテリアルリサイクル工程において、ゲル化を誘発し、異物を発生させる可能性が高く、環境的にもコスト的にも好ましくない。
特許文献3には、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミドを添加して末端カルボキシル基量を低下させる技術が開示されているが、カルボジイミドはそれ自体熱変成を起こしやすく、反応条件によってポリエステルフィルムの物性の低下を誘発したり、また、製膜中テンター出口においてカルボジイミド揮発成分由来の嫌悪臭を発生したりすることがある。
また、ポリエステルの加水分解は、酸性、アルカリ性環境下で促進することが知られている(非特許文献1)。よって、重合反応において好ましくない着色を防止する目的で添加されている安定剤のリン酸、亜リン酸等のリン化合物は、系内を酸性にするため、加水分解性に悪影響を与えると考えられる。
この問題を解決するため、特許文献4には、末端カルボン酸を規定量に抑制し、かつ、特定のリン酸エステルを規定量含有させることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、当該技術におけるリン酸エステルは特徴ある構造をしているため、リン酸エステルを調整する工程およびコストが必要になる。よって、安価で、かつ、屋外で使用が可能なポリエステルフィルムを提供するには適していない。
特開昭2007−183423号公報 特開平9−227767号公報 特開平8−73719号公報 特開平8―3428号公報
湯木和男著 飽和ポリエステル樹脂ハンドブック 廣済堂発行 1989年
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、耐加水分解性、耐候性、紫外線の遮蔽性に優れ、かつ視認性に優れた電子ペーパー用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一つの最外層が、リン元素の含有量が170ppm以下であり、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルからなる積層ポリエステルフィルムであり、波長380nmの光線透過率が5.0%以下であり、波長400nmの光線透過率が80%以上であることを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、耐加水分解性、耐候性、紫外線の遮蔽性に優れ、かつ視認性に優れた電子ペーパー用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
本発明のポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
本発明の少なくとも一つの最外層のポリエステル層は、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が特定範囲にあるものであり、当該リン元素は、通常はポリエステル製造時に添加されるリン酸化合物に由来するものである。本発明においては、リン元素量は170ppm以下ある必要があり、好ましくは0〜150ppmの範囲であり、さらに好ましくは1〜150ppmの範囲である。特定量のリン元素を満足することにより、耐加水分解性を高度にフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、加水分解が促進することになるため好ましくない。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそのエステルホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、エチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
また、熱分解や加水分解を抑制するために触媒として働きうる金属化合物をできる限り含まないことが好ましいが、フィルムの生産性を向上すべく溶融時の体積固有抵抗値を低くするため、マグネシウム、カルシウム、リチウム、マンガン等の金属を、通常ポリエステル成分中に300ppm以下、好ましくは250ppm以下であれば含有させることができる。また、後述する粒子や各種添加剤を配合するために、マスターバッチ法を利用するなどの方法を用いる場合などでは、重合触媒の金属成分としてアンチモンを含有することもできるが、本発明の優れた耐加水分解性、耐候性を得るために、アンチモンのポリエステル成分全体に対する含有量は、アンチモン元素として、好ましくは400ppm以下とする。なお、ここでいう金属化合物には、後述するポリエステル中に配合する粒子は含まない。
電子ペーパーに用いられる表示剤の紫外線による劣化を防ぐために、特に波長380nmの光線透過率を5.0%以下にする必要があり、2%以下であることが好ましい。一方、視認性を高めるためには、波長400nmの光線透過率は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。本発明においては、電子ペーパー用ポリエステルフィルムを構成するポリエステル成分に紫外線吸収剤を添加する。
本発明で用いることのできる紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、1,3,5−トリアジン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物等を挙げることができ、これら1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、色調を考慮した場合、黄色味が付きにくいベンゾオキサジノン系化合物が好適に用いられる。
紫外線吸収剤として用いるベンゾオキサジン系化合物の例としては、2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン] が挙げられる。
紫外線吸収剤を含有量は、通常0.20〜10.0重量%、好ましくは0.30〜1 .8重量%の範囲である。紫外線吸収剤が0.10重量%未満の場合は、紫外線によりポリエステルフィルムが劣化することがあり、10.0重量%を超える量の紫外線吸収剤を含有させた場合、表面に紫外線吸収剤がブリードアウトし、接着性低下等、表面機能性の悪化を招くおそれがある。
ポリエステルフィルム中に紫外線吸収剤を含有させる方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステル成分を製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた白色顔料のスラリーとポリエステル原料とをブレンドしてもよい。また、混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリエステル原料とをブレンドする方法でもよい。なお、紫外線吸収剤を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチチップを、混練押出機を用いて製造し、必要に応じこのマスターバッチチップを、紫外線吸収剤を含有しないか、あるいは、少量含有するポリエステル原料と混練押出機を用いて混合することにより、所定の配合量のポリエステルフィルムを製造することもできる。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料を添加することができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常20〜250μm、好ましくは25〜200μm、さらに好ましくは50〜200μmの範囲である。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
すなわち、公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエステルチップを混練押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、条件により末端カルボン酸量が増加するので、本願発明においては、押出工程における押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、通常40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、前記のとおりポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。
本発明のフィルムは、少なくとも一方の最外層を構成するポリエステル成分の末端カルボン酸量が26当量/トン以下、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボン酸量が26当量/トンを超えると、ポリエステルの耐加水分解性が劣る。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボン酸量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での熱分解等の点から通常は10当量/トン程度である。
ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、少なくとも一方の最表層に関連する特性であり、より好ましくは両側の最表層、さらに好ましくは、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボン酸量が上記した範囲である。同様に、本願発明において必要とする触媒として含有するリンの含有量は、共押出による積層構造を有するフィルムの場合、当該フィルムの少なくとも一方の最外層の含有量が前述の範囲であり、より好ましくは両側の最表層の含有量が前述の範囲であり、さらに好ましくは、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲である。
また、ポリエステルフィルムに耐加水分解性を付与するにおいて、リン元素の含有量および末端カルボン酸量を上記範囲にするほかに、フィルムの極限粘度が0.65以上、さらには0.68以上であることが望ましい。フィルムの極限粘度が0.65未満である場合は、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣り、高温高湿度環境や屋外での使用が難しくなることがある。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの極限粘度の上限はないが、溶融押出工程での熱分解等の点から通常は0.90程度である。
本発明において、ポリエステルの末端カルボン酸量および極限粘度を特定範囲とするため、例えば、ポリエステルチップの押出工程における押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くする方法などが用いられる。また、低末端カルボン酸量のポリエステルチップを製膜することで、末端カルボン酸量が特定範囲のポリエステルフィルムを得てもよい。ポリエステルチップの末端カルボン酸量を低くする方法としては、溶融重合で得られたチップを固相重合する方法や、重合効率を上げる方法、重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法など従来公知の方法を採用しうる。例えば、溶融重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボン酸量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
本発明で用いるポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合することにより原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので、固相重合反応で得られた物を使用する方法が好ましく用いられる。
本発明においては、前記延伸工程においてまたはその後に、フィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離型性等を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成したり、コロナ処理等の放電処理を施したりすることなどもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、この実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)末端カルボン酸量(当量/トン)
いわゆる滴定法によって、末端カルボキシル基量の量を測定した。すなわちポリエステルフィルムの最外層をベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。なお、ポリエステルフィルム中に二酸化チタンや硫酸バリウムのような白色顔料が含まれている場合は、ベンジルアルコールに対する不溶成分である白色顔料を、遠心沈降法により取り除いたものに対し適定することで、ポリエステル成分に対する末端カルボキシル基量(当量/トン)を求めた。
(2)触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルム最外層を削りだし溶融してディスク状に成型して元素量を求めた。
Figure 2012052105
(3)耐加水分解性
温度120℃、相対湿度100%の雰囲気にてフィルムを35時間放置し、フィルムの表面にニチバン(株)製18mm幅のセロテープ(登録商標)を気泡が入らないように7cmの長さに貼り、この上を3kgの手動式荷重ロールで一定の荷重を与える。フィルムを固定し、テープの一端を500gの錘に接続し、錘が45cmの距離を自然落下後に、180°方向の剥離試験が開始する方法で評価する。耐加水分解性は次の5段階の基準で評価した。
評価5:セロハンテープ面にポリエステルが全く剥離しない
評価4:10%未満しかポリエステルがセロハンテープ面に剥離しない
実用的には、評価4以上であれば問題なく使用できる。
評価3:10〜50%の部分のポリエステルがセロハンテープ側に剥離する
評価2:50%以上の部分のポリエステルがセロハンテープ側に剥離する
評価1:完全にポリエステルがセロハンテープ側に剥離する
(4)極限粘度
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度[η]を求めた。
(5)促進耐候性の評価
(A)耐候性試験
JIS−B−7753(2007)規格をベースに以下条件にて耐候性試験を行った。
装置:サンシャインウェザーメータ(型式:WEL−SUN−HCH−B メーカ:スガ試験機株式会社)
放電電圧・電流:50V、60A
フィルター:ガラスフィルターAタイプ
ブラックパネル温度:63℃
処理時間:1000時間
スプレーサイクル(120分):102分間の照射、続いて18分間の照射および噴霧
(B)耐候性の評価方法
耐候性試験前後のフィルム最外層の極限粘度測定を行い、極限粘度維持率にて耐候性の評価を行った。
極限粘度維持率(%)=耐候性試験後の極限粘度÷耐候性試験前の極限粘度×100
○:極限粘度維持率が70%以上
×:極限粘度維持率が70%未満
次に実施例および比較例において使用したポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル(1)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸カルシウム0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に三酸化アンチモン0.03重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には40パスカルとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリエステルを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.60、ポリマーの末端カルボキシル基量は43当量/トンであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(2)を得た。ポリエステル(2)の極限粘度は0.68、ポリマーの末端カルボキシル基量は30当量/トンであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、三酸化アンチモン0.038重量部を加えた以外は同様の方法でポリエステルを得た。このポリエステルを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(3)を得た。ポリエステル(3)の極限粘度は0.72、ポリマーの末端カルボキシル基量は28当量/トンであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、三酸化アンチモン0.037重量部を加えた以外は同様の方法で得た。このポリエステルを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(4)を得た。ポリエステル(4)の極限粘度は0.75、ポリマーの末端カルボキシル基量は14当量/トンであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後にリン元素としての含有量が0.03重量ppmとなるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.035重量部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(5)を得た。得られたポリエステル(5)の極限粘度は0.58、ポリマーの末端カルボキシル基量は40当量/トンであった。
<ポリエステル(6)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後にリン元素としての含有量が0.03重量ppmとなるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.025重量部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加え、極限粘度を0.60に相当する時点で反応を停止した以外は同様の方法でポリエステルを得た。このポリエステルを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.74、ポリマーの末端カルボキシル基量は14当量/トンであった。
<ポリエステル(7)の製造法>
ポリエステル(6)の製造において、出発原料のリン元素としての含有量が0.02重量ppmとなるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.026重量部を加えた以外は同様の方法で固相重合まで行いポリエステル(7)を得た。ポリエステル(7)の極限粘度は0.84、ポリマーの末端カルボキシル基量は9当量/トンであった。
<ポリエステル(8)の製造法>
ポリエステル(7)の製造において、出発原料のリン元素としての含有量が0.004重量ppmとなるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.027重量部を加えた以外は同様の方法で固相重合まで行いポリエステル(8)を得た。ポリエステル(8)の極限粘度は0.85、ポリマーの末端カルボキシル基量は9当量/トンであった。
<ポリエステル(9)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後にリン元素としての含有量が0.033重量ppmとなるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.029重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(9)を得た。得られたポリエステル(9)の極限粘度は0.54、ポリマーの末端カルボキシル基量は87当量/トンであった。
<紫外線吸収剤マスターバッチ(MB)の製造法>
上記ポリエステル(4)をベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製CYASORBUV−3638 分子量369 ベンゾオキサジン系)が5重量%となるように供給してチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチ(MB1)を得た。
(ポリエステルフィルムの製造)
実施例1〜6のポリエステルフィルムの製造方法は、上記ポリエステル(1)〜(9)、および紫外線吸収剤マスターバッチ(MB)を下記表1に示す配合比でA層、B層の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、2種3層(A層/B層/A層)の構成で各層の比率がA層/B層/A層=10/105/10(%)として、20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸した。この後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、125μm厚さのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの結果をまとめて下記表2に示すが、表2中の末端カルボン酸量と触媒量は、一方の最外層を構成するポリエステル成分中の値を示す。
比較例1〜6のポリエステルフィルムの製造方法は、上記ポリエステル(1)〜(9)、および紫外線吸収剤マスターバッチ(MB)を下記表2に示す配合比でA層、B層の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、2種3層(A層/B層/A層)の構成で各層の比率がA層/B層/A層=10/105/10(%)として、20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に3.1倍延伸した。この後、テンター内で予熱工程を経て120℃で4.3倍の横延伸を施した後、225℃で熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、125μm厚さのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの結果をまとめて下記表4に示すが、表4中の末端カルボン酸量と触媒量は、一方の最外層を構成するポリエステル成分中の値を示す。
Figure 2012052105
Figure 2012052105
Figure 2012052105
実施例1〜6で得られたフィルムを用いて電子ペーパーを作成した際、加水分解による強度劣化も抑制でき、耐候性も良好で、貼り合せ時にフィルム表面に生じたオリゴマーによるデラミネーションは頻発せず、電子ペーパーとして使用できる期間が満足できるレベルであった。
Figure 2012052105
比較例1および2で得られたフィルムを用いて電子ペーパーを作成した際、耐候性は良好であったが、加水分解による強度劣化が激しく、貼り合せ時にフィルム表面に生じたオリゴマーによるデラミネーションも頻発したため、電子ペーパーとして使用できる期間が不満足なレベルであった。
比較例3で得られたフィルムを用いて電子ペーパーを作成した際、貼り合せ時にフィルム表面に生じたオリゴマーによるデラミネーションは頻発しなかったが、加水分解と耐候性悪化による強度劣化があり、視認性も悪いため電子ペーパーとして不満足なレベルであった。
比較例4で得られたフィルムを用いて電子ペーパーを作成した際、耐候性が良好で、かつ貼り合せ時にフィルム表面に生じたオリゴマーによるデラミネーションは頻発しなかったが、加水分解による強度劣化が十分なものではなく、電子ペーパーとして使用できる期間が不満足なレベルであった。
比較例5および6で得られたフィルムを用いて電子ペーパーを作成した際、貼り合せ時にフィルム表面に生じたオリゴマーによるデラミネーションは頻発せず、加水分解による強度劣化も起きなかったが、耐候性が悪く、視認性も悪いため電子ペーパーとして不満足なレベルであった。
本発明のフィルムは、例えば、電子ペーパー用ポリエステルフィルム用途において、好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも一つの最外層が、リン元素の含有量が170ppm以下であり、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルからなる積層ポリエステルフィルムであり、波長380nmの光線透過率が5.0%以下であり、波長400nmの光線透過率が80%以上であることを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルム。
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