JP2015107618A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステルフィルムの製造時において溶融圧力が低く抑えられ、フィルターの交換頻度を低くすることができ、環状三量体析出量が極めて少ないポリエステルフィルムを基材とし、当基材に離型層を設けた離型フィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に、シリコーン化合物を含有する離型層を有する離型フィルムであり、前記ポリエステルフィルムが離型層と隣接するポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下であり、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下であることを特徴とする離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、環状三量体析出量が少ない離型フィルムに関するものであり、例えば、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記することがある)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記することがある)構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記することがある)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適な離型フィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、LCD用偏光板、位相差板製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種光学用途等に使用されている。離型フィルムの使用上の問題点として、高温下で離型層表面に析出する環状三量体が、製造工程内において各種不具合の原因となることが挙げられる。
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用される離型フィルムの品質向上と共に環状三量体の析出に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
上述の各種用途に対応するために、離型性に優れるだけでなく、フィルム表面の異物を極力少なくすることが望まれる。すなわち、特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視する用途でもあるため、通常のフィルム用途では全く問題とならないフィルム表面の異物ですら重大な問題となるからである。
例えば、LCD用偏光板の製造工程を一例に挙げると、当該製造工程は、粘着剤層を介して離型フィルムと偏光板が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程を含んでいるが、環状三量体は粘着剤塗布後の乾燥工程を経て析出するものと考えられる。離型層表面に析出する環状三量体は、貼り合わせている相手方粘着剤層表面へ転着し、環状三量体の付着した粘着剤層付きの偏光板をガラス基板と貼り合わせてLCDを製造した場合、得られるLCDの輝度が低下する等の不具合を生じる場合がある。
近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向があり、上記不具合が深刻な問題となってきている。
一方、生産性向上に伴う製造コストの低減を図ることを目的として、製造工程の高速化に伴い、特に乾燥工程における乾燥温度をより高く設定する傾向があり、上述の環状三量体がより析出しやすい状況になっている。
LCD用偏光板の表示能力、色相、コントラスト、異物混入などの光学的評価を伴う検査工程においては、目視あるいは拡大鏡使用による欠陥品の流出防止対策が講じられているが、結晶化した環状三量体が付着した離型フィルムを使用した場合、異物混入により不良品と判定され、製品歩留まりが低下する等の不具合を生じるという問題も抱えている。
上述のような環状三量体起因の不具合を防止するために、極限粘度の高いポリエステル樹脂をポリエステルフィルム製膜時の原料として用いる発明もなされている。しかしながら、極限粘度の高いポリエステルは、溶融押出し工程における溶融圧力が高いため、溶融時の樹脂温度が上昇し、ポリエステル熱劣化物が発生しやすくなり、ブツ発生頻度が高く、その結果フィルターの交換頻度が高くなるという不具合が発生する。
特開平5−194768号公報 特開平9−323392号公報 特開昭52−32030号公報 特開平9−59041号公報 特開2005−336395号公報 特開2006−334807号公報 特開H8−283545号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルフィルムの製造時において溶融圧力が低く抑えられ、フィルターの交換頻度を低くすることができ、環状三量体析出量が極めて少ないポリエステルフィルムを基材とし、当基材に離型層を設けた離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に、シリコーン化合物を含有する離型層を有する離型フィルムであり、前記ポリエステルフィルムが離型層と隣接するポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下であり、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下であることを特徴とする離型フィルムに存する。
本発明の離型フィルムは、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルフィルムの製造時において溶融圧力が低く抑えられ、フィルターの交換頻度を低くすることができ、環状三量体析出量が極めて少ないポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムを提供することができ、当該離型フィルムは環状三量体析出量が極めて少ないため、例えば、LCD用偏光板、位相差板等の液晶構成部材製造用、PDP構成部材製造用、有機EL構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用のほか、各種光学用途等に好適であり、本発明の工業的価値は高い。
本発明で言うポリエステル層とは、押出口金から溶融押出される、いわゆる押出法による押し出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じ、延伸したフィルムを構成する層である。単層フィルムである場合、ポリエステル層は、ポリエステルフィルム全体を表す。二層以上のポリエステルフィルムである場合、各々の層をポリエステル層と定義する。
本発明において、基材となるポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。その中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
本発明のポリエステル層中の化合物の量は、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて、チタン元素、リン元素、アンチモン元素、マンガン元素、各々の含有量を検出することが可能である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層におけるチタン元素含有量は20ppm以下が好ましく、さらに好ましくは15ppm以下、特に好ましくは9ppm以下である。下限については特に設けないが、実際には2ppm程度が現在の技術では下限となる。チタン化合物の含有量が多すぎるとポリエステルを溶融押出する工程で環状三量体が副生成し、フィルム表面に析出・結晶化し、塗布欠陥等の発生により、離型性の品質不具合が発生しやすくなる傾向がある。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣り、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層におけるリン元素含有量は、通常はリン酸化合物に由来するものであり、ポリエステル製造時に添加される。本発明においては、ポリエステル成分中のリン元素量が30ppm以下の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは20ppm以下の範囲であり、特に好ましくは15ppm以下の範囲である。下限については特に設けないが、実際には3ppm程度が現在の技術では下限となる。リン元素量が多すぎると、ポリエステル樹脂の解重合も起こりやすくなり、環状三量体量が増大しやすい傾向がある。リン元素量が少なすぎると、重合活性が低くなり、生産レートが低下する傾向がある。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそのエステルホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、エチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層におけるアンチモン元素含有量は、通常はポリエステル重合時に使用する重縮合触媒である三酸化アンチモンに由来するものであり、ポリエステル製造時に添加される。三酸化アンチモンを重縮合触媒として用いるときの助触媒は、マンガン化合物が好ましく、特に好ましくは酢酸マンガン・四水和物である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層におけるアンチモン化合物含有量、およびマンガン化合物量は、熱分解や加水分解を抑制するために、各々元素量として400ppm以下が好ましく、300ppm以下がさらに好ましく、250ppm以下が特に好ましい。
また、本発明の基材となるポリエステルフィルム中には、熱分解や加水分解を抑制するために触媒として働きうる金属化合物をできる限り含まないことが好ましいが、フィルムの生産性を向上すべく溶融時の体積固有抵抗値を低くするため、マグネシウム、カルシウム、リチウム、などの金属を、通常ポリエステル成分中に300ppm以下、好ましくは250ppm以下であれば含有させることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の極限粘度(IV)は、0.66dl/g以下であり、好ましくは0.64dl/g以下、さらに好ましくは0.62dl/g以下である。基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の極限粘度(IV)を0.66dl/g以下とすることにより、溶融押出し工程における溶融圧力を低くすることが可能になり、溶融時の樹脂温度を低減させ、ポリエステル熱劣化物が発生しにくくなり、ブツ発生頻度が低く、その結果、フィルターの交換頻度を低く抑えることが可能となる。基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の極限粘度(IV)の下限は特に設けないが、製膜時の破断防止の観点から0.50dl/gが現実的である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)は20当量/t以下、好ましくは14当量/t以下、さらに好ましくは12当量/t以下である。基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)を20当量/t以下とすると、表面に析出する環状三量体の少ないポリエステルフィルムを得ることができる。一方、基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)の下限はないが、ポリエステル樹脂の重縮合反応の効率、ポリエステルフィルム製膜時における溶融押出工程での分解の観点から5当量/t程度である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層には、微粒子を含有させることが、フィルムの巻上げ工程、塗工工程、蒸着工程等での作業性を向上させる上で望ましい。この微粒子としてはシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、カオリン等の無機粒子やアクリル樹脂、グアナミン樹脂等の有機粒子や触媒残差を粒子化させた析出粒子を挙げる事ができるが、これらに限定されるものではない。これら粒子の中では、一時粒子の凝集粒子である多孔質シリカ粒子が特に好ましい。多孔質シリカ粒子はフィルムの延伸時に粒子周辺にボイドが発生しにくいため、フィルムの透明性を向上させる特長を有する。
多孔質シリカ粒子を構成する一次粒子の平均粒径は0.001〜0.1μmの範囲のあることが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.001μm未満ではスラリー段階で解砕により極微細粒子が生成し、これが凝集体を形成して、ヘーズが高くなる原因となることがある。一方、一次粒子の平均粒径が0.1μmを超えると、粒子の多孔性が失われ、その結果、ボイド発生が少ない特長が失われることがある。
さらに、凝集粒子の細孔容積は0.5〜2.0ml/g、さらには0.6〜1.8ml/gの範囲であることが好ましい。細孔容積が0.5ml/g未満では、粒子の多孔性が失われ、ボイドが発生しやすくなり、フィルムの透明性が低下する傾向がある。細孔容積が2.0ml/gより大きいと、解砕、凝集が起こりやすく、粒径の調整を行うことが困難となる場合がある。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層の製造時に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。また、ベント式ニ混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層に使用するポリエステルは、環状三量体量を減じたポリエステルを用いることが好ましく、当該目的のためには、固相重合を行ったポリエステルを用いることが好ましい。
ただし、本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層に使用するポリエステルの極限粘度が高いと、ポリエステルフィルム製造時において圧力が高くなりやすいという不具合が起きる。したがって、本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層に使用するポリエステルの固相重合を行うときは、溶融重合したポリエステルチップを高温で長時間保持させることで環状三量体量を低下させたポリエステルチップをまずは最初に製造し、その後真空度を上げて所定の極限粘度に調整する手法を採用することが好ましい。
なお、本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層中には、上述の粒子以外に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料を添加することができる。また、耐候性を向上する目的で、ポリエステル成分に対して0.01重量部〜5.0重量部の範囲で紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させることができる。
本発明により得られるポリエステル層を含有する基材となるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常1〜500μm、好ましくは15〜400μm、さらに好ましくは20〜300μmの範囲である。
本発明のポリエステルフィルムは、溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。
A/Bの構成であれば、A層もしくはB層のいずれか一方が、末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下で、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下のポリエステル層である。A/B/A構成であれば、A層が、末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下で、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下のポリエステル層である。A/B/C構成であれば、A層もしくはC層のいずれか一方が、末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下で、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下のポリエステル層である。
以下、本発明の基材となるポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
すなわち、公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエステルチップ(ポリエステル成分)を混練押出機に供給し、ポリエステル成分の融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、条件により環状三量体が増加するので、本願発明においては、押出工程における押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
本発明の基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層を成形するための押出機は、環状三量体量の増大防止の観点から、ベント式二軸押出機を用いることが好ましい。
ベント式二軸押出機の脱気効率は、一定の押出量に対しスクリュー回転数の高い方が良好であると言える。すなわち、一定の押出量に対し、スクリュー回転数を増大させるとスクリュー表面に存在するポリエステルの表面を強制的に更新することができ、その分、溶融ポリエステルからの脱気効率が増大することになる。そして、その結果、ポリエステルの極限粘度の保持率が改善される。すなわち、ポリエステル分子分解に伴う、環状三量体量増大が抑制される。
ベント式二軸押出機のシリンダーの内径(直径)をD(mm)とした際、単位時間当たりの押出量Q(kg/h r)とスクリュー回転数N(rpm)とが次の式(I)、好ましくは次の(II) 式、さらに好ましくは次の(III) 式を満足する条件下に溶融押出しを行う点にある。斯かる条件を満足することにより、スクリューの剪断作用による過度の発熱を抑制しつつ脱気効率を高め、ポリエステルの環状三量体量の増大を防止することができる。
Figure 2015107618
Figure 2015107618
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次の(IV)式に示す条件では、回転数が押出量に対して高すぎるため、スクリューの剪断による発熱が過多となり環状三量体量が増大する傾向がある。また、次の(V)式に示す条件では、回転数が押出量に対して低すぎるため、減圧下での溶融樹脂表面の更新度が低下して十分な脱気が行えずに環状三量体量が増大する傾向がある。
Figure 2015107618
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実質的に未乾燥のポリエステルを使用した場合、当該ポリエステルの内部の水分は、ベント孔からの減圧作用によって脱気される。水分の脱気効率を高めるため、ベント孔の減圧度は、通常40mmHg以下、好ましくは30mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下とされる。
本発明においては、キャスティングドラム表面にポリエステルシートを溶融押出しする際、キャスティングドラムに対するポリエステルシートの密着性を高めるため、静電密着法、エアナイフ法、ニつのロールでニップするニップロール法などを適宜採用することができる。
本発明においては、このようにして得られたシートをニ軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70℃〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムとした後、横方向に90℃〜160℃で2〜6倍延伸を行い、熱固定工程に移る。
ベント式ニ軸押出機を使用した場合、前述のとおり、実質的に乾燥または未乾燥の何れのポリエステル樹脂をも使用することができるが、実質的に未乾燥のポリエステルを使用しても、環状三量体量の増大は抑えられる。
すなわち、従来、加水分解によって生じる極限粘度(IV)低下に基づいて発生する延伸工程の破断などの問題を解決するため、溶融時の極限粘度(IV)低下を20%未満に抑制することが好ましいとの観点から、溶融前のポリエステルは、含水率が50ppm以下となるまで乾燥するのが通常である。ところが、このような乾燥は、例えば、180℃で3時間の条件を必要とし、しかも、乾燥後のポリエステルは、放冷後に溶融押出しされるため、乾燥工程の加熱エネルギーの大部分は、溶融押出工程に利用されることなく失われる。従って、本発明において、ベント式二軸押出機を使用する場合、実質的に未乾燥のポリエステルを使用し得る効果は、生産効率のみならず、省エネルギー化の観点から、その工業的価値は顕著である。
また、実質的に未乾燥のポリエステルを使用する場合は、フィルム製造工程から排出されるスリットフイルム等の回収ポリエステルも同様に乾燥することなく適当に粉砕した後に直接に未乾燥の新規ポリエステルと共に溶融押出を行うことができる。
離型フィルムの離型面表層に析出する環状三量体量を減じるためには、基材となるポリエステルフィルムの離型層側の表面に析出される環状三量体量を減じる必要がある。基材が積層フィルムである場合、ポリエステルフィルムの最外層のポリエステル層に関連する特性が特定の範囲内である必要があり、基材が単層フィルムである場合、単層フィルムに関連する特性が特定の範囲内である必要がある。
本発明の製造法により得られる、基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層中の環状三量体量を減じるため、例えば、ポリエステルチップの押出工程における押出機内でのポリエステル成分の滞留時間を短くすることなどが、製造法の観点からは望ましい。また、環状三量体量の低いポリエステルチップを製膜することで、環状三量体量が低いポリエステル層からなるポリエステルフィルムを得てもよい。また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合するとポリエステル層由来の環状三量体量が増大する傾向があるので、本願発明においてはかかる再生原料を、目的とするポリエステル層を形成する溶融押出機には多量に配合しないことが好ましく、配合するとしても40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本発明においては、前記延伸工程においてまたはその後に、フィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成したり(塗布延伸法;インラインコーティング)、コロナ処理等の放電処理を施したりすることなどもできる。
次に本発明における離型フィルムを構成する離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が5〜500mN/cmであるものが、本発明の用途上、好ましい。
本発明の離型フィルムを構成する離型層は、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするためにシリコーン化合物を硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコーニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/m、さらに好ましくは0.01〜0.2g/m範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、環状三量体析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
本発明において、基材となるポリエステルフィルムと離型層の間に、ポリエステルフィルムと離型層の密着性を向上させるための塗布層を設けてもよい。当該塗布層上に離型層を設ける場合、塗布層を設けた後にフィルムを一旦巻き取り、改めて離型層を設けてもよく、また、塗布層を設けた後、連続して、離型層を塗布層上に設けてもよく、いずれの方法を採用してもよい。
本発明の離型フィルムを熱処理(150℃、90分間)した後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出される環状三量体量は、0.5mg/m未満、特に好ましくは0.1mg/m未満である。例えば、環状三量体量が0.5mg/mを超える場合、例えば、液晶構成部材製造時、粘着剤層保護用途に使用した場合、粘着剤の透明性低下、粘着剤層の粘着力低下、あるいは光学的評価を伴う検査工程において支障を来たす等の不具合を生じることがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層のサンプル
離型フィルムサンプルについて、常法に基づき、フィルム断面のSEM観察を行い、積層構造のフィルムである場合は、それぞれの層の厚みを求める。フィルム表面より、上述の方法で求めた離型層厚みに相当する深さの範囲内の樹脂をフェザー刃にて削り出して、離型層を取り除く。単層構造のポリエステルフィルム基材からなる離型フィルムの場合、離型層を取り除いたフィルムを、基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層のサンプルとする。積層構造のポリエステルフィルム基材からなる離型フィルムの場合、フィルム表面より、上述の方法で求めた表層厚みに相当する深さの範囲内の樹脂をフェザー刃にて削り出し、評価用のサンプルを集め、それを、基材となるポリエステルフィルムの離型層側のポリエステル層のサンプルとする。
(2)末端カルボキシル基量当量/トン
ポリエステルチップを粉砕したサンプル、および上記(1)により採取したサンプルを、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
酸価当量/t=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である〕
なお、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った)。以下の式によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
(3)極限粘度dl/g
ポリエステルチップを粉砕したサンプル、および上記(1)により採取したサンプルを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
(4)触媒由来元素の定量
ポリエステルチップを280℃環境下にてプレス後冷却化しプレート化したサンプル、もしくは上記(1)で得られたサンプルを、蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、元素量を求めた。チタン元素(Ti)、リン元素(P)、アンチモン元素(Sb)、マンガン(Mn)の含有量評価条件を下記表1に示す。
Figure 2015107618
(5)ポリエステルチップ中の環状三量体量
試料10gを、イナートオーブン(ESPEC社製「IPHH−201型」)中で、50NL/分の窒素ガス気流下160℃で2時間乾燥させた後、4.0mgを精秤し、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)の混合溶媒2mlに溶解させた後、さらにクロロホルム20mlを加えて希釈し、これにメタノール10mlを加えて析出させ、引き続いて濾過して得た濾液を蒸発乾固後、ジメチルホルムアミド25mlに溶解し、その溶液中の環状三量体(シクロトリエチレンテレフタレート)を、液体クロマトグラフィー(島津製作所製「LC−10A」)で定量した。
(6)離型フィルム表面の環状三量体量
A4サイズのケント紙と熱処理を行うポリエステルフィルムを合わせ、ゼムクリップ等で四隅をクリップし、ケント紙とポリエステルフィルムを止める。その際、積層ポリエスエステルフィルムの場合は、ポリエステル(A)を含有させた面が外側になるようにする。窒素雰囲気下、150℃のオーブンに前記ポリエステルフィルムを90分間放置し熱処理を行う。上部が開放され、底辺の面積が250cm2となるように、熱処理後のポリエステルフィルムを折って、四角の箱を作成する。積層ポリエスエステルフィルムの場合は、ポリエステル(A)を含有させた面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中に、DMF(ジメチルホルムアミド)10mlを入れ3分間放置後DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中の環状三量体量を求め、この値に対してDMFを接触させたフィルム面積:250cmで割って、フィルム表面環状三量体量(mg/cm)とする。
DMF中の環状三量体量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、あらかじめ分取した環状三量体を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
・評価基準
○:0.1mg/m以下
△:0.5mg/mを超える〜0.1mg/m未満
×:0.6mg/m以上
(4)離型性
離型処理をしたフィルムに対しては離型面に対して、離型処理をしていないフィルムに対してはポリエステルフィルムA層に対して、離型性を評価した。即ち、フィルムに粘着テープ(日東電工製「No.31B」)を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
○ 100mN/cm未満
× 100mN/cm以上
<硬化型シリコーン離型剤組成−Z>
硬化型シリコーン樹脂 (X−62−5039:信越化学社製) 20部
架橋剤 (X−92−185:信越化学社製) 0.4部
触媒 (PL−5000:信越化学社製)1.0部
MEK/トルエン/n-ヘプタン混合溶媒(混合率は1:1:1)
<ポリエステル(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3重量%エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm2)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm2)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 重量% エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル(1)を製造した。末端カルボキシル基量は12当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は、6800ppmであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(2)を得た。末端カルボキシル基量は8当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は、3000ppmであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が1.5重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(3)を得た。極限粘度は0.60dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は、7000ppmであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(4)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は35当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は8500ppmであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
ポリエステル(4)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル(5)を得た。ポリエステル(5)の極限粘度は0.85dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は21当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は、5500ppmであった。
<ポリエステル(6)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マンガン・四水塩をマンガン元素が重合体中に105ppmとなるように加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェートをリン元素が重合体中に77ppmとなるように添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンをアンチモン元素が重合体中に166ppmとなるように加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。当該ポリエステルを160℃環境下で結晶化後、230℃環境下にてポリエステルチップ中の環状三量体量が3000ppmとなるまで保持した。その温度環境を維持した状態で、5mmHgの真空状態とし、固相重合を行うことでポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.64dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は7当量/トン、ポリエステルチップ中の環状三量体量は、3000ppmであった。
Figure 2015107618
実施例1:
上記ポリエステル(1)およびポリエステル(3)を96:4の比率で混合したポリエステルを原料とし、直径90mmのベント付き二軸押出機にて、吐出量450kg/hr、スクリュー回転数100rpmにて押出し、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.7倍延伸し、さらに220℃で熱固定を行った。得られたフィルムの平均厚さは125μmであった。得られたポリエステルフィルム上に、あらかじめ用意した硬化型シリコーン離型剤組成−Zからなる離型剤溶液を、塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、160℃で1分乾燥させた。得られたシリコーン塗布フィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例2、3:
表2に示す配合比としたポリエステル原料とすることを除いて、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例4:
上記ポリエステル(1)およびポリエステル(3)を96:4の比率で混合したポリエステルをA層のポリエステル原料とし、上記ポリエステル(4)をB層のポリエステル原料として、二台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(A/B/A)で、厚み構成比がA:B:A=6.25:112.5:6.25になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。その際、A層形成のためには、直径44mmのベント付き二軸押出機にて、吐出量25kg/hr、スクリュー回転数100rpmにて押出し、B層形成のためには、直径90mmのベント付き二軸押出機にて、吐出量225kg/hr、スクリュー回転数50rpmにて押出した。得られたシートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.7倍延伸し、さらに220℃で熱固定を行った。得られたフィルムの平均厚さは125μmであった。
得られたフィルム上に、あらかじめ用意した硬化型シリコーン離型剤組成−Zからなる離型剤溶液を、塗布量(乾燥後)が0.12g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布し、160℃で1分乾燥させた。得られたシリコーン塗布フィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例1〜3:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、表4に示すポリエステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表4に示す。比較例2と比較例3の離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムは押出し時の圧力が高く、ロングランに適さなかった。また、比較例3の離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムの原料はポリエステル(5)が96.0重量%用いられており、実施例1の離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムの原料はポリエステル(1)が96.0重量%用いられている。離型フィルムの環状三量体量評価結果を鑑みるに、ポリエステル(5)中の環状三量体量がポリエステル(1)のそれより低いにもかかわらず、離型フィルム表面の環状三量体量が実施例1に比して比較例3の方が高いのは、ポリエステルフィルム製膜時においてポリエステル(5)の極限粘度が高いため、押出機内でのせん断発熱の発生量が大きく、結果として分子切断が起こりやすい状況となり、離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムの環状三量体が増大したと考えられる。
比較例4:
実施例1において、離型層を設けないことを以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表4に示す。
Figure 2015107618
Figure 2015107618
本発明の離型フィルムは、例えば、LCD、PDP、有機EL等、表示部材製造用等の光学用途のほか、フィルム表面に環状三量体起因の異物が存在することを極端に嫌う用途に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に、シリコーン化合物を含有する離型層を有する離型フィルムであり、前記ポリエステルフィルムが離型層と隣接するポリエステル層の末端カルボキシル基量(AV)が20当量/t以下であり、極限粘度(IV)が0.66dl/g以下であることを特徴とする離型フィルム。
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