JP2011119651A - 太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 黒色顔料を含み、光隠蔽性が良好で、耐加水分解性の良好な、太陽電池モジュール製造に適した低収縮率を有する二軸配向ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、当該フィルム中のリン元素の含有量が0〜170ppmの範囲であり、フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、150℃で30分間処理後のフィルム長手方向の収縮率が0.8%以下であることを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、当該フィルム中のリン元素の含有量が0〜170ppmの範囲であり、フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、150℃で30分間処理後のフィルム長手方向の収縮率が0.8%以下であることを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、黒色顔料を含み、光隠蔽性が良好で、耐加水分解性の良好な、太陽電池モジュール製造に適した低収縮率を有する二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
近年、次世代のエネルギー源として太陽電池が注目を浴びており、建築分野を始め電気電子部品まで開発が進められている。電地の構成部品の一部に用いられる太陽電池裏面封止用フィルムについても自然環境に対する耐久性(耐加水分解)が強く要求されている。
また、太陽電池を、例えば屋根等に設置する場合、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与する目的のため、太陽電池の裏面シートも黒色に着色されて、光隠蔽性が良好である必要がある。
また、太陽電池を、例えば屋根等に設置する場合、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与する目的のため、太陽電池の裏面シートも黒色に着色されて、光隠蔽性が良好である必要がある。
太陽電池裏面封止用フィルムとしては、例えば特許文献1に記載されているような、フッ素系フィルムを用いた技術が開示されている。しかし、フッ素系フィルムは高価であるので、太陽電池裏面封止用フィルムの価格も高価なものになってしまうという問題がある。
ポリエステルフィルムへ光隠蔽性を付与するために、顔料を用いることが有効なのは良く知られている。例えば特許文献2に記載されているように、ポリエステルにカーボンブラックを配合したポリエステルフィルムを得ることで、光隠蔽性の良好なポリエステルフィルムに関する技術が開示されている。しかし、再生樹脂が主であるため、太陽電池裏面封止用フィルム分野で最も要求される耐加水分解性に関しては十分満足できるものではなく、この分野の使用が制限されている。ポリエステルフィルムを、高温高湿度環境で使用すると、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、機械的特性が劣化することが知られている。よって、ポリエステルフィルムを屋外で長期(20年)にわたって使用する場合、あるいは高湿度環境で使用する場合を想定して、加水分解を抑制すべく様々な検討が行われている。
ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基量が高いほど、ポリエステルの加水分解が速いことが知られている。よって、特許文献3には、エポキシ化合物を使用することで、分子鎖末端のカルボン酸をエステル化し、末端カルボキシル基量を低減させることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、エポキシ化合物は、製膜プロセスでの溶融押出工程、または、マテリアルリサイクル工程において、ゲル化を誘発し、異物を発生させる可能性が高く、環境的にもコスト的にも好ましくない。また、フィルムの収縮率も高いため、太陽電池モジュール製造時のフィルムとして適していない。
特許文献4には、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミドを添加して末端カルボキシル基量を低下させる技術が開示されているが、カルボジイミドはそれ自体熱変成を起こしやすく、反応条件によってポリエステルフィルムの物性の低下を誘発したり、また、製膜中テンター出口においてカルボジイミド揮発成分由来の嫌悪臭を発生したりすることがある。
また、ポリエステルの加水分解は、酸性、アルカリ性環境下で促進することが知られている(非特許文献1)。よって、重合反応において好ましくない着色を防止する目的で添加されている安定剤のリン酸、亜リン酸等のリン化合物は、系内を酸性にするため、加水分解性に悪影響を与えると考えられる。
この問題を解決するため、特許文献5には、末端カルボン酸を規定量に抑制し、かつ、特定のリン酸エステルを規定量含有させることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、当該技術におけるリン酸エステルは特徴ある構造をしているため、リン酸エステルを調整する工程およびコストが必要になる。よって、安価で、かつ、屋外で長期(20年)にわたる使用が可能なポリエステルフィルムを提供するには適していない。
特許文献6には、安価で加水分解のおきないポリオレフィンと黒色顔料を配合した黒色ポリオレフィンフィルムからなる太陽電池裏面封止用フィルムに関する技術が開示されている。しかしながら、ポリオレフィンは、高温において軟化しやすいため、耐熱性に関して十分満足するものではない。
湯木和男著 飽和ポリエステル樹脂ハンドブック 廣済堂発行 1989年
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、光隠蔽性が良好で、高温でかつ高湿度の環境で長期にわたって使用した場合においても、加水分解によるフィルムの劣化を高度に防ぐことができ、機械的性能が良好なまま維持でき、太陽電池モジュール製造に適した低収縮率を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、当該フィルム中のリン元素の含有量が0〜170ppmの範囲であり、フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、150℃で30分間処理後のフィルム長手方向の収縮率が0.8%以下であることを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、太陽電池モジュール製造に適したフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
ポリエステルフィルム中の黒色顔料は、カ−ボンブラック(チャンネル、ファ−ネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック、黒色酸化鉄、その他等の黒色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。その中でもカーボンブラックや黒色酸化鉄を用いることが好ましく、カーボンブラックを用いることがさらに好ましい。
ポリエステルフィルム中の黒色顔料の量は0.1g/m2以上が好ましく、0.2g/m2以上の範囲がさらに好ましい。黒色顔料含有量が0.1g/m2を下回ると、フィルムの着色性・隠蔽性が十分でなく、本発明の効果が享受されないことがある。上限に関しては特に設けないが、10g/m2を超えると、隠蔽性が飽和し、顔料の添加量の効果が見えにくくなり、また、コストも高くなる。
ポリエステルフィルム中に黒色顔料を含有させる方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステル成分を製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた黒色顔料のスラリーとポリエステル原料とをブレンドしてもよい。また、混練押出機を用い、乾燥させた黒色顔料とポリエステル原料とをブレンドする方法でもよい。なお、黒色顔料を高濃度に含有する、いわゆるマスターバッチチップを、混練押出機を用いて製造し、必要に応じこのマスターバッチチップを、黒色顔料を含有しないか、あるいは、少量含有するポリエステル原料と混練押出機を用いて混合することにより、所定の配合量のポリエステルフィルムを製造することもできる。
本発明のポリエステルフィルムに使用される原料のポリエステルの極限粘度は、通常0.64〜1.20dl/gであり、好ましくは0.69〜0.90dl/gである。ポリエステルの極限粘度を0.64dl/g以上とすると、長期耐久性や耐加水分解性の視点から好ましい。一方、1.20dl/g以下のポリエステルレジンを用いないと、混練時の溶融応力が高すぎて、フィルムの生産性が低下する傾向がある。
本発明のポリエステルフィルムの極限粘度は、通常0.57dl/g以上、好ましくは0.60dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.57dl/g以上とすると、長期耐久性や耐加水分解性が良好なフィルムが得られる。一方、ポリエステルフィルムの極限粘度の上限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での圧力上昇防止の点から1.0dl/g程度である。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が特定範囲にあるものであり、当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであり、ポリエステル製造時に添加される。本発明においては、ポリエステル成分中のリン元素量は0〜170ppmの範囲である必要があり、好ましくは50〜170ppmの範囲であり、さらに好ましくは50〜150ppmの範囲である。リン元素をまったく含有しないか、また含有したとしても特定量のリン元素を満足することにより、耐加水分解性を高度にフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、加水分解が促進することになるため好ましくない。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそのエステルホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェート、ジフェニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、エチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
また、熱分解や加水分解を抑制するために触媒として働きうる金属化合物をできる限り含まないことが好ましいが、フィルムの生産性を向上すべく溶融時の体積固有抵抗値を低くするため、マグネシウム、カルシウム、リチウム、マンガン等の金属を、通常ポリエステル成分中に300ppm以下、好ましくは250ppm以下であれば含有させることができる。また、後述する粒子や各種添加剤を配合するために、マスターバッチ法を利用するなどの方法を用いる場合などでは、重合触媒の金属成分としてアンチモンを含有することもできる。なお、ここでいう金属化合物には、後述するポリエステル中に配合する粒子は含まない。
本発明のフィルム中には、必要に応じて、易滑性付与を主たる目的として易滑性付与可能な粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、0.01〜10μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合には、フィルムに易滑性を与える効果が不足することがある。一方、10μmを超える場合には、フィルム生産時に破断が頻発して生産性が低下する場合がある。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料を添加することができる。また、耐候性を向上する目的で、ポリエステル成分に対して0.01〜5.0重量部の範囲で紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させることができる。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜500μm、好ましくは15〜400μm、さらに好ましくは20〜300μmの範囲である。
本発明において得られたポリエステルフィルムは、150℃で30分間処理後の長手方向の収縮率が0.8%以下であり、好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.4%以下である。ポリエステルフィルムの収縮率が0.8%以下であると、太陽電池モジュール製造時における真空ラミネート工程において、ポリエステルフィルムの収縮によるカールの低減や、EVA(エチレンビニルアセテート)に封止されている太陽電池セルの位置ずれの防止に寄与する。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
すなわち、公知の手法により乾燥したまたは未乾燥のポリエステルチップ(ポリエステル成分)と黒色顔料、あるいは黒色顔料を高濃度に含むマスターバッチとを混練押出機に供給し、ポリエステル成分の融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリエステルをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。溶融押出工程においても、条件により末端カルボキシル基量が増加するので、本願発明においては、押出工程における押出機内でのポリエステルの滞留時間を短くすること、一軸押出機を使用する場合は原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合はベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用する。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、熱固定工程に移る。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
熱固定は160℃〜240℃で1秒〜600秒間の熱処理を行うことが好ましく、さらに好ましくは、170℃〜235℃、特に好ましくは、200〜230℃である。熱固定温度が160℃未満であると、長手方向の収縮率が高すぎて、アニール処理条件が過酷となり、その結果得られたフィルムの歪みも大きくなり実用に供することができない。一方熱固定温度を240℃以上とすると、耐加水分解性の良好なポリエステルフィルムを得ることができない。
本発明で言うアニール処理とは、上記熱固定された二軸延伸ポリエステルフィルムを、実質的に張力のかからない状態で熱処理を行うことを指す。アニール処理時の熱処理温度は、ガラス転移温度〜二軸配向ポリエステルフィルムの融点から40℃以上低い温度範囲であることが好ましい。アニール処理をする際に、二軸延伸ポリエステルフィルムに大きな張力がかかっていると延伸されるので、二軸延伸ポリエステルフィルムに実質的に張力がかからない状態でアニールするのが好ましい。実質的に張力がかからない状態とは、具体的にはアニール処理時のフィルム張力(g/mm2)が、100以下のことを指し、好ま
しくは80以下、より好ましくは60以下である。
しくは80以下、より好ましくは60以下である。
アニール処理の形態としては、フィルムの製造過程にアニール処理をするインラインアニール処方でも、フィルムの製造後に処理をするオフラインアニール処方などが考えられるが、アニールする時間がフィルムの製造速度に制限されないオフラインアニール処方が好ましい。
アニールする時間は特に限定されず、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さやアニール温度により異なるが、一般に5秒以上が好ましく、より好ましくは10秒〜60分であり、さらに好ましくは30秒〜20分である。
アニール処理を施す赤外線加熱炉について特に限定はないが、例えば、炉内上部に走行フィルム幅より広い赤外線ヒーターを走行フィルムの全幅をカバーするように、多数、一定間隔で設置したものが好ましい。
外線ヒーターについては、近赤外線ヒーター、シーズヒーターを含む遠赤外線ヒーター双方が利用できるがフィルムに与える熱ダメージの点で近赤外線ヒーターが好ましい。
フィルムの熱処理は、炉内雰囲気を所定の温度にして行われるが、この温度については、例えば、次のような方法で調整できる。炉内の隣接するヒーター/ヒーター間、かつ走行フィルム上、5cm程度のフィルム近接位置に熱電対温度検出端を設置し、各位置ごとの雰囲気温度を測定する。この雰囲気温度は、設置する個々のヒーターの出力、ヒーター本数、ヒーター設置間隔、走行フィルムとヒーターとの距離、炉内換気等によって変えることができるが、例えば可変出力の棒状近赤外線ヒーターの出力を0.5〜1.2kW/mの範囲で調
整すると共に、適宜一定風量換気を行うことによりフィルム近接雰囲気温度を好ましい領域、すなわち150〜220℃の範囲とすることができる。
整すると共に、適宜一定風量換気を行うことによりフィルム近接雰囲気温度を好ましい領域、すなわち150〜220℃の範囲とすることができる。
赤外線加熱炉では、走行フィルム近接位置での雰囲気温度が熱風式加熱炉の同位置での雰囲気温度より低温域であっても同等以上の加熱効果が得られるという特徴がある。このために熱風式加熱炉では、達成できなかった処理の短時間化、効率化が得られると共に、短時間処理であるためにフィルム歪みも小さくすることが可能となる。
例えば、ポリエステルフィルムへ上記のようなアニール処理を行うことにより、150℃で30分間処理後の長手方向の加熱収縮率を0.8%以下とすることが可能となる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以外の構成のフィルムとすることができる。
黒色顔料を含有させるポリエステル層は、任意の層を選ぶことができる。すなわち、中間層に黒色顔料を存在させることも可能であるし、あるいは表層の片側あるいは両側に存在させることも可能であるし、表層・中間層の両方に存在させることも可能である。
かくして得られる本発明のフィルムは、フィルムを構成するポリエステル成分の末端カルボキシル基量が26当量/トン以下、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボキシル基量が26当量/トンを超えると、ポリエステル成分の耐加水分解性が劣る。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステル成分の末端カルボキシル基量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での熱分解等の点から通常は10当量/トン程度である。
ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、共押出による積層構造を有するフィルムの場合、当該フィルムを構成するポリエステル成分全体として末端カルボキシル基量が上記した範囲であることが必要である。同様に、本願発明において必要とする触媒として含有するリンの含有量は、共押出による積層構造を有するフィルムの場合、当該フィルムを構成するポリエステル成分全体として含有量が前述の範囲であることが必要である。
本発明において、ポリエステルフィルム中のポリエステル成分の末端カルボキシル基量を特定範囲とするため、例えば、ポリエステルチップの押出工程における押出機内でのポリエステル成分と黒色顔料からなる組成物の滞留時間を短くすることなどによって行われる。また、低末端カルボキシル基量のポリエステルチップと黒色顔料からなる組成物を製膜することで、末端カルボキシル基量が特定範囲のポリエステルフィルムを得てもよい。
また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合するとポリエステル成分の末端カルボキシル基量が特定範囲から外れて増大する傾向があるので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても40重量%以下とすることが好ましい。
また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合するとポリエステル成分の末端カルボキシル基量が特定範囲から外れて増大する傾向があるので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても40重量%以下とすることが好ましい。
本発明においては、前記延伸工程においてまたはその後に、フィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離型性等を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成したり、コロナ処理等の放電処理を施したりすることなどもできる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、この実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)ポリエステルフィルム中の1m2あたりの黒色顔料の含有量
ポリエステルフィルム中の1m2あたりの黒色顔料の含有量を測定した。すなわち、ポリエステルフィルムを100cm2採取し重量測定した値と、ポリエステルフィルム100cm2をベンジルアルコールに溶解後の不溶分のみの重量値とから、ポリエステルフィルム中の、黒色顔料の重量比率(重量%)、ならびに1m2あたりの黒色顔料の含有量(g/m2)を計算で求めた。
ポリエステルフィルム中の1m2あたりの黒色顔料の含有量を測定した。すなわち、ポリエステルフィルムを100cm2採取し重量測定した値と、ポリエステルフィルム100cm2をベンジルアルコールに溶解後の不溶分のみの重量値とから、ポリエステルフィルム中の、黒色顔料の重量比率(重量%)、ならびに1m2あたりの黒色顔料の含有量(g/m2)を計算で求めた。
(2)末端カルボキシル基量(当量/トン)
いわゆる滴定法によって、末端カルボキシル基量の量を測定した。すなわちポリエステルフィルムをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。なお、ポリエステルフィルム中にカーボンブラックや酸化鉄のような黒色顔料が含まれている場合は、ベンジルアルコールに対する不溶成分である黒色顔料を、遠心沈降法により取り除いたものに対し適定することで、ポリエステル成分に対する末端カルボキシル基量(当量/トン)を求めた。
いわゆる滴定法によって、末端カルボキシル基量の量を測定した。すなわちポリエステルフィルムをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。なお、ポリエステルフィルム中にカーボンブラックや酸化鉄のような黒色顔料が含まれている場合は、ベンジルアルコールに対する不溶成分である黒色顔料を、遠心沈降法により取り除いたものに対し適定することで、ポリエステル成分に対する末端カルボキシル基量(当量/トン)を求めた。
(3)触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。
蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。
(4)収縮率
無張力状態で150℃雰囲気中30分間、熱処理し、その前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて計算した。
加熱収縮率(%)=(L1−L0)/L0×100
(上記式中、L1(mm)は熱処理前のサンプル長であり、L0(mm)は熱処理後のサンプル長である)
無張力状態で150℃雰囲気中30分間、熱処理し、その前後のサンプルの長さを測定することにより次式にて計算した。
加熱収縮率(%)=(L1−L0)/L0×100
(上記式中、L1(mm)は熱処理前のサンプル長であり、L0(mm)は熱処理後のサンプル長である)
(5)耐加水分解性試験
パーソナルプレッシャークッカー装置(平山製作所社製)を用いて、ポリエステルフィルムを120℃−100%RHの雰囲気にてフィルムを48時間処理する。以下の引張破断伸度の経時変化を観測することで耐加水分解性の指標とした。
パーソナルプレッシャークッカー装置(平山製作所社製)を用いて、ポリエステルフィルムを120℃−100%RHの雰囲気にてフィルムを48時間処理する。以下の引張破断伸度の経時変化を観測することで耐加水分解性の指標とした。
(6)引張破断伸度
オートグラフAG−I(島津製作所社製)にて、得られたフィルムの製膜方向(MD方向)に対し、200mm/分の速度で、フィルムの機械的特性として破断伸度を測定した。処理前後での破断伸度の維持率(%)を下記の式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度維持率[%]=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
◎:維持率が80%以上
○:維持率が60〜80%
△:維持率が30〜60%
×:維持率が30%未満
オートグラフAG−I(島津製作所社製)にて、得られたフィルムの製膜方向(MD方向)に対し、200mm/分の速度で、フィルムの機械的特性として破断伸度を測定した。処理前後での破断伸度の維持率(%)を下記の式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度維持率[%]=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
◎:維持率が80%以上
○:維持率が60〜80%
△:維持率が30〜60%
×:維持率が30%未満
(7)可視光線透過率
島津製作所社製UV−3100を用いて可視光線透過率を算出した。波長550nmにおけ
る可視光線透過率について、以下の基準で評価した。
○:可視光線透過率が10%未満
△:可視光線透過率が10〜30%
×:可視光線透過率が30%以上
島津製作所社製UV−3100を用いて可視光線透過率を算出した。波長550nmにおけ
る可視光線透過率について、以下の基準で評価した。
○:可視光線透過率が10%未満
△:可視光線透過率が10〜30%
×:可視光線透過率が30%以上
(8)透過濃度の評価
マクベス濃度計TD−904型を用いて、フィルムを単枚で測定した。(この値が大きいほど、高い隠蔽性を表す。)表示値が安定後、読み取りを行った。得られた物性値を下記の基準で判断した。
○:透過濃度が2.0以上
△:透過濃度が0.50〜2.0
×:透過濃度が0.50未満
マクベス濃度計TD−904型を用いて、フィルムを単枚で測定した。(この値が大きいほど、高い隠蔽性を表す。)表示値が安定後、読み取りを行った。得られた物性値を下記の基準で判断した。
○:透過濃度が2.0以上
△:透過濃度が0.50〜2.0
×:透過濃度が0.50未満
<ポリエステル(1)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸カルシウム0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に三酸化アンチモン0.04部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には40パスカルとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリエステルを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.60、ポリマーの末端カルボキシル基量は35当量/トンであった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸カルシウム0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に三酸化アンチモン0.04部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には40パスカルとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリエステルを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.60、ポリマーの末端カルボキシル基量は35当量/トンであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(2)を得た。ポリエステル(2)の極限粘度は0.74、ポリマーの末端カルボキシル基量は9当量/トンであった。
ポリエステル(1)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(2)を得た。ポリエステル(2)の極限粘度は0.74、ポリマーの末端カルボキシル基量は9当量/トンであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後にリンの含有量が0.03部となるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.04部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)の極限粘度は0.63、ポリマーの末端カルボキシル基量は14当量/トンであった。
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後にリンの含有量が0.03部となるように正リン酸を添加した後、三酸化アンチモン0.04部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)の極限粘度は0.63、ポリマーの末端カルボキシル基量は14当量/トンであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
ポリエステル(3)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(4)を得た。ポリエステル(4)の極限粘度は0.69、ポリマーの末端カルボキシル基量は12当量/トンであった。
ポリエステル(3)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(4)を得た。ポリエステル(4)の極限粘度は0.69、ポリマーの末端カルボキシル基量は12当量/トンであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にリンの含有量が0.03部となるようにエチルアシッドホスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(5) を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63、ポリマーの末端カルボキシル基量は51当量/トンであった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にリンの含有量が0.03部となるようにエチルアシッドホスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(5) を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63、ポリマーの末端カルボキシル基量は51当量/トンであった。
<ポリエステル(6)の製造>
ポリエステル(5)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.85、ポリマーの末端カルボキシル基量は45当量/トンであった。
ポリエステル(5)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.85、ポリマーの末端カルボキシル基量は45当量/トンであった。
<カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)の製造法>
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を得た。
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を得た。
<カーボンブラックマスターバッチ(B-MB2)の製造法>
上記ポリエステル(5)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB2)を得た。
上記ポリエステル(5)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB2)を得た。
実施例1:
上記ポリエステル(2)およびポリエステル(3)を80:20の比率で混合したポリエステルを原料とし、さらに上記カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を2.5重量部添加した混合物を、1つのベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。得られたシートを縦方向に83℃で3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。
得られたフィルムを赤外線ヒーター直接加熱炉に通し、雰囲気温度150〜210℃ゾーンで処理時間9秒、処理時フィルム張力を40g/mm2で処理し、アニール処理を行った。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
上記ポリエステル(2)およびポリエステル(3)を80:20の比率で混合したポリエステルを原料とし、さらに上記カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を2.5重量部添加した混合物を、1つのベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。得られたシートを縦方向に83℃で3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った。得られたフィルムの平均厚さは50μmであった。
得られたフィルムを赤外線ヒーター直接加熱炉に通し、雰囲気温度150〜210℃ゾーンで処理時間9秒、処理時フィルム張力を40g/mm2で処理し、アニール処理を行った。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例2:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例3:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例4:
実施例3において、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を0.9重量部と変更した以外は、実施例3と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例3において、カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を0.9重量部と変更した以外は、実施例3と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例5:
実施例4のフィルム製膜条件のうち、製膜速度を5倍遅くした以外は、混合物中の配合比は変更せず、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの平均厚さは250μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例4のフィルム製膜条件のうち、製膜速度を5倍遅くした以外は、混合物中の配合比は変更せず、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの平均厚さは250μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
実施例6:
上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルに上記カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を2.5重量部添加した混合物を、ベント付き二軸押出機A(サブ)に直接投入するとともに、上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルをベント付き二軸押出機B(メイン)に直接投入した。双方の原料を二軸押出機中、290℃で溶融、混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/Aの構成となるように合流してスリット状に押出し、40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる多層シートを得た。
得られた未延伸シートを縦方向に83℃で3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った。得られたフィルムの平均厚さは250μmであり、A/B/Aの層構成比が25/200/25であった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルに上記カーボンブラックマスターバッチ(B-MB1)を2.5重量部添加した混合物を、ベント付き二軸押出機A(サブ)に直接投入するとともに、上記ポリエステル(2)およびポリエステル(4)を40:60の比率で混合したポリエステルをベント付き二軸押出機B(メイン)に直接投入した。双方の原料を二軸押出機中、290℃で溶融、混練し、得られた溶融体を多層Tダイ内でA/B/Aの構成となるように合流してスリット状に押出し、40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の2種3層からなる多層シートを得た。
得られた未延伸シートを縦方向に83℃で3.7倍延伸した後、テンターに導き、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った。得られたフィルムの平均厚さは250μmであり、A/B/Aの層構成比が25/200/25であった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
比較例1:
実施例1において、アニール処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、アニール処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例2:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(3)を40:60の比率で混合したポリエステルに変更し、かつ混合物中のカーボンブラックマスターバッチ(B−MB1)をカーボンブラックマスターバッチ(B−MB2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(3)を40:60の比率で混合したポリエステルに変更し、かつ混合物中のカーボンブラックマスターバッチ(B−MB1)をカーボンブラックマスターバッチ(B−MB2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例3:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(6)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(6)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例4:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例5:
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(4)を10:90の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル(1)およびポリエステル(4)を10:90の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例6:
実施例1において、混合物中のカーボンブラックマスターバッチの配合量を0.0重量部と変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、混合物中のカーボンブラックマスターバッチの配合量を0.0重量部と変更した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
黒色顔料を含有し、かつ特定範囲内の末端カルボン酸量とリン元素量を有するポリエステルフィルムは、光隠蔽性と加水分解試験後の引張特性も良好であることが分かる。また、アニール処理を施すことで収縮率が下がることが分かる。
本発明のフィルムは、例えば、太陽電池裏面封止フィルムを構成する素材として有用に利用することができる。
Claims (1)
- 黒色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、当該フィルム中のリン元素の含有量が0〜170ppmの範囲であり、フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、150℃で30分間処理後のフィルム長手方向の収縮率が0.8%以下であることを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向ポリエステルフィルム。
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