JP2015028962A - 太陽電池裏面封止用黒色ポリエステルフィルム - Google Patents

太陽電池裏面封止用黒色ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 耐加水分解性と耐紫外線性、生産性の低コスト化を達成した、太陽電池用裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 極限粘度(IV)が0.62〜0.73dl/gの範囲であり、末端カルボキシル基量(AV)が35当量/t以下であり、回収ポリエステルを15重量%以上含有し、ポリエステルフィルム中に黒色顔料成分を0.1重量%以上含有することを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、耐加水分解性と耐紫外線性、生産性の低コスト化を達成した、太陽電池用裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルムに関するものである。
光電変換効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、クリーンエネルギを得る手段として広く行われている。そして、太陽電池セルの光電変換効率の向上に伴って、多くの個人住宅にも太陽光発電システムが設けられるようになってきている。このような太陽光発電システムを実際のエネルギー源として用いるために、複数の太陽電池セルを電気的に直列に接続させた構成をなす太陽電池モジュールが使用されている。
太陽電池モジュールは高温高湿度環境で長期間使用されるので、太陽電池裏面封止用フィルムにも長期耐久性が求められる。例えば、特許文献1に、太陽電池裏面封止用フィルムとしてフッ素系フィルムを用いた技術が開示されている。この文献にはフッ素系フィルムにあらかじめ熱処理を施すことで、フッ素系フィルムの熱収縮率をあらかじめ低減させることが可能となり、封止材であるエチレンビニルアセテート(以下EVA)との真空ラミネート加工時の、耐候性や耐水性を初めとする物性の低下防止や、歩留まりの向上にも効果のあると記載されている。しかし、フッ素系フィルムは高価であるので、太陽電池モジュールも高価なものになってしまうという問題がある。
太陽電池裏面封止用フィルムとして、ポリエステル系フィルムが用いられている技術が開示されている。ポリエステル系フィルムを、高温高湿度環境で使用すると、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、機械的特性が劣化することが知られている。よって、ポリエステル系フィルムを屋外で長期(20年)にわたって使用する場合、あるいは高湿度環境で使用する場合を想定して、加水分解を抑制すべく様々な検討が行われている。
ポリエステルの加水分解は、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基量が高いほど分解が速いことが知られている。よって、特許文献2や特許文献3には、カルボン酸と反応する化合物を添加することで、分子鎖末端のカルボキシル基量を低減させることによる耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、これらの化合物は、製膜プロセスでの溶融押出工程、または、マテリアルリサイクル工程において、ゲル化を誘発し、異物を発生させる可能性が高く、環境的にも生産的にも好ましくない。
特許文献4には、ポリエステルの触媒と重合方法を最適化することで、ポリエステル分子鎖の末端カルボキシル基を低くする以外に、フィルムの極限粘度を高くすることで、耐加水分解性を向上させる技術が開示されている。しかし、回収原料を含有させていないため、コスト的に好ましくない。
特許文献5には、耐加水分解性樹脂フィルムと金属酸化物被着樹脂フィルムと白色樹脂フィルムからなる太陽電池裏面封止材に関する発明が記載されている。当該発明は、耐加水分解性の低いフィルムを内側に設けているので金属酸化物被着樹脂フィルムを要する。そのため、接着剤を介して3つのフィルムを貼り合わせる必要があり、高コストとなり好ましくない。
特開2002−83978公報 特開平9−227767号公報 特開平8−73719号公報 特開2012−017456公報 特開2002−100788号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、耐加水分解性と耐紫外線性、生産性の低コスト化を達成した、太陽電池用裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、極限粘度(IV)が0.62〜0.73dl/gの範囲であり、末端カルボキシル基量(AV)が35当量/t以下であり、回収ポリエステルを15重量%以上含有し、ポリエステルフィルム中に黒色顔料成分を0.1重量%以上含有することを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルムに存する。
本発明によれば、基材となるポリエステルフィルムが高温高湿度環境下でも優れた耐加水分解性を有し、屋外設置の太陽電池モジュールに適した耐紫外線性を有し、コストも低く抑えられた、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供できる。
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボキシル基濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボキシル基濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppm、アルミニウムであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppmの範囲とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。なお、本発明のポリエステルフィルム中の化合物の量は、蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出が可能である。
本発明のポリエステルフィルムで用いるポリエステル原料の触媒はチタンであることが、重合活性の観点から好ましい。また、チタン元素含有量は10ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは9ppm以下、特に好ましくは8ppm以下である。下限については特に設けないが、実際には2ppm程度が現在の技術では下限となる。チタン化合物の含有量が多すぎると、チタン原子の活性化が高いため、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生成しやすく、その結果裏面保護材とした際の他部材との接着性に劣る傾向がある。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣り、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、フィルム全体を測定したときに、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が、0〜170ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜50ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することがある。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェートなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、例えば、0.005〜5.0重量%の範囲から選択することができる。
ポリエステルフィルム中の黒色顔料は、カ−ボンブラック(チャンネル、ファ−ネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック、黒色酸化鉄、その他等の黒色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。その中でもカーボンブラックや黒色酸化鉄を用いることが好ましく、カーボンブラックを用いることがさらに好ましい。太陽電池セルとの色調の類似性、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響がほとんどないことを加味すると、カーボンブラックが本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムには好適である。
ポリエステル中の黒色顔料の含有量は0.1重量%以上であり、好ましくは0.2重量%以上である。ポリエステル中の黒色顔料の含有量が0.1重量%未満では、フィルムの着色性・隠蔽性が十分でなく、耐紫外線性が満足されない。上限に関しては特に設けないが、ポリエステル中の黒色顔料含有量を0.7重量%以上とすると、ポリエステルフィルム全体として着色性・隠蔽性が飽和し、黒色顔料含有量の耐紫外線性への効果が見えにくくなることがあり、また、コストが高くなる。
上記の黒色顔料は1種類を単独で用いても良いが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
ポリエステルフィルム中に上記の黒色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き二軸押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に黒色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、フィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする点で好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の黒色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の白色顔料、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にトリアジン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。もちろん、これらの紫外線吸収剤や添加剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層があれば塗布層を除いた部分)の末端カルボキシル基量(AV)を測定したときに、35当量/t以下であることが必要であり、好ましくは25当量/t以下、さらに好ましくは20当量/t以下である。末端カルボキシル基量が35当量/tを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボキシル基量が前述した範囲であることが必要である。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボキシル基量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は5当量/t程度である。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層を除いた部分)の極限粘度(IV)を測定したとき、0.62dl/g以上であることが必要であり、好ましくは0.63dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.62dl/g以上とすると、長期耐久性や耐加水分解性が良好なポリエステルフィルムが得られる。一方、ポリエステルフィルムの極限粘度の上限は0.73dl/g以下であり、好ましくは0.71dl/g以下、さらに好ましくは0.68dl/g以下である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.73dl/g以下とすることで、ポリエステルフィルムの生産時において押出機の負荷を低減させることとなり、吐出量が向上し、また生産性の良好なポリエステルフィルムを提供することができる。
通常ポリエステルフィルムは、口金から溶融押出しされ急冷固化された非晶質ポリエステルシートを延伸して得られる。そして、ポリエステルフィルムの製造時において、ポリエステルシートの端部は、押出しの際、ネックイン現象により厚くなり、クリップの噛み代として使用される。製品化するときに、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離される。また、耳部を取り除かれたマスターロールも、製品サイズにスリット時に、余剰のスリット耳が切断分離される。
本発明での回収ポリエステルとは、上述のような切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物、フレーク化物を乾燥して単軸押出機で溶融押出されたペレット化物、未乾燥のフレーク化物をベント付ニ軸押出機で溶融押出されたペレット化物等のことを示す。
本発明のポリエステルフィルム中の回収ポリエステルの含有量は、生産性やコストの観点から、15重量%以上であり、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。本発明のポリエステルフィルム中の回収ポリエステルの含有量の上限は特に設けないが、耐加水分解性の観点から80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。
また、耐加水分解性を維持する観点から、溶融押出されたペレット化物より、切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物を回収ポリエステルとして優先的に使用した方が好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量と極限粘度を特定範囲とするため、フィルム製造での、ポリエステル原料を溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などによって行われる。a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
上述のような切断分離された耳部フィルムやスリット耳を粉砕機にて粉砕化したフレーク化物、未乾燥の状態で押出機に直接供給できる点で、ベント付きニ軸押出機をポリエステルフィルム製膜時に使用するほうが好ましい。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)黒色顔料含有量(重量%)
ポリエステル原料、もしくは、ポリエステルフィルムからカッターにてスライスしたサンプルに対し、0.2g採取し20mlのフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶液に溶解し、遠心分離により黒色顔料のみを沈降させた後、上済み液を取り除く。上済み液を取り除いた後の試料を蒸発乾固させ、蒸発乾固後の試料の重量を測定する。得られた測定値と、最初に秤量した0.2gから、ポリエステル原料、ポリエステルフィルム中の黒色顔料含有量:C(重量%)を求める。
(2)末端カルボキシル基量(当量/t)
ポリエステルチップであったら粉砕する。ポリエステルフィルムであったら、ポリエステルフィルムからカッターにてスライスし、サンプルを採取する。
熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、上述で得られた黒色顔料含有量C(重量%)を用いて、ポリエステルフィルムもしくは粉砕したポリエステル原料を1.0g×100/(100−C)を精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール30mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム50mlを徐々に加えて室温まで冷却した。
遠心分離により黒色顔料のみを沈降させた後、上済み液を取り出した。上澄み液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。なお、上澄み液中には1.0gのポリエステル原料が含まれていると仮定する。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって酸価を算出した。
酸価(当量/t)=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である〕
なお、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。) 以下の式によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1(N)の塩酸水溶液の力価×0.1(N)の塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
(3)極限粘度(dl/g)
ポリエステルチップであったら粉砕する。ポリエステルフィルムであったら、ポリエステルフィルムからカッターにてスライスし、必要量を採取する。得られたサンプルを、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の中に、上述で得られた黒色顔料含有量C(重量%)を用いて、ポリエステルフィルムもしくは粉砕したポリエステル原料が、1.0×100/(100−C)(g/dl)となるよう精秤して添加する。120℃で10分間かけて溶解させた後、徐々に室温まで冷却させた。遠心分離により黒色顔料のみを沈降させた後、上済み液を取り出し、上済み液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、極限粘度(dl/g)を算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。なお、上済み液中のポリエステル原料の濃度は、1.0(g/dl)とする。
(4)触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製 型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルム中の元素量;P:リン、Ca:カルシウム、Ti:チタンを求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。また、フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。なお、この方法での検出限界は、通常1(ppm)程度である。
Figure 2015028962
(5)ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性装置(DVA−200 アイティー計測制御株式会社製)によって、二軸配向ポリエステルフィルムを、周波数10Hz、昇温速度10℃/分の条件下で測定した損失正接tanδのα分散によるピーク温度とした。
(6)融点(Tm)、
パ−キンエルマ社製DSC7型で10℃/分の昇温速度で得られた結晶融解による吸熱ピ−ク温度を融点とした。
(7)耐紫外線性
スガ試験機製スーパーキセノンウェザーメーター:SX75を用い、紫外線照射装置条件を以下のようにした。
放射照度:180W/m2 (300−400nmの範囲で)
フィルター:インナー/アウター=石英/#275
ブラックパネル温度:スプレー時/非スプレー時=非制御/63℃
試験槽内温度:スプレー時/非スプレー時=28℃/非制御
試験槽内湿度:スプレー時/非スプレー時=95%RH/50%RH
サイクル時間:スプレー時/非スプレー時=18分/102分
上記条件において、ポリエステルフィルムのポリエステル層(A)がある面に対して上述の条件で処理をし、オートグラフAG−I(島津製作所社製)にて、得られたフィルムの製膜方向とは同方向(MD)に対し、200mm/分の速度で、フィルムの機械的特性として引張破断伸度を測定し、引張破断伸度維持率を求めた。なお、引張破断伸度維持率は、下記式、すなわち紫外線照射前後の引張破断伸度の商から得られる。
引張破断伸度維持率[%]=「スーパーキセノンウェザーメーター処理後の引張破断伸度」÷「スーパーキセノンウェザーメーター処理前の引張破断伸度」×100
引張破断伸度維持率が10%未満に達した時間から、下記の基準で評価した。
◎:引張破断伸度維持率が10%未満に達した時間:500hr以上
○:引張破断伸度維持率が10%未満に達した時間:300hr以上500hr未満
△:引張破断伸度維持率が10%未満に達した時間:200hr以上300hr未満
×:引張破断伸度維持率が10%未満に達した時間:200hr未満
(8)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを60時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が20〜60%未満
×:保持率が20%未満
(9)原料コスト
本発明のポリエステルフィルム中の回収ポリエステルの含有量によって、下記基準で評価した。
◎:回収ポリエステルの含有量が60重量%以上
○:回収ポリエステルの含有量が30〜60重量%未満
△:回収ポリエステルの含有量が15〜30重量%未満
×:回収ポリエステルの含有量が15重量%未満
(10)フィルムの生産性
ポリエステルフィルムのマスターロール生産時のポリエステル原料の吐出量によって、下記基準で評価した。
◎:600kg/hr以上
○:450〜600kg/hr未満
△:300〜450kg/hr未満
×:300kg/hr未満
(11)総合評価
ポリエステルフィルムの(7)〜(10)の評価において、最も低いランクだった評価指標を総合評価とする。
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル原料(1)の製造法>
スラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールをそれぞれ毎時865重量部、485重量部で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートの0.3(重量%)エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりの燐原子としての含有量が0.129モル/樹脂tとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製した。このスラリーを、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力50kPa(0.5kg/cm)、平均滞留時間4時間に設定された第1段目のエステル化反応槽、次いで、窒素雰囲気下で260℃、相対圧力5kPa(0.05kg/cm)、平均滞留時間1.5時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、エステル化反応させた。また、その際、第2段目のエステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、酢酸マグネシウム4水和物の0.6 (重量%) エチレングリコール溶液を、得られるポリエステル樹脂1t当たりのマグネシウム原子としての含有量が0.165モル/樹脂tとなる量で連続的に添加すると共に、第2段目のエステル化反応槽に設けた別の上部配管を通じてエチレングリコールを毎時60重量部連続的に追加添加した。引き続いて、前記で得られたエステル化反応生成物を連続的に溶融重縮合槽に移送する際、その移送配管中のエステル化反応生成物に、テトラ−n−ブチルチタネートを、チタン原子の濃度0.15重量%、水分濃度を0.5重量%としたエチレングリコール溶液として、得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が0.084モル/樹脂tとなる量で連続的に添加しつつ、270℃、絶対圧力2.6kPaに設定された第1段目の溶融重縮合槽、次いで、278℃、絶対圧力0.5kPaに設定された第2段目の溶融重縮合槽、次いで、280℃、絶対圧力0.3kPaに設定された第3段目の溶融重縮合槽に連続的に移送して、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.65dl/gとなるように各重縮合槽における滞留時間を調整して溶融重縮合させ、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口から連続的にストランド状に抜き出して、水冷後、カッターで切断してチップ状粒状体としたポリエステル原料(1)を製造した。末端カルボキシル基量は14(当量/t)であった。
<ポリエステル原料(2)の製造法>
ポリエステル原料(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.82(dl/g)となるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル原料(2)を得た。末端カルボキシル基量は7(当量/t)であった。
<ポリエステル原料(3)の製造法>
攪拌機付き2リッターステンレス製オートクレーブに高純度テレフタル酸とエチレングリコールを仕込み、常法に従ってエステル化反応を行い、オリゴマー混合物を得た。このオリゴマー混合物に重縮合触媒として、(1)塩基性酢酸アルミニウムを20g/lのアルミニウム化合物含有量となるように調整したエチレングリコール溶液と、(2)4Lのエチレングリコールに3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチルを200g加えて185℃にて60分間還流下で攪拌後に冷却して得られたリン化合物のエチレングリコール溶液の混合物とを、アルミニウム元素の残存量が20ppm、リン元素の残存量が80ppmとなるように添加した。次いで、窒素雰囲気下、常圧にて250℃で10分間攪拌した。その後、60分間かけて280℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa0.1Torrとして、さらに280℃、13.3Pa下でポリエステルの極限粘度が0.55dl/gになるまで重縮合反応を行った。反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgのポリエステル樹脂チップ:ポリエステルチップ化した。ポリエステルチップの極限粘度は0.56dl/g、末端カルボキシル基量は13当量/tであった。上記の溶融重合によって得たポリエステルチップを0.5mmHgの減圧下、220℃で固相重合を行い、極限粘度が0.78(dl/g)、末端カルボキシル基量が7(当量/t)のポリエステル(3)を得た。
<ポリエステル原料(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が3.0(重量%)となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル原料(4)を得た。極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/tであった。
<ポリエステル原料(5)の製造法>
ポリエステル原料(4)製造方法において、の平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーの代わりに、平均粒子径0.8μmの合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1(重量%)となるように添加した以外は、ポリエステル原料(4)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル原料(5)を得た。極限粘度は0.62dl/g、末端カルボキシル基量は23当量/tであった。
<ポリエステル原料(6)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は45当量/tであった。上記ポリエステルチップを出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行って、ポリエステル原料(6)を得た。ポリエステル原料(6)の極限粘度は0.85dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は32当量/tであった。
<ポリエステル原料(7)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後に正リン酸0.12部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmのシリカ粒子0.08重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル原料(7)を得た。得られたポリエステル原料(7)の極限粘度は0.63dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は14当量/tであった。
<ポリエステル原料(8)の製造法>
ポリエステル原料(2)の製造において、出発原料をポリエステル原料(7)とすること以外は、同様の方法で、ポリエステル原料(8)を得た。得られたポリエステル原料(8)の極限粘度は0.80dl/g、ポリマーの末端カルボキシル基量は9当量/tであった。
<ポリエステル原料(9)の製造法>
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック;平均一次粒径30nm)を20重量%となるように供給してチップ化を行い、ポリエステル(9):カーボンブラックマスターバッチペレットを得た。得られたペレットのカーボンブラック濃度Cは20重量%、カーボンブラック濃度Cで補正したポリエステル成分の極限粘度は0.63dl/g末端カルボキシル基量は51当量/tであった。
<回収ポリエステル(1)の製造法>
表層の原料としてポリエステル原料(1)70重量%と、ポリエステル原料(5)30重量%を混合し、中間層の原料として、ポリエステル原料(1)84重量%とポリエステル原料(5)16(重量%)を混合し、2台のベント付きニ軸押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.1倍の横延伸を施した後、220℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に4%の弛緩を加え、全厚みが38μm(層構成:表層4μm/中間層30μm/表層4μm)の幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳として切断分離を行った。切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を乾燥後単軸押出機に供給し、290℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル(1)とする。回収ポリエステル(1)の極限粘度は0.55dl/g、末端カルボキシル基量は43当量/tであった。
実施例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、200℃で熱処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(2)とする。回収ポリエステル(2)のIVは0.73dl/g、AVは13当量/tであった。
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(2)を未乾燥の状態にて、76.8:2.2:1.0:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;450kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、200℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A1)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A1)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。粉砕機にて粉砕化して、回収ポリエステル用に貯めた。
実施例2:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(1)を68.0:3.0:1.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、210℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A2)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A2)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(3)とする。回収ポリエステル(3)のIVは0.67dl/g、AVは22当量/tであった。
実施例3:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、回収ポリエステル(1)、回収ポリエステル(3)を48.0:3.0:1.0:28.0:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、205℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A3)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A3)を得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳もまた粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
実施例4:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(1)を59.0:1.0:40.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;600kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、195℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A4)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A4)を得た。本スリット時に、生成された余剰のスリット耳もまた粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
実施例5:
実施例2において、ポリエステル原料(2)ではなく、ポリエステル原料(3)にすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(A5)を得た。
実施例6:
粉砕化物である回収ポリエステル(2)を乾燥後単軸押出機に供給し、290℃環境下で溶融押出後、ペレット化したポリエステルを、回収ポリエステル(4)とする。回収ポリエステル(4)の極限粘度は0.67dl/g、末端カルボキシル基量は20当量/tであった。上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(4)を26.2:2.8:1.0:70.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、200℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A6)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A6)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
実施例7:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(1)を68.0:1.0:3.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、210℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(A7)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(A7)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
比較例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、を96.0:3.0:1.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;300kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、200℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(B1)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い廃棄した。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(B1)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行い廃棄した。得られたポリエステルフィルムの評価結果は表4に示す。
比較例2:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(4)を96.0:4.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;200kg/hr、シリンダー温度;280℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、200℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ250μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。
切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を回収ポリエステル(5)とする。回収ポリエステル(5)のIVは0.73(dl/g)、AVは13(当量/t)であった。
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(5)を未乾燥の状態にて、76.8:2.2:1.0:20.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;200kg/hr、シリンダー温度;280℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、205℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μmのポリエステルフィルム(B2)のマスターロールを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例3:
実施例2において、ポリエステル原料(2)ではなく、ポリエステル原料(6)にすることを除き、実施例2と同様な方法でポリエステルフィルム(B3)を得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例4:
上記ポリエステル原料(1)およびポリエステル原料(4)を96:4の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、口金から流出した非晶質のポリエステルシートを、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、クリップで掴まれた縦延伸シートを横方向に120℃で3.8倍延伸し、221℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ250μm、幅2000mmのポリエステルフィルムのマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行った。このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルムを得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行った。切断分離された耳部フィルムおよびスリット耳を粉砕機にて粉砕化した。得られた粉砕化物を、回収ポリエステル(6)とする。回収ポリエステル(6)のIVは0.62(dl/g)、AVは20(当量/t)であった。
上記ポリエステル原料(1)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(6)を未乾燥の状態にて、66.2:2.8:1.0:30.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、205℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μmのポリエステルフィルム(B4)のマスターロールを得た。なお、本マスターロールを得る際、口金からのネックイン現象により分厚くなり、クリップの噛み代として使用された、ポリエステルフィルムの端部は、耳部フィルムとして切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
このマスターロールの両端から400mmの位置よりスリットを行い、製品幅1200mm幅のポリエステルフィルム(B4)を得た。本スリット時に、生成された余剰分についてはスリット耳として切断分離を行い、粉砕機にて粉砕化し、回収ポリエステルとして貯めた。
比較例5:
実施例4において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、ポリエステル原料(9)、および回収ポリエステル(1)を26.0:3.0:1.0:70.0の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例6:
実施例2において、混合物中のポリエステル原料に関して、上記ポリエステル原料(8)、ポリエステル原料(9)、回収ポリエステル(1)を69.0:1.0:30.0の比率で混合したポリエステルに変更した以外は、実施例2と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
比較例7:
上記ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(4)、および回収ポリエステル(1)を68.0:4.0:28.0の比率で混合したポリエステルを原料とし、口径90mmのベント付き二軸押出機により、吐出量;500kg/hr、シリンダー温度;290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で3.8倍延伸し、210℃で熱固定処理を行った後、弛緩し、厚さ270μm、幅2000mmのポリエステルフィルム(B5)のマスターロールを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
Figure 2015028962
Figure 2015028962
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 極限粘度(IV)が0.62〜0.73dl/gの範囲であり、末端カルボキシル基量(AV)が35当量/t以下であり、回収ポリエステルを15重量%以上含有し、ポリエステルフィルム中に黒色顔料成分を0.1重量%以上含有することを特徴とする太陽電池裏面封止用二軸配向黒色ポリエステルフィルム。
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