JP2013041897A - 太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム - Google Patents

太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 耐候性の良好なフルオロポリマーとの耐加水分解性に優れる接着性を有する太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65dl/g以上であり、面配向度ΔPの範囲が0.145〜0.164であるポリエステルフィルムからなることを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルム上にフルオロポリマーからなる層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、少なくとも一方の面が耐候性に良好なフルオロポリマーとの耐湿熱接着性の良好な、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものである。
太陽光発電は、近年、クリーンで、地球温暖化防止に役立つエネルギー源として非常に注目を集めており、既にかなりの普及が始まりつつある。この太陽光発電の代表として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等の半導体を使った太陽電池を挙げることができる。太陽電池は、半導体に太陽光が当たると電流を取り出せるという原理を実用化したものである。
太陽電池は、ガラス/封止材(主にEVA)/半導体/封止材(主にEVA)/裏面保護材で構成される。この太陽電池は、設置される場所が、砂漠や荒地などの未利用地や、家屋あるいは大型建造物の屋根などであり、何れも太陽があたる場所である。よって、太陽電池は、裏面保護材にも太陽光に対する耐候性が要求される。また、通常湿潤環境下に置かれることから、耐湿熱性も要求される。
このような裏面封止材について、特許文献1には、ポリエステルフィルム上に、片面にフルオロポリマー層を設けた、太陽電池裏面保護材に関する発明がなされている。当該発明による太陽電池裏面保護材は、フルオロポリマーがあるため、太陽光に対する耐性を有している。しかしながら、当該発明による太陽電池裏面保護材を高温多湿の地域で用いた場合のポリエステルフィルムとフルオロポリマー間の耐湿熱接着性については、考慮されていない。
特表2010−519742号公報
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルフィルムとフルオロポリマーとの耐湿熱接着性の良好な太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65dl/g以上であり、面配向度ΔPの範囲が0.145〜0.164であるポリエステルフィルムからなることを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム、および当該ポリエステルフィルム上にフルオロポリマーからなる層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用部材に存する。
本発明によれば、ポリエステルフィルムとフルオロポリマー間の耐湿熱接着性を有する太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供できる。また、本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを用いることにより、耐湿熱接着性、耐候性の良好な太陽電池裏面保護材用部材を提供できる。
本発明は、基材となるポリエステルフィルムが高温高湿度環境下でも優れた耐加水分解性を有すると同時に、ポリエステルの面配向を制御することにより、ポリエステルフィルム上のフロオロポリマーとのポリエステル層脆性破壊由来のデラミネーションを抑制することで、初めてフルオロポリマーに対する耐加水分解性易接着性フィルムとなる、との技術思想に基づくものである。
基材のポリエステルフィルムが耐加水分解性に劣る、もしくは面配向が請求範囲から外れる場合、フルオロポリマーの積層されたポリエステルフィルムからなる太陽電池裏面保護材用部材としては、満足する物性を得られなくなってしまう。
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボキシル基濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボキシル基濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppmの範囲とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明のポリエステルフィルムで用いるポリエステル原料の触媒はチタンであることが、透明性の点で好ましい。また、チタン元素含有量は10ppm以下であることが好ましく、さらに好ましくは9ppm以下、特に好ましくは8ppm以下である。下限については特に設けないが、実際には2ppm程度が現在の技術では下限となる。チタン化合物の含有量が多すぎると、チタン原子の活性化が高いため、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生成しやすく、その結果裏面保護材とした際の他部材との接着性に劣る。また、チタン元素を全く含まない場合、ポリエステル原料製造時の生産性が劣り、目的の重合度に達したポリエステル原料を得られないことがある。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、耐加水分解性を損なわない範囲であれば、着色顔料を含有してもよい。屋根の色と調和する着色であれば制限はない。この着色顔料には、公知の無機顔料、有機顔料などを用いることができる。
使用される無機顔料としては、例えば、二酸化チタンや硫酸バリウムのような白色顔料、ベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、などの赤色顔料、赤口黄鉛、クロムパーミリオンなどの橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーンなどの緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエローなどの黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの紫色顔料、黒色酸化鉄などの黒色顔料が挙げられる。黒色顔料には、カーボンブラック(チャネル、ファーネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック等も用いることもできる。
また、有機顔料としては、例えば縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、オキサジン、キサンテン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などを挙げることができる。これらのなかでは、有機顔料よりも無機顔料やカーボンブラックやカーボンナノチューブなどの方が、ポリエステルの溶融成型時の耐熱性や、屋外で使用した際の耐光性に優れることが多い。また、これらのなかでも、太陽電池セルとの色調の類似性、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響が殆ど無いことを加味すると、カーボンブラックが本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムには好適である。
上記の着色顔料は1種類を単独で用いてもよいが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては、通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
ポリエステルフィルム中に添加する上記着色顔料の他に、色調を調整するなどの目的で、付加的に白色顔料を併用して添加することができる。この白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなどを例示することができる。白色顔料の平均粒径は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲で選択できる。そして調色した後のフィルムの色調は、明度(L)は40%以下、さらには30%以下とするように添加量を調節して、太陽電池セルの色調(明度)に近づけることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステルフィルム中には、上記の着色顔料や白色顔料の他に、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、0.005〜5.0重量%の範囲で選択することができる。
ポリエステルフィルム中に上記の着色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き二軸押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に着色顔料や白色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、フィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする点で好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の着色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。
これらの添加剤や紫外線吸収剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を1台用いて単層フィルムとすることもできるが、溶融押出機2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることもできる。積層フィルムの場合の層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体の末端カルボキシル基量を測定したときに、26当量/トン以下であることが必要であり、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボキシル基量が26当量/トンを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る。
一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボキシル基量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は5当量/トン程度である。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によって測定されるフィルム全体の極限粘度が0.65dl/g以上であることが必要であり、好ましくは0.68dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.65dl/g未満とすると、ポリエステルの耐加水分解性が劣ってしまう。
一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルフィルムの極限粘度の上限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での圧力上昇防止の点から0.90dl/g程度である。
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量と極限粘度を特定範囲とするため、フィルム製造での、ポリエステル原料を溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などによって行われる。
a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
また、低末端カルボキシル基量でかつ高極限粘度のポリエステル原料を用いて製膜することで、末端カルボキシル基量が特定範囲のポリエステルフィルムを得ることも重要である。具体的には、原料ポリエステルの末端カルボキシル基量が、トータルとして20当量/トン、さらには15当量/トン以下とすることが好ましい。原料ポリエステルの末端カルボキシル基量を低くする方法としては、重合効率を上げる方法や重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法、溶融重合と固相重合とを併用するなどの従来公知の方法を採用しうる。例えば、重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。固相重合を併用する場合には、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等の不活性気流中で180〜240℃の温度範囲で固相重合を施せばよく、得られるポリエステルの極限粘度は0.70dl/g以上であることが好ましく、0.80dl/gであることがさらに好ましい。
また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボキシル基量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、リン元素量が、0〜170ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜140ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することになるため好ましくない。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェートなどが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムは、後述する測定方法によるポリエステルフィルムの面配向度ΔPが0.164以下であることが必要で、好ましくは0.162以下である。ΔPが上述の範囲以上だと、フルオロポリマー層を塗工したポリエステルフィルムに対して湿熱処理をすると、ポリエステルフィルムがデラミネーションを起こしやすくなり、その結果フルオロポリマー層とポリエステルフィルムとの耐湿熱密着性が低下するため好ましくない。ポリエステルフィルムの面配向度ΔPの下限は0.145であり、上述の範囲未満だと、ポリエステルフィルムそのものの耐加水分解性が低下する。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
当該ポリエステルフィルム上のフルオロポリマー層は、例えば、アルキルビニルエーテル(VE)や反応性OH官能基を有するフルオロポリマーと、有機チタネート/シラン/イソシアネート/メラミンからなる群より選ばれる架橋剤とを含有するフルオロポリマーを含有する液体を、ポリエステルフィルム上に塗工することにより設けても良い。このフルオロポリマー層とポリエステルフィルム層との密着性を向上させるべく、あらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
フルオロポリマー液体配合中に使用することのできるフルオロポリマーには、Lumiflon(登録商標:旭硝子(株))、および、Zeffle(登録商標:ダイキン(株))が含まれるが、これに限定するものではない。
Lumiflon(登録商標)は、幾つかの特定のアルキルビニルエーテル(VE)を有するクロロトリフルオロエチレン(CTFE)のアモルファスフルオロポリマーである。
Zeffle(登録商標)は、高性能ペイントおよびコーティングにおける主剤として使用されるために調合された、テトラフルオロエチレンと反応性OH官能基を有する炭化水素との溶液型コポリマーである。
フルオロポリマー層中に含有させることのできる任意の顔料および充填材には、二酸化チタン、カーボンブラック、ペリレン顔料、色素、染料、マイカ、ポリアミド粉末、窒化硼素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、UV吸収剤、腐蝕防止剤、および乾燥剤が含まれるがこれらに限定されるものではない。好ましい顔料の一つは、二酸化チタンであるTi−Pure(登録商標)R−105(DuPont社)である。好ましい疎水性変性シリカの一つはCab−o−sil TS720(Cabot社)である。顔料、UV吸収剤、および腐蝕防止剤は、不透過率および耐候性を付与するように機能する。Orgasol(登録商標)Ultrafineは好ましいポリアミド粉末(Arkema Inc社)であり、光沢を減退させるために含有させることができる。カーボンブラック、顔料、および染料は、バックシートの色を変化させるために含有させることができる。マイカは難燃性を付与するために含有させることができる。窒化硼素、窒化アルミニウム、および/または酸化アルミニウムは、熱伝導性を向上させるために含有させることができる。Cloisite(登録商標)Nanoclays(Southern Clay Products社)、3M(登録商標)Glass Bubblesおよび乾燥剤は、湿分バリヤ性を向上させるために含有させることが好ましい。シリカおよび/または窒化硼素は誘電性を向上させるために含有させることが可能である。また、シリカを、光沢を減退させ、難燃性を付与するために含有させることができる。
フルオロポリマー溶液を形成するために用いることのできる有機溶媒には、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、トルエン、キシレン、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ヘプタン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、n−ブチルアルコール、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。好ましい溶媒には、キシレン、シクロヘキサノン、およびメチルエチルケトン(MEK)が含まれる。適切な溶媒は、全ての成分が溶解し、コーティング中の残留溶媒を最小限にするまたは除去するようにその沸点が十分に低いものである。
フルオロポリマー層の脆性破壊を防止するために、フルオロポリマー溶液中に架橋剤を用いることが好ましい。好ましい架橋剤には、DuPont Tyzor(登録商標)有機チタネート、シラン、イソシアネート、およびメラミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。耐候性を確保するためには脂肪族イソシアネートが好ましく、その理由は太陽電池裏面保護材が一般的に30年以上の屋外での使用を意図するものであるからである。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)末端カルボキシル基量(当量/トン)
ポリエステルチップであったら粉砕する。ポリエステルフィルムであったらカッターにてスライスし、サンプルを採取する。熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から1.0gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール30mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム50mlを徐々に加えて室温まで冷却した。得られた溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式によって末端カルボキシル基量(当量/トン)を算出した。
末端カルボキシル基量当量/t=(A−B)×0.1×f/W
〔ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の量(μl)、Wは、ポリエステル樹脂試料の量(g)、fは、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価である〕
なお、0.1(N)の苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで、力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った)。
以下の式によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの苛性ソーダのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)
(2)極限粘度:IVdl/g
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cmの溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηを測定し、極限粘度:IVdl/gを求めた。
(3)面配向度(ΔP)
アタゴ光学社製アッベ式屈折計を用い、フィルム面内の屈折率の最大値nγ、それに直角の方向の屈折率nβ、およびフィルムの厚さ方向の屈折率nαを測定し、次式より面配向度を算出した。なお、屈折率の測定は、ナトリウムD線を用い、23℃で行った。
Figure 2013041897
(4)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを60時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が30〜60%未満
×:保持率が30%未満
(5)フルオロポリマー層との耐湿熱接着強度
<溶液調整方法>
Lumiflon(登録商標)は、旭硝子(株)よりキシレンの60%溶液(200g)として入手したLF200グレードのものである。本実施例で用いる顔料は、DuPont社から入手したTi−Pure(登録商標)R−105(76.2g)である。架橋剤はBayer社から入手したDesmodur(登録商標)N3300(21.4g)である。高せん断ミキサーを用いて顔料をLumiflon(登録商標)溶液と混合し、溶媒および架橋剤を加えた。
<ポリエステルへの塗布>
あらかじめフルオロポリマーをコーティングするポリエステル面に、90W・分/mの条件でコロナ放電処理を施した。溶液をポリエステルフィルムへ塗布した。液体配合をアプリケーターロールによって受皿からフィルムに移し、マイヤーロッドによって計量して所望されるコーティング重量を得た。30g/mのコーティング重量でコーティングを塗布する。
<耐湿熱接着強度>
フルオロポリマー層を形成したサンプルを、平山製作所製:パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを24時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した。
当該フィルムに碁盤目のクロスカット(1mmの升目を100個)を施し、その上に18mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−18)を貼り付け、180度の剥離角度で急激にはがした後、剥離面を観察した。評価結果を下記とする。
○:剥離面積が20%未満
△:剥離面積が20%以上50%未満
×:剥離面積が50%以上
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル原料例は以下のとおりである。
<ポリエステル(1)の製造法>
1個のスラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で100:45の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が4重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で267℃、相対圧力100kPa、平均滞留時間4時間に設定され、反応生成物が存在する第1段目のエステル化反応槽に連続的に流量120kg/hrで供給し、次いで、第1段目のエステル化反応生成物を、窒素雰囲気下で265℃、相対圧力5kPa、平均滞留時間2時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、さらにエステル化反応させた。その際、第2段エステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、エチレングリコールを生成するポリエステル樹脂に対して322モル/トンになる量を連続的に供給した。この場合、第2段エステル化反応槽におけるエステル化率は97%であった。
上述のエステル化反応生成物を、移送配管を経由して第1段重縮合反応槽に連続的に供給した。このとき移送配管に設けた移送ポンプの吐出圧は500kPaであった。移送配管中のエステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール0.6 重量%溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してマグネシウム原子としての含有量が7重量ppmとなる量で連続的に添加した。添加配管を使用して、テトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が4重量ppmとなる量だけ連続的に添加した。
溶融重縮合の反応条件は、第1段重縮合反応槽が269℃、絶対圧力4kPa、平均滞留時間1時間であり、第2段重縮合反応槽は274℃、絶対圧力0.4kPa、平均滞留時間0.9時間、第3段重縮合反応槽は277℃、絶対圧力0.2kPa、平均滞留時間1時間であった。第3段重縮合反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却固化し、カッターで切断して1個の重さが平均粒重24mgのポリエステル樹脂チップ:ポリエステル(1)とした。ポリエステル(1)の極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は14当量/tであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるようにチップが重ならないようにした状態で連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.83dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(2)を得た。末端カルボキシル基量は6当量/tであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール200重量部とを出発原料とし、エステル交換触媒として、酢酸マグネシウム・4水和物を得られるポリエステル樹脂1tあたりのマグネシウム含有量が46g/樹脂tとなる量で、加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム・4水和物、そしてテトラ−n−ブチルチタネートとの混合物からなるエチレングリコールスラリー溶液を添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。なお、エチレングリコールスラリー溶液中の各化合物の量は、得られるポリエステルに対する含有量について、シリカ粒子は3.0重量%となるように、エチルアシッドホスフェートについてはリン元素量として74g/樹脂tとなるように、酢酸マグネシウム・4水和物については、マグネシウム元素量とし46g/樹脂tとなるように(エステル交換時に添加したマグネシウムも含めて、マグネシウム元素量として合計92g/樹脂tとなる)、テトラ−n−ブチルチタネートについてはチタン元素量として5g/樹脂tとなるように、調整してある。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(3)を得た。極限粘度は0.60dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/tであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(4)のチップを得た。極限粘度は0.55dl/g、末端カルボキシル基量は35当量/tであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
ポリエステルチップ(4)を真空下220℃で固相重合し、ポリエステル(5)を得た。極限粘度は0.75dl/g、末端カルボキシル基量は25当量/tであった。
<ポリエステル(6)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステル(6)のチップを得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は45当量/tであった。
<ポリエステル原料(7)の製造法:製造比較例>
ポリエステル原料(1)の製造法において、エステル化反応生成物を重合させる際に、テトラ−n−ブチルチタネートを、添加しないことを除いて、ポリエステル原料(1)と同様な条件でポリエステル原料(7)を重合した。得られたポリエステルチップの極限粘度は0.49dl/gであり、脆化が激しくポリエステルフィルムの製膜に不適な原料であった。
実施例1:
上記ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)を96:4の比率で混合したポリエステルを原料とし、ベント付き二軸押出機に投入した。なお、ベント付き二軸押出機の内径Dは44mm、吐出量Qは21kg/hr、スクリュー回転数Nは140rpm、ベント孔の減圧度は5mmHgとした。原料を二軸押出機中、290℃で溶融混練し、得られた溶融体をスリット状に押出しする。静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸の単層シートを得た。得られたシートを縦方向に89℃で3.3倍延伸した後、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各ゾーンにおける温度(℃)を85/95/107/173/231/231℃に設定したテンターに導くことでフィルム製膜を行った。その際、横方向に4.0倍延伸させた。得られたポリエステルフィルムの厚さは50μmであった。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例2:
実施例1の製造方法において、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/108/175/237/237℃に設定したテンターに導くことを除いて、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表1に示す。
実施例3:
実施例1の製造方法において、表1記載の原料配合とすること、ならびに、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/108/173/235/235℃に設定したテンターに導くことを除いて実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。
実施例4:
実施例1の製造方法において、表1記載の原料配合とすること、ならびに、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/108/172/236/236℃に設定したテンターに導くことを除いて実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。
比較例1:
実施例1の製造方法において、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/107/170/220/220℃に設定したテンターに導くことを除いて、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
比較例2:
実施例1の製造方法において、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/107/175/240/240℃に設定したテンターに導くことを除いて、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。
比較例3および4:
実施例1の製造方法において、表2記載の原料配合とすること、ならびに、予熱/横延伸1/横延伸2/熱固定1/熱固定2/熱固定3の各温度について、85/95/108/173/235/235℃に設定したテンターに導くことを除いて実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムに関して、「フィルム伸度耐加水分解性」「フルオロポリマー層との耐湿熱接着強度」を評価。特性を下記表1と表2に示す。
Figure 2013041897
Figure 2013041897
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムとして好適に利用することができる。また、フルオロポリマーをコートすることにより、太陽電池裏面保護材用部材として利用することができる。

Claims (2)

  1. 末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であり、極限粘度が0.65dl/g以上であり、面配向度ΔPの範囲が0.145〜0.164であるポリエステルフィルムからなることを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1に記載のポリエステルフィルム上にフルオロポリマーからなる層を有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用部材。
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