JP5815276B2 - 太陽電池用バックシート用ポリマーシート及びその製造方法並びに太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池用バックシート用ポリマーシート及びその製造方法並びに太陽電池モジュールに関する。
太陽電池は、発電時に二酸化炭素の排出がなく環境負荷が小さい発電方式であり、近年急速に普及が進んでいる。
太陽電池モジュールは、通常、太陽光が入射する側のガラスと、太陽光が入射する側とは反対側(裏面側)に配置される、いわゆるバックシートとの間に、太陽電池セルが挟まれた構造を有している。ガラスと太陽電池セルとの間、及び太陽電池セルとバックシートとの間は、それぞれEVA(エチレン−ビニルアセテート)樹脂などで封止されている。
バックシートは、太陽電池モジュールの裏面からの水分の浸入を防止する働きを有するものであり、コスト等の観点からポリエステルが用いられるようになってきている。そして、バックシートは、単に水分の透過を抑制する機能を有するだけでなく、耐久性、光反射性、電気絶縁性なども求められ、例えば、ポリマー支持体に耐候性を高める層や、酸化チタン等の白色無機微粒子を添加し、反射性能を持たせた着色層などを積層して構成される。
また、接着性に優れ、厚みを薄くすることができる太陽電池用バックシートとして、例えば、Si蒸着したポリマーシート等の水不透過性シートの一方の面に硬化性官能基を含有するフッ素系ポリマー塗料の硬化塗膜を形成した太陽電池用バックシートが提案されている(特許文献1参照)。
また、フルオロコポリマー、架橋剤等を含む塗布液を塗布してアモルファスフルオロコポリマー層を設けた太陽電池用バックシートが提案されている(特許文献2参照)。
特開2007−35694号公報 特表2010−519742号公報
含フッ素ポリマー層は耐候性が高く、この層を有する太陽電池用バックシートを用いることにより太陽電池モジュールの長寿命化を図ることができる。しかし、含フッ素ポリマー層は接着性が小さく、特に長期間使用すると剥離し易い。
本発明は、耐久性が高いポリマー層を有し、該ポリマー層の接着性が長期間にわたって保持される太陽電池用バックシート用ポリマーシートを提供することを主な目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ポリマー支持体と、アクリル/シリコーン複合樹脂又は、溶解度パラメーターが9.5〜14.0(cal/cm0.5である、アクリル樹脂、若しくはポリエステル樹脂であるバインダー及び白色顔料を含有し、且つ、架橋剤に由来する架橋構造を有し、0.05〜10μmの厚みで、前記ポリマー支持体の少なくとも片面に設けられている下塗り層と、少なくともフッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、且つ、架橋剤に由来する架橋構造を有し、0.8〜12μmの厚みで、前記ポリマー支持体の少なくとも片面側の前記下塗り層に接して設けられている含フッ素ポリマー層と、
を有する太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<2> 前記ポリマー支持体が、カルボキシル末端基濃度が4.0mol/ton以上15mol/ton以下であり、示差走査熱量測定(DSC)により求められる微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)が220℃以下であり、温度125℃、湿度100%の条件下72時間放置後の平均伸度保持率が10%以上である<1>に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<3> 前記下塗り層が0.5〜8.0μmの厚みを有する<1>又は<2>に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<4> 前記下塗り層に含まれる前記バインダーが、15〜30質量%のポリシロキサン構造単位を有するアクリル/シリコーン複合樹脂である<1>〜<3>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<5> 前記下塗り層が、該下塗り層に含まれる前記バインダーに対して0.5〜25質量%の前記架橋剤を含有し、これに由来する前記架橋構造を有する<1>〜<4>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<6> 前記下塗り層が、4〜12g/mの前記白色顔料を含有する<1>〜<5>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<7> 前記含フッ素ポリマー層が、該含フッ素ポリマー層に含まれる前記バインダーに対して0.5〜25質量%の前記架橋剤を含有し、これに由来する前記架橋構造を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<8> 120℃、100%RHの条件で50時間保存した後の破断伸びが、保存する前の破断伸びに対して50%以上である<1>〜<7>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<9> 前記ポリマー支持体の前記下塗り層が設けられている面が表面処理されている<1>〜<8>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<10> 前記含フッ素ポリマー層が、塗布によって形成された含フッ素ポリマー層である<1>〜<9>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<11> 前記下塗り層の厚みが0.5〜7μmであり、且つ、前記含フッ素ポリマー層の厚みが1.0〜10μmである<1>〜<10>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
<12> <1>〜<11>のいずれかに記載された太陽電池用バックシート用ポリマーシートを備えた太陽電池用バックシート。
<13> 前記含フッ素ポリマー層が最外層として配置されている<12>に記載の太陽電池用バックシート。
<14> 前記ポリマー支持体の片面側に着色層が設けられている<12>又は<13>に記載の太陽電池用バックシート。
<15> 前記ポリマー支持体の前記含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、封止材に対する接着力が5N/cm以上である易接着層が設けられている<12>〜<14>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<16> バリア層又は金属シートをさらに有する<12>〜<15>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<17> 前記太陽電池用バックシート用ポリマーシートの前記含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、接着剤を介して他のポリマーシートが貼り合わされている<12>〜<16>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
<18> <12>〜<17>のいずれかに記載された太陽電池用バックシートを備えた太陽電池モジュール。
<19> <1>〜<11>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートを製造する方法であって、前記ポリマー支持体の少なくとも片面に前記下塗り層を備えたポリマーシートを用意する工程と、前記フッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液を前記下塗り層上に塗布する工程と、前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成する工程と、を有する太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
<20> 前記ポリマーシートを用意する工程は、前記下塗り層を構成するバインダー及び白色顔料を含む塗布液を前記ポリマー支持体の少なくとも片面に塗布する工程と、該ポリマー支持体に塗布した塗布液を乾燥させる工程を含む<19>に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
<21> 前記含フッ素ポリマー層を形成する工程は、前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成した後、該含フッ素ポリマー層を硬化させる<19>又は<20>に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
<22> 前記ポリマー支持体の片面側に着色層を設ける工程をさらに有する<19>〜<21>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
本発明によれば、耐久性が高いポリマー層を有し、該ポリマー層の接着性が長期間にわたって保持される太陽電池用バックシート用ポリマーシート及びその製造方法並びに太陽電池モジュールが提供される。
太陽電池モジュールの構成例を示す概略断面図である。
以下、本発明の太陽電池用バックシート用ポリマーシート及びその製造方法並びに太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
<太陽電池用バックシート用ポリマーシート>
本発明に係る太陽電池用バックシート用ポリマーシートは、ポリマー支持体と、ポリマー支持体の少なくとも片面に設けられている下塗り層と、ポリマー支持体の少なくとも片面側の下塗り層に接して設けられている含フッ素ポリマー層と、を有するものである。下塗り層はバインダーを含有し、0.05〜10μmの厚みを有し、含フッ素ポリマー層は少なくともフッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、0.8〜12μmの厚みを有する。本発明に係る太陽電池用バックシート用ポリマーシート(以下、単に「ポリマーシート」とも称する)は、太陽電池用バックシート(以下、単に「バックシート」とも称する。)として機能させることができるポリマーシートである。
本発明のポリマーシートは、前記ポリマー支持体、前記下塗り層、及び前記含フッ素ポリマー層のみで構成されていてもよいし、前記ポリマー支持体の面上又は前記含フッ素ポリマー層の面上、あるいは両方の面上に、必要に応じて選択される他の層(例えば、着色層、易接着性層等)を有するものであってもよい。他の層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
−ポリマー支持体−
ポリマー支持体(基材)としては、ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、又はポリフッ化ビニルなどのフッ素系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、ポリエステルが好ましく、中でも力学的物性やコストのバランスの点でポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
本発明のポリマー支持体として用いるポリエステル中のカルボキシル基含有量は55モル/t以下が好ましく、より好ましくは35モル/t以下である。カルボキシル基含有量が55モル/t以下であると、耐加水分解性を保持し、湿熱経時したときの強度低下を小さく抑制することができる。これにより、120℃、100%RHの条件で50時間保存した後の破断伸びが、保存する前の破断伸びに対して50%以上である太陽電池用バックシートが得られる。以下、当該条件により湿熱処理したバックシートの処理前後における破断伸びの保持率を、単に「破断伸び保持率」とも称する。本発明のポリマーシートは、破断伸び保持率が、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
なお、カルボキシル基含有量の下限は、ポリマー支持体上に形成される下塗り層との間の接着性を保持する点から2モル/tが望ましい。
ポリエステル中のカルボキシル基含有量は、重合触媒種、製膜条件(製膜温度や時間)、固相重合により調整することが可能である。
ポリマー支持体に用いるポリエステルを重合する際には、カルボキシル基含有量を所定の範囲以下に抑える観点から、Sb系、Ge系、Ti系の化合物を触媒として用いることが好ましく、中でも特にTi系化合物が好ましい。
ポリマー支持体を構成するポリエステルは、重合後に固相重合されていることが好ましい。これにより、好ましいカルボキシル基含有量を達成することができる。固相重合は、重合後のポリエステルを真空中あるいは窒素ガス中で170℃〜240℃程度の温度で5〜100時間程度加熱して重合度を増大させる手法である。具体的には、固相重合には、特許第2621563号、特許第3121876号、特許第3136774号、特許第3603585号、特許第3616522号、特許第3617340号、特許第3680523号、特許第3717392号、特許第4167159号等に記載の方法を適用することができる。
本発明のポリマー支持体に用いるポリエステルは、機械強度の点から2軸延伸したものであることが好ましい。
ポリマー支持体の厚みは、25〜300μm程度が好ましい。支持体の厚みが25μm以上であると、太陽電池用バックシートの支持体としての力学強度を有し、300μm以下であるとコスト的に有利である。
本発明におけるポリマー支持体は、好ましくは、末端カルボキシル基濃度が4.0mol/ton以上15mol/ton以下であり、示差走査熱量測定(DSC)により求められる微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)が220℃以下であり、温度125℃、相対湿度100%RHの条件下で72時間放置した後の平均伸度保持率が10%以上のポリエステルフィルムからなる支持体である。
以下、ポリマー支持体を構成する上記ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。
<末端カルボキシル基濃度(AV)>
ポリエステルフィルムにおける末端カルボキシル基濃度(以下、適宜「AV」と称する。)は、4.0mol/ton以上15mol/ton以下であり、より好ましくは6.0mol/ton以上13mol/ton以下、さらに好ましくは7.0mol/ton以上9mol/ton以下である。
末端カルボキシル基は、ポリエステルフィルムに隣接する部材又は層の表面に存在する水酸基と水素結合を形成し密着力を向上させる働きがある。また、本発明においては、前記のポリエステルフィルム中(特にフィルム表面に存在する)のカルボキシル基と反応し、強固な1次結合を形成する架橋剤を用いることで、従来にない高い密着力を付与させる働きがある。このため、AVが4.0mol/ton未満であると密着力が低下する。一方、末端カルボキシル基におけるHは、酸触媒として働きポリエステル分子を加水分解する作用を有する。従って、15mol/tonを超えるAVでは、高湿度下で経時させた場合において、加水分解によりポリエステルフィルム表面の分子量が低下し力学強度が低下し、その結果、ポリエステルフィルム表面が破壊されることによるバックシートの剥離(密着不良)が発生してしまう。
AVの具体的な調整方法としては、ポリエステルフィルムの「面配向係数」の調整、ポリエステルを構成する「構成成分」の種類及び含有量の調整、「緩衝剤」や「末端封止剤」等の添加剤の添加、ポリエステル中に存在する「リン原子量」の調整などが挙げられる。
上記具体的な調整方法により、AVを4.0mol/ton以上15mol/ton以下に調整することで、末端カルボキシル基に起因するポリエステルの加水分解によるバックシートの剥離(密着不良)を好適に抑制できる。
ここで、上記具体的な調整方法のうち、「緩衝剤」及び「末端封止剤」等の添加剤の添加量、及び/又は、「リン原子量」により、AVを本発明の範囲内とするには、ポリエステルにおけるこれらの含有量をより多くすることが必要となる。しかしながら、ポリエステルフィルム中における過剰量の添加剤やリン原子の含有は、当該支持体を湿熱経時させた際において支持体表面に添加剤等が析出したり、配向が強すぎることによる熱収縮の増大などの問題を招来し、延いてはバックシートの剥離(密着不良)を発生させる。かかる観点からも、本発明におけるポリエステルフィルムのAVは、4.0mol/ton以上15mol/ton以下であることが必要である。
また、ポリエステルフィルムの製膜に供するポリエステル原料(ペレット)については、耐加水分解性を向上せしめるために、末端カルボキシル基濃度(AV)を15mol/ton以下の範囲とすることが好ましい。好ましくは13mol/ton以下であり、より好ましくは10mol/ton以下、最も好ましくは8mol/ton以下である。下限は特に限定されるものではないが、0mol/tonが理論上の下限となる。ペレットのAVについては、重合条件、固相重合条件、末端封止剤により調整することができる。
AVの具体的な測定方法については後述する。
<示差走査熱量測定により求められる微小吸熱ピーク温度Tmeta(℃)>
本発明におけるポリマー支持体として好適なポリエステルフィルムは、示差走査熱量測定(以下、「DSC」とも称する。)により求められる微小吸熱ピーク温度Tmeta(℃)が、220℃以下であり、より好ましくは150℃以上215℃以下、さらに好ましくは160℃以上210℃以下である。
微小吸熱ピーク温度Tmeta(℃)は、ポリエステルフィルムにおける「面配向係数」と、ポリエステルフィルムを製膜する際における「延伸後に実施する熱固定の温度」を制御することにより、本発明に係る範囲とすることができる。延伸後に実施する熱固定の温度としては、150℃以上220℃以下が好ましく、より好ましくは160℃以上210℃以下、さらに好ましくは170℃以上200℃以下である。
Tmeta(℃)の具体的な測定方法については後述する。
<平均伸度保持率>
本発明のバックシートは、湿熱経時後においても高い密着力を有することが特徴である。そのためには、ポリエステルフィルム表面における加水分解を抑制することで、密着力の低下が抑制されることが好ましい。かかる観点から、ポリエステル支持体表面における加水分解の目安として、「温度125℃、相対湿度100%RHの条件下で72時間放置した後の平均伸度保持率」が採用され、本発明においては、該平均伸度保持率が10%以上であることが好ましい。
ここで「伸度保持率」とは、湿熱経時前の破断伸度(Li)と、湿熱経時後の破断伸度(Lt)の比率(%)を指し、下記式で求められた値である。
伸度保持率(%)=100×(Lt)/(Li)
本発明における「平均伸度保持率」は、伸度保持率の測定を、ポリエステルフィルムの長手方向(MD)及びその直交方向(TD)で行い、その平均値で表したものである。
伸度保持率の調整方法としては、例えば、ポリエステルフィルムの「面配向係数」の調整、ポリエステルの「固有粘度」の調整、ポリエステルポリマーを構成する「構成成分」の種類及び含有量の調整、「緩衝剤」や「末端封止剤」等の添加剤の添加、ポリエステル中に存在する「リン原子量」の調整などが挙げられる。
加水分解し易いほど分子量が低下することから、ポリエステルフィルムが示す平均伸度保持率の値が低下し易い。かかる観点から、本発明におけるポリエステルフィルムは、平均伸度保持率が10%以上であることが必要であり、より好ましくは20%以上95%以下であり、さらに好ましくは30%以上90%以下である。
平均伸度保持率を10%以上にすることで、ポリエステルの加水分解に起因するバックシートの剥がれ(密着不良)を効果的に抑制できる。
平均伸度保持率の具体的な測定方法については後述する。
<熱収縮率及び分布>
本発明におけるポリエステルフィルムの好適な態様の一つは、該ポリエステルフィルムの長手方向(MD)とその直交方向(TD)とにおける150℃30分の熱収縮率が、それぞれ1.0%以下であり、且つ、熱収縮分布が、それぞれ1%以上20%以下である態様である。
本発明者らは、バックシートの湿熱経時による密着不良は、ポリエステルフィルム中の残留歪による熱収縮の発生による場合があるとの知見を得た。即ち、湿熱経時されたポリエステルフィルム中に残留歪による熱収縮が発生した場合、該熱収縮によりEVA等の封止材とポリエステルフィルムとの間に収縮応力が発生し、これがバックシートの密着不良を引起すというものである。
本発明の好適な態様のポリエステルフィルムでは、熱収縮に分布を持たせることにより密着不良の抑制効果を向上させることができる。
その作用は明確ではないが、次のように考えている。即ち、ポリエステルフィルムにおける熱収縮が、フィルム面内に均一であれば、応力も均一に発生することから、バックシートは剥離し易い。これに対し、本発明における好適な態様のポリエステルフィルムのように、熱収縮に分布が存在すると、フィルム面内に熱収縮の大きなところが存在しても、同一面内に熱収縮の小さな箇所が存在することにより、そこで熱収縮が停止し(即ち、収縮が伝播しない。)、フィルム全体に波及する大きな収縮力にはならず、延いてはバックシートの剥離が抑制される。
本発明における好適な態様のポリエステルフィルムの好ましい熱収縮分布は1%以上20%以下であり、より好ましくは2%以上15%以下、さらに好ましくは3%以上12%以下である。
ここで、ポリエステルフィルムの熱収縮分布は、その長手方向(MD)とその直交方向(TD)とに、10cm間隔で5点測定し、下記式から熱収縮分布(%)を求め、大きいほうの値を指す。
熱収縮分布(%)=100×(最大値−最小値)/平均値
熱収縮分布が20%を超えると、熱収縮の大きい箇所と小さい箇所の寸法変化が大きくなりすぎ、クレーター状の収縮分布が発生する傾向となり、このクレーターの縁にそって応力集中が発生し、剥離(密着不良)が発生し易い。一方、熱収縮分布が1%を下回ると、上記のような収縮抑止の効果が発現し難くなり好ましくない。
このようなポリエステルフィルムにおける収縮応力の発生は、小さな面積であれば発現し難い。このため、熱収縮分布を上記範囲とすることは、バックシートを0.5m以上(より好ましくは0.75m以上、さらに好ましくは1m以上)の如き大面積のパネルに貼り付けた際に、その効果が特に顕在化する。これは即ち、小面積であれば、収縮量の大きな部分と小さな部分とが共存する確率が低いためである。
さらに、このような熱収縮率及び熱収縮分布の制御は、湿熱経時後の密着性の向上効果の顕在化に特に有用である。即ち、高湿下での湿熱経時中に熱収縮が発生し、しかも高湿度である場合では、ポリエステルフィルム及び該ポリエステルフィルムと水素結合を形成しうる隣接部材又は隣接層の界面に水が浸透し、水素結合を切断するため、密着が低下し易くなるが、このような状況に於いても、熱収縮率及び熱収縮分布の制御を上記範囲とすることで、残留歪による収縮応力を低減できるため、密着力を確保し易い。
本発明におけるポリエステルフィルムの熱収縮率は、150℃30分で測定される。
その好ましい範囲は、長手方向(MD)及びその直交方向(TD)ともに、1%以下であることが好ましく、より好ましくは−0.5%以上0.8%以下、さらに好ましくは−0.3%以上0.6%以下である。(なお、ここで云う「−」とは「伸張」を意味する)。
熱収縮率が1%以下であれば、熱収縮分布を前記特定範囲とした効果を有効に発現しうる。熱収縮率が1%を超えると、ポリエステルフィルムの寸法変化を抑制し切れなくなり、熱収縮分布を特定範囲とする効果が得られなくなる傾向となる。一方、ポリエステルフィルムの伸張が大きくなりすぎる場合には、熱収縮分布の制御によるポリエステルフィルムの寸法変化の抑制効果が得られない傾向となる。
熱収縮率は、ポリエステルフィルムを製膜する際の延伸後に熱処理を行うことで調整することができる。熱処理の好ましい温度は150℃以上220℃以下、より好ましくは160℃以上210℃以下、さらに好ましくは170℃以上200℃以下であり、10秒以上120秒以下、より好ましくは15秒以上90秒以下、さらに好ましくは20秒以上60秒以下である。
さらに、延伸後に熱処理に合せて、縦方向及び横方向の少なくとも一方に緩和することが好ましく、好ましい緩和量は0.5%以上10%以下であり、より好ましくは1.5%以上9%以下、さらに好ましくは3%以上8%以下である。
また、熱収縮分布は、ポリエステルフィルムを製膜する際の溶融押出し後に、冷却ロール上で固化し未延伸フィルム(原反)を作製する際において、温度分布を形成することで調整することができる。即ち、溶融体が冷却する際に球晶を形成するが、冷却速度を変えることでこの球晶分布を形成する。これが縦、横延伸中に配向分布を引起し、これが収縮量の分布となって現れる。このような溶融体の冷却速度の分布は、冷却ロールに温度分布を与えることで達成できる。このような温度分布は、冷却ロール中に温調のために流している熱媒の流れを、邪魔板を設け乱すことで達成される。好ましい温度分布は0.2℃以上10℃以下であり、より好ましくは0.4℃以上5℃以下、さらに好ましくは0.6℃以上3℃以下である。これらの温度分布は、長手方向、幅方向、いずれの方向でも構わない。
このような熱収縮率及び熱収縮分布の制御とともに、後述するように、「末端封止剤」をポリエステル中に含有させること、ポリエステルの構成成分としては「3官能以上の構成成分(C)」含有させることで、より効果的に湿熱経時後の密着性を向上させることができる。
末端封止剤は、ポリエステルと反応させることで末端を嵩高くでき、これが引っ掛りとなりポリエステル分子間の易動性を低下させる。また、3官能以上の構成成分(C)は、3官能基を介して分子が枝分かれするため、ポリエステル分子の易動性を低下させる。このように運動性が低下することで熱収縮分布を形成し易くできる。即ち、熱収縮の大きな箇所と小さな箇所には応力が発生するが、この応力によってポリエステル分子が移動し応力(熱収縮の分布による歪)を解消しようとする。このとき、上記のように運動性が低下すると。このような熱収縮分布の解消が起きづらく、本発明における熱収縮分布を形成し易い。
熱収縮率の具体的な測定方法については後述する。
<面配向係数及びその分布>
本発明におけるポリエステルフィルムは、面配向係数が0.165以上であることが好ましく、より好ましくは0.168以上0.18以下、さらに好ましくは0.170以上、0.175以下である。面配向係数を0.165以上とすることにより、分子を配向させ、上記の「半結晶」の形成を促し、耐加水分解性をさらに向上させることができる。
ここで、本発明で言う面配向係数とは、アッベ屈折計を用い、下記(A)式より求められるものである。
面配向係数= (nMD+nTD)/2−nZD・・・(A)
式(A)中、nMDは、フィルムの長手方向(MD)の屈折率を表し、nTDはフィルムの直交方向(TD)の屈折率を表し、nZDはフィルム厚み方向の屈折率を表す。
ポリエステルフィルムの面配向係数は、製膜時の延伸倍率を大きくすることで調整することができる。好ましくはフィルムの長手方向(MD)、フィルムの直交方向(TD)ともに延伸倍率を2.5〜6.0倍に調整すればよい。フィルムの面配向係数を0.165以上とするためには、MD方向及びTD方向の延伸倍率を、それぞれ3.0〜5.0倍に調整することが好ましい。さらに、面配向係数は、縦延伸中での「予熱」「多段延伸」(後述)によっても向上させることができる。
さらに、面配向係数を0.165以上とすることで、耐加水分解性を抑制しポリエステルフィルム表面の分子量低下による密着不良を抑制できる。
また、フィルムの面配向係数の上限は、面配向係数を上げるために延伸倍率を大きくしていくと製膜安定性が悪化するため、また、面配向が進みすぎることで発生するデラミ(層状剥離)を抑制し密着力を高めることができるため、0.180以下であることが好ましく、より好ましくは0.175以下である。
さらに、本発明においては、面配向係数に分布を設けることが好ましい。該面配向係数の分布としては、1%以上20%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以上15%以下であり、さらに好ましくは3%以上12%以下である。
面配向係数に分布を設けることにより、密着力をより一層向上させることができる。即ち、湿熱経時後にポリエステルフィルムが収縮するため、該フィルムとEVA等の封止剤との間に収縮応力が発生、これにより密着不良が発生する。この熱収縮応力は、フィルムの弾性率に比例し、これは面配向係数に比例する。従って、ポリエステルフィルム面配向係数に分布が存在すると、弾性率にも分布が発生し、これにより弾性率の高い(硬い)箇所と、弾性率の低い(柔らかい)箇所が形成される。弾性率の低い箇所は、発生した熱収縮応力を吸収する働きがあり、これが緩衝部となり密着低下を抑制する効果を発揮する。
面配向係数の分布が1%未満となる場合には、熱収縮応力を緩和できずに密着力が低下する傾向がある。一方、面配向係数の分布が20%を超える場合には、面配向の小さいところに収縮応力が集中しすぎ、密着不良が発生し易い傾向がある。
ポリエステルフィルムにおける面配向係数の分布は、ポリエステルフィルムを製膜する際の縦延伸において、予熱温度分布を調整することにより形成できる。即ち、予熱温度分布により、縦延伸での配向分布、及びこれに伴う結晶分布を形成し、これにより横延伸の配向分布を形成する。ここで云う温度分布とは、幅方向の温度分布を指す。即ち幅方向に形成された温度分布により縦延伸後に幅方向に結晶、配向分布が発生する。これがこの後に横方向に延伸される際、フィルム全面に渡り配向むらを形成することで、面配向係数の分布が形成される。
予熱温度の分布は、予熱ロールに温度分布を与えることで調整できる。具体的には、予熱温度分布は、予熱ロール中に温調のために流している熱媒の流れを、邪魔板を設けて乱すことで調整すればよい。予熱温度の好ましい温度分布は0.2℃以上10℃以下であり、より好ましくは0.4℃以上5℃以下、さらに好ましくは0.6℃以上3℃以下である。
このような面配向係数の分布の制御とともに、後述するように、「末端封止剤」をポリエステル中に含有させること、ポリエステルの構成成分としては「3官能以上の構成成分(C)」を含有させることで、より効果的に湿熱経時後の密着性を向上させることができる。
末端封止剤は、ポリエステルと反応させることで末端を嵩高くでき、これが引っ掛りとなりポリエステル分子間の易動性を低下させる。また、3官能以上の構成成分(C)は3官能基を介して分子が枝分かれするため、ポリエステル分子の易動性を低下させる。このように運動性が低下することで面配向分布を形成し易くできる。即ち、面配向の大きな箇所と小さな箇所の間で発生する応力差により分子が流動(クリープ)し、これを解消しようとする。このとき、上記のように分子の運動性が低下すると、このような面配向分布の解消が起きづらく、面配向係数の分布を形成し易い。
面配向係数の具体的な測定方法については後述する。
<固有粘度(IV)>
本発明におけるポリエステルフィルムは、固有粘度(以下、適宜「IV」と称する。)が0.6〜1.2dl/gの範囲にあることが好ましい。より好ましい固有粘度は0.65〜1.0dl/gであり、さらに好ましくは0.70〜0.95dl/gである。
ポリエステルフィルムの固有粘度が、0.6dl/g未満であると、分子の易動性が大きく、上述した熱収縮や面配向の分布が緩和(解消)され易くなる傾向がある。一方、固有粘度が1.2dl/gを超えると、溶融押出しの際に剪断発熱し易く、これがポリエステル樹脂の熱分解を促し、この結果、ポリエステル中のカルボン酸量(AV)が増加し易い。これがサーモ中の加水分解を促し密着不良を発現し易くなる傾向がある。
ポリエステルフィルムのIVは、固相重合における温度及び反応時間により調整することができる。固相重合の好適な態様としては、ポリエステルペレットを、180℃以上250℃以下、より好ましくは190℃以上240℃以下、さらに好ましくは195℃以上230℃以下の温度条件において、5時間以上50時間以下、より好ましくは10時間以上40時間以下、さらに好ましくは15時間以上30時間以下、窒素気流中あるいは真空中で熱処理することである。固相重合は、一定温度で実施してもよく、変動させながら実施してもよい。
また、ポリエステルフィルムの製膜に供するポリエステル原料(ペレット)については、耐加水分解性を満たすために、固有粘度が0.6〜1.2dl/gの範囲にあることが好ましい。より好ましくは0.65〜0.10でdl/gあり、さらに好ましくは0.70〜0.95dl/gである。耐加水分解性を向上させるためには、固有粘度を高めることが好ましいが、固有粘度が1.2dl/gを越える場合はポリエステル樹脂製造時に固相重合時間を長くする必要がありコストが著しく高くなるため好ましくないことがある。また0.6dl/gより小さい場合は、重合度が低いため耐熱性・耐加水分解性が著しく落ちるため好ましくない。ペレットの固有粘度は、ポリエステル樹脂の製造時の重合条件、固相重合条件を調整することにより上記好ましい範囲にすることができる。
IVの具体的な測定方法については後述する。
<表面抵抗>
本発明におけるポリエステルフィルムは、その少なくとも一方の表面の表面抵抗Rが、10Ω/□以上1014Ω/□以下であることが好ましい。表面抵抗Rは、より好ましくは10Ω/□以上1013Ω/□以下であり、更に好ましくは10Ω/□以上1012Ω/□以下である。
表面抵抗Rの具体的な測定方法については後述する。
ポリエステルフィルム表面にゴミが付着すると、この上に貼り合せるEVA(封止剤)との界面に隙間が生じ、密着力が低下するが、ポリエステルフィルムの表面抵抗を上記の範囲とすることで、静電気の発生を抑制し、静電気の発生によるポリエステルフィルム表面のゴミ付きを抑制しうる。
ポリエステルフィルム表面の表面抵抗Rが上記の好適な範囲を上回ると、静電気が発生し密着力が低下しやすくなる傾向となる。一方、ポリエステルフィルム表面の表面抵抗Rが上記の好適な範囲を下回るためには、導電性粒子や導電性樹脂などの導電剤を多量に含む必要が生じ、湿熱耐久性が低下し易い傾向となる。
<ポリエステル>
以下、本発明におけるポリエステルフィルム(ポリマー支持体)に含まれるポリエステルについて、より具体的に説明する。
本発明におけるポリエステルフィルムに含まれるポリエステルは、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分とを含む線状飽和ポリエステルである。
ポリエステルとしては、全ジカルボン酸構成成分中の芳香族ジカルボン酸構成成分の割合が、90モル%以上100モル%以下であるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸構成成分の割合が90モル%に満たないと、耐湿熱性、耐熱性が低下したりする場合がある。本発明のポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル中の全ジカルボン酸構成成分中の芳香族ジカルボン酸構成成分の割合を90モル%以上100モル%以下とすることで、耐湿熱性、耐熱性を両立することが可能となる。
ポリエステルにおける芳香族ジカルボン酸構成成分の割合は、より好ましくは95モル%以上100モル%であり、更に好ましくは98モル%以上100モル%以下であり、特に好ましくは99モル%以上100モル%以下であり、最も好ましくは100モル%である。即ち、ジカルボン酸構成成分全てが芳香族カルボン酸構成成分であることが最も好ましい。
ポリエステルを主として構成する、ジカルボン酸構成成分とジオール構成成分からなる主たる繰り返し単位は、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート及びこれら混合物が好適である。なお、ここでいう「主たる繰り返し単位」とは、その合計が、ポリエステルに含まれる全繰り返し単位の70モル%以上であることを意味し、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。
さらには、低コストで、より容易に重合が可能で、かつ耐熱性に優れるという点で、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、及びこれらの混合物が主たる構成成分であることが好ましい。この場合、エチレンテレフタレートをより多く構成単位として用いた場合は、より安価で汎用性のある耐湿熱性を有するフィルムを得ることができ、また、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをより多く構成単位として用いた場合はより耐湿熱性に優れるフィルムとすることができる。
共重合成分としては、以下に示す各種ジカルボン酸成分又はそのエステル形成性誘導体とジオール成分を用いてもよい。
共重合可能なジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。また、共重合しうる脂環族ジカルボン酸成分としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等の脂肪族、脂環族、芳香族ジオール等を挙げることができる。
これらの成分は1種のみ用いてもよく、また2種以上併用してもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムに好ましく使用されるポリエステルの融点は、250℃以上のものが耐熱性の上で好ましく、300℃以下のものが生産性上好ましい。この範囲内であれば、他の成分が共重合しても、ブレンドしていてもよい。
また、ポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子などが添加されていてもよい。特に、無機粒子や有機粒子は、フィルム表面に易滑性を与え、フィルムの取り扱い性を高めるために有効である。
ポリエステルは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造することができる。すなわち、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して、余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造することができる。また、酸成分としてジカルボン酸を用いて、従来公知の直接重合法により製造することもできる。反応触媒としては従来公知のチタン化合物、リチウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物等を用いることができる。
こうして得られたポリエステルは、固相重合を施すことにより、さらに重合度を上げることができ、かつ末端カルボキシル基濃度を低減させることができる。
固相重合は、乾燥機中200℃〜250℃の温度で1torr以下の減圧下または窒素気流下で5〜50時間行われることが好ましい。
本発明におけるポリエステルの好適な態様の一つは、ジカルボン酸構成成分、ジオール構成成分、及び、カルボキシル基数(a)と水酸基数(b)との合計(a+b)が3以上である構成成分(p)を有するポリエステルを含み、前記構成成分(p)の含有量が、ポリエステルに含まれる全構成成分に対して0.005モル%以上2.5モル%以下であるポリエステルである。
〜構成成分(p)〜
カルボキシル基数(a)と水酸基数(b)との合計(a+b)が3以上である構成成分(p)について説明する。
構成成分(p)の例としては、カルボキシル基数(a)が3以上のカルボン酸構成成分、水酸基数(b)が3以上の構成成分、一分子中に水酸基とカルボキシル基数の両方を有するオキシ酸類であり、かつカルボキシル基数(a)と水酸基数(b)との合計(a+b)が3以上である構成成分が挙げられる。
カルボキシル基数(a)が3以上のカルボン酸構成成分の例としては、三官能の芳香族カルボン酸構成成分として、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、アントラセントリカルボン酸等が、三官能の脂肪族カルボン酸構成成分として、メタントリカルボン酸、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸等が、四官能の芳香族カルボン酸構成成分としてベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、アントラセンテトラカルボン酸、ベリレンテトラカルボン酸等が、四官能の脂肪族カルボン酸構成成分として、エタンテトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、アダマンタンテトラカルボン酸等が、五官能以上の芳香族カルボン酸構成成分として、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ナフタレンペンタカルボン酸、ナフタレンヘキサカルボン酸、ナフタレンヘプタカルボン酸、ナフタレンオクタカルボン酸、アントラセンペンタカルボン酸、アントラセンヘキサカルボン酸、アントラセンヘプタカルボン酸、アントラセンオクタカルボン酸等が、五官能以上の脂肪族カルボン酸構成成分として、エタンペンタカルボン酸、エタンヘプタカルボン酸、ブタンペンタカルボン酸、ブタンヘプタカルボン酸、シクロペンタンペンタカルボン酸、シクロヘキサンペンタカルボン酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸、アダマンタンペンタカルボン酸、アダマンタンヘキサカルボン酸等が、及びこれらエステル誘導体や酸無水物等が例として挙げられるがこれらに限定されない。
また、上述のカルボン酸構成成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、及びその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたものも好適に用いられる。
また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
水酸基数(b)が3以上の構成成分の例としては、三官能の芳香族構成成分としては、トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシカルコン、トリヒドロキシフラボン、トリヒドロキシクマリン、三官能の脂肪族アルコール構成成分として、グリセリン、トリメチロールプロパン、プロパントリオール、四官能の脂肪族アルコール構成成分として、ペンタエリスリトール等の化合物、また、上述の化合物の水酸基末端にジオール類を付加させた構成成分(p)も好ましく用いられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
一分子中に水酸基とカルボキシル基数の両方を有するオキシ酸類のうち、かつカルボキシル基数(a)と水酸基数(b)との合計(a+b)が3以上である構成成分としては、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸、ジヒドロキシテレフタル酸などが挙げられる。
また、上述の構成成分のカルボキシ末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、及びその誘導体、そのオキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたものも好適に用いられる。
また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
ポリエステルが構成成分(p)を含む場合、該構成成分(p)の含有量は、ポリエステル中の全構成成分に対して0.005モル%以上2.5モル%以下であることが好ましい。構成成分(p)の含有量(モル%)は、より好ましくは0.020以上1以下、更好ましくは0.025以上1以下、更に好ましくは0.035以上0.5以下、更に好ましくは0.05以上0.5以下、特に好ましくは0.1以上0.25以下である。
ポリエステル中における構成成分(p)の含有量が、ポリエステル中の全構成成分に対して0.005モル%未満であると、耐湿熱性の向上効果が確認されない場合があり、また2.5モル%を越えると、樹脂がゲル化して溶融押出が困難となる等の理由で現実化困難であり、できたとしてもゲルが異物として存在し、フィルムにした場合の二軸延伸性が低下したり、延伸して得たフィルムが異物欠点を多数有する場合がある。
ポリエステル中の構成成分(p)の含有量が、該ポリエステル中の全構成成分に対して0.005モル%以上2.5モル%以下とすることで、溶融押出性を維持しながら、耐湿熱性を高めることが可能となり、また、二軸延伸時の延伸性や、得られたフィルムの品質を維持することができる。
構成成分(p)は、カルボキシル基数(a)が3以上でありかつカルボン酸を有する化合物が芳香族系化合物であるか、または、水酸基数(b)が3以上でありかつ水酸基を有する化合物が脂肪族系化合物であることが好ましい。ポリエステルフィルムの配向特性を落とすことなく、架橋構造を形成することが可能となり、分子運動性を更に低下させることが可能となり、耐湿熱性を更に高めることが可能となる。
また、ポリエステルが構成成分(p)を含む場合には、後述の緩衝剤や末端封止剤を成形時に添加することも好ましい。
構成成分(p)を含むポリエステルは、高結晶性樹脂であることが好ましく、具体的には、JIS K7122(1999)に準じて、昇温速度20℃/minで樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持後、次いで25℃以下となるよう急冷し、再度室温から20℃/minの昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRUNの示差走査熱量測定チャートにおいて、融解ピークのピーク面積から求められる結晶融解熱量ΔHmが、15J/g以上であるのが好ましい。好ましくは結晶融解熱量が20J/g以上、より好ましくは25J/g以上、更に好ましくは30J/g以上の樹脂を用いるのがよい。このように高結晶化することによって、延伸、熱処理により、配向結晶化させることが可能となり、その結果、機械的強度、耐湿熱性により優れるポリエステルフィルムとすることができる。
構成成分(p)を含むポリエステルの融点Tmは、245℃〜290℃であることが好ましい。ここでいう融点TmとはDSCにより得られる、昇温過程(昇温速度:20℃/min)における融点Tmであり、上述と同様にJIS K−7121(1999)に基づいた方法により、25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱(1stRUN)、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下となるよう急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って得られた2ndRunの結晶融解ピークにおけるピークトップの温度でもってポリエステルの融点Tm1とする。より好ましくは融点Tmが247〜275℃、更に好ましくは250〜265℃である。融点Tmが245℃に満たないと、フィルムの耐熱性に劣ったりすることがあり好ましくなく、また、融点Tmが290℃を越えると、押出加工が困難となる場合があるため好ましくない。ポリエステルの融点Tmを245〜290℃とすることにより、耐熱性と加工性を両立したポリエステルフィルムとすることができる。
<緩衝剤>
本発明におけるポリエステルフィルムは、緩衝剤を含むことが好ましい。緩衝剤の含有は、ポリエステルがその構成成分として、構成成分(p)を含む場合に特に好ましい。
緩衝剤の具体例としては、重合反応性、耐湿熱性の点から、緩衝剤がアルカリ金属塩であることが好ましく、例えば、フタル酸、クエン酸、炭酸、乳酸、酒石酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリアクリル酸などの化合物とのアルカリ金属塩を挙げることができる。中でも、アルカリ金属元素として、カリウム、ナトリウムであることが触媒残渣による析出物を生成しにくい点から好ましく、具体的には、フタル酸水素カリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、クエン酸水素二カリウム、炭酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ポリアクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。
また、下記式(I)で示されるアルカリ金属塩であることがポリエステルの重合反応性や溶融成形時の耐熱性の点で好ましく、さらにはアルカリ金属がナトリウム、及び/又はカリウムであることが重合反応性、耐熱性、耐湿熱性の点で好ましく、特にリン酸とナトリウム及び/又はカリウムの金属塩であることが重合反応性、耐湿熱性の点で好ましい。
POxHyMz ・・・(I)
(ここで、xは2〜4の整数、yは1又は2、zは11又は2であり、Mはアルカリ金属である。)
緩衝剤の含有量はポリエステルの全質量に対して、0.1モル/ton以上5.0モル/ton以下であることが好ましく、更に好ましくは0.3モル/ton以上3.0モル/ton以下である。緩衝剤の含有量が、上記範囲内であることで、耐湿熱性や機械特性をより向上させることができる。
緩衝剤として式(I)で表されるアルカリ金属塩を用いる場合には、リン酸を併用することが好ましい。これにより、緩衝剤による加水分解抑制効果をさらに高めることが可能となり、得られたポリエステルフィルムの耐湿熱性をより高めることができる。
その場合、ポリエステルフィルム中のアルカリ金属元素含有量W1が2.5ppm以上125ppm以下であり、かつアルカリ金属元素含有量W1とリン元素含有量W2の比W1/W2が0.01以上1以下の範囲とすることが好ましい。この範囲とすることによって、加水分解抑制効果をより高めることが可能となる。より好ましくは、アルカリ金属元素W1が15ppm以上75ppm以下であり、アルカリ金属元素含有量W1とリン元素含有量W2の比W1/W2が0.1以上0.5以下である。アルカリ金属元素含有量W1が2.5ppmに満たないと加水分解抑制効果が不足し、得られたポリエステルフィルムが十分な耐湿熱性が得られない場合がある。また、125ppmを越えると、過剰に存在するアルカリ金属が溶融押出時に熱分解反応を促進して分子量が低下し、耐湿熱性や機械特性低下の原因となる場合がある。また、アルカリ金属元素含有量W1とリン元素含有量W2の比W1/W2が0.1に満たないと加水分解抑制効果が不足し、125ppmを越えると、過剰なリン酸が重合反応中にポリエステルと反応し、リン酸エステル骨格が分子鎖に形成されその部分が加水分解反応を促進してしまうため、耐加水分解性が低下することがある。
ポリエステルフィルムにおけるアルカリ金属元素W1が、15ppm以上75ppm以下であり、アルカリ金属元素含有量W1とW2の比W1/W2が0.1以上0.5以下とすることで、耐加水分解抑制効果をより高めることが可能となる結果、高い耐湿熱性を得ることが可能となる。
緩衝剤は、ポリエステルの重合時に添加しても、溶融成形時に添加してもいずれも構わないが、緩衝剤のフィルム中への均一分散の点から、重合時に添加することが好ましい。重合時に添加する場合、添加時期は、ポリエステルの重合時のエステル化反応、またはエステル交換反応終了後から、重縮合反応初期(固有粘度が0.3未満)までの間であれば任意の時期に添加することができる。緩衝剤の添加方法としては、粉体を直接添加する、エチレングリコール等のジオール構成成分へ溶解させた溶液を調整して添加する、いずれも構わないが、エチレングリコール等のジオール構成成分へ溶解させた溶液として添加することが好ましい。その場合の溶液濃度は場合も10質量%以下に希釈して添加すると、添加口付近への緩衝剤の付着が少なく、添加量の誤差が小さくなる点、及び反応性の点で好ましい。
また、構成成分(p)を含むポリエステルである場合は、重合時の副生物であるジエチレングリコールの含有量が2.0質量%未満であることが耐熱性、耐湿熱性の点から好ましく、さらには1.0質量%未満であることが好ましい。
<末端封止剤>
本発明におけるポリエステルフィルムは、末端封鎖剤を含むことも好ましい態様の一つである。末端封止剤とは、ポリエステルの末端のカルボキシル基と反応し、ポリエステルのカルボキシル末端量を減少させる添加剤である。
末端封止剤としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
末端封鎖剤は、ポリエステルフィルムの製膜時にポリエステルと一緒に添加するとより効果が高い。固相重合の際に末端封鎖剤を同時に利用してもよい。
さらに、末端封鎖剤は、前記カルボキシル基数(a)と水酸基数(b)との合計(a+b)が3以上である構成成分(p)を含有するポリエステルと併用してもよい。
ポリエステルフィルムにおける末端封止剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましい。末端封止剤が0.1質量%より少ないと、カルボキシル基を封止する効果が小さく耐加水分解性が悪化する場合がある。また、末端封止剤が5質量%よりも大きいと製膜時に異物が多く発生したり、分解ガスが発生したりして生産性に影響がある場合がある。より好ましい末端封止剤の含有量の上限値は4質量%であり、さらに好ましい上限値は2質量%である。より好ましい末端封止剤の含有量の下限値は0.3質量%、さらに好ましい下限値は0.5質量%である。末端封止剤の含有量のより好ましい範囲は0.3〜4重量%であり、さらに好ましい範囲は0.5〜2重量%である。
〜カルボジイミド化合物〜
カルボジイミド化合物には、一官能性カルボジイミドと多官能性カルボジイミドとがある。
一官能性カルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド及びジ−β−ナフチルカルボジイミドなどが挙げられる。特に好ましくは、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドである。
また、多官能性カルボジイミドとしては、重合度3〜15のカルボジイミドが好ましく用いられる。具体的には、1,5−ナフタレンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド、4,4’−ジフェニルジメチルメタンカルボジイミド、1,3−フェニレンカルボジイミド、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンカルボジイミド、2,6−トリレンカルボジイミド、2,4−トリレンカルボジイミドと2,6−トリレンカルボジイミドの混合物、ヘキサメチレンカルボジイミド、シクロヘキサン−1,4−カルボジイミド、キシリレンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、イソホロンカルボジイミド、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−カルボジイミド、メチルシクロヘキサンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−カルボジイミドなどを例示することができる。
これらは1種または2種以上を用いることができる。
カルボジイミド化合物は、熱分解によりイソシアネート系ガスが発生するため、耐熱性の高いカルボジイミド化合物が好ましい。耐熱性を高めるためには、分子量(重合度)が高いほど好ましく、より好ましくはカルボジイミド化合物の末端を耐熱性の高い構造にすることが好ましい。また、一度熱分解を起こすとさらなる熱分解を起こし易くなるため、ポリエステルの押出温度をなるべく低温下するなどの工夫が必要である。
〜エポキシ化合物〜
エポキシ化合物の好ましい例としては、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル及びピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどを挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、グリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエ−テル、O−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどのビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテルなどが挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
〜オキサゾリン化合物〜
オキサゾリン化合物としては、ビスオキサゾリン化合物が好ましく、具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)及び2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができる。これらの中では、ポリエステルとの反応性の観点から、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が最も好ましく用いられる。
ビスオキサゾリン化合物は、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもどちらでも良い。
<リン化合物>
本発明におけるポリエステルフィルムにおいては、加水分解を抑制する観点から、リン化合物を含有させることも好ましい。
リン化合物を含有させる場合、ポリエステルフィルムにおける蛍光X線測定により求められるリン原子量が200ppm以上であることが好ましい。リン原子量は、より好ましくは300ppm以上、さらに好ましくは400ppm以上である。
リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、これらのメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、ハーフエステル及びその他誘導体からなる群から選ばれた一種以上のリン化合物を用いることが好ましい。本発明では、特にリン酸、亜リン酸、ホスホン酸のメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステルが好ましい。また、リン化合物の含有方法としては、ポリエステル原料チップを製造するときにリン化合物を添加することが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明におけるポリエステルフィルムは、太陽電池用バックシートの構成要素であることから、太陽光による劣化の影響を受けにくい方が好ましい。そのため、UV(紫外線)吸収剤やUVを反射する特性のものをフィルム中に添加してもよい。また、少なくとも一方のフィルム表面における波長400〜700nmの平均反射率を80%以上とすることも好ましい態様の一つである。さらに好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。波長400〜700nmの平均反射率を80%以上とすることにより、本発明のフィルムを用いた太陽電池を太陽光が直接当たるところにて使用してもフィルムの劣化が少なくなる。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
次に、本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)をポリエステルとして用いた二軸配向ポリエステルフィルムの例を代表例として説明する。
もちろん、本発明は、PETフィルムを用いた二軸配向ポリエステルフィルムに限定されるものではなく、他のポリマーを用いたものものでもよい。例えば、ガラス転移温度や融点の高いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどを用いてポリエステルフィルムを構成する場合は、以下に示す温度よりも高温で押出や延伸を行えばよい。
<製膜/押出し>
本発明におけるポリエステルフィルムは、例えば、次のようにして製造される。
まず、ポリエステルフィルムを構成する原反(未延伸)ポリエステルシートを製造する。原反ポリエステルシートを製造するには、例えば、上記で調整したポリエステルのペレットを押出機を用いて溶融し、口金(ダイ)から吐出した後、冷却固化してシート状に成形する。このとき、ポリマー中の未溶融物を除去するために、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが好ましい。
また、ポリエステルフィルムの表面に、易滑性、耐摩耗性及び耐スクラッチ性などを付与するため、無機粒子や有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ及びジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン及びイミド系化合物等を構成成分とする有機粒子、及びポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などを添加することも好ましい態様である。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料及び染料などが添加されてもよい。
これらの添加剤や、末端封止剤をポリエステル中に含有させる場合には、末端封止剤を直接PETペレットと混合し、270〜275℃の温度に加熱したベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込み高濃度マスターペレット化する方法が有効である。
次に、得られたPETのペレットを、180℃の温度で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、265〜280℃の温度より好ましくは270〜275℃の温度に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド及び金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機及びマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。溶融積層は、例えば、前記した反射層(白色層)を共押出しする際、好ましく用いられる。
このようにして押出し機から押出された融体(メルト)は、上記のように温度分布を付与されたキャスティング(冷却)ロール上で固化し原反(未延伸フィルム)を得る。好ましい冷却ロールの温度は10℃以上60℃以下が好ましく、より好ましくは15℃以上55℃以下、さらに好ましくは20℃以上50℃以下である。このとき、メルトと冷却ロールとの密着力を向上するため、静電印加法や、エアナイフ法、冷却ロール上に水膜を形成する方法等を好ましく用いることができる。
さらに、本発明では、メルトをキャストロールに押出す際、キャストロールの線速度を10m/分以上にするのが好ましく、より好ましくは15m/分以上50m/分以下、さらに好ましくは18m/分以上40m/分以下である。この範囲以下では、キャストロール上でのメルトの滞留時間が長くなり、せっかく上記方法でつけた温度差が均等化し効果が減少する。一方、この範囲を超えると、メルトの厚みむらが発生し易く、これによるメルトの温度むらが上記範囲を超え好ましくない。このようなキャストロールの速度を達成するには、押出し機での混練速度を大きくする必要があり、通常の方法ではスクリューの回転速度増加に伴う樹脂の剪断発熱によりAVが上昇し易い。このような現象は高IVの樹脂を用いる本発明において特に顕著に発現し易い。このため、本発明では押出し機に樹脂の微粒子を添加することを特徴としている。即ち最も剪断発熱し易いのが混練初期の溶融開始時であり、ここではペレットとスクリューが強く擦れあい発熱する。ここに樹脂の微粒子を添加することでペレット間の摩擦を低減しAVの上昇を抑え、本発明の範囲にすることができる。この微粒子のサイズは200メッシュ以上10メッシュ以下のものが好ましく、ペレットを破砕した後、篩にかけることで得られる。また、この微粒子の添加量は0.1%以上5%以下が好ましく、より好ましくは0.3%以上4%以下、さらに好ましくは0.5%以上3%以下である。この範囲未満では上記効果が不十分であり、この範囲を超えるとスクリューとの摩擦が大きくなりすぎスリップが発生、吐出変動によるメルトの厚みむらが発生し、キャストロール上の温度分布が本発明の範囲を超え好ましくない。
<製膜/縦延伸>
続いて、上記のようにして得られた原反(未延伸フィルム)を、長手方向と幅方向の二軸に延伸した後、熱処理する。延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
ここでは、未延伸フィルムを、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてテンターにより横延伸を行う(TD延伸)という二軸延伸方法について説明する。
まず、未延伸フィルムをMD延伸するが、本発明ではMD延伸に先立って原反を十分に予熱するのが好ましい。好ましい予熱温度は40℃以上90℃以下であり、より好ましくは50℃以上85℃以下、さらに好ましくは60℃以上80℃以下である。このような予熱は原反を加熱(調温)ロール上に通して行うが、この際上述のようにロールに幅方向に温度分布を付与するのが好ましい。また、好ましい予熱時間は1秒以上120秒以下、より好ましくは5秒以上60秒以下、さらに好ましくは10秒以上40秒以下である。
MD延伸は1段でおこなってもよく、多段で行ってもよい。
1段で行う場合、ガラス転移温度Tg以上Tg+15℃以下(より好ましくはTg+10℃以下)の温度とし、好ましい延伸倍率は2.0〜6.0倍であり、より好ましくは3.0〜5.5倍であり、さらに好ましくは3.5〜5.0倍である。延伸後、20〜50℃の温度の冷却ロール群で冷却することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、IVが大きく分子量が大きいため、分子の運動性が低下し配向結晶化が起こりにくい。そこで、多段延伸を行うことがより好ましい。即ち、最初に低温で延伸を行い、その後温度を上げて2段階延伸すると配向結晶化が起こり配向を高めることができる。最初の低温での延伸(MD1延伸)は(Tg−20)〜(Tg+10)℃の範囲、さらに好ましくは(Tg−10)〜(Tg+5)℃の範囲にある加熱ロール群で加熱し、長手方向に好ましくは1.1〜3.0倍、より好ましくは1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.5〜2.0倍に延伸し、次にMD延伸1温度より高温(Tg+10)〜(Tg+50)でMD延伸2を行う。より好ましい温度は(Tg+15)〜(〜Tg+30)である。MD延伸2の好ましい延伸倍率は1.2〜4.0倍であり、より好ましくは1.5〜3.0倍である。MD延伸1とMD延伸2の合わせたMD延伸倍率は、好ましくは2.0〜6.0倍であり、より好ましくは3.0〜5.5倍であり、さらに好ましくは3.5〜5.0倍である。第1段と第2段の延伸倍率の比(第2段/第1段=多段倍率比と称する)は1.1以上3以下が好ましく、より好ましくは1.15倍以上2倍以下、さらに好ましくは1.2倍以上1.8倍以下である。
延伸後、20〜50℃の温度の冷却ロール群で冷却することが好ましい。
<製膜/横延伸>
次に、テンター(ステンターと称することもある)を用いて、幅方向の延伸を行う。その延伸倍率は、好ましくは2.0〜6.0倍であり、より好ましくは3.0〜5.5倍であり、さらに好ましくは3.5〜5.0倍である。また、温度は好ましくは(Tg)〜(Tg+50)℃の範囲であり、さらに好ましくは(Tg)〜(Tg+30)℃の範囲で行う(TD延伸)。
<熱処理>
延伸の後、フィルムの熱処理を行う。熱処理はテンターや、加熱オーブンの中や、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は一般にポリエステルの融点以下の温度で行われるが、本発明では、上述のような温度、時間で熱処理することが好ましい。このとき、縦、横方向の少なくとも一方向に上述のように緩和させることが本発明の熱収縮達成のために好ましい。
そして、このように熱処理を行ったフィルムを巻き取り、本発明におけるポリエステルフィルムを得る。
<評価方法>
以下に詳述する本発明の実施例を含め、本明細書に適用される各特性の評価方法を以下に示す。
(1)固有粘度
フィルムをオルトクロロフェノールに溶解し、25℃で測定した溶液粘度から、下式より固有粘度を得る。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量であり(本測定では1g/100mlとする)、Kはハギンス定数(0.343とする)であり。また、溶液粘度、溶媒粘度は、オストワルド粘度計を用いて測定する。
(2)末端カルボキシル基濃度
ポリエステルフィルム0.5gをo−クレゾールに溶解し、水酸化カリウムを用いて電位差滴定して測定し、末端カルボキシル基濃度を求める。
(3)示差走査熱量測定(DSC)により求められる微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)
微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)は、JIS K7122−1987(JISハンドブック1999年版を参照した)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて測定する。具体的には、サンプルパンにフィルムを5mg秤量し、25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で昇温を行って測定する。
得られた示差走査熱量測定チャートにおける結晶融解ピーク前の微少吸熱ピーク温度でもってTmeta(℃)とする。微小な吸熱のピークが観測しにくい場合は、データ解析部にてピーク付近を拡大して、ピークを読みとる。
なお、微小吸熱ピークのグラフ読み取り方法は、JISに記載されていないが、以下の方法に基づいて実施する。
まず、135℃の値と155℃の値で直線を引き、グラフの曲線との吸熱側の面積を求める。同様に140℃と160℃、145℃と165℃、150℃と170℃、155℃と175℃、160℃と180℃、165℃と185℃、170℃と190℃、175℃と195℃、180℃と200℃、185℃と205℃、190℃と210℃、195℃と215℃、200℃と220℃、205℃と225℃、210℃と230℃、215℃と235℃、220℃と240℃の17点についても面積を求める。微小ピークの吸熱量は、通常、0.2〜5.0J/gであることから、面積が0.2J/g以上5.0J/g以下であるデータのみを有効データとして取り扱うものとする。合計18個の面積データの中から、有効データでありかつ最も大きい面積を示すデータの温度領域おける吸熱ピークのピーク温度をもってTmeta(℃)とする。有効データがない場合、Tmeta(℃)はなしとする。
(4)熱収縮率
JIS−C2318(2007)に準じて、幅10mm、標線間隙約100mmのサンプルを、温度150℃、荷重0.5gで30分間熱処理する。その熱処理前後の標線間隙を(株)テクノニーズ製熱収縮率測定器(AMM−1号機)を用いて測定し、次式より熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%)={(L−L)/L}×100
:加熱処理前の標線間隙
L :加熱処理後の標線間隙
(5)面配向係数
アタゴ社(株)製アッベ屈折率計Type 4Tを用い、光源をナトリウムランプとして、フィルム屈折率の測定を行う。
面配向係数= (nMD+nTD)/2 − nZD ・・・ (A)
上記式(A)におけるnMDはフィルムの長手方向(MD)の屈折率を表し、nTDはフィルムの直交方向(TD)の屈折率を表し、nZDはフィルム厚み方向の屈折率を表している。
(6)蛍光X線測定でのリン原子の含有量
蛍光X線法(リガク製ZSX100e)により、リン原子の含有量を測定する。
(7)ポリエステルの組成分析
ポリエステルをアルカリにより加水分解し、各成分をガスクロマトグラフィーあるいは高速液体クロマトグラフィーにより分析し、各成分のピーク面積より組成比を求める。
以下に一例を示す。
ジカルボン酸構成成分や、カルボキシル基数を有する構成成分は高速液体クロマトグラフィーにて測定を行う。測定条件は既知の方法で分析することができる。以下に、本発明に適用する測定条件を示す。
装置:島津LC−10A
カラム:YMC−Pack ODS−A 150×4.6mm S−5μm
120A
カラム温度:40℃
流量:1.2ml/min
検出器:UV 240nm
ジオール構成成分や、水酸基を有する構成成分の定量はガスクロマトグラフィーを用いて既知の方法で分析することができる。以下に、本発明に適用する測定条件を示す。
装置 :島津9A(島津製作所製)
カラム:SUPELCOWAX−10 キャピラリーカラム30m
カラム温度:140℃〜250℃(昇温速度5℃/min)
流量 :窒素 25ml/min
検出器:FID
(8)125℃、湿度100%の条件下72時間放置後の伸度保持率
破断伸度の測定はASTM−D882−97(1999年版ANNUAL BOOK OF ASTM STANDARDSを参照した)に準じて、サンプルを1cm×20cmの大きさに切り出し、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度(初期)を測定する。なお、測定は5サンプルについて測定を実施し、その平均値でもって破断伸度(初期)A2とする。
次いで、サンプルを1cm×20cmの大きさに切り出し、(株)平山製作所 高加速寿命試験装置(HAST装置) PC−304R8Dを用いて、125℃、湿度100%の条件下72時間処理を行った後、処理後のサンプルの破断伸度をASTM−D882(1999)−97(1999年版ANNUAL BOOK OF ASTM STANDARDSを参照した)に準じて、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/minにて引っ張ったときの破断伸度(処理後)を測定する。なお、測定は5サンプルについて測定を実施しその平均値でもって破断伸度(処理後)A3とする。
得られた破断伸度A2,A3を用いて、下記式(3)により伸度保持率を算出する。
伸度保持率(%)=A3/A2×100 (3)
また、下記(4)により平均伸度保持率を算出する。
平均伸度保持率(%)=(MD方向の伸度保持率+TD方向の伸度保持率)/2 (4)
(9)表面比抵抗(R
ポリエステルフィルムの表面比抵抗Rは、デジタル超高抵抗微小電流計R8340(株)アドバンテスト製((株)アドバンテスト製)で測定を実施する。ただし、表面比抵抗が10Ω/□以下の場合は、ASPプローブを備えたロレスターEP((株)ダイアインスツルメンツ製)を用いる。なお、測定はフィルム面内において任意の10カ所で測定を実施し、その平均値でもって、表面比抵抗Rとする。また、測定試料は23℃、65%Rhの室内で一晩放置したものを用いて測定を実施する。
(表面処理)
また、本発明のポリマー支持体は、下塗り層が設けられている面が表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、低圧プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が挙げられる。
‐コロナ放電処理‐
コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を被処理物を通過させることにより、処理を行う。
たとえば、電極と誘電体ロ−ルとのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m程度が好ましい。
‐火炎処理‐
本発明の火炎処理は、火炎の外炎部を支持体と接触させる処理方法である。通常はバーナーで炎を形成してこの火炎を支持体表面に当てることで処理を行う。
本発明に使用される表面処理用のバーナーは、支持体表面に火炎を均一に当てることができるものであれば制限はないが、丸型のバーナーを複数配置し、幅手方向に均一性を保つものでもよいし、支持体の幅と同等あるいはそれ以上の幅の横長スリット箱型バーナーでもよい。またウエブ状の支持体を処理する場合には、この丸型または横長スリット箱型バーナーをウエブの搬送方向に複数個配置してもよい。
本発明の火炎処理はバックロールの上で行ってもよいし、二本のロール間でロールなしの状態で行ってもよいが、バックロール上で行うことが好ましい。
バックロール上で処理を行う場合、バックロールが冷却バックロールであることが好ましい。冷却ロールの温度は10℃〜100℃、より好ましくは25℃〜60℃の間にコントロールするのが好ましい。冷却ロールの温度が10℃未満であると結露する場合があり、100℃を超えると支持体が変形を起こす場合がある。
本発明の火炎処理に用いられるバックロールの材質は耐熱性材料であれば、いずれも使用出来るが、金属やセラミックスが都合がよい。金属としては、鉄、鉄のクロームメッキ物、SUS304、316、420等が使用でき、これらの他にアルミナ、ジルコニア、シリカ等のセラミックスを挙げることが出来る。
本発明の火炎処理に用いる燃焼ガスとしてはパラフィン系ガス、例えば、都市ガス、天然ガス、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、オレフィン系ガスとしては、エチレンガス、プロピレンガス、またアセチレンガスが有用であり、一種類だけ、あるいは2種類以上混合してもよい。
本発明において、火炎処理に用いる燃焼ガスと混合する酸化性ガスとしては、酸素、空気が好ましく用いられるが、助燃剤や酸化剤を用いてもよい。
火炎には、特許第3893394号公報、特開2007−39508号公報に記載されているようなシラン化合物を添加する方法が好ましい。
火炎処理の燃焼ガスと酸化性ガスとの混合比率は、ガスの種類によって異なるが例えばプロパンガスと空気の場合には、プロパンガス/空気の好ましい混合比は、容量比で1/15〜1/22、好ましくは1/16〜1/19の範囲とすることがよく、天然ガスと空気の場合には、1/6〜1/10、より好ましくは1/7〜1/9とするのが好ましい。
本発明におけるウエブは片面だけ処理を行ってもよいし、両面行ってもよい。
本発明において、ウエブに火炎を当てる時間、つまり有効な火炎部をウエブが通過する時間は0.001秒以上2秒以内が好ましく、0.01秒以上1秒以内がより好ましい。2秒以上ではウエブの表面が侵され接着能力を逸する。また0.001秒未満では酸化反応が起こりにくく、接着に寄与し難い。
‐紫外線処理‐
紫外線処理は紫外線を試料表面に照射して接着性、濡れ性、印刷適性等を改良する処理である。
紫外線発生源としては通常「低圧水銀灯(低圧水銀UVランプ)」を用いる。低圧水銀灯の254nmと185nmの紫外線、特に後者により表面処理の効果が得られる。
紫外線処理は、通常大気圧下で1〜500秒間行う。処理時間が1秒未満の場合は接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に500秒を超えると支持体の着色等の問題が生じる場合がある。
‐低圧プラズマ処理‐
本発明の低圧プラズマ処理について説明する。
低圧プラズマは、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、支持体表面を処理する方法である。
プラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。
プラズマガスの圧力としては0.005〜10Torr、より好ましくは0.008〜3Torr程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.005Torr未満の場合は接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に10Torrを超えると電流が増大して放電が不安定になる場合がある。
更に、そのプラズマ出力としては、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
処理時間は0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度が好ましい。処理時間が0.05秒未満の場合には接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に100秒を超えると支持体の変形や着色等の問題が生じる場合がある。
本発明のプラズマ処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の装置を利用して行うことができる。特に、3.56MHzの高周波を用いた放電装置を利用して行う方法は好ましい。
‐大気圧プラズマ処理‐
次に大気圧プラズマについて説明する。大気圧プラズマは、高周波を用いて大気圧下で安定なプラズマ放電を起こさせて表面処理する方法である。
大気圧プラズマではキャリアガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等を用いてこれに酸素ガス等を一部混合したものを用いる。
大気圧プラズマ処理は、大気圧又はその近傍下の500〜800Torr程度の圧力下で行うことが好ましい。
また、放電の電源周波数は1〜100kHz、より好ましくは1〜10kHz程度が好ましい。
電源周波数が1kHzより低くなると安定した放電が得られない場合がある。逆に100kHzを超えると、高価な装置が必要になりコスト上不利になる場合がある。
本発明の大気圧プラズマ処理の放電強度は、50W・min/m〜500W・min/m程度が好ましい。強度が500W・min/mを超えるとアーク放電も起こり安定した処理が行えない場合がある。また、50W・min/m未満では充分な処理効果が得られない場合がある。
−下塗り層−
本発明の下塗り層はバインダーを含有し、0.05〜10μmの厚みでポリマー支持体の少なくとも片面に設けられ、ポリマー支持体と含フッ素ポリマー層との接着性を高める層である。以下に本発明の下塗り層について具体的に説明する。
(バインダー)
下塗り層を主に構成するバインダー(結着樹脂)としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。これらの中でも、ポリマー支持体(基材)及び含フッ素ポリマー層との高い接着性を確保する観点から、ポリオレフィン、アクリル樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂がより好ましい。また、複合樹脂を用いてもよく、例えばアクリル/シリコーン複合樹脂も好ましいバインダーである。
また、下塗り層に含まれるバインダーは、溶解度パラメーターが9.5〜14.0(cal/cm0.5である、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、若しくはポリウレタン樹脂が好ましい。これらの樹脂の溶解度パラメーターが9.5(cal/cm0.5以上、14.0(cal/cm0.5以下の範囲にあれば、良好な接着性が得られる。溶解度パラメーターが上記の範囲から外れると接着性が低下する。
なお、溶解度パラメーターは、溶解度パラメーターが既知の種々の溶剤、混合溶剤に対するポリマーの溶解性から以下の式によって求めることができる。
バインダーの溶解度パラメーター=(δ1+δ2)/2
δ1はそのバインダーを溶解できる溶剤で最も大きな溶解度パラメーター値
δ2はそのバインダーを溶解できる溶剤で最も小さな溶解度パラメーター値
δ1はたとえばアセトンとメチルアルコールの混合比を変えた混合溶媒を用いて、δ2はたとえばアセトンとn−ヘキサンの混合比を変えた混合溶媒を用いて求めることができる。
本発明における下塗り層にバインダーとして含まれるシリコーン樹脂は、主鎖又は側鎖にシロキサン結合を有するポリマーである。シリコーン樹脂としては、該シロキサン結合を有するポリマーと他のポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)とが共重合した複合ポリマーが好ましい。
複合ポリマーは、(ポリ)シロキサンと少なくとも一種のポリマーとが共重合したブロック共重合体であってもよい。(ポリ)シロキサン、及び共重合されるポリマーは、一種単独でもよく、二種以上であってもよい。
前記一般式(1)において、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又は1価の有機基を表す。ここで、RとRとは同一でも異なってもよく、複数のR及びRは各々、互いに同一でも異なってもよい。nは、1以上の整数を表す。
複合ポリマー中の(ポリ)シロキサンセグメントである「−(Si(R) (R)−O)−」の部分(一般式(1)で表される(ポリ)シロキサン構造単位)において、R及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又は1価の有機基を表す。
「−(Si(R) (R)−O)−」は、線状、分岐状あるいは環状の構造を有する各種の(ポリ)シロキサンに由来する(ポリ)シロキサンセグメントである。
及びRで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
及びRで表される「1価の有機基」は、Si原子と共有結合可能な基であり、無置換でも置換基を有してもよい。前記1価の有機基は、例えば、アルキル基(例:メチル基、エチル基など)、アリール基(例:フェニル基など)、アラルキル基(例:ベンジル基、フェニルエチルなど)、アルコキシ基(例:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、アリールオキシ基(例;フェノキシ基など)、メルカプト基、アミノ基(例:アミノ基、ジエチルアミノ基など)、アミド基等が挙げられる。
中でも、ポリマー基材などの隣接材料との接着性及び湿熱環境下での耐久性の点で、R、Rとしては各々独立に、水素原子、塩素原子、臭素原子、無置換の又は置換された炭素数1〜4のアルキル基(特にメチル基、エチル基)、無置換の又は置換されたフェニル基、無置換の又は置換されたアルコキシ基、メルカプト基、無置換のアミノ基、アミド基が好ましく、より好ましくは、湿熱環境下での耐久性の点で、無置換の又は置換されたアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)である。
前記nは、1〜5000であることが好ましく、1〜1000であることがより好ましい。
複合ポリマー中における「−(Si(R) (R)−O)−」の部分(一般式(1)で表される(ポリ)シロキサン構造単位)の比率は、複合ポリマーの全質量に対して15〜85質量%の範囲が好ましく、中でもポリマー基材との接着性及び湿熱環境下での耐久性の点で、20〜80質量%の範囲がより好ましい。
ポリシロキサン部位の比率は、15質量%以上であるとポリマー基材との接着性及び湿熱環境下に曝された際の接着耐久性が良好であり、85質量%以下であると水分散物としたときの分散液を安定に維持するのに有効である。
また、前記シロキサン構造単位と共重合している非シロキサン系構造単位(ポリマーに由来の構造部分)は、シロキサン構造を有していないこと以外は特に制限されるものではなく、任意のポリマーに由来のポリマーセグメントのいずれであってもよい。ポリマーセグメントの前駆体である重合体(前駆ポリマー)としては、例えば、ビニル系重合体(例えばアクリル系重合体)、ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体等の各種の重合体等が挙げられる。調製が容易なこと及び耐加水分解性に優れる点から、ビニル系重合体及びポリウレタン系重合体が好ましく、ビニル系重合体がより好ましく、アクリル系重合体が特に好ましい。
前記ビニル系重合体の代表的な例としては、アクリル系重合体、カルボン酸ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、フルオロオレフィン系重合体等の各種の重合体が挙げられる。中でも、設計の自由度の観点から、アクリル系重合体(すなわち非シロキサン系構造単位としてアクリル系構造単位)が特に好ましい。
なお、非シロキサン系構造単位を構成する重合体は、一種単独でもよいし、2種以上の併用であってもよい。
また、非シロキサン系構造単位をなす前駆ポリマーは、酸基及び中和された酸基の少なくとも1つ並びに/又は加水分解性シリル基を含有するものが好ましい。このような前駆ポリマーのうち、ビニル系重合体は、例えば、(a)酸基を含むビニル系単量体と加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を含むビニル系単量体とを、これらと共重合可能な単量体と共重合させる方法、(2)予め調製した水酸基並びに加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を含むビニル系重合体にポリカルボン酸無水物を反応させる方法、(3)予め調製した酸無水基並びに加水分解性シリル基及び/又はシラノール基を含むビニル系重合体を、活性水素を有する化合物(水、アルコール、アミン等)と反応させる方法などの各種方法を利用して調製することができる。
このような前駆ポリマーは、例えば、特開2009−52011号公報の段落番号0021〜0078に記載の方法を利用して製造、入手することができる。
本発明における複合ポリマーの合成方法については、例えば、特開平2−8209号公報、特開平11−209693号公報に記載されている。
本発明における下塗り層は、バインダーとして、前記複合ポリマーを単独で用いてもよいし、他のポリマーと併用してもよい。他のポリマーを併用する場合、本発明における複合ポリマーの比率は、全バインダーの30質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。複合ポリマーの比率が30質量%以上であることにより、ポリマー基材との接着性及び湿熱環境下での耐久性により優れる。
前記複合ポリマーの分子量は、5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000であることがより好ましい。
複合ポリマーの調製には、(i)前駆ポリマーと、前記一般式(1)〔−(Si(R) (R)−O)−〕の構造を有するポリシロキサンとを反応させる方法、(ii)前駆ポリマーの存在下に、R及び/又はRが加水分解性基である「−(Si(R) (R)−O)−」の構造を有するシラン化合物を加水分解縮合させる方法、等の方法を利用することができる。
前記(ii)の方法で用いられるシラン化合物としては、各種シラン化合物が挙げられるが、アルコキシシラン化合物が特に好ましい。
前記(i)の方法により複合ポリマーを調製する場合、例えば、前駆ポリマーとポリシロキサンの混合物に、必要に応じて水と触媒を加え、20〜150℃程度の温度で30分〜30時間程度(好ましくは50〜130℃で1〜20時間)反応させることにより調製することができる。触媒としては、酸性化合物、塩基性化合物、金属含有化合物等の各種のシラノール縮合触媒を添加することができる。
また、前記(ii)の方法により複合ポリマーを調製する場合、例えば、前駆ポリマーとアルコキシシラン化合物の混合物に、水とシラノール縮合触媒を添加して、20〜150℃程度の温度で30分〜30時間程度(好ましくは50〜130℃で1〜20時間)加水分解縮合を行なうことにより調製することができる。
シリコーン樹脂の例としては、セラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)、H7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
(その他の添加剤)
本発明の下塗り層には、必要に応じて、架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
(架橋剤)
下塗り層を主に構成するバインダー(結着樹脂)に架橋剤を添加して下塗り層を形成することで架橋剤に由来する架橋構造が得られる。
前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。これらの中でカルボジイミド系及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系、オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、カルボジイミド系架橋剤としては例えばカルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)、オキサゾリン系架橋剤の例としては例えばエポクロスWS−700、エポクロスK−2020E(いずれも日本触媒(株)製)などがある。
架橋剤の添加量は、下塗り層を構成するバインダーに対して0.5〜25質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、下塗り層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、25質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てる。
(界面活性剤)
前記界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜10mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜3mg/mである。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、10mg/m以下であると、ポリマー支持体及び含フッ素ポリマー層との接着を良好に行なうことができる。
(フィラー)
本発明の下塗り層には、更に、フィラーを添加してもよい。フィラーとしてはコロイダルシリカ、二酸化チタンなどの公知のフィラーを用いることができる。
フィラーの添加量は、下塗り層のバインダーに対し20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーの添加量が20質量%以下であると、下塗り層の面状がより良好に保てる。
本発明の下塗り層は、白色顔料を含むことで反射層として機能することもできる。白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等が好ましい。
下塗り層の反射性と含フッ素ポリマー層の接着性を両立する観点から、下塗り層における白色顔料の含有量は、4〜12g/mであることが好ましく、5〜8g/mであることがより好ましい。
(厚み)
本発明の下塗り層の厚みは0.05〜10μmである。下塗り層の厚みが0.05μm未満であると耐久性が不十分となるほか、ポリマー支持体と含フッ素ポリマー層との接着力を確保できない。一方、下塗り層の厚みが10μmを越えると面状が悪化して含フッ素ポリマー層との接着力が不十分となる。下塗り層の厚みが0.05〜10μmの範囲にあると下塗り層の耐久性と面状を両立し、ポリマー支持体と含フッ素ポリマー層との接着性を高めることができ、特に1.0〜10μm程度の範囲が好ましい。
なお、下塗層を形成するバインダーとして、溶解度パラメーターが9.5〜14.0(cal/cm0.5である、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、若しくはポリウレタン樹脂を用いる場合は、下塗り層の厚みは0.5〜8.0μmであることが好ましい。
(形成方法)
本発明の下塗り層は、バインダー等を含む塗布液をポリマー支持体上に塗布して乾燥させることにより形成することができる。乾燥後、加熱するなどして硬化させてもよい。塗布方法や用いる塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。バインダーを水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また、ポリマー支持体が2軸延伸フィルムである場合は、2軸延伸した後のポリマー支持体に下塗り層を形成するための塗布液を塗布した後、塗膜を乾燥させてもよいし、1軸延伸後のポリマー支持体に塗布液を塗布して塗膜を乾燥させた後に、初めの延伸と異なる方向に延伸する方法でもよい。さらに、延伸前のポリマー支持体に塗布液を塗布して塗膜を乾燥させた後に2方向に延伸してもよい。
−含フッ素ポリマー層−
本発明の含フッ素ポリマー層は、少なくともフッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、0.8〜12μmの厚みで、ポリマー支持体の少なくとも片面に下塗り層に接して設けられる層であり、下塗り層の上に直接設けられている。含フッ素ポリマー層は、フッ素系ポリマー(含フッ素ポリマー)を主バインダーとして構成される。主バインダーとは、含フッ素ポリマー層において含有量が最も多いバインダーである。以下に本発明の含フッ素ポリマー層について具体的に説明する。
(フッ素系ポリマー)
本発明の含フッ素ポリマー層に用いるフッ素系ポリマーとしては−(CFX−CX)−で表される繰り返し単位を有するポリマーであれば特に制限はない(ただしX、X、Xは水素原子、フッ素原子、塩素原子又は炭素数1から3のパーフルオロアルキル基を示す。)。具体的なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(以降、PTFEと表す場合がある)、ポリフッ化ビニル(以降、PVFと表す場合がある)、ポリフッ化ビニリデン(以降、PVDFと表す場合がある)、ポリ塩化3フッ化エチレン(以降、PCTFEと表す場合がある)、ポリテトラフルオロプロピレン(以降、HFPと表す場合がある)などがある。
これらのポリマーは単独のモノマーを重合したホモポリマーでも良いし、2種類以上を共重合したものでもよい。この例として、テトラフルオロエチレンとテトラフルオロプロピレンを共重合したコポリマー(P(TFE/HFP)と略記)、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンを共重合したコポリマー(P(TFE/VDF)と略記)等を挙げることができる。
さらに、本発明の含フッ素ポリマー層に用いるポリマーとしては−(CFX−CX)−で表されるフッ素系モノマーと、それ以外のモノマーを共重合したポリマーでもよい。これらの例としてテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(P(TFE/E)と略記)、テトラフルオロエチレンとプロピレンの共重合体(P(TFE/P)と略記)、テトラフルオロエチレンとビニルエーテルの共重合体(P(TFE/VE)と略記)、テトラフルオロエチレンとパーフロロビニルエーテルの共重合体(P(TFE/FVE)と略記)、クロロトリフルオロエチレンとビニルエーテルの共重合体(P(CTFE/VE)と略記)、クロロトリフルオロエチレンとパーフロロビニルエーテルの共重合体(P(CTFE/FVE)と略記)等を挙げることができる。
これらのフッ素系ポリマーとしてはポリマーを有機溶剤に溶解して用いるものでも、ポリマー微粒子を水に分散して用いるものでもよい。環境負荷が小さい点から後者が好ましい。フッ素系ポリマーの水分散物については例えば特開2003−231722号公報、特開2002−20409号公報、特開平9−194538号公報等に記載されている。
本発明の含フッ素ポリマー層のバインダーとしては上記のフッ素系ポリマーを単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。また、全バインダーの50質量%を超えない範囲でアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂などのフッ素系ポリマー以外の樹脂を併用してもよい。ただし、フッ素系ポリマー以外の樹脂が50質量%を超えるとバックシートに用いた場合に耐候性が低下する場合がある。
(その他の添加剤)
本発明の含フッ素ポリマー層には、必要に応じて、架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
(架橋剤)
含フッ素ポリマー層に架橋剤を添加して含フッ素ポリマー層を形成することで架橋剤に由来する架橋構造が得られる。
含フッ素ポリマー層の前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。この中でカルボジイミド系、オキサゾリン系架橋剤は好ましい。カルボジイミド系架橋剤の例としては例えばカルボジライトV−02−L2(日清紡績(株)製)、オキサゾリン系架橋剤の例としては例えばエポクロスWS−700、エポクロスK−2020E(いずれも日本触媒(株)製)などがある。
架橋剤の添加量は、含フッ素ポリマー層中のバインダーに対して0.5〜25質量%が好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、含フッ素ポリマー層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、25質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てる。
(界面活性剤)
含フッ素ポリマー層の前記界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜15mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/mである。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m以下であると、接着を良好に行なうことができる。
(フィラー)
本発明の含フッ素ポリマー層には、更に、フィラーを添加してもよい。フィラーとしてはコロイダルシリカ、二酸化チタンなどの公知のフィラーを用いることができる。フィラーの添加量は、含フッ素ポリマー層のバインダー当たり20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーの添加量が20質量%以下であると、含フッ素ポリマー層の面状がより良好に保てる。
(厚み)
本発明の含フッ素ポリマー層の厚みは0.8〜12μmの範囲内とする。含フッ素ポリマー層の厚みが0.8μm未満であると太陽電池用バックシート用ポリマーシート、特に最外層として耐久性(耐候性)が不十分であり、12μmを越えると面状が悪化して下塗り層との接着力が不十分となる。含フッ素ポリマー層の厚みが0.8〜12μmの範囲にあると耐久性と面状を両立することができ、特に1.0〜10μm程度の範囲が好ましい。
(位置)
本発明の太陽電池用バックシート用ポリマーシートは、含フッ素ポリマー層の上にさらに別の層を積層してもよいが、バックシート用ポリマーシートの耐久性の向上、軽量化、薄型化、低コスト化などの観点から、含フッ素ポリマー層がバックシート用ポリマーシートの最外層であることが好ましい。
(形成方法)
含フッ素ポリマー層は、含フッ素ポリマー層を構成するフッ素系ポリマー等を含む塗布液を下塗り層上に塗布して塗膜を乾燥させることにより形成することができる。乾燥後、加熱するなどして硬化させてもよい。塗布方法や塗布液の溶媒には、特に制限はない。
塗布方法としては、例えばグラビアコーターやバーコーターを利用することができる。
塗布液に用いる溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。ただし、フッ素系ポリマー等のバインダー等を水分散した水系塗布液を形成して、これを塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上である。含フッ素ポリマー層を形成する塗布液に含まれる溶媒の60質量%以上が水であれば、環境負荷が小さくなるので好ましい。
本発明の太陽電池用バックシート用ポリマーシートは、必要に応じて他の層を有してもよい。例えば、ポリマー支持体の含フッ素ポリマー層が設けられている側の反対側に着色層を設けることができる。
−着色層−
着色層は、少なくとも顔料とバインダーを含有し、必要に応じて、さらに各種添加剤などの他の成分を含んで構成されてもよい。
着色層の機能としては、第1に、入射光のうち太陽電池セルを通過して発電に使用されずにバックシートに到達した光を反射させて太陽電池セルに戻すことにより、太陽電池モジュールの発電効率を上げること、第2に、太陽電池モジュールを太陽光が入射する側(オモテ面側)から見た場合の外観の装飾性を向上すること、等が挙げられる。一般に太陽電池モジュールをオモテ面側(ガラス基板側)から見ると、太陽電池セルの周囲にバックシートが見えており、バックシート用ポリマーシートに着色層を設けることによりバックシートの装飾性を向上させて見栄えを改善することができる。
(顔料)
着色層は、顔料の少なくとも一種を含有することができる。
顔料としては、例えば、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、群青、紺青、カーボンブラック等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料を、適宜選択して含有することができる。
着色層を、太陽電池に入射して太陽電池セルを通過した光を反射して太陽電池セルに戻す反射層として構成する場合、白色顔料を含むことが好ましい。白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク等が好ましい。
顔料の着色層中における含有量は、2.5〜8.5g/mの範囲が好ましい。顔料の含有量が2.5g/m以上であると、必要な着色が得られ、反射率や装飾性を効果的に与えることができる。また、着色層中における顔料の含有量が8.5g/m以下であると、着色層の面状を良好に維持しやすく、膜強度により優れる。中でも、顔料の含有量は、4.5〜8.0g/mの範囲がより好ましい。
顔料の平均粒径としては、体積平均粒径で0.03〜0.8μmが好ましく、より好ましくは0.15〜0.5μm程度である。平均粒径が前記範囲内であると、光の反射効率が高い。平均粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
着色層を構成するバインダーとしては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。これらの中でも、高い接着性を確保する観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましい。また。複合樹脂を用いてもよく、例えばアクリル/シリコーン複合樹脂も好ましいバインダーである。
バインダー成分の含有量は、顔料に対して、15〜200質量%の範囲が好ましく、17〜100質量%の範囲がより好ましい。バインダーの含有量は、15質量%以上であると、着色層の強度が充分に得られ、また200質量%以下であると、反射率や装飾性を良好に保つことができる。
(添加剤)
本発明の着色層には、必要に応じて、架橋剤、界面活性剤、フィラー等を添加してもよい。
前記架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。架橋剤の添加量は、層中のバインダー当たり5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。
架橋剤の添加量は、5質量%以上であると、着色層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、50質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保てる。
前記界面活性剤としては、アニオン系やノニオン系等の公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は0.1〜15mg/mが好ましく、より好ましくは0.5〜5mg/mである。界面活性剤の添加量は、0.1mg/m以上であると、ハジキの発生を抑えて良好な層形成が得られ、15mg/m以下であると、接着を良好に行なうことができる。
着色層には、更に、フィラーを添加してもよい。フィラーの添加量は、着色層のバインダー当たり20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。フィラーの添加量が20質量%以下であると、着色層の面状がより良好に保てる。
(着色層の形成方法)
着色層の形成は、顔料を含有するポリマーシートをポリマー支持体に貼合する方法、基材形成時に着色層を共押出しする方法、塗布による方法等により行なえる。具体的には、ポリマー支持体の表面に直にあるいは厚み2μm以下の下塗り層を介して、貼合、共押出し、塗布等することにより着色層を形成することができる。形成された着色層は、ポリマー支持体の表面に直に接した状態であっても、あるいは下塗り層を介して積層した状態であってもよい。
上記のうち、塗布による方法は、簡便であると共に、均一性で薄膜での形成が可能である点で好ましい。
塗布による場合、塗布方法としては、例えば、グラビアコーター、バーコーターなどの公知の塗布方法を利用することができる。
塗布液は、塗布溶媒として水を用いた水系でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒を用いた溶剤系でもよい。中でも、環境負荷の観点から、水を溶媒とすることが好ましい。塗布溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
−易接着性層−
本発明のバックシート用ポリマーシートには、さらに含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、易接着性層(特に着色層の上に)が設けられていてもよい。易接着性層は、バックシート用ポリマーシートを電池側基板(電池本体)の太陽電池素子(以下、発電素子ともいう)を封止する封止材と強固に接着するための層である。
易接着性層は、バインダー、無機微粒子を用いて構成することができ、必要に応じて、さらに添加剤などの他の成分を含んで構成されてもよい。易接着性層は、電池側基板の発電素子を封止するエチレン−ビニルアセテート(EVA;エチレン−酢酸ビニル共重合体)系封止材に対して、好ましくは5N/cm以上、より好ましくは10N/cm以上(さらに好ましくは20N/cm以上)の接着力を有するように構成されていることが好ましい。接着力が5N/cm以上、特に10N/cm以上であると、接着性を維持し得る湿熱耐性が得られやすい。
なお、接着力は、易接着性層中のバインダー及び無機微粒子の量を調節する方法、バックシート用ポリマーシートの封止材と接着する面にコロナ処理を施す方法などにより調整が可能である。
(バインダー)
易接着性層は、バインダーの少なくとも一種を含有することができる。
易接着性層に好適なバインダーとしては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が挙げられ、中でも耐久性の観点から、アクリル樹脂、ポリオレフィンが好ましい。また、アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。
好ましいバインダーの例としては、ポリオレフィンの具体例としてケミパールS−120、S−75N(ともに三井化学(株)製)、アクリル樹脂の具体例としてジュリマーET−410、SEK−301(ともに日本純薬(株)製)、アクリルとシリコーンとの複合樹脂の具体例としてセラネートWSA1060、WSA1070(ともにDIC(株)製)とH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)などを挙げることができる。
バインダーの易接着性層中における含有量は、0.05〜5g/mの範囲とすることが好ましい。中でも、0.08〜3g/mの範囲がより好ましい。バインダーの含有量は、0.05g/m以上であると所望とする接着力が得られやすく、5g/m以下であるとより良好な面状が得られる。
(微粒子)
易接着性層は、無機微粒子の少なくとも一種を含有することができる。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化錫等が挙げられる。中でも、湿熱雰囲気に曝されたときの接着性の低下が小さい点で、酸化錫、シリカの微粒子が好ましい。
無機微粒子の粒径は、体積平均粒径で10〜700nm程度が好ましく、より好ましくは20〜300nm程度である。粒径がこの範囲内であると、より良好な易接着性を得ることができる。粒径は、レーザー解析/散乱式粒子径分布測定装置LA950〔(株)堀場製作所製〕により測定される値である。
無機微粒子の形状には、特に制限はなく、球形、不定形、針状形等のいずれのものを用いることができる。
無機微粒子の含有量は、易接着性層中のバインダーに対して、5〜400質量%の範囲とする。無機微粒子の含有量は、5質量%未満であると、湿熱雰囲気に曝されたときに良好な接着性が保持できず、400質量%を超えると、易接着性層の面状が悪化する。
中でも、無機微粒子の含有量は、50〜300質量%の範囲が好ましい。
(架橋剤)
易接着性層には、架橋剤の少なくとも一種を含有することができる。
易接着性層に好適な架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。中でも、湿熱経時後の接着性を確保する観点から、オキサゾリン系架橋剤が特に好ましい。
前記オキサゾリン系架橋剤の具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2、2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。さらに、これらの化合物の(共)重合体も好ましく用いられる。
また、オキサゾリン基を有する化合物として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS-500、同WS-700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等も利用できる。
架橋剤の易接着性層中における含有量としては、易接着性層中のバインダーに対して、5〜50質量%が好ましく、中でもより好ましくは20〜40質量%である。架橋剤の含有量は、5質量%以上であると、良好な架橋効果が得られ、着色層の強度や接着性を保持することができ、50質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保つことができる。
(添加剤)
本発明における易接着性層には、必要に応じて、更に、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等の公知のマット剤、アニオン系やノニオン系などの公知の界面活性剤などを添加してもよい。
(易接着性層の形成方法)
易接着性層の形成は、易接着性を有するポリマーシートを支持体に貼合する方法や、塗布による方法が挙げられる。中でも、塗布による方法は、簡便であると共に、均一性で薄膜での形成が可能である点で好ましい。塗布方法としては、例えば、グラビアコーターやバーコーターなどの公知の塗布法を利用することができる。塗布液の調製に用いる塗布溶媒は、水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよい。塗布溶媒は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
(物性)
易接着性層の厚みには、特に制限はないが、通常は0.05〜8μmが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。易接着性層の厚みは、0.05μm以上であると必要な易接着性を好適に得ることができ、8μm以下であると面状がより良好になる。
また、本発明の易接着性層は、着色層の効果を低減させないために、透明であることが必要である。
<太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法>
本発明の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法は特に限定されるものではないが、以下の工程により好適に製造することができる。
すなわち、太陽電池用バックシート用ポリマーシートの好ましい製造方法は、
前記ポリマー支持体の少なくとも片面に前記下塗り層を備えたポリマーシートを用意する工程と、
前記フッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液を前記下塗り層上に塗布する工程と、
前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成する工程と、を有する。
また、前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成した後、該含フッ素ポリマー層を硬化させれば、湿熱経時後の接着性を高めることができる。
また、下塗り層も、バインダーを含む塗布液をポリマー支持体の少なくとも片面に塗布した後、該ポリマー支持体に塗布した塗布液を乾燥させて形成することが好ましい。
本発明のポリマーシートは、既述のように、さらに、必要に応じて他の層(易接着性層等)を有していてもよい。従って、本発明のポリマーシートの製造方法は、上記の必須の工程に加えて、他の層を形成する工程を有していてもよい。
他の層の形成態様の例としては、例えば、(1)他の層を構成する成分を含有する塗布液を被形成面(例えば、本発明のポリマーシートのポリマー支持体の下塗り層及び含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面)に塗布することにより形成する方法が挙げられ、その例としては、易接着性層、及び着色層の形成方法として既述した方法が挙げられる。
このような方法で形成された本発明のポリマーシートの具体例としては、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に白色顔料を含有する反射層を塗設したもの、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に着色顔料を含有する着色層を塗設したもの、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に、白色顔料を含有する反射層と易接着層を塗設したものなどを挙げることができる。
また、他の層の形成態様の他の例としては、(2)他の層として所望される機能を発揮する層を1層又は2層以上有するシートを被形成面に貼合する方法が挙げられる。
上記(2)の方法が適用された場合において用いられるシートは、他の層を1層又は2層以上有するシートであり、その例としては、例えば、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に白色顔料を含有するポリマーフィルムを貼合したもの、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に着色顔料を含有する着色フィルムを貼合したもの、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面にアルミニウム薄膜と白色顔料を含有するポリマーフィルムを貼合したもの、本発明のポリマーシートの含フッ素ポリマー層が形成されている面とは反対の面に無機バリア層を有するポリマーフィルムと白色顔料を含有するポリマーフィルムを貼合したものの如き構成のシートが挙げられる。
<太陽電池用バックシート>
本発明の太陽電池用バックシートは、本発明のポリマーシートを備えたものであり、例えば、ポリマー支持体の片面側に着色層が設けられた構成や、本発明のポリマーシートのほかにバリア層又は金属シートをさらに有する構成が挙げられる。
バリア層は、封止剤であるEVAや太陽電池セルに水分が透過しないように設けられる層であり、水が実質的に透過しない材料であれば使用できるが、重量や価格、可撓性などの点から、シリコーン蒸着PETシート、酸化ケイ素蒸着PETシート、酸化アルミ素蒸着PETシートなどが用いられる。バリア層の厚さは通常10〜30μm程度である。
金属シートもバリア層と同じ目的で用いられるもので、アルミニウムやステンレススチールなどの金属薄シートなどが用いられる。金属シートを設ける場合も厚さは通常10〜30μm程度である。
また、本発明の太陽電池用バックシートは、前記本発明のポリマーシートの前記含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、接着剤を介して他のポリマーシートが貼り合わされた構成が挙げられる。
本発明のポリマーシートに貼り合せる他のポリマーシートは特に限定されないが、例えば、反射層として機能させる白色顔料を含むPETシートなどが挙げられる。
ポリマーシートを貼り合わせるための接着剤としては、例えば、ポリオール成分とイソシアネート成分の、通常は各々の溶剤溶液からなる2液硬化型ポリウレタン樹脂(アルキット樹脂、アクリル樹脂、あるいはポリビニルアルコール等の水酸基(−OH)と、硬化剤(架橋剤)としてのイソシアネート樹脂のイソシアネート基(−NCO)反応により硬化する樹脂)系接着剤等が用いられる。
前記ポリウレタン樹脂系接着剤は、多くの官能基に含まれている活性水素と反応しやすく、溶解性と被着材との濡れがよいことから、種々のプラスチックフイルムあるいはシートの組み合わせにおいて、高い接着性を示す。
接着剤としては、例えば、2液硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤を予め設定された比になるよう混合して使用し、接着する2つの面の片方、または両方に塗布した後、両者を重ね合わせて加圧するか、または、塗布後、一旦乾燥させた後に、両者を重ね合わせ、加熱および加圧して接着する。
接着剤の塗布に際しては、通常、ロールコーター、グラビアロールコーター等の塗工機が使用される。
接着剤の塗布量は、通常、固形分換算で2〜20g/mの範囲である。また、ラミネートは、通常のドライラミネータまたはエクストルージョンコーターを使用して行なう。
<太陽電池モジュール>
図1は、本発明の太陽電池モジュールの構成の一例を概略的に示している。この太陽電池モジュール10は、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子20を、太陽光が入射する透明性の基板24と既述の本発明の太陽電池用バックシート用ポリマーシートとの間に配置し、該基板とバックシート用ポリマーシートとの間をエチレン−ビニルアセテート系封止材22で封止して構成されている。本実施形態のバックシート用ポリマーシートは、ポリマー支持体16の一方の面側に下塗り層14に接して含フッ素ポリマー層12が設けられ、他方の面側(太陽光が入射する側)に、他の層として、白色の反射層18が設けられている。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性の基板24は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子20としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
このような構成の太陽電池モジュール10であれば、裏面側に下塗り層を介して最外層となる含フッ素ポリマー層が設けられており、高い耐久性を有するとともに高い接着性が保たれるため、屋外でも長期にわたって使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、実施例7、17、24、25、26、44、46、47は、それぞれ表1〜表3における参考例7、17、24、25、26、44、46、47に相当する。
実施例1
<基材(PET−1)の作製>
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。前記チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落番号[0083]の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。その5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。
その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルク(97Kg・cm)となった時点で反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
そして、得られたポリマー溶融物を冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。
−固相重合−
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行なった。
−ベース形成−
以上のように固相重合を経た後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約3mmの未延伸ベースを作製した。その後、90℃で縦方向に3倍に延伸し、更に120℃で横方向に3.3倍に延伸した。こうして、厚み300μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材(以下、「PET−1基材」と称する。)を得た。このベースのカルボキシル基含有量は29モル/tであった。
−顔料分散物の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(顔料分散物の組成)
・二酸化チタン(体積平均粒子径=0.42μm)・・・40質量%
(タイペークR−780−2、石原産業(株)製、固形分100質量%)
・ポリビニルアルコール水溶液(10質量%)・・・8.0質量%
(PVA−105、(株)クラレ製)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25質量%)・・・0.5質量%
・蒸留水・・・51.5質量%
<下塗り層>
−下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・セラネートWSA−1070(バインダー、P−1)・・・362.3質量部
(アクリル/シリコーン系バインダー、DIC(株)製、固形分:40質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤、A−1)・・・48.3質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:40質量%)
・界面活性剤・・・9.7質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・上記分散物・・・157.0質量部
・蒸留水・・・422.7質量部
−下塗り層の形成−
得られた下塗り層形成用塗布液をPET−1基材の一方の面に、バインダー量が塗布量で3.0g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約3μmの下塗り層を形成した。
<含フッ素ポリマー層>
−含フッ素ポリマー層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、含フッ素ポリマー層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・オブリガートSSW0011F(バインダー、P−101)・・・247.8質量部
(フッ素系バインダー、AGCコーテック(株)製、固形分:39質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤、A−1)・・・24.2質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:40質量%)
・界面活性剤・・・24.2質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・蒸留水・・・703.8質量部
−含フッ素ポリマー層の形成−
得られた含フッ素ポリマー層形成用塗布液をPET−1基材の片面に設けた下塗り層の上に、バインダー量が塗布量で2.0g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚み約2μmの含フッ素ポリマー層を形成した。
得られた試料について、後述する破断伸び保持率、湿熱経時前の接着性、湿熱経時後の接着性、耐久性、面状の各評価を実施した。この結果を表2に示す。
比較例1、2、実施例2〜6
下塗り層の厚みを表1のように変える以外は実施例1と同様にして比較例1、2、実施例2〜6を実施した。ただし、比較例1は下塗り層のない試料である。
得られた試料について実施例1と同様の評価を実施した結果を表2に示す。
実施例7〜13
下塗り層に添加する架橋剤を表1のように変える以外は実施例1と同様にして実施例7〜13を実施した。ただし、実施例7は下塗り層に架橋剤を添加しない試料である。
得られた試料について実施例1と同様の評価を実施した結果を表2に示す。
比較例3、4、実施例14〜16
含フッ素ポリマー層の厚みを表1のように変える以外は実施例1と同様にして比較例3、4、実施例14〜16を実施した。
得られた試料について実施例1と同様の評価を実施した結果を表2に示す。
実施例17〜22
含フッ素ポリマー層に添加する架橋剤を表1のように変える以外は実施例1と同様にして実施例17〜22を実施した。ただし、実施例17は含フッ素ポリマー層に架橋剤を添加しない試料である。
得られた試料について実施例1と同様の評価を実施した結果を表2に示す。
比較例5、実施例23〜29
下塗り層または含フッ素ポリマー層のバインダーと架橋剤を表1のように変える以外は実施例1と同様にして比較例5、実施例23〜29を実施した。
得られた試料について実施例1と同様の評価を実施した結果を表2に示す。
実施例A
下塗り層を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして実施例Aを実施した。
−顔料分散物2の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処
理を施した。
(顔料分散物2の組成)
・二酸化チタン(体積平均粒子径=0.42μm)・・・50.3質量%
(タイペークR−780−2、石原産業(株)製、固形分100質量%)
・ポリビニルアルコール水溶液(10質量%)・・・2.5質量%
(PVA−105、(株)クラレ製)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25質量%)・・・0.2質量%
・蒸留水・・・47.0質量%
<下塗り層>
−下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・セラネートWSA−1070(バインダー、P−1)・・・350.0質量部
(アクリル/シリコーン系バインダー、DIC(株)製、固形分:40質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤、A−1)・・・98.0質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:10質量%)
・オキサゾリン化合物 (架橋剤、A−2) ・・・16.8質量部
(エポクロスWS700、日本触媒(株)製、固形分:25質量%)
・界面活性剤・・・15.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・顔料分散物2・・・456.6質量部
・蒸留水・・・63.6質量部
−下塗り層の形成−
得られた下塗り層形成用塗布液をPET基材の一方の面に、バインダー量が塗布量で4.0g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約4μmの下塗り層を形成した。
実施例B
顔料分散物の処方を下記のように変える以外は実施例Aと同様にして実施例Bを実施した。
−顔料分散物3の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(顔料分散物3の組成)
・二酸化チタン(体積平均粒子径=0.28μm)・・・50.3質量%
(CR95、石原産業(株)製、固形分:100質量%)
・ポリビニルアルコール水溶液(10質量%)・・・2.5質量%
(PVA−105、(株)クラレ製)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25質量%)・・・0.2質量%
・蒸留水・・・47.0質量%
実施例C
実施例Aで得られたポリマーシートの下塗り層とポリマー層が設けられている面の反対面に下記の表面下塗り層を塗布し、さらにその上に後述する実施例30の反射層を設けて太陽電池用バックシートを作製した。
−表面下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、表面下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・ポリエステル系バインダー ・・・48.0質量部
(バイロナールDM1245(東洋紡(株)製、固形分30質量%))
・カルボジイミド化合物(架橋剤)・・・10.0質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:10質量%)
・オキサゾリン化合物(架橋剤)・・・3.0質量部
(エポクロスWS700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%)
・界面活性剤・・・15.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・蒸留水・・・924.0質量部
−表面下塗り層の形成−
得られた表面下塗り層形成用塗布液をPET基材の下塗り層とポリマー層が設けられている面の反対面にバインダー量が塗布量で0.1g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約0.1μmの下塗り層を形成した。
さらに表面下塗り層の上に後述する実施例30の反射層を設けて太陽電池用バックシートとした。
実施例D
実施例Aのポリマーシートの下塗り層とポリマー層が設けられている面の反対面に厚さ20μmのアルミニウム箔を次の条件で貼合した。
更にその上に厚さ75μmの白色PETフィルム(二酸化チタン白色顔料を14質量%含有し、550nmにおける光反射率が82%)を同条件で貼合した。
以上のようにして、実施例Aのポリマーシート、アルミニウム箔、白色PETフィルムが積層されたバックシートを得た。
−貼合条件−
接着剤としてLX660(K)〔DIC(株)製接着剤〕に、硬化剤KW75〔DIC(株)製接着剤〕を10部混合したものを用い、基材2と基材1とを真空ラミネータ〔日清紡(株)製 真空ラミネート機〕でホットプレス接着した。
接着は80℃で3分の真空引き後、2分間加圧することで行った。
バックシートの形態にした後、40℃で4日間保持して反応を完了させた。
実施例E
アルミニウム箔の代わりに酸化ケイ素の蒸着層を形成した厚さ12μmのPETシートを用いる以外は実施例Dと同様にして実施例Eを実施した。
<評価方法>
−破断伸び保持率−
得られた試料について、以下の測定方法により得られた破断伸びの測定値L0及びL1に基づいて、下記式にて示される破断伸び保持率(%)を算出した。実用上許容できるものは、破断伸び保持率が50%以上のものである。
破断伸び保持率(%)=L1/L0×100
(破断伸びの測定方法)
試料を、幅10mm×長さ200mmに裁断して、測定用の試料A及びBを用意する。
試料Aに対して、25℃、60%RHの雰囲気で24時間調湿した後、テンシロン(ORIENTEC製 RTC−1210A)で引っ張り試験を行う。なお、延伸される試料の長さは10cm、引っ張り速度は20mm/分である。この評価で得られた試料Aの破断伸びをL0とする。
別途、試料Bに対して、120℃、100%RHの雰囲気で50時間湿熱処理した後、試料Aと同様にして引っ張り試験を行う。この時の試料Bの破断伸びをL1とする。
−接着性の評価−
(1)湿熱経時前の接着性
試料の含フッ素ポリマー層の表面に片刃のカミソリで、縦横それぞれ6本ずつ3mm間隔に傷をつけ、25マスのマス目を形成する。この上にマイラーテープ(ポリエステル粘着テープ)を貼り付け、手動で試料表面に沿って180°方向に引っ張って剥離する。このとき、剥離されたマス目の数によって、バック層の接着力を下記の評価基準にしたがってランク分けする。評価ランク4、5が、実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:剥離したマス目はなかった(0マス)。
4:剥離したマス目が0マスから0.5マス未満。
3:剥離したマス目が0.5マス以上2マス未満。
2:剥離したマス目が2マス以上10マス未満。
1:剥離したマス目が10マス以上。
(2)湿熱経時後の接着性
試料を120℃、100%RHの環境条件下で48時間保持した後、25℃、60%RHの環境下において1時間調湿した。その後、前記「(1)湿熱経時前の接着性」の評価と同様の方法で含フッ素ポリマー層の接着力を評価した。
−耐久性の評価−
試料を120℃、100%RHの雰囲気下で50時間保持した後、含フッ素ポリマー層の表面を目視と光学顕微鏡(ME−600、(株)ニコン製、倍率100倍)で観察して以下のようにランク分けする。
評価ランク3、4、5が、実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:光学顕微鏡観察しても表面に変化が認められない。
4:光学顕微鏡観察すると表面にわずかな亀裂や変形が見られる。
3:目視観察すると、表面のツヤが消失しているのがわかる。
2:目視観察でわずかな亀裂が見られる。
1:目視観察でも全面に亀裂が見られる。
−面状の評価−
上記のようにして作製したポリマーシートの面状を目視により観察し、下記の評価基準に従って評価した。このうち、ランク3、4及び5が実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:ムラやハジキが全くみられなかった。
4:ムラが極わずかにみられたが、ハジキは確認できなかった。
3:ムラがややみられたが、ハジキは確認できなかった。
2:ムラがはっきり確認され、一部に(10個/m未満)ハジキがみられた。
1:ムラがはっきり確認され、ハジキが10個/m以上みられた。
P−1 アクリル/シリコ−ン系樹脂 ポリシロキサン含有率 30% 固形分 40%
P−2 アクリル/シリコ−ン系樹脂 ポリシロキサン含有率 75% 固形分 35%
P−3 エチレン不飽和カルボン酸共重合体 非飽和カルボン酸量20wt%固形分 35%
P−4 ポリアクリル酸エステル 固形分 30%
P−101 フッ素系樹脂 固形分 40%
P−102 フッ素系樹脂 固形分 40%
P−103 フッ素系樹脂 固形分 40%
P−11,P−201 ポリウレタン樹脂 固形分 25%
表2に示すように、実施例1〜29では、全評価項目で4以上であり、実施例1〜29のポリマーシート試料(太陽電池用バックシート用ポリマーシート)は、太陽電池用バックシートとして好適であることがわかった。
実施例30
実施例1で得られたポリマーシート試料を用いて、以下の方法でポリマーシートに反射層を備え、太陽電池用バックシートとした。
<反射層>
−反射層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、反射層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・実施例1使用の二酸化チタン分散物・・・714.3質量部
・ポリアクリル樹脂水分散液・・・171.4質量部
〔バインダー:ジュリマーET410、日本純薬(株)製、固形分:30%〕
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・・・26.8質量部
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1%〕
・オキサゾリン化合物・・・17.9質量部
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25%;架橋剤〕
・蒸留水・・・69.6質量部
−反射層の形成−
得られた塗布液を、PET−1基材上の下塗り層と含フッ素ポリマー層の設けられた面の反対側の面に塗布し、180℃で1分間乾燥させて、二酸化チタン量が5.5g/m、厚みが約2μmの反射層を形成した。
以上の工程により、反射層/PET−1基材/下塗り層/含フッ素ポリマー層の積層構造を有する太陽電池用バックシートを形成した。
実施例31
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のSC50B)と、実施例30、C、D、又はEで得られたサンプルシート(太陽電池用バックシート)と、をこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、強化ガラス、太陽電池セル、及びサンプルシートを、それぞれEVAと接着させた。このとき、サンプルシートは、その反射層がEVAシートと接触するように配置した。
EVAの接着条件は、以下の通りである。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
このようにして、バックシートとして実施例30、C、D、又はEで得られたサンプルシートをそれぞれ用いた4種類の結晶系の太陽電池モジュールを作製した。作製した太陽電池モジュールを用いて発電運転をしたところ、太陽電池として良好な発電性能を示した。
<ポリマー基材の作製>
〜PET−2の作製〜
[工程1]
テレフタル酸ジメチル100質量部、トリメリット酸トリメチル(テレフタル酸ジメチル/トリメリット酸トリメチル=99.7/0.3のモル比となるように添加)、エチレングリコール57.5質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。
[工程2]
エステル交換反応終了後、リン酸0.019質量部(1.9モル/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.027質量部(1.5モル/t相当)をエチレングリコール0.5質量部に溶解したエチレングリコール溶液(PH5.0)を添加した。
[工程3]
重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.54、カルボキシル基末端基数13モル/tのポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)を得た。
[工程4]
得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、9時間の固相重合を行い、固有粘度0.90、カルボキシル基末端基数12モル/t、融点255℃、ガラス転移温度Tg83℃のポリエステルを得た。
[工程5]
工程4にて得られたポリエステル99重量部に対して、ラインケミー社製「スタバクゾールP100」(ポリカルボジイミド)を1重量部加えてコンパウンドした。
[工程6]
上記で得られたコンパウンド品を温度180℃、真空度0.5mmHgの条件下、2時間の減圧乾燥を行い、297℃に加熱した押出機に供給し、50μmカットフィルターにより異物濾過を行ったのちにTダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融単層シートとし、該溶融単層シートを、表面温度20℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸単層フィルムを得た。
[工程7]
続いて、得られた未延伸単層フィルムを加熱したロール群で予熱した後、80℃の温度で1.8倍MD延伸1を行い、さらに95℃の温度で2.3倍MD延伸2を行った。トータルで長手方向(MD方向)に4.1倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の95℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に4.0倍延伸した。
[工程8]
さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで205℃の温度(第1熱処理温度)で20秒間の熱処理を施した。引き続き、180℃の温度下において、フィルムを幅方向(TD)に3%の弛緩率にて弛緩させ、また、テンターのクリップ間隔を縮めることによって、長手方向(MD)に1.5%の弛緩率にて弛緩させた。次いで、25℃まで均一に冷却後巻取り、厚さ250μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PET−2)を得た。
PET−2の特性を評価した結果を以下に示す。
・カルボキシル末端基含有量:5mol/t
・Tmeta :190℃
・平均伸度保持率 :49%
・面配向係数 :0.170
・固有粘度 :0.75dl/g
・熱収縮率(MD/TD) :0.4%/0.2%
・緩衝剤:リン酸二水素ナトリウム 1.5モル/t
・末端封止剤:ポリカルボジイミド 1重量%
・リン原子の含有量 :230ppm
〜PET−3の作製〜
PET−2の製造方法の[工程8]について、第1熱処理温度を230℃に変更した以外は、PET−2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルム(PET−3)を作製した。
PET−3の特性を評価したところ、PET−2と比較して、Tmetaが225℃に、平均伸度保持率が7%に変化した。
〜PET−4の作製〜
厚みを75μmとした以外は、PET−2と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルム(PET−4)を作製した。
PET−4の特性を評価したところ、PET−2と比較して、Tmetaが190℃、平均伸度保持率50%であった。
実施例41
これらのPET支持体を用いて支持体の一方の面に、支持体から近い順に「下塗り層」と「ポリマー層」を有するポリマーシートを作製した。
[コロナ処理]
下記の条件で支持体の一方の面をコロナ処理した。
装置:ピラー社製ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデル
電極と誘電体ロールギャップクリアランス:1.6mm
処理周波数:9.6kHz
処理速度:20m/分
処理強度:0.375kV・A・分/m
[下塗り層]
−顔料分散物の調製−
下記組成中の各成分を混合し、その混合物をダイノミル型分散機により1時間、分散処理を施した。
(顔料分散物の組成)
・二酸化チタン(体積平均粒子径=0.42μm)・・・40質量%
(タイペークR−780−2、石原産業(株)製、固形分100質量%)
・ポリビニルアルコール水溶液(10質量%)・・・20.0質量%
(PVA−105、(株)クラレ製)
・界面活性剤(デモールEP、花王(株)製、固形分:25質量%)・・・0.5質量%
・蒸留水・・・39.5質量%
−下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・バインダー、(P−1)・・・362.3質量部
(セラネートWSA−1070、DIC(株)製、固形分:40質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤)・・・36.2質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:40質量%)
・界面活性剤・・・9.7質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・上記分散物・・・157.0質量部
・蒸留水・・・434.8質量部
−下塗り層の形成−
得られた下塗り層形成用塗布液を、支持体のコロナ処理を施した面に、バインダー量が塗布量で3.0g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約3μmの下塗り層を形成した。
[ポリマー層]
−ポリマー層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、ポリマー層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・フッ素系バインダー(P−100)・・・362.3質量部
(オブリガートSW0011F(AGCコーテック(株)製)固形分:40質量%)
・カルボジイミド化合物(架橋剤)・・・24.2質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:40質量%)
・界面活性剤・・・24.2質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・蒸留水・・・703.8質量部
−ポリマー層の形成−
得られたポリマー層形成用塗布液を下塗り層の上に、バインダー量が塗布量で2.0g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚み約2μmの含フッ素ポリマー層を形成した。
このようにして得られた試料について、以下の評価を行った結果を表3に示す。
<評価>
−1.接着性−
[A]湿熱経時前の接着性
試料のポリマー層の形成されている面にカミソリを用いて3mm間隔で縦横それぞれ6本づつの傷をつける。この上に幅20mmのマイラーテープを貼って、180度方向にすばやく剥離する。
剥離したマス目の数により次のようにランク付けを行う。
5:全く剥離が起こらない
4:剥離したマス目はゼロであるが、キズ部分が僅かに剥離している
3:剥離したマス目が1マス未満
2:剥離したマス目が1マス以上5マス未満
1:剥離したマス目が5マス以上
実用上許容されるのは、ランク3〜5に分類されるものである。
[B]湿熱経時後の接着性
得られた接着評価用試料を、120℃、100%RHの環境条件下で48時間保持(湿熱経時)した後、前記[A]と同様の方法にて接着力を測定した。測定された保持後の接着力について、同じ接着評価用試料の前記[A]湿熱経時前の接着力に対する比率〔%;=(湿熱経時後の接着力/[A]湿熱経時前の接着力)×100〕を算出した。また、測定された湿熱経時後の接着力をもとに、前記[A]と同様の方法にて接着力を評価した。
実施例42〜47
下塗り層のバインダーを表3の様に変更する以外は実施例41と同様にして実施例42〜47を実施した。得られた試料について、実施例41と同様の評価を行った結果を表3に示す。
実施例48〜55
下塗り層とポリマー層の厚みを表3の様に変更する以外は実施例41と同様にして実施例48〜55を実施した。得られた試料について、実施例41と同様の評価を行った結果を表3に示す。
実施例56〜60
表面処理の方法を表3の様に変更する以外は実施例41と同様にして実施例56〜60を実施した。得られた試料について、実施例41と同様の評価を行った結果を表3に示す。
実施例56:表面処理なし
実施例57:下記火炎処理
[火炎処理条件]
PET−2を搬送させながら、横長型バーナーを用い、プロパンガスと空気を1/17(体積比)に混合したガスを燃焼させた火炎をPET−2の表面に0.5秒間照射した。
実施例58:下記紫外線処理
[紫外線処理条件]
PET−2を搬送させながら、低圧水銀灯を用いて発生した紫外線を、大気圧下でPET−2の表面に20秒間照射した。
実施例59:下記真空プラズマ処理
[真空プラズマ処理条件]
PET−2を搬送させながら、酸素ガスとアルゴンガスを80/20の比率で混合したプラズマガス(ガス圧力:1.5Torr)の雰囲気中において、3.56MHzの高周波放電装置を用いた放電によって発生した出力1000W・min/mのプラズマをPET−2の表面に15秒間照射した。
実施例60:下記大気圧プラズマ処理
PET−2を搬送させながら、酸素ガスとアルゴンガスを80/20の比率で混合したプラズマガス(ガス圧力:1.5Torr)の雰囲気中において、3.56MHzの高周波放電装置を用いた放電によって発生した出力500W・min/mのプラズマをPET−2の表面に15秒間照射した。
実施例61
PET−2の代わりにPET−3を用いる以外は実施例42と同様にして実施例61を実施した。得られた試料について、実施例41と同様の評価を行った結果を表3に示す。
比較例11
下塗り層を設けない以外は実施例41と同様にして比較例11を実施した。得られた試料について、実施例41と同様の評価を行った結果を表3に示す。
実施例62
実施例41の試料(ポリマー試料)のポリマー層が設けられている面の反対側の面に実施例41と同様のコロナ処理を施し、この面に以下の表面下塗り層と着色層を設けてバックシート試料を作製した。
[表面下塗り層]
−表面下塗り層形成用塗布液の調製−
下記組成中の各成分を混合し、表面下塗り層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・ポリエステル系バインダー ・・・48.0質量部
(バイロナールDM1245(東洋紡(株)製、固形分:30質量%))
・カルボジイミド化合物(架橋剤)・・・10.0質量部
(カルボジライトV−02−L2、日清紡績(株)製、固形分:10質量%)
・オキサゾリン化合物(架橋剤)・・・3.0質量部
(エポクロスWS700、(株)日本触媒製、固形分:25質量%)
・界面活性剤・・・15.0質量部
(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%)
・蒸留水・・・907.0質量部
−表面下塗り層の形成−
得られた表面下塗り層形成用塗布液をPET基材の一方の面(ポリマー層が設けられている面の反対側の面)に、バインダー量が塗布量で0.1g/mになるように塗布し、180℃で1分間乾燥させて、乾燥厚みが約0.1μmの表面下塗り層を形成した。
[着色層]
−着色層形成用塗布液の調製−
下記組成中の成分を混合し、着色層形成用塗布液を調製した。
(塗布液の組成)
・二酸化チタン分散物(実施例41のものと共通)・・・80.0質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコールバインダー・・・11.4質量%
〔R1130、株〕クラレ製、固形分:7質量%〕
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル ・・・3.0質量%
〔ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%〕
・オキサゾリン化合物 ・・・2.0質量%
〔エポクロスWS−700、日本触媒(株)製、固形分:25%;架橋剤〕
・蒸留水 ・・・3.6質量%
−着色層の形成−
得られた塗布液を、上記の2軸延伸PET上の一方の面に塗布し、180℃で1分間乾燥させて、二酸化チタン量が7.0g/m、バインダー量が1.2g/mの着色層を形成した。
<太陽電池モジュールの作製と評価>
厚さ3.2mmの強化ガラスと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、バックシート試料をこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ〔日清紡社製、真空ラミネート機〕を用いてホットプレスすることにより、EVAと接着させた。ただし、バックシートはその着色層がEVAシートと接触するように配置した。また、EVAの接着条件は、以下の通りである。
真空ラミネータを用いて、128℃で3分間の真空引き後、2分間加圧して仮接着した。その後、ドライオーブンにて150℃で30分間、本接着処理を施した。
このようにして、結晶系の太陽電池モジュールを作製した。作製した太陽電池モジュールについて、発電運転をしたところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示した。
実施例63
支持体としてPET−2の代わりにPET−4を用いる以外は実施例41と同様にしてポリマーシート試料を作製した。この試料と厚さ20μmのアルミ箔、厚さ188μmのPET支持体、厚さ50μmの白色PET支持体をこの順に接着してバックシート試料を作製した。
なお接着に際して、支持体表面は予め実施例41と同様のコロナ処理を施した。
(接着条件)
接着剤としてLX660(K)〔DIC(株)製接着剤〕に、硬化剤KW75〔DIC(株)製接着剤〕を10部混合したものを用い、基材2と基材1とを真空ラミネータ〔日清紡(株)製 真空ラミネート機〕でホットプレス接着した。
接着は80℃で3分の真空引き後、2分間加圧することで行い、その後40℃で4日間保持して反応を完了させた。
このバックシート試料を用いて実施例62と同様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、発電運転をしたところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示した。
実施例64
アルミ箔の代わりに厚さ12μmのバリア層付PETを用いる以外は実施例63と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
作製した太陽電池モジュールについて、発電運転をしたところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示した。
10 太陽電池モジュール
12 含フッ素ポリマー層
14 下塗り層
16 ポリマー支持体
18 反射層
20 太陽電池素子
22 封止材
24 透明性の基板

Claims (22)

  1. ポリマー支持体と、
    アクリル/シリコーン複合樹脂又は、溶解度パラメーターが9.5〜14.0(cal/cm0.5である、アクリル樹脂、若しくはポリエステル樹脂であるバインダー及び白色顔料を含有し、且つ、架橋剤に由来する架橋構造を有し、0.05〜10μmの厚みで、前記ポリマー支持体の少なくとも片面に設けられている下塗り層と、
    少なくともフッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、且つ、架橋剤に由来する架橋構造を有し、0.8〜12μmの厚みで、前記ポリマー支持体の少なくとも片面側の前記下塗り層に接して設けられている含フッ素ポリマー層と、
    を有する太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  2. 前記ポリマー支持体が、カルボキシル末端基濃度が4.0mol/ton以上15mol/ton以下であり、示差走査熱量測定(DSC)により求められる微少吸熱ピーク温度Tmeta(℃)が220℃以下であり、温度125℃、湿度100%の条件下72時間放置後の平均伸度保持率が10%以上である請求項1に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  3. 前記下塗り層が0.5〜8.0μmの厚みを有する請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  4. 前記下塗り層に含まれる前記バインダーが、15〜30質量%のポリシロキサン構造単位を有するアクリル/シリコーン複合樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  5. 前記下塗り層が、該下塗り層に含まれる前記バインダーに対して0.5〜25質量%の前記架橋剤を含有し、これに由来する前記架橋構造を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  6. 前記下塗り層が、4〜12g/mの前記白色顔料を含有する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  7. 前記含フッ素ポリマー層が、該含フッ素ポリマー層に含まれる前記バインダーに対して0.5〜25質量%の前記架橋剤を含有し、これに由来する前記架橋構造を有する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  8. 120℃、100%RHの条件で50時間保存した後の破断伸びが、保存する前の破断伸びに対して50%以上である請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  9. 前記ポリマー支持体の前記下塗り層が設けられている面が表面処理されている請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  10. 前記含フッ素ポリマー層が、塗布によって形成された含フッ素ポリマー層である請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  11. 前記下塗り層の厚みが0.5〜7μmであり、且つ、前記含フッ素ポリマー層の厚みが1.0〜10μmである請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシート。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載された太陽電池用バックシート用ポリマーシートを備えた太陽電池用バックシート。
  13. 前記含フッ素ポリマー層が最外層として配置されている請求項12に記載の太陽電池用バックシート。
  14. 前記ポリマー支持体の片面側に着色層が設けられている請求項12又は請求項13に記載の太陽電池用バックシート。
  15. 前記ポリマー支持体の前記含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、封止材に対する接着力が5N/cm以上である易接着層が設けられている請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  16. バリア層又は金属シートをさらに有する請求項12〜請求項15のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  17. 前記太陽電池用バックシート用ポリマーシートの前記含フッ素ポリマー層が設けられている面とは反対側の表面に、接着剤を介して他のポリマーシートが貼り合わされている請求項12〜請求項16のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート。
  18. 請求項12〜請求項17のいずれか一項に記載された太陽電池用バックシートを備えた太陽電池モジュール。
  19. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートを製造する方法であって、
    前記ポリマー支持体の少なくとも片面に前記下塗り層を備えたポリマーシートを用意する工程と、
    前記フッ素系ポリマーを含むバインダーを含有し、溶媒の60質量%以上が水である塗布液を前記下塗り層上に塗布する工程と、
    前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成する工程と、
    を有する太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
  20. 前記ポリマーシートを用意する工程は、前記下塗り層を構成するバインダー及び白色顔料を含む塗布液を前記ポリマー支持体の少なくとも片面に塗布する工程と、該ポリマー支持体に塗布した塗布液を乾燥させる工程を含む請求項19に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
  21. 前記含フッ素ポリマー層を形成する工程は、前記下塗り層上に塗布した塗布液を乾燥させて前記含フッ素ポリマー層を形成した後、該含フッ素ポリマー層を硬化させる請求項19又は請求項20に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
  22. 前記ポリマー支持体の片面側に着色層を設ける工程をさらに有する請求項19〜請求項21のいずれか一項に記載の太陽電池用バックシート用ポリマーシートの製造方法。
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