JP2009038236A - 太陽電池裏面封止用シート及びこれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】高温多湿下における過酷な保存条件においても、ガスバリア基材間の密着不良に伴うシートの外観不良や、ガスバリア性能の低下に伴う性能低下を伴わない、耐湿熱密着性に優れた太陽電池裏面封止用シート及びこれを用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】少なくとも耐候性基材(DS)とガスバリア基材(GS)とを積層させた構造を有する太陽電池裏面封止用シート1Aであって、ガスバリア基材(GS)が、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と蒸着層(V)とを含む積層体、又は、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)と蒸着層(V)とを含む積層体からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池裏面封止用シートに関し、さらに詳細には、太陽電池で求められる高温多湿下における過酷な保存環境においても密着不良に伴う外観不良やガスバリア性能の低下を伴わない、耐湿熱密着性に優れる太陽電池裏面封止用シート、並びにこの太陽電池裏面封止用シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化問題に対する内外各方面の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制のために、様々な努力が続けられている。化石燃料の消費量の増大は大気中の二酸化炭素の増加をもたらし、その温室効果により地球の気温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼす。この地球規模の問題を解決するために様々な検討が行われており、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。
太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、単結晶、多結晶、又はアモルファスシリコン系の半導体からできている。太陽電池の構造としては、太陽電池素子単体(セル)をそのままの状態で使用することはなく、一般的に数枚〜数十枚の太陽電池素子を直列、並列に配線し、長期間(約20年)に亘ってセルを保護するために種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを「太陽電池モジュール」と呼んでいる。
一般的に、太陽電池モジュールは、太陽光が当たる面をガラス面で覆い、熱可塑性プラスチック(特にエチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる充填材で間隙を埋め、裏面を封止用シートで保護された構成になっている。
ところで、太陽電池モジュールは、主に屋外で使用されるため、その構成や材質構造などにおいて、十分な耐久性、耐候性が要求される。これらの要求を満たすため、基材側からのアプローチとして、耐候性や難燃性に優れ、太陽電池モジュールの充填材として良く使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体と良好な接着性を有するフッ素系樹脂を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1,2などを参照。)。また、電気絶縁性に優れるポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムを用いた太陽電池裏面封止用シートも開発されるようになってきている。さらに、ポリエステルフィルムを用いるデメリットとして挙げられる耐候性を改善すべく、紫外線吸収剤を配合したもの(例えば、特許文献3などを参照)や、ポリエステル中の環状オリゴマー量の規定をしたもの(例えば、特許文献4,5などを参照。)、ポリエステルの分子量を規定したもの(例えば、特許文献6などを参照。)などが提案されている。
また、太陽電池裏面封止用シートは、上述した基材強度物性だけでなく水蒸気透過率の小さい(水分バリア性に優れる)ことが要求される。これは水分の透過により充填材が剥離したり、変色したり、配線の腐蝕を起こしたりした場合に、モジュールの出力そのものに影響を与える恐れがあるためである。この対策として、例えば特許文献3〜6などに記載されるように、無機化合物を蒸着させたガスバリアフィルムを上記耐候性を有する基材と共に積層させることが検討されている。
本来、ガスバリアフィルムの開発背景としては、従来まで用いられていたアルミニウム箔等の金属箔と同等のガスバリア性を有し、さらに内容物可視性や、廃棄性、金属探知器使用といったニーズに対応するために、例えば下記特許文献7,8に記載されるように、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を熱可塑性樹脂フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着膜を形成させたことから端を発する。そして、このガスバリアフィルムを用いて得られた包装材料を、ボイル殺菌、レトルト殺菌、オートクレーブ殺菌のような温度と水(湿度)によるガスバリア性の劣化を抑制し、さらにディラミネーション等を伴わないといった改良を、例えば、特許文献9,10などに記載の対策を講じることで検討されてきた。上述した太陽電池裏面シートで用いられているガスバリアフィルムも特許文献7〜10に記載の技術を用いることで検討されたものである。
太陽電池モジュールは、上述したように20〜30年間の製品保証を行う必要があることから、その製品性能を過酷条件下で保存評価すること行われている。この過酷条件は、85℃−85%相対湿度下に2000〜3000時間保管することで行われるものであり、基材の耐候性やガスバリア性能などを本環境で促進試験することで検討されている。
一方、上記過酷条件でも2000〜3000時間の評価時間を要することから、さらに過酷条件での促進評価が求められるようになり、PCT評価(加圧蒸気による促進試験)で105℃−100%相対湿度下に200時間という評価形態も行われるようになってきた。しかしながら、このPCT評価の場合、あまりにも保存評価環境が過酷過ぎるために、太陽電池裏面封止シートがディラミネーションに伴う外観不良を伴う結果となった。また、このガスバリア基材(GS)内におけるディラミネーションの問題は、太陽電池裏面封止用シートの外観不良だけでなく、当然ながらガスバリア性能も低下に伴う太陽電池の性能についても影響を与える恐れがある。
特表平−500214号公報 特表2002−520820号公報 特開2001−111073号公報 特開2002−100788号公報 特開2002−134771号公報 特開2002−26354号公報 米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特許第3736130号公報 国際公開第04/48081号パンフレット
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、高温多湿下における過酷な保存条件においても、ガスバリア基材(GS)間の密着不良に伴うシートの外観不良や、ガスバリア性能の低下に伴う性能低下を伴わない、耐湿熱密着性に優れた太陽電池裏面封止用シート及びこれを用いた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕 少なくとも耐候性基材(DS)とガスバリア基材(GS)とを積層させた構造を有する太陽電池裏面封止用シートであって、
前記ガスバリア基材(GS)が、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と蒸着層(V)とを含む積層体、又は、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)と蒸着層(V)とを含む積層体からなることを特徴とする太陽電池裏面封止用シート。
〔2〕 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が、少なくとも下記の成分(P1)と(P2)とを含む化合物からなることを特徴とする前記〔1〕に記載の太陽電池裏面封止用シート。
(P1):ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物。
(P2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
〔3〕 (P1)が非晶性であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の太陽電池裏面封止用シート。
〔4〕 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が下記の成分(P3)を含み、且つ、質量比(P1)/(P3)が99/1〜50/50の範囲にあることを特徴とする前記〔2〕又は〔3〕に記載の太陽電池裏面封止用シート。
(P3):(P1)と非相溶であり、且つガラス転移温度が40℃以上であるポリオール、このポリオールのイソシアネート伸長物、又はこれらの混合物。
〔5〕 (P3)のポリオールが、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、又はこれらの混合物からなることを特徴とする前記〔2〕〜〔4〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
〔6〕 質量比{(P1)+(P3)}/(P2)が100/5〜100/100の範囲にあることを特徴とする前記〔2〕〜〔5〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
〔7〕 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が下記の成分(P4)を含むことを特徴とする前記〔2〕〜〔6〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
(P4):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
〔8〕 前記硬質蒸着用プライマー層(H)が、少なくとも下記の成分(H1)と、(H2)と(H3)との一方又は両方の成分とを含む化合物からなることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
(H1):ガラス転移温度が40℃以上であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、アクリルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、カーボネートポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物(なお、アクリルポリオール又はカーボネートポリオールを用いる場合は、(P3)と(H1)とが同じであってもよい。)。
(H2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
(H3):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
〔9〕 前記蒸着層(V)が、厚さ5〜300nmの酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムの中から選ばれる少なくとも1種以上の無機酸化物からなることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
〔10〕 前記ガスバリア基材(GS)が、更に前記蒸着層(V)の上に積層された蒸着用オーバーコート層(O)を含み、
前記蒸着用オーバーコート層(O)が、下記の成分(O1)と(O2)とを含む化合物からなること前記〔1〕〜〔9〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
(O1):水溶性高分子。
(O2):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、リン系化合物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
〔11〕 前記〔1〕〜〔10〕の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
以上のように、本発明に係る太陽電池裏面封止用シートによれば、耐湿熱密着性に優れるガスバリア基材(GS)を用いていることから、従来技術では問題となっていた高温多湿下での保存評価における、ディラミネーションの問題を改善することが可能であり、この太陽電池裏面封止用シートの外観不良の改善だけでなく、太陽電池モジュールの性能低下も抑制することが可能となる。
以下、本発明を適用した太陽電池裏面封止用シート及びこれを用いた太陽電池モジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<太陽電池裏面封止用シート>
先ず、本発明を適用した太陽電池裏面封止用シートについて説明する。
本発明を適用した太陽電池裏面封止用シートは、例えば図1(a),(b)に示す太陽電池裏面封止用シート1A,1Bのように、少なくとも耐候性基材(DS)とガスバリア基材(GS)とを積層させた構造を有し、ガスバリア基材(GS)が、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と蒸着層(V)とを含む積層体、又は、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)と蒸着層(V)とを含む積層体からなることを特徴とするものである。
本発明者らは、上述した文献記載のガスバリア基材、すなわち「プラスチックフィルム層(S)/蒸着層(V)」又は「プラスチックフィルム層(S)/硬質蒸着用プライマー層(H)/蒸着層(V)」からなるガスバリア基材を、上述した85℃−85%相対湿度下で保管した場合、又は、PCT評価を行った場合に発生したディラミネーションの原因について調査分析を行った結果、プラスチックフィルム層(S)と蒸着層(V)との間、又は、プラスチックフィルム層(S)と蒸着密着性を向上させるために設けた硬質蒸着用プライマー層(H)との間で剥離が生じることを確認した。
この主な原因として、高温長時間の保管におけるプラスチックフィルム層(S)の熱収縮率と、蒸着層(V)又は蒸着用プライマー層(H)の熱収縮率とが異なることに起因する界面付近での歪(応力)と、プラスチックフィルム層(S)と、蒸着層(V)又は硬質蒸着用プライマー層(H)との界面に発生した歪(応力)を緩和ができないことが挙げられる。通常、耐熱性を有する積層体の設計を行う場合は、ガラス転移温度が高い材料又は結晶化度が高い材料を用いることが公知技術として用いられているが、これらの技術では上述した環境下での耐湿熱密着性に関して適応することが困難であることが確認された。
次に、本発明者らは、上記技術を用いることが困難なことから、その改善策について鋭意検討を行った結果、素材としては耐熱性を持たないが、熱による収縮率が小さく、結晶化に伴う歪が小さく、且つ粘着的な接着機構を付与することが可能な材料を用いることで、上記苛酷環境下における保存評価においても密着性だけでなくガスバリア性能を維持することが可能なガスバリア基材(GS)を見出した。
すなわち、本発明で用いられるガスバリア基材(GS)は、少なくとも下記の成分(P1)と(P2)とを含む化合物からなる軟質蒸着用プライマー層(P)をプラスチックフィルム層(S)上に設けたことを特徴とする。
(P1):ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物。
(P2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
以下、本発明に用いられるガスバリア基材(GS)の各層の構成について説明する。
プラスチックフィルム層(S)
プラスチックフィルム層(S)には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、PETとPCTとの共重合体であるPET−G(イーストマンケミカル社製)などの共重合タイプを含む各種ポリエステルフィルム、ポリアミド6、ポリアミド6,6又は芳香族ポリアミドやポリイミドなどの共重合タイプを含む各種ポリアミド(イミド)フィルム、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィンなどの共重合タイプを含むポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリアクリルニトリル(PAN)などのアクリル系フィルム、又はこれらのビニル/(メタ)アクリル系樹脂の共重合体からなるフィルム、ポリカーボネート(PC)系フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの各種含ハロゲン系樹脂フィルムなどを用いることができる。また、これらのフィルムは、延伸、未延伸のどちらであってもよい。
これらのプラスチックフィルム層(S)には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを用いてもよい。また、後述する軟質蒸着用プライマー層(P)との密着性を向上させるという点で、コロナ処理や、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理などを施してもよい。さらに、薬品処理や溶剤処理などを施してもよい。なお、プラスチックフィルム層(S)は、その膜厚に制約を受けるものではない。
軟質蒸着用プライマー層(P)
軟質蒸着用プライマー層(P)は、本発明において最も特徴となる層である。
上記成分(P1)には、ポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物として、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など、芳香族系の二塩基酸の1種以上、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオールの1種以上を用いて得られた共重合ポリエステル樹脂を用いることができる。
さらに、この共重合ポリエステルの両末端の水酸基を、例えば2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4.4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、又は少なくとも1種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長を施したポリエステルポリオールなどを用いることができる。
また、上記成分(P1)のガラス転移温度は、40℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であると、上述したコート剤の硬さのファクターとして、界面で発生した歪(応力)を緩和することが困難となる。また、成分(P1)のガラス転移温度は、好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは10℃以下である。
上記成分(P1)は、非晶性又は低結晶性で結晶化速度が遅い共重合ポリエステル樹脂からなることが好ましい。結晶化速度が速く結晶化度が高い材料を用いると、結晶核形成、核成長といった結晶生成に伴う界面の凹凸が発生しやすくなり、密着性という点で不利となる。より好ましくは非晶性ポリエステルポリオールであり、結晶生成に伴う凹凸の発生防止、或いは結晶化に伴う体積収縮を伴わないことから、密着性という点で有利となる。さらには粘接着的な効果も期待することが可能である。上述した内容が本発明における「軟質」という定義の説明となる。
上記成分(P1)は、粘接着的な効果が期待できる反面、コーティングによる巻取り時のブロッキングが懸念されるため、各種硬化剤にて架橋構造を形成させた方が好ましい。このような硬化剤である上記成分(P2)は、ポリエステルポリオールの末端水酸基又は末端カルボキシル基と反応しうる架橋剤であれば問題がない。
具体的に、上記成分(P2)には、イソシアネート化合物として、上述した鎖伸長剤として用いた材料を用いることが可能であり、例えば、末端カルボキシル基を残したポリエステルポリオール、又はイソシアネート化合物により鎖伸長を施し、ウレタン結合を形成したポリエステルポリオール樹脂などを用いることができる。
また、上記成分(P2)には、カルボジイミド化合物を硬化剤として用いることも可能であり、カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジ−O−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドガなどを挙げることができる。そして、上記成分(P2)には、これらの単官能体を誘導体化することで多官能タイプにしたものを用いることができる。
また、上記成分(P2)には、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物の架橋剤として、例えば、末端水酸基を遷移金属がキレート形成することで架橋したものを用いることができ、具体的には、アルキルチタネート、チタンアルコキシド、アルキルジルコネート、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどを用いることができる。
また、リン系化合物としては、リン酸又はその塩を用いることができ、具体的には、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、又はこれらのアルカリ金属塩や、アンモニウム塩、特にトリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、又はこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩を用いることができる。さらに、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステルも用いることができる。
上記成分(P1)と(P2)の混合物には、更にブロッキング防止の効果を付与させる場合、又は、軟質蒸着用プライマー層(P)に後述する硬質蒸着用プライマー層(H)を設ける場合に、これらの相関密着性を向上させるため、下記の成分(P3)を添加することが好ましい。
(P3):(P1)と非相溶であり、且つガラス転移温度が40℃以上であるポリオール、このポリオールのイソシアネート伸長物、又はこれらの混合物。
また、上記成分(P3)には、特にポリオールとして、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、又はこれらの混合物を好適に用いることができる。具体的に、アクリルポリオールとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アルキル基としてメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレートなどのモノマーに対し、2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを共重合させたものを挙げることができる。
また、上記成分(P3)には、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマーを用いることができる。
また、上記成分(P3)には、その他の共重合成分として、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマーなどを共重合させたものを用いることができる。
また、上記成分(P3)には、例えば、イソプロペニル−オキサゾリン、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーを共重合したものを用いることができる。
カーボネートポリオールは、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得ることができる。このようなカーボネート化合物としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを挙げることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリールなどの脂環式ジオール、キシリレングリールなど芳香族ジオールなどの1種以上の混合物が用いられたカーボネートポリオール、又は、上述したイソシアネート化合物により鎖伸長を施したポリカーボネートポリオールを用いることができる。
また、上記成分(P3)のガラス転移温度は、40℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が40℃より低いと、上記成分(P1)と(P2)と共に複合化された場合にブロッキング防止効果が無くなる。また、成分(P3)のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。
また、硬質蒸着用プライマー層(H)を設けるにあたっては、この硬質蒸着用プライマー層(H)がアクリルポリオール又はカーボネートポリオールの場合は、同じ材料を用いた方が軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)の密着という点で好ましい。
軟質蒸着用プライマー層(P)は、質量比(P1)/(P3)が99/1〜50/50の範囲にあること、すなわち、(P1):(P3)=99〜50:1〜50〔質量%〕であることが好ましい。また、軟質蒸着用プライマー層(P)は、質量比{(P1)+(P3)}/(P2)が100/5〜100/100の範囲にあること、すなわち、(P1)+(P3):(P2)=100:5〜100〔質量%〕であることが好ましい。
このバランスが崩れると、高ガラス転移温度の材料がプラスチックフィルム層(S)との密着性に影響を与えることから、耐湿熱密着性という点で好ましくない。また、軟質蒸着用プライマー層(P)は、異種材料からなるコーティング組成物であり、溶媒に溶解している状態では均一な状態でも、コーティング後に乾燥溶媒除去を行うことで、造膜されると共に相分離構造を形成する。この相分離構造の形態が完全に海島構造を形成しているとすると、軟質蒸着用プライマー層(P)の表層は、上記成分(P1)からなるスキン層が存在するため、上記成分(P3)のブロッキング防止効果、又は硬質蒸着プライマー層(H)との密着性に付与することが困難になる。
したがって、この完全な相分離構造を架橋剤により複合化させた方が好ましい。この構造制御は架橋剤である上記成分(P2)の添加で行われ、上記成分(P1)と(P3)の混合物100質量%に対して上記成分(P2)の添加量が5質量%未満では、複合化が行われず、ブロッキングの問題が発生する。また蒸着用プライマー層(H)を用いる場合は、その密着性を低下させる恐れがある。一方、上記成分(P1)と(P3)の混合物100質量%に対して上記成分(P2)の添加量が100質量%を超えると、逆に均質なコート相となり過ぎてしまい、上記成分(P1)と(P3)の中間的な性質を示すようになる。この内容は、耐湿熱密着性低下を伴う可能性が高い。この内容は上記成分(P1)と(P3)が非相溶系であることが好ましい理由と同じであり、上記成分(P1)と(P3)が相溶系であると、均一に混ざり合うことで中間的な性質を示すようになり、耐湿熱密着性低下を伴う可能性がある。
軟質蒸着用プライマー層(P)は、必要に応じて下記の成分(P4)を添加してもよい。
(P4):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
具体的に、一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物としては、例えば、エチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシアプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなど一般式R−Si(OR’)(R=アルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネートであり、R’はアルキル基等である。)で表せるもの、又はその加水分解物を挙げることができる。その中でも、エポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシランや、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネート基が含まれるイソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が特に好ましい。これらのオルガノシランは、単量体に限られず、構造によっては2量体、3量体などの化合物も用いることができる。
一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物としては、例えば、テトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウムなど
一般式M(OR’)(MはSi、Al、Ti、Zr等の金属であり、R’はアルキル基である。)、又はその加水分解物を挙げることができる。
これらの化合物の加水分解物を得る方法は、これらの化合物に直接酸やアルカリ等を添加して加水分解を行う方法など既知の方法を用いることができる。また、必要に応じて、錫化合物など反応を促進させる反応触媒を添加してもよい。
上記成分(P4)を添加することで、蒸着層(V)に対する密着性を向上させることが可能である。また、蒸着層(V)を設けるにあたっての適切な硬さを付与させることが可能である。
上記成分(P4)の添加量については、特に制約はないが、過剰の添加は蒸着層(V)の密着という点では飽和してしまうことから、上記成分(P1)又は上記成分(P1)と(P3)の混合物100質量%に対して、その上限を100質量%とすることが好ましい。
軟質蒸着用プライマー層(P)の各組成の機能についてまとめると、上記成分(P1)については、粘着による密着性の向上、高温多湿化における接着界面歪の低減、残留応力の緩和、上記成分(P3)は、ブロッキング防止、及び硬質蒸着用プライマー層(H)を設ける場合は、その密着性付与、上記成分(P2)については、ブロッキング防止効果が第1に挙げられる。また、上記成分(P1)と(P3)の双方の機能を両立化させる(架橋構造形成による相分離構造の制御)ことが挙げられる。上記成分(P4)については、蒸着層(V)との密着を付与すると共に、蒸着層(V)を形成させるのに適当な軟質蒸着用プライマー層(P)の硬さを付与することが可能となる。このような設計により耐湿熱密着性に優れるガスバリア基材(GS)を提供することが可能となる。
硬質蒸着用プライマー層(H)
硬質蒸着用プライマー層(H)は、軟質蒸着用プライマー層(P)の成分に応じて設けても設けなくてもどちらでも構わないが、硬質蒸着用プライマー層(H)は、蒸着層(V)への密着に特化した設計をしていることから、設けたほうが好ましい。成分的には引用文献9記載の内容を包含した内容が挙げられる。
すなわち、硬質蒸着用プライマー層(H)は、少なくとも下記の成分(H1)と、(H2)と(H3)との一方又は両方の成分とを含む化合物からなる。
(H1):ガラス転移温度が40℃以上であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、アクリルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、カーボネートポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物(なお、アクリルポリオール又はカーボネートポリオールを用いる場合は、(P3)と(H1)とが同じであってもよい。)。
(H2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
(H3):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
この硬質蒸着用プライマー層(H)の大きな特徴としては、主成分である「ポリオール」としてガラス転移温度が40℃以上のものを用いていることが挙げられ、蒸着層(V)の密着性を向上させるための膜の硬さを意図したものである。また、当然ながらコーティング時のブロッキング防止という点でも好都合である。
上記成分(H1)、(H2)及び(H3)については、上記軟質蒸着用プライマー層(P)の成分(P1)、(P2)、(P3)及び(P4)と同様の成分を用いることができる。また、上記成分(H1)がポリエステルポリオールの場合は、上記軟質蒸着用プライマー層の成分(P1)と同様の共重合成分をコントロールすることで、ガラス転移温度を40℃以上に制御したものを用いることができる。
蒸着層(V)
蒸着層(V)は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、又はそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなる。蒸着層(V)には、ガスバリアフィルムという点では、透明性を有し且つ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものを用いることが好ましく、酸化アルミニウムや酸化珪素を用いることが好ましい。但し、上述した無機酸化物に限定されず、ガスバリア性以外の機能を有する無機蒸着膜も、本発明における耐湿熱密着性に優れるコート層を設けることで、各種機能性蒸着フィルムとして展開することが可能である。
蒸着層(V)の厚みは、用いられる無機化合物の種類や構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ガスバリア機能という点では膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。
蒸着層(V)を形成する方法としては、通常は真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行ってもよい。
蒸着用オーバーコート層(O)
上述したガスバリア性フィルムのガスバリア性を向上させるという点で、蒸着層(V)上に蒸着用オーバーコート層(O)を設けてもよい。
蒸着用オーバーコート層(O)は、下記の成分(O1)と(O2)とを含む化合物からなる。
(O1):水溶性高分子。
(O2):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、リン系化合物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
具体的に、上記成分(O1)には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等の水溶性高分子を用いることができ、その中もでも特にポリビニルアルコールを用いることが好ましい。上記成分(O2)は、蒸着層(V)との密着性、上記成分(O1)の架橋性などを考慮して配合されるものであり、上記成分(P4)と同様の成分を用いることができる。
上述した軟質蒸着用プライマー層(P)、硬質蒸着用プライマー層(H)、及び蒸着用オーバーコート層(O)は、公知の技術を用いて設けることが可能であり、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、マイクログラビアコート、コンマコート、エアナイフコート、メイヤーバーコート、ディップコート、ダイコート、スプレーコートなど各種コーティング手法を用いることが可能である。また、上述した軟質蒸着用プライマー層(P)及び硬質蒸着用プライマー層(H)については、それぞれ単独でコーティングを行ってもよいが、軟質蒸着用プライマー層(P)が硬質蒸着用プライマー層(H)よりもブロッキングしにくいことから、2ヘッドのインラインで塗工してもよい。
以上が耐湿熱密着性に有効なガスバリア基材(GS)の構成であり、このガスバリア基材(GS)と耐候性基材(DS)とを積層させることで、本発明の太陽電池裏面封止用シートを得ることができる。
具体的に、図1(a),(b)に示す太陽電池裏面封止用シート1A,1Bは、上記ガスバリア基材(GS)の両面に接着層(U)を介して耐候性基材(DS)が貼り合わされた構造を有している。なお、これら図1(a),(b)に示す構成はほんの一例であり、求められる機能に応じて他の層を介在させても、さらに多層に構成してもよい。また、これらの構成において、太陽電池裏面封止用シートとして太陽電池の充填材であるエチレン−酢酸ビニル共重合体と貼り合わさる面は、最外層又は最内層のどちらの耐候性基材(DS)を貼り合わせ面に用いてもよい。
耐候性基材(DS)
耐候性基材(DS)には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)の中から選ばれるポリエステル基材、ポリカーボネート系基材、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)の中から選ばれるフッ素系基材、又はアクリル系基材などを用いることができる。またこれら材料に限定されず、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂など、耐熱性、強度物性、電気絶縁性等を考慮して適宜選択して用いることができる。
耐候性基材(DS)として、ポリエステル基材を用いる場合は、多塩基酸又はそのエステル形成誘導体と、ポリオール又はそのエステル形成誘導体を用いて得られたものであり、多塩基酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、マレイン酸、イタコン酸などの酸成分を2種以上、そして、ポリオール成分として、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、さらにはカルボン酸基やスルホン酸基、アミノ基、又はこれらの塩を含有するポリオール成分を1種又は2種以上用いることで得られたポリエステルを用いることができる。また、上述したポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)を一般的に用いることができる。
しかしながら、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレートなどは加水分解が懸念される材料である。そこで、耐候性基材(DS)にポリエチレンテレフタレートを用いる場合には、数平均分子量が18000〜40000の範囲で、環状オリゴマーコンテントが1.5質量%以下、固有粘度が0.5dl/g以上の耐加水分解性を有するものを用いることが好ましい。このようなポリエステル樹脂としては、ポリエステル樹脂の加水分解における酸触媒として作用する末端カルボン酸量を上昇させることなく数平均分子量を増加させることが可能な固相重合法により製造されたり、或いは末端カルボン酸基をカルボジイミド系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物により封止したものを好適に用いることができる。また、太陽電池モジュールを製造する際の熱で収縮の影響が懸念される場合には、アニール処理を施すことによって、熱収縮率を1%以下、好ましくは0.5%以下にしたポリエステル樹脂を用いることができる。また、耐候性が要求される場合には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジンなどの紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、トコフェロール系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤も適宜配合することができる。
太陽電池裏面封止用シートに用いられる耐候性基材(DS)は、透明でも構わないが、太陽電池素子の発電効率を向上させるという点から、白色ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。特に、太陽電池裏面封止用シートが多層構成からなる場合には、少なくとも充填材と貼り合わされる耐候性基材(DS)には、白色ポリエステルフィルムを設けることも可能である。このとき用いる白色ポリエステルフィルムは、酸化チタン、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の白色添加物を添加する顔料分散タイプ、又はポリエステルに非相溶なポリマーや微粒子を添加し、二軸延伸時にブレンド界面で空隙を形成させることで白色化させる微発泡タイプなどを用いることができる。微発泡タイプでは、ポリエステルに対して非相溶なポリマーとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。また、必要に応じてポリアルキレングリコール又はその共重合体などを相溶化剤として用いることができる。微粒子としては、有機粒子や無機粒子を用いることができ、具体例には、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋スチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、フッ素系粒子などを用いることができる。また、無機粒子としては、炭酸カルシウム、二酸化珪素、硫酸バリウムなどを用いることができる。
接着剤(U)
接着剤(U)には、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対して、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂を用いることができる。ポリエステルポリオールは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸などの脂肪族系、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族系の二塩基酸の1種以上、そして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなど脂肪族系、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリーコルなどの脂環式系、キシリレングリーコルなどの芳香族系ジオールの1種以上を用いて得ることができる。
さらに、このポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、例えば2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートなどから選ばれるイソシアネート化合物の単体、又は少なくとも1種以上から選択される上記イソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体を用いて鎖伸長したポリエステルウレタンポリオールなどを用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテル系のポリオールや、鎖長伸長剤として上述したイソシアネート化合物を作用させたポリエーテルウレタンポリオールを用いることができる。アクリルポリオールは、上述したアクリル系モノマーを用いて重合したアクリル樹脂を用いることができる。カーボネートポリオールは、カーボネート化合物とジオールとを反応させて得ることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリールなどの脂環式ジオール、キシリレングリールなどの芳香族ジオールの中から選ばれた1種以上の混合物を用いたカーボネートポリオール、又は、上述したイソシアネート化合物により鎖伸長を施したポリカーボネートウレタンポリオールを用いることができる。これらの各種ポリオールは、求められる機能や性能に応じて、これらの単独で、又は2種以上のブレンドの状態で用いてもよい。また、これらの主剤に対して、上述したイソシアネート系化合物を硬化剤として用いることで、ポリウレタン系接着剤として用いることができる。
上述したポリウレタン系接着剤も、耐候性や高温多湿下における促進環境下での劣化を伴う可能性があるため、劣化の促進を抑制する化合物としてカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物などを配合することも可能である。
カルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−O−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどを挙げることができる。
オキサゾリン化合物としては、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−2−オキサゾリンなどのモノオキサゾリン化合物、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,2−エチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのジオキサゾリン化合物を挙げることができる。
エポキシ化合物としては、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールのような脂肪族のジオールのジグリシジルエーテル、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グリセロール、トリメチロールプロパンなどの脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族、芳香族の多価カルボン酸のジグリシジルエステル、又はポリグリシジルエステル、レゾルシノール、ビス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス−(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2,−テトラキス(p−ヒドロキシフェニル)エタンなどの多価フェノールのジグリシジルエーテル、又はポリグリシジルエーテル、N,N’−ジグリシジルアニリン、N,N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−ビス−(p−アミノフェニル)メタンのようにアミンのN−グリシジル誘導体、アミノフェールのトリグリシジル誘導体、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、オルソクレゾール型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシなどを挙げることができる。
リン系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル-フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)などを挙げることができる。
上述した耐候性基材(DS)とガスバリア基材(GS)とを接着剤(U)により貼り合わせる際は、ドライラミネートなどの公知の手法を用いることができ、具体的には、グラビアコート、ロールコート、バーコート、リバースコート等の手法を用いて、ポリウレタン系接着剤をドライ固形分として0.1〜10g/mの範囲で積層させることで、ガスバリア基材(GS)の両面に接着剤(U)を介して耐候性基材(DS)を貼り合わせることができる。
このとき、耐候性基材(DS)には、必要に応じて、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理など接着性を向上させるための表面処理を施すことが可能である。また、必要に応じて、太陽電池裏面封止用シートを太陽電池充填材であるEVAに接着させるための易接着コート層、例えばポリエステル系、ポリウレタン系、アクリル系、又はこれらの混合物からなる層を耐候性基材(DS)側に設けてもよい。
<太陽電池モジュール>
次に、本発明を適用した太陽電池モジュールについて説明する。
本発明を適用した太陽電池モジュールは、例えば図2に示す太陽電池モジュール10のように、ガラス板11と、配線12を配設した光起電力素子としての太陽電池セル13と、上記太陽電池裏面封止用シート1A(又は、太陽電池裏面封止用シート1B)と、充填剤層14と、枠体(スペーサー)15とを備え、枠体(スペーサー)15によって固定されたガラス板11と太陽電池裏面封止用シート1A(1B)との間に、太陽電池素子13を配置した状態で充填剤層14が充填された構造を有している。
上記太陽電池モジュール10は、図3(a),(b)に示すように、下記(1)〜(4)の工程を経ることによって製造される。
(1) 加熱(約120〜160℃)された天板100上に、ガラス板11と、充填材層14と、太陽電池セル13と、充填材層14と、太陽電池裏面封止用シート1A(1B)とを順次積層した状態でセットする。
(2) チャンバー101,102を真空引きする。
(3)チャンバー101を大気開放し、耐熱性を有するゴムシート103を太陽電池モジュール10に密着させる。
(4) その熱と圧力により充填材層14であるエチレン酢酸ビニル共重合体を溶融させ、太陽電池セル13の間に包埋し、この太陽電池セル13を挟み込むガラス板11と太陽電池裏面封止用シート1A(1B)と接着しながら、充填材層14を架橋・固化させる。
また、上記(4)の工程では、ラミネート後に別ラインに設けたオーブンにて架橋反応をさせるケースと、ラミネーター内部で架橋反応をさせるケースとに分類される。前者はスタンダードキュアといわれるタイプで、後者はファストキュアといわれるタイプである。通常、太陽電池モジュールの充填材層として用いられる材料は、酢酸ビニル含有量が10〜40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、太陽電池セルの耐熱性、物理的強度を確保するために、熱あるいは光などによりエチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋している。
熱架橋を行う場合は、通常有機過酸化物が用いられ、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものが使用される。通常、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが用いられ、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドなどが用いられる。
光硬化を行う場合には、光増感剤が用いられ、水素引き抜き型(二分子反応型)である、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントンなどが用いられる。また、内部開裂型開始剤としては、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、α−ヒドロキシアルキルフェノン型として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンなどが使用できる。さらに、α−アミノアルキルフェノン型として、2−メチル−1−[4(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが、またアシルフォスフィンオキサイドなども用いられる。
また、太陽電池モジュール10を構成するガラス板11との接着を考慮してシランカップリング剤も配合されており、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが配合される。
さらに、接着性及び硬化を促進する目的でエポキシ基含有化合物を配合されている場合もあり、エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物や、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを配合されているケースもある。
さらに、充填材層14の架橋、接着性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などを向上させ目的で、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化合物を添加されており、(メタ)アクリル酸誘導体、例えばそのアルキルエステルやアミドが最も一般的である。この場合、アルキル基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸とエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いられる。アミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が配合される。
さらに、難燃性を付与するための無機化合物や、耐候性を付与するための紫外線吸収剤、酸化劣化防止のための酸化防止剤も種々に配合されている。すなわち、太陽電池モジュール10を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体は、太陽電池モジュールとして要求される機能を満たすべく、各種添加剤を配合した樹脂組成物であることが挙げられる。
以上のようにして製造された太陽電池モジュール10は、上記太陽電池裏面封止用シート1A(1B)を用いることによって、太陽電池モジュールとして実際に利用される環境だけでなく、太陽電池モジュールを評価する際に検討される高温多湿下での促進評価においても、ディラミネーションに伴う外観不良だけでなく、太陽電池としての電気出力特性を維持することが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<ガスバリア基材(GS)>
軟質蒸着用プライマー層(P)
本実施例では、軟質蒸着用プライマー層(P)として、以下の材料を用いた。
[P−(1)](本実施例において、比較例)
ガラス転移温度(Tg)=7℃のポリエステルポリオール(P1)に対し、イソシアネート化合物((P2):IPDIのアダクト体)を配合比が(P1)/(P2)=100/1(固形分比)となるようにした溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(2)]
上記[P−(1)]において、配合比が(P1)/(P2)=100/25(固形分比)となるようにした溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(3)]
上記[P−(2)]において、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオール(P3)を配合し、ポリエステルポリオール(P1)とアクリルポリオール(P3)の配合比が(P1)/(P3)=75/25(固形分比)であり、(P1):(P2):(P3)=75:25:25(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(4)](本実施例において、比較例)
上記[P−(3)]において、ポリエステルポリオール(P1)とアクリルポリオール(P3)の配合比が(P1)/(P3)=25/75(固形分比)であり、配合比を(P1):(P2):(P3)=25:25:75(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(5)]
上記[P−(3)]において、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオールの代わりに、ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(P3)を配合したプライマー組成物(P)。
[P−(6)](本実施例において、比較例)
上記[P−(4)]において、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオールの代わりに、ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(P3)を配合したプライマー組成物(P)。
[P−(7)](本実施例において、比較例)
上記[P−(3)]において、配合比を(P1):(P2):(P3)=75:1:25(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(8)]
上記[P−(3)]において、配合比を(P1):(P2):(P3)=75:100:25(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(9)](本実施例において、比較例)
上記[P−(3)]において、配合比を(P1):(P2):(P3)=75:150:25(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)
[P−(10)]
上記[P−(3)]において、更にシランカップリング剤(P4)を配合し、配合比を(P1):(P2):(P3):(P4)=75:25:25:25(固形分比)に調整した溶剤系のプライマー組成物(P)。
[P−(11)]
上記[P−(3)]において、イソシアネート化合物からジフェニルカルボジイミドの多官能誘導体物に変更したプライマー組成物(P)。
[P−(12)]
上記[P−(3)]において、イソシアネート化合物からチタニウムイソプロポキシドに変更したプライマー組成物(P)。
[P−(13)]
上記[P−(3)]において、イソシアネート化合物からリン酸エステル系化合物に変更したプライマー組成物(P)。
[P−(14)]
上記[P−(3)]において、ポリエステルポリオール(P1)としてガラス転移温度(Tg)=30℃の低結晶性(結晶化速度が遅い)ポリエステルポリオールエマルジョン、アクリルポリオールとしてガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリル系エマルジョンを配合し、さらに、水系ウレタン用イソシアネート硬化剤(P2)に変更した水系のプライマー組成物(P)。
硬質蒸着用プライマー層(H)
本実施例では、硬質蒸着用プライマー層(H)として、以下の材料を用いた。
[H−(1)]
ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオールに対し、イソシアネート化合物(IPDIのアダクト体)とシランカップリング剤とが100/60/25(固形分比)となるように調整した溶剤系のプライマー組成物(H)。
[H−(2)]
ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオールに対し、イソシアネート化合物(IPDIのアダクト体)が100/20(固形分比)となるように調整した溶剤系のプライマー組成物(H)。
<試料1〜14の評価結果>
ここで、本発明の特徴は、ブロッキングしやすい軟質蒸着用プライマー層(P)をブロッキングしにくい材料組成にすることが挙げられる。表1に示す試料1〜14は、上記[P−(1)]〜[P−(14)]のプライマー組成物(P)をポリエチレンテレフタレート基材にコーティングし、そのコーティング基材がブロッキングしているか否かで、軟質蒸着用プライマー層(P)の改質状態を評価判断したものである。具体的に、本評価は、○、△、×で評価し、△以上を合格とした。すなわち、△以上の評価であれば、後述する太陽電池裏面封止用シートに用いる際に、軟質蒸着用プライマー層(P)層単体としても用いることが可能である。
Figure 2009038236
(試料15〜28)
<ガスバリア基材(GS)の作製>
次に、上記作製された軟質蒸着用プライマー層(P)、硬質蒸着用プライマー層(H)を用いて、ガスバリア基材(DS)を作製した。
具体的に、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートフィルムをプラスチックフィルム層(S)として用いた。上記軟質蒸着用プライマー層(P)又は硬質蒸着用プライマー層(H)をグラビアコーティング法により0.1〜0.5g/mの範囲になるように設けた。これらの軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)を用いた試料15〜28の詳細を表2に示す。また、必要に応じて、これら2種類のプライマー層を多層として積層させているケースもあり、そのときは2ヘッドのグラビアコートによりインラインで多層コーティング層を設けている。これら軟質蒸着用プライマー層(P)及び硬質蒸着用プライマー層(H)を設けたプラスチックフィルム(S)に対し、厚さ30nmのシリカ蒸着層(V)をPVD法により設けた。その後、グラビアコートによりポリビニルアルコールとテトラエトキシシランを主成分とする水系の蒸着用オーバーコート層(O)を設けた。
<太陽電池裏面封止用シートの作製>
次に、上記作製されたガスバリア基材(DS)を用いて、表2に示す試料15〜28の太陽電池裏面封止用シートを作製した。具体的に、耐候性基材(DS)としては、ポリフッ化ビニルのようなフッ素系フィルムも用いることが可能であるが、本実施例では、耐候性ポリエステル基材を用いた。この耐候性ポリエステル基材は、ポリエステル樹脂を固相重合により、その末端カルボキシル基を低減させ、さらに数平均分子量を増加させた高分子量のポリエステル樹脂であり、そのオリゴマーコンテントは0.5質量%、数平均分子量は19500、固有粘度は0.7d/gである。このポリエステル樹脂をキャスト製膜によりフィルム化した後、アニール処理を施して熱収縮率を0.5%以下にした、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、ポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネート手法により積層させた。そして、最終的に耐候性基材(DS)と接着剤層(U)とガスバリア基材(GS)と接着剤層(U)と/耐候性基材(DS)とを順次積層してなる太陽電池裏面封止用シートを作製した。
<太陽電池モジュールの作製>
次に、上記太陽電池裏面封止用シートを用いて、実施例15〜28の太陽電池モジュールを作製した。具体的に、太陽電池モジュール用充填剤として、スタンダードキュアタイプのエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂組成物を用いた。太陽電池セルは、多結晶系シリコンのものを用いた。A4サイズの強化ガラス上に、同じサイズで厚さ600μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シートで挟み込んだ太陽電池セルを載置し、さらにその上に太陽電池裏面封止用シートを配置した。また、事前に40℃で3分予備加熱を行った後、150℃で真空引き6分、圧着8分の条件、圧力1気圧でラミネートを施した。その後、150℃に加温したオーブン中に30分保管し、架橋反応を進行させた。その後、端子ボックスの接着及びアルミフレームによる枠組みを行うことで、太陽電池モジュールを作製した。
本実施例では、蒸着層(V)や蒸着用オーバーコート層(O)を設ける条件は固定し、太陽電池裏面封止用シートとしてほぼ同じ水蒸気バリア性になるように設定した。そして、促進評価後におけるバリア低下や外観不良、並びに太陽電池としての出力特性を評価した。
<太陽電池裏面封止用シートの評価>
上記試料15〜28の太陽電池裏面封止用シートについて、特にラミネート強度を、テンシロンによりクロスヘッドスピード300mm/minのT型剥離で測定し、さらにIR又はXPSによりその剥離箇所を特定し、プライマー組成物(P)の湿熱密着性を評価した。保存環境は、PCT(加圧蒸気による促進試験)105℃−100%相対湿度−168時間である。太陽電池裏面封止用シートとして求められる水蒸気バリア性については、モダンコントロール社製モコンを用いて測定し、その評価前後のバリア性の劣化度合いを評価した。なお、本評価も、△以上の評価であれば合格とする。
<太陽電池モジュールの評価>
この太陽電池モジュールを85℃−85%RH環境下で3000h保管したときの、特に太陽電池裏面封止用シートの外観、太陽電池の出力特性を評価した。この保存環境は、上述してきたPCT105℃−100%RH−168hとほぼ同じ促進試験環境である。
Figure 2009038236
<試料15〜28の評価結果>
表2に示す評価結果から、本発明の条件を満たす軟質蒸着用プライマー層(P)を用いることで、高温多湿化における過酷な保存環境においてもガスバリア基材(GS)のガスバリア性や密着性の改善効果が認められた。その結果として、太陽電池としての出力特性を維持することが可能であることがわかった。また、特に密着性に関しては、軟質蒸着用プライマー層(P)の組成や配合比が特に影響を与えることが確認された。
本発明を適用した太陽電池裏面封止用シートを示す断面図である。 太陽電池モジュールの一構成例を示す断面図である。 太陽電池モジュールの製造工程を示す模式図である。
符号の説明
1A,1B…太陽電池裏面封止用シート 10…太陽電池モジュール 11…ガラス板 12…配線 13…太陽電池セル 14…充填材層 15…枠体
GS…ガスバリア基材 DS…耐候性基材 S…プラスチックフィルム層 P…軟質蒸着用プライマー層 H…硬質蒸着用プライマー層 V…蒸着層 O…蒸着用オーバーコート層 U…接着剤

Claims (11)

  1. 少なくとも耐候性基材(DS)とガスバリア基材(GS)とを積層させた構造を有する太陽電池裏面封止用シートであって、
    前記ガスバリア基材(GS)が、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と蒸着層(V)とを含む積層体、又は、プラスチックフィルム層(S)と軟質蒸着用プライマー層(P)と硬質蒸着用プライマー層(H)と蒸着層(V)とを含む積層体からなることを特徴とする太陽電池裏面封止用シート。
  2. 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が、少なくとも下記の成分(P1)と(P2)とを含む化合物からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池裏面封止用シート。
    (P1):ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物。
    (P2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
  3. (P1)が非晶性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  4. 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が下記の成分(P3)を含み、且つ、質量比(P1)/(P3)が99/1〜50/50の範囲にあることを特徴とする請求項2又は3に記載の太陽電池裏面封止用シート。
    (P3):(P1)と非相溶であり、且つガラス転移温度が40℃以上であるポリオール、このポリオールのイソシアネート伸長物、又はこれらの混合物。
  5. (P3)のポリオールが、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、又はこれらの混合物からなることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  6. 質量比{(P1)+(P3)}/(P2)が100/5〜100/100の範囲にあることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  7. 前記軟質蒸着用プライマー層(P)が下記の成分(P4)を含むことを特徴とする請求項2〜6の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
    (P4):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
  8. 前記硬質蒸着用プライマー層(H)が、少なくとも下記の成分(H1)と、(H2)と(H3)との一方又は両方の成分とを含む化合物からなることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
    (H1):ガラス転移温度が40℃以上であるポリエステルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、アクリルポリオール又はそのイソシアネート伸長物、カーボネートポリオール又はそのイソシアネート伸長物、若しくはこれらの混合物(なお、アクリルポリオール又はカーボネートポリオールを用いる場合は、(P3)と(H1)とが同じであってもよい。)。
    (H2):イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)で表される遷移金属系化合物、リン系化合物の中から選ばれる少なくとも1種以上の架橋剤[但し、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
    (H3):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
  9. 前記蒸着層(V)が、厚さ5〜300nmの酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムの中から選ばれる少なくとも1種以上の無機酸化物からなることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  10. 前記ガスバリア基材(GS)が、更に前記蒸着層(V)の上に積層された蒸着用オーバーコート層(O)を含み、
    前記蒸着用オーバーコート層(O)が、下記の成分(O1)と(O2)とを含む化合物からなること請求項1〜9の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
    (O1):水溶性高分子。
    (O2):一般式R−Si(OR’)で表されるオルガノシラン又はその加水分解物、一般式M(OR’)で表される1種以上の金属アルコキシド又はその加水分解物、リン系化合物、若しくはこれらの混合物[但し、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基などであり、Mは金属イオンであり、nはそのイオンの価数である。]。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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