JP2010188600A - 高密着透明ガスバリア性フィルム、及び高密着ガスバリア性積層体 - Google Patents

高密着透明ガスバリア性フィルム、及び高密着ガスバリア性積層体 Download PDF

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【課題】無機酸化物層を形成したプラスチック基材フィルムと他の樹脂フィルムなどとラミネートを行い、高温多湿環境で長期間保存された場合の、プラスチック基材フィルムと無機酸化物層との密着性の低下を生じ難くすること。
【解決手段】プラスチック基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面上に形成され、ポリウレタン系樹脂、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含んだプライマー層と、前記プライマー層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする高密着透明ガスバリア性フィルムとそれを用いた高密着ガスバリア性積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルム、及びガスバリア性積層体に係り、特には、高密着性を有した透明ガスバリア性フィルム、及びそれを用いた高密着ガスバリア性積層体に関する。
ガスバリア性フィルムは、食品、医薬品及び精密電子部品の包装に用いられ、内容物の変質防止に利用されている。また近年は、ガスバリア性能の向上により産業資材の性能を保持するための一構成部材として、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等の新しい用途にも注目され、使用が検討されている。
このような精密電子部品の包装や産業資材の部材として使用される場合、長期にわたる耐久性を要求されるため、主に高温多湿環境で保存試験を行われている。このような過酷な環境下で、高ガスバリア性を示すガスバリア材料としては、アルミニウム箔などの金属箔が使用されていた。ガスバリア性フィルムとして金属箔を用いた高ガスバリア性積層体は、温度及び湿度などの環境の如何によらず、優れたガスバリア性を示す一方で、内容物を視認できない、包装体として使用した後の廃棄の際に不燃物として扱わなければならない、内容物を入れた後の異物検査に金属探知機を使用できないなどの欠点があり、改善が望まれていた。
特許文献1及び2には、真空蒸着やスパッタリングなどの気相堆積法により、プラスチック基材フィルム上に、酸化珪素、酸化アルミニウム、又は酸化マグネシウムからなる無機酸化物層からなる薄膜を形成してなるガスバリア性フィルムが記載されている。このガスバリア性フィルムは、透明に形成することができると共に、ガスバリア性に優れている。したがって、このガスバリア性フィルムは、金属箔からの置き換えが可能な高ガスバリア性積層体の材料として適している。
ところで、このガスバリア性フィルムは、単独で使用されることは殆どない。通常、このガスバリア性フィルムには、他のフィルムをラミネートするか、又は、印刷層を形成して使用される。例えば、ガスバリア性フィルムと耐侯性を有する樹脂層とを、プラスチック基材フィルムと耐侯性を有する樹脂層との間に無機酸化物層が介在するようにラミネートを行い、高温多湿環境に長期間保存されることがあるが、このような構造を採用した積層体において、以下の問題を生じ得ることを見出している。
例えば、この積層体を高温多湿環境で長期に亘って保存を行なうと、積層体を構成するガスバリア性フィルムの基材フィルムと無機酸化物層との間の耐水密着性が劣るために、水蒸気等の浸透に起因して保存中に密着強度の大幅な低下が生じ、一部にデラミネーションが発生する問題ある。この場合、積層体が用いられた包装体や産業資材の見栄えが悪くなるのに加え、デラミネーションを生じた部分でガスバリア性が大きく低下し、包装体では内容物の早期劣化、産業資材では性能の早期劣化が生じてしまう問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献3、4,5では、ガスバリア性フィルムを構成する基材フィルムと無機酸化物薄膜との密着性の改良として、基材フィルム上にプライマーコートをしたものが多く提案されている。
しかしながら、上記のガスバリア性フィルムは、高温多湿環境下における基材フィルム
と無機酸化物層との間の密着に関して耐水性(耐熱水性)が不十分であり、デラミネーションが発生し、その結果としてガスバリア性が著しく低下する欠点があった。このように、透明ガスバリア性フィルムの用途が広がるにつれて、より強固な高密着性、信頼性の高いガスバリア性を有する透明ガスバリア性フィルムが要望されている。
米国特許第3442686号明細書 特開昭49−041469号公報 特開平3−86539号公報 特開平4−174856号公報 特開平11−179836号公報
本発明の目的は、無機酸化物層を形成したプラスチック基材フィルムと他の樹脂フィルムなどとラミネートを行い、高温多湿環境で長期間保存された場合の、プラスチック基材フィルムと無機酸化物層との密着性の低下を生じ難くすることにある。
本発明の請求項1に係る発明は、プラスチック基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面上に形成され、ポリウレタン系樹脂、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含んだプライマー層と、前記プライマー層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項2に係る発明は、前記プライマー層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正および負の2次イオン質量スペクトル分析結果が、炭化水素系成分、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分との存在を示すことを特徴とする請求項1に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項3に係る発明は、前記プライマー層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正および負の2次イオン質量スペクトル分析を行なったときに、C 、C 、CHの炭化水素成分由来のピーク群、CN、CNO の窒素原子含有成分由来のピーク群、および Siの珪素原子含有成分由来のピーク、が検出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項4に係る発明は、前記ポリウレタン系樹脂が、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカーボネートポリウレタン樹脂であり、前記窒素原子含有成分がメラミン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、前記珪素原子含有成分がシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項5に係る発明は、前記プラスチック基材フィルムが、ポリエステルからなる延伸フィルムであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項6に係る発明は、前記基材フィルムと前記プライマー層とは同一方向に延伸されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の高密着透明ガスバ
リア性フィルムである。
本発明の請求項7に係る発明は、前記無機酸化物層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有したことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項8に係る発明は、前記無機酸化物層上に形成され、透明樹脂と無機物とを含んだ混合物からなるガスバリア性被膜をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項9に係る発明は、前記ガスバリア性被膜は、水溶性高分子と2種以上の金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水とを含有した溶液を原料としていることを特徴とする請求項8に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項10に係る発明は、前記ガスバリア性被膜に含有される金属アルコキシド又はその加水分解生成物が、テトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン又はそれらの加水分解生成物であることを特徴とする請求項9に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムである。
本発明の請求項11に係る発明は、請求項1乃至10の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムと、前記高密着透明ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記プラスチック基材フィルムと向き合った他の樹脂フィルムとを具備したことを特徴とする高密着ガスバリア性積層体である。
本発明の第1側面によると、ポリウレタン系樹脂、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含んだプライマー層と、前記プライマー層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする高密着透明ガスバリア性フィルムが提供される。
本発明の第2側面によると、第1側面に係る高密着透明ガスバリア性フィルムと、前記高密着透明ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記プラスチック基材フィルムと向き合った他の樹脂フィルムとを具備したことを特徴とする高密着ガスバリア性積層体が提供される。
本発明によると、無機酸化物層を形成したプラスチック基材フィルムとの間の密着が、高温多湿環境下に長期間保存された場合でも極めて強固となるため、他の樹脂フィルムとラミネートを行い積層体を形成した場合でも、密着性の低下によるデラミネーションを生じ難くすることが可能となる。
本発明の一形態に係る高密着ガスバリア性積層体を概略的に示す断面図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一形態に係る高密着ガスバリア性積層体を概略的に示す断面図である。
この高密着ガスバリア性積層体10は、高密着透明ガスバリア性フィルム11と、接着剤層12と、他の樹脂フィルム層13とを含んでいる。
高密着透明ガスバリア性フィルム11は、プラスチック基材フィルム111と、プライマー層112と、無機酸化物層113と、ガスバリア性被膜114とを含んでいる。なお、用語「フィルム」と用語「シート」とは厚さに応じて使い分けることがあるが、ここでは、厚さの大小とは無関係に用語「フィルム」を使用している。
プラスチック基材フィルム111は、透明フィルムである。プラスチック基材フィルム111の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セロファンなどを使用することができる。
特にポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−トあるいはポリ−1、4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト及びこれらを主体とするポリエステルフィルムは耐熱性、耐薬品性、機械的特性において優れた性質を有するために、磁気記録材料、各種写真材料、包装材料、電気絶縁材料、一般工業材料等多くの用途に用いられており、高温多湿環境での長期保存を要求される用途にも好適である。
また、プラスチック基材フィルム111は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤などの添加剤及び/又は安定剤を含有していてもよい。
プラスチック基材フィルム111は、未延伸フィルム及び延伸フィルムの何れであってもよい。機械的強度及び寸法安定性を考慮した場合には、一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムなどの延伸フィルム,特には二軸延伸フィルムを使用することが有利である。
プラスチック基材フィルム111の厚さに制限はないが、プラスチック基材フィルム111は、基材として十分な強度を達成し得る厚さを有している必要がある。また、プラスチック基材フィルム111が厚い場合、高密着ガスバリア性積層体10又は高密着透明ガスバリア性フィルム11の柔軟性が不十分となることがある。プラスチック基材フィルム111の厚さは、例えば6μm乃至200μmの範囲内とし、典型的には9μm乃至100μmの範囲内とする。
高密着ガスバリア性積層体10又は高密着透明ガスバリア性フィルム11の製造の際、その材料としてのプラスチック基材フィルム111の形状に制限はない。但し、量産性を考慮した場合には、プラスチック基材フィルム111は長尺物であることが有利である。
プライマー層112は、プラスチック基材フィルム111の一方の主面上に形成された透明層である。プライマー層112は、無機酸化物層113とプラスチック基材フィルム111との密着性を向上させる。その結果、高温多湿環境下に保存された際の水蒸気等の浸透に起因したプラスチック基材フィルム111と無機酸化物層113との密着性低下が抑制されることとなる。
プライマー層112は、上記優れた性能を満たすべく、鋭意検討した結果、飛行時間型2次質量イオン分析計(TOF−SIMS)による正・負2次イオン質量スペクトル分析結果において、炭化水素系成分、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含有するものである。
さらには、TOF−SIMSによる正・負2次イオン質量スペクトル分析結果において
、C 、C 、CHの炭化水素成分由来のピーク群、CN、CNO
の窒素原子含有成分由来のピーク群、および Siの珪素原子含有成分由来のピーク、が検出されるものである。
さらに詳しくは、プライマー層112は、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカーボネートポリウレタン樹脂を含有している。さらには、前記ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカーボネートポリウレタン樹脂との架橋剤として、メラミン基含有樹脂またはカルボジイミド基含有樹脂またはイソシアネート基含有樹脂またはオキサゾリン基含有樹脂を含有している。さらにまた添加剤として、シランカップリング剤成分を含有している。このプライマー層112は、例えば、プラスチック基材フィルム111上に、ポリウレタン系樹脂、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含んだプライマー層を用いて調製したコーティング液を塗布し、この塗膜を加熱して乾燥させることにより得られる。
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量ジオールの1種または2種以上と、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、酒石酸、ピメリン酸、セバチン酸、シュウ酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸、トリメリット酸などの多価カルボン酸またはその誘導体との反応により生成するポリエステルポリオール、ε−カプロラクトンなどの開環重合により生成するポリエステルポリオール等が例示される。
ポリカーボネートポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール−A等のジオール類の1種または2種以上と、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等のカーボネート類を反応させることにより得られる化合物などが例示される。脂肪族カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸などの脂肪族ポリカルボン酸を使用することができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ペンタン1,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、又はそれらの無水物を使用することができる。脂肪族ポリカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸でなくてもよい。例えば、脂肪族トリカルボン酸を使用してもよい。脂肪族ポリカルボン酸は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
ポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタン樹脂の製造に通常使用されるものであれば、特に制限されず、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート及びこれらジイソシアネートの誘導体や変性体などが例示される。
芳香族ジイソシアネートとしては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−又は1,4−キシリレンジイソシアネートペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等が例示される。
脂環族ジイソシアネートとしては、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が例示される。
ポリイソシアネートの誘導体としては、上記のポリイソシアネートのダイマー、トリマー、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレットジオン、オキサジアジントリオン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)、クルードTDI等が例示される。
ポリイソシアネートの変性体としては、上記のポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体であるトリメチロール変性体、ビウレット体、又はアロファネートを使用してもよい。これとポリオールとを、ポリイソシアネートのイソシアネート基がポリオールの水酸基よりも過剰となる当量比で反応させることによって得られるポリオール変性体などが例示される。これらポリイソシアネートは、単独で使用しても、複数を混合して使用してもよい。
メラミン基含有樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物およびそれらの混合物が例示される。メチロールメラミン誘導体としては、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が例示される。
カルボジイミド基含有樹脂としては、一分子当たりカルボジイミド基を少なくとも二つ有する樹脂の総称であり、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することにより得られる。カルボジイミド基含有樹脂の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルジイソシアネート等が例示される。
イソシアネート基含有樹脂としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3 ,3’ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネー
ト、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシレリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、あるいはこれらのイソシアヌレート型またはビューレット型の3官能ポリイソシアネート又は2官能以上のポリオール化合物との反応により得られる末端イソシアネート基含有プレポリマー等が例示される。
オキサゾリン基含有樹脂としては、オキサゾリン基を有するモノマーを少なくとも1種含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーと共重合させて得られるものであり、オキサゾリン基を有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
また、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合可能させる他のモノマ−としては、オキサゾリン基を有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば特に限定されない。具体的には、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどの不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどの含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族モノマー類などを用いることができる。これらは単独でも、または2種以上を併用して使用することもできる。例えば、オキサゾリン基を側鎖に有するポリスチレン共重合体として、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)が挙げられる。
シランカップリング剤としては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−β−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等、あるいはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
これらのシランカップリング剤の中でも、ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカ
ーボネートポリウレタン樹脂や、メラミン基含有樹脂またはカルボジイミド基含有樹脂またはイソシアネート基含有樹脂またはオキサゾリン基含有樹脂と反応する官能基を持つものが特に好ましい。例えば、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むもの、さらにγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むもの等で、これらが単独または2種以上の混合物で使用することができる。
ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカーボネートポリウレタン樹脂が例示されるポリウレタン系樹脂、メラミン基含有樹脂またはカルボジイミド基含有樹脂またはイソシアネート基含有樹脂またはオキサゾリン基含有樹脂が例示される窒素原子含有成分、シランカップリング剤が例示される珪素原子含有成分の重量比は、ポリウレタン系樹脂100重量部に対して、それぞれ5〜30重量部、10〜50重量部の範囲で、選択した樹脂成分により適宜調整するとよい。
本発明に要求される耐熱性の観点から、プライマー層112の軟化点を70℃乃至180℃の範囲内に設定してもよい。また、プラスチック基材フィルム111として長尺物を使用し且つプライマー層112を形成した直後のプラスチック基材フィルム111を巻き取る場合には、プライマー層112はブロッキングを生じないものである必要がある。
プライマー層112を形成するための塗布液は、プライマー層112の耐ブロッキング性、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のため、他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物メチロール化またはアルキロール化した尿素系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、アジリジン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、過酸化物、光反応性のビニル化合物や感光性樹脂、フェノール系又はホスファイト系の酸化防止剤、レベリング剤、レオロジー調整剤、充填材、またはそれらの混合物などを接着性が損なわない範囲内で少量含有していてもよい。
プライマー層112の厚さに制限はないが、薄いプライマー層112を厚さが均一な連続膜として形成することは難しい。また、厚いプライマー層112は柔軟性が低く、透明ガスバリア性フィルム11を屈曲させた場合に亀裂を生じる可能性がある。プライマー層112の厚さは、例えば10nm乃至1000nmの範囲内とし、典型的には20nm乃至400nmの範囲内とする。
プライマー層112は、例えば、プラスチック基材フィルム111上に、上述した成分を含有したコーティング液を塗布し、この塗膜を乾燥させることにより得られる。コーティング液の塗布には、例えば、ロールコート法、ナイフエッジコート法、バーコート法、ディップコート法、ダイコート法、又はグラビアコート法を利用することができる。
コーティング液の塗布に先立ち、例えば濡れ性及び/又は密着性を改善するために、プラスチック基材フィルム111の被塗布面に前処理を施しておいてもよい。この前処理としては、例えば、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、リアクティブイオンエッチング処理、薬品処理、溶剤処理、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
塗膜の乾燥は、例えば、コーティング液を塗布した直後に行うことができる。或いは、
プラスチック基材フィルム111を延伸処理する場合には、延伸処理前のプラスチック基材フィルム111上にコーティング液を塗布し、次いで、プラスチック基材フィルム111を延伸処理し、その後の応力緩和工程における熱処理により塗膜を乾燥させてもよい。この場合、プラスチック基材フィルム111と同一方向に延伸処理されたプライマー層112が得られる。
無機酸化物層113は、プライマー層112上に気相堆積法によって形成されたガスバリア性透明層である。無機酸化物層113の材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化マグネシウム、又はこれらの混合物を使用することができる。
無機酸化物層113の形成には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はプラズマ化学気相堆積法を利用することができる。真空蒸着法を利用する場合、蒸発材料の加熱には、例えば、電子線加熱、抵抗加熱、又は誘導加熱を利用することができる。電子線加熱を利用した場合、蒸発材料の選択の自由度が大きい。蒸着にプラズマアシスト法又はイオンビームアシスト法を利用すると、より緻密な無機酸化物層113を形成することができる。また、蒸着の際に酸素などのガスを吹き込む反応蒸着を利用すると、透明性に優れた無機酸化物層113を形成することができる。
無機酸化物層113が薄い場合、無機酸化物層113を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、また、十分なガスバリア性が得られない。厚い無機酸化物層113は柔軟性が低く、透明ガスバリア性フィルム11を撓ませた場合や引っ張った場合に亀裂を生じる可能性がある。また、気相堆積法は、経済的観点で厚膜の形成には適していない。無機酸化物層113の厚さは、例えば1nm乃至500nmの範囲内とする。
ガスバリア性被膜114は、無機酸化物層113上に形成された透明層である。ガスバリア性被膜114は、透明樹脂と無機酸化物などの無機物とを含んだ混合物からなる。無機酸化物は、例えば、酸化珪素である。ガスバリア性被膜114は、省略することも可能であるが、ガスバリア性被膜114を設けると、より高いガスバリア性を有する高密着ガスバリア性積層体10を得ることができる。
ガスバリア性被膜114は、例えば、無機酸化物層113上に、水溶性高分子と2種以上の金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水とを含有したコーティング液を塗布し、この塗膜を加熱して乾燥させることにより得られる。なお、このコーティング液の溶媒としては、例えば、水又は水とアルコールとの混合液を使用することができる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、又はそれらの混合物を使用することができる。特に、PVAを使用した場合、最もガスバリア性に優れたガスバリア性被膜114を形成することができる。なお、ここでいうPVAは、典型的には、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られるものである。このPVAとしては、アセチル基が数10%残存している部分けん化PVAからアセチル基が数%しか残存していない完全けん化PVAまで様々なけん化PVAを使用することができる。
金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物である。ここで、Mは、チタン、アルミニウム、及びジルコニウムなどの金属又は珪素を示し、Rは、メチル基及びエチル基などのアルキル基を示している。また、nは、元素Mの価数を示している。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC254]又はトリイソプロポキシアルミニウム[Al(OCH(CH323]を使用することができる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムの加水分解生成物は、
水を含んだ溶液中で比較的安定に存在することができる。
金属アルコキシドとしてアルコキシシランを使用する場合、このアルコキシシランとしては、たとえば、Si(OR1)またはR2Si(OR3)で表される化合物またはそれらの混合物を使用することができる。ここで、R1およびR3はCH基,C基,COCH基などの加水分解性基を示し、R2は有機官能基を示している。
なお、金属アルコキシドを加水分解物および縮合させることにより得られる金属酸化物膜は硬いため、外力や縮合時の体積縮小によるひずみに起因してクラックが生じ易い。それゆえ、クラックなどを生じることなく、この金属酸化物膜を均一な厚さに形成することは非常に困難である。
これに対し、高分子と金属アルコキシド及び/またはその加水分解物と水とを含有したコーティング液を用いて形成した膜は、金属酸化物膜と比較して柔軟性が高いため、クラックを発生しがたい。但し、この膜は、微視的には金属酸化物が均一に分散しておらず、高いガスバリア性が得られないことがある。この高分子として、水溶性高分子を使用した場合には、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、縮合の際に金属酸化物を高分子中に均一に分散させることができる。それゆえ、金属酸化物膜に近いガスバリア性を達成することができる。したがって、このようなガスバリア性被膜114を無機酸化物層113上に形成すると、それらを単独で使用した場合と比較して、はるかに高いガスバリア性を達成することができる。
金属アルコキシドとして、たとえば、R2Si(OR3)で示されるアルコキシシランを使用すると、水が浸入した場合でも膨潤しがたく、耐水性に優れたガスバリア性被膜114を得ることができる。特に、有機官能基R2が、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、およびイソシアネート基などの非水溶性官能基である場合、より高い耐水性を達成できる。有機官能基R2が、ビニル、メタクリロキシである場合は製造過程で紫外線または電子線等の電離放射線の照射を行なう。また、金属アルコキシドの加水分解の反応促進剤として、一般に水と触媒(酸、アルカリ)を用いているが、この反応触媒の代わりに、光酸発生剤を使用することもできる。光酸発生剤は、紫外線照射によって酸を発生する化合物であり、金属アルコキシドの加水分解反応は紫外線を照射することによって始めて開始される。したがってコーティング液中では加水分解が進行せず、時間の経過によって物性が変化する心配がない。光酸発生剤は、公知の光カチオン開始剤を使用することができる。 光カチオン開始剤としては、たとえば、オニウム塩を挙げることができる。このオニウム塩は、光反応し、ルイス酸を放出する化合物である。
金属アルコキシドが、一般式Si(OR1)で表されるテトラアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)で表されるトリアルコキシシランの2種を使用する場合、これらのアルコキシシランの比は、たとえば、Si(OR1)のSiO換算質量とR2Si(OR3)のR2Si(OH)換算質量との和に対するR2Si(OR3)のR2Si(OH)換算質量の割合が、1%から50%の範囲内となるように設定してもよい。1%より小さくすると耐水性が低くなり、50%を超えると有機官能基R2がガスバリアの孔となり、ガスバリア性が低下する。一般式Si(OR1)で表されるテトラアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)で表されるトリアルコキシシランとの混合比は、上述の割合が、5%から30%の範囲内となるように設定してもよい。この場合、液体内容物または水分含有内容物を煮沸殺菌処理や加圧・加熱殺菌処理し、さらに高温多湿環境中で長期保存するのに十分な耐水性およびハイバリア性を達成することができる。
Si(OR1)はSiO換算質量をMとし、R2Si(OR3)のR2Si(OH)換算質量をMとし、水溶性高分子の質量をMとした場合、比率M/(M/M)は、たとえば、100/100から100/30の範囲内に設定してもよい。こ
の場合、高温多湿環境で長期保存された際に十分なバリア性が保持されるのに加え、柔軟性に優れたガスバリア性被膜114が得られる。それゆえ、包装材として使用するうえで有利である。
一般式Si(OR1)で表されるアルコキシシランのうち、テトラエトキシシランは加水分解生成物が水系の溶媒中で比較的安定に存在しうるため、これを使用した場合、製造条件の制御が比較的容易である。
ガスバリア性被膜114を形成するコーティング液の各成分である、一般式Si(OR1)で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)で表されるアルコキシシランと水溶性高分子は、どの順番で混合してもよい。たとえば、一般式Si(OR1)で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)で表されるアルコキシシランとを別々に加水分解し、その後、水溶性高分子を含んだ溶液中にこれらを添加してもよい。この方法は、シリコン酸化物の分散性や加水分解の効率の点で優れている。
ガスバリア性被膜114を形成するためのコーティング液は、添加剤をさらに含有することができる。この添加剤としては、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、安定化剤、レオロジー調整剤、又はそれらの混合物を使用することができる。
無機酸化物層113上へのコーティング液の塗布には、例えば、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、又はグラビア印刷法を利用することができる。
ガスバリア性被膜114が薄い場合、ガスバリア性被膜114を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、また、十分なガスバリア性が得られない。厚いガスバリア性被膜114は、亀裂を生じ易い。ガスバリア性被膜114の厚さは、例えば0.01μm乃至50μmの範囲内とする。
接着剤層12は、無機酸化物層113を被覆した透明層である。接着剤層12の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリブタジエン、ワックス、カゼイン、又はそれらの混合物を主成分として含有した、無溶剤型、溶剤型、水性型、又は熱溶融型接着剤を使用することができる。高温高湿環境での密着性保持の観点から、耐熱性が高く、耐加水分解性に優れているポリカーボネートポリウレタン樹脂を主成分としたものが使用に好適である。
この接着剤の無機酸化物層113上への塗布には、例えば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、又はファウンテンコート法を利用することができる。接着剤は、例えば、乾燥状態で塗布量が0.1g/m2乃至8g/m2の範囲内となるように塗布する。
樹脂フィルム層13は、接着剤層12を介して高密着透明ガスバリア性フィルム11に貼り合わされる層である。樹脂フィルム層13は、プライマー層112と無機酸化物層113とガスバリア性被膜114と接着剤層12とを間に挟んでプラスチック基材フィルム111と向き合っている。
樹脂フィルム層13は、その用途に応じて選択され、例えば精密電子部品の包装袋として使用される場合には、袋を密閉するためにヒートシール性を有する樹脂層が好適に使用される。このようなヒートシール性樹脂層13の材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、これらの金属架橋物、又はポリ乳酸樹脂などの生分解性樹脂を使用することができる。
また、産業資材の部材として使用される場合には、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、真空断熱材、EL用基板、カラーフィルター等の用途特性に応じた樹脂フィルム層が使用され、例えば、ポリエチレンテレフタテート、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、セルローストリアセテート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル三元共重合体など、高温高湿で長期間使用可能な樹脂を使用することができる。
樹脂フィルム層13の厚さは、例えば、高密着ガスバリア性積層体10の用途に応じて設定する。通常、樹脂フィルム層13の厚さは、10μm乃至500μmの範囲内である。
樹脂フィルム層13と高密着透明ガスバリア性フィルム11との貼り合わせには、例えば、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、又は押出しラミネート法を利用することができる。例えば、押出しラミネート法を利用した場合には、接着剤層12は省略することも可能である。
高密着透明ガスバリア性フィルム11と樹脂フィルム層13との間には、接着剤層12以外の層を介在させてもよい。例えば、それらの間に印刷層を介在させてもよい。
この高密着ガスバリア性積層体10は、プラスチック基材フィルム111と樹脂フィルム層13との密着性に優れている。そのため、例えば、この高密着ガスバリア性積層体10を使用して精密電子部品を包装してなる包装体や、部材の一部として使用された産業資材を、長期にわたる耐久性を評価するために、高温多湿環境で保存試験を行った場合に、プラスチック基材フィルム111と樹脂フィルム層13との間の密着力の大幅低下や、デラミネーションを生じ難い。それゆえ、包装体の内容物や産業資材の性能の劣化を長期にわたって防止することができる。
このように、高密着ガスバリア性積層体10は高温多湿環境下での密着強度に優れている。特に、特定のプライマー層112を選定したことで、プラスチック基材フィルム111と無機酸化物層113との間の耐水密着性が向上させることができたので、この高密着ガスバリア性積層体10を用いて形成した包装体や産業資材部品のプラスチック基材フィルム111と樹脂フィルム層13との密着強度は、高温高湿環境下、例えば105℃100%RH環境下で96時間保存後においても、1.0N/15mm以上を保持する。
以下、本発明の実施例を説明する。
<ポリウレタン系樹脂Aの調製>
テレフタル酸300部、イソフタル酸300部、エチレングリコール140部、ジエチレングリコール230部を混合し、180〜230℃で8時間加熱してエステル化反応を行った。その後、酸価が1よりも小さくなるまで、230℃で6時間かけて重縮合反応を行った。次いで、減圧下において、150℃で脱水処理を行ってから、90℃まで冷却した後、メチルエチルケトン270部を加えて攪拌し、充分に溶解させた。これにより、酸価0.5、水酸基価50のポリエステルポリオールを得た。次に、このポリエステルポリオール260部とイソホロンジイソシアネート50部とを、80℃において充分に攪拌させた後、2,2−ジメチロールプロピオン酸15部を加え、70℃で12時間かけて反応を行い、反応終了後は30℃まで冷却した。以上のようにして、酸価が15mg KOH/g のポリエステルポリウレタン樹脂を含有したポリウレタン系樹脂Aを得た。
<ポリウレタン系樹脂Bの調製>
ポリヘキサメチレンカーボネートポリオール(分子量1800)500部、トリメチロールプロパン14.0部、1,4−ブタンジオール112.0部を混合した後、メチルエチルケトン600部を添加して溶解させた。次いで、前記溶液にイソホロンジイソシアネート520部およびジブチル錫ジラウレート0.02部を混合し、80℃にて200分間反応を行い、遊離イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを得、次いで、得られたウレタンプレポリマーにジメチロールプロピオン酸55部及びメチルエチルケトン240部を混合した後、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、更にトリエチルアミン20部を混合し、80℃にて150分間反応を行うことで、遊離イソシアネート基とカルボキシル基とを含有するウレタンプレポリマーを得た。次いで、得られたウレタンプレポリマーに40℃でトリエチルアミン20部を追加し、残余のカルボキシル基を中和することで、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含有したポリウレタン系樹脂Bを得た。
<メラミン基含有樹脂C の調整>
三和ケミカル社製のメチロール化メラミン含有樹脂である「MX−035」を用いた。以下、このメラミン基含有樹脂を 「樹脂C」 とする。
<カルボジイミド基含有樹脂D の調製>
日清紡績社製のカルボジイミド基含有樹脂である「カルボジライトE−02」を用いた。以下、このカルボジイミド基含有樹脂を 「樹脂D」 とする。
<イソシアネート基含有樹脂E の調整>
日本ポリウレタン社製のトリレンジイソシアネート含有樹脂である「コロネートL」をを用いた。
以下、このイソシアネート基含有樹脂を 「樹脂E」 とする。
<オキサゾリン基含有樹脂F の調製>
日本触媒社製のオキサゾリン基含有樹脂である「エポクロスWS−500」を用いた。以下、このオキサゾリン基含有樹脂を 「樹脂F」 とする。
<シランカップリング剤G の調製>
信越シリコーン社製のシランカップリング剤である「γ−アミノプロピルトリメトキシシラン」を用いた。以下、このシランカップリング剤を 「樹脂G」 とする。
<シランカップリング剤H の調製>
信越シリコーン社製のシランカップリング剤である「γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン」を用いた。以下、このシランカップリング剤を 「樹脂H」 とする
<ガスバリア性被膜液I の調製>
17.9gのテトラエトキシシランと10gのメタノールと72.1gの0.1N塩酸水溶液とを混合し、30分間攪拌して、テトラエトキシシランを加水分解させた。これにより、SiO換算で固形分5質量%濃度を含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液1」とする。
PVAを、水とイソプロピルアルコー
ルとを95:5の質量比で含有した混合溶媒で溶解し、固形分濃度が5%質量となるように、PVA水溶液を調製した。以下、このPVA水溶液を、「溶液2」とする。
γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランのイソプロピルアルコール溶液に、1N塩酸水溶液を添加した。この際、水とイソプロピルアルコールとの質量比は50:50とした。また、この混合溶液におけるγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランの濃度はR2Si(OH)換算濃度で5質量%とした。次に、この混合溶液を20分攪拌して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加水分解させた。これにより、R2Si(OH)換算で固形分5質量%含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液3」とする。
その後、「溶液1」と「溶液2」と「溶液3」とを、それらの固形分の質量比が、60:30:10となるように混合し、ガスバリア性皮膜液Iを得た。
<ガスバリア性被膜液J の調製>
3-アミノプロピルトリメトキシシランのイソプロピルアルコール溶液に、水を徐々に加えて30分間攪拌し、3-アミノプロピルトリメトキシシランを加水分解させた。3-アミノトリメトキシシランの濃度はR2Si(OH)換算濃度で5質量%とした。これにより、R2Si(OH)換算で固形分濃度を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液4」とする。
その後、「溶液1」と「溶液2」と「溶液4」とを、それらの固形分濃度の質量比が60:25:15となるように混合し、ガスバリア性被膜液Jを得た。
<ガスバリア性被膜液K の調製>
「溶液1」と「溶液2」と「溶液3」とを、それらの固形分の質量比が80:10:10となるように混合し、ガスバリア性被膜液Kを得た。
<ガスバリア性被膜液L の調製>
10gのテトラエトキシシランに0.1Nの塩酸水溶液を89g混合し、この混合液を30分間攪拌してテトラエトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、SiO2
換算で3質量%の固形分を含有した溶液を得た。次いで、ポリビニルアルコールを3質量%の濃度で含有した溶液を添加した。ポリビニルアルコールの溶媒には水とイソプロピルアルコールとを90:10の質量比で含有した混合液を使用した。このようにしてガスバリア性皮膜液Lを得た。
<実施例1>
まず、ポリエチレンテレフタレートからなる厚さが120μmのプラスチック基材フィルムを準備した。
次に、このプラスチック基材フィルムを、縦方向に延伸した。次に、このプラスチック基材フィルムの一方の主面上に、ポリウレタン系樹脂A100重量部、メラミン基含有樹脂C20重量部、シランカプリング剤G5重量部を調製してなるコーティング液を、ロールコート法により塗布した。続いて、プラスチック基材フィルムを横方向に延伸すると共に、塗膜を乾燥させた。なお、縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率とは等しくし、これら延伸は、プラスチック基材フィルムの厚さが12μmとなるように行った。このようにして、プラスチック基材フィルム上に、厚さが30nmのプライマー層を形成した。
次いで、抵抗加熱方式を利用した真空蒸着装置を用いて、プライマー層上に、酸化珪素からなる厚さが40nmの無機酸化物層を形成した。
その後、グラビアコート法により、無機酸化物層上にガスバリア性被膜液Iを塗布した。続いて、塗膜を乾燥させ、これにより厚さが0.4μmのガスバリア性被膜を得た。
以上のようにして、高密着透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA1」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1と耐加水分解性PETフィルムとを、耐加水分解性PETフィルムがガスバリア性被膜と向き合うように、ドライラミネーション法により貼り合わせた。耐加水分解性PETフィルムとしては、厚さが50μmの東レ社製
X10Sを使用し、接着剤としては、ポリエステルウレタン系ラミネート用接着剤(東洋インキ社製、LIS073/LCR001=100重量部/10重量部を酢酸エチルで固形分30%に希釈、塗布量(ドライ状態)8g/m)を使用した。
その後、この積層体を、60℃で7日間養生した。以上のようにして、高密着ガスバリア性積層体を完成した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS1」と呼ぶ。
<実施例2>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、カルボジイミド基含有樹脂D25重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA2」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA2を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS2」と呼ぶ。
<実施例3>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、イソシアネート基含有樹脂E30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA3」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA3を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積
層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS3」と呼ぶ。
<実施例4>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、オキサゾリン基含有樹脂F30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA4」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA4を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS4」と呼ぶ。
<実施例5>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、ポリウレタン基系樹脂Aの代わりに、ポリウレタン系樹脂Bを、シランカップリング剤Gの代わりに、シランカップリング剤Hを用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA5」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA5を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS5」と呼ぶ。
<実施例6>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、カルボジイミド基含有樹脂D25重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA5について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA6」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA6を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS6」と呼ぶ。
<実施例7>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、イソシアネート基含有樹脂E30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA5について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA7」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA7を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS7」と呼ぶ。
<実施例8>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、オキサゾリン基含有樹脂F30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA8」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA8を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS8」と呼ぶ。
<実施例9>
まず、ポリエチレンナフタレートからなる厚さが120μmのプラスチック基材フィ
ルムを準備した。
次に、このプラスチック基材フィルムを、縦方向に延伸した。次いで、このプラスチック基材フィルムの一方の主面上に、ポリウレタン系樹脂B100重量部、メラミン基含有樹脂C20重量部、シランカプリング剤H10重量部を調製してなるコーティング液を、ロールコート法により塗布した。続いて、プラスチック基材フィルムを横方向に延伸すると共に、塗膜を乾燥させた。なお、縦方向の延伸倍率と横方向の延伸倍率とは等しくし、これら延伸は、プラスチック基材フィルムの厚さが12μmとなるように行った。このようにして、プラスチック基材フィルム上に、厚さが40nmのプライマー層を形成した。
その後、高密着透明ガスバリア性フィルムA1について説明したのと同様の方法により、プライマー層上に、無機酸化物層及を形成した。その後、グラビアコート法により、無機酸化物層上にガスバリア性被膜液Jを塗布した。続いて、塗膜を乾燥させ、これにより厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を得た。
以上のようにして、高密着透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA9」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA9を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS9」と呼ぶ。
<実施例10>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、カルボジイミド基含有樹脂D25重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA9について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA10」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA10を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS10」と呼ぶ。
<実施例11>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、イソシアネート基含有樹脂E30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA9について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA11」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA11を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS11」と呼ぶ。
<実施例12>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、オキサゾリン基含有樹脂F30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA9について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA12」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA12を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS12」と呼ぶ。
<比較例1>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cを使用しなかったこと以外は、実施例1における高密着透明ガスバリアフィルムA1、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA101」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS101」と呼ぶ
<比較例2>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cを使用しなかったこと以外は、実施例5における高密着透明ガスバリアフィルムA5、高密着ガスバリア性積層体GS5について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA102」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS102」と呼ぶ
<比較例3>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの配合量を3重量部に変更したこと以外は、実施例1における高密着透明ガスバリアフィルムA1、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA103」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS103」と呼ぶ
<比較例4>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの配合量を80重量部に変更したこと以外は、実施例1における高密着透明ガスバリアフィルムA1、高
密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA104」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS104」と呼ぶ
<比較例5>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、シランカップリング剤Gを使用しなかったこと以外は、実施例2における高密着透明ガスバリアフィルムA2、高密着ガスバリア性積層体GS2について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA105」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS105」と呼ぶ。
<比較例6>
ガスバリア性被膜を形成するガスバリア性被膜液を、ガスバリア性被膜Iからガスバリア性被膜Lへ変更したこと以外は、実施例1における高密着透明ガスバリアフィルムA1、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA106」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS106」と呼ぶ。
表1に示すように、高密着ガスバリア性積層体GS101乃至GS106は、プライマー層あるいはガスバリア性被膜層の耐湿熱性に劣るために、保存試験後の水蒸気透過度が大きく劣化し、ガスバリア性の低いものとなった。さらに、保存試験後のラミネート強度においても、大幅な強度低下が認められ、GS103、GS105においては、デラミネーションが発生していた。
これに対し、高密着ガスバリア性積層体GS1乃至12は、高密着ガスバリア性積層体GS101乃至GS106と比較して、保存試験後の水蒸気透過度の低下は小さく、高いガスバリア性能を示していた。さらには、保存試験後のラミネート強度においても、強度低下が小さく良好な性能を示していた。
<実施例13>
酸化珪素からなる厚さが40nmの無機酸化物層の代わりに、電子ビーム方式を利用した真空蒸着装置を用いて酸化アルミニウムからなる厚さが25nmの無機酸化物層を形成したこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA7について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA13」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA1の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA13を使用し、厚み50μmの耐加水分解性PETフィルムの代わりに厚み60μmのポリプロピレンフィルム(東セロ製 RXC−21)を使用した以外は、高密着ガスバリア性積層体GS1について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS13」と呼ぶ。
<実施例14>
酸化珪素からなる厚さが40nmの無機酸化物層の代わりに、電子ビーム方式を利用した真空蒸着装置を用いて酸化マグネシウムからなる厚さが15nmの無機酸化物層を形成したこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA13について説明したのと同様の方
法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA14」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA13の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA14を使用した以外は、高密着ガスバリア性積層体GS13について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS14」と呼ぶ。
<実施例15>
まず、ナイロン6からなる厚さが150μmのプラスチック基材フィルムを準備した。
次に、このプラスチック基材フィルムの一方の主面上に、ポリウレタン系樹脂B100重量部、メラミン基含有樹脂C30重量部、シランカプリング剤H10重量部を調製してなるコーティング液を、ロールコート法により塗布した。続いて、プラスチック基材フィルムをその厚さが15μmになるまで縦方向と横方向とに同じ延伸倍率で延伸すると共に、塗膜を乾燥させた。このようにして、プラスチック基材フィルム上に、厚さが50nmのプライマー層を形成した。
次いで、高密着透明ガスバリア性フィルムA13について説明したのと同様の方法により、プライマー層上に、無機酸化物層及びガスバリア性被膜を順次形成した。
以上のようにして、高密着透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA15」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA13の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA15を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS13について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS15」と呼ぶ。
<実施例16>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、カルボジイミド基含有樹脂D30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA13について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA16」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA13の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA16を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS13について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS16」と呼ぶ。
<実施例17>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、メラミン基含有樹脂Cの代わりに、イソシアネート基含有樹脂E30重量部を用い、ガスバリア性被膜を形成する被膜液Iの代わりに被膜液Kを用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA15について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA17」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA15の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA17を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS15について説明した
のと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS17」と呼ぶ。
<実施例18>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、イソシアネート基含有樹脂Eの代わりにオキサゾリン基含有樹脂F30重量部を用いたこと以外は、高密着透明ガスバリア性フィルムA17について説明したのと同様の方法により高密着透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この高密着透明ガスバリア性フィルムを、「高密着透明ガスバリア性フィルムA18」と呼ぶ。
次に、高密着透明ガスバリア性フィルムA15の代わりに高密着透明ガスバリア性フィルムA18を使用したこと以外は、高密着ガスバリア性積層体GS15について説明したのと同様の方法により高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS18」と呼ぶ。
<比較例7>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、シランカップリング剤Hを使用しなかったこと以外は、実施例13における高密着透明ガスバリアフィルムA13、高密着ガスバリア性積層体GS13について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA107」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS107」と呼ぶ。
<比較例8>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、シランカップリング剤Hを使用しなかったこと以外は、実施例14における高密着透明ガスバリアフィルムA14、高密着ガスバリア性積層体GS14について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA108」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS108」と呼ぶ。
<比較例9>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、シランカップリング剤Hを使用しなかったこと以外は、実施例15における高密着透明ガスバリアフィルムA15、高密着ガスバリア性積層体GS15について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA109」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS109」と呼ぶ。
<比較例10>
プライマー層を形成するコーティング液のうち、イソシアネート基含有樹脂Eを使用しなかったこと以外は、実施例17における高密着透明ガスバリアフィルムA17、高密着ガスバリア性積層体GS17について説明したのと同様の方法により、高密着透明ガスバリアフィルム、高密着ガスバリア性積層体を製造した。以下、この高密着透明ガスバリアフィルムを、「高密着透明ガスバリアフィルムA110」、高密着ガスバリア性積層体を、「高密着ガスバリア性積層体GS110」と呼ぶ。
<プライマー層のTOF−SIMS分析>
透明ガスバリア性フィルムA1及至A18、A101及至A110のそれぞれプライマー層について、TOF−SIMSによる分析を行なった。TOF−SIMS分析装置はア
ルバック−ファイ社製TRIFT2を用い、一次イオン:69Ga+、1次イオン加速電圧:15kV、測定面積100μm角、帯電補正用電子銃を用いて実施し、正負2次イオン質量スペクトルにより、プライマー層より検出されるイオン種を分析した。
透明ガスバリア性フィルムA1及至A18の各プライマー層では、炭化水素系成分、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分が含有されていると判断された。これに対し、透明ガスバリア性フィルムA101及至A110では、炭化水素系成分、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分の少なくとも一つの成分が未含有であると判断された。
TOF−SIMSによる正・負2次イオン質量スペクトル分析結果において、透明ガスバリア性フィルムA1及至A18、A101及至A110のそれぞれのプライマー層より確認された主なピークは、以下の通りであった。
(1)炭化水素系成分由来のピーク群: C 、C 、CH

(2)窒素原子含有成分由来のピーク群: CN、CNO
(3)珪素原子含有成分由来のピーク群: Si
<水蒸気透過度の測定>
高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の各々について、日本工業規格 JIS K7129−2008「プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)」で規定されているB法(赤外線センサ法)に従って水蒸気透過度を測定した。この測定は、温度が40℃であり相対湿度が90%の環境中で、Modern Control社製のPermatran3/31を使用して行った。以下の表1に、測定結果を纏める。
<ラミネート強度の測定>
高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の各々について、日本工業規格 JIS K6854−3:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」で規定されている試験方法に従ってラミネート強度を測定した。
すなわち、まず、高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の各々から幅が15mmの短冊状の試験片を準備した。次いで、各試験片の一端で樹脂フィルム層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離し、これらをそれぞれ引張試験機のつかみ具に取り付けた。その後、引張応力を加えて、樹脂フィルム層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離させ、剥離長さ(つかみ移動距離)と引張応力との関係を記録した。ここでは、剥離速度は300mm/minとした。そして、最初及び最後の25mmを除いた100mm以上の剥離長さに亘って、力−つかみ移動距離曲線から平均剥離力(N)を求めた。この平均剥離力(N)をラミネート強度とした。以下の表1に、測定結果を纏める。
<高温高湿環境保存試験後における水蒸気透過度の測定>
高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の各々から10cm角状に試験片を抜き出し、プレッシャークッカー試験機にて、温度105℃相対湿度100%RHの環境中に96時間保存した。その後、直ちに取り出し、室内環境に1昼夜放置した後に、上述したのと同様の方法により水蒸気透過度を測定した。以下の表1に、測定結果を纏める。
<高温高湿環境保存試験後におけるラミネート強度の測定>
高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の各々から
幅が15mmの短冊状の試験片を準備した。その後、プレッシャークッカー試験機にて、温度105℃相対湿度100%RHの環境中に96時間保存した後、直ちに取り出し、上述したのと同様の方法によりラミネート強度を測定した。以下の表1に、測定結果を纏める。なお、表1中の「デラミ」は、ラミネート強度を測定する前の段階でデラミネーションを生じていたことを示している。
Figure 2010188600
表1に示すように、高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18、GS101及至GS110の何れも、水蒸気透過度は十分に小さく、かつ高いラミネート強度を示している。また、高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18は、高温高湿環境における保存試験後にいても、ラミネート強度を保持し、また水蒸気透過度の低下も小さく、実用性があるといえる。以上の結果から、高密着ガスバリア性積層体GS1及至GS18は、高温高湿環境下での厳しい条件にて保存試験を行われる精密電子部品の包装体や産業資材の部材などの用途に適していることが分かる。
10…高密着ガスバリア性積層体
11…高密着透明ガスバリア性フィルム
12…接着剤層
13…樹脂フィルム層
111…プラスチック基材フィルム
112…プライマー層
113…無機酸化物層
114…ガスバリア性被膜

Claims (11)

  1. プラスチック基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面上に形成され、ポリウレタン系樹脂、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分を含んだプライマー層と、前記プライマー層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする高密着透明ガスバリア性フィルム。
  2. 前記プライマー層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正および負の2次イオン質量スペクトル分析結果が、炭化水素系成分、窒素原子含有成分、珪素原子含有成分との存在を示すことを特徴とする請求項1に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  3. 前記プライマー層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正および負の2次イオン質量スペクトル分析を行なったときに、C 、C 、CHの炭化水素成分由来のピーク群、CN、CNO の窒素原子含有成分由来のピーク群、および Siの珪素原子含有成分由来のピーク、が検出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  4. 前記ポリウレタン系樹脂が、ポリエステルポリオールまたはポリカーボネートポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる、ポリエステルポリウレタン樹脂またはポリカーボネートポリウレタン樹脂であり、前記窒素原子含有成分がメラミン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、前記珪素原子含有成分がシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  5. 前記プラスチック基材フィルムが、ポリエステルからなる延伸フィルムであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  6. 前記基材フィルムと前記プライマー層とは同一方向に延伸されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  7. 前記無機酸化物層が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化錫及び酸化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有したことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  8. 前記無機酸化物層上に形成され、透明樹脂と無機物とを含んだ混合物からなるガスバリア性被膜をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  9. 前記ガスバリア性被膜は、水溶性高分子と2種以上の金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水とを含有した溶液を原料としていることを特徴とする請求項8に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  10. 前記ガスバリア性被膜に含有される金属アルコキシド又はその加水分解生成物が、テトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン又はそれらの加水分解生成物であることを特徴とする請求項9に記載の高密着透明ガスバリア性フィルム。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の高密着透明ガスバリア性フィルムと、前記高密着透明ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記プラスチック基材フィルムと向き合った他の樹脂フィルムとを具備したことを特徴とする
    高密着ガスバリア性積層体。
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