JP5115010B2 - プライマー組成物及びこれを用いたガスバリアフィルム - Google Patents
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Description
そのため、温度・湿度などによる影響が少ないアルミニウム等の金属からなる金属箔を、ガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
そこで、このような問題を解決した包装材料として、例えば、特許文献3、4には、基材層上に蒸着層とガスバリア性被覆層が順次積層した積層体の基材層と蒸着層の間に、アクリルポリオールとイソシアネートを含むプライマー層(蒸着用プライマー層)を設けたガスバリア積層フィルムが開示されている。該ガスバリア積層フィルムは、耐ボイル性、耐レトルト性、耐オートクレーブ性を有するものであって、温度や水(湿度)による影響を低減し、デラミの発生やガスバリア性の低下を抑制できる。
このように、包装材料には、上述したような殺菌工程での条件よりも、より過酷な条件下においても、ガラスバリア性能を付与する必要があった。
さらに、耐熱性を有するフィルムなどの積層体の設計を行う場合は、通常、ガラス転移温度が高い材料あるいは結晶化度が高い材料を用いることが公知技術として知られているが、このような技術では上述した環境での密着性やガスバリア性能を付与することが困難であること分かった。
成分P−1:ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール及び/または該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物。
成分P−2:イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分。(ただし、R’はアルキル基であり、Mは遷移金属であり、nはMのイオンの価数である。)
ここで、前記成分P−1が非晶性であることが好ましい。
成分P−3:前記成分P−1と非相溶であり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上であるポリオール及び/または該ポリオールのイソシアネート伸長物。
また、前記ポリオールが、アクリルポリオール及び/またはカーボネートポリオールであることが好ましい。
成分P−4:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、及び/または、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である。)
ただし、蒸着層上に蒸着用オーバーコート層が積層し、蒸着用プライマー層上に蒸着層が積層するものとする。
ここで、前記蒸着層は、厚さが5〜300nmであり、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化インジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物より形成されることが好ましい。
成分H−1:ガラス転移温度が40℃以上であるポリエステルポリオール、該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物、アクリルポリオール、該アクリルポリオールのイソシアネート伸長物、カーボネートポリオール、該カーボネートポリオールのイソシアネート伸長物よりなる群から選ばれる少なくとも1種。
成分H−2:イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤。(ただし、R’はアルキル基であり、Mは遷移金属であり、nはMのイオンの価数である)
成分H−3:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、及び/または、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である)
成分O−1:水溶性高分子。
成分O−2:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である。)
また、本発明のプライマー組成物によれば、高温・高湿下の過酷な条件においても、密着強度やガスバリア性能に優れるガスバリアフィルムが得られる。
さらに、本発明のガスバリアフィルムによれば、エレクトロニクス部材や建装材の分野など、より高温・高湿の過酷な条件での保存評価が必要な場合においても、好適に用いることができる。
[プライマー組成物]
本発明のプライマー組成物は、樹脂成分と架橋剤成分とを有する。
樹脂成分は、以下に示す成分P−1を主成分とする。また、樹脂成分は、成分P−1のみからなってもよく、成分P−1以外の成分を含有してもよい。
樹脂成分の含有量はプライマー組成物100質量%中、25〜95質量%が好ましく、35〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%が特に好ましい。
成分P−1は、樹脂成分の主成分となるものであり、ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール及び/または該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物である。
ガラス転移温度が40℃以上であると、形成されるプライマー組成物層が、基材層との界面で発生した歪(応力)を緩和することが困難となる。ガラス転移温度は25℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
なお、本発明において「主成分」とは、樹脂成分100質量%中、50質量%以上含まれることを意味する。
さらに、前記共重合ポリエステル樹脂の両末端の水酸基を、イソシアネート化合物を用いて鎖伸長を施したポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種のイソシアネート化合物の単体、またはイソシアネート化合物からなるアダクト体、ビューレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。
なお、本発明において、「非結晶」は、「低結晶性で結晶化速度が遅いもの」も包含する。
また、成分P−1は、樹脂成分100質量%中、50質量%〜100質量%含有されるのが好ましく、より好ましくは60〜90質量%であり、特に好ましくは70〜80質量%である。樹脂成分中の含有量が50質量%未満であると、接着強度が低下しやすくなる。
樹脂成分は、成分P−1のみからなってもよいが、以下に示す成分P−3を含有してもよい。成分P−3を含有することにより、ブロッキング防止の効果がさらに向上したり、後述するようにプライマー組成物層上に蒸着用プライマー層を設ける場合には、これらの相関密着性が向上したりする。
前記成分P−3は、前記成分P−1と非相溶であり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上のポリオール及び/または該ポリオールのイソシアネート伸長物である。成分P−3と成分P−1が相溶系であると、両者が均一に混ざり合うことで中間的な性質を示すようになり、特に高温・高湿下における密着性(耐湿熱密着性)が低下しやすくなる。
また、ガラス転移温度が40℃未満であると、成分P−1、成分P−2と共に複合化した場合にブロッキング防止効果が低下しやすくなる。ガラス転移温度は60℃以上が好ましく、10℃以下がより好ましい。
アクリルポリオールとしては、(メタ)アクリル酸や、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)などのモノマーに対し、2−ヒドキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを共重合させた共重合体;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等。)、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等。)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマーを共重合させた共重合体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマーなどを共重合させた共重合体;イソプロペニル-オキサゾリン、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、マレイン酸、アルキルマレイン酸モノエステル、フマル酸、アルキルフマル酸モノエステル、イタコン酸、アルキルイタコン酸モノエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン等のモノマーを共重合させた共重合体などが挙げられる。
カーボネート化合物としてはジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートなどを用いることができる。ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオール、水添キシリレングリールなどの脂環式ジオール;キシリレングリールなど芳香族ジオールなどが挙げられる。これらカーボネート化合物やジオールは、各々1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、成分P−3としては、上述したようなポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物を用いて鎖伸長を施したポリオールのイソシアネート伸長物を用いてもよい。イソシアネート化合物としては、成分P−1の説明において先に例示したイソシアネート化合物の中から、1種以上を選択して使用してもよい。
その他の樹脂としては、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系などの樹脂が挙げられる。
そこで、プライマー組成物に架橋剤成分を含有させることにより、成分P−1が架橋構造となるためブロッキングの発生を抑制できる。
しかし、プライマー組成物が架橋剤成分を含有することにより各成分が複合化されて、プライマー組成物層が形成される際に相分離構造が生じるのを抑制することができる。
架橋剤成分は、以下に示す成分P−2からなる。
成分P−2は、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分である。ただし、R’はアルキル基であり、Mは遷移金属であり、nはMのイオンの価数である。このような架橋剤成分は、ポリエステルポリオールの末端水酸基または末端カルボキシル基と反応して架橋構造を形成する。
カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化合物としてはN,N’−ジ−o−トルイルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ジオクチルデシルカルボジイミド、N−トリイル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,2−ジ−t−ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N’−フェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−p−トルイルカルボジイミドなどの単官能体を、誘導体化して多官能タイプにしたものが挙げられる。特に、成分P−1が、末端カルボキシル基を残したポリエステルポリオール、またはイソシアネート化合物により鎖伸長を施し、ウレタン結合を形成したポリエステルポリオール樹脂である場合は、カルボジイミド化合物が好適である。
一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物としては、ポリエステルポリオールの末端水酸基を遷移金属がキレート形成することで架橋するタイプが挙げられる。具体的には、アルキルチタネート、チタンアルコキシド、アルキルジルコネート、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどの化合物が挙げられる。
リン系化合物としては、リン酸あるいはその塩が挙げられる。具体的には、オルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩;トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、ウルトラメタリン酸などの縮合リン酸、またはこれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などが挙げられる。またリン酸トリフェニルなどのリン酸エステルも用いることができる。
本発明のプライマー組成物は、上述した樹脂成分と架橋剤成分以外にも、必要に応じて、以下に示す成分P−4を含有してもよい。P−4を含有することにより、後述する蒸着層に対する密着性を向上させることが可能となり、プライマー組成物層に蒸着用プライマー層としての機能を付与させることができる。さらに、プライマー組成物層上に蒸着層を設けるに際して適切な硬さを付与させることもできる。
なお、蒸着用プライマー層とは、詳しくは後述するが、蒸着層に対する密着性が高く、一般的に基材層と蒸着層との間に設けられ、各層間の接着強度を高めるために用いられる。
一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物としては、例えば、エチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシアプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、あるいはその加水分解物が挙げられる。中でもエポキシ基が含まれているグリシドオキシトリメトキシシランやエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、イソシアネート基が含まれるイソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらのオルガノシランは単量体に限られず、構造によってはニ量体、三量体などの化合物も用いることができる。
なお、加水分解物を得る方法としては、金属アルコキシドに直接酸やアルカリ等を添加して加水分解を行う方法など既知の方法を用いることができる。また、必要に応じて、錫化合物など反応を促進させる反応触媒を添加してもよい。
本発明においては、上述した各成分を含むプライマー組成物を後述するガスバリアフィルムに用いる際には、溶剤に溶解させた状態で用いるのが好ましい。
溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶剤の含有量は、プライマー組成物100質量部に対して100〜100000質量部が好ましく、200〜10000質量部がより好ましい。
また、成分P−2からなる架橋剤成分を含有することにより、ブロッキングの発生を防止し、成分P−1と成分P−3の双方の機能を両立化(すなわち、架橋構造形成による相分離構造を抑制)できる。
さらに、必要に応じて成分P−3を樹脂成分として含有することにより、ブロッキングの発生をより防止し、プライマー組成物層上に蒸着用プライマー層を設ける場合は、両者の密着性を向上させる。
また、必要に応じて成分P−4を含有することにより、プライマー組成物層上に蒸着層を設ける場合は、両者の密着性を向上させると共に、蒸着層を形成させるに適当なプライマー組成物層の硬さを付与することができる。
本発明のガスバリアフィルムは、上述したプライマー組成物より形成されるプライマー組成物層を備えている。
図1は、本発明のガスバリアフィルム一実施形態を説明した断面図である。図示例のガスバリアフィルム1は、基材層11の一方の面上にプライマー組成物層12が積層した積層体10を有し、かつ、該積層体10のプライマー組成物層12上に、蒸着層13が積層している。
また、図2に示すように、ガスバリアフィルム2は、積層体10のプライマー組成物層12上に、蒸着層13と蒸着用オーバーコート層14とが順次積層した形態であってもよい。
さらに、図3に示すように、ガスバリアフィルム3は、積層体10のプライマー組成物層12上に、蒸着用プライマー層15と蒸着層13とが順次積層した形態であってもよい。
また、図4に示すように、ガスバリアフィルム4は、積層体10のプライマー組成物層12上に、蒸着用プライマー層15と蒸着層13と蒸着用オーバーコート層14とが順次積層した形態であってもよい。
ここで、各層について説明する。
基材層11を形成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、組成上PETとPCTの共重合体であるPET−G(イーストマンケミカル)など共重合タイプを含む各種ポリエステルフィルム;ポリアミド6、ポリアミド6,6、芳香族ポリアミドやポリイミドなどの共重合タイプを含む各種ポリアミド(イミド)フィルム;ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの共重合タイプを含むポリオレフィン系フィルム;ポリスチレン系フィルム(PS);ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリアクリルニトリル(PAN)などのアクリル系フィルム、またはこれらのビニル/(メタ)アクリル系樹脂の共重合体からなるフィルム;ポリカーボネート(PC)系フィルム;ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの各種含ハロゲン系樹脂フィルムなどを用いることができる。これらフィルムは延伸であってもよく、未延伸であってもよい。
また、これらフィルムは、得られるガスバリアフィルムの用途に応じて使い分けることができ、例えば一般的な包装材として用いる場合は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン樹脂などが好ましい。また、高温・高湿の過酷な条件下で用いる場合は、ポリエチレンナフタレートやポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどの高耐熱性ポリエステルフィルム、ポリカーボネート系フィルム、アクリル系樹脂フィルムや各種含ハロゲン系樹脂フィルムを用いるのが好ましい。
基材層11の厚さは、特に制限されないが、3〜200μmが好ましく、6〜30μmがより好ましい。
プライマー組成物層12は、上述した本発明のプライマー組成物により形成される。これにより、高温・高湿の過酷な条件下においても、基材層11とプライマー組成物層12との密着性が低下しにくいので、得られるガスバリアフィルムはエレクトロニクス分野や建装材分野でも、好適に用いることができる。
プライマー組成物層12の厚さは、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
蒸着層13は酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化インジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上の無機酸化物より形成される。中でも、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する点で、酸化珪素や酸化アルミニウムが好ましい。
なお、本発明においては、上述した無機酸化物以外にも、ガスバリア性以外の機能を有する無機蒸着膜も用いてもよく、これにより各種機能を有するガスバリアフィルムが得られる。
蒸着用オーバーコート層14は、本発明のガスバリアフィルムのガスバリア性をより向上させる目的で、上述した蒸着層13上に設けられる(図2)。
蒸着用オーバーコート層14は、以下に示す成分O−1と成分O−2とを配合した2種類以上の化合物より形成される。
成分O−1は、水溶性高分子であり、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコールが好ましい。
蒸着用オーバーコート層14の厚さは、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
蒸着用プライマー層15は、蒸着層13に対する密着性に優れており、蒸着用プライマー層15を設ける場合は、図3に示すように、積層体10のプライマー組成物層12と蒸着層13の間に設けるのがよい。また、蒸着用プライマー層15を設けることにより、ブロッキングをより防止できる。
蒸着用プライマー層15は、以下に示す成分H−1に対し、成分H−2及び/または成分H−3を配合した2種以上の化合物より形成される。
ポリエステルポリオールは、成分P−1の説明において先に例示した共重合ポリエステル樹脂の共重合成分を調整することで、ガラス転移温度が40℃以上となるので、これを用いればよい。具体的には、芳香族ジカルボン酸などの剛直なモノマーを用いることにより、ガラス転移温度が40℃以上のポリエステルポリオールが得られる。
さらにこのポリエステルポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物を用いて鎖伸長を施したポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、成分P−1の説明において先に例示したイソシアネート化合物の中から、1種以上を選択して使用してもよい。
ガラス転移温度が40℃以上のアクリルポリオール、カーボネートポリオールとしては、成分P−3の説明において先に例示した各アクリルポリオール、カーボネートポリオールから、1種以上を選択してもよい。さらに、上述したようなポリオールの両末端の水酸基を、イソシアネート化合物を用いて鎖伸長を施したポリオールのイソシアネート伸長物を用いてもよい。イソシアネート化合物としては、成分P−1の説明において先に例示したイソシアネート化合物の中から、1種以上を選択して使用してもよい。
なお、成分H−1として、アクリルポリオールやカーボネートポリオール、またはこれらのイソシアネート伸長物を用いる場合、成分P−3と成分H−1は同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
蒸着用プライマー層15の厚さは、0.01〜50μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
なお、プライマー組成物層12上に蒸着用プライマー層15を積層させる場合は、それぞれ単独でコーティングを行っても構わないが、プライマー組成物層12が蒸着用プライマー層13よりもブロッキングしにくいことから、2ヘッドのインラインで塗工しても構わない。
接着剤層16や耐候性基材層17を形成させる方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
なお、耐候性基材とは、高温・高湿の保存環境下においても加水分解しにくい基材のことである。
接着剤層16の厚さは、0.1〜30μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
耐候性基材層17を形成する材料としては、耐候性を示すものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、などの各種ポリエステルフィルムが好ましい。
特に、エレクトロニクス分野や建装材分野など、過酷な条件での保存評価が必要となる場合でも、密着性やガスバリア性能を低下させることなく適用することができる。
なお、本発明のガスバリアフィルムは、ボイル殺菌やレトルト殺菌においても十分耐えうるものであり、食品、非食品、医薬品を問わず、従来の高温殺菌が必要な包装材料としても好適に用いることができる。
各試験例のプライマー組成物を基材層に設けたときの耐湿熱密着性についての評価を行った。なお、各試験例で用いるプライマー組成物は、表1に示す成分と溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=50/50)を混合した溶剤系のプライマー組成物である。ただし、プライマー組成物100質量部に対して溶剤が2000質量部となるように混合した。
まず、基材層としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(未処理、厚さ:12μm)または、ポリフッ化ビニル(PVF)フィルム(コロナ処理、厚さ:25μm)を用い、図6に示すように、各基材層11上に各試験例のプライマー組成物を0.3〜0.5g/m2となるようにグラビアコートにより塗布し、積層体10を作製した。
次いで、積層体10の両面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネート法により、耐候性ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(固相重合により数平均分子量を増加させた高分子量PET、厚さ:188μm)を貼り合わせ、層構成が「耐候性(PET)基材層17/接着剤層16/基材層11/プライマー組成物層12/接着剤層16/耐候性(PET)基材層17」のフィルムを得た。
以下に示す各測定・評価結果を表1に示す。
(初期におけるラミネート強度の測定)
得られたフィルムの、基材層11/プライマー組成物層12間のラミネート強度を、万能試験機(オリエンテック(株)製、「テンシロン」)を用い、クロスヘッドスピード300mm/分のT型剥離で測定した。
得られたフィルムを用い、PCT評価(加圧蒸気による促進試験)を行った。
まず、フィルムを105℃−100%相対湿度の環境下で168時間保存した。次いで、基材層11/プライマー組成物層12間のラミネート強度を、上述した方法と同様にして測定した。
(接着強度の評価)
PCT評価後の、基材層11/プライマー組成物層12間のラミネート強度を、プライマー組成物の耐湿熱密着性の評価とした。評価基準を以下に示す。
○:PCT評価後のラミネート強度が1N/15mm以上。
×:PCT評価後のラミネート強度が1N/15mm未満。
グラビアコートにより作製した積層体10をロール状態にし、ブロッキングの影響による次工程(ドライラミネート法により耐候性(PET)基材を積層体10に張り合わせる工程)の加工のしやすさをブロッキングの評価とした。評価基準を以下に示す。
○:ブロッキングが発生しない(加工しやすい。)。
△:加工時に剥離音が聞こえるが、加工できる。
×:ブロッキングが発生することで、ロールの供給ができず、加工不能。
上述した各項目(ラミネート強度の測定、剥離面の様子、ブロッキングの評価)の結果をもとに、総合評価を行った。評価基準を以下に示す。なお、△以上を合格とした。
○:全ての項目が○である。
△:いずれかの項目に△はあるが、×はない。
×:いずれかの項目に×がある。
成分P−1として、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオール(AP)を用い、成分P−2として、イソシアネート化合物(I:イソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体)を用い、成分P−1と成分P−2の質量比(固形分比)が(成分P−1)/(成分P−2)=100/60となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−1として、ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(PP)を用い、成分P−2として、イソシアネート化合物(I)を用い、成分P−1と成分P−2の質量比(固形分比)が(成分P−1)/(成分P−2)=100/20となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−1として、ガラス転移温度(Tg)=7℃のポリエステルポリオール(PP)を用い、成分P−2として、イソシアネート化合物(I)を用い、成分P−1と成分P−2の質量比(固形分比)が(成分P−1)/(成分P−2)=100/1となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
試験例3で用いたプライマー組成物において、質量比を(成分P−1)/(成分P−2)=100/25となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−1として、ガラス転移温度(Tg)=7℃のポリエステルポリオール(PP)を用い、成分P−2として、イソシアネート化合物(I)を用い、成分P−3として、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオール(AP)を用い、成分P−1、成分P−2、成分P−3の質量比(固形分比)が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=75/25/25となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物において、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=25/25/75となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−3として、ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(PP)を用いた以外は試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−3として、ガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(PP)を用い、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=25/25/75となるようにした以外は試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物において、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=75/1/25となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物において、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=75/100/25となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物において、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)=75/150/25となるように調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−2として、カルボジイミド系架橋剤(CDI:ジフェニルカルボジイミドの多官能誘導体)を用いた以外は試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−2として、チタン系架橋剤(Ti:チタニウムイソプロポキシド)を用いた以外は試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−2として、リン系架橋剤(P:リン酸トリフェニル)を用いた以外は試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
成分P−1として、ガラス転移温度(Tg)=30℃であり、かつ低結晶性(結晶化速度が遅い)のポリエステルポリオールエマルジョン(PP−e)を用い、成分P−2として、水系のウレタン用イソシアネート化合物(I−aq)を用い、成分P−3として、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオールエマルジョン(AP−e)を用いた以外は、試験例5と同様にして調整した溶剤系のプライマー組成物を用いた。
また、試験例6、8は、プライマー組成物中の成分P−1の含有量が20質量%であったため、耐湿熱密着性が低下しやすくかった。
さらに、試験例11は、樹脂成分と架橋剤成分の質量比が樹脂成分/架橋剤成分=100/150であったため、耐湿熱密着性が低下しやすくかった。
なお、樹脂成分と架橋剤成分の質量比が樹脂成分/架橋剤成分=100/1の場合(試験例3、9)は、ブロッキングが発生したため、ラミネート強度の測定及びプライマー組成物の耐湿熱密着性評価を実施することができなかった。特に試験例3は成分P−1の含有量が95質量%を超えたため、ブロッキングしやすかった。
一方、ガラス転移温度(Tg)が40℃未満のポリエステルポリオールを成分P−1として用いた場合、特にガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリオールを成分P−3として用い、かつ、樹脂成分と架橋剤成分の質量比が樹脂成分/架橋剤成分=100/25または、100/100である場合(試験例5、7、10、12〜15)は、PCT評価を行っても、基材層とプライマー組成物層とは剥離せず、耐湿熱密着性を維持することができた。
各試験例のプライマー組成物を基材層に設け、さらに多層構造としたときの耐湿熱密着性および、蒸着用プライマーの代替の可能性についての評価を行った。なお、各試験例で用いるプライマー組成物は、表2に示す成分と溶剤(トルエン/メチルエチルケトン=50/50)を混合した溶剤系のプライマー組成物である。ただし、プライマー組成物100質量部に対して溶剤が2000質量部となるように混合した。
まず、以下に示す2種類のサンプルを作製した。
(サンプル1)
基材層としてポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(未処理、厚さ:12μm)を用い、基材層上に各試験例のプライマー組成物を0.3〜0.5g/m2となるようにグラビアコートにより塗布し、積層体を作製した。
(サンプル2)
基材層としてポリエチレンテレフタタレート(PET)フィルム(未処理、厚さ:12μm)を用い、基材層上に各試験例のプライマー組成物を0.3〜0.5g/m2となるようにグラビアコートにより塗布し、積層体を作製した。さらに、プライマー組成物層上に、ガラス転移温度(Tg)=85℃のアクリルポリオール(AP;成分H−1)/イソシアネート化合物(I;成分H−2)/シランカップリング剤(SC;成分H−3)=100/55/10(固形分比)からなる蒸着用プライマー層15−1、またはガラス転移温度(Tg)=62℃のポリエステルポリオール(PP;成分H−1)/イソシアネート化合物(I;成分H−2)=100/20(固形分比)からなる蒸着用プライマー層15−2を、0.1〜0.2g/m2となるようにグラビアコートにより設けた。
次いで、基材層と蒸着用オーバーコート層の両面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネート法により、耐候性ポリエチレンテレフタレート(PET)基材(固相重合により数平均分子量を増加させた高分子量PET、厚さ:188μm)を貼り合わせ、層構成が図5に示すような「耐候性(PET)基材層17/接着剤層16/基材層11/プライマー組成物層12/蒸着層13/蒸着用オーバーコート層14/接着剤層16/耐候性(PET)基材層17」のフィルム(層構成1)と、層構成が「耐候性(PET)基材層/接着剤層/基材層/プライマー組成物層/蒸着用プライマー層/蒸着層/蒸着用オーバーコート層/接着剤層/耐候性(PET)基材層」のフィルム(層構成2)を得た。
以下に示す各測定・評価結果を表2に示す。
(初期におけるラミネート強度の測定)
得られた各フィルムの、基材層/プライマー組成物層間、または基材層/蒸着用プライマー層間のラミネート強度を、万能試験機(オリエンテック(株)製、「テンシロン」)を用い、クロスヘッドスピード300mm/分のT型剥離で測定した。
得られた各フィルムの初期における酸素及び水蒸気のバリア性を評価した。
酸素バリア性(O2);
モダンコントロール社製のモコンを用い、30℃−70%相対湿度の環境下で測定した。
水蒸気バリア性(H2O);
モダンコントロール社製のモコンを用い、40℃−90%相対湿度の環境下で測定した。
得られたフィルムを用い、PCT評価(加圧蒸気による促進試験)を行った。
まず、フィルムを、105℃−100%相対湿度の環境下で168時間保存した。次いで、基材層/プライマー組成物層間、または基材層/蒸着用プライマー層間のラミネート強度を、上述した方法と同様にして測定した。
(接着強度の評価)
PCT評価後の、基材層/プライマー組成物層間、または基材層/蒸着用プライマー層間のラミネート強度を、プライマー組成物の耐湿熱密着性の評価とした。評価基準を以下に示す。
○:PCT評価後のラミネート強度が1N/15mm以上。
×:PCT評価後のラミネート強度が1N/15mm未満。
得られたフィルムの保存環境下における酸素及び水蒸気のバリア性を、上述した方法と同様にして評価した。
初期及び保存環境下(PCT評価後)におけるガスバリア性の評価結果と、密着性の評価結果をもとに、総合評価を行った。評価基準を以下に示す。
○:酸素バリア性または水蒸気バリア性の測定結果において、PCT評価後の結果が初期の結果の10倍未満であり、ラミナート強度が1N/15mm以上。
×:酸素バリア性または水蒸気バリア性の測定結果において、PCT評価後の結果が初期の結果の10倍以上であり、ラミナート強度1N/15mm未満。
プライマー組成物を用いず、基材層上に直接蒸着用プライマー層15−1を設けたサンプルを用い、層構成2(ただし、プライマー組成物層は無し)としたフィルムを用いた。
プライマー組成物を用いず、基材層上に直接蒸着用プライマー層15−2を設けたサンプルを用い、層構成2(ただし、プライマー組成物層は無し)としたフィルムを用いた。
なお、蒸着用プライマー層15−2は、試験例2で用いたプライマー組成物に相当する。
試験例5で用いたプライマー組成物と同様のものを用い、プライマー組成物層上に蒸着用プライマー層15−1を設けたサンプル2を作製し、層構成2としたフィルムを用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物と同様のものを用い、プライマー組成物層上に蒸着用プライマー層15−2を設けたサンプル2を作製し、層構成2としたフィルムを用いた。
試験例5で用いたプライマー組成物に、さらに成分P−4としてシランカップリング剤を、質量比が(成分P−1)/(成分P−2)/(成分P−3)/(成分P−4)=75/25/25/25となるように配合したものを用いてサンプル1を作製し、層構成1としたフィルムを用いた。
試験例20で用いたプライマー組成物と同様のものを用い、プライマー組成物層上に蒸着用プライマー層15−1を設けたサンプル2を作製し、層構成2としたフィルムを用いた。
試験例20で用いたプライマー組成物と同様のものを用い、プライマー組成物層上に蒸着用プライマー層15−2を設けたサンプル2を作製し、層構成2としたフィルムを用いた。
一方、プライマー組成物を用いた場合(試験例18〜22)は、PCT評価を行っても、基材層とプライマー組成物層とは剥離せず、耐湿熱密着性やガスバリア性を維持することができた。
また、蒸着用プライマー層を用いない場合(試験例20)でも、耐湿熱密着性やガスバリア性を維持することができた。これにより、プライマー組成物層が蒸着用プライマー層と同等の効果を有することが明らかとなった。
Claims (9)
- 以下に示す成分P−1を主成分とする樹脂成分と、以下に示す成分P−2からなる架橋剤成分とを含有するプライマー組成物であって、
前記成分P−1の含有量が、当該プライマー組成物100質量%中50〜70質量%であり、かつ、前記樹脂成分と前記架橋剤成分の質量比が樹脂成分/架橋剤成分=100/5〜100/100であることを特徴とするプライマー組成物。
成分P−1:ガラス転移温度が40℃未満であるポリエステルポリオール及び/または該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物。
成分P−2:イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤成分。(ただし、R’はアルキル基であり、Mは遷移金属であり、nはMのイオンの価数である。) - 前記成分P−1が非晶性であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
- 前記樹脂成分が以下に示す成分P−3を含有し、かつ、該成分P−3と前記成分P−1との質量比が(成分P−1)/(成分P−3)=99/1〜50/50であることを特徴とする請求項1または2に記載のプライマー組成物。
成分P−3:前記成分P−1と非相溶であり、かつ、ガラス転移温度が40℃以上であるポリオール及び/または該ポリオールのイソシアネート伸長物。 - 前記ポリオールが、アクリルポリオール及び/またはカーボネートポリオールであることを特徴とする請求項3に記載のプライマー組成物。
- 以下に示す成分P−4を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプライマー組成物。
成分P−4:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、及び/または、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である。) - 請求項1〜5のいずれかに記載のプライマー組成物より形成されるプライマー組成物層を、基材層の一方の面上に積層した積層体を有し、かつ、該積層体のプライマー組成物層上に、蒸着層、蒸着層/蒸着用オーバーコート層、蒸着用プライマー層/蒸着層、蒸着用プライマー層/蒸着層/蒸着用オーバーコート層よりなる群より選ばれる1種が積層していることを特徴とするガスバリアフィルム。
ただし、蒸着層上に蒸着用オーバーコート層が積層し、蒸着用プライマー層上に蒸着層が積層するものとする。 - 前記蒸着層は、厚さが5〜300nmであり、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化インジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機酸化物より形成されることを特徴とする請求項6に記載のガスバリアフィルム。
- 前記蒸着用プライマー層が、以下に示す成分H−1に対し、以下に示す成分H−2及び/または成分H−3を配合した2種類以上の化合物より形成されることを特徴とする請求項6または7に記載のガスバリアフィルム。
成分H−1:ガラス転移温度が40℃以上であるポリエステルポリオール、該ポリエステルポリオールのイソシアネート伸長物、アクリルポリオール、該アクリルポリオールのイソシアネート伸長物、カーボネートポリオール、該カーボネートポリオールのイソシアネート伸長物よりなる群から選ばれる少なくとも1種。
成分H−2:イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、一般式M(OR’)nで示される遷移金属系化合物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤。(ただし、R’はアルキル基であり、Mは遷移金属であり、nはMのイオンの価数である)
成分H−3:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、及び/または、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である) - 前記蒸着用オーバーコート層が、以下に示す成分O−1と成分O−2とを配合した2種類以上の化合物より形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
成分O−1:水溶性高分子。
成分O−2:一般式R−Si(OR’)3で示されるオルガノシランあるいはその加水分解物、一般式M(OR’)nで示される1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種。(ただし、Rはアルキル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基よりなる群から選ばれる官能基であり、R’はアルキル基であり、Mは金属であり、nはMのイオンの価数である。)
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