JP2017114079A - バリア性フィルムおよびバリア性包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐ブロッキング性に優れたポリ塩化ビニリデン系のバリア性フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明のバリア性フィルム100は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備え、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))が1.3以下である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のバリア性フィルム100は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備え、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))が1.3以下である。
【選択図】図1
Description
本発明は、バリア性フィルムおよびバリア性包装体に関する。
バリア性フィルムとして、基材フィルム層の表面に無機物層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを設けたバリア性フィルムが知られている。
このようなバリア性フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開平08−39718号公報)に記載のものが挙げられる。
このようなバリア性フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開平08−39718号公報)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、高分子フィルム基材(A)の少なくとも片面に、無機材料の蒸着膜(B)が形成され、さらに、該蒸着膜(B)の上に、ポリ塩化ビニリデンの塗膜(C)が積層されていることを特徴とする複合蒸着フィルムが記載されている。
特許文献1には、このような複合蒸着フィルムはガスバリア性および耐屈曲疲労性が優れると記載されている。
特許文献1には、このような複合蒸着フィルムはガスバリア性および耐屈曲疲労性が優れると記載されている。
本発明者らの検討によれば、少なくともポリ塩化ビニリデン系樹脂層を備えるバリア性フィルムは、ロール状に巻回積層した状態で保管した場合等の被膜形成直後に重なったフィルムに圧力が加わった際にブロッキングが生じて巻き出しし難くなることがあることが明らかになった。すなわち、本発明者らは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備える従来のバリア性フィルムは耐ブロッキング性に劣ることを見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐ブロッキング性に優れたポリ塩化ビニリデン系のバリア性フィルムを提供するものである。
本発明によれば、以下に示すバリア性フィルムが提供される。
[1]
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムであって、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))が1.3以下であるバリア性フィルム。
[2]
上記[1]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも一方の面に基材フィルム層を有するバリア性フィルム。
[3]
上記[2]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と上記基材フィルム層との間に無機物層を有するバリア性フィルム。
[4]
上記[3]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載のバリア性フィルムにおいて、
上記基材フィルム層と上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層との間にポリエステル系接着剤層を有するバリア性フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層が、シランカップリング剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、およびアルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の接着性成分を含むバリア性フィルム。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載のバリア性フィルムから構成されているバリア性包装体。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムであって、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))が1.3以下であるバリア性フィルム。
[2]
上記[1]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも一方の面に基材フィルム層を有するバリア性フィルム。
[3]
上記[2]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と上記基材フィルム層との間に無機物層を有するバリア性フィルム。
[4]
上記[3]に記載のバリア性フィルムにおいて、
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載のバリア性フィルムにおいて、
上記基材フィルム層と上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層との間にポリエステル系接着剤層を有するバリア性フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載のバリア性フィルムにおいて、
上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層が、シランカップリング剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、およびアルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の接着性成分を含むバリア性フィルム。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載のバリア性フィルムから構成されているバリア性包装体。
本発明によれば、耐ブロッキング性に優れたポリ塩化ビニリデン系のバリア性フィルムを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
[バリア性フィルム]
図1〜3は、本発明に係る実施形態のバリア性フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係るバリア性フィルム100はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備える。そして、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))(以下、「ピーク比」とのみ表記することがある。)が1.3以下である。上記ピーク比が1.3以下であるとバリア性フィルム100の耐ブロッキング性を良好なものとすることができる。
一方、上記ピーク比の下限は特に限定されないが、取扱いの際の割れやクラックの発生を抑制でき、取扱いをより容易にできる観点から0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。上記ピーク比は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下であり、さらに好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.7以下である。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の上記ピーク比は上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化度の指標となる。赤外線スペクトルにおいて、1046cm−1近傍のピーク値(A(1046))は非晶領域を示すピーク値であり、非晶領域が大きいほどピーク値は大きくなる。一方、1070cm−1近傍の波数のピーク値(A(1070))は結晶領域を示すピーク値であり、結晶領域が大きいほどピーク値は大きくなる。したがって、上記ピーク比が小さいほど結晶化度が高く、大きければ結晶化度は低い。
図1〜3は、本発明に係る実施形態のバリア性フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係るバリア性フィルム100はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備える。そして、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))(以下、「ピーク比」とのみ表記することがある。)が1.3以下である。上記ピーク比が1.3以下であるとバリア性フィルム100の耐ブロッキング性を良好なものとすることができる。
一方、上記ピーク比の下限は特に限定されないが、取扱いの際の割れやクラックの発生を抑制でき、取扱いをより容易にできる観点から0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましい。上記ピーク比は、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下であり、さらに好ましくは0.8以下であり、特に好ましくは0.7以下である。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の上記ピーク比は上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化度の指標となる。赤外線スペクトルにおいて、1046cm−1近傍のピーク値(A(1046))は非晶領域を示すピーク値であり、非晶領域が大きいほどピーク値は大きくなる。一方、1070cm−1近傍の波数のピーク値(A(1070))は結晶領域を示すピーク値であり、結晶領域が大きいほどピーク値は大きくなる。したがって、上記ピーク比が小さいほど結晶化度が高く、大きければ結晶化度は低い。
なお、ピーク比の具体的な測定方法としては、バリア性フィルム100から1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、その表面(ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101)の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)により得ることにより、ピーク比(A(1046)/A(1070))を求める。
赤外線スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は、日本分光社製FT−IR350装置を用い、KRS−5(ThalliumBromide−Iodide)結晶を装着して、入射角45度、室温、分解能4cm−1、積算回数150回の条件で行う。
上記条件で測定することにより得られた赤外線スペクトルのチャートにおいて、1085cm−1近傍の吸光度の最小値A(1085)と1060cm−1近傍の吸光度の最小値A(1060)とを直線(N)で結び、1070cm−1近傍の吸光度の最大値から直線(N)へ垂直に下した直線を直線(O)とし、直線(O)と直線(N)との交点と、1070cm−1近傍の吸光度の最大値との距離を吸収ピーク高さA(1070)とする。
また、1030cm−1近傍の吸光度の最小値A(1030)と1060cm−1近傍の吸光度の最小値A(1060)とを直線(M)で結び、1046cm−1近傍の吸光度の最大値から直線(M)へ垂直に下した直線を直線(P)とし、直線(P)と直線(M)との交点と、1046cm−1近傍の吸光度の最大値との距離を吸収ピーク高さA(1046)とする。
本実施形態においては、特にポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類を適切に選択することや、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101に対しエージングを行うこと、当該エージングにおける加熱条件等が、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化度を制御するための因子として挙げられる。
赤外線スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は、日本分光社製FT−IR350装置を用い、KRS−5(ThalliumBromide−Iodide)結晶を装着して、入射角45度、室温、分解能4cm−1、積算回数150回の条件で行う。
上記条件で測定することにより得られた赤外線スペクトルのチャートにおいて、1085cm−1近傍の吸光度の最小値A(1085)と1060cm−1近傍の吸光度の最小値A(1060)とを直線(N)で結び、1070cm−1近傍の吸光度の最大値から直線(N)へ垂直に下した直線を直線(O)とし、直線(O)と直線(N)との交点と、1070cm−1近傍の吸光度の最大値との距離を吸収ピーク高さA(1070)とする。
また、1030cm−1近傍の吸光度の最小値A(1030)と1060cm−1近傍の吸光度の最小値A(1060)とを直線(M)で結び、1046cm−1近傍の吸光度の最大値から直線(M)へ垂直に下した直線を直線(P)とし、直線(P)と直線(M)との交点と、1046cm−1近傍の吸光度の最大値との距離を吸収ピーク高さA(1046)とする。
本実施形態においては、特にポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類を適切に選択することや、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101に対しエージングを行うこと、当該エージングにおける加熱条件等が、上記ポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化度を制御するための因子として挙げられる。
本発明者らは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のピーク比を上記上限値以下とすることにより、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムの耐ブロッキング性を良好にできることを新たに知見した。
さらに、本発明者らは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のピーク比を上記上限値以下とすることにより、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムのバリア性も向上させることができることを新たに知見した。
すなわち、本実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のピーク比を上記上限値以下とすることにより、耐ブロッキング性およびバリア性に優れたポリ塩化ビニリデン系のバリア性フィルム100を実現することができる。
この理由は明らかではないが、上記ピーク比が上記上限値以下、すなわち結晶化度が一定値以上であると、フィルム表面の分子運動性が低下してフィルム表面が硬くなるため、フィルムをロール状にし、フィルム間に圧力がかかったとしてもフィルム間が密着し難い。そのため、フィルム間でのブロッキングが抑制されると考えられる。また、ピーク比が上記上限値以下、すなわち結晶化度が一定値以上であるとより密な結晶構造を有する領域が大きいため、酸素等のガスや水蒸気が透過しにくくなりバリア性も同時に向上させることができると考えられる。
さらに、本発明者らは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のピーク比を上記上限値以下とすることにより、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムのバリア性も向上させることができることを新たに知見した。
すなわち、本実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のピーク比を上記上限値以下とすることにより、耐ブロッキング性およびバリア性に優れたポリ塩化ビニリデン系のバリア性フィルム100を実現することができる。
この理由は明らかではないが、上記ピーク比が上記上限値以下、すなわち結晶化度が一定値以上であると、フィルム表面の分子運動性が低下してフィルム表面が硬くなるため、フィルムをロール状にし、フィルム間に圧力がかかったとしてもフィルム間が密着し難い。そのため、フィルム間でのブロッキングが抑制されると考えられる。また、ピーク比が上記上限値以下、すなわち結晶化度が一定値以上であるとより密な結晶構造を有する領域が大きいため、酸素等のガスや水蒸気が透過しにくくなりバリア性も同時に向上させることができると考えられる。
(ポリ塩化ビニリデン系樹脂層)
本実施形態に係るバリア性フィルム100は、優れたバリア性能を得る観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備える。ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含む層である。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は1層のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されていてもよいし、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されていてもよい。このとき、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層はそれぞれ同じ種類のポリ塩化ビニリデン系樹脂層であってもよいし、異なる種類のポリ塩化ビニリデン系樹脂層であってもよい。
本実施形態に係るバリア性フィルム100は、優れたバリア性能を得る観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を少なくとも備える。ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含む層である。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は1層のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されていてもよいし、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されていてもよい。このとき、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層はそれぞれ同じ種類のポリ塩化ビニリデン系樹脂層であってもよいし、異なる種類のポリ塩化ビニリデン系樹脂層であってもよい。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むとは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101がポリ塩化ビニリデン系樹脂を50質量%以上含むことを意味する。ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101はポリ塩化ビニリデン系樹脂を好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上含む。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のポリ塩化ビニリデン系樹脂の含有量が上記範囲内であると、耐ブロッキング性やバリア性の性能バランスがより一層優れることとなるためである。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101のポリ塩化ビニリデン系樹脂の含有量が上記範囲内であると、耐ブロッキング性やバリア性の性能バランスがより一層優れることとなるためである。
本実施形態のポリ塩化ビニリデン系樹脂は、構成単位として、塩化ビニリデンモノマーを主に含有するものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、塩化ビニリデンの含有割合が60質量%以上100質量%未満であり、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の含有割合が0質量%を超えて40質量%以下である共重合体を例示することができる。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステルまたはシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルのような(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基を有するエチレン系α,β−不飽和カルボン酸およびその塩;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸または(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンモノメタアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール等の水酸基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、ブタジエン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、イタコン酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のその他の重合性不飽和単量体等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステルまたはシクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステルのような(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基を有するエチレン系α,β−不飽和カルボン酸およびその塩;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸または(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル;ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンモノメタアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール等の水酸基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、ブタジエン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、イタコン酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のその他の重合性不飽和単量体等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成することもできる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成することもできる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂は、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等を好ましく使用することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を溶解させる有機溶媒としては、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類に応じて適宜選択されるため特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;これらの混合溶媒;等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でもテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
これらの中でもテトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101は、基材フィルム層103や無機物層105との接着性を向上させる観点から、さらに接着性成分を含んでいてもよい。特に無機物層105として、酸化ケイ素により形成された層を用いる場合、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101と無機物層105との接着性向上の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101はさらに接着性成分を含むことが好ましい。
上記接着性成分としては、シランカップリング剤;ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性樹脂;からなる群から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
上記接着性成分としては、シランカップリング剤;ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性樹脂;からなる群から選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂とともに接着性成分を有機溶媒に溶解して得られるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を用いることにより、接着性成分を含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成することができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101に使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスは、従来公知の方法で製造することもできるが、種々の市販品を用いることもできる。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等を好ましく使用することができる。
バリア性フィルム100は、酸素バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、バリア性フィルム100において、JISK7126−2:2006に準拠し、温度20℃、湿度90%RHの条件で測定される酸素透過度は、好ましくは2.0ml/m2・day・MPa以下であり、より好ましくは1.5ml/m2・day・MPa以下であり、さらに好ましくは1.0ml/m2・day・MPa以下、さらにより好ましくは0.5ml/m2・day・MPa以下である。
このような酸素透過度は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みの調整、無機物層の付加や厚みの調整等の手段に加えて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の結晶化度を制御することにより適宜調整することができる。
このような酸素透過度は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みの調整、無機物層の付加や厚みの調整等の手段に加えて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の結晶化度を制御することにより適宜調整することができる。
バリア性フィルム100は、水蒸気バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。具体的には、バリア性フィルム100において、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される水蒸気透過度は、好ましくは1.0g/m2・day以下、より好ましくは0.5g/m2・day以下、特に好ましくは0.3g/m2・day以下である。
このような水蒸気透過度は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みの調整、無機物層の付加や厚みの調整等の手段に加えて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の結晶化度を制御することにより適宜調整することができる。
このような水蒸気透過度は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みの調整、無機物層の付加や厚みの調整等の手段に加えて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の結晶化度を制御することにより適宜調整することができる。
また、本実施形態に係るバリア性フィルム100の全体の厚みは、特に限定はされないが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101が優れたバリア性を有するためフィルムの厚さの薄膜化が可能となる。具体的には、全体の厚みが15μm以下のバリア性フィルムも可能となる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みは、バリア性、透明性、取扱い性等のバランスの観点から、バリア性フィルム100が基材フィルム層103を含まない場合は、好ましくは0.2μm以上50μm以下、より好ましくは0.5μm以上30μm以下、さらに好ましくは1μm以上20μm以下である。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の厚みは、バリア性、透明性、取扱い性等のバランスの観点から、バリア性フィルム100が基材フィルム層103を含む場合は、好ましくは0.05μm以上20μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは0.3μm以上5μm以下、さらにより好ましくは0.5μm以上3μm以下、特に好ましくは0.5μm以上1μm以下である。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の形成方法としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液により形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に積層させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性等の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法が好ましい。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の形成方法としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に積層させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、バリア性、密着性、生産性の観点から、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布し、乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する方法が好ましい。
また、上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液やポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを用いるポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法を2回以上繰り返す、または組み合わせることにより、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成することができる。
また、上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液やポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを用いるポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法を2回以上繰り返す、または組み合わせることにより、2層以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂層により構成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成することができる。
(基材フィルム層)
図2に示すように、本実施形態に係るバリア性フィルム100において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の少なくとも一方の面に基材フィルム層103がさらに積層されてもよい。
図2に示すように、本実施形態に係るバリア性フィルム100において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の少なくとも一方の面に基材フィルム層103がさらに積層されてもよい。
本実施形態の基材フィルム層103は、好ましくは熱可塑性樹脂を含むものであり、より好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、延伸性、透明性が良好な点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
これらの中でも、延伸性、透明性が良好な点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。
また、熱可塑性樹脂により形成されたフィルム状の基材は、無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。
また、基材フィルム層103の片面または両面に、無機物層105またはポリ塩化ビニリデン系樹脂層101との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、プライマーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
基材フィルム層103の厚さは、通常1μm以上200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下である。
また、基材フィルム層103の片面または両面に、無機物層105またはポリ塩化ビニリデン系樹脂層101との接着性を改良するために、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、プライマーコート処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
基材フィルム層103の厚さは、通常1μm以上200μm以下、好ましくは5μm以上150μm以下である。
(無機物層)
また、図3に示すように、バリア性フィルム100において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101と基材フィルム層103との間に、無機物層105がさらに積層されていてもよい。これにより、良好な耐ブロッキング性を維持しながら、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能をさらに向上させることができる。
本実施形態の無機物層105を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物等が挙げられる。
無機物層105を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレン、テルル等の周期表6A族元素等の単体または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、本実施形態では、周期表の族名は旧CAS式で示している。
また、図3に示すように、バリア性フィルム100において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101と基材フィルム層103との間に、無機物層105がさらに積層されていてもよい。これにより、良好な耐ブロッキング性を維持しながら、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能をさらに向上させることができる。
本実施形態の無機物層105を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物等が挙げられる。
無機物層105を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレン、テルル等の周期表6A族元素等の単体または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、本実施形態では、周期表の族名は旧CAS式で示している。
さらに、上記無機物の中でも、バリア性、コスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
無機物層105は上記無機物により形成されている。無機物層105は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層105が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層105の厚さは、バリア性、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは2nm以上300nm以下、さらに好ましくは5nm以上150nm以下である。
本実施形態において、無機物層105の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
本実施形態において、無機物層105の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
無機物層105の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等により基材フィルム層103の片面または両面に無機物層105を形成することができる。
(ポリエステル系接着剤層)
さらに、層間剥離強度を向上させるために基材フィルム層103とポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の間にポリエステル系接着剤層を設けることもできる。特にポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を基材フィルム層103上に、または基材フィルム層103表面上に設けられた無機物層105上に形成する場合には層間剥離強度の向上と安定の観点からポリエステル系接着剤層を介してポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成することが好ましい。
さらに、層間剥離強度を向上させるために基材フィルム層103とポリ塩化ビニリデン系樹脂層101の間にポリエステル系接着剤層を設けることもできる。特にポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスにより形成されたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を基材フィルム層103上に、または基材フィルム層103表面上に設けられた無機物層105上に形成する場合には層間剥離強度の向上と安定の観点からポリエステル系接着剤層を介してポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成することが好ましい。
ポリエステル系接着剤層は、例えば、ポリエステルポリオールと多価イソシアネート等の硬化剤から形成されることが好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸とポリオールとの反応により得られるポリエステルである。原料として用いられるポリオールは、分子内に少なくとも2つ以上の水酸基を有する化合物であって、例えば、低分子量ポリオール、高分子量ポリオールが挙げられる。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(C7〜C22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、アルカン−1,2−ジオール(C17〜C20)、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート等の低分子量ジオール;グリセリン、2−メチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、およびその他の脂肪族トリオール(C8〜C24)等の低分子量トリオール;テトラメチロールメタン、D−ソルビトール、キシリトール、D−マンニトール、D−マンニット等の水酸基を4個以上有する低分子量ポリオール等が挙げられる。
高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、天然油ポリオール、シリコンポリオール、フッ素ポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールの1種または2種以上、あるいは高分子量ポリオールの1種または2種以上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(C11〜C13)、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸等のカルボン酸、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物;無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2−アルキル(C12〜C18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水トリメリット酸、さらには、これらのカルボン酸等から誘導される酸ハライド;シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライド等と、の反応によって得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
本実施形態に係るポリエステル系接着剤層を形成するための硬化剤である多価イソシアネートは、分子内に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)もしくはその混合物、4,4'−トルイジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4',4''−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン等の芳香族トリイソシアネート;4,4'−ジフェニルメタン−2,2',5,5'−テトライソシアネート等の芳香族テトライソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)もしくはその混合物、ω,ω'−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)もしくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートメチルベンゼン等の芳香脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)もしくはその混合物等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、2−(3−イソシアネートプロピル)−2,6−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアネートプロピル)−2,5−ジ(イソシアネートメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−3−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、5−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)−ヘプタン、6−(2−イソシアネートエチル)−2−イソシアネートメチル−2−(3−イソシアネートプロピル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン等の脂環族トリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアネートオクタン、1,6,11−トリイソシアネートウンデカン、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアネートヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアネートメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。
これらポリイソシアネートは、単独で使用してもよく、また2種以上併用してもよい。
好ましくは、芳香族、芳香脂肪族、脂環族及び脂肪族のジイソシアネートが挙げられる。
好ましくは、芳香族、芳香脂肪族、脂環族及び脂肪族のジイソシアネートが挙げられる。
(熱融着層)
本実施形態のバリア性フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
上記熱融着層としては、熱融着層として公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層等が挙げられる。
本実施形態のバリア性フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
上記熱融着層としては、熱融着層として公知のものが使用できる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層等が挙げられる。
(その他の層)
本実施形態のバリア性フィルム100には、例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに設けてもよい。
本実施形態のバリア性フィルム100には、例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに設けてもよい。
(用途)
本実施形態のバリア性フィルム100は、例えば、バリア性能が要求される、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱パネル用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。
また、本実施形態のバリア性フィルム100はバリア性包装体を構成するバリア性フィルムとして好適に用いることもできる。本実施形態に係るバリア性包装体は、例えば、内容物を充填することを目的として使用される本実施形態のバリア性フィルム100により構成されたバリア性包装袋自体または当該袋に内容物を充填したものである。また、本実施形態に係るバリア性包装袋は用途に応じその一部にバリア性フィルム100を使用してもよいし、バリア性包装袋全体にバリア性フィルム100を使用してもよい。
本実施形態のバリア性フィルム100は、例えば、バリア性能が要求される、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱パネル用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。
また、本実施形態のバリア性フィルム100はバリア性包装体を構成するバリア性フィルムとして好適に用いることもできる。本実施形態に係るバリア性包装体は、例えば、内容物を充填することを目的として使用される本実施形態のバリア性フィルム100により構成されたバリア性包装袋自体または当該袋に内容物を充填したものである。また、本実施形態に係るバリア性包装袋は用途に応じその一部にバリア性フィルム100を使用してもよいし、バリア性包装袋全体にバリア性フィルム100を使用してもよい。
[バリア性フィルムの製造方法]
本実施形態に係るバリア性フィルム100の製造方法は、例えば、以下の工程を含んでいる。
(1)基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上にポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する工程、あるいは基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上にポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する工程
(2)得られたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を備えるフィルムをエージングし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化を促進する工程
本実施形態に係るバリア性フィルム100の製造方法は、例えば、以下の工程を含んでいる。
(1)基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上にポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶媒に溶解してなるポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する工程、あるいは基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上にポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塗布し、乾燥することによりポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を形成する工程
(2)得られたポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を備えるフィルムをエージングし、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化を促進する工程
上記(1)の工程において、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布する方法や、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを基材フィルム層103、無機物層105、またはその他の基材上に塗布する方法としては、特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。
上記(1)の工程において、塗布後の乾燥方法としては特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングドライヤー等の公知の乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。
乾燥温度は、通常50℃以上200℃以下、好ましくは70℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下であり、乾燥時間は、通常5秒以上10分間以下、好ましくは5秒以上3分間以下、より好ましくは5秒以上1分間以下である。
乾燥温度は、通常50℃以上200℃以下、好ましくは70℃以上150℃以下、より好ましくは100℃以上130℃以下であり、乾燥時間は、通常5秒以上10分間以下、好ましくは5秒以上3分間以下、より好ましくは5秒以上1分間以下である。
上記(2)の工程では、乾燥後のフィルムをオーブン等によってエージング処理を行う。例えば、上記乾燥後のフィルムを23℃でエージング処理を行うことも可能であるが、処理時間の短縮および加熱によるフィルムの毀損を防止する観点から好ましくは30℃以上60℃以下、より好ましくは35℃以上50℃以下、さらに好ましくは35℃以上45℃以下の温度条件下で行う。エージング処理の時間は温度条件によっても異なるが、好ましくは1時間以上70時間以下、より好ましくは1.5時間以上50時間以下、さらに好ましくは3時間以上50時間以下、さらにより好ましくは5時間以上50時間以下程度エージング処理を行う。このようなエージング処理によりポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化が促進され、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層101を構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化度を向上させることができる。その結果、本実施形態に係るバリア性フィルム100を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例における各評価は以下の方法で行った。
(1)ピーク比(A(1046)/A(1070))の測定
バリア性フィルムを構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂層のピーク比(A(1046)/A(1070))は、以下の方法により測定した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムから1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、その表面(ポリ塩化ビニリデン系樹脂層)の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)により得ることにより、ピーク比(A(1046)/A(1070))を求めた。
赤外線スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は日本分光社製FT−IR350装置を用い、KRS−5(ThalliumBromide−Iodide)結晶を装着して、入射角45度、室温、分解能4cm−1、積算回数150回の条件で行った。
バリア性フィルムを構成するポリ塩化ビニリデン系樹脂層のピーク比(A(1046)/A(1070))は、以下の方法により測定した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムから1cm×3cmの測定用サンプルを切り出し、その表面(ポリ塩化ビニリデン系樹脂層)の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)により得ることにより、ピーク比(A(1046)/A(1070))を求めた。
赤外線スペクトルの測定(赤外線全反射測定:ATR法)は日本分光社製FT−IR350装置を用い、KRS−5(ThalliumBromide−Iodide)結晶を装着して、入射角45度、室温、分解能4cm−1、積算回数150回の条件で行った。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度はJIS K7126−2:2006に準拠して測定した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムに対して、厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:T.U.XFCS)に接着剤(三井化学社製、タケラックA−310(商品名)/タケネートA−3(商品名)=12/1(重量比))を3.0g/m2塗布し、バリア性フィルムの基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するように積層した。
次いで、酸素透過率測定機(MOCON社製:OXTRAN2/21)を使用して、得られたバリア性フィルムの酸素透過度を温度20℃、湿度90%RHの条件で測定した。
酸素透過度はJIS K7126−2:2006に準拠して測定した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムに対して、厚さ50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:T.U.XFCS)に接着剤(三井化学社製、タケラックA−310(商品名)/タケネートA−3(商品名)=12/1(重量比))を3.0g/m2塗布し、バリア性フィルムの基材フィルム層とは反対側の表面とLLDPEフィルムの接着剤塗布面が接するように積層した。
次いで、酸素透過率測定機(MOCON社製:OXTRAN2/21)を使用して、得られたバリア性フィルムの酸素透過度を温度20℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(3)耐ブロッキング性の評価
得られたバリア性フィルムの耐ブロッキング性は以下の方法により評価した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムからサンプルのフィルムを20mm×100mmの大きさに10枚切りだし、40℃±2℃、65±10RH%の条件下で24時間以上放置した。次いで、基材フィルム層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層との双方表面が面するように10枚重ねてトルクレンチで10Nの力で締め付けた。その後、40℃に調整したオーブン内に72時間放置後、手で素早く剥離して剥離後の状態を観察した。
(評価基準)
◎:フィルムが切断せず剥離可能であり、剥離後のフィルムの表面状態も美麗で良好
○:フィルムが切断せずに剥離可能
×:剥離時にフィルムが切断
得られたバリア性フィルムの耐ブロッキング性は以下の方法により評価した。
実施例・比較例で得られたバリア性フィルムからサンプルのフィルムを20mm×100mmの大きさに10枚切りだし、40℃±2℃、65±10RH%の条件下で24時間以上放置した。次いで、基材フィルム層とポリ塩化ビニリデン系樹脂層との双方表面が面するように10枚重ねてトルクレンチで10Nの力で締め付けた。その後、40℃に調整したオーブン内に72時間放置後、手で素早く剥離して剥離後の状態を観察した。
(評価基準)
◎:フィルムが切断せず剥離可能であり、剥離後のフィルムの表面状態も美麗で良好
○:フィルムが切断せずに剥離可能
×:剥離時にフィルムが切断
(実施例1)
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが約10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成することによりバリア性フィルムを得た。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂1(旭化成社製、商品名:サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.15g/m2(乾燥後の厚み:0.10μm)になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、オーブンで90℃、30秒間乾燥させて溶媒を除去した。
さらに、ポリ塩化ビニリデン系樹脂2の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、商品名:サランラテックスL536B)を乾燥後の塗工量が1.05g/m2(乾燥後の厚み:0.65μm)なるようにメイヤーバーNo3で塗工し、オーブンで90℃、30秒間乾燥させた。
さらに、得られたフィルムについて、40℃のオーブン中で、48時間エージング処理をおこなった。
得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
基材フィルムとして、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用いた。この基材フィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが約10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成することによりバリア性フィルムを得た。
ここで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の形成方法は以下のとおりである。まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂1(旭化成社製、商品名:サランレジンF216)をトルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(重量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.15g/m2(乾燥後の厚み:0.10μm)になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、オーブンで90℃、30秒間乾燥させて溶媒を除去した。
さらに、ポリ塩化ビニリデン系樹脂2の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、商品名:サランラテックスL536B)を乾燥後の塗工量が1.05g/m2(乾燥後の厚み:0.65μm)なるようにメイヤーバーNo3で塗工し、オーブンで90℃、30秒間乾燥させた。
さらに、得られたフィルムについて、40℃のオーブン中で、48時間エージング処理をおこなった。
得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
エージング処理の条件を40℃、24時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理の条件を40℃、24時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例3)
エージング処理の条件を40℃、6時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理の条件を40℃、6時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例4)
エージング処理の条件を40℃、3時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理の条件を40℃、3時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例1)
エージング処理をおこなわなかった以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理をおこなわなかった以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例2)
エージング処理の条件を40℃、1時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理の条件を40℃、1時間とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
(比較例3)
エージング処理の条件を23℃とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
エージング処理の条件を23℃とした以外は実施例1と同様にしてバリア性フィルムを得た。得られたバリア性フィルムの評価結果を表1に示す。
実施例1〜4のバリア性フィルムは耐ブロッキング性に優れていた。また、実施例1のバリア性フィルムは耐ブロッキング性およびバリア性能のバランスに優れていることがわかった。これに対し、比較例1ではバリア性も比較的低く、ブロッキング性が明らかに劣っていた。また、比較例2については耐ブロッキング性が劣っており、比較例3ではバリア性は優れているものの耐ブロッキング性が良好でないことがわかった。
100 バリア性フィルム
101 ポリ塩化ビニリデン系樹脂層
103 基材フィルム層
105 無機物層
101 ポリ塩化ビニリデン系樹脂層
103 基材フィルム層
105 無機物層
Claims (7)
- ポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分として含むポリ塩化ビニリデン系樹脂層を少なくとも備えるバリア性フィルムであって、
前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の赤外線吸収スペクトルにおいて、1070cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1070)に対する1046cm−1の近傍の波数における吸収ピーク高さA(1046)のピーク比(A(1046)/A(1070))が1.3以下であるバリア性フィルム。 - 請求項1に記載のバリア性フィルムにおいて、
前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の少なくとも一方の面に基材フィルム層を有するバリア性フィルム。 - 請求項2に記載のバリア性フィルムにおいて、
前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と前記基材フィルム層との間に無機物層を有するバリア性フィルム。 - 請求項3に記載のバリア性フィルムにおいて、
前記無機物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性フィルム。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載のバリア性フィルムにおいて、
前記基材フィルム層と前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層との間にポリエステル系接着剤層を有するバリア性フィルム。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載のバリア性フィルムにおいて、
前記ポリ塩化ビニリデン系樹脂層が、シランカップリング剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、およびアルキッド系樹脂からなる群から選択される一種または二種以上の接着性成分を含むバリア性フィルム。 - 請求項1乃至6に記載のバリア性フィルムから構成されているバリア性包装体。
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- 2015-12-25 JP JP2015254706A patent/JP2017114079A/ja active Pending
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