JP2007176087A - 積層フィルム - Google Patents

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鉄也 岡部
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Abstract

【課題】高温で処理(特に、レトルト処理)しても、高いガスバリア性および基材フィルムに対するバリア層(又は無機質層)の高い密着性を維持できる積層フィルムを(ガスバリア性フィルム)を提供する。
【解決手段】積層フィルムを、(i)ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材フィルムと、(ii)この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム成分で構成された無機質層と、(iii)この無機質層に、シランカップリング剤(特に、エポキシ基を有するシランカップリング剤)などで構成されたアンカー層を介して形成され、かつ塩化ビニリデン系共重合体で構成されているバリア層とで構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水蒸気や酸素などに対するガスバリア性に優れ、食品などの包装フィルムなどとして好適な積層フィルム(ガスバリア性フィルム)およびその製造方法に関する。
食品、医薬品、精密電子部品などに用いられる包装フィルムは、内容物の視認性や美観性などのために、高い透明性が要求されると共に、吸湿や酸化などによる内容物の変質などを防止するため、高いガスバリア性が必要とされる。また、近年、電子レンジの普及に伴い、調理済みまたは半調理食品(以下、調理食品と総称する)が、包装されたまま電子レンジで加熱される場合がある。また、前記調理食品は、包装後にレトルト処理される場合も多い。そのため、このような包装フィルムには、レトルト処理や電子レンジでの加熱に対する耐性、特に耐熱水性が要求される。
このような包装フィルムとして、特開平1−202435号公報(特許文献1)や特開平1−202436号公報(特許文献2)には、基材フィルムの表面に、ケイ素酸化物の蒸着層と、ヒートシール層又は保護層とを形成した電子レンジ用包装材料やレトルト食品用包装材料が開示されている。これらの文献には、前記ヒートシール層は、ポリプロピレンなどのヒートシール性樹脂フィルムのラミネート層で構成され、前記保護層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのフィルムのラミネート層や、熱硬化性樹脂のコーティング層で構成できることが記載されている。しかし、このようなフィルムでは、可撓性に乏しく、ケイ素酸化物の蒸着層が破れやすいため、ガスバリア性能が低下しやすい。
また、特許第2682101号公報(特許文献3)には、透明なプラスチックフィルムからなる基材の表面に酸化アルミニウム薄膜を介して、酸化珪素薄膜を設けたことを特徴とするレトルト耐性を有する透明バリアー複合フィルムが開示されている。この文献には、酸化アルミニウム薄膜又は酸化珪素薄膜上に、接着剤層を介して、ヒートシール性を有する樹脂(未延伸ポリプロピレンなど)からなるヒートシール層を設けてもよいことが記載されている。
一方、バリア層を塩化ビニリデン系共重合体で形成した包装材料も知られている。例えば、特開平9−29884号公報(特許文献4)には、少なくとも片面に酸化アルミニウムなどの無機層を有するプラスチックフィルムと、100μm以下の厚みで水蒸気透過度が6g/(m・day)以下である有機層(ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなど)を含み、所定の処理を施したときの水蒸気透過度が特定の値以下である積層フィルムが開示されている。
また、特開平7−285191号公報(特許文献5)や特許第3219570号公報(特許文献6)には、基材フィルム層(1)の少なくとも一方の面が、透明性を有する無機質層(2)を介して、バリア性樹脂コーティング層で被覆されているとともに、このバリア性樹脂コーティング層がヒートシール層で被覆されているガスバリア性包装材料が開示されている。これらの文献には、バリア性樹脂コーティング層を、塩化ビニリデン系共重合体やエチレン−ビニルアルコール系共重合体などで構成できることが記載されている。
さらに、特開平8−309913号公報(特許文献7)には、基材フィルム層の少なくとも一方の面が、ケイ素酸化物などで構成されている無機質薄膜層を介して、シランカップリング剤を含むバリア性樹脂層で被覆されているバリア性複合フィルムが開示されている。この文献には、シランカップリング剤として、ハロゲン含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなど)、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤などを使用できることが記載されている。また、この文献では、バリア性樹脂層を構成する好ましい樹脂として、塩化ビニリデン共重合体やエチレン−ビニルアルコール共重合体を例示している。
しかし、これらの文献に記載のフィルムでは、耐熱性(特に、耐熱水性)が低く、レトルト処理などの熱処理後において、基材フィルムに対するバリア層の密着性およびガスバリア性(酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性など)が著しく低下する。
特開平1−202435号公報(特許請求の範囲) 特開平1−202436号公報(特許請求の範囲) 特許第2682101号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開平9−29884号公報(特許請求の範囲) 特開平7−285191号公報(特許請求の範囲) 特許第3219570号公報(特許請求の範囲) 特開平8−309913号公報(特許請求の範囲、段落番号[0027])
従って、本発明の目的は、優れたガスバリア性を有し、かつ高温で処理(特に、レトルト処理)しても、高いガスバリア性を維持できる積層フィルム(包装用フィルム)を提供することにある。
本発明の他の目的は、高温で処理(特に、レトルト処理)しても、基材フィルムに対するバリア層(又は無機質層)の高い密着性を維持できる積層フィルム(包装用フィルム)を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、基材フィルムと、この基材フィルムに形成された無機質層に、塩化ビニリデン系共重合体構成されたバリア層(特に、バリア性コーティング層)を、アンカー層を介して形成するとともに、前記無機質層をアルミニウム酸化物などのアルミニウム成分で構成すると、優れたガスバリア性を有し、かつ高温で処理(特に、レトルト処理)しても、高いガスバリア性を維持できる積層フィルム(包装用フィルム)が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層に、アンカー層を介して形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、(i)前記無機質層が、少なくともアルミニウム成分で構成され、かつ(ii)前記バリア層が、塩化ビニリデン系共重合体で構成されている。前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成されていてもよい。前記無機質層は、透明性を有していてもよく、少なくともアルミニウム酸化物[特に、アルミニウム酸化物およびケイ素成分(例えば、ケイ素酸化物)]で構成されていてもよい。
アンカー層は、少なくともシランカップリング剤で構成されていてもよい。このようなシランカップリング剤は、例えば、エポキシ基を有するシランカップリング剤(例えば、エポキシ基を有するアルコキシシランなど)、およびアミノ基を有するシランカップリング剤から選択された少なくとも1種で構成されていてもよい。
また、前記塩化ビニリデン系共重合体は、比較的高い融点を有しているのが好ましく、例えば、融点が135℃以上であってもよい。また、バリア層は、界面活性剤を含まない場合が多い。界面活性剤を含むことなくバリア層を形成すると、レトルト処理後などにおいて、基材フィルムとバリア層との間の密着強度(剥離強度)の低下を極力抑制できる。
代表的な本発明の積層フィルムには、(i)基材フィルムがポリアルキレンテレフタレート系樹脂で構成され、かつ無機質層が透明性を有するアルミニウム酸化物で少なくとも構成されており、(ii)アンカー層が、エポキシ基を有するジアルコキシシランおよびエポキシ基を有するトリアルコキシシランから選択された少なくとも1種で構成されており、(iii)バリア層が、融点140〜190℃の塩化ビニリデン系共重合体で構成され、かつ界面活性剤を含まない積層フィルムなどが含まれる。
本発明の積層フィルムにおいて、バリア層には、さらに延伸フィルム(特に、二軸延伸フィルム)又はヒートシール層が積層(又は形成)されていてもよい。このような二軸延伸フィルム又はヒートシール層は、通常、接着剤層(例えば、ウレタン系樹脂又はウレタン系接着剤で構成された接着剤層)を介して、バリア層に積層(又は形成)されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、熱処理(特に、レトルト処理)後においても高いレベルでフィルム特性を維持できる。例えば、本発明の積層フィルムにおいて、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき、基材フィルムに対するバリア層の剥離強度は、2N/15mm以上であってもよい。また、本発明の積層フィルムは、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき、(i)20℃および90%RHにおける酸素透過度が30ml/(m・day・MPa)以下であり、かつ(ii)40℃および90%RHにおける水蒸気透過度が3g/(m・day・atm)以下であってもよい。
本発明には、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層に、アンカー層を介してバリア層を形成する積層フィルムの製造方法であって、(i)前記無機質層を、少なくともアルミニウム成分で構成し、かつ(ii)前記バリア層を、塩化ビニリデン系共重合体で構成する積層フィルムの製造方法も含まれる。このような方法において、バリア層は、塩化ビニリデン系共重合体を含み、かつ界面活性剤を含まない溶液をアンカー層に塗布して形成してもよい。
本発明の積層フィルム(包装用フィルム)は、アルミニウム成分で構成された特定の無機質層に、アンカー層を介して特定のガスバリア性樹脂で構成されたバリア層を形成(オーバーコート)するので、優れたガスバリア性を有し、かつ高温で処理(特に、レトルト処理)しても、高いガスバリア性を維持できる。しかも、特定の無機質層と、アンカー層と、特定のガスバリア性樹脂とを組み合わせることにより、高温で処理(特に、レトルト処理)しても、基材フィルムに対するバリア層(又は無機質層)の高い密着性を維持できる。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム(又は基材フィルム層)と、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層にアンカー層を介して形成されたバリア層とで少なくとも構成されている。
[基材フィルム]
基材フィルム(基材フィルム層)を構成する樹脂としては、成膜可能な種々の樹脂、例えば、オレフィン系樹脂[例えば、ポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマーなど)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などのプロピレン含有80重量%以上のプロピレン系樹脂など)、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィンなど]、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)などのホモ又はコポリアルキレンアリレート、液晶性ポリエステルなど]、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなど)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、フッ素樹脂(ポリトリフルオロクロロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体など)、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリイミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィドなど)、セルロース系樹脂(セルロースエステル系樹脂、セロハンなど)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリル、塩酸ゴム、これらの種々のポリマーの構成成分を含む共重合体などが例示される。これらのポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
基材フィルムは単一の基材フィルムであってもよく、複数の層で構成された複合基材フィルム(例えば、紙とプラスチックとのラミネート紙、プラスチックフィルムとアルミニウム箔との積層体、プラスチック同士の積層体など)であってもよい。これらの基材フィルムを構成する樹脂のうち、例えば、オレフィン系樹脂(ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリC2−4アルキレンアリレート又はコポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂)、ポリアミド系樹脂が好ましく、特に、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート系樹脂)で構成された基材フィルムが好ましい。基材フィルムは、通常、熱可塑性樹脂で構成される場合が多い。
基材フィルムには、必要に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤(例えば、シリカ系微粉末、アルミナ系微粉末などの無機滑剤、架橋ポリエチレン系微粉末、架橋アクリル系微粉末などの架橋有機滑剤など)、炭化水素系重合体(スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェノール樹脂、ロジンとその誘導体やそれらの水添樹脂など)、ワックス類(高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸とその塩、高級脂肪酸エステル、鉱物系、植物系などの天然ワックス、ポリエチレンなどの合成ワックスなど)などを添加してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、通常、延伸(一軸又は二軸)されていてもよい。延伸フィルムとしては、通常、二軸延伸フィルムを用いる場合が多い。延伸法としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わせた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。延伸倍率は、所望するフィルムの特性に応じて適宜設定でき、例えば、少なくとも一方の方向に1.5〜20倍、好ましくは2〜15倍程度である。
基材フィルムの厚みは、包装適性、機械的強度、可撓性などを考慮して適宜選択でき、通常、5〜200μm、好ましくは7〜100μm、さらに好ましくは8〜50μm、特に、10〜30μm(例えば、10〜25μm)程度であってもよい。
なお、基材フィルムの表面には、コロナ放電やグロー放電などの放電処理、クロム酸処理などの酸処理、焔処理などの表面処理を施してもよい。
また、基材フィルム層の表面には、表面処理に代えて、又は表面処理とともに、下塗層が形成されていてもよい。下塗層は、種々の樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光線硬化性樹脂(電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂など)や、カップリング剤で構成することができる。下塗層の成分としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールなどの熱可塑性樹脂;ウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂;エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらの成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。下塗層は、汎用の染料または顔料などの着色剤を含有していてもよい。着色剤の含有量は、フィルムの透明性を損なわない範囲で適宜選択され、前記下塗層を構成する樹脂に対して、通常、1〜30重量%程度であってもよい。下塗層の厚さは、特に制限されず、通常、0.1〜5μm程度であってもよい。下塗層の形成方法は特に限定されず、前記下塗層の成分を含む有機又は水性コーティング剤を、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、リバースコーティング法、スプレーコーティング法などの慣用のコーティング法により塗布し、乾燥または硬化することによって行なわれる。なお、光硬化性樹脂を用いる場合には、活性光線を照射してもよい。
なお、本発明では、このような下塗層を形成することなく、後述する無機質層を、基材フィルムに対して直接形成してもよい。
また、基材フィルムの光線透過率は、積層フィルムの用途に応じて、透明又は不透明であってもよいが、視認性や美観性が要求される用途の積層フィルムでは、白色光線での全光線透過率が、通常、40%以上(例えば、45〜99%程度)、好ましくは60%以上(例えば、70〜98%程度)、さらに好ましくは80%以上(例えば、85〜95%程度)であってもよい。
[無機質層]
無機質層は、少なくともアルミニウム成分で構成されている。このような無機質層は、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成すればよく、基材フィルムの両面に形成してもよい。無機質層は、通常、基材フィルムの一方の面に形成する場合が多い。なお、無機質層は、透明又は不透明であってもよいが、視認性などが要求される用途の積層フィルムでは、通常、透明性を有している場合が多い。
無機質層を構成するアルミニウム成分は、薄膜(特に、透明性薄膜)を形成できる無機物であるのが好ましく、例えば、アルミニウム単体(金属単体)の他、アルミニウム元素を含む化合物(通常、無機化合物)、例えば、酸化物(アルミニウム酸化物又は酸化アルミニウム)、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などが挙げられる。アルミニウム成分は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。これらのアルミニウム成分のうち、アルミニウム単体又はアルミニウム酸化物(特に、少なくともアルミニウム酸化物)により、無機質層が形成されているのが好ましい。
前記アルミニウム成分のなかでも、酸化アルミニウムは透明性やバリア性に優れていることに加えて、緻密な薄膜を形成できるため好適に使用できる。なお、包装材料(例えば、電磁波加熱用包装材料など)においては、導電率の低いアルミニウム成分、例えば、酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などの非導電性無機物を好適に使用してもよい。好ましい非導電性アルミニウム成分には、アルミニウム酸化物(又はアルミナ)などが含まれる。
無機質層は、少なくともアルミニウム成分で構成されていればよく、アルミニウム成分単独で構成してもよく、アルミニウム成分に加えて他の無機物(金属成分)を含んでいてもよい。このような無機物(又は第2の金属成分)には、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの周期表2A族元素(金属元素);チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタルなどの遷移金属元素;亜鉛などの周期表2B族元素;ガリウム、インジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫などの周期表4B族元素;セレン、テルルなどの周期表6B族元素などの単体(金属単体)、これらの元素を含む化合物(通常、無機化合物)、例えば、酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などが挙げられる。これらの無機物は、単独で又は二種以上組合せて用いることができる。アルミニウム成分と組みあわせる好ましい無機物には、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどの周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、タンタル、ルテニウムなどの遷移金属元素;亜鉛などの周期表2B族元素;アルミニウム、インジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、錫などの周期表4B族元素;セレンなどの周期表6B族元素の単体、またはこれらを含む酸化物が含まれる。
例えば、アルミニウム成分と、周期表4B族元素(特に、ケイ素)の金属単体又はこれらの酸化物とを組みあわせてもよい。特に、無機質層を、アルミニウム成分とケイ素成分(特に、ケイ素酸化物)とを組みあわせて構成すると、高密度の無機質層を形成でき、透明性やバリア性に加えて、優れた柔軟性も付与できる。このようなアルミニウム成分とケイ素成分とで構成された無機質層が形成された基材フィルム(二元蒸着フィルム)は、例えば、東洋紡績(株)から、商品名「エコシアール」などとして入手することもできる。
なお、ケイ素酸化物には、一酸化ケイ素や、二酸化ケイ素のみならず、組成式SiOx(式中、0<x≦2、好ましくは0.8≦x≦1.5)で表されるケイ素酸化物が含まれる。
アルミニウム成分と他の無機物(ケイ素酸化物など)とを組みあわせる場合、他の無機物の割合は、アルミニウム成分100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部(例えば、10〜80重量部)、通常20〜150重量部(例えば、30〜120重量部)程度であってもよい。
無機質層の厚みは、例えば、100〜5000オングストローム(0.01〜0.5μm)、好ましくは200〜3000オングストローム(0.02〜0.3μm)、さらに好ましくは300〜1500オングストローム(0.03〜0.15μm)、特に400〜1000オングストローム(0.04〜0.1μm)程度であってもよい。
[アンカー層]
本発明では、前記アルミニウム成分で構成された無機質層と、アンカー層と、後述する特定のバリア層とを組みあわせることにより、ガスバリア性を向上できるとともに、このようなガスバリア性を、レトルト処理などの高温処理後においても高いレベルで維持できる。また、このような特定の組み合わせにより、レトルト処理などの高温処理後であっても、基材フィルムに対する無機質層の密着性および/または無機質層に対するバリア層の密着性の低下を著しく抑制できる。
アンカー層は、例えば、加水分解縮合性有機金属化合物(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の加水分解縮合性有機金属化合物)、イソシアネート基含有化合物(ウレタン系樹脂など、イソシアネート基含有モノマー又はオリゴマーなど)、イミノ基含有化合物(ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンなど)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの変性ポリオレフィンなど)、ゴム系接着剤などの成分(又は接着性成分)で構成できる。これらのアンカー層の構成成分は、単独で又は2種以上組み合わせてアンカー層を構成してもよい。
特に、アンカー層を少なくともシランカップリング剤で構成すると、高温処理に対する耐性、さらには、基材フィルムに対する無機質層の密着性および/または無機質層に対するバリア層の密着性をより一層向上できる。なお、アンカー層は、シランカップリング剤単独で構成してもよく、接着性を向上させるため、シランカップリング剤と他の成分(例えば、他のカップリング剤、イソシアネート基含有化合物、イミノ基含有化合物など)とを組み合わせて構成してもよい。
シランカップリング剤は、反応性基(又は官能基)を有する加水分解縮合性有機ケイ素化合物であればよい。すなわち、シランカップリング剤(反応性基を有する有機ケイ素化合物、有機ケイ素化合物などということがある)は、反応性基およびケイ素原子に直接結合した加水分解縮合性基を有する化合物であればよい。反応性基としては、エポキシ基、カルボキシル基又はその誘導性基(酸無水物基、酸ハライド基など)、アミノ基(置換アミノ基を含む)、イソシアネート基、メルカプト基(置換メルカプト基を含む)、チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、アルデヒド基、ケトン基、ハロゲン原子(塩素原子など)、重合性基[例えば、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロイル基など]などが挙げられる。これらの官能基は、シランカップリング剤を構成するケイ素原子に直接結合していてもよく、連結基(例えば、炭化水素基など)を介してケイ素原子に結合していてもよい。これらの官能基のうち、特定の無機質層および特定のバリア層との組み合わせにおいては、特に、エポキシ基又はアミノ基(特にエポキシ基)が好ましい。そのため、前記シランカップリング剤は、エポキシ基を有するシランカップリング剤、およびアミノ基を有するシランカップリング剤から選択された少なくとも1種(特に、エポキシ基を有するシランカップリング剤)で構成してもよい。前記シランカップリング剤は、前記官能基を1つ又は複数有していてもよく、異種又は同種の前記官能基を有していてもよい。
加水分解縮合性基としては、例えば、水素原子、ヒドロキシル基、炭化水素基が結合したエーテル基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基など)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子など)などが挙げられる。これらの加水分解縮合性基は、単独で又は2種以上組みあわせてシランカップリング剤が有していてもよい。
代表的なシランカップリング剤には、下記式(1)で表される化合物などが挙げられる。
X−(A)−Si(OR)(R)3−a (1)
[式中、Xは反応性基、Aは連結基を示し、Rは炭化水素基又は基−[(RO)−R](式中、Rはアルキレン基であり、Rは炭化水素基であり、bは1以上の整数を示す)であり、Rは水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭化水素基を示す。aは1〜3の整数、cは0又は1を示す。]
上記式(1)において、反応性基Xとしては、前記例示の反応性基、例えば、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基(又は(メタ)アクリロイルオキシ基)などが挙げられる。
前記反応性基は、連結基を介してケイ素原子に結合していてもよい。式(1)において、連結基Aとしては、二価の炭化水素基[例えば、アルキレン基(メチレン基などのアルキリデン基を含む、以下同じ)(例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などのC1−10アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基など)、アリーレン基(例えば、フェニレン基など)など]、オキシアルキレン基[例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基などのオキシC1−10アルキレン基、好ましくはオキシC2−4アルキレン基など]、イミノ基(−NH−)、イミノアルキレン基(イミノC1−10アルキレン基、好ましくはイミノC2−4アルキレン基など)、オキシアルキレンイミノアルキレン基(オキシC2−6アルキレン−イミノ−C2−6アルキレン基、好ましくはオキシC2−4アルキレン−イミノ−C2−4アルキレン基など)などが挙げられる。これらの連結基は、ヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい。連結基の数cは、0又は1であればよく、連結基の種類などに応じて適宜選択できる。
前記式(1)において、代表的なユニット[X−(A)]−としては、例えば、アルケニル基(例えば、ビニル基などのC2−4アルケニル基)、ハロアルキル基(例えば、3−クロロプロピル基などのクロロC2−4アルキル基など)、アミノアルキル基(例えば、3−アミノプロピル基などのアミノC2−4アルキル基など)、アミノアルキルアミノアルキル基(2−アミノエチルアミノプロピル基などのアミノC2−4アルキルアミノC2−4アルキル基など)、アルケニルアミノアルキル基(アリルアミノプロピル基など)、メルカプトアルキル基(例えば、3−メルカプトプロピル基などのメルカプトC2−4アルキル基)、エポキシシクロアルキルアルキル基(例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基などのエポキシC3−8シクロヘキシルC1−10アルキル基、好ましくはエポキシC5−6シクロアルキルC2−4アルキル基)、グリシジルオキシアルキル基(例えば、グリシドキシプロピル基などのグリシジルオキシC1−10アルキル基、好ましくはグリシジルオキシC2−4アルキル基)、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基など)などが挙げられる。これらの置換基は、単独で又は2種以上組み合わせて炭化水素基に置換していてもよい。
前記式(1)において、基R(及び基R)で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基などのC1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)などが例示できる。また、基−O−[(RO)−R]において、基Rで表されるアルキレン基としては、限定されないが、例えば、C2−4アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基など)などが例示でき、特に、C2−3アルキレン基が好ましい。アルキレンオキシ(RO)単位の付加数bは、1以上であればよく、例えば、1〜4、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1であってもよい。また、好ましい基−O−[(RO)−R]には、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基などのC1−4アルコキシC2−4アルコキシ基などが含まれる。
また、好ましい置換数aは、2〜3、さらに好ましくは3である。なお、置換数aが複数である場合、複数の基Rは、同一又は異なっていてもよい。
基Rで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示できる。また、基Rで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基などのC1−8アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基などのC2−6アルケニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基)などが挙げられる。これらのうち、好ましい炭化水素基(置換基を有していてもよい炭化水素基)には、アルキル基(C1−6アルキル基など)、アリール基(C6−10アリール基など)などが含まれる。
なお、基Rで表される炭化水素基は、置換基(前記反応性基など)を有していてもよい。また、置換数(3−a)が複数である場合、複数の基Rは、同一又は異なっていてもよい。
代表的な有機ケイ素化合物としては、反応性基を有するモノ乃至トリアルコキシシラン類、これらのアルコキシシラン類に対応する反応性基を有するモノ乃至トリアリールオキシシラン類(例えば、ビニルトリフェノキシシランなどのC2−4アルケニルトリC6−10アリールオキシシラン;3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリフェノキシシシランなど)、前記アルコキシシラン類に対応するモノ乃至トリハロシラン類が挙げられる。
反応性基を有するモノアルコキシシラン類としては、例えば、アルケニルジアルキルアルコキシシラン(例えば、ビニルジメチルエトキシシランなどのC2−4アルケニル−ジC1−4アルキル−C1−4アルコキシシランなど)などが挙げられる。
反応性基を有するジアルコキシシラン類としては、エポキシ基を有するジアルコキシシラン{例えば、(グリシジルオキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン[例えば、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(グリシジルオキシC2−4アルキル)C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど]など}、アミノ基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン;3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランなどの(アミノC2−4アルキルアミノ)C1−4アルキル−C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど)、メルカプト基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン)、アルケニル基を有するジアルコキシシラン[例えば、アルケニルアルキルジアルコキシシラン(例えば、ビニルジメトキシメチルシランなどのC2−4アルケニルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシラン)、ジアルケニルジアルコキシシラン(例えば、ジビニルジメトキシシランなどのジC2−4アルケニルジC1−4アルコキシシラン)など]、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するジアルコキシシラン[例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルジアルコキシシラン(例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルC1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど)など]などが挙げられる。
反応性基を有するトリアルコキシシラン類としては、ハロアルキルトリアルコキシシラン(例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、エポキシ基を有するトリアルコキシシラン{例えば、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジルオキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、エポキシシクロアルキルトリメトキシシラン[例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどのエポキシC5−8シクロアルキルC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]など}、アミノ基を有するトリアルコキシシラン(例えば、2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン;2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシランなどのN−(アミノC2−4アルキル)アミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、メルカプト基を有するトリアルコキシシラン(例えば、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン)、アルケニル基を有するトリアルコキシシラン{例えば、アルケニルトリアルコキシシラン[例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのC2−4アルケニルトリC1−4アルコキシシランなど]、アルケニルトリ(アルコキシアルコキシ)シラン[例えば、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シランなどのC2−4アルケニルトリ(C1−4アルコキシC2−4アルコキシ)シラン]など}、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するトリアルコキシシラン{例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルコキシシラン[例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリ(アルコキシアルコキシ)シラン[例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキルトリ(C1−4アルコキシC2−4アルコキシ)シランなど]、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアミノアルキルトリアルコキシシラン[例えば、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの[(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルキル]アミノC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]など}などが挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのシランカップリング剤のうち、エポキシ基を有するアルコキシシラン、特に、エポキシ基を有するジアルコキシシラン[例えば、(グリシジルオキシC2−4アルキル)C1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど]、エポキシ基を有するトリアルコキシシラン[例えば、グリシジルオキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]などが好ましい。
なお、アンカー層は、前記のように、シランカップリング剤と、他の加水分解縮合性有機金属化合物{例えば、反応性基を有しない加水分解縮合性有機ケイ素化合物、加水分解縮合性非ケイ素系有機金属化合物[例えば、有機アルミニウム化合物(例えば、トリメトキシアルミネートなどのトリアルコキシアルミネート)、有機チタン化合物(例えば、ジエチルジエトキシチタネートなどのジアルコキシチタネート類;トリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネートなどのトリアルコキシチタネート類;テトラメトキシチタネートなどのテトラアルコキシチタネート類など)など]など}などの他の成分とで構成してもよい。
反応性基を有しない加水分解縮合性有機ケイ素化合物としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシランなどのジC1−4アルキルジC1−4アルコキシシランなど)、ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシランなどのジC6−10アリールジC1−4アルコキシシランなど)、アルキルトリアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシランなどのC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシランなどのC6−10アリールトリC1−4アルコキシシランなど)、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシランなど)、テトラアリールオキシシラン(例えば、テトラフェノキシシランなどのテトラC6−10アリールオキシシランなど)、これらの部分加水分解縮合物(又はオリゴマー)などが挙げられる。
これらの他の加水分解縮合性有機金属化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。他の加水分解縮合性有機金属化合物を含む場合、他の加水分解縮合性有機金属化合物の割合は、シランカップリング剤100重量部に対して、例えば、1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部程度であってもよい。
なお、アンカー層は、後述するように、アンカー層の構成成分(特に、少なくともシランカップリング剤)で構成された塗布液又は塗布剤を無機質層(基材フィルムに形成された無機質層)に塗布することにより好適に形成できる。
アンカー層の厚み(又は塗布量)は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.1〜1μm(例えば、0.15〜0.5μm)程度であってもよい。
[バリア層]
バリア層は、塩化ビニリデン系共重合体で構成されている。塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデンと共重合性単量体(他の共重合性モノマー)との共重合体である。
このような共重合性単量体としては、例えば、ハロゲン化ビニル類(例えば、塩化ビニルなど)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪族カルボン酸ビニルエステル)、α,β−不飽和カルボン酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのC1−20アルキル−(メタ)アクリレート;シクロヘキシルメタクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのα,β−脂肪族不飽和カルボン酸エステル類)、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのC2−6オレフィンなど)、ジエン系単量体(例えば、イソプレン、ブタジエン、クロロブタジエンなど)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル)、アリルエーテル類(アリルグリシジルエーテルなど)、シアン化ビニル類(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど)、(メタ)アクリルアミド類(例えば、(メタ)アクリルアミドなど)、スチレン系単量体(例えば、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレンなど)、不飽和カルボン酸(例えば、クロトン酸、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸など)、不飽和ジカルボン酸のモノ又はジエステル(マレイン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステルなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
共重合性単量体は、上記共重合性単量体のうち、塩化ビニル、脂肪族カルボン酸ビニルエステル(酢酸ビニルなど)(メタ)アクリル酸アルキルエステル[特に、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのC1−10アルキル−アクリレート;メチルメタクリレートなど]、アクリロニトリル、およびスチレン系単量体(特に、スチレン)から選択された少なくとも1種で構成する場合が多い。
塩化ビニリデン系共重合体において、塩化ビニリデンの割合は、モノマー全体(塩化ビニリデンおよび共重合性単量体の総量)に対して、50〜99.5重量%(例えば、70〜99重量%)の範囲から選択でき、例えば、80〜99重量%、好ましくは82〜98.5重量%、さらに好ましくは85〜98重量%(例えば、87〜97重量%)程度であってもよい。
塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量は、50000〜300000程度の範囲から選択でき、例えば、60000〜200000、好ましくは70000〜150000、さらに好ましくは80000〜130000程度であってもよい。
また、塩化ビニリデン系重合体の融点は、100℃以上(例えば、105〜250℃程度)の範囲から選択でき、例えば、110℃以上(例えば、115〜200℃程度)、好ましくは120℃以上(例えば、120〜180℃程度)であってもよい
特に、本発明では、125℃以上(例えば、130〜200℃程度)、好ましくは135℃以上(例えば、140〜190℃程度)、好ましくは145℃以上(例えば、150〜180℃程度)の融点を有する塩化ビニリデン系共重合体を好適に用いることができる。比較的高い融点(例えば、135℃以上の融点)を有する塩化ビニリデン系共重合体と、前記アルミニウム成分およびアンカー層(特にシランカップリング剤)との組み合わせの効果により、耐熱水性(特に、耐レトルト性)をより一層向上できる。
なお、塩化ビニリデン系共重合体は、分子量や塩化ビニリデン含量の異なる塩化ビニリデン系共重合体の混合物であってもよい。例えば、塩化ビニリデン系共重合体は、比較的小さい重量平均分子量を有する塩化ビニリデン系共重合体(1)と、比較的大きい重量平均分子量を有する塩化ビニリデン系共重合体(2)とを任意の割合で混合した混合物であってもよい。このような異なる塩化ビニリデン系共重合体を組み合わせることにより、前記重量平均分子量や融点を調整してもよい。
なお、バリア層は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、塩化ビニリデン系共重合体以外のバリア性樹脂[例えば、ビニルアルコール系重合体(エチレンビニルアルコール共重合体など)など]を含んでいてもよい。
バリア層は、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤など)、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤(エポキシ系安定剤など)、滑剤(流動パラフィンなどのワックス、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類など)、界面活性剤、顔料、充填剤(フィラー)、フッ素含有化合物(例えば、フッ素含有樹脂)、結晶核剤(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、界面活性剤は、熱処理(特にレトルト処理)後において、基材フィルム(又は無機質層)とバリア層との密着性を低下させる場合があるため、バリア層は界面活性剤を含まないのが好ましい。このような界面活性剤を含まないバリア層は、後述するように、塩化ビニリデン系共重合体を含む溶液を無機質層上に塗布することにより効率よく形成できる。すなわち、このような溶液を用いてバリア層を形成すると、界面活性剤を使用しなくてもバリア層を形成でき、耐熱水性(耐レトルト性)をより一層効率よく高めることができる。
また、バリア層は、シランカップリング剤(前記例示の化合物など)を含んでいてもよい。本発明では、アンカー層にシランカップリング剤を含有させるので、バリア層がシランカップリング剤を含有していなくても、効率よく耐熱水性を高めることができる。さらに、バリア層は、接着性を向上させる観点から、塩化ビニリデン系共重合体に加えて、架橋剤[例えば、カップリング剤(前記例示のシランカップリング剤など)、ジアルデヒド化合物、ジカルボン酸化合物、ジイミド化合物(カルボジイミドなど)、ポリイソシアネート化合物(ジイソシアネート化合物など)、オキサゾリン化合物、ジルコニウム化合物、ヒドラジン系架橋剤など]を含んでいてもよい。これらの架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。架橋剤を併用することにより、より一層耐熱水性を向上させることができる。
バリア層の厚み(又は塗布量)は、0.01〜20μm(例えば、0.1〜10μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さらに好ましくは0.5〜2μm程度であってもよい。
また、アンカー層とバリア層との重量比は、例えば、前者/後者=0.3/99.7〜30/70(例えば、0.4/99.6〜40/60)、好ましくは0.5/99.5〜10/90(例えば、0.6/99.4〜8/92)、さらに好ましくは0.7/99.3〜5/95(例えば、1/99〜5/95)程度であってもよい。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムと前記無機質層と前記アンカー層を介して形成されたバリア層とで少なくとも構成されていればよく、さらに他のフィルム又は層が積層又は形成されてもよい。このような他のフィルム又は層としては、例えば、延伸フィルム(延伸フィルム層)、ヒートシール層などが挙げられる。
[延伸フィルム]
本発明の積層フィルムでは、積層フィルムの強度などを高めるため、さらに延伸フィルムが積層(又は)されていてもよい。このような延伸フィルムは、通常、少なくともバリア層(又はバリア層側の面)に積層してもよい。なお、後述するように、延伸フィルム(延伸フィルム層)は、通常、バリア層に、接着剤層を介して形成(又は積層)してもよい。
延伸フィルムを構成する樹脂としては、前記基材フィルムの項で例示の樹脂[例えば、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート系樹脂など)、ポリアミド系樹脂など]などが挙げられる。
延伸フィルムとしては、例えば、一軸又は二軸延伸処理されたフィルム、通常、二軸延伸フィルムを用いる場合が多い。延伸法としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わせた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。延伸倍率は、所望するフィルムの特性に応じて適宜設定でき、例えば、少なくとも一方の方向に1.5〜20倍、好ましくは2〜15倍程度であってもよい。
延伸フィルムの厚みは、例えば、1〜70μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm程度であってもよい。
[ヒートシール層]
本発明の積層フィルムは、袋体を容易に形成するため、さらにヒートシール層を形成してもよい。このようなヒートシール層は、バリア層(又はバリア層側の面)に形成してもよく、基材フィルムの他方の面(無機質層が形成されていない面)に形成してもよく、これらを組みあわせてもよい。ヒートシール層を形成する場合、通常、少なくともバリア層(又はバリア層側の面)にヒートシール層を形成する場合が多い。なお、後述するように、ヒートシール層は、通常、バリア層に、接着剤層を介して形成(又は積層)してもよい。
ヒートシール層を構成するポリマー(又はシーラント)としては、熱接合性ポリマー(ヒートシール性ポリマー)、例えば、オレフィン系ポリマー、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ゴム系ポリマーなどが挙げられる。これらの熱接合性ポリマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ヒートシール性オレフィン系ポリマーとしては、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレンや無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィンなどが挙げられる。好ましいオレフィン系ポリマーには、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、非晶質ポリオレフィン(例えば、アモルファスポリプロピレンなど)、エチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。ラミネートによりヒートシール層を形成する場合、好ましい熱接合性ポリマー(フィルム)には、無延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸エチレン−プロピレン共重合体フィルムなどが含まれる。
ヒートシール性ポリエステルには、非晶性ポリエステル、例えば、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸および非対称芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸など)から選択された少なくとも1つのジカルボン酸と、必要により対称構造の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)とを構成成分とする脂肪族ポリエステルなどが含まれる。また、ヒートシール性ポリアミドとしては、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/12などが挙げられる。ゴム系ポリマーには、例えば、ブチルゴム、イソブチレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが含まれる。
ヒートシール層の厚みは、積層フィルムの用途などに応じて、例えば、10〜200μm程度の範囲で適宜選択でき、フィルムのラミネートによりヒートシール層を形成する場合には、例えば、20〜150μm、好ましくは30〜120μm程度であってもよい。
ヒートシール層は、バリア層の表面の所定の部位、例えば、ヒートシールに供される部位に形成すればよいが、バリア層の表面全体に形成する場合が多い。また、ヒートシール層は、前記のように、基材フィルムの他方の面のヒートシール部位又は全体に形成してもよい。なお、ヒートシール層は、必要に応じて、前記添加剤を含んでいてもよい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、前記のように、基材フィルムと、無機質層と、アンカー層と、バリア層と、必要に応じて延伸フィルム又はヒートシール層とで構成でき、用途にもよるが、通常、透明性を有していてもよい。なお、積層フィルムは、バリア層と延伸フィルム又はヒートシール層との間や、基材フィルムと延伸フィルム又はヒートシール層との間などに、アンカーコート層(接着剤層)を形成してもよい。
積層フィルム全体の厚みは、例えば、12〜300μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜150μm(例えば、40〜120μm)程度であってもよい。
なお、バリア層(又はバリア層側の面)に延伸フィルム又はヒートシール層を形成する場合、延伸フィルム又はヒートシール層は、通常、バリア層に、接着剤層を介して形成してもよい。接着剤層(すなわち、バリア層と延伸フィルム又はヒートシール層との間の接着剤層)を構成する接着成分(例えば、接着性樹脂)としては、例えば、ウレタン系樹脂(イソシアネート基含有ポリマーなど)、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンなど)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの変性ポリオレフィンなど)、ゴム系接着剤などが挙げられる。これらのうち、好ましい接着成分(接着剤)には、ウレタン系樹脂(ウレタン系接着剤)などが挙げられる。これらの接着成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。接着剤層の厚みは、0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜8μm程度であってもよい。
本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)は、耐熱性(特に、耐熱水性)が高く、前記のように、熱処理後(ボイル処理、レトルト処理など、特にレトルト処理後)においても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性が高い。
例えば、本発明の積層フィルムにおいて、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理した後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度は、1N/15mm以上(例えば、1.5〜15N/15mm程度)の範囲から選択でき、例えば、2N/15mm以上(例えば、2.3〜10N/15mm程度)、好ましくは2.5N/15mm以上(例えば、2.7〜12N/15mm程度)、さらに好ましくは3N/15mm以上(例えば、3.2〜10N/15mm程度)であってもよい。なお、上記のように数値化できず、フィルムの破断を伴う場合があり、このような破断を伴う場合にも一定の高い剥離強度を有すると判断することができる。
なお、前記剥離強度の測定方法は、バリア層の密着性(基材フィルムに対する密着性)を直接的又は間接的に測定できる限り特に限定されないが、例えば、延伸フィルム又はヒートシール層を形成した積層フィルムにおいて、基材フィルムと延伸フィルム又はヒートシール層との剥離強度(ラミネート強度)を測定してもよい。
また、本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)において、例えば、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき(又は処理した後)の酸素透過度(単位:ml/(m・day・MPa))は、温度20℃、湿度90%RH雰囲気下で、30以下(例えば、1〜25)、好ましくは25以下(例えば、2〜20)、さらに好ましくは18以下(例えば、5〜15)程度である。なお、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理する前の酸素透過度(単位ml/(m・day・MPa))と、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき(又は処理した後)の酸素透過度(単位ml/(m・day・MPa))との差[すなわち、(前記処理前の酸素透過度)−(前記処理後の酸素透過度)]は、温度20℃、湿度90%RH雰囲気下で、30以下(例えば、0〜20)、好ましくは20以下(例えば、1〜18)、さらに好ましくは15以下(例えば、2〜13)程度である。
さらに、本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)において、例えば、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき(又は処理した後)の水蒸気透過度(単位:g/(m・day・atm))は、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下で、3以下(例えば、0.1〜2.5)、好ましくは2以下(例えば、0.2〜1.8)、さらに好ましくは1.6以下(例えば、0.3〜1.5)程度である。なお、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理する前の水蒸気透過度(単位:g/(m・day・atm))と、温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき(又は処理した後)の水蒸気透過度(単位:g/(m・day・atm))との差[すなわち、(前記処理前の水蒸気透過度)−(前記処理後の水蒸気透過度)]は、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下で、2.5以下(例えば、0〜2)、好ましくは1.5以下(例えば、0.1〜1.2)、さらに好ましくは1以下(例えば、0.2〜0.8)程度である。
また、前記積層フィルムは、透明性にも優れ、例えば、ヘイズが10%以下(例えば、1〜10%)、好ましくは9%以下(例えば、1〜9%)、さらに好ましくは8%以下(例えば、1〜8%)程度であってもよい。
なお、本発明の積層フィルムには、フィルムの種類、用途に応じて、種々のコーティング層やラミネート層、例えば、滑性層、帯電防止層、装飾用印刷フィルム層や、ナイロンフィルムなどによる補強層、紫外線遮断層などが形成されていてもよい。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)は、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層に、アンカー層を介してバリア層を形成することにより製造できる。詳細には、本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、前記無機質層を形成し、この無機質層に前記アンカー層を介して前記バリア層を形成し、さらに必要に応じてこのバリア層(及び/又は前記基材フィルムの他方の面)に前記ヒートシール層を形成することにより製造できる。
無機質層は、慣用の方法、例えば、物理的方法(真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法など)、化学的方法(CVD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法など)により、基材フィルムの表面を、前記無機物で被覆することにより形成できる。無機質層は蒸着などの物理的方法により形成する場合が多く、無機質層は基材フィルム層の一方の面又は両面に形成できる。
アンカー層は、無機質層上に形成できる。アンカー層は、通常、前記アンカー層の構成成分(特に、少なくともシランカップリング剤)で構成された塗布剤(アンカーコート形成用塗布剤)を無機質層(基材フィルムに形成された無機質層)に塗布することにより形成できる。塗布剤(又は塗布液)は、構成成分(例えば、シランカップリング剤)が液状である場合には、無溶媒の状態であってもよいが、通常、アンカー層の構成成分[例えば、シランカップリング剤(および他の加水分解縮合性有機金属化合物)]と、溶媒とで塗布液を構成してもよい。
溶媒としては、アンカー層の構成成分(特に、シランカップリング剤)を溶解(又は分散)可能であれば特に限定されず、例えば、アルコール類[メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルカノール類;エチレングリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル類など]、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類)、エステル類(メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテートなどのアセテート類など)、エーテル類(プロピルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、水などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
溶媒を含む塗布液において、シランカップリング剤の割合は、塗布液全体の0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度であってもよい。
なお、前記塗布剤又は塗布液において、シランカップリング剤は、通常、部分的に加水分解されていてもよい。このような部分加水分解縮合物は、シランカップリング剤の縮合物であってもよく、シランカップリング剤との前記他の加水分解縮合性化合物との縮合物であってもよい。シランカップリング剤の加水分解縮合反応(部分加水分解縮合反応)は、慣用の方法、例えば、塗布液を非加温下又は加温[例えば、30〜90℃、好ましくは30〜80℃、さらに好ましくは30〜70℃(例えば、35〜60℃)程度で加温]下で適当な時間(例えば、10分〜2日、好ましくは20分〜1日程度)反応させて行ってもよい。なお、加水分解縮合反応は、加水分解触媒[例えば、無機酸(塩酸、リン酸、ポリリン酸、硝酸など)などの酸触媒など]の存在下で行ってもよい。このような加水分解触媒は、前記塗布液に混合することができる。
塗布液(特に、シランカップリング剤の少なくとも一部の加水分解縮合が進行した塗布液)の塗布方法としては、特に制限されず、慣用の方法、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法、これらを組み合わせた方法などが採用できる。なお、前記塗布液を塗布した後、例えば、適当な温度(例えば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃程度)で乾燥してもよい。
バリア層(バリア性コーティング層)は、前記アンカー層(アンカー層上)に形成できればよく、通常、バリア層の構成成分(すなわち、少なくとも塩化ビニリデン系共重合体)を含む塗布液(コーティング液、バリア層用塗布液)をアンカー層に塗布することにより形成できる。このようなコーティング液は、溶媒を含む溶液又は分散液のいずれの形態であってもよく、特に、溶液(特に、界面活性剤を含まない溶液)の形態であってもよい。このような溶液を用いると、界面活性剤を含まない塗布液(詳細には、塩化ビニリデン系共重合体を含み、かつ界面活性剤を含まない溶液)であっても、効率よくバリア層を形成できるため、密着性の低下などを極力抑制してバリア層を形成できる。
バリア層用塗布液において、溶媒としては、塩化ビニリデン系共重合体の種類や溶媒の形態(溶液など)などに応じて適宜選択でき、塩化ビニリデン系共重合体に対する良溶媒及び/又は貧溶媒(特に、少なくとも良溶媒)、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(テトラメチレンスルホキサイドなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルカノール類;エチレングリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール類など)、N−メチルピロリドン、N−ホルミルヘキサメチレンイミンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
バリア層用塗布液において、固形分の割合は、塗布液全体の0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%程度であってもよい。
塗布液は、アンカー層の場合と同様の慣用の塗布方法により形成できる。そして、前記塗布液を塗布した後、例えば、適当な温度(例えば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃程度)で乾燥することにより、バリア層(バリア性コーティング層)を形成してもよい。また、バリア層を形成した後、所定の温度(例えば、25〜110℃、好ましくは35〜100℃、さらに好ましくは40〜90℃程度)で所定時間[例えば、12時間以上(例えば、1〜20日程度)、好ましくは2日以上(例えば、2〜15日程度)、さらに好ましくは3日以上(例えば、3〜10日程度)]に亘りエージング処理してもよい。
なお、前記バリア層の表面には、ヒートシール層の有無に拘らず、必要に応じて、前記基材フィルムの項で例示した慣用の表面処理を施してもよく、表面処理を施すことなく部分的又は全面に前記接着層や保護層を形成してもよい。このような接着層や保護層は、慣用の方法(例えば、塗布法など)により形成でき、塗布法により形成する場合には、前記と同様に乾燥やエージング処理を行ってもよい。
また、延伸フィルム又はヒートシール層は、慣用の方法、例えば、ドライラミネート法、押出しラミネート法、塗布法などにより形成できる。延伸フィルム又はヒートシール層を基材フィルムの他方の面に形成する場合には、前記と同様の方法により、基材フィルムに接着剤層を形成した後、延伸フィルム又はヒートシール層を形成することもできる。
本発明の積層フィルム(包装材料)は、前記のように、高いガスバリア性および高い密着性を有しているとともに、熱処理後(特に、レトルト処理後)においても、これらの特性を高いレベルで維持している。そのため、本発明の積層フィルムは、電子レンジ用食品、レトルト食品、冷凍食品、マイクロ波殺菌、フレーババリア、医薬品、精密電子部品などの各種包装用材料や、風船などのバルーン形成材料などとして好適に用いることができる。また、食品などを包装しても、内容物の劣化や変質を抑制しつつ、長期間に亘り保存できる。
本発明の積層フィルムを用いた包装体の形態は、特に制限されないが、例えば、ハンバーグ、シューマイ、ギョーザなどの固形物の包装袋、カレー、スープ、コーヒー、紅茶などの液状物の包装袋として用いることができる。これらの食品を収容した包装袋は、そのまま、レトルト処理又は電子レンジ加熱できる。また、酒パックなどの紙製容器の内袋として使用すると、電子レンジ加熱などにより、内容物を加熱できる。
また、本発明の積層フィルム(包装材料)による包装形態としては、袋、カップ、チューブ、スタンディングバック、トレイなどの容器、フタ材や、酒、醤油、みりん、油、牛乳、ジュースなどを収容する紙パックの内貼り材などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、「TSL8350」)1重量部と、溶媒(水/メタノール(重量比)=1/1の混合溶媒)99重量部とを混合し、20℃、24時間の条件下で加水分解縮合(部分加水分解縮合)反応させ、コーティング液(1)を調製した。
得られたコーティング液(1)を、0.2g/m(乾燥重量)の塗布量で、アルミナ−シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「エコシアール VE100」、12μm)の蒸着層側に塗布し、熱風乾燥機(TABAI製 PHH−100)を用いて、100℃で30秒間乾燥し、アンカー層を形成した。そして、アンカー層上に、融点152℃の塩化ビニリデン系共重合体(旭化成(株)製、「R204」)を30重量%の割合で含む溶液(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン(重量比)=7/3の混合溶液)を、1.0g/m(乾燥重量)の塗布量で塗布し、熱風乾燥機(TABAI製 PHH−100)を用いて、120℃で60秒間乾燥したのち、エージング処理(60℃で10日間)を行い、バリア層を形成した。さらに、形成されたバリア層上に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、「TM−250HV/CAT−RT86L−60」)と酢酸エチルとを前者/後者(重量比)=15/2.05の割合で含むラミネート剤(不揮発分35重量%)を、2.5g/m(乾燥重量)の厚みで塗布し、80℃で30秒間乾燥し、延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、「パイレン P1153」、50μm)をドライラミネートしたのち、40℃で2日間エージング処理し、積層フィルムを作製した。なお、塩化ビニリデン系共重合体の融点(溶点)は、示差走査熱分析装置((株)島津製作所製、DSC−60A)を用いて、昇温条件10℃/分で測定した。
(実施例2)
実施例1において、アルミナ−シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「E5100」)上に、圧力3×10Paの条件で酸化アルミニウムを30nmの厚みで蒸着した透明蒸着フィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例3)
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、「TSL8340」)1重量部と、溶媒(水/メタノール(重量比)=1/1の混合溶媒)99重量部とを混合し、20℃、24時間の条件下で加水分解縮合(部分加水分解縮合)反応させ、コーティング液(2)を調製した。
実施例1において、コーティング液(1)に代えて、調製したコーティング液(2)を使用する以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(実施例4)
実施例2において、コーティング液(1)に代えて、実施例3で調製したコーティング液(2)を使用する以外は、実施例2と同様にして、積層フィルムを得た。
(実施例5)
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、「TSL8355」)1重量部と、溶媒(水/イソプロパノール(重量比)=1/1の混合溶媒)99重量部とを混合し、20℃、24時間の条件下で加水分解縮合(部分加水分解縮合)反応させ、コーティング液(3)を調製した。
実施例1において、コーティング液(1)に代えて、調製したコーティング液(3)を使用する以外は、実施例1と同様にして、積層フィルムを得た。
(比較例1)
シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業(株)製 「MOS−TB」、12μm)の蒸着層側に、塩化ビニリデン系共重合体(旭化成(株)製、「R204」)と、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、「TSL8350」)とを前者/後者(重量比)=100/5の割合で含む溶液(テトラヒドロフラン/メチルエチルケトン(重量比)=7/3の混合溶液、固形分30重量%)を、1.0g/m(乾燥重量)の塗布量で塗布し、熱風乾燥機(TABAI製 PHH−100)を用いて、120℃で60秒間乾燥したのち、エージング処理(60℃、10日間)を行い、バリア層を形成した。さらに、形成されたバリア層上に、ウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、「TM−250HV/CAT−RT86L−60」)と酢酸エチルとを前者/後者(重量比)=15/2.05の割合で含むラミネート剤(不揮発分35重量%)を、2.5g/m(乾燥重量)の厚みで塗布し、80℃で30秒間乾燥し、延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、「パイレン P1153」、50μm)をドライラミネートしたのち、40℃で2日間エージング処理し、積層フィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1において、アルミナ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業(株)製 「MOS−TB」、12μm)を使用した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例3)
比較例1において、シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、アルミナ−シリカ系蒸着透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「エコシアール VE100」、12μm)を使用した以外は比較例1と同様にして積層フィルムを得た。
実施例および比較例において、以下に示す基材フィルムおよび得られた積層フィルムの各種特性を測定した。なお、下記特性は、初期(未処理)、ゲルボフレックス処理後、ボイル処理後およびレトルト処理後のフィルム(基材フィルムおよび積層フィルム)について測定した。
実施例および比較例で得られた積層フィルムのバリア層(コーティング層)の剥離強度(単位:N/15mm)、酸素透過度(単位:ml/(m・day・MPa))、および水蒸気透過度(単位:g/(m・day・atm))を、それぞれ、以下の方法により測定した。なお、これらの特性(剥離強度、酸素透過度、水蒸気透過度)は、初期(未処理)、ボイル処理後、レトルト処理後、およびゲルボフレックス処理後のそれぞれにおいて測定した。
また、比較のため、実施例および比較例で使用した金属蒸着フィルム単独(原紙)での剥離強度、酸素透過度および水蒸気透過度も測定した。
[剥離強度]
実施例および比較例で得られたそれぞれの積層フィルムにおいて、基材フィルムと、無延伸ポリプロピレンフィルムとの剥離強度をテンシロン(ORIENTEC(株)製、「RTM−100」)を用いて、T字剥離で、300mm/分の引張速度における剥離強度(ラミネート強度)をサンプル幅15mmにて測定し、バリア層の剥離強度(密着強度)とした。
[酸素透過度(O2−TR)]
ASTMD−3985に従って、酸素透過率測定装置(モコン(MOCON)社製、「OX−TRAN2/20 SH MODULE」)を用いて酸素透過度(酸素透過率)を測定した。測定条件は、20℃、相対湿度90%RHである。
[水蒸気透過度(WV−TR)]
ASTMD−895−79に従って、水蒸気透過率測定装置(モコン(MOCON)社製、「PERMATRAN−W MODEL3/30」)を用いて水蒸気透過度(水蒸気透過率)を測定した。測定条件は、40℃、相対湿度90%RHである。
なお、基材フィルムおよび積層フィルムの各種処理(ボイル処理、レトルト処理、ゲルボフレックス処理)は以下のようにして行った。
(ボイル処理)
熱水処理器(ASONE製 「OB−200SA」)を用いて、90℃の熱水に30分浸し、ボイル処理を行った。
(レトルト処理)
レトルト処理器(平山製作所製 「HP−15/AS−15」)を用いて、125℃の熱水に30分浸し、レトルト処理を行った。
(ゲルボフレックス処理)
ゲルボフレックステスター(理学工業製)を用いて、100回ゲルボフレックス処理を行った。
結果を表1に示す。なお、表1において、「原紙」とは実施例および比較例で使用した金属蒸着フィルムを意味する。
Figure 2007176087
表1の結果から明らかなように、実施例の積層フィルムは、熱処理後(特にレトルト処理後)において、酸素バリア性および水蒸気バリア性が高く、しかも、熱処理しても、基材フィルムとバリア層との密着性を高いレベルで維持できる。これに対して、比較例のフィルムでは、熱処理後、これらの特性が著しく低下した。特に、比較例3に見られるように、アルミナ系の蒸着フィルムに、シランカップリング剤を含むバリア層を形成しても、熱処理後(特にレトルト処理後)の基材フィルムとバリア層との密着性、酸素バリア性および水蒸気バリア性が低下することがわかった。

Claims (14)

  1. 基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層に、アンカー層を介して形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、(i)前記無機質層が少なくともアルミニウム成分で構成され、かつ(ii)前記バリア層が塩化ビニリデン系共重合体で構成されている積層フィルム。
  2. 基材フィルムが、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  3. 無機質層が透明性を有し、かつ少なくともアルミニウム酸化物で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  4. 無機質層が透明性を有し、かつアルミニウム酸化物およびケイ素酸化物で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  5. アンカー層が少なくともシランカップリング剤で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  6. シランカップリング剤が、エポキシ基を有するシランカップリング剤、およびアミノ基を有するシランカップリング剤から選択された少なくとも1種で構成されている請求項5記載の積層フィルム。
  7. 塩化ビニリデン系共重合体の融点が135℃以上である請求項1記載の積層フィルム。
  8. バリア層が、界面活性剤を含まない請求項1記載の積層フィルム。
  9. (i)基材フィルムがポリアルキレンテレフタレート系樹脂で構成され、かつ無機質層が透明性を有するアルミニウム酸化物で少なくとも構成されており、(ii)アンカー層が、エポキシ基を有するジアルコキシシランおよびエポキシ基を有するトリアルコキシシランから選択された少なくとも1種で構成されており、(iii)バリア層が、融点140〜190℃の塩化ビニリデン系共重合体で構成され、かつ界面活性剤を含まない請求項1記載の積層フィルム。
  10. バリア層に、接着剤層を介して、さらに、二軸延伸フィルム又はヒートシール層が積層されている請求項1記載の積層フィルム。
  11. 温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき、基材フィルムに対するバリア層の剥離強度が、2N/15mm以上である請求項1記載の積層フィルム。
  12. 温度120℃の熱水で30分間レトルト処理したとき、(i)20℃および90%RHにおける酸素透過度が30ml/(m・day・MPa)以下であり、かつ(ii)40℃および90%RHにおける水蒸気透過度が3g/(m・day・atm)以下である請求項1記載の積層フィルム。
  13. 基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層に、アンカー層を介してバリア層を形成する積層フィルムの製造方法であって、(i)前記無機質層を、少なくともアルミニウム成分で構成し、かつ(ii)前記バリア層を、塩化ビニリデン系共重合体で構成する請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
  14. バリア層を、塩化ビニリデン系共重合体を含み、かつ界面活性剤を含まない溶液をアンカー層に塗布して形成する請求項13記載の積層フィルムの製造方法。
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