JP4857483B2 - レトルト用パウチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト用パウチに関し、更に詳しくは、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化によりその製造コストの低減化を図り、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料品、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト用パウチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチックフィルム、金属箔、セロハン、その他等の1種ないし2種以上を積層して積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して袋状容器本体を製造し、しかる後、該袋状容器本体に所望の飲食品等を充填包装し、次いで、該包装半製品を、110℃〜130℃で30〜50分間程度加圧加熱殺菌処理を施して、種々の形態からなるレトルト食品が製造されている。
而して、上記の袋状容器本体を構成する積層材としては、具体的には、例えば、透明仕様のレトルト用パウチを製造する積層材としては、例えば、厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの2層からなる積層材、あるいは、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材等が知られている。
また、バリア性仕様のレトルト用パウチを製造する積層材としては、例えば、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ7〜9μmのアルミニウム箔と厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材、あるいは、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ7〜9μmのアルミニウム箔と厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの4層からなる積層材等が知られている。
更に、バリア性を有し、かつ、透明仕様のレトルト用パウチを製造する積層材としては、例えば、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムと厚さ10〜20μmのポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材、あるいは、厚さ15μmの2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムと厚さ10〜20μmのポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムと厚さ50〜80μmの無延伸ポリプロピレンフィルムとの3層からなる積層材等が知られている。
上記の構成からなる積層材は、物理的にも化学的にも優れた強度を有し、更に、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れ、現在、大半のレトルト食品が、上記の仕様からなる積層材を製袋して製造される袋状容器本体を使用して製造されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような仕様からなる積層材において、バリア性素材として、アルミニウム箔等の金属箔を使用する場合には、優れたバリア性を有すると共に遮光性等を有するので極めて有用なものであるが、アルミニウム箔等の金属箔は、耐屈曲性等に欠けることから、ピンホ−ルが発生し易く、そのバリア性を著しく損なうという問題点があり、更に、包装用容器として使用後、これをゴミとして廃棄処理する場合、例えば、焼却処理等により廃棄処理すると、アルミニウム等の金属が残り、焼却炉を損傷し兼ねず、その廃棄処理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環境適性等にも欠けるという問題点がある。
また、バリア性素材として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムを使用する場合には、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性において、所期の効果を有するものであるが、包装用容器として使用後、これをゴミとして廃棄処理する場合、例えば、焼却処理等により廃棄処理すると、塩素原子を含有していることから、焼却廃棄時に、例えば、ダイオキシン等の有毒ガス等を発生する原因となり、人体等への影響が懸念されるために、廃棄処理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環境適性等にも欠けるという問題点がある。
更に、上記のような積層材において、バリア性素材としてのポリ塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、膜厚が厚く、また、アルミニウム箔等の金属箔は、膜厚が厚く、かつ、重量があり、容器・包装ごみの軽量化、減量化等に欠けるという問題点もある。
そこで本発明は、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化によりその製造コストの低減化を図り、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料品、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト用パウチを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材およびそれを中使いすることに着目し、まず、少なくとも、基材フィルムと、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、ヒ−トシ−ル性樹脂層とを順次に積層して積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して袋状容器本体を製造し、しかる後、該袋状容器本体に所望の飲食品等を充填包装して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位、時間、20〜60分間位の条件で加熱加圧殺菌処理等のレトルト処理を施してレトルト食品を製造したところ、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化等によりその製造コストの低減化を図り、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料品、飲料品、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト用パウチを製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、少なくとも、基材フィルムと、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、ヒ−トシ−ル性樹脂層とを順次に積層した積層材を製袋してなることを特徴とするレトルト用パウチに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、上記の本発明にかかるレトルト用パウチについて図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材の層構成についてその一二を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材についてその一二例の層構成を示す概略的断面図であり、図3および図4は、図1に示す積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明にかかるレトルト用パウチについてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【0007】
まず、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材Aとしては、図1に示すように、少なくとも、基材フィルム1と、樹脂フィルム2の一方の面に無機酸化物の蒸着膜3とガスバリア性塗布膜4とを設けたバリア性基材5と、ヒ−トシ−ル性樹脂層6とを順次に積層した構成からなることを基本構造とするものである。
而して、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材について、具体例を例示すると、図2に示すように、少なくとも、基材フィルム1と、樹脂フィルム2の一方の面に無機酸化物の蒸着膜3とガスバリア性塗布膜4とを設けたバリア性基材5と、ヒ−トシ−ル性樹脂層6とを、ラミネ−ト用接着剤層7、7aを介してドライラミネ−ト積層した構成からなる積層材A1 を例示することができる。
【0008】
上記の例示は、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材についてその一二例を例示したものであり、本発明は、これに限定されるものではないものである。
例えば、図示しないが、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材としては、少なくとも、基材フィルムと、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、ヒ−トシ−ル性樹脂層とを順次に積層する際には、ドライラミネ−ト積層方式で積層することが望ましいものである。
また、図示しないが、本発明において、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材としては、少なくとも、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材を積層する際には、該バリア性基材を構成するガスバリア性塗布膜の面に、密接着性を高め、その積層強度等を向上させるために、予め、プライマ−剤等によるプライマ−剤層等を設け、次いで、基材フィルム、あるいは、ヒ−トシ−ル性樹脂層等を積層して積層材を製造することもできるものである。
更に、例えば、本発明においては、図示しないが、更に、その使用目的、用途等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態からなる積層材を設計して製造することができるものである。
更に、本発明においては、図示しないが、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材を積層する場合、該バリア性基材を構成するガスバリア性塗布膜の面は、基材フィルムの面、または、ヒ−トシ−ル性樹脂層の面のいずれの面にも対向させて積層することができるものである。
更にまた、例えば、図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の一層からなる単層膜のみならず無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる多層膜等から構成することもできるものである。
【0009】
次に、本発明において、上記のような積層材を使用し、これを製袋して製造する本発明にかかるレトルト用パウチについてその一例を例示して説明すると、かかる本発明にかかるレトルト用パウチとしては、例えば、上記の図1に示す積層材Aを使用して製袋したレトルト用パウチを例示して説明すると、図3に示すように、上記の積層材A、Aを2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性樹脂層6、6の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部8、8、8を形成すると共にその上方に開口部9を設けて、三方シ−ル型の袋状容器本体Bを製造する。
而して、本発明においては、図4に示すように、上記で製造した三方シ−ル型の袋状容器本体Bの開口部9から、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、飲料水、その他等の所望の飲食品等の内容物10を充填し、次いで、上方の開口部9をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部11等を形成して包装半製品Cを製造し、しかる後、該包装半製品Cを、例えば、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理等を施して、種々の形態からなるレトルト食品Dを製造することができるものである。
なお、本発明においては、本発明にかかるレトルト用パウチとしては、上記に図示した例示のパウチ形状に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、三方シ−ル型、自立性型、ガゼット型、角底型、その他等の種々の形態からなる袋状容器本体を製造することができることは言うまでもないことである。
また、本発明においては、上記の図2等に示す積層材を使用し、上記と同様に本発明にかかるレトルト用パウチを製造し得ることができるものである。
【0010】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する素材、材料、製造法等について説明すると、まず、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材において、該積層材を構成する基材フィルムとしては、これらがレトルト用パウチを構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、その強度に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
更に、本発明において、 基材フィルムとしては、特に、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、または、2軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルを使用することが好ましいものである。
【0011】
而して、本発明においては、上記の基材フィルムの片面には、例えば、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、上記の基材フィルムの片面に、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができるものである。
【0012】
上記において、インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノ−ル系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0013】
次に、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材において、該積層材を構成するバリア性基材を形成する樹脂フィルムとしては、これらがレトルト用パウチを構成する基本素材ないし補助素材となること、更に、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等を保持する基材であること等から、まず、製袋時における加熱、作業性、その他等に対する耐熱性、滑り性、耐ピンホ−ル性、その他等の諸物性に優れ、更に、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等の形成条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持し得ることができること、その他等の条件を充足し得る各種の樹脂フィルムを使用することができる。
本発明において、上記の樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明においては、上記の樹脂フィルムの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0014】
本発明において、上記の各種の樹脂フィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、上記の各種の樹脂フィルムの膜厚としては、6〜200μm位、より好ましくは、9〜100μm位が望ましい。
【0015】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0016】
また、本発明において、各種の樹脂フィルムの表面は、無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂フィルムの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層、その他等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0017】
次に、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材において、該積層材を構成するバリア性基材を形成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、まず、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して樹脂フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0018】
而して、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または、金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜4000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または、金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0019】
次に、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜を形成する方法についてその具体例を挙げると、図5は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図5に示すように、巻き取り式真空蒸着装置21の真空チャンバ−22の中で、巻き出しロ−ル23から繰り出す樹脂フィルム24は、ガイドロ−ル25、26を介して、冷却したコ−ティングドラム27に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム27上に案内された樹脂フィルム24の上に、るつぼ28で熱せられた蒸着源29、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口30より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク31、31を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化するものである。
次いで、本発明においては、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂フィルム24をガイドロ−ル32、33等を介して巻き取りロ−ル34等に巻き取って、本発明にかかる無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム24を製造することができる。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0020】
次にまた、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法等により形成することができ、具体的には、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて形成することができる。
更に具体的には、樹脂フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0021】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図6は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図6に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置41の真空チャンバ−42内に配置された巻き出しロ−ル43から樹脂フィルム44を繰り出し、更に、該樹脂フィルム44を、補助ロ−ル45を介して所定の速度で冷却・電極ドラム46周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置47、48および、原料揮発供給装置49等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル50を通して真空チャンバ−42内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム46周面上に搬送された樹脂フィルム44の上に、グロ−放電プラズマ51によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム46は、チャンバ−外に配置されている電源52から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム46の近傍には、マグネット53を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂フィルム44ををガイドロ−ル54等を介して巻き取りロ−ル55等に巻き取って、本発明にかかる無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルムを製造することができる。
なお、図中、56は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0022】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、樹脂フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の樹脂フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0023】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより樹脂フィルムの表面が、清浄化され、樹脂フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と樹脂フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、樹脂フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0024】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、樹脂フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0025】
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、樹脂フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0026】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0027】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0028】
次に、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材において、該積層材を構成するバリア性基材を形成するガスバリア性塗布膜について説明すると、かかるガスバリア性塗布膜としては、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂〔以下(A)成分という。〕と、一般式R1 m M(OR2 n ・・・・(1)(式中、Mは、金属原子を表し、R1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種〔以下(B)成分という。〕とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を使用することができるものである。
上記において、ガスバリア性組成物中には、含窒素有機溶剤を含有することが好ましく、また、無機微粒子〔以下(C)成分という。〕を含有することも好ましいものである。
また、上記において、(B)成分としては、(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解した後、(A)成分と混合してガスバリア性組成物を調製することができるものである。
【0029】
上記のガスバリア性組成物において、(A)成分を構成するポリビニルアルコ−ル系樹脂としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコール系共重合体の群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。
上記(A)成分のうち、ポリビニルアルコールは、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものである。
このポリビニルアルコールとしては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコールでも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコールでもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
また、(A)成分のうち、エチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものであり、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%である。
上記エチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
【0030】
以上の(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂のメルトフローインデックスは、210℃、荷重21.168N条件下で、1〜20g/10分、好ましくは1〜18g/10分である。
これらの(A)を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは、2種以上を混合して用いることもできる。
また、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、それ自体、ガスバリア性、耐候性、耐有機溶剤性、透明性、熱処理後のガスバリア性などに優れる。
加えて、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、本発明のガスバリア性組成物から得られる塗膜を硬化させる際に、ポリビニルアルコールに由来する繰り返し単位中に存在する水酸基が、後記(B)成分および/また(C)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらすことができる。
本発明のガスバリア性組成物における(A)成分の割合は、後記(B)成分100重量部に対し、10〜10,000重量部、好ましくは、20〜5,000重量部、さらに好ましくは、100〜1,000重量部である。
10重量部未満では、得られる塗膜にクラックが入りやすく、ガスバリア性が低下し、一方、10,000重量部を超えると、得られる塗膜が高湿度下ではガスバリア性が低下して好ましくないものである。
【0031】
次に、本発明に用いられる(B)成分としては、上記の一般式(1)で表される、金属アルコレート、該金属アルコレートの加水分解物、該金属アルコレートの縮合物、該金属アルコレートのキレート化合物、該キレート化合物の加水分解物および金属アシレートの群から選ばれた少なくとも1種を使用することができ、而して、(B)成分としては、その1種だけでもよいし、任意の2種以上の混合物であってもよい。
なお、上記の金属アルコレートの加水分解物としては、金属アルコレートに含まれるOR2 がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、上記の金属アルコレートの縮合物は、金属アルコレートの加水分解物のM−OH基が縮合してM−O−M結合を形成したものであるが、本発明では、M−OH基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のM−OH基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
さらに、上記の金属アルコレートのキレート化合物は、金属アルコレートと、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸エステル、ケトアルコールおよびアミノアルコールから選ばれる少なくとも1種の化合物との反応で得られる。
これらの化合物の中でも、β−ジケトン類またはβ−ケトエステル類を用いることが好ましく、これらの具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。
また、上記のキレート化合物の加水分解物は、上記の金属アルコレートの加水分解物と同様に、キレート化合物に含まれるOR2 基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
本発明において、(B)成分は、(A)成分との共縮合体を形成する作用をなすものと考えられる。
【0032】
上記の一般式(1)における、Mで表される金属原子としては、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムを好ましいものとして挙げることができ、特に好ましくはチタンである。
1 の炭素数1〜8の1価の有機基は、一般式(1)で表される化合物が金属アルコレートである場合と金属アシレートである場合とで異なる。
金属アルコレートである場合には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。
ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
また、金属アシレートである場合には、R1 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、アセトキシル基、プロピオニロキシル基、ブチリロキシル基、バレリロキシル基、ベンゾイルオキシル基、トリオイルオキシル基などのアシルオキシル基を挙げることができる。
一般式(1)中に、R1 が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0033】
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0034】
これらの(B)成分のうち、金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物の具体例としては、
(イ).テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウム化合物;
【0035】
(ロ).テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジヒドロキシチタンラクテート、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタニウムなどのチタン化合物;
【0036】
(ハ).トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
これらの金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物のうち好ましいものとしては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムおよびトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムを挙げることができ、特に好ましい化合物はジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウムなどのチタン化合物である。
【0037】
また、金属アシレートの具体例としては、ジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテート、ジ−i−プロポキシ・チタンジプロピオネート、ジ−i−プロポキシ・チタンジマロニエート、ジ−i−プロポキシ・チタンジベンゾイレート、ジ−n−ブトキシ・ジルコニウムジアセテート、ジ−i−プロピルアルミニウムモノマロニエートなどを挙げることができ、特に好ましい化合物はジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテートなどのチタン化合物である。
これらの(B)成分は、1種単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0038】
(B)成分としては、コーティング液の粘度経時変化がなく、扱いやすくなるため、後述の親水性溶媒中に記載されている水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したものを用いることが好ましい。
この場合、水の使用量は、一般式R1 m M(OR2 n (1)で表される化合物1モルに対し、0.1〜1000モル、好ましくは、0.5〜500モルである。
また、混合溶媒の場合、水と親水性有機溶媒の配合割合は、水/親水性有機溶媒=10〜90/90〜10(重量比)、好ましくは、30〜70/70〜30、更に、好ましくは、40〜60/60〜40である。
【0039】
次に、本発明のガスバリア組成物としては、(C)成分である無機微粒子を含有することが好ましい。
上記の無機微粒子は、平均粒子径が0.2μm以下の実質的に炭素原子を含まない粒子状無機物質であり、金属またはケイ素酸化物、金属またはケイ素窒化物、金属ホウ化物が挙げられる。
無機微粒子の製造方法は、例えば、酸化ケイ素を得るには四塩化ケイ素を酸素と水素の炎中での加水分解により得る気相法、ケイ酸ソーダのイオン交換により得る液相法、シリカゲルのミルなどによる粉砕より得る固相法などの製造方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0040】
具体的な化合物例としては、SiO2 、Al23、TiO2、WO3、Fe23、ZnO、NiO、RuO2、CdO、SnO2、Bi23、3Al23・2SiO2、Sn−In23、Sb−In23、CoFeOxなどの酸化物、Si34 、Fe4N、AlN、TiN、ZrN、TaNなどの窒化物、Ti2B、ZrB2 、TaB2、W2Bなどのホウ化物が挙げられる。
また、無機微粒子の形態は、粉体、水または有機溶剤に分散したコロイドもしくはゾルが挙げられるが、これらは限定されるものではない。
これらの中で、(A)成分および/または(B)成分と共縮合することで優れた塗膜性能を得るために、好ましくは、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、アルミナゾル、スズゾル、ジルコニウムゾル、五酸化アンチモンゾル、酸化セリウムゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化チタンゾルなどの粒子表面に水酸基が存在するコロイド状酸化物が用いられる。
無機微粒子の平均粒子径は、0.2μm以下、好ましくは、0.1μm以下であり、平均粒径が0.2μmを超えると、膜の緻密性の観点からガスバリア性が劣る場合がある。
【0041】
(C)成分の本発明の組成物中の割合は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは、10〜900重量部、特に好ましくは、20〜400重量部である。
上記において、900重量部を超えると、得られる塗膜のガスバリア性が低下する場合がある。
【0042】
次に、本発明においては、本発明のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜をより速く硬化させる目的と、(A)成分と(B)成分との共縮合体を形成させ易くする目的で(D)硬化促進剤を使用してもよく、比較的低い温度での硬化と、より緻密な塗膜を得るために、この(D)硬化促進剤を併用する方が効果的である。
【0043】
上記の(D)硬化促進剤としては、塩酸などの無機酸;ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、
Figure 0004857483
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
Figure 0004857483
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0044】
(C492SnO、(C8172SnO、または(C492SnO、(C8 172SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメ チル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。
これらの(D)硬化促進剤のガスバリア性組成物中における割合は、本発明のガスバリア性組成物の固形分100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部用いられる。
【0045】
さらに、本発明のガスバリア性組成物には、安定性向上剤として、先に挙げたβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類を添加することができる。
すなわち、上記の(B)成分としてガスバリア性組成物中に存在する上記の金属アルコレート中の金属原子に配位することにより、(A)成分と(B)成分との縮合反応をコントロールする作用をし、得られるガスバリア性組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。
β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の使用量は、上記(B)成分における金属原子1モルに対し、好ましくは2モル以上、さらに好ましくは、3〜20モルである。
【0046】
本発明のガスバリア性組成物は、通常、上記(A)〜(D)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で溶解、分散することによって得られる。
ここで、親水性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコールまたは2価アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族のエーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の2価アルコールのエステル化合物;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒);ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸、サリチル酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸エステルなどを挙げることができる。これらのうち、好ましいものとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒)を挙げることができる。
【0047】
これらの水および/または親水性有機溶媒は、水と親水性有機溶媒とを混合して用いられることがより好ましい。
好ましい溶媒の組成としては、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール、水/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
さらに好ましくは、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
含窒素有機溶媒を混合することで、薄膜でのコーティングにおいて外観が透明で良好な塗膜が得られる。
【0048】
水および/または親水性有機溶媒の使用量は、ガスバリア性組成物の全固形分濃度が好ましくは60重量%以下となるように用いられる。
例えば、薄膜形成を目的に用いられる場合には、通常、5〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%であり、また厚膜形成を目的に使用する場合には、通常、20〜50重量%、好ましくは、30〜45重量%である。
ガスバリア性組成物の全固形分濃度が60重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
また、上記含窒素有機溶媒の割合は、溶媒全量中に、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0049】
なお、有機溶媒としては、上記の水および/または親水性有機溶媒が好ましいが、親水性有機溶媒以外に、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類なども使用できる。
【0050】
このように、本発明のガスバリア性組成物は、上記(A)〜(B)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で混合することによって得られ、好ましくは上記(A)成分と(B)成分、必要に応じて(C)成分を、水および/または親水性有機溶媒中で、加水分解および/または縮合することによって得られる。
この際、反応条件は、温度は20〜100℃、好ましくは30〜80℃、時間は0.1〜20時間、好ましくは1〜10時間である。
得られるガスバリア性組成物の重量平均分子量は、一般的なGPC法によるポリメチルメタクリレート換算値で、通常、500〜100万、好ましくは1,000〜30万である。
【0051】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。
ただし、充填材は、上記(C)成分を除く。
充填材としては、例えば、有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。
この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントイエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0052】
これらの充填材の平均粒径または平均長さは、通常、50〜50,000nm、好ましくは100〜5,000nmである。
充填材の組成物中の割合は、充填材以外の成分の全固形分100重量部に対し、好ましくは、0.1〜300重量部、さらに好ましくは、1〜200重量部である。
【0053】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、そのほか、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種の界面活性剤、上記以外の、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を配合することもできる。
【0054】
本発明のガスバリア性組成物を調製するに際しては、上記(A)〜(B)成分、好ましくは(A)〜(C)成分を含有する組成物を調製すればよいが、好ましくは、上記(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したのち、(A)成分を混合する。
このようにすると、ガスバリア性組成物の経時的な粘度変化がなく、取り扱い性に優れたガスバリア性組成物が得られる。
(C)成分を用いる場合の本発明のガスバリア性組成物の調製方法の具体例としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
これらの調製方法において用いられる(B)成分は、水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中であらかじめ加水分解したものを用いてもよい。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加し、加水分解および/または縮合する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(B)成分に、(C)成分を添加し、加水分解および/または縮合を行ない、そののちに(A)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に(A)〜(C)成分を一括添加し、溶解・分散する方法。または、そののちに加水分解および/または縮合を行う方法。
【0055】
而して、本発明においては、上記で調製したガスバリア性組成物を使用し、これを、前述の無機酸化物の蒸着膜の上に塗布することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの塗装手段により、1回あるいは複数回の塗装で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μmの本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができ、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、密着性等を高めるために、プライマ−剤等を塗布することもできるものである。
【0056】
次に、本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材において、その積層材を形成するヒ−トシ−ル性樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシ−トあるいはその塗布膜等を使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トは、単層ないし多層で使用することができ、また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位、好ましくは、10μm〜110μm位が望ましい。
更に、本発明において、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、レトルト用パウチの製袋時において、バリア性基材を構成する無機酸化物の蒸着膜に、擦り傷、あるいは、クラック等を発生するすることを防止するために、比較的に、その膜厚を厚くすることが好ましく、具体的には、40μm〜110μm位、望ましくは、50μm〜100μm位であることが好ましいものである。
なお、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ50μm〜100μm位の無延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましいものである。
また、本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層を積層する積層方式としては、ラミネ−ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネ−ト積層方式、あるいは、アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層方式等により、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層することができる。
【0057】
ところで、通常、包装用袋は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用袋を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トを任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0058】
特に、本発明において、その他の基材としては、例えば、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0059】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネ−ト法、ドライラミネ−ト法、無溶剤ラミネ−ト法、押出ラミネ−ト法、共押出ラミネ−ト法、インフレ−ションラミネ−ト法、その他の積層法等で行うことができる。
具体的には、本発明においては、少なくとも、基材フィルムと、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、ヒ−トシ−ル性樹脂層とを、ラミネ−ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネ−ト積層方式等により、積層材を形成することができる。
更に具体的には、本発明においては、基材フィルムの一方の面に、ラミネ−ト用接着剤層等を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層等の面に、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材を重ね合わせて、その両者を、ラミネ−ト用接着剤層等を介して、ドライラミネ−ト積層し、次いで、上記でラミネ−ト積層したバリア性基材の面に、上記と同様に、ラミネ−ト用接着剤層等を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層等の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層を対向させて重ね合わせて、その両者を、ラミネ−ト用接着剤層等を介して、ドライラミネ−ト積層して、種々の形態からなる積層材を製造することができる。
【0060】
なお、本発明においては、前述のように、少なくとも、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材のガスバリア性塗布膜の面に、密接着性を高め、その積層強度等を向上させるために、予め、プライマ−剤等によるプライマ−剤層等を設け、次いで、他の基材等を積層することもできるものである。
また、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理等の前処理を任意に施すことができる。
更に、本発明において、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材は、そのガスバリア性塗布膜の面を、基材フィルムの面、または、ヒ−トシ−ル性樹脂層の面のいずれの面に対向させて積層してもよいものであるが、好ましくは、基材フィルムの面に対向させて積層する場合には、積層加工、製袋加工、充填包装加工、レトルト処理加工等の後処理において、比較的に、バリア性基材を構成する無機酸化物の蒸着膜にクラック等の発生を防止し得ることから望ましいものである。
而して、本発明において、上記のような積層方式において、上記のドライラミネ−ト積層方式による場合には、比較的に、後述するレトルト処理等における処理条件等に耐える積層強度を有する積層材を製造し得ることができることから好ましいものである。
【0061】
上記のドライラミネ−ト積層方式において、ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シ−ト状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
而して、上記の接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
なお、本発明において、ドライラミネ−ト積層方式による積層を行う場合には、その積層表面に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、あるいは、プラズマ放電処理等の表面改質前処理を任意に施すことがてきるものである。
【0062】
なお、本発明においては、前述のように、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材のガスバリア性塗布膜の面に、密接着性を高め、その積層強度等を向上させるために、予め、プライマ−剤等によるプライマ−剤層等を設け、次いで、他のヒ−トシ−ル性樹脂層等を積層することもできるものである。
而して、本発明において、上記のプライマ−剤層としては、まず、ポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂をビヒクルの主成分とし、該ポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂1〜30重量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合して樹脂組成物を調製する。
而して、上記で調製した樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、前述のバリア性基材を構成するガスバリア性塗布膜の上にコ−ティングし、しかる後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。
なお、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、例えば、0.1g/m2 〜5.0g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
而して、本発明においては、上記のようなプライマ−剤層により、その密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0063】
上記において、上記の樹脂組成物を構成するポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官能イソシアネ−トとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、トリレンジイソシアナ−ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソシアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシアナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアクリレ−トポリオ−ル、その他等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液ないし二液硬化型のポリウレタン系樹脂を使用することができる。
而して、本発明において、上記のようなポリウレタン系樹脂を使用することにより、その密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0064】
また、上記において、上記の樹脂組成物を構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、例えば、テレフタル酸等のベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸の一種またはそれ以上と、飽和二価アルコ−ルの一種またはそれ以上との重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。 上記において、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエ−テル−4、4−ジカルボン酸、その他等を使用することができる。
また、上記において、飽和二価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ドデカメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、2.2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオ−ル、その他の芳香族ジオ−等を使用することができる。
【0065】
本発明において、上記のポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とテトラメチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸と1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とエチレングリコ−ルと1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとプロピレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリエステルポリオ−ル樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、上記のようなベンゼン核を基本骨格とする飽和芳香族ジカルボン酸に、更に、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸の一種ないしそれ以上を添加して共重縮合することもでき、その使用量としては、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸に対し、1〜10重量%位を添加して使用することが好ましい。
而して、本発明において、上記のようなポリエステル系樹脂を使用することにより、その密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0066】
次にまた、上記において、上記の樹脂組成物を構成するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマ−類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
【0067】
上記のようなシランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、または、アセトキシ基等が加水分解し、シラノ−ル基(SiOH)を形成し、これが、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等を構成する金属、あるいは、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等の表面上の活性な基、例えば、水酸基等の官能基と何らかの作用により、例えば、脱水縮合反応等の反応を起こして、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等の表面上にシランカップリング剤が共有結合等で修飾され、更に、シラノ−ル基自体の無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等の表面に吸着や水素結合等により強固な結合を形成する。
他方、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、あるいは、メルカプト等の有機官能基が、そのシランカップリング剤の薄膜の上に形成される、例えば、接着剤層、その他の層等を構成する物質と反応して強固な結合を形成し、強固に密接着して、そのラミネ−ト強度を高め、このようにして、本発明においては、ラミネ−ト強度の高い強固な積層構造を形成可能とするものである。
本発明においては、シランカップリング剤が有する無機性と有機性とを利用し、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等と、接着剤層、アンカ−コ−ト剤層、その他等の層を介して、他の基材等との密接着性を向上させ、これにより、そのラミネ−ト強度等を高めるものである。
【0068】
次に、本発明において、上記の樹脂組成物を構成する充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末、その他等のものを使用することができる。
而して、上記の充填剤は、上記の樹脂組成物液の粘度等を調製し、そのコ−ティング適性を向上させると共にバインダ−樹脂としてのポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂とシランカップリング剤を介して結合し、コ−ティング膜の凝集力を向上させるものである。
【0069】
なお、本発明においては、上記のプライマ−剤層としては、前述の樹脂組成物によるコ−ティング膜からなるプライマ−剤層の他に、更に、例えば、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用してプライマ−剤層を形成することができる。
なお、本発明においては、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングしてプライマ−剤層を構成するコ−ティング膜を形成することができ、而して、そのコ−ティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
而して、本発明において、プライマ−剤層としては、上記のポリウレン系樹脂またはポリエステル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるプライマ−剤層を使用することが最も有効なものである。
【0070】
次に、本発明において、上記の積層材を使用して製造する袋状容器本体について説明すると、かかる袋状容器本体は、上記のような積層材を使用し、そのヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、上端部に開口部を有する袋状容器本体を製袋することができる。
而して、その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、上端部に開口部を有する種々の形態からなる袋状容器本体を製造することができる。
その他、袋状容器本体としては、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
【0071】
次に、本発明において、上記で製造した上端部に開口部を有する袋状容器本体の開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒ−トシ−ル等により密閉することによって、本発明にかかるレトルト用パウチを使用した包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、レトルト処理等の加熱処理を施すことによって、本発明にかかるレトルト用パウチを使用したレトルト食品を製造することができるものである。
上記において、レトルト処理する方法としては、例えば、通常のレトルト釜を使用し、温度、110〜130℃位、好ましくは、120℃前後位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G、好ましくは、2.1Kgf/cm2 ・G前後位、時間、20〜60分間位、好ましくは、30分間前後で加熱加圧処理する方法等により行うことができる。
而して、本発明においては、上記のようなレトルト処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
【0072】
次に、本発明において、本発明にかかるレトルト用パウチに充填包装する内容物としては、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品、具体的には、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、お粥等の流動食品、ゼリ−状食品、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品等を挙げることができる。
而して、本発明において、本発明にかかるレトルト用パウチは、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化によりその製造コストの低減化を図ることができ、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものである。
【0073】
具体的には、本発明において、基材フィルム、あるいは、樹脂フィルムとして、例えば、ポリエステル系樹脂フィルムを使用する場合には、特に、耐熱性、耐屈曲性等の物性に優れた袋状容器本体を製造することができ、また、基材フィルム、あるいは、樹脂フィルムとして、例えば、ポリアミド系樹脂(ナイロン)フィルムを使用する場合には、特に、耐ピンホ−ル性等に優れた袋状容器本体を製造することができるものである。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜は、透明性を有し、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するものであり、また、ガスバリア性塗布膜も、上記の無機酸化物の蒸着膜と同様に、透明性を有し、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するものであり、而して、本発明においては、その無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との2層により、その相乗効果を発揮して酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性等の作用効果を有し、また、官能性等にも優れ、アルミニウム箔等の金属箔とほぼ同等、あるいは、それ以上のバリア性等の作用効果を発揮すると共にアルミニウム箔等の金属箔と異なり、透明性に優れ、内容物等の視認性等に優れているものであり、また、金属探知機等による金属探知テストを可能とするものである。
更に、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜等は、その膜厚は、数十Å〜数千Åからなるものであり、例えば、膜厚が5〜20μm前後からなるアルミニウム箔等の金属箔等と比較して、その膜厚を著しく薄膜化し、軽量化することができ、また、その重量を著しく低減化し、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ることができるものである。
更にまた、本発明においては、有機珪素化合物を蒸着用モノマ−ガスとして使用し、プラズマ化学気相成長法を用いて製膜化してなる酸化珪素の蒸着膜を、バリア性層を構成する無機酸化物の蒸着膜として使用すると、該酸化珪素の蒸着膜が、柔軟性に富み、耐屈曲性等を有することから、酸化珪素の蒸着膜にクラック等を生じてバリア性等を低下するということがないという利点を有するものである。
【0074】
【実施例】
次に、上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に本発明を説明する。
実施例1
(1).厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;240m/min
パワ−;35kW
次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度240m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕、および、ポリビニルピロリドン〔和光純薬株式会社製、Mw=25,000〕を、それぞれ、5%含む水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、ならびに、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部、および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分と、更に、N,N−ジメチルホルムアミド12.1部とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で1分間、加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性基材を製造した。
(3).他方、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記の(2)で製造したバリア性基材を、そのガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トした。
次に、上記でドライラミネ−ト積層したバリア性基材を構成する他方の厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト食品を製造した。
上記で製造したレトルト食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【0075】
実施例2
(1).基材フィルムとして、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ処理面
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−n−ブトキシジルコニウム(純度100%)100部、アセト酢酸エチル68部を加え、60℃で30分間攪拌し、ジルコニウムキレート化合物を得た。この反応生成物の純度は77%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕の5%水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、上記で調製したジルコニウムキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で2分間加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性基材を製造した。
(3).他方、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記の(2)で製造したバリア性基材を、そのガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トした。
次に、上記でドライラミネ−トしたバリア性基材を構成する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト食品を製造した。
上記で製造したレトルト食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【0076】
比較例1
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、膜厚7μmのアルミニウム箔を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層したアルミニウム箔の面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト食品を製造した。
【0077】
比較例2
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、膜厚7μmのアルミニウム箔を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層したアルミニウム箔の面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト食品を製造した。
【0078】
比較例3
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト食品を製造した。
【0079】
比較例4
(1).厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムの片面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。
上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト食品を製造した。
【0080】
実験例
上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品を構成する軟包装用袋を形成する積層材について、レトルト処理前後の酸素透過度と水蒸気透過度とを測定した。
また、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品を構成する軟包装用袋を形成する積層材について、耐屈曲性を測定した。
更に、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品を構成する軟包装用袋を形成する積層材について、その内容物に対する官能性および内容物の視認性を測定した。
更にまた、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品について金属探知テストを行った。
(1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).耐屈曲性の測定
これは、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品をゲルボ試験機を用いて、温度、3℃で100回屈曲させた後、該レトルト食品を構成する軟包装用袋を形成する積層材について、そのゲルボ前後の酸素透過度と水蒸気透過度とを前述と同様にして測定した。
(4).内容物の官能性の測定
これは、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト包装食品について、それを40℃のオ−ブンに1週間保存し、次いで、5人の試験者 に水の官能検査を行って、官能性良好を○、官能性不良を×で表した。
(5).内容物の視認性の測定
これは、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品について、それを外観から目視にて観察し、内容物を視認し得た場合を○、視認し得ない場合を×で表した。
(6).金属探知機テスト
これは、上記の実施例1〜2、および、比較例1〜4において製造したレトルト食品を金属探知機(株式会社イシダ製、機種名、ID3タイプ)にとおし、金属物の有無の確認を行い、金属探知が可能な場合を○、不可能を×で表した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0081】
Figure 0004857483
Figure 0004857483
Figure 0004857483
上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day 23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
【0082】
上記の表1に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜3にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において十分に実用性を有するものであることが確認され、また、耐屈曲性、官能性等に優れ、更に、透明性を有し内容物の視認性に優れ、また、金属探知機による金属探知が可能であった。
これに対し、比較例1〜2にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において優れているが、耐屈曲性に欠け、かつ、内容物の視認性に欠け、更に、金属探知機よる金属探知が不可能であり、また、比較例3〜4にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において著しく劣るものであり、更に、官能性に欠けるものであった。
【0083】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材とそれを中使いにすることに着目し、まず、少なくとも、基材フィルムと、樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、ヒ−トシ−ル性樹脂層とを順次に積層して積層材を製造し、次いで、該積層材を使用し、これを製袋して袋状容器本体を製造し、しかる後、該袋状容器本体に所望の飲食品等を充填包装して包装半製品を製造し、次いで、該包装半製品を、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理を施してレトルト食品を製造して、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化等によりその製造コストの低減化を図り、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているレトルト用パウチを製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかるレトルト用パウチを構成する積層材についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】図1に示す積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明にかかるレトルト用パウチの構成を示す概略的斜視図である。
【図4】図1に示す積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明にかかるレトルト用パウチの構成を示す概略的斜視図である。
【図5】巻き取り式真空蒸着装置についてその一例の概要を示す概略的構成図である。
【図6】プラズマ化学気相成長装置についてその一例の概要を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A、A1、A2 積層材
1 基材フィルム
2 樹脂フィルム
3 無機酸化物の蒸着膜
4 ガスバリア性塗布膜
5 バリア性基材
6 ヒ−トシ−ル性樹脂層
7、7a ラミネ−ト用接着剤層
8 シ−ル部
9 開口部
B 三方シ−ル型の袋状容器本体
10 内容物
11 上方のシ−ル部
C 包装半製品
D レトルト食品

Claims (8)

  1. 2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムからなる基材フィルムと、
    2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムからなる樹脂フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設け、更に、そのガスバリア性塗布膜の面に、予め、プライマ−剤層を設けたバリア性基材と、
    ヒトシ−ル性樹脂層とを
    ラミネ−ト用接着剤層を介して、順次に積層した積層材を製袋してなること
    を特徴とするレトルト用パウチ。
  2. 基材フィルムが、その一方の面に印刷模様層を設けることを特徴とする上記の請求項に記載するレトルト用パウチ。
  3. 無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜2に記載するレトルト用パウチ。
  4. 無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3に記載するレトルト用パウチ。
  5. 無機酸化物の蒸着膜が、物理気相成長法による酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜3に記載するレトルト用パウチ。
  6. ガスバリア性塗布膜が、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R1 m M(OR2 )n (式中、Mは、金属原子を表し、R1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜5に記載するレトルト用パウチ。
  7. ヒ−トシ−ル性樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜6に記載するレトルト用パウチ。
  8. プライマ−剤層が、ポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるコ−ティング膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜7に記載するレトルト用パウチ。
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