JP4202723B2 - 積層材およびそれを使用した包装用袋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層材およびそれを使用した包装用袋に関し、更に詳しくは、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、特に、ヒ−トシ−ル性樹脂層を薄膜化しても、従来のものと比べて、バリア性の向上を図ることができ、併せて、容器・包装ごみの減量化を図ることができる包装用材料として極めて有用なバリア性積層材およびそれを使用した包装用袋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品、その他等の充填包装する包装用材料としての積層材としては、食品の風味の保護、保存期間の延長等から、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、ナイロン6MXD、その他等からなる酸素、水蒸気の遮断性のあるバリア性フィルムを使用することがしばしば試みられている。
更に、近年、内容物が確認できるように透明蒸着バリア性フィルムが多用されるようになってきている。
而して、上記の透明蒸着バリア性フィルムを用いた積層材としては、例えば、2軸延伸ポリエステルフィルムあるいは2軸延伸ナイロンフィルムの上に無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、その無機酸化物の蒸着膜の上に、例えば、低密度ポリエチレン等を使用し、これを溶融押出して溶融押出樹脂層を形成して積層した積層材等が知られている。
而して、上記のような包装用材料としての積層材において、2軸延伸ポリエステルフィルムあるいは2軸延伸ナイロンフィルム等は、積層材、あるいは、包装用容器等を構成する基本素材となるものであり、所定の厚さを有し、かつ、機械的、化学的、あるいは、物理的強度等において所定の強度を有し、例えば、耐熱性、耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性、その他等の諸堅牢性に優れ、充填包装した内容物等を保護するものであることが望ましいものである。
また、上記のような包装用材料としての積層材において、2軸延伸ポリエステルフィルムあるいは2軸延伸ナイロンフィルム等の上の無機酸化物の蒸着膜は、酸素、水蒸気等の透過を阻止するバリア性(遮断性)を有し、防湿性、防水性、防気性、保香性、その他等に優れ、充填包装した内容物等を保護するという作用を有するものである。
更に、上記のような包装用材料としての積層材において、溶融押出樹脂層等は、包装用容器等を製袋する際に、主に、ヒートシール性樹脂層等として作用して、所望の形態の包装用容器等を形成するものである。
その他、例えば、印刷模様層を設けて、装飾、表示、その他等の機能を奏し、また、アンカーコート剤層等の積層材を製造する際の接着剤層等を設けることもできるものである(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭51−48511号公報(特許請求の範囲、実施例1、同2)
【特許文献2】
特公昭53−12953号公報(特許請求の範囲、実施例)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなバリア性フィルムにおいて、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂からなるバリア性フィルムを使用した積層材においては、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性において、所期の効果を有するものであるが、その軟包装用袋を包装用容器として使用後、これをゴミとして廃棄処理する場合、例えば、焼却処理等により廃棄処理すると、塩素原子を含有していることから、焼却廃棄時に、例えば、ダイオキシン等の有毒ガス等を発生する原因となり、人体等への影響が懸念されるために、廃棄処理適性に欠けると共に環境破壊等の問題を引き起し、環境適性等にも欠けるという問題点がある。
また、例えば、エチレンービニルアルコール共重合体からなるバリア性フィルム、あるいは、ナイロン6MXDからなるバリア性フィルム、更には、それらを使用した多層共押出積層フィルム(例えば、ナイロン/ナイロン6MXD/ ナイロン共押出フィルム、ナイロン/ エチレンビニルアルコ−ル共重合体/ ナイロン押出フィルム等)を使用した積層材おいては、絶乾状態においては、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性について、所期の効果を有するものの、湿潤状態においては、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性について、著しく低下し、もはや、その使用に耐え得ないものであるという問題点がある。
上記課題を解決するものとして、無機酸化物を蒸着した透明蒸着バリア性フィルムが使用され、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、更にまた、使用後に焼却廃棄処理する際に有害物質等を発生することなく、廃棄処理適性、環境適性等に優れた積層材が提供されている。
しかしながら、該透明蒸着バリア性フィルムを用いて積層材を製造する際に、無機酸化物の蒸着膜が、極薄膜であるために、その製造加工工程においてややもすると損傷し本来のバリア性が発揮できないという恐れがある。
特に、積層材の製造において巾広く用いられている溶融した押出樹脂層をヒ−トシ−ル層とする積層方法においては、溶融押出樹脂層が高温(300℃以上)、厚膜(20μm以上)により、無機酸化物の蒸着膜が熱ダメ−ジを受けバリア性の劣化が起こすという課題がある。
例えば、低密度ポリエチレンを使用した溶融ヒ−トシ−ル性押出樹脂層においては、溶融押出樹脂の流動特性を得るためには、約320℃もしくは300℃以上で溶融押出しなければならないものであり、欠陥のない溶融押出樹脂層を得るためには、その膜厚を上記のように膜厚20μm以下にすることは極めて困難である。
透明蒸着バリア性フィルムを構成するバリア層への熱ダメ−ジは、溶融温度と膜厚の相乗効果によるものであり、薄膜化と低温度化が課題となっている。
また、近年、容器・包装ゴミが増加し、環境破壊の元凶であると言われ、その対応に迫られている。
対応の優先順位としては、リデュ−スが最優先であり、容器包装材料の減量化が課題となっている。
そこで本発明は、上記のうよな課題を解決することを目的とし、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、積層材としての密接着性に優れると共に積層材について接着剤層となる押出樹脂層を薄膜化しても、従来のものと比べて、バリア性の向上を図ることができ、併せて、容器・包装ごみの減量化を図ることができる包装用材料として有用なバリア性積層材およびそれを使用した包装用袋を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、ヒ−トシ−ル性樹脂層としての押出樹脂層を薄膜化し、更に、その溶融押出温度を低下させることにより、透明蒸着バリア性フィルムのバリア性を劣化させることなく、かつ、容器・包装ごみの減量化も可能とさせて本発明を完成させたものである。
更に詳しくは、本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究した結果、ヒ−トシ−ル性樹脂層として、エチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層に着目し、特に、エチレン−メタクリル酸共重合体を290℃位で溶融押出して厚さ5μm位の溶融押出樹脂層を形成し、これをヒ−トシ−ル性樹脂層とすることができることに着目し、更に、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層を中使いすることに着目し、まず、少なくとも、基材フィルム、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層、および、エチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層を、例えば、上記の基材フィルムと、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層とは、その基材フィルムの一方の面とバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面とを対向させて、あるいは、上記の蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層と、エチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層とは、そのバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面とヒ−トシ−ル性押出樹脂層の面とを対向させて、順次に積層して積層材を製造し、而して、その積層材を使用し、これを製袋して包装用袋を製造し、更に、その包装用袋内に、例えば、菓子、スナック食品、その他等の物品を充填包装して包装製品を製造したところ、上記の積層材は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性能に優れ、また、ラミネート強度等にも優れ、層間剥離(デラミ)等は認められず、更に、ヒートシール性能等にも優れ、これを使用して製袋した包装用袋は、機械的、化学的、あるいは、物理的強度において所定の強度等を有し、例えば、耐熱性、耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性、耐突き刺し性、その他等の諸堅牢性に優れ、更に、防湿性、防水性、防気性、保香性、断熱性、その他等に優れ、充填包装した内容物等を充分に保護し、その貯蔵、保存安定性、充填包装適性等に優れ、更に、包装用袋を形成する積層材を構成する各素材について、その膜厚を薄層化し、その容器・包装ごみの減量化を図ることができる極めて有用な包装用材料としての積層材およびそれを使用した包装用袋を見出して本発明を完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、少なくとも、基材フィルム、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層、および、厚さ2〜50μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層を順次に積層したことを特徴とする積層材およびそれを使用した包装用袋に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記の本発明ににかかる積層材およびそれを使用した包装用袋について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
図1、図2および図3は、本発明にかかる積層材についてその層構成の二三例を示す概略的断面図であり、図4は、図1に示す本発明にかかる積層材を使用して製袋してなる軟包装用袋等からなる包装用袋についてその一例を示す概略的斜視図であり、図5は、図4に示すかる軟包装用袋等からなる包装用袋に内容物を充填包装した包装製品についてその一例を示す概略的斜視図である。
【0008】
まず、本発明にかかる積層材Aは、図1に示すように、基材フィルム1、蒸着用基材フィルム2の一方の面に無機酸化物の蒸着膜3とガスバリア性塗布膜4とを設けたバリア性層5、および、ヒ−トシ−ル性押出樹脂層6を順次に積層した構成を基本構造とするものである。
而して、本発明にかかる積層材について、具体例を例示すると、図2に示すように、基材フィルム1と、蒸着用基材フィルム2の一方の面に無機酸化物の蒸着膜3とガスバリア性塗布膜4とを設けたバリア性層5とを、その基材フィルム1の一方の面とバリア性層5を構成するガスバリア性塗布膜4の面とを対向させて積層し、更に、上記で積層したバリア性層5を構成する蒸着用基材フィルム2の面に、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体等による溶融押出樹脂層からなるヒ−トシ−ル性押出樹脂層6を積層した構成からなる本発明にかかる積層材A1 を例示することができるものである。
【0009】
更に、本発明にかかる積層材について、別の具体例を例示すると、図3に示すように、蒸着用基材フィルム2の一方の面に無機酸化物の蒸着膜3とガスバリア性塗布膜4とを設けたバリア性層5を構成するガスバリア性塗布膜4の面に、例えば、エチレン−メタクリル酸共重合体等による溶融押出樹脂層からなるヒ−トシ−ル性押出樹脂層6を積層し、更に、上記で積層したバリア性層5を構成する蒸着用基材フィルム2の面に、基材フィルム1を積層した構成からなる本発明にかかる積層材A2 を例示するこができる。
上記の例示は、本発明にかかる積層材についてその二三例を例示するものであり、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0010】
例えば、図示しないが、本発明にかかる積層材において、基材フィルムには、例えば、文字、絵柄、図形、記号、その他等からなる所望の印刷模様層を設けることができるものである。
また、図示しないが、本発明にかかる積層材において、無機酸化物の蒸着膜としては、同種ないし異種からなる2層以上の無機酸化物の蒸着膜を重層して構成することができるものである。
更に、図示しないが、本発明にかかる積層材において、バリア性層を構成する無機酸化物の蒸着膜の面に、積層強度等を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、その他等の前処理を施すことができるものである。
また、図示しないが、本発明にかかる積層材において、更に、必要ならば、その他のプラスチックフィルム等の基材を任意に積層することができるものであり、特に、バリア性層とヒートシール性押出樹脂層との間に、強度を有し、耐突き刺し性に優れた樹脂フィルムを積層することが好ましいものである。
更に、図示しないが、本発明にかかる積層材において、基材フィルム、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層、および、ヒ−トシ−ル性押出樹脂層を順次に積層する方法としては、例えば、アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層法、あるいは、ラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層等を介して積層するドライラミネ−ト積層法等を用いて積層することもできるものである。
【0011】
次に、本発明において、上記の本発明にかかる積層材を使用した軟包装用袋等からなる包装用袋について上記の図1に示す本発明にかかる積層材Aを使用する場合を例示して説明すると、図4に示すように、まず、例えば、上記の図1に示す本発明にかかる積層材Aを使用し、そのヒ−トシ−ル性押出樹脂層6、6の面を対向させて重ね合わせ、更に、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルして、その三方にシ−ル部11、11、11を形成すると共にその上方の端部に開口部12を形成して、三方シ−ル型の軟包装用袋13からなる本発明にかかる積層材Aを使用して製袋した包装用袋Bを製造する。
次いで、本発明においては、図5に示すように、上記で製袋した図4に示す三方シ−ル型の軟包装用袋13等からなる本発明にかかる積層材Aを使用して製袋した包装用袋Bの開口部12から、例えば、菓子、スナック食品、その他等の内容物14を充填し、しかる後、その開口部12をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部15を形成し、その開口部12を密閉して、本発明にかかる積層材Aを使用して製袋した軟包装用袋13等からなる包装用袋Bを使用した包装製品Cを製造することができるものである。
上記の例示は、本発明にかかる積層材を使用した包装用袋についてその一例を例示するものであり、本発明はこれによって限定されるものでないことは言うまでもないことである。
例えば、本発明においては、図示しないが、上記の図2〜図3に示す本発明にかかる積層材を使用し、上記と同様にして上記と同様に、本発明にかかる積層材を使用して製袋した包装用袋を製造することができるものである。
また、本発明においては、図示しないが、上記の軟包装用袋からなる包装用袋の形態としては、上記のように三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋の代りに、例えば、二方シ−ル型、ガセットシ−ル型、あるいは、自立性型、横または縦ピロ−包装型、その他等の形態からなる軟包装用袋からなる包装用袋を製袋し、使用することができるものである。
【0012】
次に、本発明において、上記の本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する基材フィルムとしては、これが本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた強度、剛性等を有し、例えば、耐熱性、耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性、その他等の諸堅牢性に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、上記の諸堅牢性を保持し得る必要最低限の厚さであればよく、厚すぎると、薄層化、減量化等の目的を達成することが困難になり、更には、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、上記の諸堅牢性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、基材フィルムの膜厚としては、約6μmないし20μmの範囲内位が最も望ましいものである。
而して、本発明において、基材フィルムとしては、具体的には、厚さ15μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、または、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム等を使用することが好ましいものである。
【0013】
而して、本発明においては、上記の基材フィルムの表面または裏面のいずれかの片面または両面には、例えば、文字、絵柄、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、所望の印刷模様層を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、通常のインキ用ビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、上記の基材フィルムの片面に、文字、絵柄、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができるものである。
【0014】
上記において、インキ用ビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノ−ル系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノ−ル系樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0015】
次に、本発明において、本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する蒸着用基材フィルムとしては、これに無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、本発明において、蒸着用基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0016】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。
【0017】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0018】
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0019】
次に、本発明において、本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
【0020】
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、蒸着用基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができ、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0021】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図6は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図6に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から蒸着用基材フィルム2を繰り出し、更に、該蒸着用基材フィルム2を、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された蒸着用基材フィルム2の上に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した蒸着用基材フィルム2は、補助ロ−ル33を介して巻き取りロ−ル34に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0022】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガス中の1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、蒸着用基材フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、蒸着用基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0023】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、蒸着用基材フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより、蒸着用基材フィルムの表面が、清浄化され、蒸着用基材フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と蒸着用基材フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、蒸着用基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するという利点を有するものである。
【0024】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、蒸着用基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0025】
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、蒸着用基材フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、蒸着用基材フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0026】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0027】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0028】
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを蒸着用基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて蒸着用基材フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0029】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図7は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図7に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す蒸着用基材フィルム2は、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された蒸着用基材フィルム2の上に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した蒸着用基材フィルム2を、ガイドロ−ル51、52を介して送り出し、巻き取りロ−ル53に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0030】
上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0031】
ところで、本発明において、本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成する無機酸化物の蒸着膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。
而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、蒸着用基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆くに、蒸着用基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできるものである。
【0032】
次に、本発明において、本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成するガスバリア性塗布膜について説明すると、かかるガスバリア性塗布膜としては、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂〔以下(A)成分という。〕と、一般式R1 m M(OR2 n ・・・(1)(式中、Mは、金属原子を表し、R1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種〔以下(B)成分という。〕とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を使用することができる。
上記において、ガスバリア性組成物中には、含窒素有機溶剤を含有することが好ましく、また、無機微粒子〔以下(C)成分という。〕を含有することも好ましいものである。
また、上記において、(B)成分としては、(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解した後、(A)成分と混合してガスバリア性組成物を調製することができるものである。
【0033】
上記のガスバリア性組成物において、(A)成分を構成するポリビニルアルコ−ル系樹脂としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコール系共重合体の群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。
上記(A)成分のうち、ポリビニルアルコールは、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものである。
このポリビニルアルコールとしては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコールでも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコールでもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
また、(A)成分のうち、エチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものであり、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%である。
上記エチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
【0034】
以上の(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂のメルトフローインデックスは、210℃、荷重21.168N条件下で、1〜20g/10分、好ましくは1〜18g/10分である。
これらの(A)を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは、2種以上を混合して用いることもできる。
また、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、それ自体、ガスバリア性、耐候性、耐有機溶剤性、透明性、熱処理後のガスバリア性などに優れる。
加えて、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、本発明のガスバリア性組成物から得られる塗膜を硬化させる際に、ポリビニルアルコールに由来する繰り返し単位中に存在する水酸基が、後記(B)成分および/また(C)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらすことができる。
本発明のガスバリア性組成物における(A)成分の割合は、後記(B)成分100重量部に対し、10〜10,000重量部、好ましくは、20〜5,000重量部、さらに好ましくは、100〜1,000重量部である。
10重量部未満では、得られる塗膜にクラックが入りやすく、ガスバリア性が低下し、一方、10,000重量部を超えると、得られる塗膜が高湿度下ではガスバリア性が低下して好ましくないものである。
【0035】
次に、本発明に用いられる(B)成分としては、上記の一般式(1)で表される、金属アルコレート、該金属アルコレートの加水分解物、該金属アルコレートの縮合物、該金属アルコレートのキレート化合物、該キレート化合物の加水分解物および金属アシレートの群から選ばれた少なくとも1種を使用することができ、而して、(B)成分としては、その1種だけでもよいし、任意の2種以上の混合物であってもよい。
なお、上記の金属アルコレートの加水分解物としては、金属アルコレートに含まれるOR2 がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、上記の金属アルコレートの縮合物は、金属アルコレートの加水分解物のM−OH基が縮合してM−O−M結合を形成したものであるが、本発明では、M−OH基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のM−OH基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
さらに、上記の金属アルコレートのキレート化合物は、金属アルコレートと、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸エステル、ケトアルコールおよびアミノアルコールから選ばれる少なくとも1種の化合物との反応で得られる。
これらの化合物の中でも、β−ジケトン類またはβ−ケトエステル類を用いることが好ましく、これらの具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。
また、上記のキレート化合物の加水分解物は、上記の金属アルコレートの加水分解物と同様に、キレート化合物に含まれるOR2 基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
本発明において、(B)成分は、(A)成分との共縮合体を形成する作用をなすものと考えられる。
【0036】
上記の一般式(1)における、Mで表される金属原子としては、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムを好ましいものとして挙げることができ、特に好ましくはチタンである。
1 の炭素数1〜8の1価の有機基は、一般式(1)で表される化合物が金属アルコレートである場合と金属アシレートである場合とで異なる。
金属アルコレートである場合には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。
ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
また、金属アシレートである場合には、R1 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、アセトキシル基、プロピオニロキシル基、ブチリロキシル基、バレリロキシル基、ベンゾイルオキシル基、トリオイルオキシル基などのアシルオキシル基を挙げることができる。
一般式(1)中に、R1 が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0037】
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0038】
これらの(B)成分のうち、金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物の具体例としては、
(イ).テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウム化合物;
【0039】
(ロ).テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジヒドロキシチタンラクテート、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタニウムなどのチタン化合物;
【0040】
(ハ).トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
これらの金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物のうち好ましいものとしては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムおよびトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムを挙げることができ、特に好ましい化合物はジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウムなどのチタン化合物である。
【0041】
また、金属アシレートの具体例としては、ジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテート、ジ−i−プロポキシ・チタンジプロピオネート、ジ−i−プロポキシ・チタンジマロニエート、ジ−i−プロポキシ・チタンジベンゾイレート、ジ−n−ブトキシ・ジルコニウムジアセテート、ジ−i−プロピルアルミニウムモノマロニエートなどを挙げることができ、特に好ましい化合物はジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテートなどのチタン化合物である。
これらの(B)成分は、1種単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0042】
(B)成分としては、コーティング液の粘度経時変化がなく、扱いやすくなるため、後述の親水性溶媒中に記載されている水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したものを用いることが好ましい。
この場合、水の使用量は、一般式R1 m M(OR2 n (1)で表される化合物1モルに対し、0.1〜1000モル、好ましくは、0.5〜500モルである。
また、混合溶媒の場合、水と親水性有機溶媒の配合割合は、水/親水性有機溶媒=10〜90/90〜10(重量比)、好ましくは、30〜70/70〜30、更に、好ましくは、40〜60/60〜40である。
【0043】
次に、本発明のガスバリア組成物としては、(C)成分である無機微粒子を含有することが好ましい。
上記の無機微粒子は、平均粒子径が0.2μm以下の実質的に炭素原子を含まない粒子状無機物質であり、金属またはケイ素酸化物、金属またはケイ素窒化物、金属ホウ化物が挙げられる。
無機微粒子の製造方法は、例えば、酸化ケイ素を得るには四塩化ケイ素を酸素と水素の炎中での加水分解により得る気相法、ケイ酸ソーダのイオン交換により得る液相法、シリカゲルのミルなどによる粉砕より得る固相法などの製造方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0044】
具体的な化合物例としては、SiO2 、Al2 3 、TiO2 、WO3 、Fe、ZnO、NiO、RuO2 、CdO、SnO2 、Bi2 3 、3Al2 3 ・O2 、Sn−In2 3 、Sb−In2 3 、CoFeOxなどの酸化物、Si、Fe4 N、AlN、TiN、ZrN、TaNなどの窒化物、Ti2 B、ZrB、TaB2 、W2 Bなどのホウ化物が挙げられる。
また、無機微粒子の形態は、粉体、水または有機溶剤に分散したコロイドもしくはゾルが挙げられるが、これらは限定されるものではない。
これらの中で、(A)成分および/または(B)成分と共縮合することで優れた塗膜性能を得るために、好ましくは、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、アルミナゾル、スズゾル、ジルコニウムゾル、五酸化アンチモンゾル、酸化セリウムゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化チタンゾルなどの粒子表面に水酸基が存在するコロイド状酸化物が用いられる。
無機微粒子の平均粒子径は、0.2μm以下、好ましくは、0.1μm以下であり、平均粒径が0.2μmを超えると、膜の緻密性の観点からガスバリア性が劣る場合がある。
【0045】
(C)成分の本発明の組成物中の割合は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは、10〜900重量部、特に好ましくは、20〜400重量部である。
上記において、900重量部を超えると、得られる塗膜のガスバリア性が低下する場合がある。
【0046】
次に、本発明においては、本発明のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜をより速く硬化させる目的と、(A)成分と(B)成分との共縮合体を形成させ易くする目的で(D)硬化促進剤を使用してもよく、比較的低い温度での硬化と、より緻密な塗膜を得るために、この(D)硬化促進剤を併用する方が効果的である。
【0047】
上記の(D)硬化促進剤としては、塩酸などの無機酸;ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、
(C4 9 2 Sn(OCOC11232
(C4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 2
(C4 9 2 Sn(OCOCH=CHCOOC4 9 2
(C8 172 Sn(OCOC11232
(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOCH3 2
(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC4 9 2
(C8 172 Sn(OCOCH=CHCOOC8 172
Sn(OCOCC8 172 などのカルボン酸型有機スズ化合物;
(C4 9 2 Sn(SCH2 COOC8 172
(C4 9 2 Sn(SCH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 CH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 COOC8 172
(C8 172 Sn(SCH2 COOC12252
Figure 0004202723
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
Figure 0004202723
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0048】
(C4 9 2 SnO、(C8 172 SnO、または(C4 9 2 SnOH172 SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。
これらの(D)硬化促進剤のガスバリア性組成物中における割合は、本発明のガスバリア性組成物の固形分100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部用いられる。
【0049】
さらに、本発明のガスバリア性組成物には、安定性向上剤として、先に挙げたβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類を添加することができる。
すなわち、上記の(B)成分としてガスバリア性組成物中に存在する上記の金属アルコレート中の金属原子に配位することにより、(A)成分と(B)成分との縮合反応をコントロールする作用をし、得られるガスバリア性組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。
β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の使用量は、上記(B)成分における金属原子1モルに対し、好ましくは2モル以上、さらに好ましくは、3〜20モルである。
【0050】
本発明のガスバリア性組成物は、通常、上記(A)〜(D)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で溶解、分散することによって得られる。
ここで、親水性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコールまたは2価アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族のエーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の2価アルコールのエステル化合物;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒);ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸、サリチル酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸エステルなどを挙げることができる。これらのうち、好ましいものとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒)を挙げることができる。
【0051】
これらの水および/または親水性有機溶媒は、水と親水性有機溶媒とを混合して用いられることがより好ましい。
好ましい溶媒の組成としては、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール、水/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
さらに好ましくは、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
含窒素有機溶媒を混合することで、薄膜でのコーティングにおいて外観が透明で良好な塗膜が得られる。
【0052】
水および/または親水性有機溶媒の使用量は、ガスバリア性組成物の全固形分濃度が好ましくは60重量%以下となるように用いられる。
例えば、薄膜形成を目的に用いられる場合には、通常、5〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%であり、また厚膜形成を目的に使用する場合には、通常、20〜50重量%、好ましくは、30〜45重量%である。
ガスバリア性組成物の全固形分濃度が60重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
また、上記含窒素有機溶媒の割合は、溶媒全量中に、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0053】
なお、有機溶媒としては、上記の水および/または親水性有機溶媒が好ましいが、親水性有機溶媒以外に、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類なども使用できる。
【0054】
このように、本発明のガスバリア性組成物は、上記(A)〜(B)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で混合することによって得られ、好ましくは上記(A)成分と(B)成分、必要に応じて(C)成分を、水および/または親水性有機溶媒中で、加水分解および/または縮合することによって得られる。
この際、反応条件は、温度は20〜100℃、好ましくは30〜80℃、時間は0.1〜20時間、好ましくは1〜10時間である。
得られるガスバリア性組成物の重量平均分子量は、一般的なGPC法によるポリメチルメタクリレート換算値で、通常、500〜100万、好ましくは1,000〜30万である。
【0055】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。
ただし、充填材は、上記(C)成分を除く。
充填材としては、例えば、有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。
この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントイエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0056】
これらの充填材の平均粒径または平均長さは、通常、50〜50,000nm、好ましくは100〜5,000nmである。
充填材の組成物中の割合は、充填材以外の成分の全固形分100重量部に対し、好ましくは、0.1〜300重量部、さらに好ましくは、1〜200重量部である。
【0057】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、そのほか、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種の界面活性剤、上記以外の、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を配合することもできる。
【0058】
本発明のガスバリア性組成物を調製するに際しては、上記(A)〜(B)成分、好ましくは(A)〜(C)成分を含有する組成物を調製すればよいが、好ましくは、上記(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したのち、(A)成分を混合する。
このようにすると、ガスバリア性組成物の経時的な粘度変化がなく、取り扱い性に優れたガスバリア性組成物が得られる。
(C)成分を用いる場合の本発明のガスバリア性組成物の調製方法の具体例としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
これらの調製方法において用いられる(B)成分は、水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中であらかじめ加水分解したものを用いてもよい。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加し、加水分解および/または縮合する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(B)成分に、(C)成分を添加し、加水分解および/または縮合を行ない、そののちに(A)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に(A)〜(C)成分を一括添加し、溶解・分散する方法。または、そののちに加水分解および/または縮合を行う方法。
【0059】
而して、本発明においては、上記で調製したガスバリア性組成物を使用し、これを、前述の無機酸化物の蒸着膜の上に塗布することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの塗装手段により、1回あるいは複数回の塗装で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μmの本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができ、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマ−剤等を塗布することもできるものである。
更に、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他等の任意の前処理等を施すこともできるものである。
【0060】
次に、本発明において、上記の本発明にかかる積層材、包装用袋等を構成するヒ−トシ−ル性押出樹脂層について説明すると、かかるヒ−トシ−ル性押出樹脂層としては、熱によって溶融し、ダイ等から押出可能な熱可塑性樹脂であり、更に、その熱可塑性樹脂による押出樹脂層が、熱によって溶融し相互に融着し得る熱可塑性樹脂、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレ、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等のヒ−トシ−ル性樹脂の1種ないし2種以上を使用し、これをTダイ押出機等を用いて、上記のプライマ−剤層の上にに設けた印刷模様層を含む全面に溶融押出して形成することができる。
その膜厚としては、無機酸化物の蒸着膜等に与えるダメ−ジ等を考慮して、約厚さ2〜50μm位、好ましくは、厚さ3〜15μm位、更に好ましくは、厚さ3〜10μm位、特に好ましくは、厚さ5μm位のヒ−トシ−ル性押出樹脂層からなることが望ましいものである。
【0061】
而して、本発明において、ヒ−トシ−ル性押出樹脂層としては、特に、エチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層を使用することが望ましいものである。
上記のエチレン−メタクリル酸共重合体としては、メタクリル酸成分が、4〜12モル%位、好ましくは、4〜7モル%位の範囲で含有している共重合体を使用することが好ましいものである。
また、本発明において、上記のエチレン−メタクリル酸共重合体としては、例えば、アクリル酸エステルモノマ−等の成分を含有するタ−ポリマ−等を使用することもできるものである。
更に、本発明において、上記のエチレン−メタクリル酸共重合体としては、メルトフロ−レイト(MFR)が4〜10位のもを使用することが好ましいものである。
而して、本発明においては、上記のようなエチレン−メタクリル酸共重合体を使用し、これに、必要ならば、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、滑剤、その他等の所望の添加剤を任意に添加して樹脂組成物を調製史、該樹脂組成物を使用し、これを、例えば、Tダイ押出機等を用いて、プライマ−剤層、印刷模様層等を含む全面に溶融押出してヒ−トシ−ル性押出樹脂層を形成することができる。
本発明においては、上記のようなエチレン−メタクリル酸共重合体を使用することにより、従来の低密度ポリエチレンによる押出樹脂層と比較して、低密度ポリエチレンの場合には、例えば、320℃位のように少なくとも300℃以上の加熱温度で押出すのに対しエチレン−メタクリル酸共重合体は、それよりも低温で、約290℃位、更には、270℃位の加熱温度で押出することにより押出樹脂層を形成し得るものである。
これにより、エチレン−メタクリル酸共重合体による押出樹脂層の膜厚を薄膜化することができ、膜厚2〜15μm、更には、2〜10μm、更にはまた、3〜6μm、より具体的には、積層に際し十分な膜厚である5μm位のエチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層を製膜化することができ、かつ、その製膜化加工を高速で加工することを可能とし、更に、所定の薄膜を安定的に押出し、成形し、他の基材との積層の際に、接着剤層としての機能を十分に奏するエチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層を形成することができるものである。
本発明においては、エチレン−メタクリル酸共重合体を使用し、それを290℃以下の押出温度で、かつ、その押出樹脂層の膜厚を薄膜化することにより、無機酸化物の蒸着膜への熱ダメ−ジを極小とし、これによりそれに対する損傷等を抑えることができるというものである。
【0062】
次にまた、本発明において、本発明にかかる積層材、包装用袋等等を構成する強度を有し、耐突き刺し性等に優れた樹脂のフィルムについて説明すると、かかる樹脂のフィルムとしては、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靭な樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
而して、本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシートを使用し、これを、例えば、前述のヒ−トシ−ル性押出樹脂層を構成する押出樹脂を使用して、これを溶融押出しながら、その押出樹脂層を介して、溶融押出積層する押出しラミネ−ト法を用いて、プライマ−剤層とヒ−トシ−ル性押出樹脂層との層間に積層することができるものである。
上記において、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂フィルムないし、シ−トの厚さとしては強度、耐突き刺し性、その他等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、その他等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μm〜100μm位、好ましくは、約12μm〜50μm位が最も望ましい。
【0063】
ところで、通常、包装用袋は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用袋を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、偲密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ピニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニルー塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリループタジェンースチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジェン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸 向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μm から300 μm 位の範囲から選択して用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0064】
特に、本発明において、その他の基材としては、例えば、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシート、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記のフィルムないしシートの厚さとしては、任意であるが、通常、5μm〜300μm位、更には、10μm〜100μm位が望ましい。
【0065】
次に、本発明において、本発明にかかる積層材を製造する方法について、具体的に述べると、例えば、ラミネート用接着剤によるラミネート用接着剤層を介して積層するドライラミネーション法、あるいは、溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層を介して積層する押出ラミネーション法などで行うことができる。
すなわち、本発明においては、前述のように押出樹脂層を介して積層する他、基材フィルム、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜を設けたバリア性層、および、ヒ−トシ−ル性押出樹脂層、その他の層等を積層する場合には、例えば、その各層間を溶融押出樹脂層を介して、あるいは、その各層間をラミネ−ト用接着剤層を介して積層する押出ラミネーション法、ドライラミネーション法、その他等により積層することができる。
上記において、ラミネート用接着剤としては、例えば、1液、あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などのラミネート用接着剤を使用することができる。
上記ラミネート用接着剤のコーティング法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
そのコーティング量としては、好ましくは0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位、より好ましくは1〜5g/m2 (乾燥状態)位である。
なお、上記ラミネート用接着剤には、例えば、シランカップリング剤などの接着促進剤を任意に添加することができる。
【0066】
また、上記において、溶融押出接着性樹脂としては、前述のヒートシール性押出樹脂層を形成するヒートシール性樹脂を同様に使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、特に、線状低密度ポリエチレン、酸変性ポリエチレンを使用することが好ましい。
上記の溶融押出接着性樹脂による溶融押出樹脂層の膜厚は、好ましくは3〜100μm位、さらに好ましくは、3〜20μm位である。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、より強固な接着強度を得る必要がある場合には、アンカーコート剤などの接着改良剤などをコートすることもできる。
上記アンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネートなどの有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤、ポリブタジエン系アンカーコート剤、その他の水性または油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。
本発明においては、上記アンカーコート剤を、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレイコート、その他のコーティング法でコーティングし、溶剤、希釈剤などを乾燥して、アンカーコート剤層を形成することができる。
上記アンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が好ましい。
【0067】
而して、本発明において、溶融押出接着性樹脂としては、前述のヒ−トシ−ル性押出樹脂層を構成するエチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層を使用することが望ましいものである。
すなわち、本発明においては、前述のヒ−トシ−ル性押出樹脂層を構成するエチレン−メタクリル酸共重合体を同様に使用し、これに、必要ならば、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、滑剤、その他等の所望の添加剤を任意に添加して樹脂組成物を調製史、該樹脂組成物を使用し、これを、例えば、Tダイ押出機等を用いて、積層する基材の全面に溶融押出して溶融押出樹脂層を形成することが好ましいものである。
本発明においては、上記のようなエチレン−メタクリル酸共重合体を使用することにより、前述したように、従来の低密度ポリエチレンによる押出樹脂層と比較して、低密度ポリエチレンの場合には、例えば、320℃位のように少なくとも300℃以上の加熱温度で押出すのに対しエチレン−メタクリル酸共重合体は、それよりも低温で、約290℃位、更には、270℃位の加熱温度で押出することにより溶融押出樹脂層を形成し得るものである。
これにより、エチレン−メタクリル酸共重合体による押出樹脂層の膜厚を薄膜化することができ、膜厚2〜15μm、更には、2〜10μm、更にはまた、3〜6μm、より具体的には、積層に際し十分な膜厚である5μm位のエチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層を製膜化することができ、かつ、その製膜化加工を高速で加工することを可能とし、更に、所定の薄膜を安定的に押出し、成形し、他の基材との積層の際に、接着剤層としての機能を十分に奏するエチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層を形成することができるものである。
更に、本発明においては、エチレン−メタクリル酸共重合体を使用し、それを290℃以下の押出温度で、かつ、その押出樹脂層の膜厚を薄膜化することにより、無機酸化物の蒸着膜への熱ダメ−ジを極小とし、これによりそれに対する損傷等を抑えることができるというものである。
【0068】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層材を使用して製造する軟包装用袋等からなる包装用袋について説明すると、かかる軟包装用袋等からなる包装用袋は、上記のような本発明にかかる積層材を使用し、そのヒ−トシ−ル性押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、本発明にかかる軟包装用袋等からなる包装用袋を製造することができる。
而して、その製袋方法としては、上記のような本発明にかかる積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態からなる軟包装用袋等からなる包装用袋を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
【0069】
次に、本発明においては、上記で製造した本発明にかかる種々の形態からなるプラスチック製軟包装用袋等からなる包装用袋の開口部から、例えば、菓子、スナック食品、その他等の内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、本発明にかかる積層材を使用して製袋した包装用袋を使用した包装製品を製造することができるものである。
【0070】
而して、上記の積層材は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に優れ、また、そのラミネート強度等に優れ、層間剥離(デラミ)等は認められず、更に、ヒートシール性能等にも優れ、これを使用して製袋した軟包装用袋は、機械的、化学的、あるいは、物理的強度において所定の強度等を有し、例えば、耐熱性、耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性、耐突き刺し性、その他等の諸堅牢性に優れ、更に、酸素、水蒸気等の透過を阻止するバリア性(遮断性)を有し、防湿性、防水性、防気性、保香性、断熱性、その他等に優れ、充填包装した内容物等を充分に保護し、その貯蔵、保存安定性、充填包装適性等に優れ、更に、軟包装用袋を形成する積層材を構成する各素材について、その膜厚を薄層化し、その容器・包装ごみの減量化を図ることができ、従来の包装用材料としての積層材と仕較して、重量、厚さ等において、約10%〜30%位の減量化を図ることができるものである。
特に、本発明においては、ガスバリア性塗布膜を設けることにより、該無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との2層によるバリア性膜により、その相乗効果を奏することができ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を著しく向上させることがてきるという利点を有するものである。
【0071】
【実施例】
上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
パワ−;35kW
ライン速度;300m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbarで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。
この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕、および、ポリビニルピロリドン〔和光純薬株式会社製、Mw=25,000〕を、それぞれ、5%含む水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、ならびに、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部、および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分と、更に、N,N−ジメチルホルムアミド12.1部とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で1分間、加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(3).他方、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、ウレタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616)を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングし、乾燥被膜が1g/m2 であるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、そのラミネ−ト用接着剤層を介して、上記の(1)で製造したバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせてドライラミネ−トした。
更に、上記でドライラミネ−トしたバリア性層を構成する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ5μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、そのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0072】
実施例2
(1).上記の実施例1と同様にして、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、プラズマ処理面を形成した後、そのプラズマ処理面の全面に、上記の実施例1と同様にして、ガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(2).他方、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、ウレタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616)を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングし、乾燥被膜が1g/m2 であるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、そのラミネ−ト用接着剤層を介して、上記の(1)で製造したバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせてドライラミネ−トした。
更に、上記でドライラミネ−トしたバリア性層を構成する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ5μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、本発明にかかる積層材を製造した。
(3).更に、上記の実施例1と同様にして、上記で製造した積層材を2枚用意し、そのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。 次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0073】
実施例3
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出して、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チヤンバー内の真空度;5.2×10-6mbar
蒸着チヤンバー内の真空度;5.1×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力;60w・分/m2
フィルムの搬送速度;90m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、上記の実施例1と同様にしてプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した.
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。
この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕の5%水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で2分間加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(3).他方、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ5μmの溶融押出樹脂層を形成しながら、上記の(1)で製造したバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせて溶融押出ラミネ−トした。
更に、上記で溶融押出ラミネ−トしたバリア性層を構成する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、上記と同様に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ10μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、そのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0074】
実施例4
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記の実施例1と同様にして、プラズマ処理面を形成した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。
この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕の5%水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部、および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で2分間、加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(3).他方、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、ウレタン系接着剤(武田薬品工業株式会社製、商品名、A616)を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングし、乾燥被膜が1g/m2 であるラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、そのラミネ−ト用接着剤層を介して、上記の(1)で製造したバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせてドライラミネ−トした。
更に、上記でドライラミネ−トしたバリア性層を構成する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ10μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、そのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0075】
実施例5
(1).基材フィルムとして、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記の実施例1と同様にして、プラズマ処理面を形成した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−n−ブトキシジルコニウム(純度100%)100部、アセト酢酸エチル68部を加え、60℃で30分間攪拌し、ジルコニウムキレート化合物を得た。
この反応生成物の純度は77%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕の5%水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、上記で調製したジルコニウムキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で2分間加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(3).他方、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ10μmの溶融押出樹脂層を形成しながら、上記の(1)で製造したバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせて溶融押出ラミネ−トした。
更に、上記で溶融押出ラミネ−トしたバリア性層を構成する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、上記と同様に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂(三井デュボンポリケミカル株式会社製、商品面、AN−4228)を使用し、これを290℃位で溶融押出し、厚さ6μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、本発明にかかる積層材を製造した。
(4).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、そのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネート強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ貯蔵保存等に優れているものであった。
【0076】
比較例1
(1).厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
反応ガス混合比;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
パワ−;35kW
ライン速度;300m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbarで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成し、しかる後、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様のガスバリア性組成物を使用し、これを、上記で形成した蒸着膜のプラズマ処理面の面に、グラビアロ−ルコ−トによりコ−ティングし、次いで、120℃で1分間加熱処理して、厚さ1g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(2).他方、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを320℃位で溶融押出し、厚さ20μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、積層材を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その低密度ポリエチレンによるヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
【0077】
比較例2
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:240m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記の実施例1と同様にして、プラズマ処理面を形成し、更に、そのプラズマ処理面の面に、上記の実施例4と全く同様にして、ガスバリア性塗布膜を形成して、バリア性層を製造した。
(2).他方、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを320℃位で溶融押出し、厚さ20μmのヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層を形成して、積層材を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層材を2枚用意し、その低密度ポリエチレンによるヒ−トシ−ル性溶融押出樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の開口部から、スナック菓子を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、スナック菓子包装製品を製造した。
【0078】
実験例
上記の実施例1〜5、および、比較例1〜2で製造した積層材について、酸素透過度、水蒸気透過度、および、ヒ−トシ−ル強度を測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
上記の測定結果について、下記の表1に示す。
【0079】
(表1)
Figure 0004202723
上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・100%RH〕である。
【0080】
上記の表1に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかる積層材は、酸素バリア性、および、水蒸気バリア性等に優れているものであり、包装用材料として十分に使用に耐え得るものであった。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、ヒ−トシ−ル性樹脂層としての押出樹脂層を薄膜化し、更に、その溶融押出温度を低下させることにより、透明蒸着バリア性フィルムのバリア性を劣化させることなく、かつ、容器・包装ごみの減量化も可能とさせるものであり、而して、本発明は、更に詳しくは、ヒ−トシ−ル性樹脂層として、エチレン−メタクリル酸共重合体による溶融押出樹脂層に着目し、特に、エチレン−メタクリル酸共重合体を290℃位で溶融押出して厚さ5μm〜10μm位の溶融押出樹脂層を形成し、これをヒ−トシ−ル性樹脂層とすることができることに着目し、更に、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層を中使いすることに着目し、まず、少なくとも、基材フィルム、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層、および、エチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層を、例えば、上記の基材フィルムと、蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層とは、その基材フィルムの一方の面とバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面とを対向させて、あるいは、上記の蒸着用基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性層と、エチレン−メタクリル酸共重合体によるヒ−トシ−ル性押出樹脂層とは、そのバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面とヒ−トシ−ル性押出樹脂層の面とを対向させて、順次に積層して積層材を製造し、而して、その積層材を使用し、これを製袋して包装用袋を製造し、更に、その包装用袋内に、例えば、菓子、スナック食品、その他等の物品を充填包装して包装製品を製造して、上記の積層材は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性能に優れ、また、ラミネート強度等にも優れ、層間剥離(デラミ)等は認められず、更に、ヒートシール性能等にも優れ、これを使用して製袋した包装用袋は、機械的、化学的、あるいは、物理的強度において所定の強度等を有し、例えば、耐熱性、耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性、耐突き刺し性、その他等の諸堅牢性に優れ、更に、防湿性、防水性、防気性、保香性、断熱性、その他等に優れ、充填包装した内容物等を充分に保護し、その貯蔵、保存安定性、充填包装適性等に優れ、更に、包装用袋を形成する積層材を構成する各素材について、その膜厚を薄層化し、その容器・包装ごみの減量化を図ることができる極めて有用な包装用材料としての積層材およびそれを使用した包装用袋を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層材についてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる積層材についてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる積層材についてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図4】図1に示す本発明にかかる積層材を使用して製袋してなる軟包装用袋等からなる包装用袋についてその一例を示す概略的斜視図である。
【図5】図4に示すかる軟包装用袋等からなる包装用袋に内容物を充填包装した包装製品についてその一例を示す概略的斜視図である。
【図6】低温プラズマ化学蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
【図7】巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A 積層材
1 積層材
2 積層材
B 包装用袋
C 包装製品
1 基材フィルム
2 蒸着用基材フィルム
3 無機酸化物の蒸着膜
4 ガスバリア性塗布膜
5 バリア性層
6 ヒートシール性樹脂層
11 シ−ル部
12 開口部
13 軟包装用袋
14 内容物
15 上方のシ−ル部

Claims (5)

  1. 蒸着用基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を形成し、次に、上記で形成した無機酸化物の蒸着膜の面に、プラズマ処理によるプラズマ処理面を形成し、
    次いで、上記で形成したプラズマ処理面の面に、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 mM(OR 2 )n(式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物を使用し、これをコーティングしてガスバリア性塗布膜を形成してバリア性層を構成し、
    他方、基材フィルムの一方の面に、印刷模様層を形成し、
    次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、ラミネ−ト用接着剤層を介して、上記のバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせて、上記の基材フィルムとバリア性層とをドライラミネ−トし、
    しかる後、上記でドライラミネ−トしたバリア性層を構成する蒸着用基材フィルムの他方の面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂を使用し、これを270℃ないし290℃で溶融押出し、膜厚2〜15μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層を形成することを特徴とする積層材の製造法。
  2. 蒸着用基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を形成し、次に、上記で形成した無機酸化物の蒸着膜の面に、プラズマ処理によるプラズマ処理面を形成し、
    次いで、上記で形成したプラズマ処理面の面に、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 mM(OR 2 )n(式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物を使用し、これをコーティングしてガスバリア性塗布膜を形成してバリア性層を構成し、
    他方、基材フィルムの一方の面に、印刷模様層を形成し、
    次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂を290℃以下で溶融押出し、その溶融押出樹脂層を介して、上記のバリア性層を構成するガスバリア性塗布膜の面を対向させて重ね合わせて、上記の基材フィルムとバリア性層とを溶融押出ラミネ−トし、
    しかる後、上記で溶融押出ラミネ−トしたバリア性層を構成する蒸着用基材フィルムの他方の面に、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂を使用し、これを270℃ないし290℃で溶融押出し、厚さ2〜15μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層を形成することを特徴とする積層材の製造法。
  3. 厚さ2〜15μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層が、厚さ2〜10μmのエチレンーメタクリル酸共重合体による押出樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載する積層材の製造法。
  4. 厚さ2〜15μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層が、厚さ3〜6μmのエチレンーメタクリル酸共重合体による押出樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載する積層材の製造法。
  5. 厚さ2〜15μmのヒ−トシ−ル性押出樹脂層が、厚さ5μmのエチレンーメタクリル酸共重合体による押出樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項 1〜2のいずれか1項に記載する積層材の製造法。
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