JP3967124B2 - コンポジット缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンポジット缶に関し、更に詳しくは、ジュース、牛乳、酒、水、その他等の飲料、あるいは、ふりかけ、お茶漬け海苔、その他等の固形食品を充填包装するに適するコンポジット缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲料あるいは固形食品を充填包装するに適する包装用容器としては、種々のものが開発され、提案されているが、通常、ガラス、瓶、金属缶、合成樹脂成形容器、プラスチックフィルム製袋体、紙製容器、その他等の各種の包装用容器が使用されている。
これらの包装用容器は、充填包装作業適正、内容物の保護適正、製造コスト適正、流通販売適正、その他等の種々の適正を有し、広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、包装用容器等の使用量の増加によって、家庭から出るごみの過半数を容器用容器等の包装物が占めるにいたり、ごみ処理をめぐって環境問題が顕在化している状況である。
このため包装容器等のリデュ−ス、リユ−ス、リサイクル等が、その対策としてあげられ、これらに対して適性のある容器用容器等の包装物が求められるようになってきている。
すなわち、容器用容器等の包装物を、軽量化、小容積化し、ごみの量を減らすこと、更に、包装用容器等を捨てる時に、押し潰したりあるいは折り畳みが可能で、ごみとして嵩張らないようにできること(リデュ−ス)、包装用容器等を回収し再使用できること(リユ−ス)、更には、包装用容器等を分別して収集することで材料としての再利用がし易いこと(リサイクル)等が、包装容器等の包装物の環境対応として求められているものである。
従来、包装用容器等として、ガラス瓶、金属缶等が多く用いられており、回収して再利用化されているが、その回収等において、未だ十分でないという問題点があり、更に、その容器重量が重く、嵩高く、捨てる際に押し潰し、折り畳みにより減量・減容化ができないという環境上の問題点もある。
また、プラスチック成形容器、例えば、ポリエステル成形容器等においても、使用後の排出時点で押し潰したりあるいは折り畳みにより減量・減容化がしずらいという問題点がある。
更に、回収し、再生して他の用途に適用することが試みられているが、回収及び再製品化において、未だ十分であるとは言い得ないという環境上の問題点がある。
また、プラスチックフィルム製袋体、紙製容器等においては、例えば、酸素ガス、水蒸気等に対するパリアー性材料として、アルミニウム箔等が使用されていることから、燃焼ゴミとして廃棄しても、燃焼炉を破壊する等の問題点があり、更に、層間にあるアルミニウム箔等を分別回収することも極めて困難であるという問題点がある。
そこで本発明は、充填包装作業適正、内容物の保護適正、製造コスト適正、流通販売適正、その他等の種々の適正を有し、かつ、ゴミ問題等を引き起こさない包装用容器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルムと紙との積層材に着目し、まず、筒状コンポジット缶胴部、該筒状コンポジット缶胴部の下端部に取り付けた底蓋部、および、該筒状コンポジット缶胴部の上端部に取り付けたプルタフ付き上蓋部からなるコンポジット缶において、上記の筒状コンポジット缶胴部を、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、カップ原紙を順次に積層した積層材、または、上記の積層材を構成するカップ原紙の他端に、更に、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材を使用し、該積層材をスパイラル巻き状、ラップシ−ル状、あるいは、平巻き状に巻いて筒状コンポジット缶胴部を製造し、また、上記の底蓋部と上蓋部とを、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、カップ原紙、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成し、更にまた、上記のプルタブも、少なくとも、紙基材、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成し、而して、これらの積層材を使用して通常の方法でコンポジット缶を製造し、次いで、そのコンポジット缶内に、飲料あるいは固形食品等の種々の物品を充填包装したところ、酸素ガス、水蒸気等に対する高いパリア性を有して内容物の保護適正、保存適性等に優れ、更に、コンポジット缶の製造作業、内容物の充填包装作業等も容易に行うことができて極めて高い充填包装加工適性を有し、かつ、コンポジット缶を電子レンジにかけても、十分にその電子レンジ適性を有し、また、使用後廃棄処理しても燃焼ゴミとして極めて廃棄処理適正に優れたコンポジット缶を製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、筒状コンポジット缶胴部と該筒状コンポジット缶胴部の下端部に取り付けた底蓋部、および、該筒状コンポジット缶胴部の上端部に取り付けたプルタブ付き上蓋部からなり、更に、上記の筒状コンポジット缶胴部を、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、カップ原紙を順次に積層した積層材、または、上記の積層材を構成するカップ原紙の他端に、更に、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材を使用して構成することを特徴とするコンポジット缶に関し、更に、上記のコンポジット缶において、底蓋部と上蓋部とを、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、カップ原紙、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成することを特徴とするコンポジット缶に関し、更にまた、上記のコンポジット缶において、プルタブを、少なくとも、紙基材、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成することを特徴とするコンポジット缶に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかるコンポジット缶の構成についてその具体例を例示して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかるコンポジット缶の構成を示す概略的断面図であり、図2は、本発明にかかるコンポジット缶について別の形態からなるコンポジット缶の構成を示す概略的断面図であり、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、図11、および、図12は、上記の本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成あるいは構造の構成を示す概略的断面図あるいは概略的構成図である。
【0007】
まず、本発明にかかるコンポジット缶Aについて、その一例を図示すれば、図1に示すように、筒状コンポジット缶胴部1、 該筒状コンポジット缶胴部1の下端部にヒ−トシ−ル等により取り 付けた底蓋部2、および、該筒状コンポジット缶胴部1の上端部にヒ−トシール等により取り付けた上蓋部3からなり、更に、該上蓋部3には、内容物4等を充填あるいは取り出すための開口部5を有し、かつ、該開口部5を密閉するプルタブ6が、ヒートシール等により取り付けられている構成からなるものである。
【0008】
次にまた、本発明にかかるコンポジット缶について別の形態からなるコンポジット缶Bを例示すると、図2に示すように、筒状コンポジット缶胴部1、該筒状コンポジット缶胴部1の下端部にヒ−トシール等により取り付けた底蓋部2、およぴ、該筒状コンポジット缶胴部1の上端部にヒ−トシール等により取り付けた上蓋部3からなり、更に、該上蓋部3には、内容物4等を取り出すための開口部5を有し、かつ、該開口部5を密閉するプルタブ6が、ヒートシール等により取り付けられ、更に、上記の底蓋部2に、内容物4を充填する充填口7が穿設され、更に、内容物4を充填後に、該充填口7が、充填口シール材8でヒートシール等により再開鎖されている構成からなるものである。
【0009】
上記において、筒状コンポジット缶胴部を構成する積層材として、その一例を挙げれば、図3および図4に示すように、外側から、少なくとも、ヒートシール性樹脂層21、強度に優れた樹脂フィルム層22、無機酸化物の蒸着膜23とガスバリア性塗布膜24とを有する樹脂フィルム25、および、カップ原紙26を順次に積層した積層材C(図3)、あるいは、上記に例示した積層材Cにおいて、カップ原紙26の他面に、更に、ヒートシール性樹脂層21aを順次に積層した積層材C1(図4)から構 成されるものである。
而して、本発明において、上記の積層材を使用して、筒状コンポジット缶胴部を製造するには、従来公知の方法で製造することができ、例えば、スパイラル巻き状の筒状コンポジット缶胴部を製造する例を例示すれば、図5および図6に示すように、まず、上記の積層材C(C1)を使用して、筒状コンポジット缶胴部を形成するための帯状積層材27を製造し、更に、該帯状積層材27に折り返し縁部28を形成し、次いで、該帯状積層材27のヒ−トシ−ル性樹脂層21(21a)がマンドレル29に接するように、スパイラル巻きし、次いで、スパイラル巻きした帯状積層材27の縁部28を熱風によって加熱することにより、重なり部分を熱融着することにより長尺筒状コンポジット缶胴部30を製造し(図5)、しかる後、長尺筒状コンポジット缶胴部30を所望の長さに切断することで、筒状コンポジット缶胴部30aを製造することができる(図6)。
その他、本発明においては、筒状コンポジット缶胴部は、図示しないが、例えば、上記の積層材を使用し、上記のようなスパイラル巻き状でなく、例えば、ラップシ−ル状、あるいは、平巻き状等に巻いて、熱融着方式あるいは接着剤による方式等により、ヒ−トシ−ル性樹脂層、カップ原紙等の相互間で接着してシール部等を形成することによって筒状コンポジット缶胴部を製造することができるものである。
上記において、筒状コンポジット缶胴部の内面側にある積層材の端面が露出する場合には、内容物の浸透等を防止するために、例えば、端部の端面をスカイブヘミング加工するとか、あるいは、テープ貼り加工を行う等の端面処理加工を行うことが望ましいものである。
【0010】
次に、上記において、底蓋部と上蓋部とを構成する積層材として、その一例を挙げれば、図7に示すように、外側から、少なくとも、ヒートシール性樹脂層31、強度に優れた樹脂フィルム層32、カップ原紙33、無機酸化物の蒸着膜34とガスバリア性塗布膜35とを有する樹脂フィルム36、および、ヒートシール性樹脂層31aを順次に積層した積層材Dから構成されるものである。
而して、本発明において、上記の筒状コンポジット缶胴部に、上記の底蓋部あるいは上蓋部を取り付ける方法としては、前記の図1、図2に示すように、上記の筒状コンポジット缶胴部1を構成する積層材の下端部、および、上端部を内面側に折り込み、その折り込んだ間隙に、天面とこれに連接する筒状垂下部を有するメンコ状の底蓋部、および、上蓋部を、その筒状垂下部が上記の間隙において筒状コンポジット缶胴部と重なり合うように挿入し、しかる後、その両者をヒ−トシールしてシール部を形成して取り付ける方法で行う他、例えば、図8、図9および図10等に示すように、筒状コンポジット缶胴部1を構成する積層材の先端をカ−ルさせてフランジ部37を形成し、そのフランジ部37の天面に、底蓋部2と上蓋部3を構成する積層材を被せるかあるいは載置してして、その相互間にあるヒ−トシ−ル性樹脂層等を熱融着させて取り付ける方法(図8、図9)、更には、例えば、上記の筒状コンポジット缶胴部1を構成する積層材の下端部および上端部に、天面38とこれに連接するコ字状の嵌合部39を有する底蓋部2および上蓋部3を、そのコ字状の嵌合部39で嵌合させ、しかる後、その両者をヒ−トシールしてシール部を形成して取り付ける方法(図10)等により行うことができる。
なお、本発明において、上記のような構成からなる積層材を使用して底蓋部と上蓋部とを形成する代りに、例えば、通常のぶりき、アルミニウム板製の金具蓋を使用し、これを巻き締め形状に巻き締める方法、あるいは、紙製蓋、アルミニウム箔や紙製のシ−ト蓋(メンブラン)、あるいは、樹脂成形蓋等を使用し、これを接着剤を使用して接着させる方法、あるいは、熱融着接合する方法等によって底蓋部と上蓋部とを設けることができる。
【0011】
次に、本発明において、上記のプルタブを構成する積層材としては、その一例を挙げれば、図11に示すように、外側から、少なくとも、紙基材41、無機酸化物の蒸着膜42とガスバリア姓塗布膜43とを有する樹脂フィルム44、および、ヒ−トシール性樹脂層45を順次に積層した積層体Eで構成されるものである。
而して、本発明において、上記のようなプルタブを上蓋部に取り付けるには、図示しないが、例えば、上蓋部に内容物を充填あるいは取り出すための開口部を形成し、次いで、該開口部を密閉するために、上蓋部の外側にあるヒートシール性樹脂層の面と、プルタブの内側にあるヒートシール性樹脂層の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をヒ一トシールして加熱溶着させることによって取り付けることができる。
なお、本発明において、上記の上蓋部の開口部の切り口端面は、内容物がその瑞面から浸透するのを防止するために、図示しないが、例えば、該上蓋部の開口部の切り口端面にテープ貼り加工等の端面処理加工を施すことができる。
また、本発明において、上記のプルタブを取り付けるための加熱溶着度合いとしては、例えば、貯蔵中あるいは流通販売中においては、強固に固着し、その使用時においては該プルタフを引き剥がすことができる程度の易剥離性を有する程度の強度で加熱溶着していることが望ましい。
【0012】
次にまた、本発明において、上記の充填口シール材を構成する積層材としては、その一例を挙げれば、上記のプルタブを構成する積層材と同様に、図12に示すように、外側から、少なくとも、紙基材51、無機酸化物の蒸着膜52とガスバリア性塗布膜53とを有する樹脂フィルム54、および、ヒ一トシール性樹脂層55を順次に積層した積層体Fで構成されるものである。
而して、本発明において、上記のような充填口シール材を充填口に取り付けるには、図示しないが、例えば、底蓋部に内容物を充填するための充填口を形成し、次いで、該充填口から内容物を充填した後、該充填口を密閉するために、底蓋部の外側にあるヒ一トシール性樹脂層の面と、充填口シール材の内側にあるヒートシール性樹脂層の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をヒ一トシールして加熱溶着させることによって取り付けることができる。
おな、本発明において、上記の底蓋部の充填口の切り口端面は、内容物がその端面がら浸透するのを防止するために、図示しないが、例えば、該底蓋部の充填口の切り口端面にテープ貼り加工等の端面処理加工を施すことができる。
また、本発明において、上記の充填口シール材を取り付けるための加熱溶着度合いとしては、例えば、貯蔵中あるいは流通期間中において、強国に固着し、内容物の漏洩等を起こさないように強固に加熱溶善していることが望ましい。
なお、本発明において、上記の底蓋部の充填口から内容物を充填する場合、勿論、プルタブを粘着させてなる上蓋部が、筒状胴部に取り付けられていることは言うまでもないことである。
【0013】
上記に図示した例示のコンポジット缶は、本発明にかかるコンポジット缶の一例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
例えば、コンポジット缶の目的、内容物の種類、貯蔵形態、流通・販売形態、用途、その他等により、積層材の層構成、コンポジット缶の形態およぴそのシール形態、その他等を任意に選定して、種々の形態のコンポジット缶を製造することができるものである。
また、図示しないが、本発明においては、上蓋部の上方に、更に、オ−バ−キャップを取り付けることができるものである。
而して、上記のオ−バ−キャップとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、その他等の樹脂を使用し、これを、真空圧空成形、射出成形、その他等の成形法にて成形してなる透明ないし不透明のキャップを使用することができる。
【0014】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかるコンポジット缶を構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明にかかるコンポジット缶を構成する筒状コンポジット缶胴部、底蓋部,上蓋部、プルタブ、充填口シ−ル材等を形成する積層材を製造する材料、製造法等について説明すると、かかる材料としては、種々のものを使用することができる。
まず、本発明において、筒状コンポジット缶胴部、底蓋部,上蓋部、プルタブ、充填口シ−ル材等を形成する積層材の外側および内側等を構成するヒ−トシール性樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得るポリオレフイン系樹脂を使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト系触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルポン酸で変性した酸変性ポリオレフイン樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
而して、本発明において、上記のヒ−トシ−ル性樹脂層を形成する方法としては、例えば、上記のような樹脂の1種ないし2種以上を使用し、それを製膜化してなるフィルムないしシートをドライラミネ−ト積層するドライラミネ−ト法、上記の樹脂の1種ないし2種以上を使用し、それを溶融押出積層する溶融押出積層法、あるいは、上記の樹脂の1種ないし2種以上を含む組成物を使用し、それをコ−ティングないし印刷してなるコーティング法あるいは印刷法等を用いて形成することができる。
上記のヒ−トシ−ル性樹脂層の膜厚としては、約5μmないし300μm位、好ましくは、10μmないし100μm位が望ましい。
【0015】
次にまた、本発明において、筒状コンポジット缶胴部、底蓋部,上蓋部、プルタブ、充填口シ−ル材等を形成する積層材を構成する強度に優れた樹脂フィルムについて説明すると、かかる強度に優れた樹脂フィルムとしては、例えば、筒状コンポジット缶胴部、底蓋部および上蓋部を構成する場合、基本素材の一つとなることから、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靭であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフイン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フツ素系樹脂、その他等の強靭な樹脂のフィルムないしシート、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
勿論、本発明においては、上記の強度に優れた樹脂フィルムは、筒状胴部、プルタブ、充填口シール材等を構成する積層材にも適用することができる。
【0016】
次に、本発明において、筒状コンポジット缶胴部、底蓋部,上蓋部、プルタブ、充填口シ−ル材等を形成する積層材を構成する無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルムについて説明すると、まず、無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して樹脂フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0017】
而して、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または、金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜4000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または、金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0018】
次に、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜を形成する方法についてその具体例を挙げると、図13は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図13に示すように、巻き取り式真空蒸着装置61の真空チャンバ−62の中で、巻き出しロ−ル63から繰り出す樹脂フィルム64は、ガイドロ−ル65、66を介して、冷却したコ−ティングドラム67に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム67上に案内された樹脂フィルム64の上に、るつぼ68で熱せられた蒸着源69、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口70より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク71、71を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化するものである。
次いで、本発明においては、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂フィルム64をガイドロ−ル72、73等を介して巻き取りロ−ル74等に巻き取って、本発明にかかる無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム64を製造することができる。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0019】
次にまた、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法等により形成することができ、具体的には、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて形成することができる。
更に具体的には、樹脂フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0020】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図14は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図14に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置81の真空チャンバ−82内に配置された巻き出しロ−ル83から樹脂フィルム84を繰り出し、更に、該樹脂フィルム84を、補助ロ−ル85を介して所定の速度で冷却・電極ドラム86周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置87、88および、原料揮発供給装置89等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル90を通して真空チャンバ−82内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム86周面上に搬送された樹脂フィルム84の上に、グロ−放電プラズマ91によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム86は、チャンバ−外に配置されている電源92から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム86の近傍には、マグネット93を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂フィルム84ををガイドロ−ル94等を介して巻き取りロ−ル95等に巻き取って、本発明にかかる無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルムを製造することができる。
なお、図中、96は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0021】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、樹脂フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の樹脂フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0022】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、樹脂フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより樹脂フィルムの表面が、清浄化され、樹脂フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と樹脂フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、樹脂フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0023】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、樹脂フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0024】
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、樹脂フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0025】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0026】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
なお、本発明において、無機酸化物の蒸着膜としては、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜を使用することにより、蒸着膜が屈曲性、耐引っ張り性、折り曲げ性等の加工適性に優れているため、本発明によるスパイラル巻き状のコンポジット缶の製造方法への適性にすぐれているものである。
【0027】
次に、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とをを有する樹脂フィルムを構成するガスバリア性塗布膜について説明すると、かかるガスバリア性塗布膜としては、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂〔以下(A)成分という。〕と、一般式R1 m M(OR2 )n ・・・・(1)(式中、Mは、金属原子を表し、R1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種〔以下(B)成分という。〕とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を使用することができるものである。
上記において、ガスバリア性組成物中には、含窒素有機溶剤を含有することが好ましく、また、無機微粒子〔以下(C)成分という。〕を含有することも好ましいものである。
また、上記において、(B)成分としては、(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解した後、(A)成分と混合してガスバリア性組成物を調製することができるものである。
【0028】
上記のガスバリア性組成物において、(A)成分を構成するポリビニルアルコ−ル系樹脂としては、ポリビニルアルコールおよびエチレン・ビニルアルコール系共重合体の群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。
上記(A)成分のうち、ポリビニルアルコールは、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものである。
このポリビニルアルコールとしては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコールでも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコールでもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコールの具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
また、(A)成分のうち、エチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものであり、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
エチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%である。
上記エチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
【0029】
以上の(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂のメルトフローインデックスは、210℃、荷重21.168N条件下で、1〜20g/10分、好ましくは1〜18g/10分である。
これらの(A)を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、1種単独で使用することも、あるいは、2種以上を混合して用いることもできる。
また、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、それ自体、ガスバリア性、耐候性、耐有機溶剤性、透明性、熱処理後のガスバリア性などに優れる。
加えて、(A)成分を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、本発明のガスバリア性組成物から得られる塗膜を硬化させる際に、ポリビニルアルコールに由来する繰り返し単位中に存在する水酸基が、後記(B)成分および/また(C)成分と共縮合することにより、優れた塗膜性能をもたらすことができる。
本発明のガスバリア性組成物における(A)成分の割合は、後記(B)成分100重量部に対し、10〜10,000重量部、好ましくは、20〜5,000重量部、さらに好ましくは、100〜1,000重量部である。
10重量部未満では、得られる塗膜にクラックが入りやすく、ガスバリア性が低下し、一方、10,000重量部を超えると、得られる塗膜が高湿度下ではガスバリア性が低下して好ましくないものである。
【0030】
次に、本発明に用いられる(B)成分としては、上記の一般式(1)で表される、金属アルコレート、該金属アルコレートの加水分解物、該金属アルコレートの縮合物、該金属アルコレートのキレート化合物、該キレート化合物の加水分解物および金属アシレートの群から選ばれた少なくとも1種を使用することができ、而して、(B)成分としては、その1種だけでもよいし、任意の2種以上の混合物であってもよい。
なお、上記の金属アルコレートの加水分解物としては、金属アルコレートに含まれるOR2 がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、上記の金属アルコレートの縮合物は、金属アルコレートの加水分解物のM−OH基が縮合してM−O−M結合を形成したものであるが、本発明では、M−OH基がすべて縮合している必要はなく、僅かな一部のM−OH基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物などをも包含した概念である。
さらに、上記の金属アルコレートのキレート化合物は、金属アルコレートと、β−ジケトン類、β−ケトエステル類、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸エステル、ケトアルコールおよびアミノアルコールから選ばれる少なくとも1種の化合物との反応で得られる。
これらの化合物の中でも、β−ジケトン類またはβ−ケトエステル類を用いることが好ましく、これらの具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどを挙げることができる。
また、上記のキレート化合物の加水分解物は、上記の金属アルコレートの加水分解物と同様に、キレート化合物に含まれるOR2 基がすべて加水分解されている必要はなく、例えば、その1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいは、これらの混合物であってもよい。
本発明において、(B)成分は、(A)成分との共縮合体を形成する作用をなすものと考えられる。
【0031】
上記の一般式(1)における、Mで表される金属原子としては、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムを好ましいものとして挙げることができ、特に好ましくはチタンである。
R1 の炭素数1〜8の1価の有機基は、一般式(1)で表される化合物が金属アルコレートである場合と金属アシレートである場合とで異なる。
金属アルコレートである場合には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基などのアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基などのほか、これらの基の置換誘導体などを挙げることができる。
R1 の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基などを挙げることができる。
ただし、これらの置換誘導体からなるR1 の炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。
また、金属アシレートである場合には、R1 の炭素数1〜8の1価の有機基としては、アセトキシル基、プロピオニロキシル基、ブチリロキシル基、バレリロキシル基、ベンゾイルオキシル基、トリオイルオキシル基などのアシルオキシル基を挙げることができる。
一般式(1)中に、R1 が2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
【0032】
また、R2 の炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基などを挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基などを挙げることができる。
一般式(1)中に複数個存在するR2 は、相互に同一でも異なってもよい。
【0033】
これらの(B)成分のうち、金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物の具体例としては、
(イ).テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウム化合物;
【0034】
(ロ).テトラ−i−プロポキシチタニウム、テトラ−n−ブトキシチタニウム、テトラ−t−ブトキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジヒドロキシチタンラクテート、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタニウムなどのチタン化合物;
【0035】
(ハ).トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウム化合物;
などを挙げることができる。
これらの金属アルコレートおよび金属アルコレートのキレート化合物のうち好ましいものとしては、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムおよびトリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムを挙げることができ、特に好ましい化合物はジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナート)チタニウム、ジヒドロキシ・ビスラクテタートチタニウムなどのチタン化合物である。
【0036】
また、金属アシレートの具体例としては、ジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテート、ジ−i−プロポキシ・チタンジプロピオネート、ジ−i−プロポキシ・チタンジマロニエート、ジ−i−プロポキシ・チタンジベンゾイレート、ジ−n−ブトキシ・ジルコニウムジアセテート、ジ−i−プロピルアルミニウムモノマロニエートなどを挙げることができ、特に好ましい化合物はジヒドロキシ・チタンジブチレート、ジ−i−プロポキシ・チタンジアセテートなどのチタン化合物である。
これらの(B)成分は、1種単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0037】
(B)成分としては、コーティング液の粘度経時変化がなく、扱いやすくなるため、後述の親水性溶媒中に記載されている水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したものを用いることが好ましい。
この場合、水の使用量は、一般式R1 m M(OR2 )n (1)で表される化合物1モルに対し、0.1〜1000モル、好ましくは、0.5〜500モルである。
また、混合溶媒の場合、水と親水性有機溶媒の配合割合は、水/親水性有機溶媒=10〜90/90〜10(重量比)、好ましくは、30〜70/70〜30、更に、好ましくは、40〜60/60〜40である。
【0038】
次に、本発明のガスバリア組成物としては、(C)成分である無機微粒子を含有することが好ましい。
上記の無機微粒子は、平均粒子径が0.2μm以下の実質的に炭素原子を含まない粒子状無機物質であり、金属またはケイ素酸化物、金属またはケイ素窒化物、金属ホウ化物が挙げられる。
無機微粒子の製造方法は、例えば、酸化ケイ素を得るには四塩化ケイ素を酸素と水素の炎中での加水分解により得る気相法、ケイ酸ソーダのイオン交換により得る液相法、シリカゲルのミルなどによる粉砕より得る固相法などの製造方法が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0039】
具体的な化合物例としては、SiO2 、Al2O3、TiO2、WO3、Fe2O3、ZnO、NiO、RuO2、CdO、SnO2、Bi2O3、3Al2O3・2SiO2、Sn−In2O3、Sb−In2O3、CoFeOxなどの酸化物、Si3N4 、Fe4N、AlN、TiN、ZrN、TaNなどの窒化物、Ti2B、ZrB2 、TaB2、W2Bなどのホウ化物が挙げられる。
また、無機微粒子の形態は、粉体、水または有機溶剤に分散したコロイドもしくはゾルが挙げられるが、これらは限定されるものではない。
これらの中で、(A)成分および/または(B)成分と共縮合することで優れた塗膜性能を得るために、好ましくは、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、アルミナゾル、スズゾル、ジルコニウムゾル、五酸化アンチモンゾル、酸化セリウムゾル、酸化亜鉛ゾル、酸化チタンゾルなどの粒子表面に水酸基が存在するコロイド状酸化物が用いられる。
無機微粒子の平均粒子径は、0.2μm以下、好ましくは、0.1μm以下であり、平均粒径が0.2μmを超えると、膜の緻密性の観点からガスバリア性が劣る場合がある。
【0040】
(C)成分の本発明の組成物中の割合は、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは、10〜900重量部、特に好ましくは、20〜400重量部である。
上記において、900重量部を超えると、得られる塗膜のガスバリア性が低下する場合がある。
【0041】
次に、本発明においては、本発明のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜をより速く硬化させる目的と、(A)成分と(B)成分との共縮合体を形成させ易くする目的で(D)硬化促進剤を使用してもよく、比較的低い温度での硬化と、より緻密な塗膜を得るために、この(D)硬化促進剤を併用する方が効果的である。
【0042】
上記の(D)硬化促進剤としては、塩酸などの無機酸;ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系化合物、
【0043】
(C4H9)2SnO、(C8H17)2SnO、または(C4H9)2SnO、(C8 H17)2SnOなどの有機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメ チル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどのエステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物などが使用される。
これらの(D)硬化促進剤のガスバリア性組成物中における割合は、本発明のガスバリア性組成物の固形分100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部用いられる。
【0044】
さらに、本発明のガスバリア性組成物には、安定性向上剤として、先に挙げたβ−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類を添加することができる。
すなわち、上記の(B)成分としてガスバリア性組成物中に存在する上記の金属アルコレート中の金属原子に配位することにより、(A)成分と(B)成分との縮合反応をコントロールする作用をし、得られるガスバリア性組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。
β−ジケトン類および/またはβ−ケトエステル類の使用量は、上記(B)成分における金属原子1モルに対し、好ましくは2モル以上、さらに好ましくは、3〜20モルである。
【0045】
本発明のガスバリア性組成物は、通常、上記(A)〜(D)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で溶解、分散することによって得られる。
ここで、親水性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコールまたは2価アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族のエーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の2価アルコールのエステル化合物;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒);ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、サリチル酸、サリチル酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸またはヒドロキシカルボン酸エステルなどを挙げることができる。これらのうち、好ましいものとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ピリジンなどの含窒素化合物(含窒素有機溶媒)を挙げることができる。
【0046】
これらの水および/または親水性有機溶媒は、水と親水性有機溶媒とを混合して用いられることがより好ましい。
好ましい溶媒の組成としては、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール、水/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
さらに好ましくは、水/炭素数1〜8の飽和脂肪族の1価アルコール/含窒素化合物(含窒素有機溶媒)である。
含窒素有機溶媒を混合することで、薄膜でのコーティングにおいて外観が透明で良好な塗膜が得られる。
【0047】
水および/または親水性有機溶媒の使用量は、ガスバリア性組成物の全固形分濃度が好ましくは60重量%以下となるように用いられる。
例えば、薄膜形成を目的に用いられる場合には、通常、5〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%であり、また厚膜形成を目的に使用する場合には、通常、20〜50重量%、好ましくは、30〜45重量%である。
ガスバリア性組成物の全固形分濃度が60重量%を超えると、組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
また、上記含窒素有機溶媒の割合は、溶媒全量中に、通常、1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0048】
なお、有機溶媒としては、上記の水および/または親水性有機溶媒が好ましいが、親水性有機溶媒以外に、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類なども使用できる。
【0049】
このように、本発明のガスバリア性組成物は、上記(A)〜(B)成分および場合により上記任意成分を、水および/または親水性有機溶媒中で混合することによって得られ、好ましくは上記(A)成分と(B)成分、必要に応じて(C)成分を、水および/または親水性有機溶媒中で、加水分解および/または縮合することによって得られる。
この際、反応条件は、温度は20〜100℃、好ましくは30〜80℃、時間は0.1〜20時間、好ましくは1〜10時間である。
得られるガスバリア性組成物の重量平均分子量は、一般的なGPC法によるポリメチルメタクリレート換算値で、通常、500〜100万、好ましくは1,000〜30万である。
【0050】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、得られる塗膜の着色、厚膜化、下地への紫外線透過防止、防蝕性の付与、耐熱性などの諸特性を発現させるために、別途、充填材を添加・分散させることも可能である。
ただし、充填材は、上記(C)成分を除く。
充填材としては、例えば、有機顔料、無機顔料などの非水溶性の顔料または顔料以外の、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の金属および合金ならびにこれらの酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、硫化物などが挙げられる。
この充填材の具体例としては、粒子状、繊維状もしくは鱗片状の、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、亜鉛、フェライト、カーボンブラック、ステンレス鋼、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、合成ムライト、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、クレー、ケイソウ土、消石灰、石膏、タルク、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、雲母、亜鉛緑、クロム緑、コバルト緑、ビリジアン、ギネー緑、コバルトクロム緑、シェーレ緑、緑土、マンガン緑、ピグメントグリーン、群青、紺青、ピグメントグリーン、岩群青、コバルト青、セルリアンブルー、ホウ酸銅、モリブデン青、硫化銅、コバルト紫、マルス紫、マンガン紫、ピグメントバイオレット、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、ジンクエロー、硫化鉛、クロム黄、黄土、カドミウム黄、ストロンチウム黄、チタン黄、リサージ、ピグメントイエロー、亜酸化銅、カドミウム赤、セレン赤、クロムバーミリオン、ベンガラ、亜鉛白、アンチモン白、塩基性硫酸鉛、チタン白、リトポン、ケイ酸鉛、酸化ジルコン、タングステン白、鉛亜鉛華、バンチソン白、フタル酸鉛、マンガン白、硫酸鉛、黒鉛、ボーン黒、ダイヤモンドブラック、サーマトミック黒、植物性黒、チタン酸カリウムウィスカー、二硫化モリブデンなどが挙げられる。
【0051】
これらの充填材の平均粒径または平均長さは、通常、50〜50,000nm、好ましくは100〜5,000nmである。
充填材の組成物中の割合は、充填材以外の成分の全固形分100重量部に対し、好ましくは、0.1〜300重量部、さらに好ましくは、1〜200重量部である。
【0052】
なお、本発明のガスバリア性組成物には、そのほか、オルトギ酸メチル、オルト酢酸メチル、テトラエトキシシランなどの公知の脱水剤、各種の界面活性剤、上記以外の、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、染料、分散剤、増粘剤、レベリング剤などの添加剤を配合することもできる。
【0053】
本発明のガスバリア性組成物を調製するに際しては、上記(A)〜(B)成分、好ましくは(A)〜(C)成分を含有する組成物を調製すればよいが、好ましくは、上記(B)成分を水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中で加水分解したのち、(A)成分を混合する。
このようにすると、ガスバリア性組成物の経時的な粘度変化がなく、取り扱い性に優れたガスバリア性組成物が得られる。
(C)成分を用いる場合の本発明のガスバリア性組成物の調製方法の具体例としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
これらの調製方法において用いられる(B)成分は、水または水と親水性有機溶媒を含む混合溶媒中であらかじめ加水分解したものを用いてもよい。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(A)成分に(C)成分を添加したのち、(B)成分を添加し、加水分解および/または縮合する方法。
水および/または親水性有機溶剤に溶解させた(B)成分に、(C)成分を添加し、加水分解および/または縮合を行ない、そののちに(A)成分を添加する方法。
水および/または親水性有機溶剤に(A)〜(C)成分を一括添加し、溶解・分散する方法。または、そののちに加水分解および/または縮合を行う方法。
【0054】
而して、本発明においては、上記で調製したガスバリア性組成物を使用し、これを、前述の無機酸化物の蒸着膜の上に塗布することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。
本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコード、アプリケータなどの塗装手段により、1回あるいは複数回の塗装で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μmの本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができ、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾燥することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、密着性等を高めるために、プライマ−剤等を塗布することもできるものである。
【0055】
次に、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とをを有する樹脂フィルムを構成する樹脂フィルムについて説明すると、かかる樹脂フィルムとしては、これらが無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等を保持する基材であること等から、まず、無機酸化物の蒸着膜、ガスバリア性塗布膜等の形成条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持し得ることができること、その他等の条件を充足し得る各種の樹脂フィルムを使用することができる。
本発明において、上記の樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明においては、上記の樹脂フィルムの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0056】
本発明において、上記の各種の樹脂フィルムとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、上記の各種の樹脂フィルムの膜厚としては、6〜200μm位、より好ましくは、9〜100μm位が望ましい。
【0057】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0058】
また、本発明において、各種の樹脂フィルムの表面は、無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂フィルムの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層、その他等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0059】
次にまた、本発明において、筒状コンポジット缶胴部、底蓋部,上蓋部、プルタブ、充填口シ−ル材等を形成する積層材を構成するカップ原紙あるいは紙基材としては、これが、コンポジット缶としての成型性、耐屈曲性、あるいは、剛性等を保持させるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の各種の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、カップ原紙としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2位のものを使用することが望ましいものである。
なお、本発明においては、上記のようなカップ原紙には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様、その他等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で印刷描画されていてもよい。
【0060】
次にまた、本発明において、プルタブあるいは充填口シール材に使用される紙基材としては、プルタブあるいは充填口シール材としての賦形性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他等の紙基材を使用することができる。
上記において、紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量的100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
勿論、本発明においては、紙基材と、上記に挙げた強度に優れた樹脂フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシート等を積層させてその両者を併用して使用することができる。
【0061】
なお、本発明において、本発明にかかるコポジット缶に適応する上蓋部としては、上記のプルタブ方式以外にも種々の方式を用いることができる。
例えば、筒状コンポジット缶胴部の上端部にヒ−トシ−ル性を有する蓋材により全面にヒ−トシ−ルする方法が上げられる。
更に、該上蓋部の一部を開口し易いように円状に切れ目をいれた層と上層部フィルムを軽接着に積層させた蓋材を用い、コンポジット缶に蓋材をシ−ル後、上層部のフィルムを剥がすことにより開口部を形成する方法が挙げられる。
更にまた、開閉可能なヒンジ部を有するキャップ等を用いることもできる。
【0062】
ところで、本発明において、本発明にかかるコンポジット缶を構成する積層材としては、上記のような材料の他に、更に、必要ならば、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシート、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリアー性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリピニルアルコール系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシート等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
上記のフィルムないしシートの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0063】
また、本発明において、上記の上蓋部の開口部あるいは底蓋部の充填口の切り口端面を処理するために貼り合わせるテープとしては、例えば、上記のような、強度に優れた樹脂フィルム層、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア姓塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒ−トシール性樹脂層等を順次に積層してなるテープを使用することが望ましい。
これを使用することにより、本発明にかかるコンポジット缶は、総て、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルムを有するコンポジット缶とすることができるという利点を有するものである。
【0064】
更に、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を更に任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン〜アクリル酸エチル共重合体、エチレンーアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリフテン系樹脂、ポリ塩化ピニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹胎、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ピニルー塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーポネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体のケン化物、フツ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に選択して使用することができるものである。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押出成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0065】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層材を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、Tダイ押出成形法、共押出ラミネーション法、インフレーション法、共押出インフレーション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理、その他等の前処理を基材に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいは、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知の前処理、アンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
【0066】
次に、本発明において、上記のような積層材を使用してコンポジット缶を製造する方法について説明すると、前述のように、例えば、上記のような積層材を使用し、これから筒状コンポジット缶胴部を製造し、しかる後、該筒状コンポジット缶胴部の底部、頭部等に上蓋部、底蓋部等を取り付けて、種々の形態のコンポジット缶を製造することができる。
また、その形状は、丸型、角形聖、その他等のいずれの形態のものでも製造することができる。
【0067】
本発明において、上記のようにして製造したコンポジット缶は、例えば、ジュース、牛乳、酒、水、その他等の各種の飲料の充填包装に適する紙缶、紙コップ等として、また、ふりかけ、お茶漬け海苔、その他等の固形食品の充填包装に適する紙缶に使用することができる。
更に、本発明にかかるコンポジット缶は、接着剤、粘着剤等の各種の化学品、クリーム、化粧液等の各種の化粧品、医薬、検査薬等の各種の医薬品、洗剤等の各種の雑貨品、その他等の物品の充填包装に使用されるものである。
【0068】
【実施例】
上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
実施例1
(1).厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
パワ−;35kW
ライン速度;300m/min
次に、上記で膜厚200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbarで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕、および、ポリビニルピロリドン〔和光純薬株式会社製、Mw=25,000〕を、それぞれ、5%含む水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、ならびに、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部、および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分と、更に、N,N−ジメチルホルムアミド12.1部とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で1分間、加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(3).他方、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの上に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで該塗布面 に、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、上記と同様にして、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで該塗布面に、上記の二軸 延伸ナイロン6フィルムと低密度ポリエチレンフィルムとの積層体の二軸延伸ナイロン6フィルムの面を対向させて積層し、これをドライラミネートした。
次いで、上記で作成した積層体の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmで押し出しながら、坪量110g/m2)のカップ原紙を、押出サンドラミネートして、筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を製造した。
(4).次に、上記と同様にして、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア姓塗布膜の面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2 )、次いで、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ30μmで押出ながら、坪量250g/m2のカップ原紙を 、押出サンドラミネートし、更に、該カップ原紙の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ15μmに押出ラミネートして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、次にまた、該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、底蓋部と上蓋部に使用する積層材を製造した。
(5).次にまた、上記と同様にして、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する厚さ12μmの二延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2 )、次いで、該塗布面に、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化珪素の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ30μmで押し出しながら、坪量80g/m2の片艶晒クラ フト紙を押出サンドラミネートして、プルタブに使用する積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を使用し、まず、その一方の端部を折り返し、次いで、折り返し部及びヒ−トシール性樹脂層を内部にしてスパイラル状に巻き回し、次いで、その重なり部分を熱風によりヒ−トシールして筒状コンポジット缶胴部を製造した。
次に、上記の筒状コンポジット缶胴部の下端部と上端部を内側に折り込み、次いで、該折り込み部に間隙を形成した。
他方、上記で製造した底蓋部および上蓋部に使用する積層材を使用し、予め、天面とこれに隣接する筒状垂下部を有するメンコ状の底蓋部と上蓋部を形成しておき、その筒状垂下部が上記の筒状コンポジット缶胴部の上下の間隙において筒状コンポジット缶胴部と重なり合うように挿入し、しかる後、その両者をヒ一トシールしてシール部を形成して、筒状コンポジット缶胴部の上下に、それぞれ、上蓋部と底蓋部を取り付けて、本発明にかかるコンポジット缶を製造した。
なお、上記の上蓋部を構成する積層材は、予め、内容物を充填し、あるいは、取り出すための開口部を形成し、開口部の切り口端面は、内容物がその端面から浸透するのを防止するために、該上蓋部の開口部の切り口端面にテープ貼り加工等の端面処理加工を施し、次いで、まず、該開口部から内容物を充填包装し、しかる後、該開口部に上記のプルタブを貼り合わせて、本発明にかかるコンポジット缶を使用した包装製品を製造した。
上記の包装製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有し、また、使用後は燃焼ゴミとして廃棄し何らの支障もなかった。
(7).なお、上記の筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材として、上記の(2)て製造した積層材に代えて、更に、上記の(2)で製造した積層材を構成するカップ原紙の他面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、低密度ポリエチレン樹脂層を形成して、筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を製造し、以下、これを使用し、それ以外は、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様に本発明にかかるコンポジット缶を製造し、更に、それを使用した包装製品を製造した。
【0069】
実施例2
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルにに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar
電子ビ−ム電力:25kW
フィルムの搬送速度:420m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、上記の実施例1と同様にして、プラズマ処理面を形成して、本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
(2).他方、還流冷却器、攪拌機を備えた反応器に、テトラ−i−プロポキシチタン100部、アセチルアセトン70部を加え、60℃で30分間攪拌し、チタンキレート化合物を得た。この反応生成物の純度は75%であった。
次に、(A)成分として、エチレン・ビニルアルコール共重合体〔日本合成化学株式会社製、商品名、ソアノールD2935、ケン化度;98%以上、エチレン含量;29モル%、メルトフローインデックス;35g/10分〕の5%水/n−プロピルアルコール溶液(水/n−プロピルアルコール重量比=40/60)100部と、上記で調製したチタンキレート化合物2部とn−プロピルアルコール16.8部および水11.2部を混合して、55℃で4時間加水分解した(B)成分とを、40℃で混合して2時間攪拌し、本発明のガスバリア性組成物を得た。
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、120℃で2分間加熱処理して、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)のガスバリア性塗布膜を形成して、酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア製塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを製造した。
(3)、他方、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの上に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで、該塗布面に、厚さ60μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、上記と同様にして、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで、該塗布面に、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムと低密度ポリエチレンフィルムとの積層体の2軸延伸ナイロン6フィルムの面を対向させて重ね合わせ、次いで、その両者をドライラミネートした。
次に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmで押出ながら、坪量280g/m2のカッ プ原紙を押出サンドラミネートし、更に、該カップ原紙の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を製造した。
(4).次に、上記と同様にして、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで、該塗布面に、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ30μmで押し出しながら、坪量250g/m2の カップ原紙を押出サンドラミネートし、更に、該カップ原紙の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ15μmに押出ラミネートして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、次にまた、該二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、底蓋部と上蓋部に使用する積層材を製造した。
(5).次にまた、上記と同様にして、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで、該塗布面に、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを使用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレシテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ30μmで押し出しながら、坪量80g/m2の片 艶晒クラフト紙を押出サンドラミネートして、プルタブに使用する積層材を製造した。
(6).厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガスバリア性塗布膜の面に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を塗布し(乾燥状態で5g/m2)、次いで 、該塗布面に、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルムを俵用し、これをドライラミネートした。
次に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ30μmで押出ながら、坪量220g/m2のカッ プ原紙を押出サンドラミネートし、更に、該カップ原紙の面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、充填口シール材に使用する積層材を製造した。
(7).次に、上記で製造した筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を使用し、まず、その一方の端部を折り返し、次いで、折り返し部及びヒ−トシール性樹脂層を内部にしてスパイラル状に巻き回し、次いで、その重なり部分を熱風によりヒ−トシールして筒状コンポジット缶胴部を製造した。
次に、上記の筒状コンポジット缶胴部の下端部と上端部を内側に折り込み、次いで、該折り込み部に間隙を形成した。
他方、上記で製造した底蓋部および上蓋部に使用する積層材を使用し、予め、天面とこれに連接する筒状垂下部を有するメンコ状の底蓋部と上蓋部を形成しておき、その筒状垂下部が上記の筒状胴部の上下の間隙において筒状胴部と重なり合うように挿入し、しかる後、その両者をヒ一トシールしてシール部を形成して、筒状コンポジット缶胴部の上下に、それぞれ、上蓋部と底蓋部を取り付けて、本発明にかかるコンポジット缶を製造した。
なお、上記の上蓋部を構成する積層材には、予め、内容物を取り出すための開口部を形成し、開口部の切り口端面は、内容物がその端面がら浸透するのを防止するために、該上蓋部の開口部の切り口端面にテープ貼り加工等の端面処理加工を施し、次いで、該開口部には、予め、上記のプルタフを貼り合わせおいた。
他方、上記の底蓋部を構成する積層材には、予め、内容物を充填するための充填口を形成し、充填口の切り口端面は、内容物がその端面から浸透するのを防止するために、該底蓋部の充填口の切り口端面にテープ貼り加工等の端面処理加工を施し、次いで、該充填口から内容物を充填し、しかる後該充填口を上記の充填口を密閉する充填口シール材でヒ−トシールして密閉して、本発明にかかるコンポジット缶を使用した包装製品を製造した。
上記の包装製品は、高度のバリア性を有し、内容物の充填包装適性を有し、また、使用後は燃焼ゴミとして廃棄し何らの支障もなかった。
(8).なお、上記の筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材として、上記の(2)て製造した積層材に代えて、更に、上記の(2)で製造した積層材を構成するカップ原紙の他面に、低密度ポリエチレンを使用し、これを厚さ20μmに押出ラミネートして、低密度ポリエチレン樹脂層を形成しないで、筒状コンポジット缶胴部に使用する積層材を製造し、以下、これを使用し、それ以外は、上記の実施例1と全く同様にして、上記の実施例1と同様に本発明にかかるコンポジット缶を製造し、更に、それを使用した包装製品を製造した。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルムと紙との積層材に着目し、まず、筒状コンポジット缶胴部、該筒状コンポジット缶胴部の下端部に取り付けた底蓋部、および、該筒状コンポジット缶胴部の上端部に取り付けたプルタフ付き上蓋部からなるコンポジット缶において、上記の筒状コンポジット缶胴部を、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、カップ原紙を順次に積層した積層材、または、上記の積層材を構成するカップ原紙の他端に、更に、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材を使用し、該積層材をスパイラル巻き状、ラップシ−ル状、あるいは、平巻き状に巻いて筒状コンポジット缶胴部を製造し、また、上記の底蓋部と上蓋部とを、少なくとも、ヒートシール性樹脂層、強度に優れた樹脂フィルム層、カップ原紙、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成し、更にまた、上記のプルタブも、少なくとも、紙基材、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、および、ヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成し、而して、これらの積層材を使用して通常の方法でコンポジット缶を製造し、次いで、そのコンポジット缶内に、飲料あるいは固形食品等の種々の物品を充填包装して、酸素ガス、水蒸気等に対する高いパリア性を有して内容物の保護適正、保存適性等に優れ、更に、コンポジット缶の製造作業、内容物の充填包装作業等も容易に行うことができて極めて高い充填包装加工適性を有し、かつ、コンポジット缶を電子レンジにかけても、十分にその電子レンジ適性を有し、また、使用後廃棄処理しても燃焼ゴミとして極めて廃棄処理適正に優れたコンポジット缶を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるコンポジット缶の構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかるコンポジット缶について別の形態からなる包装用容器の構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図5】本発明にかかるコンポジット缶の構造についてその構成を示す概略的構成図である。
【図6】本発明にかかるコンポジット缶の構造についてその構成を示す概略的構成図である。
【図7】本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図8】本発明にかかるコンポジット缶の構造についてその構成を示す概略的断面図である。
【図9】本発明にかかるコンポジット缶の構造についてその構成を示す概略的断面図である。
【図10】本発明にかかるコンポジット缶の構造についてその構成を示す概略的断面図である。
【図11】本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図12】本発明にかかるコンポジット缶に使用される積層材の層構成を示す概略的断面図である。
【図13】物理気相成長法による巻き取り式蒸着機の概略的構成図である。
【図14】化学気相成長法による巻き取り式蒸着機の概略的構成図である。
【符号の説明】
1 筒状コンポジット缶胴部
2 底蓋部
3 上蓋部
4 内容物
5 開口部
6 プルタブ
7 充填口
8 充填口シール材
21 ヒートシール性層
22 強度に優れた樹脂フィルム層
23 無機酸化物の蒸着膜
24 ガスバリア性塗布膜
25 樹脂フィルム
26 カップ原紙
21a ヒートシール性樹脂層
31 ヒートシール性樹脂層
32 強度に優れた樹脂フィルム層
33 カップ原紙
34 無機酸化物の蒸着膜
35 ガスバリア性塗布膜
36 樹脂フィルム
31a ヒートシール性樹脂層
41 紙基材
42 無機酸化物の蒸着膜
43 ガスバリア性塗布膜
44 樹脂フィルム
45 ヒートシール性樹脂層
51 紙基材
52 無機酸化物の蒸着膜
53 ガスバリア性塗布膜
54 樹脂フィルム
55 ヒートシール性樹脂層
Claims (5)
- スパイラル巻きした積層材の重合縁部を熱融着したスパイラル巻き状の筒状コンポジット缶胴部と、該筒状コンポジット缶胴部の下端部に取り付けた底蓋部、および、該筒状コンポジット缶胴部の上端部に取り付けたプルタブ付き上蓋部からなり、更に、上記の筒状コンポジット缶胴部が、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒートシール性樹脂層、
2軸延伸ナイロンフィルムまたは2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムからなる強度に優れた樹脂フィルム層、
酸化珪素または酸化アルミニウムからなる無機酸化物の蒸着膜と、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 m M(OR 2 ) n (式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、
および、坪量80〜600g/m 2 の紙原紙からなるカップ原紙を順次に積層した積層材から構成され、
また、上記の底蓋部と上蓋部とが、少なくとも、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒートシール性樹脂層、
2軸延伸ナイロンフィルムまたは2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムからなる強度に優れた樹脂フィルム層、
坪量80〜600g/m 2 の紙原紙からなるカップ原紙、
酸化珪素または酸化アルミニウムからなる無機酸化物の蒸着膜と、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 m M(OR 2 )n(式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、
および、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成されていることを特徴とするコンポジット缶。 - 底蓋部が、内容物を充填する充填口と該充填口を閉鎖する充填口シ−ル材とを有する底蓋部からなることを特徴とする上記の請求項1に記載するコンポジット缶。
- 筒状コンポジット缶胴部を構成するカップ原紙が、更に、その表面に、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒ−トシ−ル性樹脂層を積層したことを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するコンポジット缶。
- プルタブが、少なくとも、坪量80〜600g/m 2 の紙原紙からなる紙基材、
酸化珪素または酸化アルミニウムからなる無機酸化物の蒸着膜と、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 m M(OR 2 )n(式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−ト の群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、
および、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成されていることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載するコンポジット缶。 - 充填口シ−ル材が、少なくとも、坪量80〜600g/m 2 の紙原紙からなる紙基材、
酸化珪素または酸化アルミニウムからなる無機酸化物の蒸着膜と、少なくとも、ポリビニルアルコ−ル系樹脂と、一般式R 1 m M(OR 2 )n(式中、Mは、金属原子を表し、R 1 は、同一または異なり、炭素数1〜8の有機基を表し、R 2 は、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基もしくはフェニル基を表し、mおよびnは、それぞれ0以上の整数を表し、m+nは、Mの原子価を表す。)で表される金属アルコレ−ト、該金属アルコレ−トの加水分解物、該金属アルコレ−トの縮合物、該金属アルコレ−トのキレ−ト化合物、該キレ−ト化合物の加水分解物および金属アシレ−トの群から選ばれた少なくとも1種とを含有するガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜とを有する樹脂フィルム、
および、ポリオレフィン系樹脂層からなるヒートシール性樹脂層を順次に積層した積層材で構成されていることを特徴とする上記の請求項2に記載するコンポジット缶。
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