JP7220990B2 - 包装袋および包装体 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、高分子フィルム基材の少なくとも片面に無機材料の蒸着膜が形成され、さらにその蒸着膜の上にポリ塩化ビニリデンの塗膜が積層されているフィルムが記載されている。
しかし、本発明者の知見によれば、従来のバリアフィルムにおいては、少なくとも水蒸気のバリア性について改善の余地があった。具体的には、従来のバリアフィルムを用いて物品を密封した場合、ある物品を密封した時には良好な水蒸気バリア性が得られるものの、別の物品を密封したときには必ずしも良好な水蒸気バリア性が得られない、または、水蒸気バリア性が経時により悪化してしまう場合があった。
1.
物品の収容に用いられる包装袋であって、
当該包装袋は、袋の内表面側から順に、ヒートシール層と、基材フィルム層と、金属原子含有無機物層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、保護フィルム層と、を備え、
当該包装袋に塩化カルシウムを入れて密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に72時間置いたときの前記包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下であり、包装袋に精製水を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に72時間置いたときの前記包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下である包装袋。
2.
1.に記載の包装袋であって、
前記保護フィルム層の水蒸気透過度が30[g/m2・day]以下である包装袋。
3.
1.または2.に記載の包装袋であって、
前記ヒートシール層が、ポリエチレン、ホモポリプロピレン、および、プロピレンと炭素数2または4~10のα-オレフィンとのランダム共重合体からなる群より選択される一種または二種以上を含む無延伸ポリプロピレンを含む層である包装袋。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の包装袋であって、
前記保護フィルム層が、延伸ポリプロピレンフィルムからなる包装袋。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の包装袋であって、
前記金属原子含有無機物層が、アルミニウム原子を含む包装袋。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の包装袋により、物品が密封された包装体。
7.
6.に記載の包装体であって、
前記物品の水分活性が0.01以上0.80以下である包装体。
8.
6.に記載の包装体であって、
前記物品の水分活性が0.80を超え1.00以下である包装体。
9.
7.または8.に記載の包装体であって、
前記物品が食品または医薬品である包装体。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタアクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
図1は、本実施形態の包装袋の一例(包装袋1)を示すものである。
包装袋1は、その内表面側から順に、ヒートシール層11、基材フィルム層12、金属原子含有無機物層13と、ポリ塩化ビニリデン含有層14、保護フィルム層15の5層を備えている(なお、以下において、金属原子含有無機物層13は、単に「無機物層13」とも表記する)。
図1の包装袋1は、図中の右側に開口部がある。なお、包装袋1は、2以上の開口部を有していてもよい。
包装袋1に塩化カルシウムを入れて密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に72時間置いたときの前記包装袋1の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下である。また、包装袋1に精製水を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に72時間置いたときの前記包装袋1の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下である。
この検討において、本発明者は、種々の物品を模したものとして、塩化カルシウム、または、精製水を、従来のバリアフィルムで密封して評価するなどした。つまり、吸湿性が高い塩化カルシウムをバリアフィルムで密封することにより吸湿防止のメカニズムを探り、精製水をバリアフィルムで密封することにより乾燥防止のメカニズムを探ることにした。
(1)塩化カルシウムの吸湿防止には十分な効果があるが、水の乾燥防止の効果は不足している。
(2)水の乾燥防止には十分な効果があるが、塩化カルシウムの吸湿防止の効果は不足している。
つまり、密封された物品が乾燥したものである場合、水蒸気は、包装袋の外表面側から内表面側に流れ、一方、密封された物品が水で湿ったものである場合、水蒸気は、その逆に流れると考えられるところ、従来のバリアフィルムは、水蒸気が「特定の方向」に流れるときには良好な水蒸気バリア性があるものの、その逆方向に流れる場合には必ずしも十分な水蒸気バリア性が得られなかったものと推定される(これは、上記(1)(2)の検討結果と整合する)。
包装袋1では、水蒸気バリア能が高いポリ塩化ビニリデン含有層14の更に外表面側に保護フィルム層15があるため、外気の湿気がポリ塩化ビニリデン含有層14にダイレクトに当たらない。つまり、過剰な湿気がポリ塩化ビニリデン含有層14に直接触れることがない。よって、水蒸気が包装袋1の外表面側から内表面側に流れる場合、ポリ塩化ビニリデン含有層14の水蒸気バリア性が十分に発揮され、また、ポリ塩化ビニリデン含有層14の劣化が抑えられる結果、乾燥した物品の吸湿抑制の効果が比較的長期間にわたって得られると推測される。
加えて、包装袋1においては、緻密な化学構造であり水蒸気を通しにくい無機物層13の外表面側に、さらに水蒸気バリア能が高いポリ塩化ビニリデン含有層14がある。よって、水蒸気が包装袋1の内表面側から外表面側に流れる場合、無機物層13が水蒸気の大部分を透過させず、わずかに透過した水蒸気はポリ塩化ビニリデン含有層14にブロックされる。この結果、湿った物品の乾燥抑制の効果が比較的長期間にわたって得られると推測される。
・ヒートシール層11
ヒートシール層11は、工業的・商業的に行われる条件でのヒートシール処理(熱融着処理)により包装袋1の開口部を閉じることができる性質を有するものである限り、特に限定されない。
ヒートシール層11としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-ペンテン-1、オクテン-1等のα-オレフィンの単独重合体若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(いわゆるLLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン-1ランダム共重合体、プロピレン・ブテン-1ランダム共重合体などから選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成された層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成された層などが挙げられる。
基材フィルム層12は、典型的には熱可塑性樹脂を含むものであり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。
基材フィルム層12には、包装袋1の強度を十分なものとしたり、無機物層13を安定的に存在させたりする役割が期待される。
基材フィルム層12の熱可塑性樹脂として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
基材フィルム層12は、ヒートシール層11と同様、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。
無機物層13を構成する無機物は、金属原子を含有する無機物である限り特に限定されず、例えば、金属や金属酸化物等が挙げられる。より具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4B族元素;セレン、テルル等の周期表6B族元素等の単体、合金または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
無機物層13は、無機物特有の緻密な(すき間が少ない)ミクロ構造により、水蒸気のバリア性に寄与するものである。
なお、この厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
ポリ塩化ビニリデンは、フィルムとしたとき、汎用的な合成樹脂の中では水蒸気透過率がかなり小さい樹脂として知られている。すなわち、ポリ塩化ビニリデン含有層14は、物品の吸湿抑制に重要な役割を果たす。
ポリ塩化ビニリデン含有層14は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む限り、特に限定されない。ここで「ポリ塩化ビニリデン系樹脂」とは、塩化ビニリデンモノマーに対応する構造単位を含むものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、公知の方法で製造することで得てもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等が挙げられる。
この場合は、水蒸気バリア性を安定させる観点から、無機物層13と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスからなる層の間に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解させて塗布したポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む層を設けることが好ましい。
このラテックスについては、従来公知の方法で製造してもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを、無機物層13または保護フィルム層15の表面に塗布し、そして乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン含有層14を形成してもよい。
特にこの場合、当該2層のうち、無機物層13の側の層については有機溶剤を用いて層形成し、保護フィルム層15の側の層についてはラテックスにより層形成することが好ましい。これは、(1)有機溶剤を用いて層形成するほうが無機物層13との接着性をより高められること、(2)一般にはラテックス形態のポリ塩化ビニリデンは安価であり、また、界面活性剤を含有させるなどで製造工程での帯電防止性に優れ、塵の付着などが抑えられること、等が理由である。
保護フィルム層15は、典型的には熱可塑性樹脂を含むものであり、好ましくは熱可塑性樹脂により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。
保護フィルム層15には、第一義的には、ポリ塩化ビニリデン含有層14が、外部からの衝撃を直接受けることを防ぎ、ポリ塩化ビニリデン含有層14が損傷して水蒸気バリア性が低下することを抑える役割(すなわち、ポリ塩化ビニリデン含有層14を保護する役割)が期待される。また、前述のように、水蒸気の流れが包装袋1の外表面側から内表面側である場合は、外気の湿気がポリ塩化ビニリデン含有層14にダイレクトに当たらないようにし、ポリ塩化ビニリデン含有層14の水蒸気バリア性が十二分に発揮されるようにする役割も期待される。
この理由は、1つには、延伸処理によって、保護フィルム層15単独での水蒸気バリア性が高まるためである。前述の「外気の湿気をポリ塩化ビニリデン含有層14にダイレクトに当てないようにする」という観点から、保護フィルム層15それ自体がある程度のガスバリア性(水蒸気バリア性)を有することが好ましく、この点で、保護フィルム層15は延伸フィルムであることが好ましい。
また、ヒートシール処理の際の変形のしにくさ、透明性などの点からも、保護フィルム層15は、延伸フィルムから構成されることが好ましい。
保護フィルム層15は、ヒートシール層11などと同様、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。
包装袋1は、上記5層以外の層を更に有してもよい。例えば、滑性層、帯電防止層等の種々のコーティング層やラミネート層をさらに有していてもよい。また、そのような層の位置は特に限定されない。
包装袋1は、包装袋1に塩化カルシウムを入れて開口部を密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に72時間置いたときの、包装袋1の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下であることが好ましい。この数値は、より好ましくは0.6[g/m2・day]以下であり、さらに好ましくは0.4[g/m2・day]以下であり、特に好ましくは0.3[g/m2・day]以下である。
また、包装袋1は、包装袋1に精製水を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に72時間置いたときの包装袋1の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が、0.8[g/m2・day]以下であることが好ましい。この数値は、より好ましくは0.6[g/m2・day]以下であり、さらに好ましくは0.4[g/m2・day]以下であり、特に好ましくは0.3[g/m2・day]以下である。
保護フィルム層15は、外気と直接接する層である。よって、ここの水蒸気透過度が低いことで、包装袋1全体としての水蒸気の透過性などを適切に設計しやすいと考えられる。
市販の樹脂フィルムから保護フィルム層15の素材を選ぶ場合には、水蒸気透過度がこの範囲にあるものを選択することが好ましい。
なお、無機物層13はそれ単独では存在し難く、また、ポリ塩化ビニリデン含有層14も通常は塗布で製膜されることから、これら3層をひとまとまりとして水蒸気透過度を検討することが望ましい。
包装袋1を製造する方法については、各構成要素の説明においても適宜述べているが、特に包装袋1の積層構造を得る方法について、改めてここで述べる。
包装袋1を構成する5層の積層フィルムは、任意の方法で製造すればよいが、好ましくは以下手順で製造することができる。
このフィルムは、無機物層13との接着性を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面処理が行われていてもよい。
形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセス等が挙げられる。
ここで用いることができるポリ塩化ビニリデン系樹脂や有機溶剤は、前述のとおりである。
塗布量は、通常0.05~5.0g/m2、好ましくは0.07~2.0g/m2、より好ましくは0.1~0.5g/m2である。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.02~3.1μm、好ましくは0.05~1.3μmである。これらは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
ここで用いることができるラテックスについては、前述のとおりである。
塗布量は、通常0.2~10.0g/m2、好ましくは0.5~5.0g/m2、より好ましくは0.8~3.0g/m2である。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.1~6.2μm、好ましくは0.2~1.8μmである。これらは、バリア性、透明性、残留有機溶媒量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
例えば、適当な熱可塑性樹脂(ポリプロピレン等)を含むフィルムを準備する。そして、このフィルムを、ドライラミネート法により上記(3-1)または(3-2)で形成されたポリ塩化ビニリデン含有層14と貼り合わせる。ドライラミネートの具体的な方法や、使用される接着剤などは、公知技術を適宜適用することができる。
無延伸ポリプロピレンフィルムなどのヒートシール性のある樹脂フィルム(熱可塑性樹脂フィルム)を、基材フィルム層12における無機物層13と反対側の面に貼り付けることで、ヒートシール層11を形成することができる。貼り付ける方法は、上記(4)と同様、ドライラミネート法を適用することができる。
図2は、本実施形態の包装体の一例(包装体5)を示すものである。
包装袋1の中に、物品3が収容されている。そして、包装袋1の右側の開口部がヒートシール処理されていることにより、物品3は包装袋1の中に密封されている(なお、密封手段は、ヒートシール処理のみに限定されるものではない)。
包装袋1は、図1におけるものと同様であり、特定の5層を備えている(図2には明示していない)。
なお、物品3の「乾燥度合い」「湿り具合」については、「水分活性」という指標で定量的に表現することができる。水分活性とは、一般に、物品中の自由水の割合を表す数値として知られており、物品を入れた密閉包装材内の水蒸気圧(P)とその温度における純水の蒸気圧(PO)の比(P/PO)により定義される。水分活性は、特に、食品の保存性の指標としてよく用いられる。水分活性は、常法に従い、コンウェイ法や電気抵抗式湿度センサー法などにより測定することができる。例えば、卓上型温湿度測定器ハイグロラボ(ロトロニック社製)により測定することができる。
本実施形態において、物品3の水分活性は、典型的には0.01~1.00である。
図3は、本実施形態の包装体の変形例を示すものである。
図3においては、小さな包装袋1Bにより物品3Bが密封された複数の個包装が、大きな包装袋1Cによりさらに密封されている。
図3においては、小さな包装袋1Bを構成するフィルムおよび/または大きな包装袋1Cを構成するフィルムが、図1で説明された5層構造の積層フィルムであり、そして袋の内表面側から、ヒートシール層11、基材フィルム層12、金属原子含有無機物層13、ポリ塩化ビニリデン含有層14および保護フィルム層15となっている(図3においては、これら層構成は図示されていない)。
また、小さな包装袋1Bと大きな包装袋1Cの両方が、特定の5層構成のフィルムであれば、物品3Bの吸湿抑制または乾燥抑制の効果をより一層得られると期待される。
基材フィルム層として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、エンブレット(登録商標)PET12)を準備した。このフィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム層上に厚みが10nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム層(無機物層)を形成した。
この無機物層の上に、以下の有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と、ラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層とを順次形成した。
まず、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(旭化成社製、サランレジンF216)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合有機溶媒(質量比:トルエン/メチルエチルケトン=1/2)に溶解させ、ポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液(固形分5質量%)を調製した。
次いで、このポリ塩化ビニリデン系樹脂溶液を、乾燥後の塗工量が0.2g/m2になるように酸化アルミニウム層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することにより、有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
続いて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(旭化成社製、サランラテックスL536B)を10%のアンモニア水で中和し、乾燥後の塗工量が0.9g/m2になるように有機溶剤系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層上にアプリケーターで塗工し、乾燥させて溶媒を除去することによりラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を形成した。
このようにして、ポリ塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを得た。
貼り合わせは、この延伸ポリエチレンフィルムのコロナ処理面に、接着剤(三井化学社製、タケラック(登録商標)A-310/タケネート(登録商標)A-3=12/1(質量比))を3.0g/m2塗布して、上記ラテックス系ポリ塩化ビニリデン系樹脂層と密着させることにより行った。
実施例1において、保護フィルム層を、厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(商品名:T.U.X(登録商標)FCS#25 三井化学東セロ社製)に変えた以外は実施例1と同様にして包装袋を得た。
実施例1において、保護フィルム層を、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:エンブレットPET12 ユニチカ社製)に変えた以外は実施例1と同様にして包装袋を得た。
実施例1において、保護フィルム層を、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(商品名:エンブレムONBC-15 ユニチカ社製)に変えた以外は実施例1と同様にして包装袋を得た。
OPP:2軸延伸ポリプロピレン
PVDC:ポリ塩化ビニリデン
ALO:酸化アルミニウム
PET:ポリエチレンテレフタレート
CPP:無延伸ポリプロピレン
ONY:2軸延伸ナイロン
(1)水蒸気透過度の測定 その1
各実施例および比較例で得られた袋内に、内容物として塩化カルシウムを8g入れ、袋の入り口をヒートシールして密封し、包装体を得た。
この包装体を、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境下に72時間(丸3日)保管した。保管前後の包装体の質量を測定し、その質量差を求めた。求めた値を、袋の内表面積(0.01m2)および評価時間(3日)で割り算することで、袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度[g/m2・day]を算出した。
上記「(1)水蒸気透過度の測定 その1」において、内容物として塩化カルシウム8gの代わりに精製水を10g入れた以外は同様にして包装体を得た。
この包装体を、40℃に設定したオーブンの中に設置することにより温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境下に72時間(丸3日)保管した。保管前後の包装体の質量を測定し、その質量差の絶対値を測定した。得られた質量差の絶対値を、袋の内表面積(0.01m2)および評価時間(3日)で割り算することで、袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度[g/m2・day]を算出した。
3、3B 物品
5 包装体
11 ヒートシール層
12 基材フィルム層
13 金属原子含有無機物層(無機物層)
14 ポリ塩化ビニリデン含有層
15 保護フィルム層
Claims (9)
- 物品の収容に用いられる包装袋であって、
当該包装袋は、袋の内表面側から順に、ヒートシール層と、基材フィルム層と、金属原子含有無機物層と、ポリ塩化ビニリデン含有層と、保護フィルム層と、を備え、
当該包装袋に塩化カルシウム8gを入れて密封して得た包装体を温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に72時間保管したとき、保管前後の前記包装体の質量を測定し、保管前後の前記包装体の質量差を、袋の内表面積および保管時間で割り算することで算出される、前記包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下であり、
当該包装袋に精製水10gを入れて密封して得た包装体を温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に72時間保管したとき、保管前後の前記包装体の質量を測定し、保管前後の前記包装体の質量差の絶対値を、袋の内表面積および保管時間で割り算することで算出される、前記包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が0.8[g/m2・day]以下であり、
JIS K 7129(2008)に準じて測定される、前記保護フィルム層の水蒸気透過度が20[g/m2・day]以下である包装袋。 - 請求項1に記載の包装袋であって、
JIS K 7129(2008)に準じて測定される、前記ヒートシール層の水蒸気透過度が10[g/m2・day]以下である包装袋。 - 請求項1または2に記載の包装袋であって、
前記ヒートシール層が、ポリエチレン、ホモポリプロピレン、および、プロピレンと炭素数2または4~10のα-オレフィンとのランダム共重合体からなる群より選択される一種または二種以上を含む無延伸ポリプロピレンを含む層である包装袋。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の包装袋であって、
前記保護フィルム層が、延伸ポリプロピレンフィルムからなる包装袋。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の包装袋であって、
前記金属原子含有無機物層が、アルミニウム原子を含む包装袋。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の包装袋により、物品が密封された包装体。
- 請求項6に記載の包装体であって、
前記物品の水分活性が0.01以上0.80以下である包装体。 - 請求項6に記載の包装体であって、
前記物品の水分活性が0.80を超え1.00以下である包装体。 - 請求項7または8に記載の包装体であって、
前記物品が食品または医薬品である包装体。
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