JPH09183179A - 複合蒸着フィルム - Google Patents

複合蒸着フィルム

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JPH09183179A
JPH09183179A JP35317495A JP35317495A JPH09183179A JP H09183179 A JPH09183179 A JP H09183179A JP 35317495 A JP35317495 A JP 35317495A JP 35317495 A JP35317495 A JP 35317495A JP H09183179 A JPH09183179 A JP H09183179A
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layer
vapor deposition
film
composite
deposition film
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JP35317495A
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English (en)
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Takeo Azuma
健夫 東
Masamichi Akatsu
正道 赤津
Shuji Terasaki
収二 寺崎
Tomoaki Sato
智明 佐藤
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防湿性に優れると共に屈曲等によるガスバリ
ヤー性の劣化が少なく、各種包装材料、特にエレクトロ
ルミネセンス素子、太陽電池、医薬品、食品、日常雑貨
などの包装分野に使用し得る複合蒸着フィルムを提供す
る。 【解決手段】 高分子フィルム基材層(A)、無機材料
蒸着層(B)、バリヤー性樹脂コーティング層(C)、
緩和層(D)の順に積層された複合フィルムにおいて、
緩和層(D)が、5(N/mm)≦緩和層の弾性率(G
Pa)×緩和層の厚み(μm)≦90(N/mm)を満
足することを特徴とする複合蒸着フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合蒸着フィルムに
関し、さらに詳しくは、防湿性に優れると共に屈曲等に
よるガスバリヤー性の劣化が少なく、各種包装材料、特
にエレクトロルミネセンス素子、太陽電池、医薬品、食
品、日常雑貨などの包装分野に使用し得る複合蒸着フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】工業部品や食品等の包装材・被覆材の中
には、透明性を損なわずに高度の防湿性、すなわちガス
バリヤー性を必要とするものが少なくない。このような
ガスバリヤー性を付与するために、例えば、ポリクロロ
トリフルオロエチレン(PCTFE)フィルム、ポリ塩
化ビニリデン(PVDC)フィルム、アルミニウム蒸着
フィルム、ケイ素酸化物蒸着フィルムなどがそれぞれ単
独で、あるいは各種フィルムと複合して使用されてい
る。
【0003】これらガスバリヤー性フィルムの中でも、
ケイ素酸化物蒸着フィルムなどの蒸着フィルムは、
(1)酸素ガスバリヤー性及び水蒸気バリヤー性が共に
良好であること、(2)蒸着層に印刷が可能であるこ
と、(3)ドライラミネーションなどにより、蒸着層上
に各種フィルムをラミネートして複合蒸着フィルムにす
ることができる。このため、包装材料や被覆材料として
使用されるガスバリヤー性フィルムには、ポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルムや延伸ポリプロピレ
ン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィル
ム等の高分子フィルムと蒸着層とからなる積層フィルム
が多用され、特開平1−202435号公報、特開平3
−71832号公報、特開平4−173137号公報、
特開平7−80986号公報等に開示されている。
【0004】このようなガスバリヤー性を有する防湿フ
ィルムは、水分を嫌う材料、例えば太陽電池やエレクト
ロルミネセンス(以下、「EL」と称す。)素子の封止
フィルムとしての使用が注目されている。太陽電池には
ガラス板で封止したシリコン単結晶やアモルファスシリ
コンが使用されて、屋外での使用や破損防止等の観点か
ら水蒸気等を防ぐためである。さらに近年では、太陽電
池やEL素子が薄型化・小型軽量化し、曲面や異型状で
発光させるなど、その形状や使用方法が多様化してい
る。このため封止フィルムには、従来の防湿性に加え薄
型化し、異型面でも十分な防湿性の維持がより強く要求
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、無機材料蒸着
フィルムの積層フィルムは、ガスバリヤー性には優れる
ものの一般に屈曲等によるガスバリヤー性の劣化が生じ
やすい。このため印刷、製袋などの二次加工を施した
り、屈曲を受ける用途に使用した場合などに蒸着層の破
壊が生じ易く、本来のガスバリヤー性が損なわれること
がある。特に太陽電池やEL素子の小型部品のガスバリ
ヤー性フィルムとして使用する場合には、使用面が曲面
を形成する場合が多く、ガスバリヤー性の低下を招く場
合が多い。さらに、蒸着フィルムは、蒸着層上に、他の
熱可塑性樹脂フィルムを溶融押出やドライラミネーショ
ンなどによりラミネートするが、前記作業中に蒸着層に
クラック(亀裂)が生じ易く、ガスバリヤー性が大きく
低下する場合がある。加えて、一般的にもプラスチック
フィルムの透湿度は厚みの増加に伴い減少し、例えばP
CTFEについても同様であることも知られている
(「日東技法」25巻、1号(1987))。このため
単に無機材料蒸着層や他の積層フィルムを厚くした場合
には、薄型化・小型軽量化の要請に応えることができな
い。このような現状において、小型化されたEL素子な
どの防湿のため、曲面での使用においても優れたガスバ
リヤー性、透明性を有する複合蒸着フィルムの開発が熱
望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、無機材料蒸
着フィルムについて鋭意研究した結果、高分子フィルム
基材層(A)、無機材料蒸着層(B)、バリヤー性樹脂
コーティング層(C)の順に積層されたフィルムに、さ
らに特定の弾性率を有する緩和層(D)を積層したとこ
ろ、優れたガスバリヤー性を有すると共に屈曲等による
ガスバリヤー性の変化が極めて少ない複合蒸着フィルム
が得られることを見い出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち本発明は、高分子フィルム基材層
(A)、無機材料蒸着層(B)、バリヤー性樹脂コーテ
ィング層(C)、緩和層(D)の順に積層された複合フ
ィルムにおいて、緩和層(D)が、5(N/mm)≦緩
和層の弾性率(GPa)×緩和層の厚み(μm)≦90
(N/mm)を満足することを特徴とする複合蒸着フィ
ルムを提供するものである。また、バリヤー性樹脂コー
ティング層(C)が塩化ビニリデン系樹脂、ポリカルボ
ン酸またはその部分中和物と糖類とを95:5〜20:
80(重量比)の割合で含有する組成物、ポリカルボン
酸またはその部分中和物とポリビニルアルコールとを9
0:10〜5:95(重量比)の割合で含有する組成物
のいずれかからなることを特徴とする前記複合蒸着フィ
ルムを提供するものである。さらに、高分子フィルム基
材層(A)の外側に表面保護層を積層したことを特徴と
する前記複合蒸着フィルムを提供するものである。さら
に、表面保護層がアクリル樹脂層からなることを特徴と
する複合蒸着フィルムを提供するものである。また、表
面保護層がフッ化ビニリデン系樹脂層を最外層とし、か
つ該最外層の内側にアクリル樹脂層を積層することを特
徴とする複合蒸着フィルムを提供するものである。加え
て、これらからなるエレクトロルミネセンス素子用複合
蒸着フィルムを提供するものである。以下、本発明を詳
細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の高分子フィルム基材層
(A)としては、例えばナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン12、ナイロン6・66共重合体、ナイロン6・
12共重合体などのポリアミド、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PE
N)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリ
エステル、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリプロピレ
ン(PP)等のポリオレフィン、ポリフェニレンサルフ
ァイドなどの高分子材料から形成されたフィルムを挙げ
ることができる。これらのフィルムは、未延伸フィルム
あるいは延伸フィルムのいずれでもよく、シート状物で
あってもよい。
【0009】高分子フィルム基材層は、表面平滑性、安
定性付与などのために各種添加剤を含んでいてもよい
が、真空蒸着時にそれらが表面にブリードすると、基材
層と蒸着層との密着性が低下するので、できるだけ添加
剤の含有量の少ない方が好ましい。また、高分子フィル
ム基材層は、PVDCの溶液や乳濁液を塗布製膜する際
の乾燥条件及び必要により、その後の熱処理条件に耐え
る程度の耐熱性を有するものが好ましい。加熱乾燥時や
熱処理時に軟化したり、寸法安定性が損なわれるような
耐熱性に乏しい高分子フィルムは、基材として好ましく
ない。高分子フィルム基材層としては、結晶融点または
ビカット軟化点温度が100〜380℃のものが好まし
い。なお、結晶融点はJIS K7121により、ビカ
ット軟化点温度はJIS K7206により測定するこ
とができる。前記高分子フィルムの中でも、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリエステルなどのフィルムが好ま
しく、特にPETが好ましい。なお、高分子フィルム基
材層の厚みは、特に限定されないが、柔軟性や経済性な
どの観点から、通常、5〜150μm、好ましくは5〜
100μmであり、特に好ましくは5〜30μmであ
る。
【0010】本発明の無機材料蒸着層(B)の蒸着源と
しては、蒸着フィルムの製造に通常用いられている金
属、金属酸化物、無機物、及び無機酸化物の無機材料を
使用することができる。具体的には、アルミニウム(A
l)、アルミニウム酸化物(Al2O3)、ケイ素酸化物
(SiOx、x=1〜2)、酸窒化ケイ素(SiOxN
y、x=0.6〜0.8、y=0.7〜0.9)などが
例示され、透明性、ガスバリヤー性の観点からはケイ素
酸化物が好ましい。
【0011】無機材料蒸着層(B)の厚みは、所望の透
明性または不透明性、色調、光沢、可撓性などにより任
意に定めることができるが、通常、10〜500nm、
好ましくは10〜300nm、より好ましくは10〜1
00nmである。蒸着層の厚みが薄すぎると、ガスバリ
ヤー性が低下し、また、高分子フィルム基材層から剥れ
易くなり、厚すぎると、取り扱い性が悪くなる。蒸着法
には、物理的蒸着法である真空蒸着法を用いて蒸着を行
うことが好ましい。基材層となる高分子フィルムを真空
蒸着装置内に設置し、蒸着装置内を真空にして、ケイ素
酸化物やアルミニウムなどの蒸着源を加熱蒸発させ、高
分子フィルム上に連続的に蒸着層を形成させる方法が好
ましい。
【0012】本発明のバリヤー性樹脂コーティング層
(C)としては、a)塩化ビニリデン系樹脂(PVDC
系樹脂)、b)ポリカルボン酸またはその部分中和物と
糖類とを95:5〜20:80(重量比)の割合で含有
する組成物、c)ポリカルボン酸またはその部分中和物
とポリビニルアルコールとを90:10〜5:95(重
量比)の割合で含有する組成物等を例示することができ
る。
【0013】本発明でバリヤー性樹脂コーティング層
(C)に使用するPVDC系樹脂とは、塩化ビニリデン
60〜98重量%と、これと共重合可能な他の単量体の
少なくとも一種2〜40重量%との共重合体をいう。共
重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル(V
C)、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸アル
キルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、メタク
リル酸、メタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の
炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタ
コン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロ
ピレン、イソブチレン、ブタジエンなどを挙げることが
できる。これらの単量体は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。また、
PVDC系樹脂の中でも、塩化ビニリデン(VD)含量
が70〜90重量%の塩化ビニリデン−塩化ビニル共重
合体(VD−VC共重合体)、VD含量が85〜98重
量%の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体、V
D含量が85〜98重量%の塩化ビニリデン−メタクリ
ル酸メチル共重合体などが好ましい。中でも、VD−V
C共重合体のVD/VCの重量組成比、88/12〜7
0/30重量%がより好ましく、最も好ましくは84/
16〜70/30重量%である。VD−VC共重合体の
VD含量が90重量%以上では、結晶化速度が増大し、
かつ溶剤への溶解性が低下し、塗膜形成が困難となる。
一方、70重量%以下では複合蒸着フィルムを構成した
場合のガスバリヤー性が低下する。
【0014】本発明では、ガスバリヤー性樹脂コーティ
ング層(C)に、ポリカルボン酸またはその部分中和物
と糖類とを95:5〜20:80で含有する組成物を使
用することができる。この混合割合の範囲外では、高湿
度条件下で良好なガスバリヤー性を得ることができな
い。この混合割合は、好ましくは90:10〜40:6
0、より好ましくは85:15〜50:50である。
【0015】本発明で使用するポリカルボン酸として
は、分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を含有す
るポリマーが好ましく、具体的には、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合
体、ポリマレイン酸、あるいはこれらの2種以上の混合
物などが好ましい。特にアクリル酸またはメタクリル酸
のホモポリマーや両者のコポリマーが好ましく、これら
の中でもアクリル酸のホモポリマーやアクリル酸が優位
量となるメタクリル酸とのコポリマーが、ガスバリヤー
性の点で、特に好適なものである。ポリカルボン酸の数
平均分子量は、2,000〜250,000の範囲が好
ましい。
【0016】本発明で使用するポリカルボン酸の部分中
和物は、前記のごときポリカルボン酸のカルボキシル基
をアルカリで部分的に中和して、カルボン酸塩とするこ
とにより得ることができる。アルカリとしては、例え
ば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウ
ム、アンモニア(アンモニア水を含む)などが挙げられ
る。部分中和物は、通常、ポリカルボン酸の水溶液にア
ルカリを添加し、反応させることにより調製する。ポリ
カルボン酸とアルカリの量比を調節することにより、所
望の中和度とすることができる。ポリカルボン酸の部分
中和物を使用する場合には、中和度の選択により、未中
和のポリカルボン酸を用いた場合と比較して、ガスバリ
ヤー性を更に向上させることができる。しかし中和度が
20%を越える場合には、ガスバリヤー性が低下する傾
向を示すため、ポリカルボン酸の部分中和物は、中和度
が0%を越え20%以下の範囲であることが好ましい。
この中和度は、より好ましくは0%を越え18%以下の
範囲、最も好ましくは5〜15%の範囲である。なお、
中和度は、下記の式により求めることができる。
【0017】
【数2】中和度=(A/B)×100(%) (式中、Aは部分中和されたポリカルボン酸1g中の中
和されたカルボキシル基のモル数を示し、Bは部分中和
する前のポリカルボン酸1g中のカルボキシル基のモル
数を示す。)
【0018】本発明では、糖類(糖質類ともいう)とし
て、単糖類、オリゴ糖類、及び多糖類を使用することが
できる。これらの糖類には、糖アルコールや各種置換体
・誘導体なども包含される。これらの糖類は水に溶解性
のものが好ましい。
【0019】単糖類は、一般式Cn2nnで表される
が、本発明で使用できる単糖類としては炭素数が5以上
のアルドースが好ましい。このような単糖類としては、
例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、キシ
ロースなどが挙げられ、その中でも、グルコースとガラ
クトースがより好ましい。単糖類は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。
【0020】本発明で使用できる糖アルコールとして
は、一般式Cn2n+1nで示される糖アルコールの内、
nが3〜6の糖アルコールを用いることが好ましい。糖
アルコールの具体例としては、ソルビトール、マンニト
ール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール、
グリセリンなどを挙げることができる。糖アルコール
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0021】本発明で使用できる多糖類としては、マン
ナンやグルカン等の中性多糖、ペクチン等の酸性多糖、
グルコサミンやガラクトサミンを構成糖として含む塩基
性多糖、各種澱粉等を使用することができる。またこれ
らの多糖類を有機酸や無機酸、さらにはそれらの多糖類
の加水分解酵素を触媒として、固相、液相または固液混
合相にて、必要に応じて熱を加えることにより、加水分
解して得られたもの、天然多糖類及びそれらに前述の加
水分解処理を施したものに、さらに加工処理を加えたも
のを使用することができる。これら天然多糖類及びその
加水分解生成物ならびにそれらの加工処理生成物の中で
も、水に可溶なものが好ましい。また、水に可溶な天然
多糖類及びその加水分解生成物ならびにそれらの加工処
理生成物の中でも、その構成単糖がグルコースであるホ
モ多糖類がより好ましい。グルコースのホモ多糖類とし
ては、例えば澱粉類、セルロース類、デキストラン、プ
ルラン、水溶性のキチン類、キトサン類等がある。
【0022】本発明において使用できる澱粉類として
は、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、モチトウモロコシ澱
粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サ
ゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)のほか、各種の加工
澱粉がある。これらの澱粉類の中でも、水に可溶性の加
工澱粉が好ましい。澱粉類は含水物であってもよい。ま
た、これらの澱粉類は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】本発明では、前記天然多糖類及びその加水
分解生成物ならびにそれらの加工処理生成物の代わり
に、それらの糖アルコールを用いることができる。ここ
でいう天然多糖類及びその加水分解生成物ならびにそれ
らの加工処理生成物の糖アルコールとは、それらの還元
性末端のC1位のカルボニル基を還元してアルコールに
したものをいう。それ以外にも、本発明では、糖の分子
鎖が環状につながったシクロデキストリン等の糖類も用
いることができる。本発明で使用する多糖類は、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0024】本発明では、ガスバリヤー性樹脂コーティ
ング層(C)として、ポリカルボン酸またはその部分中
和物とポリビニルアルコール(PVA)とを90:10
〜5:95(重量比)の範囲で含有する組成物を使用す
ることができる。この割合の範囲外では、PVA単体フ
ィルムの場合と比較して高湿度条件下で良好なガスバリ
ヤー性を得ることができない。この割合は、好ましくは
90:10〜10:90(重量比)、より好ましくは8
0:20〜20:80(重量比)である。
【0025】本発明で使用するPVAは、けん化度が通
常95%以上、好ましくは98%以上であり、平均重合
度が通常300〜2,500、好ましくは300〜1,
500である。なお、ポリカルボン酸およびその中和物
は、前記と同様のものを使用することができる。
【0026】本発明の緩和層(D)は、緩和層(D)の
弾性率(GPa)に緩和層の厚み(μm)を乗じた値
が、5(N/mm)≦緩和層の弾性率(GPa)×緩和
層の厚み(μm)≦90(N/mm)を満足することが
好ましく、より好ましくは15(N/mm)≦緩和層の
弾性率(GPa)×緩和層の厚み(μm)≦80(N/
mm)の範囲、特には、25(N/mm)≦緩和層の弾
性率(GPa)×緩和層の厚み(μm)≦70(N/m
m)の範囲であることが好ましい。この範囲で緩和層
(D)を設けることにより、曲面を多く有する小型部材
等の使用において、屈曲等によるガスバリヤー性の劣化
を抑制することができる。ここに弾性率とは、JIS
K−7127に従い、サンプルを幅20mm、長さ10
0mmとし、引張速度10mm/min、温度23℃、
60%RHの条件で、1%の歪において引張割線弾性率
によって測定したものをいう。緩和層(D)の弾性率
は、緩和層(D)の面方向に平行な方向の弾性率を指
す。本発明においては、MDおよびTDの各弾性率が共
に上記範囲に含まれることが好ましい。
【0027】緩和層(D)の構成物としては、弾性率
(GPa)と厚み(μm)との積が上記範囲にあれば特
に制限はなく、各種合成樹脂を使用することができる。
具体的には、低密度ポリエチレン、無延伸ポリアミド、
延伸ポリアミド、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロ
ピレン、ポリエチレンテレフタレート等を例示すること
ができる。なお、緩和層(D)の厚みは8〜100μm
の範囲、特には10〜80μmの範囲であることが、ラ
ミネート適性、実用性、経済性の観点から好ましい。
【0028】本発明の複合蒸着フィルムを製造するに
は、先ず、高分子フィルム基材層(A)の片面に無機材
料を蒸着源として高分子フィルム基材層の片面に無機材
料蒸着膜(B)を形成させる。次いでこの無機材料蒸着
層(B)の上にガスバリヤー性樹脂コーティング層
(C)を形成させる。この(A)、(B)、(C)三層
からなる膜を熱処理した後、緩和層(D)を必要に応じ
て接着剤を用いてガスバリヤー性樹脂コーティング層
(C)上に形成させる。
【0029】無機材料蒸着層(B)上にPVDC系樹脂
塗膜を形成させるには、PVDC系樹脂を有機溶媒に溶
解しまたは乳濁液などの分散液としこれを塗布する。ガ
スバリヤー性の点からは、有機溶媒に溶解させた溶液を
用いる方が好都合である。有機溶媒としてはテトラヒド
ロフラン、シクロへキサノン、またはそれらの混合溶媒
が好ましい。また分散液の場合には水系媒体が好まし
い。しかし塗布製膜法が適用される限り、これらの溶媒
または分散液に限定されるものではない。この溶媒また
は分散液を、例えばエアーナイフコーター、キスロール
コーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコ
ーター、リバースロールコーター、ディップコーター、
ダイコーターなどの装置、あるいはそれらを組み合わせ
た装置を用いて、蒸着フィルムの蒸着膜上にPVDC系
樹脂の溶液または分散液を所望の厚さに塗布し、次い
で、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タ
ワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングド
ライヤーなどの装置、あるいは、それらを組み合わせた
装置を用いて、熱風の吹付けや赤外線照射などにより溶
媒や水分を蒸発させて乾燥させる。乾燥は、通常、乾熱
雰囲気下で50〜200℃、好ましくは80〜150
℃、より好ましくは100〜130℃の範囲の温度、お
よび5秒〜90分間、好ましくは5秒〜60分間、より
好ましくは5秒〜30分間の範囲の時間の中から、PV
DC系樹脂塗膜がべとつかなくなるような条件を適宜選
択すればよい。
【0030】乾燥後、必要によりオーブンなどによりP
VDC系樹脂塗膜の熱処理を行うことが好ましい。例え
ば、乾燥後、PVDC系樹脂塗膜を形成した複合蒸着フ
ィルムを、35〜60℃、好ましくは40〜50℃のオ
ーブン中で、5〜70時間、好ましくは10〜50時間
程度熱処理することが好ましい。このような熱処理によ
り、PVDC系樹脂の結晶化が促進され、複合蒸着フィ
ルムのガスバリヤー性が更に向上する。
【0031】PVDC系樹脂塗膜の厚みは、使用目的に
応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、乾
燥後の厚みとして、通常、0.1〜25μm、好ましく
は0.5〜15μm、さらに好ましくは0.5〜5μm
程度である。
【0032】無機材料蒸着層(B)上にポリカルボン酸
またはその部分中和物と糖類とを含有する組成物の塗膜
を形成する場合は、以下の方法が適用できる。まず、ポ
リカルボン酸またはその部分中和物と糖類とを含有する
組成物は、各成分を水に溶解させる方法、各成分の水溶
液を混合する方法、糖類の水溶液中で(メタ)アクリル
酸モノマーやマレイン酸モノマーを重合させる方法、糖
類の水溶液中で(メタ)アクリル酸モノマーやマレイン
酸モノマーを重合させた後、アルカリで中和する方法な
どにより調製することができる。水以外の溶剤を用いて
混合物を調製してもよい。溶液の固形分濃度は、通常、
1〜30重量%程度とする。水溶液を作成する場合、所
望によりアルコールなどの水以外の溶剤や柔軟剤等を適
宜添加してもよい。上記水溶液をPVDC系樹脂塗膜で
記載したと同様にダイコーター等を用いて無機材料蒸着
層(B)上に塗布し、フローティングドライヤー等で乾
燥させる。この方法により、蒸着膜上に、ポリカルボン
酸またはその部分中和物と糖類との混合物からなる塗膜
を形成させ、次いで熱処理することによりフィルムを形
成させると、複合蒸着フィルムのガスバリヤー性が向上
する。
【0033】熱処理手段としては、オーブンや熱風など
の乾熱雰囲気だけではなく、例えば、熱ロールなどと接
触させる方法なども採用できる。乾熱雰囲気下における
熱処理条件は、好ましくは160〜250℃で、4時間
〜5秒間、より好ましくは180〜250℃で、2時間
〜5秒間、最も好ましくは200〜250℃で、30分
間〜5秒間である。熱ロールなどの加熱体との接触下に
おける熱処理条件は、好ましくは160〜250℃で、
180〜3秒間、より好ましくは180〜250℃で、
120〜3秒間、最も好ましくは200〜250℃で、
60〜3秒間である。いずれの熱処理条件においても、
熱処理温度が低い場合には、長い熱処理時間で熱処理を
行い、熱処理温度を高くするにしたがって熱処理時間を
短縮する。そして、所望のガスバリヤー性と耐水性が達
成され、一方では、所定の熱処理温度でフィルムの変色
や分解を生じない処理時間を採用する。生産性の観点か
らは、前記好ましい熱処理条件の範囲内において、比較
的高温の熱処理温度で、短時間の熱処理時間を採用する
ことが望ましい。ポリカルボン酸またはその部分中和物
と糖類との混合物から作成された塗膜は、水溶性である
が、熱処理することにより水や沸騰水に不溶性のフィル
ムとなる。
【0034】ポリカルボン酸またはその部分中和物と糖
類とを含有する組成物からなる層の厚みは、使用目的に
応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、乾
燥後の厚みとして、通常、0.1〜25μmであり、好
ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは0.5〜
5μm程度である。
【0035】無機材料蒸着層(B)上にポリカルボン酸
またはその部分水和物とPVAを含有する組成物を使用
する場合は、以下の方法を適用することができる。ま
ず、ポリカルボン酸またはその部分水和物とPVAを含
有する組成物は、各ポリマーを水に溶解さる方法、各ポ
リマーの水溶液を混合する方法、PVA水溶液中で(メ
タ)アクリル酸モノマーやマレイン酸モノマーを重合さ
せる方法、PVA水溶液中で(メタ)アクリル酸モノマ
ーやマレイン酸モノマーを重合させた後、アルカリで中
和する方法などにより調製することができる。水以外の
溶剤を用いて混合物を調製してもよい。溶液のポリマー
濃度は、通常、5〜30重量%程度とする。水溶液を作
成する場合、所望によりアルコールなどの水以外の溶剤
や柔軟剤等を適宜添加してもよい。上記水溶液をPVD
C系樹脂塗膜で記載したと同様にダイコーター等を用い
て無機材料蒸着層(B)上に塗布し、フローティグドラ
イヤー等で乾燥させる。
【0036】得られた塗膜はその後熱処理を行うことが
好ましい。熱処理手段としては、オーブンや熱風などの
乾熱雰囲気だけではなく、例えば、熱ロールなど接触さ
せる方法なども採用できる。乾熱雰囲気下における熱処
理条件は、好ましくは160〜250℃で、4時間〜5
秒間、より好ましくは180〜250℃で、2時間〜5
秒間、最も好ましくは200〜250℃で、30分間〜
5秒間である。熱ロールなどの加熱体との接触下におけ
る熱処理条件は、好ましくは160〜250℃で、18
0〜3秒間、より好ましくは180〜250℃で、12
0〜3秒間、最も好ましくは200〜250℃で、60
〜3秒間である。いずれの熱処理条件においても、熱処
理温度が低い場合には、長い熱処理時間で熱処理を行
い、熱処理温度を高くするにしたがって熱処理時間を短
縮する。そして、所望のガスバリヤー性と耐水性が達成
され、一方では、所定の熱処理温度でフィルムの変色や
分解を生じない処理時間を採用する。生産性の観点から
は、前記好ましい熱処理条件の範囲内において、比較的
高温の熱処理温度で、短時間の熱処理時間を採用するこ
とが望ましい。PVAとポリカルボン酸またはその部分
中和物との混合物から得られる塗膜は、水溶性である
が、熱処理することにより水や沸騰水に不溶性のフィル
ムとなる。
【0037】PVAとポリカルボン酸またはその部分中
和物との組成物からなる層の厚みは、使用目的に応じて
適宜定めることができ、特に限定されないが、乾燥後の
厚みとして、通常、0.1〜25μmであり、0.5〜
15μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度であ
る。
【0038】緩和層(D)は、上記(A)、(B)、
(C)三層膜のガスバリヤー性樹脂コーティング層
(C)上に、通常のドライラミネート法により積層する
ことが好ましい。具体的には、(C)層にドラミネート
用接着剤を塗布し、乾燥させ、その上に(D)層を積層
した後、加熱したロールで圧着し、その後の熱処理によ
り接着剤を硬化させる。本発明を阻害しない範囲で、
(D)層の上に更に他の層を積層しても構わない。ま
た、本発明を阻害しない範囲であれば、押出しラミネー
ト法等の他の積層方法を用いても構わない。
【0039】本発明の複合蒸着フィルムは、高分子フィ
ルム基材層(A)または緩和層(D)の表面層上に、所
望により付加的に他の層を積層して使用することができ
る。例えば、複合蒸着フィルムのヒートシール性が不充
分な場合には、ヒートシール可能な層を常法により積層
して使用することができる。ヒートシール層としては、
例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、エチレン・
アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸塩共重合
体、エチレン・エチルアクリレート共重合体等のポリオ
レフィン系重合体、ナイロン6・66共重合体、ナイロ
ン6・12共重合体などのナイロン共重合体等から形成
された層を挙げることができる。
【0040】さらに、本発明の複合蒸着フィルムを緩和
層(D)を介して、(A)(B)(C)(D)(C)
(B)(A)のごとく積層して使用することもできる。
この場合、各(A)層は同一の組成物であっても異なっ
ていてもよく、同様に各(B)層および各(C)層も同
一の組成物であっても異なっていてもよい。このフィル
ムにさらに付加的に他の層(E)を積層し、(A)
(B)(C)(D)(C)(B)(A)(E)のごとく
積層して使用することもできる。加えて、本発明の複合
蒸着フィルムに付加的に他の層を積層した場合は、さら
に表面保護層(F)を積層して使用することもできる。
本発明の複合蒸着フィルムを上述のごとく(A)(B)
(C)(D)(C)(B)(A)(E)として使用する
場合には、(F)(A)(B)(C)(D)(C)
(B)(A)(E)の順に積層して使用することもでき
る。
【0041】表面保護層(F)は、耐候性、紫外線遮断
性の観点から紫外線吸収剤を含有していることが好まし
い。表面保護層(F)に配合される紫外線吸収剤として
は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノ
アクリレート系、サリチル酸系、ハイドロキノン系の紫
外線吸収剤を使用することができる。これらの中でもベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、吸収波長領域が2
80〜360nmと広く、特に好ましい。また、紫外線
吸収剤の配合割合は、表面保護層(F)を構成する樹脂
100重量部に対し、紫外線吸収剤が0.2〜15重量
部含有されていることが好ましい。配合量が0.2重量
部以下では、紫外線遮断効果が十分でなく、一方、15
重量部以上では、紫外線吸収剤の影響で着色したり、樹
脂からブリードアウトする場合がある。
【0042】表面保護層(F)を構成するフィルムの種
類は、例えば、耐候性を付与するためにフッ化ビニリデ
ン系樹脂フィルムもしくはアクリル系樹脂フィルム、ま
たはフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを外層フィルムと
し、第2層をアクリル系樹脂フィルムとした2層積層体
フィルムを設けることができる。
【0043】表面保護層(F)がアクリル系樹脂からな
る場合には、アクリル樹脂またはアクリル樹脂100〜
50重量部とフッ化ビニリデン樹脂0〜50重量部の混
合物であることが耐候性および紫外線遮断性の点で好ま
しい。
【0044】表面保護層(F)がフッ化ビニリデン系樹
脂からなる場合には、フッ化ビニリデン樹脂またはフッ
化ビニリデン樹脂100〜60重量部とアクリル樹脂0
〜40重量部の混合物であることが長期間の耐候性が得
られる点で好ましい。
【0045】表面保護層(F)がフッ化ビニリデン系樹
脂フィルムを外層フィルムとし、第2層をアクリル系樹
脂フィルムとした2層積層体フィルムである場合には、
フッ化ビニリデン系樹脂フィルムは、フッ化ビニリデン
樹脂またはフッ化ビニリデン樹脂100〜60重量部と
アクリル樹脂0〜40重量部の混合物からなるフィルム
であって、厚さは2〜180μmであることが好まし
い。また第2層のアクリル系樹脂フィルムは、アクリル
樹脂単独またはアクリル樹脂100〜50重量部とフッ
化ビニリデン樹脂0〜50重量部の混合物からなるフィ
ルムであって、厚さは20〜198μmであることが好
ましい。
【0046】表面保護層の厚みは上記の他、積層フィル
ムの使用目的等に応じて適宜選択することができるが、
透明性、加工性の点で3〜200μmであることが好ま
しく、特に好ましくは5〜200μmである。
【0047】本発明における複合蒸着フィルムにおいて
付加的に他の層を設け、各層間の接着性が不十分な場合
には、接着剤層を配置してもよい。そのための接着剤と
しては一般に各種フィルムのドライラミネート等に使用
されているウレタン系、アクリル系、ポリエステル系な
どの各種接着剤を挙げることができる。本発明の複合蒸
着フィルムの各層には、所望により、酸化防止剤、滑
剤、紫外線吸収剤、顔料、充填剤、帯電防止剤などの各
種添加剤を添加することができる。
【0048】本発明の複合蒸着フィルムは、各種包装材
料として使用することができる。特にエレクトロルミネ
センス素子、太陽電池、医薬品、食品、日常雑貨などの
包装分野に好適に使用できる。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】物性の測定法は次のとおりである。 (1)弾性率 JIS K−7127に従い、サンプルを幅20mm、
長さ100mmとし、引張速度10mm/min、温度
23℃、60%RHの条件で、1%の歪における引張割
線弾性率(1% secant modulus)を測
定した。 (2)透湿度透過度 JIS K−7129 B法に従い、40℃、90%R
Hの条件で測定した。 (3)耐屈曲疲労性(ゲルボ試験) MIL−B131Cに従い、30cm×20cm(12
インチ×8インチ)の試料片を直径9cm(3.5イン
チ)の円筒状とした。理学工業(株)製ゲルボフレック
ステスターを用いて、前記試験片の両端を保持させ、初
期把持間隔18cm(7インチ)とし、ストロークの9
cm(3.5インチ)で440度のネジリを加えた後、
6cm(2.5インチ)でそのまま直線圧縮する工程
(試験動作A)からなる全15cm(6インチ)の動作
の繰り返し往復運動を毎分40回(サイクル)の速さ
で、25℃、50%RHで10回屈曲させた。各フィル
ムについてゲルボ試験前後の透湿度を測定し、耐屈曲疲
労性を評価した。 (4)イエローインデックス(黄色度) JIS K−7103の反射法に従い、標準白板(3刺
激値:X=95.22、Y=93.35、Z=112.
97)をあて板に使用し、色差計(日本電色工業製色差
計Σ80)を用い3刺激値を測定した。{(1.28X
−1.06Z)/Y}×100をイエローインデックス
として算出した。 (5)耐候性試験 スガ試験機(株)製カーボンアーク式サンシャインウェ
ザーメーター(SUNSHINE SUPER LON
G−LIFE WEATHER METERWEL−S
UN−HC型)を用いて、ブラックパネル温度63℃、
2時間中18分の降雨条件のサイクル、1,000時間
で耐候性試験を行った。各フィルムについて、照射前、
照射500時間及び1,000時間の透湿度およびイエ
ローインデックスを測定し、耐候性を評価した。
【0051】(製造例1)VD/VCの組成比が88/
12(重量比)であるPVDC系樹脂をシクロヘキサノ
ンに溶解し、濃度20%(固形分20%)の溶液を調製
し、これに酢酸エチルを溶媒とした二液混合性のウレタ
ン系樹脂接着剤(東洋モートン(株)製:主剤ポリエス
テル系「AD−590」、硬化剤イソシアネート系「C
AT−56」;AD−590/CAT−56=100/
16)をPVDC系樹脂/接着剤(AD)=95/5
(重量比)の割合で配合したPVDC系樹脂・接着剤組
成物溶液を調製した。厚み12μmのPETフィルムに
厚み30nmでSiOXを蒸着させた蒸着フィルム(尾
池工業(株)社製[MOS−TB])の蒸着面上に、上
記PVDC系樹脂・接着剤組成物溶液をスムージングロ
ールを併用したグラビア方式で塗工し、乾燥は110℃
で行った。コーティング層の厚さは3μmとした。得ら
れたフィルムを蒸着フィルム1とする。
【0052】(製造例2)PVAとしてクラレ(株)製
のポバール105(けん化度98.5%、平均重合度5
00)を用い、ポリアクリル酸(PAA)として和光純
薬工業(株)製のPAA25重量%水溶液(数平均分子
量150,000)を用いた。PAA水溶液に水酸化ナ
トリウムを計算量添加することによって、中和度10%
のPAA部分中和物(PAANa)を調製した。次い
で、PVA:PAANa=30:70(重量比)の混合
物を含有する水溶液(濃度10重量%)を調製した。厚
み12μmのPETフィルム上に厚み30nmのSiO
Xを蒸着させた蒸着フィルム(尾池工業(株)社製[M
OS−TB])の蒸着層上に、上記水溶液を卓上コータ
ー(RK Print−Coat Instrumen
ts社製K303 PROOFER)を用い、メイヤー
バーでコーティングし、次いで、ドライヤーを用いて水
を蒸発させて、厚み2μmの乾燥塗膜を得た。この乾燥
塗膜が形成された蒸着フィルムをオーブン中で200℃
で15分間熱処理し、蒸着フィルム2を得た。更に、P
AANaとPVAとからなる組成物の面上に接着剤(東
洋モートン(株)社製「AD−953(主剤)、CAT
−10(硬化剤)」)を用い、複合蒸着フィルム2を得
た。
【0053】(製造例3)PAAとして和光純薬工業
(株)製のPAA25重量%水溶液(数平均分子量15
0,000)を用いた。PAA水溶液に水酸化ナトリウ
ムを計算量添加することによって、中和度10%のPA
ANaを調製した。一方、糖類として、和光純薬工業
(株)製の可溶性澱粉(馬鈴薯澱粉を酸により加水分解
処理し、水溶性にしたもの)を用いて、この10重量%
水溶液を調製した。上記PAANa水溶液と可溶性澱粉
水溶液を用いて、PAANa:可溶性澱粉=70:30
(重量比)の混合物を含有する水溶液(濃度10重量
%)を調製した。厚み12μmのPETフィルム上に厚
み30nmのSiOxの蒸着膜を形成した蒸着フィルム
(尾池工業(株)社製[MOS−TB])の蒸着膜上
に、上記水溶液を卓上コーター(RK Print−C
oat Instruments社製K303 PRO
OFER)を用い、メイヤーバーでコーティングし、次
いで、ドライヤーを用いて水を蒸発させて厚み2μmの
乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜が形成された蒸着フィル
ムをオーブン中で200℃で15分間熱処理し、蒸着フ
ィルム3を得た。更に、PAANaと糖類からなる組成
物の面上に接着剤(東洋モートン(株)社製「AD−9
53(主剤)、CAT−10(硬化剤)」)を用い、複
合蒸着フィルム3を得た。
【0054】(実施例1〜5)製造例1で得られた蒸着
フィルム1のコーティング層に接着剤(東洋モートン
(株)社製「AD−953(主剤)、CAT−10(硬
化剤)」)を用い、表−1に示す各緩和層(D)を積層
し各複合蒸着フィルムを得た。これを用いて耐屈曲疲労
性を測定した。結果を表−1に示す。なお、表中のLD
PEは低密度ポリエチレン、CNyは無延伸ポリアミ
ド、ONyは延伸ポリアミド、CPPは無延伸ポリプロ
ピレン、OPPは延伸ポリプロピレンを示す。
【0055】(比較例1〜4)製造例1で得られた蒸着
フィルム1のコーティング層に接着剤(東洋モートン
(株)社製「AD−953(主剤)、CAT−10(硬
化剤)」)を用い、表−2に示す各緩和層(D)を積層
し各複合蒸着フィルムを得た(比較例4は緩和層(D)
を設けていない)。これを用いて耐屈曲疲労性を測定し
た。結果を表−2に示す。
【0056】(実施例6)第1層としてフッ化ビニリデ
ン樹脂(PVDF:230℃、3.8kg条件でのメル
トフローインデックス=3.0)、第2層としてメチル
メタアクリレート樹脂80重量部とブチルアクリレート
樹脂20重量部との混合であるアクリレート樹脂(23
0℃、3.8kg条件でのメルトフローインデックス=
1.5)に対し前記PVDFを重量比1/4(PVDF
/アクリレート樹脂)で混合した混合樹脂に、当該混合
樹脂100重量部に対しベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤(チバガイギー社製「チヌビンP」)3重量部を配
合した樹脂組成物を、共押出法により第1層の厚さ5μ
m、第2層の厚さ45μmの表面保護フィルムを得た。
得られた表面保護フィルムの第2層と実施例1の複合蒸
着フィルムのPET層側とを接着剤(東洋モートン
(株)社製「AD−953(主剤)、CAT−10(硬
化剤)」)を用いて接着した。これを表面保護フィルム
側から耐候性試験を行った。結果を表−3に示す。
【0057】(参考例1)実施例1の複合蒸着フィルム
のPET側から耐候性試験を行った。実施例1を参考例
1として測定結果を表−3に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】本発明による複合蒸着フィルムは、水蒸
気透過度が顕著に改善された。本発明ではケイ素酸化物
などの無機材料蒸着層を有する蒸着フィルムの該蒸着層
面でのクラックの発生が抑制され、かつ、蒸着フィルム
の耐屈曲疲労性が改善された。本発明の複合蒸着フィル
ムは、EL素子、太陽電池、医薬品、食品、日常雑貨な
どの包装材料として好適である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルム基材層(A)、無機材料
    蒸着層(B)、バリヤー性樹脂コーティング層(C)、
    緩和層(D)の順に積層された複合フィルムにおいて、
    緩和層(D)が、下記式を満足することを特徴とする複
    合蒸着フィルム。 【数1】5(N/mm)≦緩和層の弾性率(GPa)×
    緩和層の厚み(μm)≦90(N/mm)
  2. 【請求項2】 バリヤー性樹脂コーティング層(C)が
    塩化ビニリデン系樹脂からなることを特徴とする請求項
    1記載の複合蒸着フィルム。
  3. 【請求項3】 バリヤー性樹脂コーティング層(C)が
    ポリカルボン酸またはその部分中和物と糖類とを95:
    5〜20:80(重量比)の割合で含有する組成物から
    なることを特徴とする請求項1記載の複合蒸着フィル
    ム。
  4. 【請求項4】 バリヤー性樹脂コーティング層(C)が
    ポリカルボン酸またはその部分中和物とポリビニルアル
    コールとを90:10〜5:95(重量比)の割合で含
    有する組成物からなることを特徴とする請求項1記載の
    複合蒸着フィルム。
  5. 【請求項5】 高分子フィルム基材層(A)の外側に表
    面保護層を積層したことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の複合蒸着フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の表面保護層がアクリル樹
    脂層からなることを特徴とする複合蒸着フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の表面保護層がフッ化ビニ
    リデン系樹脂層を最外層とし、かつ該最外層の内側にア
    クリル樹脂層を積層することを特徴とする複合蒸着フィ
    ルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のエレク
    トロルミネセンス素子用複合蒸着フィルム。
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