JP2004202823A - 蒸着フィルム積層体。 - Google Patents

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昇 佐々木
Shinichiro Tanizaki
真一郎 谷崎
Masayuki Ohashi
政之 大橋
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Abstract

【課題】本発明は、金属箔並みの高度なガスバリア性をもちながら押出ラミネート加工後もガスバリア性の劣化がない実用性の高い包装材料を提供することを目的とする。
【解決手段】プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、蒸着薄膜層(A層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる中間被膜層(B層)と、更に蒸着薄膜層(C層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる被膜層(D層)とを順次積層した蒸着フィルムにおいて、該蒸着フィルム上に、更に押出ラミネート法を用いてカーテン状に加熱溶融されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層したことを特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や非食品及び医薬品、電子機器等の包装分野に用いられる包装用の積層体、特に金属箔並の高度なガスバリア性が必要とされる包装分野に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、その材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。通常のガスバリアレベルのものについては、高分子の中では比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等が良く用いられてきたが、これらは高度なガスバリア性が要求されるものについては使用不可である。そのため上記の様な要求があるものについては、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料を用いざるを得なかった。
【0003】
ところが、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性を持つが、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならないこと、材料としての重量が大きくなること、検査の際金属探知器が使用できないなど数多くの欠点を有し問題があった。
【0004】
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物をプラスチックフィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着膜を成膜したフィルム(例えば、特許文献1、2参照)が上市されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性を有する包装材料として好適とされている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第3442686号明細書
【特許文献2】
特公昭63−28017号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した包装材料に適するフィルムであっても、包装容器または包装材として、蒸着フィルム単体で用いられることはほとんどなく、蒸着後の後加工として蒸着フィルム表面に文字・絵柄等を印刷加工またはフィルム等との貼り合わせ、容器等の包装体への形状加工などさまざまな工程を経て包装袋を完成させている。例えば包装袋として用いるためにはヒートシール層を形成するが、加工性やコストの点を考慮するとカーテン状に加熱溶融されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層する押出ラミネート法を利用する場合が多い。
【0007】
そこで、上述蒸着フィルムを用いて、一般的な条件(押出温度320℃)を用いて押出ラミネート法によりヒートシール層を形成し、その後バリア性の評価を行った。その結果、押出ラミネート時の熱による影響により蒸着膜にクラックや傷等の損傷が発生し、この部分から酸素や水蒸気等の気体成分が浸透するなどして蒸着膜が本来有しているはずの高いバリア性が低下してしまうと言う問題あることが判明した。
【0008】
すなわち、高度なガスバリア性を要求される包装材として用いられる条件として、内容物に対して影響を与える気体や水蒸気等を遮断する金属箔並みの高いガスバリア性及び通常の後加工(特に押出ラミネート法)を実施してもガスバリア性の劣化のないものが求められているが、現在のところこれらを満足する包装材は見いだされていない。
【0009】
そこで、本発明においては、金属箔並みの高度なガスバリア性をもちながら押出ラミネート加工後もガスバリア性の劣化がない実用性の高い包装材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためのもので、請求項1に係る発明は、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、蒸着薄膜層(A層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる中間被膜層(B層)と、更に蒸着薄膜層(C層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる被膜層(D層)とを順次積層した蒸着フィルムにおいて、該蒸着フィルム上に、更に押出ラミネート法を用いてカーテン状に加熱溶融されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層したことを特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の蒸着フィルム積層体において、前記中間被膜層(B層)及び被膜層(D層)が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる層であること特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の蒸着フィルム積層体において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体において、前記蒸着薄膜層(A層及びC層)が、無機化合物からなることを特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体において、前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化珪素のいづれかの単体及び混合物であること特徴とする蒸着フィルム積層体である。
【0016】
<作用>
本発明によれば、プラスチック基材の少なくとも片面にガスバリア層として、蒸着薄膜層(A層)/中間被膜層(B層)/蒸着薄膜層(C層)/被膜層(D層)からなる構成のものを用いているので、これまで得ることができたかった金属箔並みのガスバリア性を持つ実用性の高い積層体が得られ、押出ラミネート法によりポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層後もガスバリア性の劣化がない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を用いて更に詳細に説明する。図1は、本発明の蒸着フィルム積層体の一例を示した断面図である。
【0018】
まず、図1に一例として示した本発明の蒸着フィルム積層体1は、基材2がプラスチック材料からなるフィルム基材であり、その少なくとも片面に蒸着薄膜層(A層)3、中間被膜層(B層)4、蒸着薄膜層(C層)5、被膜層(D層)6を順次積層し、更にポリオレフィン系熱可塑性樹脂層7が積層されている。
【0019】
本発明で用いられる基材2は、プラスチック材料であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いることができる。これらは、機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、延伸されたものでも未延伸のものでも構わない。通常これらのものを、フィルム状に加工して用いられる。特に耐熱性等の観点から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやナイロンフィルムが好ましく用いられる。またこの基材の蒸着層が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。また、この薄膜との密着性を良くするために、前記基材の積層面側を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などのいずれかの処理を施しても良い。
【0020】
基材の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また、材料としての適性を考慮して単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。尚蒸着薄膜層A及びC、ガスバリア性被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
【0021】
また、量産性を考慮すれば、連続的に前記各層を形成できるように長尺の連続フィルムとすることが望ましい。
【0022】
本発明におけるガスバリア層は、高度なガスバリア性を持たせると共に押出ラミネート法後もガスバリア劣化させないに、鋭意検討の結果、後述する4層から構成される必要がある。特に中間被膜層(B層)4は蒸着薄膜層であるA層3とC層5で挟まれている必要がある。本発明におけるガスバリア層を形成する各層について更に詳細に説明する。
【0023】
まず、ガスバリア層を形成する第1及び第3の層である、蒸着薄膜層(A層3及びC層5)を説明する。蒸着薄膜層は、求められる要求品質等により用いられる材料が選ばれることが可能で、例えば、アルミニウム、銅、銀などの金属、またはイットリウムタンタルオキサイド、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムなどの無機化合物或るいはそれらの混合物等の膜から用いることが可能で、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよい。透明性を考慮すれば無機化合物を用いることが好ましく、その中では特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が、蒸着膜単体での酸素や水蒸気等のガスバリア性に特に優れるのでより好ましい。
【0024】
蒸着薄膜層A層とC層は、同じ種類でも違う種類でも構わなく、要求させるガスバリア性をクリアできればその組み合わせは特に限定しない。
【0025】
蒸着薄膜層を形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいづれかが好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また蒸着の際、酸素ガスなど吹き込む反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0026】
蒸着薄膜層の厚さは、用いられる蒸着層の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には1〜300nmの範囲であることが望ましく、その値は適宜選択される。但し厚さが1nm未満であると基材の全面に膜にならないことがあり問題がある。また厚さが300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず外的要因により薄膜に亀裂を生じる恐れがあるために好ましくない。好ましくは、5〜100nmの範囲にあることである。
【0027】
次いで、ガスバリア層を形成する第2の層である中間被膜層(B層)4を説明する。本発明で中間被膜層(B層)用いることはできるのは鋭意検討の結果、少なくとも水溶性高分子成分を含む必要がある。用いることのできる水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等水溶性であれば特に限定することはない。その中では特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が優れるのでより好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとして例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を含み、特に限定されない。これを溶液にして蒸着薄膜層(A層)3上にコーティング後、加熱乾燥し形成される。
【0028】
更に好ましくは、中間被膜層(B層)が、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成させる。例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整し溶液とする。ここで持ちられる水溶性高分子は上述したものと同様なものが使用可能である。
【0029】
前記コーティング剤に使用される塩化錫は、塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、或いはそれらの混合物であってもよい。またこれらの塩化錫は、無水物でも水和物でもあってもよい。
【0030】
更に金属アルコキシドとは、一般式、M(OR)n (M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3 ,C25 等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC254 〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373 〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0031】
コーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
【0032】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
【0033】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の手段を用いることができる。
【0034】
中間被膜層(B層)の厚さは、均一な塗膜が得られれば特に限定しないが、一般的には100〜5000nmの範囲であることが好ましい。100nm以下の場合は塗膜が全面に均一ならない恐れがあり、また5000nmを越える場合は膜にクラックが生じ安くなる。より好ましくは乾燥後の厚さが、200〜600nmの範囲にあることである。
【0035】
次いで、ガスバリア層を形成する第4の層である被膜層(D層)6について説明する。該層は、蒸着薄膜層(C層)5上に設けられ、耐熱性に優れ熱ダメージを緩和し、また熱ダメージにより蒸着薄膜層(C層)に生じたクラックなどの損傷を充填、補強することで緻密構造を形成しガスバリア性の劣化を防止するために設けられたものである。
【0036】
上記目的を達成するために被膜層(D層)6に用いることができるのは、中間被膜層(B層)4と同じ内容のものを用いることが好ましく、形成方法及び厚さ等についても同様である。
【0037】
更に、被膜層(D層)6上に印刷層やアンカーコート(AC)層などの他の層を積層することも可能である。印刷層は、包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものである。例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層である。この印刷により、文字、絵柄等が形成されている。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。印刷層の乾燥膜厚(固形分)は0.1〜2.0μmで良い。
【0038】
また、AC層は、後述するポリオレフィン系熱可塑性樹脂を設ける場合に要求品質により更に接着力を高めるために設けられるもので、一般にポリブタジエン系、ポリエチレンイミン系、2液ウレタン系のAC剤等公知のものをもちいことができる。形成方法としては、周知のグラビアコート法等を用いることができ、膜厚は0.1〜1.0μmで良い。
【0039】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂層7は、押出ラミネートの際該樹脂を加熱溶融させカーテン状に基材の被膜層側に押出し基材と貼り合わせヒートシール層として機能したり、基材2とその他の基材を貼り合わせる際接着層として機能するものであり、通常接着力を得るために高温にて樹脂を押し出す必要がある。
【0040】
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂として用いることができるのは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等が用いることができるが、一般的には押出加工適性や経済性の点からポリエチレンを用いる場合が多い。該樹脂を加熱溶融させカーテン状に押出す温度としては、樹脂により最適な条件が異なるが、例えばポリエチレン樹脂を用いる場合には、280〜340℃の範囲であることが好ましい。280℃未満のものは基材との接着力が弱く、340℃を越えるものはポリ臭がひどく問題がある。好ましくは、300〜330℃の範囲にあることである。該樹脂層の厚さは特に制限を受けるものでなく、樹脂の種類や加工条件等によりその最適な厚さが異なる実用的に用いられる厚さとしては、例えば10〜30μmの範囲にあることである。
【0041】
また、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂層7上にヒートシール層などの他の層を形成することも可能である。ヒートシール層は、袋状包装体などを形成する際の接着部に利用されるものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、それ以外の公知の方法により積層することも可能である。
【0042】
【実施例】
本発明の蒸着フィルム積層体を具体的な実施例を挙げて更に説明する。
【0043】
〈実施例1〉
基材2として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着して蒸着薄膜層(A層)3を形成した。次いで下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により塗布し、その後120℃ 1分間乾燥させ厚さ400nmの中間被膜層(B層)4を形成した。更に中間被膜層上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、厚さ13nmの酸化アルミニウムを蒸着して蒸着薄膜層(C層)5を形成した。更に蒸着薄膜層(C層)上に下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により塗布し、その後120℃1分間乾燥させ厚さ350nmの被膜層(D層)6を形成した。
【0044】
中間被膜層(B層)及び被膜層(D層)を形成するコーティング剤の組成は、下記に示す▲1▼液と▲2▼液を配合比(wt%)で65/35に混合したもの。
▲1▼ 液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液。
▲2▼ 液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)。
【0045】
更に被膜層(D層)6上に、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂層7として低密度ポリエチレンを押出ラミネート法により押出温度320℃にて厚さ15μmになるようにカーテン状に押し出し、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム25μmと同時にラミネートし、本発明の蒸着フィルム積層体1を得た。
【0046】
〈実施例2〉
実施例1において、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂7の厚さを25μmとした以外は同様に作製し、本発明の蒸着フィルム積層体1を得た。
【0047】
〈実施例3〉
実施例1において、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム25μmの代わりに、未延伸ポリプロピレンフィルム30μmを用いた以外は同様に作製し、本発明の蒸着フィルム積層体1を得た。
【0048】
〈実施例4〉
実施例1において、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂層7のみ厚さ30μmになるようにカーテン状に押し出した以外は同様に作製し、本発明の蒸着フィルム積層体1を得た。
【0049】
〈比較例1〉
実施例1において、中間被膜層(B層)4、蒸着薄膜層(C層)5、被膜層(D層)を設けなかった以外は同様に作製し、蒸着フィルム積層体を得た。
【0050】
〈比較例2〉
実施例1において、蒸着薄膜層(C層)5、被膜層(D層)を設けなかった以外は同様に作製し、蒸着フィルム積層体を得た。
【0051】
〈比較例3〉
実施例1において、被膜層(D層)を設けなかった以外は同様に作製し、蒸着フィルム積層体を得た。
【0052】
〈評価〉
実施例及び比較例の蒸着フィルム積層体のポリオレフィン系熱可塑性樹脂の積層前後について、ガスバリア性の指標として水蒸気透過率(gr/m2 ・day)を測定した。その結果を表1に示す。水蒸気透過率は、モコン法を用いて測定し、その時の測定条件は40℃−90%RHである。
【0053】
【表1】
Figure 2004202823
【0054】
実施例1〜4については、包装材料として用いられる条件とした内容物に対して影響を与える気体などを遮断する金属箔並みの高度なガスバリア性を満たすものであったが、それに対して、比較例1〜3についてはそれを満たしているといえるものではなかった。
【0055】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、金属箔並の高度なガスバリア性を有する蒸着フィルム上に、更に押出ラミネート法を用いてカーテン状に加熱溶融されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層した後もガスバリア性の劣化がない蒸着フィルム積層体が得られる。この蒸着フィルム積層体は、ガスバリア性の劣化がない汎用性のある包装材料として、包装分野等において巾広く使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸着フィルム積層体の部分断面図である。
【符号の説明】
1… 蒸着フィルム積層体
2… プラスチック基材
3… 蒸着薄膜層(A層)
4… 中間被膜層(B層)
5… 蒸着薄膜層(C層)
6… 被膜層(D層)
7… ポリオレフィン系熱可塑性樹脂層

Claims (6)

  1. プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、蒸着薄膜層(A層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる中間被膜層(B層)と、更に蒸着薄膜層(C層)と、少なくとも水溶性高分子を含むコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる被膜層(D層)とを、順次積層した蒸着フィルムにおいて、該蒸着フィルム上に、更に押出ラミネート法を用いてカーテン状に加熱溶融されたポリオレフィン系熱可塑性樹脂層を積層したことを特徴とする蒸着フィルム積層体。
  2. 前記中間被膜層(B層)及び被膜層(D層)が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物、又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布して加熱乾燥してなる層であること特徴とする請求項1記載の蒸着フィルム積層体。
  3. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の蒸着フィルム積層体。
  4. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体。
  5. 前記蒸着薄膜層であるA層及びC層が、無機化合物からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体。
  6. 前記無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化珪素のいづれかの単体及び混合物であること特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸着フィルム積層体。
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