JP2007168085A - 高ガスバリア性を有する積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸着薄膜層などのガスバリア性の薄膜層を有する積層体であって、金属箔並みの高度なガスバリア性を有し、しかもその高度なガスバリア性が使用中においても安定的に保持し続けるようにした積層体の提供を目的とする。
【解決手段】第1蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる厚さが0.01〜1μmのガスバリア性中間被膜層と、第2蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる膜硬度が3.0〜20.0GPaのガスバリア性被膜層の各層が順次積層されてなるガスバリア性層が、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層されている。
【選択図】図1
【解決手段】第1蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる厚さが0.01〜1μmのガスバリア性中間被膜層と、第2蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる膜硬度が3.0〜20.0GPaのガスバリア性被膜層の各層が順次積層されてなるガスバリア性層が、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、蒸着薄膜層などのガスバリア性の薄膜層を有する積層体であって、金属箔並みの高度なガスバリア性を有し、しかもその高度なガスバリア性が使用中においても安定的に保持し続けるようにした、特に食品、医薬品、電子機器関連部材などを包装する包装材料として好適に用いられる積層体に関する。
食品、医薬品、電子機器関連部材などの包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を保持できるようにするために、酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体の通過を阻止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。そこで、通常のガスバリア性のレベルを要求される包装材料としては、高分子フィルムの中では比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂製のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルムなどがよく用いられてきた。しかし、これらは高度なガスバリア性が要求される包装材料としては不向きである。そのため、高度なガスバリア性を要求される包装材料としては、アルミニウムなどの金属からなる金属箔などをガスバリア層として用いた包装材料を用いざるを得なかった。
アルミニウムなどの金属からなる金属箔などを用いたこの種の包装材料は、温度や湿度などの影響を受け難く、高度なガスバリア性を有しているが、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならないこと、材料としての重量が大きくなること、さらには検査の際には金属探知器が使用できないなど、数多くの欠点を有しており、問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1、2に記載されているような、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を、真空蒸着法やスパッタリング法などの薄膜形成手段によりプラスチックフィルム上に成膜してなる蒸着フィルムが上市されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気などのガスバリア性を有していることが知られ、金属箔などでは得ることのできない透明性とガスバリア性を共に有する包装材料として好適とされている。
米国特許第3442686号明細書
特公昭63−28017号公報
上記したような構成の蒸着フィルムは、ガスバリア性部材や包装袋、包装容器などの包装体の構成用部材として、単体で用いられることはほとんどなく、例えば、蒸着フィルム表面に文字・絵柄などを印刷したり、シーラントフィルムを貼り合わせたりと、様々な後工程を経て包装材料として実用に供されている。そして、このようにして作製されたものが包装体の構成用部材として広く使用されている。
ところが、このような後工程を経て得られた包装材料やこの包装材料により作製された包装袋を使用してみると、後加工前に包装材料が有していた初期のガスバリア性、若しくは内容物収納前に包装袋が有していた初期のガスバリア性が後加工や使用に伴って低下し、包装材料や包装袋を介して酸素や水蒸気などが透過してきてしまい、内容物などが変質するようなことがよくあった。
要するに、高度なガスバリア性を要求される包装材料などにおいては、内容物に対して影響を与える気体や水蒸気などを遮断する金属箔並みの高いガスバリア性とその安定性が求められているが、現在のところこれらを共に満足する材料は見いだされていない。
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであって、蒸着薄膜層などのガスバリア性の薄膜層を有する積層体であって、金属箔並みの高度なガスバリア性とその高度なガスバリア性が使用中においても安定的に保持し続けるようにした、実用性の高い積層体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされ、請求項1に記載の発明は、第1蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる厚さが0.01〜1μmのガスバリア性中間被膜層と、第2蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる膜硬度が3.0〜20.0GPaのガスバリア性被膜層の各層が順次積層されてなるガスバリア性層が、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする高ガスバリア性を有する積層体である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の高ガスバリア性を有する積層体において、前記蒸着薄膜層の厚さが、5〜300nmの範囲にあることを特徴とする。
さらにまた、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の高ガスバリア性を有する積層体において、前記蒸着薄膜層が、アルミニウム、銅、銀などの金属、または酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、イットリウムタンタルオキサイドなどの金属酸化物、或いはそれらの混合物からなることを特徴とする。
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する積層体において、前記金属アルコキシドが、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zrなどの金属、R:CH3,C2H5などのアルキル基)で表される化合物、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項4記載の高ガスバリア性を有する積層体において、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
さらにまた、請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する積層体において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
本発明の高バリア性を有する積層体は、第1蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる厚さが0.01〜1μmのガスバリア性中間被膜層と、第2蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる膜硬度が3.0〜20.0GPaのガスバリア性被膜層の各層が順次積層されてなるガスバリア性層が、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層されているので、蒸着薄膜層などのガスバリア性の薄膜層を有するこれまでの積
層体では得ることができたかった金属箔並みの高度なガスバリア性を有し、しかもその高度なガスバリア性が使用中においても安定的に保持し続けるようになる。
層体では得ることができたかった金属箔並みの高度なガスバリア性を有し、しかもその高度なガスバリア性が使用中においても安定的に保持し続けるようになる。
以下、本発明を図面を用いてさらに詳細に説明する。図1は本発明の高ガスバリア性を有する積層体の概略の断面構成を示す説明図である。
図1に一例として示す本発明の高ガスバリア性を有する積層体1は、第1蒸着薄膜層3とガスバリア性中間被膜層4と第2蒸着薄膜層5とガスバリア性被膜層6の各層が順次積層されてなるガスバリア性層10が、プラスチック材料からなる基材2の少なくとも片面に積層されてなるものである。
基材2はプラスチック材料、より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムなどからなる。これらは、機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、延伸されたものでも未延伸のものでも構わない。これらも中では、耐熱性などの観点から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。また、これらの各プラスチック材料からなる基材2の第1蒸着薄膜層3が設けられる面とは反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などからなる薄膜が設けられていてもよい。また、この薄膜との密着性を良くするために、薄膜の成膜面側に前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施しておいてもよい。
基材2の厚さは特に制限を受けるものではないが、後述する第1蒸着薄膜層3および第2蒸着薄膜層5、ガスバリア性中間被膜層4、ガスバリア性被膜層6を形成する場合の加工性などを考慮すると、実用的には3〜200μm程度の範囲、より好ましくは6〜30μmの範囲にあればよい。また、基材2の構成は単層構成であっても、異なる性質のフィルムが積層されてなる複層構成であってもよい。また、量産性を考慮すれば、連続的に前記各層が形成できるように長尺の連続フィルムであることが望ましい。
本発明の積層体は、このような基材2の少なくとも片面に複層構成のガスバリア性層10が設けられてなるものであるが、このガスバリア性層10は、高度でかつ安定したガスバリア性が確保できるようにするため、前述したように、第1蒸着薄膜層3とガスバリア性中間被膜層4と第2蒸着薄膜層5とガスバリア性被膜層6の各層が順次積層された構成となっている必要がある。すなわち、このような順序で、特にガスバリア性中間被膜層4が第1蒸着薄膜層3と第2蒸着薄膜層5とで挟まれていることが重要でなる。
以下、このガスバリア性層10を構成する各層について詳細に説明する。
まず、第1蒸着薄膜層3について説明する。この層は、アルミニウム、銅、銀などの金属、または酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、イットリウムタンタルオキサイドなどの金属酸化物、或いはそれらの混合物の蒸着薄膜からなり、酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有する層である。これらの中では、特にアルミニウム、酸化アルミニウムや酸化珪素、酸化マグネシウムが好ましい。ただしこの第1蒸着薄膜層3の構成材料としては、上述した金属や金属酸化物に限定されず、他の金属や金属酸化物を用いることができる。
また、厚さは、用いられる構成材料の種類や構成、さらには積層体の用途などを考慮し
て適宜選択され得る。一般的には5〜300nmの範囲内にあることが望ましい。厚さが5nm未満であると、均一な薄膜が得られなかったり、たとえ均一な薄膜が得られたとしても構成材料の種類によっては、ガスバリア性層10の一構成層としての機能を十分に果たすことができないことがある。また、膜厚が300nmを越えると薄膜にフレキシビリティを保持させることが難しくなり、成膜後に加わる折り曲げや引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内にあればよい。
て適宜選択され得る。一般的には5〜300nmの範囲内にあることが望ましい。厚さが5nm未満であると、均一な薄膜が得られなかったり、たとえ均一な薄膜が得られたとしても構成材料の種類によっては、ガスバリア性層10の一構成層としての機能を十分に果たすことができないことがある。また、膜厚が300nmを越えると薄膜にフレキシビリティを保持させることが難しくなり、成膜後に加わる折り曲げや引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内にあればよい。
この第1蒸着薄膜層3を基材2上に形成する方法としては種々在るが、例えば、真空蒸着法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることができる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また第1蒸着薄膜層3と基材2の密着性及び第1蒸着薄膜層3の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また蒸着の際、酸素ガスなど吹き込む反応蒸着を行っても一向に構わない。
次いで、ガスバリア性層10を構成する第2番目の層であるガスバリア性中間被膜層4について説明する。このガスバリア性中間被膜層4は、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。より具体的には、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解処理させて混合したものを主剤とするコーティング剤を第1蒸着薄膜層3の上にコーティング後、加熱乾燥して形成される。以下、コーティング剤に含まれる各成分についてさらに詳細に説明する。
上記した組成のコーティング剤に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)をコーティング剤の水溶性高分子成分として用いた場合、ガスバリア性中間被膜層4が発現するガスバリア性が最も優れるようになるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAなどを用いることができるが、これ以外のものを用いても一向に構わない。
また金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si、Ti、Al、Zrなどの金属、R:CH3、C2H5などのアルキル基)で表される化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などが挙げられるが、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
このような各成分を主剤としてなるコーティング剤にはガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
コーティング方法としては、通常用いられているディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
このようなコーティング剤により形成されるガスバリア性中間被膜層4の厚さは、本発明の積層体1に高度かつ安定的なガスバリア性が発現されるようにするために、0.01〜1μmにする必要がある。厚さが0.01μmより薄い場合は、均一な塗膜が得られ難くなり、十分なガスバリア性を得られなくなる。また厚さが1μmを超える場合は、蒸着薄膜層の穴を通ってきた酸素や水蒸気などがこのガスバリア性中間被膜層4で拡散されて抜けやすくなるために、安定した高度のガスバリア性を得ることが困難となる。
続いてガスバリア性層10を構成する第3番目の層である第2蒸着薄膜層5を説明する。この第2蒸着薄膜層5は、上記したガスバリア性中間被膜層4上に第1蒸着薄膜層3を構成する材料と同等の構成材料により形成される層である。つまり、金属、例えばアルミニウム、銅、銀など、もしくは無機酸化物、例えばイットリウムタンタルオキサイド、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物の蒸着膜からなり、酸素、水蒸気などに対するガスバリア性を有する層である。これらの中では、特にアルミニウム、酸化アルミニウムや酸化珪素、酸化マグネシウムが好ましい。ただしこの第2蒸着薄膜層5の構成材料は、上述したものに限定されるものではない。また、第1蒸着薄膜層3を構成する材料と同じであっても、違う材料で構成されていてもよく、本発明の積層体に要求されるガスバリア性を考慮して、その組み合わせを適宜選択すればよい。
また、厚さは、用いられる構成材料の種類や構成、さらには積層体の用途などを考慮して適宜選択され得る。一般的には5〜300nmの範囲内にあることが望ましい。厚さが5nm未満であると均一な薄膜が得られなかったり、たとえ均一な薄膜が得られたとしても構成材料の種類によってはガスバリア性層10の一構成層としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることが難しくなり、成膜後に加わる折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内にあればよい。
この第2蒸着薄膜層5をガスバリア性中間被膜層4上に形成する方法としては種々在るが、例えば、真空蒸着法や、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などの薄膜形成方法を用いることができる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また第2蒸着薄膜層5とガスバリア性中間被膜層4との密着性及び第2蒸着薄膜層5の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また蒸着の際、酸素ガスなど吹き込む反応蒸着を行っても一向に構わない。
最後に、ガスバリア性層10を構成する最後の層であるガスバリア性被膜層6について説明する。このガスバリア性被膜層6はガスバリア性の付与と下に位置する薄膜層を保護するために設けられるものであり、乾燥後の被膜硬度が3.0〜20.0GPaの範囲にある必要がある。より好ましくは3.0〜10.0GPaの範囲にあればよい。膜硬度が3.0GPa未満である場合、被膜高度が不十分であり、ガスバリア性が低下する原因となるため好ましくない。また、膜硬度が20.0GPaを超えると被膜が硬くなり過ぎ、外部から力が加わって屈曲、伸縮などが生じた時に割れ易くなってしまう。被膜の硬度は、塗工を行う加工機や加工条件によって異なってくるため、成膜に当たっては、それぞれに合わせた加工速度、風量、乾燥温度を適宜設定し、被膜強度を上記した範囲に設定する必要がある。
このガスバリア性被膜層6は、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。より具体的には、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)
溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解処理させて混合したものを主剤とするコーティング剤を第1蒸着薄膜層3の上にコーティング後、加熱乾燥し、その被膜強度を上述したような範囲になるようにして形成される。コーティング剤の各成分は、ガスバリア性中間被膜層4を構成する前記したコーティング剤の各成分と同等のものが用いられる。
溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解処理させて混合したものを主剤とするコーティング剤を第1蒸着薄膜層3の上にコーティング後、加熱乾燥し、その被膜強度を上述したような範囲になるようにして形成される。コーティング剤の各成分は、ガスバリア性中間被膜層4を構成する前記したコーティング剤の各成分と同等のものが用いられる。
このガスバリア性被膜層6の厚さは、例えば0.01〜5μmの範囲にあることが好ましい。0.01μm未満の場合は、均一な塗膜が得られ難く、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが5μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。
本発明の積層体は、ガスバリア性皮膜層6の上に他の層を積層することも可能である。例えば印刷層、介在フィルム、ヒートシール層などである。
印刷層は包装袋などを構成する包装材料として用いられるために積層されるものである。この印刷層は例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系などの従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤などの添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、これにより文字や絵柄などが表示される。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式を用いることができる。印刷層の乾燥膜厚(固形分)は0.1〜2.0μm程度でよい。
また介在フィルムは、前記したガスバリア性被膜層6と後述するヒートシール層の間に設けることで、突き刺し強度を高めたり、本発明の積層体により作製される包装袋の破袋強度を高めるために積層するもので、一般的には機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられる。厚さは、フィルムの材質や積層体として要求される品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μm程度の範囲にあればよい。積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法などの公知の方法などが採用できる。
さらにヒートシール層は袋状包装体などを形成する際に接着層として作用するように設けられる層である。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物などの樹脂よりなる層である。その厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲にあればよい。この層の積層に際しては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法を用いることが一般的であるが、それ以外の公知の方法により積層することも可能である。
以下、本発明の高ガスバリア性を有する積層体を実施例を挙げてさらに説明する。
基材として、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。次に、電子線加熱方式の真空蒸着装置中において、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入しながら、前記基材の片面に酸化アルミニウムからなる厚さが15nmの第1蒸着薄膜層を形成した。次いで、下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により第1蒸着薄膜層上に塗布し、その後120℃で1分間乾燥させて厚さ0.3μmのガスバリア性中間被膜層を形成した。続いて、電子線加熱方式の真空蒸着装置
において、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入しながら、前記工程で成膜したガスバリア性中間被膜層上に厚さが15nmの酸化アルミニウムからなる第2蒸着薄膜層を形成した。そして最後に、下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により第2蒸着薄膜層上に塗布し、その後120℃で1分間乾燥させ、被膜硬度8.0GPa、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層を形成して、実施例1に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。なお膜硬度は、日本電気株式会社製の超微小押し込み硬さ試験機(ナノインデンター)により、押し込み深さ0.1μmで測定した。
において、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入しながら、前記工程で成膜したガスバリア性中間被膜層上に厚さが15nmの酸化アルミニウムからなる第2蒸着薄膜層を形成した。そして最後に、下記組成からなるコーティング剤をグラビアコート法により第2蒸着薄膜層上に塗布し、その後120℃で1分間乾燥させ、被膜硬度8.0GPa、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層を形成して、実施例1に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。なお膜硬度は、日本電気株式会社製の超微小押し込み硬さ試験機(ナノインデンター)により、押し込み深さ0.1μmで測定した。
<コーティング剤の組成>
下記A液とB液を配合比(wt%)で60/40に混合したものをコーティング剤とした。
下記A液とB液を配合比(wt%)で60/40に混合したものをコーティング剤とした。
A液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)。
ガスバリア性中間被膜層の厚さを0.07μmにした以外は実施例1と同様の条件で、実施例2に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
ガスバリア性被膜層の乾燥を80℃1分で行い、その被膜硬度4.0GPaとした以外は実施例1と同様の条件で、実施例3に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
抵抗加熱方式による真空蒸着方式により、厚さ約20nmの酸化珪素からなる第1蒸着薄膜層を形成した以外は実施例1と同様の条件で、実施例4に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
抵抗加熱方式による真空蒸着方式により、厚さ約30nmの酸化珪素からなる第2蒸着薄膜層を形成した以外は実施例1と同様の条件で、実施例5に係る高ガスバリア性を有する透明積層体を得た。
バリア性中間被膜層の厚さを1.5μmにした以外は実施例1と同様の条件で、比較のための実施例6に係る透明積層体を得た。
第2蒸着薄膜層を設けなかった以外は実施例1と同様の条件で、比較のための実施例7に係る透明積層体を得た。
ガスバリア性被膜層を形成する際の乾燥を70℃1分で行い、その膜硬度を2.0GPaとした以外は実施例1と同様の条件で、比較のための実施例8に係る透明積層体を得た。
ガスバリア性被膜層を形成する際の乾燥を130℃5分で行い、その膜硬度を22.0GPaとした以外は実施例1と同様の条件で、比較のための実施例9に係る透明積層体を得た。
<評価1>
実施例1〜9の積層体について、ガスバリア性の指標となる水蒸気透過率(g/m2・day )を測定した。水蒸気透過率は、モコン法を用いて測定し、その時の測定条件は40℃−90%RHとした。水蒸気透過率測定結果を表1に示した。
実施例1〜9の積層体について、ガスバリア性の指標となる水蒸気透過率(g/m2・day )を測定した。水蒸気透過率は、モコン法を用いて測定し、その時の測定条件は40℃−90%RHとした。水蒸気透過率測定結果を表1に示した。
<積層体の試作>
実施例1〜9の積層体のガスバリア性皮膜層に、ヒートシール層として厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネートにより積層し、積層体を試作した。
実施例1〜9の積層体のガスバリア性皮膜層に、ヒートシール層として厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラミネートにより積層し、積層体を試作した。
<評価2>
上記のようにして試作した積層体のゲルボテストを行い、テスト前後の酸素透過度(cm2/m2・day・atm)を測定した。ゲルボテスト条件は、測定環境25℃50%RH、ねじりサイクル100回、ねじり角度450度とした。また、酸素透過度は、モコン法を用いて測定し、その時の測定条件は30℃−70%RHとした。酸素透過度を表1に示した。
上記のようにして試作した積層体のゲルボテストを行い、テスト前後の酸素透過度(cm2/m2・day・atm)を測定した。ゲルボテスト条件は、測定環境25℃50%RH、ねじりサイクル100回、ねじり角度450度とした。また、酸素透過度は、モコン法を用いて測定し、その時の測定条件は30℃−70%RHとした。酸素透過度を表1に示した。
また透明性、高度なガスバリア性、環境適合性などについて総合的に評価し、その結果を表1に示した。評価に当たっては、全てを満たすものを○、全て満たすものでない場合を×、一部満たす場合を△とした。
1…高ガスバリア性を有する積層体
2…プラスチック基材
3…第1蒸着薄膜層
4…ガスバリア性中間被膜層
5…第2蒸着薄膜層
6…ガスバリア性被膜層
10…ガスバリア性層
2…プラスチック基材
3…第1蒸着薄膜層
4…ガスバリア性中間被膜層
5…第2蒸着薄膜層
6…ガスバリア性被膜層
10…ガスバリア性層
Claims (6)
- 第1蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる厚さが0.01〜1μmのガスバリア性中間被膜層と、第2蒸着薄膜層と、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーテイング剤を塗布し加熱乾燥してなる膜硬度が3.0〜20.0GPaのガスバリア性被膜層の各層が順次積層されてなるガスバリア性層が、プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする高ガスバリア性を有する積層体。
- 前記蒸着薄膜層の厚さが、5〜300nmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の高ガスバリア性を有する積層体。
- 前記蒸着薄膜層が、アルミニウム、銅、銀などの金属、または酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、イットリウムタンタルオキサイドなどの金属酸化物、或いはそれらの混合物からなることを特徴とする請求項1または2記載の高ガスバリア性を有する積層体。
- 前記金属アルコキシドが、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zrなどの金属、R:CH3,C2H5などのアルキル基)で表される化合物、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する積層体。
- 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項4記載の高ガスバリア性を有する積層体。
- 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高ガスバリア性を有する積層体。
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