JP4032607B2 - 可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム - Google Patents

可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や非食品及び医薬品等の包装分野に用いられる包装用の積層体に関するもので、特に高いガスバリア性を持つことで、大気中の酸素や水蒸気を遮断し劣化・変質を抑制するガスバリア性を有する包装材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品や非食品及び医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などによる影響が少ないアルミ等の金属からなる金属箔やそれらの金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルムやこれらの樹脂をコーティングしたものがガスバリア層として一般的に包装材料に用いられてきた。
【0003】
ところが、アルミ等の金属からなる金属箔やそれらの金属蒸着フィルムを用いた包装材料は、ガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、検査の際金属探知器が使用できないなどの欠点を有し問題があった。またガスバリア性樹脂フィルムやそれらをコーティングしたフィルムは、温湿度依存性が大きく高度なガスバリア性を維持できない、さらにポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等は廃棄・焼却の際に有害物質の原料となりうる可能性があるなどの問題がある。
【0004】
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば米国特許第3442686号明細書、特公昭63−28017号公報等に記載されているような酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物を高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により蒸着膜を形成したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性の両者を有する包装材料として好適とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した包装用材料に適するフィルムであっても、包装容器または包装材として、蒸着フィルム単体で用いられることはほとんどなく、蒸着後の後加工として蒸着フィルム表面に文字・絵柄等を印刷加工またはフィルム等との貼り合わせ、容器等の包装体への形状加工などさまざまな工程を経て包装体を完成させているので、包装設計の際は十分注意しなければならない。
【0006】
というのは、上述した蒸着フィルム等を用いてシーラントフィルムと貼り合わせ後、ガセット方式製袋機による包装袋作製や、さらに紙などと貼り合わせ箱状容器への成形加工を施した後酸素透過率や水蒸気透過率を測定したところ、製袋前や成形前の値を比較して大きく劣化する問題点があることが判明した。
【0007】
そこで原因調査するために、製袋後及び成形後の上述蒸着フィルムの表面観察を行った結果、蒸着膜質がセラミックゆえに、製袋加工からくる応力や成形加工からくる応力が膜に伝わりクラックが発生し、その部分からガスバリア性が劣化することが判明した。
【0008】
すなわち、包装材料として用いられる条件としては、内容物を直接透視することが可能なだけの透明性、内容物に対して影響を与える気体等を遮断する高いガスバリア性、製袋加工や成形加工後もガスバリア性が劣化しない高い可撓性を有することを求められているが、現在のところこれら全てを満たす包装材料は見いだされていない。
【0009】
そこで、本発明は、透明性に優れ、且つ高いガスバリア性を持つとともに、製袋加工や成形後もガスバリア劣化の少ない実用性の高い包装材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためのもので、請求項1記載の発明は、ポリエチレンテレフタレートからなる基材の少なくとも片面に、ズリ弾性率が(0.01〜1)×109(N/m2)であるポリテトラフルオロエチレンからなるプライマー層、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を順次積層したことを特徴とする可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムである。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項1記載の無機酸化物からなる蒸着薄膜層の上に、さらにガスバリア性被膜層を積層したことを特徴とする可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムである。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、前記プライマー層の厚みが、基材の厚みの1/1000〜1/10であることを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項1〜の何れか1項に記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム単体或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項2〜の何れか1項に記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、前記ガスバリア性被膜層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなる層であることを特徴とする。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0020】
請求項記載の発明は、請求項又は記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0021】
<作用>本発明によれば、プラスチック基材上に寸法安定性に優れ基材からくる応力などのストレスを吸収緩和できるプライマー層を設けた後、ガスバリア性に優れた無機酸化物層を積層した構成や、さらにガスバリア性被膜層を積層した構成になっているので、製袋加工や成形加工後もガスバリア性の劣化が少なく、実用性の高い包装用蒸着フィルムが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を用いて更に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例として可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムの構成を説明する断面図である。
【0023】
図1(a)に示した本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムの構成は、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムである基材1上に、ズリ弾性率が(0.01〜1)×109(N/m2)であるポリテトラフルオロエチレンからなるプライマー層2、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3が順次積層されている。この場合、ガスバリア性被膜層を設けていない構成を示したものであるが、要求品質に応じて、前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層3の上に、さらにガスバリア性被膜層を設けても良い。
【0024】
一方、図1(b)に示した参考例の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムの構成は、基材4はズリ弾性率が(0.01〜1)×109(N/m2)であるプラスチック材料からなるフィルムであり、その上に無機酸化物からなる蒸着薄膜層5、ガスバリア性被膜層6が順次積層されている。この場合、ガスバリア性被膜層6は、要求品質により設けなくてもよい。
【0025】
図1(a)に示した構成の本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて、基材1はプラスチック材料であり、プライマー層2や蒸着薄膜層3の透明性を生かすために透明なフィルムが好ましい。基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が使用される。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。またこの基材の蒸着層が設けられる面や反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを塗布した薄膜を形成していても良い。また、薄膜との密着性を良くするために、前記基材の塗布面を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0026】
基材1の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して、単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。なお、プライマー層及び無機酸化物からなる薄膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
【0027】
また、量産性を考慮すれば、連続的に前記各層を形成できるように長尺の連続フィルムとすることが望ましい。
【0028】
本発明のプライマー層2は、プラスチック材料からなる基材1上に設けられ、基材からくる応力等のストレスを吸収・緩和するための層である。
【0029】
本発明者等は鋭意検討の結果、本発明において上記目的達成のためにプライマー層として用いることができるのは、ズリ弾性率が1×109(N/m2)以下である樹脂を用いことであることを見いだした。
【0030】
プライマー層の形成方法としては、基材上に均一に形成できれば特に限定しないが、スプレー法やロールコート法等の一般的な形成方法が使用できる。また上述樹脂からなるフィルム状のものをドライラミネート法等の周知の積層方法を用いて積層しても一向に構わない。
【0031】
プライマー層の厚さは、均一に層が形成することができれば特に限定されない。しかし、その厚さは一般的に基材の厚さの1/1000〜1/10の範囲であることが好ましい。厚さが、基材の厚さの1/1000未満である場合は厚さが薄すぎるためにズリ弾性率の小さいプライマー層を設けてもストレスを吸収・緩和することができなくクラック発生を抑制することができない。また基材の厚さの1/10を越えるものは厚いために均一な層が得られにくく、さらにコスト高になり好ましくない。プライマー層の厚さとして、特に好ましいのは基材の厚さの1/100〜1/10の範囲内にあることである。
【0032】
一方、図1(b)に示した構成の参考例の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいて用いられる基材4の条件としては、製袋加工や成形加工等からくる応力等のストレスをそれ自体で吸収・緩和するできる性質を持つ必要がある。つまりストレスを吸収・緩和することにより蒸着膜に伝わるストレスが小さくなり、クラック発生が抑えられ、ガスバリア性の劣化を押されることができる。
【0033】
本発明者等は鋭意検討の結果、上述目的を達成するためには基材4として、そのズリ弾性率が(0.01〜1)×109(N/m2)であるプラスチック材料を用いれば達成できることを見出した。
【0034】
次ぎに、図1(a)に示した構成の本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおけるプライマー層と、図1(b)に示した構成の参考例における基材とに要求される内容について詳細に説明する。本発明で課題とされるガスバリア性の劣化は、以下の内容の機構により発生する。つまり各種後加工時に折り曲げや引っ張り等の要因で蒸着用基材に応力等のストレスが発生する。そのストレスは、そのままセラミック質である無機酸化物からなる薄膜に伝わる。その結果、そのストレスに耐えきれず、薄膜にクラック等の欠陥が起こりその部分からガスバリア性が劣化する。
【0035】
基材と薄膜の界面でのストレスの伝達の方法は、一般的に界面でのズリ応力を通して伝達される。つまり、界面のズリ応力が大きいほど薄膜中に伝達されるストレスが大きくなるため、クラック等の発生がしやすくなる。逆にズリ応力が小さければ、クラック発生を抑えることができる。
【0036】
ズリ応力は、ズリ弾性率によって表すことができる。従って、界面におけるズリ弾性率が小さければ、薄膜にかかるストレスを小さくできるので、クラックが発生しにくくなりガスバリア性劣化を抑えることができる。ここ言うズリ弾性率とは、弾性体が単純なズレの変形を行うとき、フックの法則が成立する限りズレ応力はズレの歪みに比例する場合の比例定数のことを言う。この値は、材料の性質できまるものである。
【0037】
従って、図1(a)に示した構成の本発明の可撓性を有する蒸着フィルムにおいて、基材1と蒸着薄膜層3との間にズリ弾性率が小さいプライマー層を設けることでクラック発生を低減・抑制することが可能である。その場合のズリ弾性率は、鋭意検討の結果1×109(N/m2)以下である必要がある。1×109(N/m2)を超えるものは、ズレ効果が不十分でクラック発生を防止することができない。1×109(N/m2)以下であればその効果発揮されクラック抑制効果があるが、0.01×109(N/m2)未満の場合は、クラック抑制効果はあるが、加工性及び密着性等に問題になる場合があるので好ましくない。好ましくは、(0.01〜1)×109(N/m2)の範囲のズリ弾性率があることである。
【0038】
ズリ弾性率が1×109(N/m2)以下の材料としては、ズリ弾性率がそれ以下であれば特に限定しないが、基材1上に設ける加工性等を考慮するとフッ素系樹脂であることが好ましく、中でも加工性及びズリ弾性率等を考慮するとポリエトラフルオエチレンであることがより好ましい。
【0039】
図1(b)に示した構成の参考例の可撓性を有する蒸着フィルムにおいて、一般的に蒸着基材として使用されるもののズリ弾性率は大きいため、ズリ応力が大きくなりクラック発生を防止することができない。クラックによるバリア劣化を抑えるために用いられる基材4のズリ弾性率としては、前記プライマー層の場合と同様、鋭意検討の結果1×109(N/m2)以下である必要がある。1×109(N/m2)を越えるものは、ズレ効果が不十分でストレスを吸収・緩和することができずクラック発生を防止することができない。1×109(N/m2)以下であればその効果発揮されクラック抑制効果があるが、0.01×109(N/m2)未満の場合は、クラック抑制効果はあるが、フィルムとしての加工性に問題があるので好ましくない。好ましくは、(0.01〜1)×109(N/m2)の範囲にズリ弾性率があることである。
【0040】
ズリ弾性率が1×109(N/m2)以下の材料としては、それ以下であれば特に限定しないが、フィルムとして加工性や蒸着適性等を考慮するとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂であることが好ましく、中でも加工性及びズリ弾性率等を考慮するとポリトラフルオロエチレンであることがより好ましい。
【0041】
これらのものをフィルム状にして蒸着基材として用いる。基材4は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良く、蒸着膜の透明性を生かすのであれば、透明であることが好ましい。。この中で、二軸方向に任意に延伸されたものが好ましく用いられる。またこの基材の蒸着層が設けられる面や反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などを塗布した薄膜を形成していても良い。また、薄膜との密着性を良くするために、前記基材の塗布面を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0042】
基材4の厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して、単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。なお、無機酸化物からなる薄膜層やガスバリア性被膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmとすることが好ましい。
【0043】
また、量産性を考慮すれば、連続的に前記各層を形成できるように長尺の連続フィルムとすることが望ましい。
【0044】
次ぎに、本発明の可撓性を有する蒸着フィルムにおける無機酸化物からなる薄膜層について説明する。本発明の可撓性を有する蒸着フィルムにおいて、無機酸化物からなる薄膜層3又は参考例の薄膜層5は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよい。その中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。ただし本発明の薄膜層3又は参考例の薄膜層5は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0045】
薄膜層3又は5の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。好ましくは、10〜150nmの範囲内である。
【0046】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層3又は5の形成方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式が好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0047】
次ぎに、図1(b)に示した構成の参考例の可撓性を有する蒸着フィルムにおけるガスバリア性被膜層について説明する。参考例の可撓性を有する蒸着フィルムにおいて、ガスバリア性被膜層6は、要求品質によりアルミ箔並の高いガスバリア性を付与するために無機酸化物からなる蒸着薄膜層5上に、必要に応じて適宜設けられるものである。
【0048】
上記ガスバリア性被膜層6は、水溶性高分子と(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層2にコーティング、加熱乾燥し形成したものである。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
【0049】
参考例でコーティング剤に用いられる水溶性高分子はポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAとする)を参考例の積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを含み、特に限定されない。
【0050】
また塩化錫は塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、或いはそれ
らの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
【0051】
更に金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2 54〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373〕などの一般式、M(OR)n (M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3 ,C25 等のアルキル基)で表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0052】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。
【0053】
例えばコーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以下TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(以下TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0054】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上あれば良いが、厚さが50μm以上では膜にクラックが生じ易くなるため、0.01〜50μmの範囲が好ましい。
【0055】
更に本発明または参考例において、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3又は5やガスバリア性被膜層6上に他の層を積層することも可能である。例えば印刷層、ヒートシール層等である。印刷層は包装袋などとして実用的に用いるために形成されるものであり、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤などが添加されてなるインキにより構成される層であり、文字、絵柄等が形成されている。形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1〜2.0μmで良い。
【0056】
また、ヒートシール層は袋状包装体などを形成する際に接着層として設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が用いられる。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるがいずれも公知の方法により積層することができる。
【0057】
【実施例】
本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムを具体的な実施例を挙げて更に説明するが、本発明は、その主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
〈実施例1〉
基材1として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、プライマー層2としてポリテトラフルオルエチレンをスプレー法により厚さ0.5μm形成した。次いで透明プライマー層2上に電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化珪素を蒸発させ、厚さ120nmの酸化珪素を蒸着して無機酸化物薄膜層3を形成し、本発明の包装材料を得た。この場合のプライマー層のズリ弾性率は0.15×109(N/m2)であり、また基材2のズリ弾性率は1.85×109(N/m2)であった。
【0059】
〈比較例1〉
実施例1において、プライマー層2を設けなかった以外は、同様に包装材料を得た。
【0060】
〈テスト1〉
実施例1及び比較例1について横方向に2%引っ張り後顕微鏡によるクラックの観察と酸素透過率(cc/m2/day)の測定を行った。クラック数の単位は、本/mmである。その結果を併せて表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0004032607
【0062】
実施例1に対して比較例1は、引っ張り後でクラック数多くなりガスバリア性が大きく劣化するが、それに対して実施例1は、完全にクラック発生を抑えることができないもの、大幅に低減することができ、ガスバリア性の劣化を最小限に抑えることができた。
【0063】
参考例1
基材4として、厚さ12μmの2軸延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムの片面上に、図示しない電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガスを導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムを蒸着して無機酸化物からなる蒸着薄膜層5を形成し、本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムを得た。この場合の基材4のズリ弾性率は、0.10×109(N/m2)であった。
【0064】
〈比較例2〉
実施例2において、基材4として厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は、同様に蒸着フィルムを得た。この場合の基材4のズリ弾性率は、1.95×109(N/m2)であった。
【0065】
参考例2
参考例1の無機酸化物からなる蒸着薄膜層5上に、更にガスバリア性被膜層として下記組成のコーティング剤をグラビアコート法により厚さ0.5μm形成し、本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムを得た。
【0066】
コーティング剤の組成は、(1)液と(2)液を配合比(wt%)で60/40に混合したもの。(注:(1)テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解液、(2)ポリビニルアルコール3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコールで90:10))
【0067】
〈比較例3〉
参考例2において、基材4として厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は、同様に蒸着フィルムを得た。
【0068】
〈テスト2〉
参考例1及び比較例2について横方向に2%引っ張り前後の酸素透過率(cm3/m2 /day)の測定を行った。その結果を表2に示す。
【0069】
〈テスト3〉
参考例2及び比較例3について横方向に8%引っ張り前後の顕微鏡による酸素透過率(cm3/m2 /day)の測定を行った。その結果を表3に示す。
【0070】
【表2】
Figure 0004032607
【0071】
【表3】
Figure 0004032607
【0072】
実施例に対して比較例は、引っ張り後酸素透過率が大きく劣化するが、それに対して実施例は、劣化あるもののその程度を最小限に抑えることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、透明性に優れ、且つアルミ箔並の高度なガスバリア性を持つ汎用性のある包装材料が得ることができる。さらに、各種後加工適性についてもクラック発生を防止するプライマー層を設ける構成や、基材設計によってより適性が向上したので、包装分野において巾広く使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムの構成の断面図である。
(a)本発明の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいてプライマー層を設けた構成
(b)参考例の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルムにおいてガスバリア性被膜層を設けた構成

Claims (7)

  1. ポリエチレンテレフタレートからなる基材の少なくとも片面に、ズリ弾性率が(0.01〜1)×109(N/m2)であるポリテトラフルオロエチレンからなるプライマー層、厚さ5〜300nmの無機酸化物からなる蒸着薄膜層を順次積層したことを特徴とする可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  2. 請求項1記載の無機酸化物からなる蒸着薄膜層の上に、さらにガスバリア性被膜層を積層したことを特徴とする可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  3. 前記プライマー層の厚みが、基材の厚みの1/1000〜1/10であることを特徴とする請求項1に記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  4. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム単体或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  5. 前記ガスバリア性被膜層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなる層であることを特徴とする請求項2〜の何れか1項に記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  6. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
  7. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項又は記載の可撓性を有するガスバリア性蒸着フィルム。
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