JP4821092B2 - 発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア積層体及び発光素子に関し、さらに詳しくは、少なくとも一つの無機膜及び少なくとも一つの有機膜を積層してなる、水蒸気や酸素などに対する非透過性に優れたガスバリア積層体、及び、該積層体を用いてなる発光素子に関する。
樹脂フィルム基材上にガスバリア層を形成したガスバリアフィルムは食品や薬品の包装材料として利用されてきた。最近その薄さ・軽さ・フレキシブルの点からエレクトロニクスデバイスの基材として注目されている。特に液晶や有機エレクトロルミネッセンスのディスプレイ用基材では、壁掛けTVや電子ペーパー用途として樹脂フィルム基材が期待されている。この樹脂フィルム基材には従来の包装材料よりも高いガスバリア性、特に水蒸気バリア性が求められている。
従来ガスバリア層として主に二酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)などの無機酸化物の単層膜が用いられてきた。しかし薄い膜厚ではガスバリア性が十分に発揮せず、一方、膜厚を厚くすると内部応力が大きくなりフィルムに反りが生じるため、膜にクラックが発生しやすくなり、クラックによりガスバリア性が逆に低下することがあった。
有機膜と無機膜との積層体が、高いガスバリア性を有することが報告されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3,特許文献4)。この報告によれば有機膜と、無機膜とを積層することで、有機膜がガスバリア性を有する上に、樹脂フィルム基材上に形成された有機膜が基材表面の凹凸を補償して平滑な表面を現出するので、その上に無機膜が緻密に形成でき、薄くてガスバリア性の高い積層体になる。また、内部応力を緩和できるため無機膜にクラックが発生しにくいので非常に高いガスバリア性を得ることができると報告している。
前記積層体を構成する際の有機膜の材料としてはアクリル系樹脂が用いられている。しかし、我々の検討の結果、アクリル系樹脂は無機膜との密着性が低いことがわかった。そのため界面において剥離や剥離に伴う欠陥が生じやすく、その結果、ガスバリア性が低下してしまうことがあった。さらにアクリル系樹脂は吸水率が高く、水蒸気等の揮発が生じる。この水蒸気が、該樹脂上に高密度の無機膜を形成する妨げになることを本発明者は見出した。高ガスバリア性を発現させるためには理論上、無機膜の積層数を多くしなければならないが技術上困難である。
一方、フッ素化合物重合体を、前記積層体の有機膜として用いることが提案されている(特許文献5)。しかし、フッ素化合物重合体は無機膜との密着性が極めて低い。
又、本出願人は、放電解離条件下で、プラズマCVD法によりパーフルオロオレフィンの分解重合物からなる有機EL素子用封止膜を効率よく製造する方法に関する発明を出願している(特許文献6)。しかし、基板との密着性、ガスバリア性において更なる改善が要求されている。
特許第2996516号公報 特開2004−1296号公報 特開2003−206361号公報 特開2003−48271号公報 特開2003−340955号公報 特開2002−056971号公報
本発明の目的は、無機膜と有機膜の界面における密着性が高く、剥離や剥離に伴う欠陥が生じにくく、無機膜と有機膜の積層数を増やすことも可能となり、高いガスバリア性を有する積層体を形成することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、透明樹脂フィルム基材に無機膜と有機膜とを積層した積層体からなる封止膜において、透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子にフッ素原子が含有しており、
前記有機膜がフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属の単体又は化合物とを原料としてなる膜であり、
前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であるガスバリア性積層体を形成することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が積層してなる封止膜と、透明樹脂フィルム基材とからなる積層体であって、
前記透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有しており、
前記有機膜がフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であるガスバリア性積層体。
(2)前記有機膜に含まれるフッ素原子Fと金属原子Mの体積組成比F/Mが0.01〜0.99である前記のガスバリア積層体。
(3)前記有機膜が化学気相析出法により形成したものである前記(1)又は(2)のガスバリア積層体。
(4)前記有機膜の吸水率が0.1重量%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかのガスバリア積層体。
(5)前記無機膜が、真空下にて成膜した金属又は半金属の化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかのガスバリア積層体。
(6)基板上に下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層を順次積層してなり、前記封止層が前記(1)〜(5)のいずれかのガスバリア積層体である発光素子。
(7)基板上に下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層を順次積層してなり、前記基板が前記(1)〜(5)のいずれかのガスバリア積層体である発光素子。
(8)基板上に、下部電極層、発光材料層、上部電極層を順次積層し、さらにその上に、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を積層してなる発光素子であって、
前記透明樹脂フィルム基板の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有しており、
前記有機膜がフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜である発光素子。
(9)基板上に、下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層が順次積層してなり、前記基板及び封止層が前記(1)〜(5)のいずれかのガスバリア積層体からなる発光素子。
(10)基板上に、下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層が順次積層してなり、前記基板が前記(1)〜(5)のいずれかのガスバリア積層体であり、
前記封止層が少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が積層してなる封止膜を積層してなり、
前記有機膜が、フッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜である発光素子。
(11)非発光時における波長550nmでの光線透過率が80%以上であることを特徴とする前記(6)〜(10)のいずれかの発光素子。
本発明のガスバリア積層体は、基材と、有機膜及び無機膜との密着性に優れ、さらには、より強固な膜が得られ、水蒸気バリア性、ガスバリア性に優れた積層フィルムである。
この積層体は、液晶や有機ELのディスプレイ用基材のガスバリア層として好適に用いることができる。
本発明のガスバリア積層体は、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が積層されてなる封止膜と、透明樹脂フィルム基材とからなる積層体であって、
前記有機膜がフッ素化合物、あるいはフッ素化合物と金属の単体又は化合物とを原料としてなる膜であり、前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であり、かつ前記透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有していることを特徴とする。
本発明のガスバリア積層体は、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が積層されてなる封止膜が、透明樹脂フィルム基材の片面又は両面に積層してなるものである。有機膜及び無機膜の層は同数でも又は一方が多くてもよいが、双方が交互に積層されてなるものが好ましい。
透明樹脂フィルム基材に接する膜は有機膜であっても無機膜であっても良いが、透明樹脂フィルム基材に有機膜が接する態様であると、透明樹脂フィルム基材の表面に凹凸が存在しても、その上に有機膜が形成されることにより表面が平滑になるので、その上に形成される無機膜は緻密で欠陥のない平滑な膜になってガスバリア性が高くなるので好ましい。
また、この態様であると、透明樹脂フィルム基材が外力を受けても、有機膜により緩和されるので無機膜に亀裂が生じにくく、高いガスバリア性が永く保たれる。
有機膜について
有機膜の構成原料であるフッ素化合物は、分子構造にフッ素原子を含む有機化合物である。これらの化合物の構造としては、鎖状及び環状がある。また、前記フッ素化合物は、分子構造にフッ素原子を含む無機化合物を少量含有してもよい。
フッ素化合物は、その炭素数が好ましくは1〜8、より好ましくは1〜7である。
これらの中でも重合が容易でかつ成膜速度も高い点で、不飽和のフッ化炭素化合物や不飽和のフッ化炭化水素化合物が好ましく、不飽和のフッ化炭素化合物がさらに好ましい。
飽和フッ素化合物の具体例としては、
トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン;ヘキサフルオロシクロプロパン、オクタフルオロシクロブタン、デカフルオロシクロペンタン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロブテン、オクタフルオロブテン;ジフルオロシクロプロペン、トリフルオロシクロプロペン、ジフルオロシクロブテン、トリフルオロシクロブテン、テトラフルオロシクロブテン、ペンタフルオロシクロブテンなどのフッ化炭化水素化合物;
パーフルオロオレフィン化合物の具体例としては、
テトラフルオロエチレンなどの炭素数が2であるパーフルオロオレフィン化合物;ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロプロピン、テトラフルオロシクロプロペンなどの炭素数が3のパーフルオロオレフィン化合物;ヘキサフルオロ-2-ブチン、ヘキサフルオロ-1-ブチン、ヘキサフルオロシクロブテン、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン、ヘキサフルオロ-(1-メチルシクロプロペン)、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテンなどの炭素数が4のパーフルオロオレフィン化合物;オクタフルオロ-1-ペンチン、オクタフルオロ-2-ペンチン、オクタフルオロ-1、3-ペンタジエン、オクタフルオロ-1,4-ペンタジエン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロイソプレン、ヘキサフルオロビニルアセチレン、オクタフルオロ-(1-メチルシクロブテン)、オクタフルオロ-(1,2-ジメチルシクロプロペン)などの炭素数が5のパーフルオロオレフィン化合物;
ドデカフルオロ-1-ヘキセン、ドデカフルオロ-2-ヘキセン、ドデカフルオロ-3-ヘキセン、デカフルオロ-1,3-ヘキサジエン、デカフルオロ-1、4-ヘキサジエン、デカフルオロ-1,5-ヘキサジエン、デカフルオロ-2、4-ヘキサジエン、デカフルオロシクロヘキセン、ヘキサフルオロベンゼン、オクタフルオロ-2-ヘキシン、オクタフルオロ-3-ヘキシン、オクタフルオロシクロ-1、3-ヘキサジエン、オクタフルオロシクロ-1、4-ヘキサジエンなどの炭素数が6のパーフルオロオレフィン化合物;
ウンデカフルオロ-1-ヘプテン、ウンデカフルオロ-2-ヘプテン、ウンデカフルオロ-3-ヘプテン、ドデカフルオロシクロヘプテンなどの炭素数が7のパーフルオロオレフィン化合物;が挙げられる。
特に、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロプロピン、テトラフルオロシクロプロペン、ヘキサフルオロ-2-ブチン、ヘキサフルオロ-1-ブチン、ヘキサフルオロシクロブテン、ヘキサフルオロ-1、3-ブタジエン、ヘキサフルオロ-(1-メチルシクロプロペン)、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、オクタフルオロ-1-ペンチン、オクタフルオロ-2-ペンチン、オクタフルオロ-1,3-ペンタジエン、オクタフルオロ-1、4-ペンタジエン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロイソプレン、ヘキサフルオロビニルアセチレン、オクタフルオロ-1-メチルシクロブテン、オクタフルオロ-1、2-ジメチルシクロプロペンが好ましい。
ヘキサフルオロ-2-ブチン、ヘキサフルオロ-1-ブチン、ヘキサフルオロシクロブテン、ヘキサフルオロ-1、3-ブタジエン、ヘキサフルオロ-(1-メチルシクロプロペン)、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、オクタフルオロ-1-ペンチン、オクタフルオロ-2-ペンチン、オクタフルオロ-1,3-ペンタジエン、オクタフルオロ-1、4-ペンタジエン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロイソプレン、ヘキサフルオロビニルアセチレン、オクタフルオロ-(1-メチルシクロブテン)、オクタフルオロ-(1,2-ジメチルシクロプロペン)がより好ましい。
オクタフルオロ-2-ペンチン、オクタフルオロ-1、3-ペンタジエン、オクタフルオロシクロペンテンがさらに好ましく、オクタフルオロ-2-ペンチン、オクタフルオロシクロペンテンが特に好ましく、オクタフルオロ-2-ペンチンがとりわけ好ましい。
有機膜は上記フッ素化合物とともに金属若しくは半金属の単体若しくは化合物を原料とすることが好ましい。有機膜の好ましい構成原料である金属若しくは半金属の単体若しくは化合物は、周期律表第4族〜16族の金属の単体又はそれら金属の有機化合物、酸化物、窒化物、酸素窒化物、ハロゲン化物などが挙げられる。これらの中でも4族、13族、14族の金属単体又はそれらの上記化合物、特にアルミニウム又は珪素を含有する有機化合物が好ましい。
アルミニウムの有機化合物としては、トリ(イソプロポキシド)アルミニウム、トリ(エトキシ)アルミニウム、アルミニウムブトキサイド、アルミニウムフェノキサイドや、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセト酢酸エチル、アルミニウムメタクリレート、アルミニウムペンタンジオネート等の錯体化合物等が挙げられる。
アルミニウム含有化合物の使用量は、フッ素化合物全体の好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
ケイ素の有機化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの有機モノシラン化合物;ヘキサメチルジシラン、1,2−ジフェニルテトラメチルジシラン、ヘキサメトキシジシランなどの有機ポリシラン化合物;ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサンなどの有機シロキサン化合物;テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザンなどの有機シラザン化合物;などが挙げられる。
珪素含有化合物の使用量は、フッ素化合物全体の好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
無機膜との密着性を向上させるため、フッ素原子を含む無機化合物を成膜時に用いて、有機膜に含有させることもできる。
フッ素原子を含む無機化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属元素のフッ化物が挙げられ、BaF、CaF、MgF、LiFなどが例示される。フッ素原子を含む無機化合物の使用量は、フッ素化合物全体の好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
又、無機膜との密着性を向上させるため、珪素を含有する化合物を成膜時に用いて、有機膜に含有させることもできる。
上記有機膜の作製法としてドライ製法が最適である。蒸着法、CVD法(化学気相堆積法)、スパッタリングなどのドライ製法が好ましく、特にCVD法が好ましい。CVD法では、フッ素化合物を原料とするガスをして真空中に導入し基板加熱、プラズマ、イオンビーム、レーザーなどでアシストしたCVDにて行う。
プラズマCVD法の手法は、特に限定されず、例えば特開平9−237783号公報に記載されている手法をとることができる。プラズマCVDに用いる装置としては、平行平板型CVD装置を通常用いる。マイクロ波CVD装置、ECR−CVD装置、高密度プラズマCVD装置(ヘリコン波プラズマ、誘導結合プラズマ)などを用いることもできる。
原料である金属若しくは半金属の単体若しくは化合物と、フッ素化合物とは、CVD装置のチャンバー内の圧力を0.1Pa以下まで排気した後にチャンバー内へ導入する。
原料が固体の場合は加熱、電子ビームを用いて蒸発させたり、高電圧を印加してスパッタリングさせたりしてチャンバー内へ導入する。原料が液体の場合は、蒸気圧差を利用して蒸発させるか、または原料を入れた容器をマントルヒータなどで加熱して蒸発させてチャンバー内へ導入する。原料が気体の場合は、そのままチャンバー内へ導入する。
原料をチャンバー内へ導入した後、直流または交流(10kHz〜100MHz)電圧を約10W〜約10kWの出力にて印加させ電極間にプラズマを発生させ、所定の基材上に有機膜を形成する。そのときの基材温度は500℃以下で、透明基材が耐熱性の低い樹脂である場合は加熱をしない方が好ましい。成膜時の系内の圧力は1×10-2〜1×10Paとするのが好ましい。
前記有機膜中のフッ素原子Fと金属原子Mとの体積組成比F/Mは、0.01〜0.99であることが好ましく、0.03〜0.9であることがより好ましい。この比が小さすぎると有機膜は吸水性が発現し、撥水性、ひいてはガスバリア性が不十分になるおそれがあり、逆に、この比の値が大きすぎると無機膜との密着性が不十分になる可能性がある。F/Mの測定法は、X線電子分光分析による。
前記有機膜の吸水率は0.1重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましい。この条件が満たされると、有機膜からの脱ガス(主に水蒸気の発生)が少なく、その上に形成される無機膜を緻密に形成することが可能となる。
有機膜の膜厚は、本課題を達成する範囲であれば、特に限定はしないが、0.01〜3.0μm、好ましくは0.03〜1.0μmで形成することが好適である。薄いと無機膜との密着性、ガスバリア性が低くなる傾向にある。一方、厚いと、全光線透過率が低下する傾向にある。
無機膜について
本発明で用いる無機膜は、従来ガスバリア性膜として知られる無機膜である。この無機膜を構成する元素は、ガスバリア性を付与可能な金属、半金属であれば特に制限されない。
具体的には、Si、Mg、Ti、Al、In、Sn、Zn、W、Ce、Zrが挙げられ、原料として金属酸化物、窒化物、窒素酸化物、硫化物などが好ましく、良好な膜を形成できる点で酸化珪素SiOxや窒化珪素SiNxがさらに好ましい。
xは、好ましくは1〜4である。
無機膜を製造する方法は、特に制限されないが、膜密度の高い無機化合物からなる膜を効率よく形成させることができる点で、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法が好ましく、さらに膜やフィルム基材へのダメージが無くかつ膜密度を高めることができるという点で、アーク放電プラズマを用いた真空蒸着法やCVD法が特に好ましい。
無機膜の厚さは、特に制限されないが、10nm〜500nmが好ましく、30〜400nmがさらに好ましい。無機膜の厚さが10nm以下である場合、無機化合物が島状堆積物として形成されやすくなるためガスバリア性が不十分の場合がある。一方、500nm以上である場合、膜内での内部応力が大きくなり、積層体の反りが生じ易くなる。
本発明において、無機膜の結晶状態としては柱状構造や粒状構造を含まない均一なアモルファス構造が好ましい。前記柱状構造や粒状構造を含むと、結晶粒界がガス分子の拡散経路となりガスバリア性が不十分になるおそれがある。
本発明のガスバリア積層体の封止膜における積層構成は、無機膜と有機膜とがそれぞれ一層以上積層されていればよく、特に限定されるものではないが、発明の効果をさらに発揮させるために、複数の無機膜と有機膜が交互積層していることが好ましい。前記積層体の厚さが、好ましくは、100nm〜3μm、より好ましくは、200nm〜1μmである。
本発明で用いる、透明樹脂フィルム基材は、透明な樹脂からなるフィルムであり、その表層部の重合体分子がフッ素原子を含有している。
透明な樹脂としては、例えば、脂環式構造を有する重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどの鎖状オレフィン系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエステル系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、酢酸セルロース系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリメタクリレート系重合体のように透明で、可とう性があれば特に制限されるものではない。これらの中でも、高透明性・低吸水率である脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。
透明樹脂フィルム基材の表層部とは、シート最表面から数nm〜数μm程度の深さまでの部分である。透明樹脂フィルム内層部及び表層部はともに同種材料から構成されており、積層界面が無く、表層部の重合体分子は内層部の重合体分子よりもフッ素原子含有量が多くなっている。
フッ素原子含有量はX線電子分光法(ESCA)などの分析装置によって、確認することができる。
フッ素原子含有量は、表層部の重合体分子から内層部の重合体分子に向かって徐々に減少していくような分布をなしていてもよいし、表層部の重合体分子から内層部の重合体分子に向って階段的に減少する分布をなしていてもよい。
本発明の透明樹脂フィルム基材を得る方法を、図を参照しながらさらに具体的に説明をする。
透明樹脂フィルム基材は、溶液流延法又は溶融押出成形法によってして得ることができる。中でも、透明樹脂フィルム基材中の揮発性成分の含有量や厚さムラを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、ダイスを用いる方法やインフレ−ション法などが挙げられるが、厚さ精度や生産性に優れる点でダイス、特にTダイを用いる方法が好ましい。
透明樹脂フィルム基材表層部の重合体分子にフッ素原子を含有する層を形成する方法は、上記製造方法で得られた透明樹脂フィルム基材を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることを含むものである。
図8は本発明を得るために使用する反応装置の一例を示すものである。この反応装置はチャンバー1と、チャンバーの温度を制御するための加熱装置5を備え、チャンバーには、フッ素ガス及び不活性ガスを導入するための、フッ素ガス供給ライン2と不活性ガス供給ライン3が繋がっている。
そして、不要なガスを抜き出す排気ライン4がチャンバーの別の位置に繋がっている。チャンバーには前記の透明樹脂フィルム基材6を置くことができる空間があり、そこに透明樹脂フィルム基材6を置くことができる。排気ライン4から抜き出されたガスは、そのままあるいは分離精製して、各ガス供給ラインに戻し、循環再利用することができる。
本発明におけるフッ素化について行程ごとに説明する。
(1)不活性ガス雰囲気中又は減圧下に透明樹脂フィルム基材を放置する工程。
この工程(1)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、透明樹脂フィルム基材表層部に、フッ素原子含有量が多い材料の層を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(1)を経ることが好ましい。
工程(1)では、まず、チャンバーに透明樹脂フィルム基材を置き、チャンバーを閉じて、不活性ガス供給ライン3の弁を開いて不活性ガスをチャンバーに流入させる。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなどが挙げられる。
本発明においてはアルゴンが好適に用いられる。使用するチャンバーは、ステンレス製もしくはアルミニウム製のものが好ましい。
チャンバーを不活性ガス雰囲気にして、加熱装置によって、チャンバー内の透明樹脂フィルム基材を加熱することが好ましい。この加熱によって透明樹脂フィルム基材中に含まれていた水分、酸素、揮発成分を効率的に除去することができる。加熱温度は透明樹脂フィルム基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は1〜360分、好ましくは2〜200分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下に透明樹脂フィルム基材を放置してもよい。
減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。
圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがある。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、酸素及び水の量を効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は1〜360分、好ましくは1〜200分である。
次の工程(2)において透明樹脂フィルム基材中に酸素や水分が存在すると、その表面が親水化されやすいので、工程(1)において酸素や水分の量を減らすことが好ましい。好ましい透明樹脂フィルム基材中の酸素及び水の量は、共に、通常1重量%以下、好ましくは100重量ppm以下、より好ましくは10重量ppm以下である。
(2)フッ素ガスを含有する雰囲気に透明樹脂フィルム基材を接触させる工程。
工程(1)の後、不活性ガス供給ラインの弁を閉じ、必要に応じてチャンバーを冷却し、次いでフッ素ガス供給ライン2の弁と必要に応じて不活性ガス供給ライン3の弁を開き、フッ素ガスをチャンバーに流入させ、チャンバーを、フッ素ガスを含有する雰囲気にする。
フッ素ガスを含有する雰囲気は、フッ素ガスだけで構成される雰囲気でもよいが、反応を緩やかにするために、不活性ガスで希釈したフッ素ガスで構成することが好ましい。フッ素ガスを含有する雰囲気中には酸素及び水が無いほうが好ましい。具体的には酸素及び水の量が共に100重量ppm以下であることが好ましく、10重量ppm以下であることが更に好ましく、1重量ppm以下であることが特に好ましい。
透明樹脂フィルム基材表面を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることによって、フッ素ガスが透明樹脂フィルム基材の表面から表層部、さらには内層部に向かって徐々に分子内でのフッ素原子の導入が起こり、透明樹脂フィルム基材を構成する材料中のフッ素原子含有量が増加していく。透明樹脂フィルム基材表面からのフッ素原子の浸透深さ、フッ素原子の含有量は、フッ素ガスの濃度、温度、時間に依存して変化する。
不活性ガスで希釈したフッ素ガスの濃度は、通常0.1〜50容量%、好ましくは0.1〜30容量%、より好ましくは0.1〜20容量%である。フッ素ガスを接触させるときの透明樹脂フィルム基材表面温度は、特に制限されないが、通常-50〜150℃、好ましくは-20〜80℃、特に好ましくは0〜50℃である。接触させる時間は、通常0.1秒〜600分、好ましくは0.5秒〜300分、より好ましくは1秒〜60分である。
フッ素ガス濃度が高い場合、温度が高い場合、若しくは時間が長い場合には、フッ素原子の浸透深さが深くなり、フッ素原子含有量も多くなる。フッ素ガス濃度が極端に高い場合、若しくは極端に高温度長時間の場合は、透明樹脂フィルム基材を構成する材料が劣化するので、上記に示した範囲でフッ素ガスを接触させることが好ましい。
(3)フッ素ガスを接触させた後、不活性ガス雰囲気中又は減圧下にフッ素ガス接触処理をした透明樹脂フィルム基材を再放置する工程。
フッ素ガスを接触させ、所定時間経過した後、不活性ガス供給ライン3を開き、フッ素ガス供給ライン2の弁を閉じて、チャンバーを不活性ガス雰囲気にする。不活性ガスは前記工程(1)で説明したものと同じものが挙げられる。そして、加熱装置によって透明樹脂フィルム基材を加熱することが好ましい。この加熱によって透明樹脂フィルム基材中に導入しきれなかった余剰のフッ素ガスを除去することができる。加熱温度は透明樹脂フィルム基材表面温度で、通常60〜180℃、好ましくは80〜130℃である。加熱時間は1〜120分、好ましくは2〜90分である。
不活性ガス雰囲気中に放置する代りに、減圧下にフッ素ガス接触処理をした透明樹脂フィルム基材を放置してもよい。減圧下に放置する場合は圧力を通常500mmHg以下、好ましくは100mmHg以下にする。圧力の下限は1mmHgである。極端に減圧すると排気系から油や水分等の汚染物が逆拡散するおそれがある。減圧下に放置した際にも加熱することが好ましい。加熱温度は通常15〜100℃である。また、減圧と同時に、高純度不活性ガスを注入することは、フッ素ガスを効率的に除去することができるので好ましい。減圧時間は1〜120分、好ましくは1〜60分である。
この工程(3)は必ず行わなければならない工程ではないが、この工程を経ることによって、透明樹脂フィルム基材表層部に、フッ素原子含有量が多い材料の相を面内分布なく存在させることができるようになるので、工程(3)を経ることが好ましい。
工程(3)を終了後、透明樹脂フィルム基材をチャンバーから取り出し、それぞれの用途に応じて用いることができる。
本発明に使用する透明樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃である。ガラス転移温度がこのような範囲にある透明樹脂からなる基材は、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。基材の膜厚は、機械的強度などの観点から、好ましくは30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。
前記樹脂フィルム基材は、揮発性成分の含有量が0.1重量%以下のものであることが好ましく、0.05重量%以下のものであることがより好ましい。揮発性成分の含有量が前記範囲にあることにより、フィルムの寸法安定性が向上し、その上面に無機膜や有機膜を積層する際の積層むらを小さくできる。
前記樹脂フィルム基材は、飽和吸水率が0.01重量%以下のものであることが好ましく、0.007重量%以下のものであることがより好ましい。飽和吸水率が0.01重量%を超えると、無機化合物からなる層やその他の層と樹脂フィルム基材との密着性が低くなり、長期間の使用において前記層の剥離が生じやすくなる。さらに、水分により真空排気に時間を要したり、無機化合物からなる層やその他の層が変質したりして、生産性や歩留まりが低下するおそれがある。
樹脂フィルム基材の飽和吸水率は、JIS K7209に準じて測定する。
前記樹脂フィルム基材は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマ−などの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で含有することができる。これらの添加剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、それぞれ、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部の範囲で配合される。
前記透明樹脂基材として、片面又は両面に表面改質処理を施したものを使用してもよい。表面改質処理を行うことにより、有機膜や無機膜との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理などが挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理及びプラズマ処理、特にコロナ放電処理が好ましい。
本発明で使用する透明樹脂フィルム基材の透明度としては、ASTM D1003に基づく全光線透過率が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。全光線透過率が小さすぎると透明用途に使用しにくくなるおそれがある。
本発明のガスバリア積層体は、透明樹脂フィルム基材表層部にフッ素原子を含有した透明樹脂フィルム基材上に、有機膜および無機膜が積層されている。
そのため、それぞれの界面の密着性が高くまた、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性が著しく高い。さらに、透明樹脂フィルム基材、有機膜、無機膜のいずれも透明性を高くなし得るので、包装用途に加えて光学用途にも使用可能である。
例えば、有機EL発光素子に好適に使用することができる。
次に本発明の発光素子を説明する。図1に典型的な有機EL発光素子を構成する基本要素である回路基板を示す。
図1に示す回路基板801は、基板401、下部電極層501、発光材料層601及び上部電極層502を順次積層してなる。
有機EL発光素子は、陽極と陰極の2つの電極に直流電圧をかけることで、電極から、発光材料層にホールと電子が送り込まれることにより発光する。
つまり、下部電極層501と上部電極層502に電圧をかけることにより発光材料層601が発光する。
発光材料層601は、水蒸気や酸素などで劣化し易く、有機EL発光素子の寿命を伸ばすためには、ガスバリア性膜で封止して、水蒸気や酸素の浸入を防ぐことが必要不可欠である。
本発明の発光素子に用いる上部電極層502を構成する材料としては、上部電極層から光を出光させるための材料が挙げられ、具体的には導電性の金属酸化物や半透明の金属またはその積層体が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラス(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、中でもITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。また上部電極層として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェンなどの有機の透明導電膜を用いてもよい。
上部電極層の平均厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、通常10nm〜10μmであり、好ましくは100〜500nmである。
本発明の発光素子においては、上部電極層が透明又は半透明であることが、発光を透過するため、又は発光の取出し効率を向上させるため好都合である。上部電極層の作成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法が挙げられる。
本発明の発光素子に用いる発光材料層601を構成する材料としては、特に制限はなく、従来有機EL素子における発光材料として公知のものを用いることができる。このような発光材料の具体例としては、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリジン化合物などが挙げられる。
発光材料層の平均厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmである。
本発明の発光素子においては、発光材料層に2種類以上の発光材料を混合して使用してもよく、2層以上の発光材料層が積層されていてもよい。発光材料層の作成方法としては、真空蒸着法、キャスト法などが挙げられる。
本発明の発光素子に用いる下部電極層501を構成する材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、発光材料層から下部電極層側に向かう発光光を反射させ、封止層側に向かわせるため鏡面体であることがさらに好ましい。
具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。下部電極層を2層以上の積層構造としてもよい。下部電極層の作成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などが挙げられる。
下部電極層の平均厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、通常10nm〜10μm、好ましくは100〜500nmである。
発光素子の基本要素である回路基板には、上記の層のほかに他の層を有していてもよい。
他の層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層が挙げられる。
正孔注入層は、下部電極に隣接して設ける層であり、下部電極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層の平均厚さは、通常1nm〜100nm、好ましくは2nm〜50nmである。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。したがって、正孔輸送層の平均厚さは、通常1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nmである。
正孔注入層や正孔輸送層に用いる材料としては、従来有機EL素子における正孔伝達化合物として公知のものが挙げられる。
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。したがって、電子輸送層の平均厚さは、通常1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nmである。
電子注入層は、上部電極層に隣接して設けた層であって、上部電極からの電子注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものである。
電子注入層の平均厚さは、通常1nm〜100nmであり、好ましくは2nm〜50nmである。
電子輸送層、電子注入層に用いる材料としては、従来有機EL素子における電子伝達化合物として公知のものが挙げられる。
これらその他の層の作成方法としては、スピンコート法、キャスト法、真空蒸着法などが挙げられる。
次に本発明のガスバリア積層体を説明する。
図2、3、4は、本発明のガスバリア積層体の一例を示す断面図である。
すなわち、ガスバリア積層体200,201,202は透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有した(以下フッ素化処理した、と称する)透明樹脂フィルム基材400と、有機膜、及び無機膜を順次積層してなる封止膜から構成される。有機膜、及び無機膜の積層方法は、前記のプラズマCVD法を用いて積層した。
本発明積層体によって発光素子を被い、密着させることによって、水蒸気や酸素などによる発光材料層の劣化を防止できる。
本発明の発光素子においては、下部電極層、発光材料層及び上部電極層の側面を覆うように本発明積層体からなる封止層が設けられることが好ましく、さらに透明樹脂フィルム基板まで覆うことがさらに好ましい。
封止層を前記のように設けることにより、側面から侵入する水分やガスを遮蔽できる。積層体の封止方法は特に限定されず、前記ドライ製法のほか、密着により封止されていれば圧着法、熱圧着法、接着剤法などを用いることができる。
図5は、本発明発光素子の一例を示す図である。
本発明発光素子の実施態様は、フッ素化処理した基板403、下部電極層501、発光材料層601、上部電極層502及び封止層53を順次積層してなる。
フッ素化処理した基板403は透明樹脂フィルム基材をフッ素ガスと接触することにより得た。
封止層53の有機膜、及び無機膜の積層方法は、前記記載のプラズマCVD法を用いて回路基板を覆うように積層した。
図6は、前記図2の構成で積層したガスバリア積層体200を基板として用い、基板200上に下部電極層501、発光材料層601、上部電極層502及び封止層55を順次積層し、ガスバリア性をさらに付与した断面図の一例である。
本発明発光素子の実施態様は、ガスバリア積層体からなる基板200、下部電極層501、発光材料層601、上部電極層502及び封止層55を順次積層してなる。
封止層55の有機膜、及び無機膜の積層方法は、前記記載のプラズマCVD法を用いて回路基板を覆うように積層した。
本発明積層体によって発光素子を被い、密着させることによって、さらに水蒸気や酸素などによる発光材料層の劣化を防止できる。
図7は、本発明の図3の構成で積層したガスバリア積層体201で回路基板を被い、封止層として用いた例の断面図である。
本発明発光素子の実施態様は、回路基板801の上に、封止層201で周囲を封止した構造であり、封止層201を接着剤700で封止している一例を示している。
本発明積層体によって発光素子を被い、密着させることによって、水蒸気や酸素などによる発光材料層の劣化を防止できる。
図8は、フッ素化処理した基材404上に有機膜36、無機膜48、有機膜37を順次積層したガスバリア積層体を基板403として用い、
基板403上に下部電極層501、発光材料層601及び上部電極層502を積層し回路基材を形成し、
本発明の図3で説明したのと同様の方法で積層したガスバリア積層体201で回路基板を被い、封止層として用い、ガスバリア性をさらに付与した断面図の一例である。
本発明積層体によって回路基板を被い、密着させることによって、さらに水蒸気や酸素などによる発光材料層の劣化を防止できる。
次に本発明の封止剤を説明する。図7、8で用いた封止するための接着剤700を用い、封止層を基板に接着する方法としては、従来公知のもので使用されている封止材でよく、特に限定されないが、溶剤を含んでいない、いわゆる無溶剤型接着剤を使用することが好ましい。
具体的には、熱によって接着性を発揮する熱可塑性樹脂(ヒートシール剤)、ポリオールとポリイソシアネートとからなる二液型接着剤、エポキシ系やシアノアクリレート系などの感圧接着剤、アクリレートオリゴマーなどの重合性成分を含む感光性接着剤などが挙げられる。このような無溶剤型接着剤を用いることにより、封止後に溶剤によるEL層に対する悪影響を排除することができる。
本発明の発光素子に用いる基板としては、550nmの可視領域内の光の透過率が80%以上で、平滑であり、かつ電極や該素子の各層を形成する際に変化しないものであるのが好ましい。基板の平均厚さは、通常30μm〜3mmで好ましくは50〜300μmである。
以下本発明の実施例に付いて詳細を記載するが、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではない。
なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)密着性
JIS D0202−1988に準拠してクロスカットセロハンテープ試験により、積層体の封止膜を100ピースにカットし、カットした各ピースにセロハンテープを貼り、次いでできるだけ垂直にすばやくまっすぐ剥がした。剥離していない封止膜のピース数を数える。ピース数が少ないほど、密着性に優れる。
(2)吸水率は、60℃のオーブン内で30分乾燥した。その後、積層体を、60℃の水中に24時間浸し、浸漬前後の重量を測定した。吸水率は比率計算により算出した。
(3)水蒸気透過速度
JIS K7129のB法(赤外センサー法)に準拠して、水蒸気透過速度測定器(MOCON社製、「Permatran」)を用いて、40℃、90%環境下で測定した。
(4)酸素透過速度
JIS K7129のB法(赤外センサー法)に準拠して、水蒸気透過速度測定器(MOCON社製、「OXTRAN」)を用いて、25℃、75%環境下で測定した。
(5)有機膜のフッ素原子と金属原子の体積組成比(F/M)
有機膜試料をX線電子分光装置にて測定し、有機膜の体積組成比(F/M)を算出した。
なお、水蒸気透過速度、酸素透過速度を測定する際には、基材フィルムとしてPETフィルム(厚さ100μm)を用い、この上に封止膜を形成させた積層体を用いる。そして、以下の式(1)より封止膜の水蒸気透過速度を算出する。あわせて基材フィルムのみの水蒸気透過速度も測定する。
式(1):P/d=(d/P+d/P−1
上記式(1)において、P、P、Pはそれぞれ積層体、封止膜、基材フィルムの水蒸気透過速度を表し、d、d、dはそれぞれ積層体、封止膜、基材フィルムの厚さを表す。水蒸気透過速度が小さいほど、水蒸気バリア性に優れる。
(6)有機EL発光寿命評価
発光寿命の評価は、下部電極層501と上部電極層502に直流電圧を印加した状態で、40℃、90%RHの環境下で実施した。初期発光輝度を100cd/mとなる条件で連続駆動させ、有機EL発光素子として発光し、発光素子の寿命を示す半減期(輝度が半減する時間)を測定した。時間が長いほど発光寿命に優れる。
図1は、本実施例に用いた回路基板を示す図である。
回路基板801は、透明樹脂フィルム基材401上に、リチウムインジウム合金を用い、真空蒸着法で100nmの下部電極層501として成膜した。さらに、ベンゾチアゾール系の発光材料を用い、真空蒸着法で100nmの発光材料層601を積層し、最後に、インジウム・錫・オキサイドを用い、真空蒸着法で100nmの上部電極層502を順次積層して形成させた。
実施例1
図2は、本発明の実施例1におけるガスバリア積層体の断面図である。
透明樹脂フィルム基材400として厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製:ゼオノア1620で作成したフィルム)を、SUS316L製チャンバーに入れ、酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴン気流下、120℃で3時間加熱し酸素及び水を除去した。酸素及び水の量は10重量ppm未満であった。
その後、室温まで冷却し、外気からの酸素や水分の混入がないよう気をつけながらバルブを切り替えて、アルゴンガスで希釈された1容量%フッ素ガス(酸素及び水の含有量1重量ppm未満)を30℃で導入した。15分間経過後、バルブを切り替えて酸素及び水分含有量1重量ppb以下の高純度アルゴンを導入し、90℃で1時間加熱し余剰のフッ素ガスを除去した。
ESCAによる測定で転写面の表層部にフッ素原子が多く存在していることを確認した。さらに、この透明樹脂フィルム基材を、超純水中に24時間浸漬した後、ESCAを測定したところ、浸漬前と同様に、フッ素原子が表層部に多く存在していた。また、FTIR-ATR法で膜表面を測定したところ、C-F伸縮振動に由来する1400〜1000cm-1にブロードなピークが観測された。
前記フッ素化処理した透明樹脂フィルム基材をCVD装置内に入れて、モノマーガス としてC(オクタフルオロ-2-ペンチン)及びテトラエトキシシラン(TEOS)の流量を 0.101Pa・m/sec及び0.0676101Pa・m/sec(体積流量比60:40)で導入し、プラズマCVD法にて成膜し、有機膜30を、フッ素化処理した透明樹脂フィルム基材400に積層した。
得られた有機膜30の厚さは、触針式膜厚測定装置「デックタック」で測定した結果、250nmであった。
続いて、前記で成膜した有機膜の上に、前記同様の方法で膜厚200nmのSiOの無機膜40を積層した。
その結果、封止膜50を有するガスバリア積層体200を得た。成膜に際し、前記フッ素化処理した透明フィルム基材400には強制加熱は施していない。
得られた積層体の評価結果を表1に示した。
実施例2
図3は、本発明の実施例2におけるガスバリア積層体の断面図である。
実施例2における前記フッ素化処理した透明樹脂フィルム基材400は、実施例1と同じものを用いた。
前記フッ素化処理した樹脂フィルム基材400上に、実施例1と同様の方法で、250nmの有機膜31を成膜した。そして、上記有機膜の上に200nmの無機膜41を成膜した。
さらに前記同様の方法で、250nmの有機膜32を、200nmの無機膜42を順次積層し、封止膜51を有する、ガスバリア積層体201を得た。得られた積層体の評価結果を表1に示した。
実施例3
図4は、本発明の実施例3におけるガスバリア積層体の断面図である。
実施例1同様の方法で、前記フッ素化処理した透明樹脂フィルム基材400上に、実施例1同様の方法で、300nmの無機膜43を、200nmの有機膜33を積層させ、続いて200nmの無機膜44を順次積層させ、ガスバリア層52を有するガスバリア積層体202を得た。
得られた積層体の評価結果を表1に示した。
比較例1
フッ素化処理を施していない透明樹脂フィルム基材を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、ガスバリア積層体を作成した。得られた積層体の評価結果を表1に示した。
比較例2
フッ素化処理を施していない透明樹脂フィルム基材を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、ガスバリア積層体を作成した。得られた積層体の評価結果を表1に示した。
実施例1、2は、水蒸気透過速度(WVTR)及び酸素透過速度(OTR)が、比較例の結果と比較すると、より低下していることが確認される。
また、実施例3の結果から、さらに有機膜、無機膜の積層数を増やすとさらに水蒸気透過速度(WVTR)及び酸素透過速度(OTR)が低下していることが確認される。
密着性は剥離が無く良好な結果が得られていることが判る。
また、吸水率は、0.1重量%以下であることが確認できる。
Figure 0004821092

実施例で明らかなように、本発明のごとく透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有した透明樹脂フィルム基材をもちい、該基材上に無機膜と有機膜の積層体を形成することにより、水蒸気透過速度が低く、剥離試験においても密着性の良好な積層体を得ることができることが明白である。
実施例4
図5は、本発明の発光素子の断面図である。
実施例1と同様の方法で、厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム基材の表層部をフッ素化処理した基板403を用い、図1で説明した同様の方法で作成した回路基板802の上に、
実施例1同様の方法で、300nmの無機膜45を、250nmの有機膜34を積層させ、続いて300nmの無機膜46を順次積層させ、ガスバリア層53を得た。その結果、該ガスバリア積層53で封止した有機EL発光素子203を得た。
該有機EL発光素子の有機EL発光寿命評価を実施し、発光寿命半減期を測定したところ、4500時間であった。
比較例3
厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム基材をフッ素化処理せずに基板として用いた他は実施例4と同様の方法で、回路基板及び発光素子を作成し、有機EL発光寿命評価を実施したところ、半減期は、3900時間であった。
実施例5
図6は、本発明発光素子の断面図である。
透明樹脂フィルム基板403として厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製:ゼオノア1620で作成したフィルム)に、実施例1の方法でフッ素化処理を施し、該フィルムの表層部の重合体分子にフッ素原子を含有させたものを用いた。
該基板をCVD装置内に入れて、モノマーガス としてC(オクタフルオロ-2-ペンチン)及びテトラエトキシシラン(TEOS)の流量を 0.101Pa・m/sec及び0.0676101Pa・m/sec(体積流量比60:40)で導入し、プラズマCVD法にて成膜し、250nmの有機膜35を樹脂基材に積層した。
続いて、前記成膜した有機膜の上に、実施例1同様の方法で膜厚300nmのSiOの無機膜47を積層して、封止膜54を有するガスバリア基板200を得た。
さらに、回路基板803は、前記ガスバリア基板200上に、リチウムインジウム合金を用い、真空蒸着法で100nmの下部電極層501を成膜した。さらに、ベンゾチアゾール系の発光材料を用い、真空蒸着法で100nmの発光材料層601、最後に、インジウム・錫・オキサイドを用い、真空蒸着法で100nmの上部電極層502を順次積層して形成させた。
得られた回路基板803上に、実施例1同様の方法で、300nmの無機膜48を、250nmの有機膜36を積層させ、続いて300nmの無機膜49を順次積層させ、ガスバリア層55を有する、発光素子204を作成した。
作成した発光素子の下部電極層501と上部電極層502に直流電圧を印加し、有機EL発光寿命評価を実施し、発光寿命半減期を測定したところ、4800時間であった。
比較例4
比較例2で作成した、ガスバリア積層体を基板として用い、回路基板及びガスバリア層を前記同様の方法で作成し、発光素子を得た。有機EL発光寿命評価を実施したところ、半減期は、4000時間であった。
実施例6
図7は、本発明におけるガスバリア積層体及び発光素子の断面図である。
図1で説明した同様の方法で作成した回路基板801上に、実施例1で作成したガスバリア積層体201で回路基板を覆い、エポキシ系接着剤700で封止し、作成した有機EL発光素子901である。
作成した発光素子の下部電極層501と上部電極層502に直流電圧を印加、有機EL発光寿命評価を実施し、発光寿命半減期を測定したところ、4300時間であった。
比較例5
比較例2で作成した、ガスバリア積層体で、回路基板を覆った他は実施例6と同様にして発光素子を作成した。発光寿命半減期を測定をしたところ、半減期は4000時間であった。
実施例7
図8は、発光素子の断面図である。
透明樹脂フィルム基板を作成するにあたり、基板404として厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム(日本ゼオン社製:ゼオノア1620で作成したフィルム)を、実施例1の方法でフッ素化処理し、該基材の表層部の重合体分子にフッ素原子を含有させた。
該基板をCVD装置内に入れて、モノマーガス としてC(オクタフルオロ-2-ペンチン)及びテトラエトキシシラン(TEOS)の流量を 0.101Pa・m/sec及び0.0676101Pa・m/sec(体積流量比60:40)で導入し、プラズマCVD法にて成膜し、250nmの有機膜36を、フッ素処理した透明樹脂フィルム基材404に積層した。
続いて、前記で成膜した有機膜の上に、実施例1同様の方法で膜厚300nmのSiOの無機膜48を積層し、さらに前記同様の方法で250nmの有機膜37を積層し、封止膜を有するガスバリア基板405を得た。
ガスバリア基板405の上に、リチウムインジウム合金を用い、真空蒸着法で100nmの下部電極層501として成膜した。さらに、ベンゾチアゾール系の発光材料を用い、真空蒸着法で100nmの発光材料層601を積層し、最後に、インジウム・錫・オキサイドを用い、真空蒸着法で100nmの上部電極層502を順次積層して形成させた。
回路基板902の上に、実施例3で作成したガスバリア積層体201で回路基板をエポキシ系接着剤700で封止して作成した有機EL発光素子903である。
発光寿命の評価は、下部電極層501と上部電極層502、直流電圧を印加し、有機EL発光寿命評価を実施し、半減期を測定したところ、4400時間であった。
比較例6
実施例7で用いた厚さ100μmのシクロオレフィンポリマーフィルム基材をフッ素化処理せず、実施例7同様の方法で、回路基板及び発光素子を作成し、実施例7同様の方法で発光素子を作成し、有機EL発光寿命評価を実施したところ、半減期は3900時間であった。
以上より、発光寿命を伸ばし、さらに薄さ、軽さ及び柔軟さが求められる液晶表示装置や有機EL装置などの表示装置用の基材や基板;前記表示装置の封止剤;等として非常に有用である。
典型的な有機EL発光素子の構造を示す断面図である。 本発明のガスバリア積層体を使用した一例の断面図を示す。 本発明のガスバリア積層体を使用した一例の断面図を示す。 本発明のガスバリア積層体を使用した一例の断面図を示す。 発光体を有する樹脂基材上に、本発明のガスバリア積層体を封止層に用いた一例を示す断面図である。 発光体を有する樹脂基材上に、本発明のガスバリア積層体を封止層に用いた一例を示す断面図である。 発光体を有する樹脂基材上に、本発明のガスバリア積層体を封止層として用い、封止剤で封止した一例を示す断面図である。 本発明のガスバリア積層体を、発光体を有する樹脂基材に積層し、本発明のガスバリア積層体を封止層として用い、封止剤で封止し、有機EL発光素子を作成した一例を示す断面図である。 本発明のフッ素原子を含有した透明樹脂フィルム基材を得るために用いる反応装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
400、401、403、404樹脂フィルム基材
200:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜を積層した積層体の一例
201:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜を複数順次積層した積層体の一例
202:樹脂フィルム基材上に無機膜、有機膜及び無機膜を順次積層した積層体の一例
405:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜及び有機膜を積層した積層体の一例
901:有機EL発光素子
801,802、803、902:有機EL発光素子の回路基板
30、31、32、33、34、35、36、37:有機膜
40、41,42,43,44,45,46、47,48、49:無機膜
50:有機膜、無機膜を一層積層した積層体の一例
51:有機膜、無機膜を複数積層した積層体の一例
52:無機膜、有機膜及び無機膜を複数積層した積層体の一例
53:樹脂フィルム基板に直接有機膜、無機膜を順次積層した積層体の一例
54:樹脂フィルム基板に積層した、有機膜、無機膜積層体の一例
55:有機膜、無機膜積層体の一例
200:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜積層体を積層した積層体の一例
201:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜積層体を複数順次積層した積層体の一例
902:樹脂フィルム基材上に有機膜、無機膜積層体を複数順次積層した回路基板
203、204、901、903:有機EL発光素子の断面図
501:下部電極層
502:上部電極層
601:発光材料層
700:積層体の封止材
1:チャンバー
2:フッ素ガス供給ライン
3:不活性ガス供給ライン
4:排気ライン
5:加熱装置
6:透明樹脂フィルム基材

Claims (4)

  1. 基板上に下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層を順次積層してなり、前記基板、前記封止層又はこれらの両方がガスバリア積層体であり、
    前記ガスバリア積層体は、
    少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜が積層してなる封止膜と、透明樹脂フィルム基材とからなる積層体であって、
    前記透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有しており、
    前記有機膜がフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
    前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であり、
    前記透明樹脂フィルム基材の表層部の前記重合体分子が含有する前記フッ素原子は、フッ素原子を含有させる前の透明樹脂フィルム基板表面を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることにより前記重合体分子に含有させたものであるガスバリア積層体である発光素子。
  2. 透明樹脂フィルム基板上に、下部電極層、発光材料層、上部電極層を順次積層し、さらにその上に、少なくとも一つの有機膜及び少なくとも一つの無機膜を積層してなる発光素子であって、
    前記透明樹脂フィルム基板の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有しており、
    前記有機膜がフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
    前記無機膜が金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であり、
    前記透明樹脂フィルム基材の表層部の前記重合体分子が含有する前記フッ素原子は、前記透明樹脂フィルム基板表面を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることにより前記重合体分子に含有させたものである発光素子。
  3. 基板上に、下部電極層、発光材料層、上部電極層及び封止層が順次積層してなり、前記基板がガスバリア積層体であり、
    前記ガスバリア積層体は、
    少なくとも一つの有機膜A及び少なくとも一つの無機膜Aが積層してなる封止膜Aと、透明樹脂フィルム基材とからなる積層体であって、
    前記透明樹脂フィルム基材の表層部の重合体分子がフッ素原子を含有しており、
    前記有機膜Aがフッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
    前記無機膜Aが金属の単体又は化合物を原料としてなる膜であり、
    前記透明樹脂フィルム基材の表層部の前記重合体分子が含有する前記フッ素原子は、フッ素原子を含有させる前の透明樹脂フィルム基板表面を、フッ素ガスを含有する雰囲気に接触させることにより前記重合体分子に含有させたものであるガスバリア積層体であり、
    前記封止層が少なくとも一つの有機膜B及び少なくとも一つの無機膜Bが積層してなる封止膜Bを積層してなり、
    前記有機膜Bが、フッ素化合物を、又はフッ素化合物と金属若しくは半金属の単体若しくは化合物とを原料としてなる膜であり、
    前記無機膜Bが金属の単体又は化合物を原料としてなる膜である発光素子。
  4. 非発光時における波長550nmでの光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載のいずれかの発光素子。
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