JP2004119317A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】外部からの水分の浸入を遮断することにより長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】アレイ基板と、前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機EL素子と、前記有機EL素子を覆うように形成され、水分量が1重量%以下のエポキシ樹脂層と、前記エポキシ樹脂層上に形成された防湿層とを具備したことを特徴とする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)に関し、特に有機EL素子の封止構造を改良した有機EL表示装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
有機EL表示装置に組み込まれる有機EL素子は、一般にアレイ基板上に形成された透明な陽極と、この陽極上に形成され、複数の画素領域を区画するための格子状のバンクと、これらの画素領域に露出された前記陽極上にそれぞれ形成された正孔輸送層と、これら正孔輸送層上に前記バンクの上面より下方に位置するようにそれぞれ形成された有機化合物からなる発光層と、これらの発光層を含む前記バンク上に形成された陰極とを有する。
【0003】
前記有機EL素子は、大気に曝して放置すると,大気中の水分、酸素により発光層、陰極が劣化し、素子の性能低下を招く。具体的には、ダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生し、時間の経過に伴って拡大する現象が起こる。
【0004】
このようなことから、前記有機EL素子を外部から保護するための種々の封止構造を有する有機EL表示装置が研究、開発されている。
【0005】
例えば、有機EL素子をポリエチレンテレフタレートフィルムに酸化ケイ素を積層した積層フィルムからなる防湿層で被覆して封止したり、酸化ケイ素、窒化ケイ素からなる無機絶縁層で被覆して封止したりする技術が知られている。
【0006】
しかしながら、積層フィルムからなる防湿層を用いた場合には水分に起因する有機EL素子の劣化を効果的に防止することが困難であった。
【0007】
また、前記無機絶縁層のみで封止する場合には厚さを厚くするために生産性が低下したり、耐磨耗性が低下したりするという問題があった。
【0008】
一方、特許文献1の従来技術にはガラス製、プラスチック製や金属製の封止缶の内部に吸湿効果のある酸化バリウムを含む窒素などの気体や、有機EL素子に対する影響の少ない不活性液体を充填することにより、封止層を形成する方法が記載されている。しかしながら、このような封止構造では有機EL表示装置の駆動時に発生する熱を良好に放出できない、つまり放熱性が劣る問題や有機EL表示装置自体の厚さが厚くなったりする問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−056971
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、外部からの水分の浸入を遮断することにより長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機EL表示装置は、アレイ基板と、
前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機EL素子と、
前記有機EL素子を覆うように形成され、水分量が1重量%以下のエポキシ樹脂層と、
前記エポキシ樹脂層上に形成された防湿層と
を具備したことを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る別の有機EL表示装置は、アレイ基板と、
前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機EL素子と、
前記有機EL素子の外周面を覆うように形成された無機絶縁層と、
少なくとも前記無機絶縁層で覆われた前記有機EL素子を覆うように形成された有機樹脂層と、
前記有機樹脂層上に形成された防湿層と
を具備したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係るさらに別の有機EL表示装置は、アレイ基板と、
前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機EL素子と、
少なくとも前記有機EL素子の外周面を覆うように形成された第1無機絶縁層と、
前記第1無機絶縁層上に前記有機EL素子と対向するように形成された吸湿層と、
少なくとも前記第1無機絶縁層上に前記吸湿層の周囲を覆うように形成された第2無機絶縁層と、
少なくとも前記第1、第2の無機絶縁膜で覆われた前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆うように形成された有機樹脂層と、
前記有機樹脂層上に形成された防湿層と
を具備したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図である。
【0016】
アレイ基板1の上には、有機EL素子2が形成されている。この有機EL素子2の詳細は図示しないが、例えば前記アレイ基板1上に形成された透明な陽極と、この陽極上に形成され、複数の画素領域を区画するための格子状のバンクと、これらの画素領域に露出された前記陽極上にそれぞれ形成された正孔輸送層と、これら正孔輸送層上に前記バンクの上面より下方に位置するようにそれぞれ形成された有機化合物からなる発光層と、これらの発光層を含む前記バンク上に形成された陰極とを備えた構造を有する。
【0017】
エポキシ樹脂層3は、前記有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に形成されている。このエポキシ樹脂層3は、1重量%以下の水分量を有する。防湿層4は、前記エポキシ樹脂層3上に形成されている。
【0018】
前記エポキシ樹脂層の水分量が1重量%を超えると、前記有機EL素子を構成する発光層の劣化、陰極の腐食等を招く虞がある。より好ましい前記エポキシ樹脂層の水分量が0.5重量%以下である。
【0019】
前記エポキシ樹脂層は、前記有機EL素子より厚い10〜100μmの厚さを有することが好ましい。
【0020】
前記防湿層としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチックからなる基材フィルムに酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機酸化物を1層以上積層した積層フィルム;この積層フィルムの無機酸化物層に前記PETのようなプラスチックからなる基材フィルムをさらに積層した3層構造の積層フィルム;前記基材フィルムに窒化ケイ素,窒化アルミニムから選ばれる少なくとも1つの無機窒化物を1層以上積層した積層フィルム;この積層フィルムの無機窒化物層に前記PETのようなプラスチックからなる基材フィルムをさらに積層した3層構造の積層フィルム;前記基材フィルムにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスのような金属を蒸着した積層フィルム;この積層フィルムの金属層に前記PETのようなプラスチックからなる基材フィルムをさらに積層した3層構造の積層フィルム;またはアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスのような金属の箔を挙げることができる。
【0021】
前記防湿層は、50〜200μmの厚さを有することが好ましい。
【0022】
前記有機EL表示装置は、例えば次のような方法により製造される。
【0023】
1)予め脱水処理して水分量を1重量%以下にしたエポキシ樹脂溶液を防湿層の片面に塗布して所望厚さのエポキシ樹脂溶液層を形成する。つづいて、アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に前記エポキシ樹脂溶液層付き防湿層をそのエポキシ樹脂溶液層が前記アレイ基板側に位置するように押し当て、前記エポキシ樹脂溶液層を熱硬化させて前記防湿層をエポキシ樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0024】
2)アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に脱水処理して水分量を1重量%以下にしたエポキシ樹脂溶液を塗布して所望厚さのエポキシ樹脂溶液層を形成し、さらにこのエポキシ樹脂溶液層に防湿層を押し当て、前記エポキシ樹脂溶液層を熱硬化させて前記防湿層をエポキシ樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0025】
以上、本発明の第1実施形態によれば有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に1重量%以下の水分量を有するエポキシ樹脂層3を形成する、つまり前記有機EL素子2を覆うようにエポキシ樹脂層3を形成することによって、前記有機EL素子2に水分が外部およびエポキシ樹脂層3自体から浸入するのを阻止し、前記有機EL素子2を構成する発光層の劣化、陰極の腐食等を防止できる。また、前記エポキシ樹脂層上にプラスチックからなる基材フィルムに酸化ケイ素を積層した積層フィルムのような防湿層4を形成することによって、外部の水分が前記有機EL素子2に対して面方向から浸入するのを阻止することができる。
【0026】
したがって、外部からの水分の浸入を遮断することにより長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を得ることができる。
【0027】
また、外部からの水分を遮断する層構造は空気層の形成を防止できるため、優れた放熱性を有する有機EL表示装置を実現できる。
【0028】
さらに、外部からの水分を遮断する部材はエポキシ樹脂層3および防湿層4から構成され、これらの部材はいずれも薄膜化(例えば前記エポキシ樹脂層3は前記有機EL素子2より厚い10〜100μm、前記防湿層4は50〜200μm)が可能であるため、携帯電話の表示部材として好適な薄膜の有機EL表示装置を実現できる。
【0029】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図である。なお、図2において前述した第1実施形態の図1と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0030】
アレイ基板1の上には、有機EL素子2が形成されている。無機絶縁層5は、前記有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に形成されている。有機樹脂層6は、前記無機絶縁層5上にその表面が平坦になるように形成されている。防湿層4は、前記有機樹脂層6上に形成されている。
【0031】
前記無機絶縁層は、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機酸化物の層または窒化ケイ素、窒化アルミニムから選ばれる少なくとも1つの無機窒化物の層を挙げることができる。
【0032】
前記無機絶縁層は、0.1〜5μmの厚さを有することが好ましい。
【0033】
前記有機樹脂層は、前記防湿層の接着材としても機能し、例えばエポキシ系、アクリル系の熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂から作られる。この有機樹脂層は、水分量が1重量%以下、より好ましい0.5重量%以下であることが望ましい。
【0034】
前記有機樹脂層は、前記有機EL素子以外のアレイ基板に対応する個所の厚さを有機EL素子より厚い10〜100μmにすることが好ましい。
【0035】
前記防湿層は、前述した第1実施形態と同様な積層フィルム、金属箔がを用いることができる。
【0036】
前記防湿層は、50〜200μmの厚さを有することが好ましい。
【0037】
前記有機EL表示装置は、例えば次のような方法により製造される。
【0038】
1)予め有機樹脂溶液を防湿層の片面に塗布して所望厚さの有機樹脂溶液層を形成する。つづいて、アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に無機絶縁層をCVD法、スパッタ法により形成する。次いで、前記無機絶縁層上に前記有機樹脂溶液層付き防湿層をその有機樹脂溶液層が前記無機絶縁層側に位置するように押し当て、前記有機樹脂溶液層を硬させて前記防湿層を有機樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0039】
2)アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に無機絶縁層をCVD法、スパッタ法により形成する。つづいて、前記無機絶縁層上に有機樹脂溶液を塗布して所望厚さの有機樹脂溶液層を形成する。次いで、この有機樹脂溶液層に防湿層を押し当て、前記有機樹脂溶液層を硬化させて前記防湿層を有機樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0040】
以上、本発明の第2実施形態によれば有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に酸化ケイ素層のような無機絶縁層5を形成する、つまり前記有機EL素子2を覆うように無機絶縁層5を形成し、さらにこの無機絶縁層5上に有機樹脂層6を介して防湿層4を形成することによって、外部の水分が前記有機EL素子2に対して面方向から浸入するのを前記防湿層4で阻止し、さらに前記有機EL素子2周囲の無機絶縁層5でその水分浸入をより確実に阻止して前記有機EL素子2を構成する発光層の劣化、陰極の腐食等を防止できる。その結果、外部からの水分の浸入を遮断することにより長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を得ることができる。
【0041】
また、外部からの水分を遮断する層構造は空気層の形成を防止できるため、優れた放熱性を有する有機EL表示装置を実現できる。
【0042】
さらに、外部からの水分を遮断する部材は無機絶縁層5、有機樹脂層6および防湿層4から構成され、これらの部材はいずれも薄膜化(例えば前記無機絶縁層5は0.1〜5μm、前記有機樹脂層6は厚い箇所で10〜100μm、前記防湿層4は50〜200μm)が可能であるため、携帯電話の表示部材として好適な薄膜の有機EL表示装置を実現できる。
【0043】
なお、有機樹脂層として1重量%以下の水分量を有するものを用いれば、外部の水分が前記有機EL素子2に浸入するのをより一層効果的に阻止することができる。
【0044】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図である。なお、図3において前述した第1、2の実施形態の図1、図2と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。
【0045】
アレイ基板1の上には、有機EL素子2が形成されている。第1無機絶縁層7は、前記有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に形成されている。吸湿層8は、前記有機EL素子2に対応する前記第1無機絶縁層7上に形成されている。第2無機絶縁層9は、前記吸湿層8を含む前記第1無機絶縁層7上に形成されている。有機樹脂層6は、前記第2無機絶縁層9上にその表面が平坦になるように形成されている。防湿層4は、前記有機樹脂層6上に形成されている。
【0046】
前記第1、第2の無機絶縁層は、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機酸化物の層または窒化ケイ素、窒化アルミニムから選ばれる少なくとも1つの無機窒化物の層を挙げることができる。第1、第2の無機絶縁層は、同材質でも、異材質であってもよい。
【0047】
前記第1、第2の無機絶縁層は、0.1〜5μmの厚さを有することが好ましい。
【0048】
前記吸湿層としては、例えばカルシウム、バリウム、またはそれらの酸化物,シリカゲル、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1つの層を挙げることができる。
【0049】
前記吸湿層は、0.1〜0.5μmの厚さを有することが好ましい。
【0050】
前記有機樹脂層は、前述した第2実施形態と同様なものを用いることができる。この有機樹脂層は、水分量が1重量%以下、より好ましい0.5重量%以下であることが望ましい。
【0051】
前記有機樹脂層は、前記有機EL素子以外のアレイ基板に対応する個所の厚さを有機EL素子より厚い10〜100μmにすることが好ましい。
【0052】
前記防湿層は、前述した第1実施形態と同様な積層フィルム、金属箔を用いることができる。
【0053】
前記防湿層は、50〜200μmの厚さを有することが好ましい。
【0054】
前記有機EL表示装置は、例えば次のような方法により製造される。
【0055】
1)予め有機樹脂溶液を防湿層の片面に塗布して所望厚さの有機樹脂溶液層を形成する。つづいて、アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に第2無機絶縁層をCVD法、スパッタ法により形成する。ひきつづき、前記有機EL素子に対応する第1無機絶縁層上に吸湿層をスパッタ法等により形成した後、この吸湿層を含む前記第1無機絶縁層に第2無機絶縁層をCVD法、スパッタ法により形成する。次いで、前記第2無機絶縁層上に前記有機樹脂溶液層付き防湿層をその有機樹脂溶液層が前記無機絶縁層側に位置するように押し当て、前記有機樹脂溶液層を硬させて前記防湿層を有機樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0056】
2)アレイ基板上に有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に第1無機絶縁層をCVD法、スパッタ法により形成する。つづいて、前記有機EL素子に対応する第1無機絶縁層上に吸湿層を形成した後、この吸湿層を含む前記第1無機絶縁層に第2無機絶縁層を形成する。ひきつづき、前記第2無機絶縁層上に有機樹脂溶液を塗布して所望厚さの有機樹脂溶液層を形成する。次いで、この有機樹脂溶液層に防湿層を押し当て、前記有機樹脂溶液層を硬化させて前記防湿層を有機樹脂層を介して張り合わせることにより有機EL表示装置を製造する。
【0057】
以上、本発明の第3実施形態は有機EL素子2を含む前記アレイ基板1上に酸化ケイ素層のような第1無機絶縁層7を形成する、つまり前記有機EL素子2を覆うように第1無機絶縁層7を形成し、前記有機EL素子2に対応する第1無機絶縁層7上に吸湿層8を形成し、この吸湿層8を含む前記第1無機絶縁層7上に第2無機絶縁層9を形成し、さらにこの第2無機絶縁層9上に有機樹脂層6を介して防湿層4を形成した構造を有する。このような構成によれば、前記防湿層4により外部の水分が前記有機EL素子2に対して面方向から浸入するのを阻止することができる。また、前記有機EL素子2の周囲を覆う前記第1、第2の無機絶縁層7,9により外部の水分が前記有機EL素子2に浸入するのを阻止することができる。さらに、前記有機EL素子2に対応する前記第1、第2の無機絶縁層7,9の間に介在した吸湿層8により前記有機EL素子2に対して面方向から浸入する水分を吸着保持して前記有機EL素子2への水分浸入を阻止することができる。その結果、水分により前記有機EL素子2を構成する発光層の劣化、陰極の腐食等を防止できる。したがって、長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を得ることができる。
【0058】
また、外部からの水分を遮断する層構造は空気層の形成を防止できるため、優れた放熱性を有する有機EL表示装置を実現できる。
【0059】
さらに、外部からの水分を遮断する部材は第1、第2の無機絶縁層7,9、吸湿層8、有機樹脂層6および防湿層4から構成され、これらの部材はいずれも薄膜化(例えば前記第1、第2の無機絶縁層7,9は0.1〜5μm、前記吸湿層8は0.1〜0.5μm、前記有機樹脂層6は厚い箇所で10〜100μm、前記防湿層4は50〜200μm)が可能であるため、携帯電話の表示部材として好適な薄膜の有機EL表示装置を実現できる。
【0060】
なお、有機樹脂層として1重量%以下の水分量を有するものを用いれば、外部の水分が前記有機EL素子2に浸入するのをより一層効果的に阻止することができる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0062】
(実施例1)
エポキシ樹脂溶液を脱水処理して水分量を0.5重量%にした後、このエポキシ樹脂溶液を2枚のPETフィルム間に厚さ3μmの酸化ケイ素層を介在した3層構造の防湿層の片面に塗布して厚さ30μmのエポキシ樹脂溶液層を形成した。
【0063】
次いで、アレイ基板上に厚さ3μmの有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上に前記エポキシ樹脂溶液層付き防湿層をそのエポキシ樹脂溶液層が前記アレイ基板側に位置するように押し当てた。この後、前記エポキシ樹脂溶液層を80℃で熱硬化させて前記防湿層をエポキシ樹脂層を介して張り合わせることにより前述した図1に示す構造の有機EL表示装置を製造した。
【0064】
(比較例1)
エポキシ樹脂溶液として脱水処理を施さない水分量が2重量%のものを用いた以外、実施例1と同様な有機EL表示装置を製造した。
【0065】
得られた実施例1および比較例1の有機EL表示装置をそれぞれ60℃、90%RHの高温高湿雰囲気に500時間放置し、放置後の各有機EL表示装置について有機EL素子の陽極、陰極間に所定の電圧を印加して発光させて発光状態を目視検査した。
【0066】
その結果、実施例1の有機EL表示装置はダークスポットと呼ばれる非発光領域の発生が皆無であるのに対し、比較例1の有機EL表示装置は発光面にダークスポットが初期段階から生じ始め、500時間放置後には約10%に当たる面積でダークスポットが発生した。
【0067】
(実施例2)
まず、2枚のPETフィルム間に厚さ3μmの酸化ケイ素層を介在した3層構造の防湿層の片面にエポキシ樹脂溶液を塗布して厚さ30μmのエポキシ樹脂溶液層を形成した。
【0068】
次いで、アレイ基板上に厚さ3μmの有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上にCVD法により厚さ3μmの酸化ケイ素層(無機絶縁層)を形成した。つづいて、前記無機絶縁層上に前記エポキシ樹脂溶液層付き防湿層をそのエポキシ樹脂溶液層が前記無機絶縁層側に位置するように押し当てた。この後、前記エポキシ樹脂溶液層を80℃で熱硬させて前記防湿層をエポキシ樹脂層を介して張り合わせることにより前述した図2に示す構造の有機EL表示装置を製造した。
【0069】
得られた実施例2の有機EL表示装置を60℃、90%RHの高温高湿雰囲気に実施例1の放置時間(500時間)より長い700時間放置し、放置後の有機EL表示装置について有機EL素子の陽極、陰極間に所定の電圧を印加して発光させて発光状態を目視検査した。その結果、ダークスポットと呼ばれる非発光領域の発生が皆無であった。
【0070】
(実施例3)
まず、2枚のPETフィルム間に厚さ3μmの酸化ケイ素層を介在した3層構造の防湿層の片面にエポキシ樹脂溶液を塗布して厚さ100μmのエポキシ樹脂溶液層を形成した。
【0071】
次いで、アレイ基板上に厚さ3μmの有機EL素子を形成した後、この有機EL素子を含む前記アレイ基板上にCVD法により厚さ3μmの酸化ケイ素層(第1無機絶縁層)を形成した。つづいて、前記有機EL素子に対応する前記第1無機絶縁層上にスパッタ法により酸化カルシウムからなる厚さ0.1μmの吸湿層を形成した後、この吸湿層を含む前記第1無機絶縁層にCVD法により厚さ3μmの酸化ケイ素層(第2無機絶縁層)を形成した。ひきつづき、前記第2無機絶縁層上に前記エポキシ樹脂溶液層付き防湿層をそのエポキシ樹脂溶液層が前記第2無機絶縁層側に位置するように押し当てた。この後、前記エポキシ樹脂溶液層を80℃で熱硬させて前記防湿層をエポキシ樹脂層を介して張り合わせることにより前述した図3に示す構造の有機EL表示装置を製造した。
【0072】
得られた実施例3の有機EL表示装置を60℃、90%RHの高温高湿雰囲気に実施例2の放置時間(700時間)よりさらに長い1000時間放置し、放置後の有機EL表示装置について有機EL素子の陽極、陰極間に所定の電圧を印加して発光させて発光状態を目視検査した。その結果、ダークスポットと呼ばれる非発光領域の発生が皆無であった。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したよう本発明によれば、外部からの水分の浸入を遮断することにより長期間に亘って有機EL素子の劣化を抑制し、信頼性および耐久性の優れた有機EL表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る有機EL表示装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…アレイ基板、
2…有機EL素子、
3…エポキシ樹脂層、
4…防湿層、
5…無機絶縁層、
6…有機樹脂層、
7…第1無機絶縁層、
8…吸湿層、
9…第2無機絶縁層。

Claims (6)

  1. アレイ基板と、
    前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆うように形成され、水分量が1重量%以下のエポキシ樹脂層と、
    前記エポキシ樹脂層上に形成された防湿層と
    を具備したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  2. アレイ基板と、
    前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子の外周面を覆うように形成された無機絶縁層と、
    少なくとも前記無機絶縁層で覆われた前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆うように形成された有機樹脂層と、
    前記有機樹脂層上に形成された防湿層と
    を具備したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. アレイ基板と、
    前記アレイ基板上に形成され、透明な陽極、正孔輸送層、発光層および陰極を有する有機エレクトロルミネッセンス素子と、
    少なくとも前記有機エレクトロルミネッセンス素子の外周面を覆うように形成された第1無機絶縁層と、
    前記第1無機絶縁層上に前記有機エレクトロルミネッセンス素子と対向するように形成された吸湿層と、
    少なくとも前記第1無機絶縁層上に前記吸湿層の周囲を覆うように形成された第2無機絶縁層と、
    少なくとも前記第1、第2の無機絶縁膜で覆われた前記有機エレクトロルミネッセンス素子を覆うように形成された有機樹脂層と、
    前記有機樹脂層上に形成された防湿層と
    を具備したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  4. 前記防湿層は、プラスチックからなる基材フィルムに酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機酸化物、もしくは窒化ケイ素,窒化アルミニムから選ばれる少なくとも1つの無機窒化物を1層以上積層した積層膜、或いはプラスチックからなる基材フィルムに金属を蒸着した積層膜,または金属箔であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  5. 前記無機絶縁層は、酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つの無機酸化物の層または窒化ケイ素、窒化アルミニムから選ばれる少なくとも1つの無機窒化物の層であることを特徴とする請求項2または3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  6. 前記吸湿層は、カルシウム、バリウム、またはそれらの酸化物,シリカゲル、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1つの層であることを特徴とする請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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