JP6303835B2 - 電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、電子デバイスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL;ElectroLuminescence)素子、液晶表示素子等の電子デバイスは、大気中の水、酸素等のガスにより劣化しやすいため、高い封止性能が求められている。
金属製又はガラス製の封止材は、水、酸素等に対するガスバリアー性が高いが、溶接等によって封止材を電子デバイスの基板に接合するため、高温及び高圧下にさらされた電子デバイスの劣化が避けられない。エポキシ樹脂等の樹脂製の接着剤を用いれば、常温常圧下で接合することもできるが、樹脂は金属、ガラス等に比べるとガスバリアー性が低く、接合部からの水、酸素等の浸入を完全に防ぐことが難しかった。
そこで、封止材と電子デバイスの基板のそれぞれの接合面にガスバリアー性の高い金属、金属酸化物等の薄膜を形成した後、表面活性化処理することにより、常温で接合する方法も検討されている(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1参照)。
また、接着剤として接合強度が高いシランカップリング剤、分子接着剤等を用いることにより、封止材と基板を接合する接着剤の層を可能な限り薄くして、接合部から浸入する水、酸素等を減らす方法が提案されている(例えば、特許文献3〜5、非特許文献2及び3参照)。
しかしながら、これらの接合方法によって高い封止性能が得られるのは、接合面が平坦であり、隙間なく封止材を基板に接合できた場合である。接合面に凹凸があると、封止材と基板の間に隙間が生じるが、薄膜として形成された金属酸化物、接着剤等ではこの隙間を埋めることができずに、隙間からの水、酸素等の浸入を許してしまう。特に電子デバイスの場合、電子デバイスを駆動するための配線用の電極を電子デバイスの本体ユニットから引き出すようにして形成する必要があり、このような引き出し電極によって基板上には凹凸が生じることが通常である。
また、温度や湿度が変化すると封止材が膨張又は収縮したり、電子デバイスが曲げられる等の外的負荷が加えられたりしたときに封止材が変形することがあるが、金属酸化物、接着剤等の層が薄いと、このような封止材の変形に対応することができず、新たな隙間が生じることもあった。そのため、封止性能が環境の変化を受けやすいという問題があった。
特開2007−324195号公報 特開2008−207221号公報 特開2013−218805号公報 特開2010−254793号公報 国際公開第2011/010738号パンフレット
Ryuichi Kondou,Tadatomo Suga,Room Temperature SiO2 wafer bonding by adhesion layer method,Proceedings of the 3rd International IEEE Workshop on low Temperature Bonding for 3D Intergration,May 22-June 23,2012 多賀康訓、眞島啓、ガス吸着を用いた接合技術、MATERIAL STAGE,Vol.12,No.7,2112,p34-39 平井勤二、ガラス、セラミックス、金属部材と樹脂の新規な化学的接合技術、塗布と塗膜、2012年2月号、Vol.1,No.1、p22-27
本発明は上記問題及び状況に鑑みてなされ、その解決課題は、変化する環境下においても封止性能に優れた電子デバイスを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、電子デバイスの基板上に形成された引き出し電極が基板の表面に凹凸を生じさせるため、封止材と接合したときに隙間が生じやすいことを見出した。接合部からのガスの浸入を防ぐためには、接合部をできるだけ薄くすることが有効であるが、接合部が薄いと接合部によって隙間を埋めることができず、さらに環境の変化によって新たな隙間が生じやすい。本発明者は、鋭意検討の結果、柔軟性の高い封止材を用いることにより、封止材によって隙間を埋めることができ、さらに環境が変化しても新たな隙間が生じにくいことから、高い封止性能が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
1.基板上の本体ユニットが封止材によって封止された電子デバイスであって、
前記基板と前記封止材とが、前記本体ユニットから露出するように形成された引き出し電極を挟んで接合され、
前記基板と前記封止材の接合部の厚さが、0.1〜100.0nmの範囲内にあり、
前記封止材が、ガスバリアー層と、当該ガスバリアー層の支持体とを備え、
前記支持体の温度25℃におけるヤング率が、0.1〜3.5GPaの範囲内にあり、
前記ガスバリアー層の伸び率が、0.5〜5.0%の範囲内にあることを特徴とする電子デバイス。
2.前記引き出し電極の厚さが、10〜500nmの範囲内にあることを特徴とする第1項に記載の電子デバイス。
.前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板と前記封止材のそれぞれの接合面を表面活性化処理して得られた活性化層を含むことを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子デバイス。
.前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板上に形成した金属層と、前記封止材上に形成した金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化層を含むことを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子デバイス。
.前記接合部が、シランカップリング剤又は分子接着剤が用いられた接着層を含むことを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子デバイス。
本発明の上記手段により、変化する環境下においても封止性能に優れた電子デバイスを提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構は明確になっていないが、以下のように推察される。
基板と封止材の接合部の厚さが0.1〜100.0nmの範囲内と薄いことから、接合部からのガスの浸入を抑えることができ、優れた封止性能が得られたと推察される。接合部が薄いと、引き出し電極が基板の表面に生じさせる凹凸を接合部により埋めることが難しく、隙間が生じやすい。しかしながら、封止材の支持体のヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にあり、封止材の柔軟性が高いため、封止材が凹凸を埋めて隙間からのガスの浸入を防止することから、優れた封止性能を発揮できると推察される。
本実施の形態に係る照明用の有機EL素子の概略構成を示す断面図 図1中のP1−P1線における断面図 屈曲試験の方法を示す図 接合に表面活性化処理を用いる場合の接合部を表す断面図 表面活性化処理の前に金属層を形成する場合の接合部を表す断面図 常温接合装置の一例を表す正面図 常温接合装置において加圧により接合される封止材と基板を表す正面図 接合にシランカップリング剤又は分子接着剤を用いる場合の接合部を表す断面図 保護層を備える場合の有機EL素子の概略構成を示す断面図 (A)ディスプレイ用の有機EL素子の概略構成を表す上面図、(B)(A)中のP2−P2線における断面図 (A)実施例Iで製造する模擬デバイスのレイアウトを表す上面図、(B)(A)中の引き出し電極の断面図 実施例IIで製造する有機EL素子の引き出し電極の断面図
本発明の電子デバイスは、基板上の本体ユニットが封止材によって封止された電子デバイスであって、前記基板と前記封止材とが、前記本体ユニットから露出するように形成された引き出し電極を挟んで接合され、前記基板と前記封止材の接合部の厚さが、0.1〜100.0nmの範囲内にあり、前記封止材が、ガスバリアー層と、当該ガスバリアー層の支持体とを備え、前記支持体の温度25℃におけるヤング率が、0.1〜3.5GPaの範囲内にあり、前記ガスバリアー層の伸び率が、0.5〜5.0%の範囲内にあることを特徴とする。
この特徴は請求項1から請求項までの各請求項に係る発明に共通の技術的特徴である
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記引き出し電極の厚さが、10〜500nmの範囲内にあることが好ましい。
また、前記ガスバリアー層の伸び率が、0.5〜5.0%の範囲内にあることが、ガスバリアー層が支持体に追従して変形しやすく、封止材が隙間を埋めやすくなる。
また、封止材と基板の接合部を薄くし、常温で封止材と基板とを接合する観点から、前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板と前記封止材のそれぞれの接合面を表面活性化処理して得られた活性化層を含むか、前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板上に形成した金属層と、前記封止材上に形成した金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化層を含むことが好ましい。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態について詳細な説明をする。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の電子デバイスとしては、例えば有機EL素子、液晶表示素子、太陽電池、薄膜トランジスター等が挙げられる。以下、本発明の電子デバイスの実施の形態として、照明用の有機EL素子の例を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る有機EL素子10の概略構成を示す断面図である。
有機EL素子10は、図1に示すように、基板1上に形成された本体ユニット2が封止材3によって封止された電子デバイスである。
基板1上には、本体ユニット2を電源、制御コンピュータ等の外部機器に接続するための複数の引き出し電極4が、本体ユニット2から引き出されるようにして形成されている。
基板1と封止材3は、引き出し電極4を挟んで接合されている。基板1と封止材3の接合部5をできるだけ薄くして接合部5からのガスの浸入を抑えるという観点から、接合部5の厚さは0.1〜100.0nmの範囲内にある。
封止材3は、支持体31とガスバリアー層32を備えて構成されている。接合部5を薄くしたことによって基板1と封止材3間に生じ得る隙間を埋めるため、支持体31の温度25℃におけるヤング率は0.1〜3.5GPaの範囲内にある。
図2は、図1のP1−P1線における断面図を示している。
図2に示すように、基板1上に形成された複数の引き出し電極4は基板1の表面に凹凸を生じさせている。上述のように、接合部5の厚さを0.1〜100.0nmの範囲内と薄くすると、接合部5によって基板1の表面を平坦化できないため、封止材3と基板1を接合したときに引き出し電極4間の凹部に隙間が生じ得る。しかし、支持体31のヤング率が上記範囲内にある封止材3は柔軟性が高く、変形しやすいため、図2に示すように接合時に封止材3が隙間に入り込むことができる。接合部5を薄くして接合部5からのガスの浸入を抑えるだけでなく、隙間を埋めて隙間からのガスの浸入を防ぐこともでき、優れた封止性能を得ることができる。
以下、有機EL素子10の構成の詳細を説明する。
〔基板〕
基板1は、本体ユニット2の劣化を防ぐため、ガスバリアー性を備えることが好ましい。基板1のガスバリアー性としては、温度40℃、相対湿度90%の環境下における水蒸気透過度が5×10−3g/m・day以下であることが好ましく、5×10−4g/m・day以下であることがより好ましく、5×10−5g/m・day以下であることがさらに好ましい。
ガスバリアー性を備える基板1としては、特に限定されず、例えば板状、フィルム状のガラス、金属等を用いることができる。
ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、無アルカリガラス等を用いることができる。
金属としては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、インジウム(In)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、これらの合金等を用いることができる。
また、基板1は、樹脂製の支持体上にガスバリアー層を備えて構成されていてもよい。そのような基板1は、封止材3と同様にして形成することができる。
基板1は、ブリードアウトの発生を抑えるため、支持体のガスバリアー層が設けられた面とは反対側の面にブリードアウト層をさらに備えることができる。また、基板1とガスバリアー層との密着性を高めるため、基板1とガスバリアー層の間にアンダーコート層を備えることもできる。
〔本体ユニット〕
本体ユニット2は、図1に示すように、基板1側から順に、陽極21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24及び陰極25を備えている。
正孔輸送層22及び電子輸送層24は、必要に応じて設けられる任意の層である。
陽極21及び陰極25は、一対の電極である。
陽極21の材料としては、仕事関数が4eV以上の金属、合金、電気伝導性の化合物、これらの混合物を用いることができる。
一方、陰極25の材料としては、仕事関数が4eV以下の金属、合金、電気伝導性の化合物、これらの混合物を用いることができる。
正孔輸送層22は、陽極21から発光層23に正孔を輸送する。駆動電圧の低下及び発光輝度の向上のため、陽極21と正孔輸送層22間に正孔注入層を設けることもできる。
発光層23は、正孔輸送層22から輸送された正孔と、電子輸送層24から輸送された電子とが再結合して発光する層である。
発光層23は、複数の発光層が積層された多層構造であってもよく、複数の発光材料を含有する1つの発光層であってもよい。なかでも、発光層23がホスト化合物(発光ホストともいう)及び発光材料(発光ドーパントともいう)を含有し、発光材料により発光することが好ましい。
電子輸送層24は、陰極25から発光層23へ電子を輸送する。駆動電圧の低下及び発光輝度の向上のため、陰極25と電子輸送層24間に電子注入層を設けることもできる。
〔封止材〕
封止材3は、支持体31と、支持体31上に形成されたガスバリアー層32とを備えて構成されている。
〔支持体〕
上述のように、支持体31は、温度25℃におけるヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にある。
支持体31のヤング率が上記範囲内にあれば、基板1と封止材3の接合部5が薄くても、基板1上の引き出し電極4によって接合部5に生じる隙間を埋めるために十分な柔軟性を封止材3に付与することができる。
支持体31のヤング率は、ASTM−D−882、JIS−7127に規定された引っ張り弾性率をいう。
支持体31の材料としては特に限定されないが、温度25℃におけるヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にある樹脂を好ましく用いることができる。具体的には、ポリスチレン(略称:PS、ヤング率:2.8〜3.5GPa)、高密度ポリエチレン(略称:HDPE、ヤング率:0.4〜1.1GPa)、低密度ポリエチレン(略称:LDPE、ヤング率:0.11〜1.40GPa)、ポリプロピレン(略称:PP、ヤング率:1.1〜1.4GPa)、ポリカーボネート(略称:PC、ヤング率:2.5〜3.5GPa)、ポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE、ヤング率:0.41GPa)、シクロオレフィンポリマー(略称:COP、ヤング率:2.2GPa)、シクロオレフィンコポリマー(略称:COC、ヤング率:2.5〜3.2GPa)等を支持体31の材料として使用することができる。
材料となる樹脂自体のヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にない場合でも、当該樹脂の膜を形成して支持体31を製造する際の成膜条件によって、また成膜後に延伸して支持体31を製造する場合は延伸条件によっても、得られる支持体31のヤング率が変化することがある。よって、支持体31の成膜条件又は延伸条件を調整することにより、支持体31のヤング率を0.1〜3.5GPaの範囲内とすることもできる。
支持体31の厚さは50μm以下であることが、封止材3が変形しやすく、隙間を埋めやすくなることから好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
〔ガスバリアー層〕
ガスバリアー層32は、大気中の酸素、水等のガスの透過を防ぐために設けられている。
ガスバリアー層32の材料としては、特に制限されず、例えばケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、銅(Cu)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)等の金属、これら金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、酸化炭化物等の金属化合物を用いることができる。
金属化合物の具体的な例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、アルミニウムシリケート、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素、酸窒化ホウ素、酸化ホウ化ジルコニウム、酸化ホウ化チタン、金属酸化ホウ化物、ダイヤモンドライクカーボン(略称:DLC)等が挙げられる。なかでも、酸化インジウムスズ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素が、ガスバリアー性が高く好ましい。なお、酸化インジウムスズは導電性になり得る特殊材料の一例である。
上記金属又は金属化合物を用いたガスバリアー層32の形成方法は、特に制限されず、例えばマグネトロンカソードスパッター、平板マグネトロンスパッター、2極AC平板マグネトロンスパッター、2極AC回転マグネトロンスパッター等のスパッター法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法、プラズマ励起(PE:Plasma Enhanced)蒸着法等の蒸着法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、触媒化学気相成長法、容量結合プラズマCVD法、光CVD法、PECVD法、エピタキシャル成長法、原子層成長法、反応性スパッター法等が挙げられる。
また、支持体31の表面を金属めっきするか、支持体31に金属箔を接着させることによって、ガスバリアー層32として金属層を形成してもよい。
ガスバリアー層32の伸び率は、0.5〜5.0%の範囲内である。
伸び率が0.5%以上であれば、ヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にある支持体31に追従してガスバリアー層32が変形しやすく、封止材3が隙間をより埋めやすくなる。また、伸び率が5.0%以下であれば、高いガスバリアー性を維持することができる。
ガスバリアー層32の伸び率は、次のようにして測定することができる。
図3に示すように、封止材3を湾曲させて2枚の平行に位置する板70で挟んで固定し、室温(25℃)下に24時間保存する。封止材3は、ガスバリアー層32が外側に位置するように湾曲させる。その後、同じ室温下で湾曲部分を顕微鏡で観察し、クラックが発生していないか確認する。クラックが発生していなければ、前回よりも2枚の板70間の距離dを小さくして同様の操作を繰り返す。クラックが発生したら、クラックが発生しなかった直前の操作時の2枚の板70の距離dと、封止材3の支持体31の厚さから、下記式によりガスバリアー層32の湾曲部分の曲率半径rを求める。
曲率半径r=(距離d−支持体の厚さ)/2
求めた曲率半径rから、下記式によりガスバリアー層32の伸び率(%)を求める。
伸び率(%)=(支持体の厚さ/2r)×100
伸び率が0.5〜5.0%の範囲内にあるガスバリアー層32は、ガスバリアー層32の原子組成を調整することにより得ることができる。
例えば、ガスバリアー層32の主成分を酸化ケイ素とする場合、さらに炭素原子と金属原子を導入することにより、伸び率を0.5〜5.0%の範囲内に調整することができる。
具体的には、炭素原子及び金属原子を導入した酸化ケイ素の構造を、一般式SiOで表すと、ケイ素原子Siに対し、導入する炭素原子Cの原子組成比wが0.03〜0.30の範囲内にあり、導入する金属原子Mの原子組成比zが0.05〜0.25の範囲内にあると、伸び率が0.5〜5.0%の範囲内にあるガスバリアー層32を得ることができる。
酸化ケイ素に導入できる金属原子Mとしては、長周期型周期表の第13族の元素であれば特に限定されないが、ホウ素、アルミニウム、ガリウム又はインジウムが好ましく、伸び率の調整が容易な点ではアルミニウムが好ましい。ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族の元素は3価の原子価を有し、ケイ素の原子価である4価と比べて価数が不足するため、膜の柔軟性が高くなって伸び率を0.5%以上に調整することが可能となる。
また、ガスバリアー層32の主成分を窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素とする場合、さらに水素原子を導入することにより、伸び率を0.5〜5.0%の範囲内に調整することができる。
具体的には、水素原子を導入した窒化ケイ素及び酸窒化ケイ素の構造を、それぞれ一般式SiN及びSiOで表すと、ケイ素原子Siに対し、導入する水素原子Hの原子組成比vが0.2〜1.0の範囲内にあると、伸び率が0.5〜5.0%の範囲内にあるガスバリアー層32が得られる。
ガスバリアー層32の主成分を酸窒化ケイ素とする場合は、特に2x+3y<3.5であることが好ましいが、ガスバリアー性を高める観点からは2.0<2x+3yであることが好ましい。
ガスバリアー層32の原子組成比は、ガスバリアー層32を形成する際の原料の供給比を調整することにより、調整することができる。
例えば、ケイ素化合物を含有するガスバリアー層32をPECVD法により形成する場合、プラズマが生成される放電領域に供給する原料ガスとして、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることができる。具体的な有機ケイ素化合物の例としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラン(HMDS)、ヘキサメチルシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)等が挙げられる。これら有機ケイ素化合物は、アルキル基等を有することから、ケイ素化合物中に水素原子を導入することができる。水素原子の原子組成比vは、有機ケイ素化合物の供給量、酸素等の酸化剤の供給量により調整することができる。
上記有機ケイ素化合物を、酸化する場合は酸素、オゾン等をさらに供給すればよく、窒化する場合は窒素、アンモニア等をさらに供給すればよい。アンモニアを用いる場合、ケイ素化合物中に水素原子を導入することができる。
また、ケイ素化合物中に炭素原子を導入する場合は、さらにメタン、エタン、エチレン、アセチレン等を原料ガスとして供給することができる。
ガスバリアー層32中の原子組成比x、y、z及びwは、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)による分析とアルゴン等の希ガスイオンスパッターとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるデプスプロファイル測定により確認することができる。具体的な分析条件は、以下のとおりである。
(分析条件)
分析装置:QUANTERASXM(アルバック・ファイ社製)
X線源:単色化Al−α
測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s、M*
(M*は、金属によって最適な測定領域を表す。例えば、ホウ素の場合はB1sであり、アルミニウムの場合はAl2pであり、ガリウムの場合はGa3d又はGa2pであり、インジウムの場合はIn3dであり、タリウムの場合はTl4fである。)
スパッターイオン:Ar(2keV)
デプスプロファイル:1分間のスパッターの後、測定する操作を繰り返し、ガスバリアー層の厚さ方向の平均値により組成を決定
定量:バックグラウンドをShirley法により求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量
データ処理:MultiPak(アルバック・ファイ社製)
なお、表面の吸着水、有機物汚染等が分析結果に影響を及ぼすことがあるため、1回目の測定結果を破棄することが好ましい。
また、ガスバリアー層32の表面粗さRaは、3nm以下であることが好ましい。表面粗さRaは、JIS B0601(2001)に規定される算術平均粗さである。
基板1との接合面が平坦であるほど接合強度が高まるため、ガスバリアー層32の表面粗さRaを3nm以下とすることにより、接合強度を高めることができる。
ガスバリアー層32の表面粗さRaは、支持体31の凹凸、ガスバリアー層32の材料、形成方法等に依存する。一般に成膜速度が低速であり、成膜時の温度が高い方向が平坦な膜が得られやすいことから、ガスバリアー層32の成膜条件を調整することにより、表面粗さRaを3nm以下とすることができる。
ガスバリアー層32の厚さは、支持体31の柔軟性を損なうことなく、高いガスバリアー性を発揮する観点から、3〜1000nmの範囲内にあることが好ましく、10〜500nmの範囲内がより好ましい。
なお、ガスバリアー層32は、ポリシラザン等の無機前駆体を含む塗布液を支持体31上に塗布した後、改質処理を行うことにより、形成された層であってもよい。
ポリシラザンは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーである。ガスバリアー層32には有機溶媒に溶解させて市販されているポリシラザンの溶液を用いることもできる。市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。
伸び率を0.5〜5.0%の範囲内に調整するため、改質処理後のポリシラザンの塗布膜中に金属原子Mを導入する場合は、ポリシラザンの溶液に金属化合物を混合すればよい。効率的な成膜が可能であることから、金属化合物は金属アルコキシドであることが好ましい。使用できる金属アルコキシドとしては、例えばホウ酸トリメチル、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ガリウムメトキシド、ガリウムアセチルアセトナート、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウム、インジウムイソプロポキシド、インジウムメトキシエトキシド、タリウムエトキシド、タリウムアセチルアセトネート等が挙げられる。
また、ガスバリアー層32は、上記金属又は金属化合物を含む無機層と有機ポリマーを含む有機層との積層体であってもよい。
有機層は、例えば有機モノマー又は有機オリゴマーを支持体31上に塗布した後、電子ビーム装置、UV光源、放電装置等を使用して重合するか、必要に応じて架橋することにより、形成することができる。また、フラッシュ蒸発又は放射線架橋が可能な有機モノマー又は有機オリゴマーを支持体31上に蒸着した後、有機モノマー又は有機オリゴマーからポリマーを形成することによっても有機層を形成することができる。有機モノマー又は有機オリゴマーの塗布方法としては、グラビアロール塗布法等のロール塗布法、静電スプレー法等のスプレー塗布法等が挙げられる。塗布効率は、支持体31を冷却することにより改善され得る。また、無機層と有機層との積層体の例としては、国際公開第2012/003198号、国際公開第2011/013341号等に記載された積層体が挙げられる。
無機層と有機層との積層体である場合、各層の厚さは同じでもよいし、異なっていてもよい。無機層の厚さは、3〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10〜300nmの範囲内であることがより好ましい。有機層の厚さは、100nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、300nm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。
〔引き出し電極〕
引き出し電極4は、図1に示すように、本体ユニット2の陽極21及び陰極25のそれぞれから基板1の端部へと露出するように形成されている。
引き出し電極4としては、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au、Pt、Cu、Rh、In、Ni、Pd、Mo等の金属、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、ナノ粒子等を用いることができる。引き出し電極4は、2種類以上の金属を積層した構造であってもよいし、陽極21又は陰極25と同じ材料により形成されてもよい。
引き出し電極4の厚さは、導電性を高める観点から、10〜500nmの範囲内にあることが好ましい。
〔接合部〕
接合部5は、基板1と封止材3の接合部分である。上述のように、できるだけ基板1と封止材3の接合部5を薄くして接合部5からのガスの浸入を防ぐという観点から、接合部5の厚さは0.1〜100.0nmの範囲内にある。
基板1と封止材3の接合方法としては、接合部5の厚さを0.1〜100.0nmの範囲内と薄くし、接合部5が薄くても剥がれにくい高い接合強度を得るため、また高熱、高圧等の高エネルギーによる本体ユニット2等の劣化を防ぐため、引き出し電極4が形成された基板1と封止材3のそれぞれの接合面を表面活性化処理した後に加圧して接合する方法を用いることが好ましい。
表面活性化処理は、表面の親水性、疎水性、粗さ等を変化させて化学的に活性化させる処理であり、例えばコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、電磁波照射処理等が挙げられる。
この接合方法の場合、図4に示すように、接合部5は、引き出し電極4が形成された基板1の接合面を表面活性化処理して得られた活性化層511と、封止材3の接合面を表面活性化処理して得られた活性化層512と、を含む。
接合面の材料によっては、接合強度を高めるため、引き出し電極4が形成された基板1と封止材3のそれぞれの接合面に金属層を形成し、当該金属層を表面活性化処理した後に加圧して接合する方法も使用することができる。
この接合方法の場合、図5に示すように、接合部5は、引き出し電極4が形成された基板1上にさらに金属層を形成した後、当該金属層を表面活性化処理して得られた活性化層521と、封止材3上に金属層を形成した後、当該金属層を表面活性化処理して得られた活性化層522と、を含む。
金属層の形成に用いることができる金属としては、例えばSi、Ti、Pt、Cr、Fe、Ni、Ag、Au等が挙げられる。接合強度を高める観点からは、SiとFeの合金又はAlとFeの合金が好ましい。
金属層の形成方法としては、スパッター法、イオンプレーティング法等のPVD法の他、CVD法も用いることができる。
図6は、上述した常温接合に使用できる常温接合装置の一例を示している。
図6に示すように、常温接合装置100は、真空圧下に調整された真空チャンバー101内に、イオンガン102、金属ターゲットT1のホルダー103、金属ターゲットT2のホルダー104、基板1のホルダー105及び封止材3のホルダー106を備えている。
イオンガン102は、ホルダー103及び104のそれぞれに固定されている金属ターゲットT1及びT2に向けてイオンビームを照射し、金属ターゲットT1及びT2をスパッターする。スパッターにより、金属ターゲットT1及びT2の成分が基板1及び封止材3上に堆積し、金属層が形成される。
基板1と封止材3の接合しろに金属層を形成するためには、接合しろ以外の領域を被覆するマスクを使用すればよい。接合しろとは、基板1と封止材3を接合する領域をいう。
イオンガン102は、基板1及び封止材3を表面活性化処理又は清浄化処理する目的で、ホルダー105及び106のそれぞれに固定されている基板1及び封止材3に向けてイオンビームを照射する逆スパッターを行うこともできる。
基板1のホルダー105及び封止材3のホルダー106は、鉛直方向において基板1と封止材3が対向するように配置され、鉛直方向に移動することができる。ホルダー105及び106を互いに近接させることにより、基板1と封止材3とを接触させて加圧し、基板1と封止材3を接合することができる。
上記常温接合装置100を用いた接合時の処理手順を説明する。
まず、基板1及び封止材3上に接合しろ以外の領域を被覆するマスクを配置し、それぞれの接合しろの位置が一致するように基板1及び封止材3の配置位置を調整する。必要に応じて、イオンガン102により基板1及び封止材3にイオンビームを照射して逆スパッターを行い、表面活性化処理又は清浄化処理を実施する。その後、イオンガン102により金属ターゲットT1及びT2にイオンビームを照射し、基板1及び封止材3上に金属層を形成する。目的の厚さの金属層が得られると、イオンガン102により再び基板1及び封止材3にイオンビームを照射し、金属層を表面活性化処理する。マスクを取り外した後、図7に示すように、ホルダー106を下降させるとともにホルダー105を上昇させ、ホルダー106に固定された封止材3と、ホルダー105に固定された基板1とを接合しろにおいて接合する。
上述した接合方法以外にも、接合部5の厚さを0.1〜100.0nmの範囲内と薄くしても剥がれにくい高い接合強度を得るため、また高熱、高圧等の高エネルギーによる本体ユニット2等の劣化を防ぐため、基板1と封止材3の一方又は両方の接合面にシランカップリング剤又は分子接着剤を塗布して接着層を形成し、当該接着層同士を貼り合わせる接合方法も使用することができる。
基板1と封止材3の材料によっては、基板1と封止材3のそれぞれの表面を表面活性化処理した後、接着剤を塗布する。
この接合方法の場合、図8に示すように、接合部5は、引き出し電極4が形成された基板1の接合面を表面活性化処理して得られた活性化層531aと、当該活性化層531a上にシランカップリング剤又は分子接着剤を塗布して得られた接着層531bと、封止材3の接合面を表面活性化処理して得られた活性化層532aと、当該活性化層532a上にシランカップリング剤又は分子接着剤を塗布して得られた接着層532bと、を含む。
使用できるシランカップリング剤は特に限定されないが、例えば2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル-N−(1,3−ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、使用できる分子接着剤としては、例えば下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
−R−SiX (3−n) ・・・(1)
〔式中、R は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄の少なくとも1種類を含む反応性官能基を表す。Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、これらの置換基には異種原子又は官能基が介在してもよい。Xは炭素数1〜20 の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Yは炭素数1〜10のアルキルオキシ基を表し、nは1、2又は3を表す。〕
ここで、分子接着剤とは、上記一般式(1)の構造から明らかなように、OH基を有する基板表面と化学結合可能な基(アルコキシシリル基、一般式(1)中のY)及び樹脂と反応が可能な基(反応性基、一般式(1)中のR)の両方を1分子中に含む。このような分子接着剤を基板1又は封止材3の表面に化学的に結合させることで、優れた反応性を有する反応性固体表面を得ることができる。
一般式(1)で示される分子接着剤の具体例としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(3−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン等のアミン系材料、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系材料、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系材料、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
〔保護層〕
有機EL素子10は、基板1と引き出し電極4の接合による損傷を防ぐ観点から、必要に応じて、図9に示すように保護層6を備えることができる。
保護層6は、少なくとも接合しろに位置する引き出し電極4を被覆するように形成されていればよいが、図9に示すように本体ユニット2を含む基板1の全面を被覆するように形成されていてもよい。
保護層6は、ガスバリアー性を高めて本体ユニット2の劣化を防ぐ観点から、封止材3のガスバリアー層32と同様に形成することができる。
なお、保護層6が設けられる場合、接合のため、基板1上の保護層6が表面活性化処理され、接合部5は保護層6を表面活性化処理して得られた活性化層を含む。
〔他の実施の形態〕
照明用の有機EL素子10の例を説明したが、ディスプレイ用の有機EL素子においても本発明を適用することができる。
図10(A)は、ディスプレイ用の有機EL素子10Bの概略構成を示す上面図である。図10(B)は、図10(A)中のP2−P2線における断面図である。
ディスプレイ用の有機EL素子10Bは、照明用の有機EL素子10と本体ユニット2の構成やレイアウトが異なるが、有機EL素子10と同様にして封止されている。そのため、図10(A)及び図10(B)において、照明用の有機EL素子10と同じ構成部分については同じ符号を付している。
図10(A)及び図10(B)に示すように、有機EL素子10Bは、基板1上に形成された本体ユニット200が封止材3によって封止された電子デバイスである。本体ユニット200としては、画素部201と駆動回路部202が設けられている。
画素部201には、図10(B)に示すように、スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)301、電流制御用のTFT302及び発光素子303が設けられている。発光素子303は、一対の電極305と一対の電極305に挟まれた電界発光層306により構成されている。一対の電極305は、一方をTi、TiSi、WSi、WN、WSi、NbN、ITO等の金属化合物を用いて形成し、他方をMgAg、AlLi、CaF等の金属化合物を用いて形成することができる。電界発光層306は、ナイルレッドをドープしたAlq、TPD(芳香族ジアミン)等を蒸着法により積層することにより形成することもできるし、ポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を塗布法により塗布することにより形成することもできる。
駆動回路部202は、nチャネル型のTFT401とpチャネル型のTFT402とを組み合わせたCMOS回路により構成されている。
基板1上とTHT301、302、401及び402上には、絶縁層304が設けられている。絶縁層304としては、ケイ素化合物等の無機材料の他、ポリイミド等の有機材料を用いることができる。
図10(A)及び図10(B)に示すように、基板1上には、外部からの制御信号を伝送するための引き出し電極4が、画素部201及び駆動回路部202のそれぞれから引き出されるようにして形成されている。なお、引き出し電極4及び本体ユニット200は、保護層によって被覆されていてもよい。
また、基板1と封止材3は、図10(B)に示すように、引き出し電極4を挟んで接合されている。
有機EL素子10と同様に、有機EL素子10Bにおいても、接合部5の厚さが0.1〜100.0nmの範囲内にあるため、基板1と封止材3の接合部5をできるだけ薄くして接合部5からのガスの浸入を抑えることができる。さらに、封止材3の支持体31のヤング率が0.1〜3.5GPaの範囲内にあることにより、封止材3が引き出し電極4によって生じる隙間を埋めることができ、封止性能を高めることができる。
このように、引き出し電極を挟んで基板と封止材が接合された有機EL素子であれば、照明用かディスプレイ用かに限らず、本発明を適用できる。同様に、引き出し電極を挟んで基板と封止材が接合された電子デバイスであれば、有機EL素子に限らず、太陽電池等の他の電子デバイスであっても、本発明を適用することができる。
〔有機EL素子の製造方法〕
本発明の電子デバイスの製造方法の一例として、上記有機EL素子10の製造方法を説明する。
上記有機EL素子10は、(1)基板1上に本体ユニット2を形成する工程と、(2)引き出し電極4を形成する工程と、(3)基板1と封止材3とを接合する工程と、を含む。
以下、各工程(1)〜(3)の詳細を説明する。
(1)本体ユニット2を形成する工程
最初に、基板1上に陽極21、正孔輸送層22、発光層23、電子輸送層24及び陰極25を順次形成する。
陽極21及び陰極25の形成方法としては、蒸着法、スパッター法等を用いることができる。
正孔輸送層22、発光層23及び電子輸送層24の形成方法としては、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法、真空蒸着法等によって形成することができる。なかでも、真空蒸着法又はスピンコート法は、均質な膜が得られやすくピンホールが生成されにくいことから、好ましい。
(2)引き出し電極4を形成する工程
次に、陽極21及び陰極25から基板1の端部へ露出する引き出し電極4をそれぞれ形成する。
引き出し電極4の形成方法としては、陽極21及び陰極25と同様の蒸着法、スパッター法等を用いることができる。引き出し電極4を、陽極21及び陰極25の材料と同じ材料を用いて陽極21及び陰極25と並行して形成する場合、マスクを用いて配線パターンの引き出し電極4を形成するようにしてもよい。また、所望の形状とするため、フォトリソグラフィー法を用いて引き出し電極4を形成してもよい。
(3)基板1と封止材3とを接合する工程
引き出し電極4を形成後、基板1と封止材3とを接合する。
接合方法としては、上述したように接合部5の厚さを0.1〜100.0nmの範囲内と薄くすることができ、薄くても接合強度が大きく、常温接合が可能な接合方法であることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限り「質量部」又は「質量%」を表す。
<実施例I>
〔封止材1〕
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(略称:PET)フィルムKEL86W−50μm(帝人社製)を支持体として用意した。このPETフィルムのヤング率を、ASTM−D−882、JIS−7127に準拠して温度25℃において測定したところ、4.2GPaであった。具体的には、引っ張り試験機を用いてPETフィルムの試料を速度50mm/minで引っ張り、試料が変形する直前の最大弾性、すなわちSSカーブの最大傾斜の接線の一次式から求めた。
上記支持体に対し、コロナ放電により表面活性化処理を施した。また、UV硬化型樹脂オプスターZ7527(JSR社製)に、プロピレングリコールモノメチルエタノール(PGME)を添加して、固形分濃度が30質量%となるように塗布液を調製した。この塗布液を、乾燥後の膜厚が2μmとなるように、押し出しコーターにより支持体の表面活性化処理された面に塗布した。塗布膜を温度80℃で3分間乾燥した後、高圧水銀ランプにより積算光量0.5J/cmの紫外光を照射して硬化させ、アンダーコート層を形成した。
アンダーコート層が形成された支持体上に、タイプ01のガスバリアー層を下記手順により形成し、封止材1を製造した。
〔タイプ01のガスバリアー層〕
PECVD法を用いる成膜装置において、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素ガスの混合ガスを供給した。その後、電圧を印加してプラズマを発生させた放電領域に支持体を搬送し、支持体のアンダーコート層上に厚さ80nmのガスバリアー層を形成した。
具体的な成膜条件は、次のとおりである。
(成膜条件)
原料ガスの混合比:ヘキサメチルジシロキサン/酸素=100/1000(それぞれの原料ガスの供給量の単位はsccm;standard cubic centimeter per minute)
真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源の供給電力:1kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
支持体の搬送速度:5m/min
フィルム透過性評価装置API−BA90(日本エイピーアイ社製)を用いて、温度40℃、相対湿度90%における封止材1の水蒸気透過率を測定したところ、7.0×10−5g/m・dayであった。
封止材1のガスバリアー層の伸び率を次の手順で測定したところ、1.7%であった。
図3に示すように、封止材のガスバリアー層が外側に位置するように、封止材を湾曲させて2枚の平行に位置する板70で挟んで固定し、室温(25℃)下に24時間保存した。その後、同じ室温下で湾曲部分を顕微鏡で観察し、クラックが発生していないか確認した。クラックが発生していなければ、前回よりも2枚の板70間の距離dを小さくして同様の操作を繰り返した。クラックが発生すると、クラックが発生しなかった直前の操作時の2枚の板の距離dと、封止材の支持体の厚さから、下記式によりガスバリアー層の湾曲部分の曲率半径rを求めた。
曲率半径r=(距離d−支持体の厚さ)/2
求めた曲率半径rから、下記式によりガスバリアー層の伸び率を求めた。
伸び率(%)=(支持体の厚さ/2r)×100
また、JIS B0601:2001に準じて、原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を使用して10μm×10μmのガスバリアー層の表面粗さRaを測定したところ、1.1nmであった。
〔封止材2〜11〕
上記封止材1の製造において、封止材1の支持体を、下記ヤング率及び厚さの樹脂フィルムにそれぞれ変更したこと以外は、封止材1と同様にして各封止材2〜11を製造した。
封止材2:ゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14、日本ゼオン社製のシクロオレフィンポリマー(略称:COP)フィルム、ヤング率2.20GPa、厚さ50μm
封止材3:ユーピレックス(登録商標)50S、宇部興産社製のポリイミド(略称:PI)フィルム、ヤング率9.20GPa、厚さ50μm
封止材4:ピュアエース(登録商標)WR−W、帝人社製のポリカーボネート(略称:PC)フィルム、ヤング率3.50GPa、厚さ50μm
封止材5:LLリニアローデンシティポリエチレンフィルムLL−XHT、フタムラ化学社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.70GPa、厚さ50μm
封止材6:無延伸ポリプロピレンフィルムFG−LTH、フタムラ化学社製の無延伸ポリプロピレン(略称:CPP)フィルム、ヤング率1.1GPa、厚さ50μm
封止材7:モアテック(登録商標)フィルム0258CN、プライムポリマー社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.35GPa、厚さ50μm
封止材8:モアテック(登録商標)フィルム0218CN、プライムポリマー社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.11GPa、厚さ50μm
封止材9:LUMITAC(登録商標)フィルム43−1、東ソー社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.08GPa、厚さ50μm
封止材10:LLリニアローデンシティポリエチレンフィルムLL−XHT、フタムラ社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.70GPa、厚さ20μm
封止材11:ゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14、日本ゼオン社製のシクロオレフィンポリマー(略称:COP)フィルム、ヤング率2.20GPa、厚さ25μm
各封止材2〜11のガスバリアー性を封止材1と同様に測定し、下記表1及び表2に示す測定結果が得られた。
各封止材2〜11のガスバリアー層の伸び率及び表面粗さRaは、封止材1と同じであった。
〔封止材12〕
上記封止材4の製造において、タイプ01のガスバリアー層に代えて、タイプ02のガスバリアー層を下記手順により形成したこと以外は、封止材4と同様にして封止材12を製造した。タイプ02のガスバリアー層は、2層構造を有する。
〔タイプ02のガスバリアー層の形成方法〕
まず、PECVD法を用いる成膜装置において、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)と酸素ガスの混合ガスを供給した。その後、電圧を印加してプラズマを発生させた放電領域に支持体を搬送し、支持体のアンダーコート層上に1層目のガスバリアー層を形成した。1層目のガスバリアー層の厚さは80nmであった。
1層目のガスバリアー層の具体的な成膜条件は、次のとおりである。
(成膜条件)
ガスの混合比:ヘキサメチルジシロキサン/酸素=100/1000(それぞれの原料ガスの供給量の単位はsccm)
真空度:1.5Pa
プラズマ発生用電源の供給電力:1kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
支持体の搬送速度:5m/min
アミン触媒として1質量%のN,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン及び19質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液NAX120−20(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)の10gに、0.5gのアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートを加え、80℃で1時間の撹拌を行い、放冷して、2層目のガスバリアー層の塗布液を調製した。
大気中、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で、1層目のガスバリアー層上に、調製した2層目のガスバリアー層の塗布液を、乾燥膜厚が150nmになるように押出し法で塗布した。室温で10分間乾燥後、酸素濃度を0.01〜0.10体積%の範囲内に調整した窒素雰囲気下で、波長172nm、積算光量2J/cmの真空紫外線を80℃で照射して、2層目のガスバリアー層を形成した。
封止材12のガスバリアー性を封止材1と同様に測定したところ、6.0×10−5g/m・dayであった。
また、封止材12の伸び率及び表面粗さRaを、封止材1と同様にして測定したところ、伸び率は2.5%であり、表面粗さRaは0.8nmであった。
〔封止材13〕
上記封止材4の製造において、タイプ01のガスバリアー層に代えて、タイプ03のガスバリアー層を下記手順により形成したこと以外は、封止材4と同様にして封止材13を製造した。タイプ03のガスバリアー層は、無機層と有機層の積層体である。
〔タイプ03のガスバリアー層〕
国際公開2012/003198号の実施例1と同様にして、チャンバー内を0.0013Paまで減圧し、0.05kWの出力でプラズマを生成して、支持体の表面を窒素プラズマ処理した。次に、2.7Paの圧力で真空脱ガス処理したSRS−833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)を、周波数60kHzで作動する超音波噴霧器により流速1.0mL/分で噴出させて、支持体の表面に塗布した。このとき、100℃に加熱した、流速10cm/分の窒素ガス流を、超音波噴霧器内でSRS−833Sに集中的に添加した。260℃に維持したチャンバー内に、25sccmの加熱した追加の窒素ガスとともに、SRS−833Sと気体混合物を導入し、得られたモノマー蒸気流を支持体表面上で凝結させた。さらに、9.0kV及び3.1mAで操作した多フィラメント電子ビーム硬化銃を用いて電子ビームを照射し、架橋させて、800nmのアクリレート層を形成した。
アクリレート層を形成後、ケイ素とアルミニウムをスパッターし、アクリレート層上に厚さ30nmのケイ素とアルミニウムの酸化物層を形成した。具体的には、ケイ素及びアルミニウムをそれぞれ90%及び10%の含有比で含有するターゲットを、850sccmのアルゴンと82sccmの酸素を含有する気体混合物によりスパッターした。スパッター圧は0.5Paであり、スパッター時に使用した電力は3500Wであった。
上記アクリレート層とケイ素とアルミニウムの酸化物層を形成する操作を3回繰り返し、アクリレート層/ケイ素とアルミニウムの酸化物層/アクリレート層/ケイ素とアルミニウムの酸化物層/アクリレート層/ケイ素とアルミニウムの酸化物層の積層構造を有するガスバリアー層を形成した。
封止材13のガスバリアー性を封止材1と同様に測定したところ、6.0×10−5g/m・dayであった。
また、封止材13の伸び率及び表面粗さRaを、封止材1と同様にして測定したところ、伸び率は1.3%であり、表面粗さRaは1.2nmであった。
〔封止材14及び15〕
上記封止材12の製造において、封止材12の支持体を、下記ヤング率及び厚さの樹脂フィルムにそれぞれ変更したこと以外は、封止材12と同様にして各封止材14及び15を製造した。
封止材14:モアテック(登録商標)フィルムV−0398CN、プライムポリマー社製の低密度ポリエチレン(略称:LDPE)フィルム、ヤング率0.10GPa、厚さ50μm
封止材15:ピュアエース(登録商標)WR、帝人社製のポリカーボネート(略称:PC)フィルム、ヤング率3.60GPa、厚さ50μm
封止材14及び15のガスバリアー性、ガスバリアー層の伸び率及び表面粗さRaは、封止材12と同じであった。
〔模擬デバイス101〕
試験用の電子デバイスとして、封止材1を用いて模擬デバイス101を次のようにして製造した。
ガラス製の基板上にアルミニウム膜をスパッター法により形成した後、フォトリソグラフィー法によりアルミニウム膜をストライプ状に成形し、1000本の引き出し電極を形成した。また、基板の中央に、本体ユニットの代わりにマグネシウム層を蒸着法により形成した。
図11(A)は、基板上の引き出し電極及びマグネシウム層のレイアウトを示している。
図11(A)に示すように、基板81は、サイズが50mm×50mmであり、厚さが0.7mmであった。マグネシウム層83は、サイズが30mm×30mmであり、厚さが100nmであった。1000本の引き出し電極82は、基板81の両端から5mm離れた位置に等間隔で形成した。各引き出し電極82は、図11(B)に示すように断面形状が台形であり、底辺の幅が20μm、厚さが10nmであった。また、各引き出し電極82間の間隔は20μmであり、幅方向中心間の距離は40μmであった。
マグネシウム層が形成された基板に、上記製造した封止材1を下記接合方法Iにより接合し、模擬デバイス101を製造した。
図11(A)に示すように、基板81と封止材1の接合しろ84は、基板81又は封止材1の端部から2.0mm離れた幅2.0mmの領域である。
〔接合方法I〕
マグネシウム層が形成された基板と、サイズ50mm×50mmに切り出した封止材とを、基板上のマグネシウム層と、封止材のガスバリアー層とが対向するように、図6に示す常温接合装置100のホルダー105及び106にそれぞれセットした。さらに、基板と封止材のそれぞれの対向面上に金属マスクを配置した。金属マスクは、接合しろに対応する領域にスリットが設けられている。
マスクを配置後、常温接合装置100において1×10−6Paの真空圧下でイオンガン102により逆スパッターすることにより、基板及び封止材の接合しろの領域を清浄化処理及び表面活性化処理した。逆スパッターでは、加速電圧を0.1〜2kVの範囲内とし、電流値を1〜20mAの範囲内として、1〜10分間のArイオンの照射を行った。
次に、Siをターゲットとしてスパッターし、20nmのケイ素(Si)膜を接合しろの領域に形成した。スパッターは、加速電圧を1.5kV、電流値100mAで3分間行った。さらに、ケイ素膜上を逆スパッターすることにより、表面活性化処理を行った。逆スパッターの処理条件は、上記基板と封止材に対する逆スパッターと同じである。
金属マスクを取り除き、真空度を1×10−7Paに調整した後、基板と封止材の接合しろを接触させ、20MPaの加圧を3分間行うことにより接合した。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間のケイ素膜の厚さの合計を、接合部の厚さとして測定したところ、50.0nmであった。
〔模擬デバイス102〜133〕
上記模擬デバイス101の製造において、下記表1及び表2に示すように、封止材1を各封止材2〜15に代え、接合方法Iを各接合方法II〜VIに代え、引き出し電極の厚さを変更したこと以外は、模擬デバイス101と同様にして各模擬デバイス102〜133を製造した。
接合方法II〜VIの具体的な処理手順は、次のとおりである。
〔接合方法II〕
接合方法Iと同様の金属マスクを用いて、マグネシウム層が形成された基板と、サイズ50mm×50mmに切り出した封止材のそれぞれの接合しろを、プラズマドライクリーナーModel PC-300(サムコ社製)により表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。金属マスクを取り除き、基板と封止材をそれぞれ温度25℃、相対湿度80%の環境下に3分間さらした。真空ラミネーターを用いて接合しろを接触させ、当該接合しろの領域に対して、0.5MPaの加圧と80℃の加温を5分間行うことにより、基板と封止材を接合した。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間の距離を接合部の厚さとして測定したところ、0.1nmであった。
〔接合方法III〕
接合方法Iと同様の金属マスクを用いて、マグネシウム層が形成された基板と、サイズ50mm×50mmに切り出した封止材のそれぞれの接合しろを、プラズマドライクリーナーModel PC-300(サムコ社製)により表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。
次に、シランカップリング剤KBM903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業社製)の温度23℃における飽和蒸気下に、封止材を3分間さらして、シランカップリング剤KBM903からなる接着層を形成した。また、シランカップリング剤KBM403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン工業社製)の温度23℃における飽和蒸気下に、基板を3分間さらして、シランカップリング剤KBM403からなる接着層を形成した。
封止材と基板から金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いてそれぞれの接合しろを接触させ、接合しろの領域に対して、0.5MPaの加圧と80℃の加温を5分間行うことにより、基板と封止材を接合した。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間の接着層の厚さを、接合部の厚さとして測定したところ、1.0nmであった。
〔接合方法IV〕
接合方法Iと同様の金属マスクを用いて、マグネシウム層が形成された基板と、サイズ50mm×50mmに切り出した封止材のそれぞれの接合しろを、プラズマドライクリーナーModel PC-300(サムコ社製)により表面活性化処理した。表面活性化処理は、真空度30Pa、酸素流量10ml/min、放電電力100W、処理時間5分の処理条件で実施した。
次に、分子接着剤として、5質量%のエタノール溶液を溶媒とする6−(3−トリエトキシシリル)プロピルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(以下、TESと略す)の0.2質量%溶液を調製した。封止材の接合しろ以外の領域をマスク材により被覆した後、調製した溶液中に浸漬し、オーブン中で温度100℃の加熱を15分間行った。さらに、封止材をエタノールで洗浄し、ドライヤーで乾燥して、接合しろにTESからなる接着層が形成された封止材を得た。
封止材から金属マスクを取り除いた後、真空ラミネーターを用いて接合しろを合わせるように基板と封止材を接触させ、0.5MPaの加圧と80℃の加温を5分間行うことにより、基板と封止材を接合した。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間の接着層の厚さを、接合部の厚さとして測定したところ、10.0nmであった。
〔接合方法V〕
下記接着剤の成分を混合し、80℃に加熱した後、撹拌混合器ホモディスパーL型(プライミクス社製)を用いて、3000rpmの撹拌速度で均一に撹拌及び混合し、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤を得た。
(接着剤の材料)
エポキシ樹脂YL983U(常温で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学社製):50質量部
セロキサイド2021P(常温で液状の脂環式エポキシ樹脂(3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ダイセル社製):20質量部
エポキシ樹脂jER1001(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製):30質量部
ゲル化剤ゼフィアックF351(アクリル系コアシェル粒子、ガンツ化成社製):20質量部
ナノエース(登録商標)D−600(体積平均粒子径が0.6μmのタルク、日本タルク社製):10質量部
光カチオン重合開始剤CPI(登録商標)−210S(サンアプロ社製):2質量部
シランカップリング剤KBM−403(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン社製):1質量部
得られた接着剤をディスペンサーにより2mg/cmの吐出量で吐出し、封止材の接着しろの領域に接着剤を塗布した。真空ラミネーターを用いて、接着剤を塗布した封止材を基板に接触させ、0.1MPaの加圧を行った。その後、高圧水銀灯を用いて積算光量2J/cmの紫外光を温度80℃で照射し、30分間の硬化処理を行って、基板と封止材を接合した。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、1000.0nmであった。
〔接合方法VI〕
上記接合方法Vにおいて、接着剤の成分からナノエース(登録商標)D−600を除いたこと以外は、接合方法Vと同様にして接合を行った。
基板と封止材の接合部の断層写真を撮影し、基板と封止材間の接着層の厚さを接合部の厚さとして測定したところ、100.0nmであった。
〔評価〕
上記模擬デバイス101〜133の高温高湿の環境下におかれたときの封止性能と、耐性試験後の封止性能をそれぞれ評価した。
各模擬デバイス101〜133の高温高湿下におかれたときの封止性能を、次のように評価した。
模擬デバイスを温度85℃、相対湿度85%の環境下で500時間放置した後、封止材を剥がしてマグネシウム層の腐食を観察した。マグネシウム層全体に対する腐食部分の面積の割合を求め、この腐食部分の面積の割合(%)を封止性能として下記基準により評価した。
◎:腐食が観察されず、封止性能が非常に高い
○:腐食があるが、腐食部分の面積の割合が0.5%未満であり、封止性能が高い
△:腐食があるが、腐食部分の面積の割合が0.5%以上1.5%未満であり、実用可能な封止性能である
×:面積の割合が1.5%以上の腐食部分が観察され、封止性能が低い
また、耐性試験として、各模擬デバイスに下記工程(1)〜(3)を100サイクル実施し、耐性試験後の封止性能を評価した。封止性能の評価方法は、上記高温高湿の環境下におかれたときの封止性能の評価方法と同じである。
(1)各模擬デバイスを温度25℃、湿度20%RHの環境においた後、1時間かけて温度85℃に昇温した。さらに、1時間かけて湿度を85%に上げ、温度85℃、湿度85%の環境下に1時間保持した。
(2)1時間かけて湿度を20%に下げて、さらに2時間かけて温度−35℃まで降温し、温度−35℃、湿度20%の環境下に1時間保持した。
(3)1時間かけて温度を25℃に昇温し、温度25℃、湿度20%の環境に戻した。
下記表1及び表2は、評価結果を示している。
Figure 0006303835
Figure 0006303835
上記表1及び表2において、封止体の支持体の樹脂の欄に記載された略称は、下記樹脂を表している。
PET:ポリエチレンテレフタレート
COP:シクロオレフィンポリマー
PI:ポリイミド
PC:ポリカーボネート
LDPE:低密度ポリエチレン
CPP:無延伸ポリプロピレン
表1及び表2に示すように、支持体のヤング率が0.1〜0.35GPaの範囲内にある封止材を用いることにより、接合部の厚さが0.1〜100.0nmの範囲内と薄くても、優れた封止性能を発揮できることが分かる。
<実施例II>
〔有機EL素子201〕
厚さ0.7mmのガラス製の基板上に、ポリイミドU-Varnish-S(宇部興産社製)をキャスト成膜し、350℃で30分焼成して、厚さ25μmのポリイミド膜を形成した。さらに、ポリイミド膜上に、640画素×480画素からなる画素部及び駆動回路部を、図10(A)及び図10(B)に示すように設けた。この画素部及び駆動回路部に接するようにMo/Al/Moの積層体を形成した後、フォトリソグラフィー法により電極形状に成形し、引き出し電極を形成した。その後、基板全面を被覆するように、PECVD法により200nmのSiO膜を保護層として形成し、実施例Iで製造した封止材1と基板を上記接合方法Iにより接合して、図10(A)及び図10(B)に示すディスプレイ用の有機EL素子10Bと同様の構成の有機EL素子201を製造した。
〔有機EL素子202〜207〕
上記有機EL素子201の製造において、封止材1を封止材2に代え、引き出し電極の厚さを下記表3に示すように変更したこと以外は、有機EL素子202と同様にして各有機EL素子202〜207を製造した。
〔有機EL素子208〕
上記有機EL素子201の製造において、封止材1を封止材4に代えたこと以外は、有機EL素子201と同様にして有機EL素子208を製造した。
〔有機EL素子209〜212〕
上記有機EL素子204の製造において、封止材1を下記表3に示す封止材に代えたこと以外は、有機EL素子204と同様にして各有機EL素子209〜212を製造した。
<評価>
各有機EL素子201〜212に対し耐性試験及び屈曲試験を実施し、試験後の封止性能を評価した。
(耐性試験後の封止性能)
各有機EL素子201〜212に対し、温度40℃、相対湿度50%RHの環境下で10mA/cmの電流を流しながら250時間保存する耐性試験を実施した。耐性試験後、室温下においた各有機EL素子201〜207に1mA/cmの電流を流して得られた発光像を撮影し、得られた画像の領域全体に対するダークスポットの面積の割合(%)を算出した。このダークスポットの面積の割合を封止性能として、下記基準により評価した。
◎:ダークスポットの面積の割合は0%であり、封止性能が非常に高い
○:ダークスポットの面積の割合が0%より大きく0.2%以下であり、封止性能が高い
△:ダークスポットの面積の割合が0.2%より大きく0.5%以下であり、実用できる程度の封止性能がある
×:ダークスポットの面積の割合が0.5%より大きく、封止性能が低い
(屈曲試験)
各有機EL素子201〜212を直径10mmφの円柱に1秒間かけて巻き取った後、1秒間かけて巻き出して平面に戻す操作を、10万サイクル繰り返す屈曲試験を実施した。
さらに、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で250時間保存した後、上記耐性試験後の封止性能の評価と同様にして屈曲試験後の封止性能を評価した。
下記表3は、評価結果を示している。
表3中、表1及び表2と同様に封止材の支持体の樹脂を略称で表している。
Figure 0006303835
表3に示すように、引き出し電極が薄いほど引き出し電極間の隙間を封止材により埋めやすく、良好な封止性能が得られている。また、支持体のヤング率が小さい封止材を用いることにより、封止性能を向上できることが分かる。
<実施例III>
〔封止材21〕
ヤング率2.2GPa、厚さ50μmのゼオノアフィルム(登録商標)ZF−14(日本ゼオン社製のシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム)を支持体として、タイプ04のガスバリアー層を次のようにして形成し、封止材21を製造した。
〔タイプ04のガスバリアー層〕
PECVD法により、封止材の支持体上にガスバリアー層として厚さ100nmのSiO膜を下記成膜条件により形成した。
(成膜条件)
原料ガス:ヘキサメチルジシロキサンガス、シランガス及び酸素ガスを、各ガスの合計流量が50sccmとなるように供給
不活性ガス:ヘリウムガスを50sccmの流量で供給
チャンバーの圧力:10Pa
基板の温度:60℃
RF電源の電力:500W
RF電源周波数:13.56MHz
〔封止材22〜27〕
上記封止材21の製造において、ガスバリアー層の原料ガスにトリメチルアルミニウムを加えて、ガスバリアー層としてSiOAl膜を形成したこと以外は、封止材21と同様にして各封止材22〜27を製造した。
各封止材22〜27の製造時、ヘキサメチルジシロキサンガス、酸素ガス及びトリメチルアルミニウムガスの供給比を調整して、下記表4に示すように、ケイ素原子に対する酸素原子とアルミニウム原子の原子組成比x及びzが異なるSiOAl膜をそれぞれ形成した。
〔封止材28〜33〕
上記封止材21の製造において、ガスバリアー層の原料ガスをヘキサメチルシロキサン、シラン及び酸素ガスに代えて、ガスバリアー層としてSiO膜を形成したこと以外は、封止材21と同様にして各封止材28〜33を製造した。
各封止材28〜33の製造時、ヘキサメチルシロキサンガス、酸素ガス及びシランガスの供給比を調整して、下記表4に示すように、ケイ素原子に対する酸素原子と炭素原子の原子組成比x及びwが異なるSiO膜をそれぞれ形成した。
〔封止材34〜38〕
上記封止材21の製造において、ガスバリアー層の原料ガスから酸素ガスを除外してアンモニアガスを加え、ガスバリアー層としてSiN膜を形成したこと以外は、封止材21と同様にして各封止材34〜38を製造した。
各封止材34〜38の製造時、ヘキサメチルジシロキサンガスとアンモニアガスの供給比を調整して、下記表4に示すように、ケイ素原子に対する窒素原子の原子組成比yが異なるSiN膜をそれぞれ形成した。
〔封止材39〜42〕
上記封止材21の製造において、ガスバリアー層の原料ガスにアンモニアガスを加え、ガスバリアー層としてSiO膜を形成したこと以外は、封止材21と同様にして各封止材39〜42を製造した。
各封止材39〜42の製造時、ヘキサメチルジシロキサンガス、酸素ガス及びアンモニアガスの供給比を調整して、下記表4に示すように、ケイ素原子に対する酸素原子及び窒素原子の原子組成比x及びyが異なるSiO膜をそれぞれ形成した。
〔封止材43〕
上記封止材21の製造において、先に形成されたガスバリアー層上に2層目のガスバリアー層を次のようにして形成し、封止材43を製造した。
アミン触媒として1質量%のN,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン及び19質量%のパーヒドロポリシラザンを含むジブチルエーテル溶液NAX120−20(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)の10gに、0.5gのアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートを加え、80℃で1時間の撹拌を行い、放冷して、2層目のガスバリアー層の塗布液を調製した。
大気中、23℃、50%RHの環境下で、先に形成された1層目のガスバリアー層上に、調製した2層目のガスバリアー層の塗布液を、乾燥膜厚が150nmになるように押出し法で塗布した。室温で10分間乾燥後、酸素濃度を0.1〜0.01体積%の範囲内に調整した窒素雰囲気下で、波長172nm、積算光量2J/cmの真空紫外線を80℃で照射して、2層目のガスバリアー層を形成した。
〔封止材44〜46〕
上記封止材25、31及び36のそれぞれのガスバリアー層上に、上記封止材43と同様にして2層目のガスバリアー層を形成し、各封止材44〜46を製造した。
なお、各封止材21〜46の1層目のガスバリアー層の原子組成比x、y、z及びwは、下記分析条件によりガスバリアー層をXPS分析して得られるデプスプロファイルにより確認した。
(分析条件)
分析装置:QUANTERASXM(アルバック・ファイ社製)
X線源:単色化Al−α
測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s、M*
(M*は、金属によって最適な測定領域を表す。例えば、ホウ素の場合はB1sであり、アルミニウムの場合はAl2pであり、ガリウムの場合はGa3d又はGa2pであり、インジウムの場合はIn3dであり、タリウムの場合はTl4fである。)
スパッターイオン:Ar(2keV)
デプスプロファイル:1分間のスパッターし、測定する操作を繰り返し、ガスバリアー層の厚さ方向の平均値から組成を求めた
定量:バックグラウンドをShirley法により求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した
データ処理:MultiPak(アルバック・ファイ社製)
各封止材21〜46のガスバリアー性及びガスバリアー層の伸び率を、実施例Iと同様にして測定したところ、下記表4に示す測定結果が得られた。
〔有機EL素子301〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが裏打ちされた厚さ40μmの無アルカリガラス製の基板上に、厚さ150nmの酸化インジウムスズ(ITO)膜をスパッター法により形成し、120℃で10分間加熱して透明導電膜を形成した。この透明導電膜に対して、フォトリソグラフィー法により所定のパターンの陽極を形成した。
形成した陽極の表面に対し、微弱X線による除電器を使用して帯電除去処理を実施した。さらに、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度を15mW/cm、陽極と低圧水銀ランプ間の距離を10mmとして、表面改質処理を実施した。その後、陽極上に正孔輸送層の塗布液を乾燥後の厚さが50nmとなるように押出し塗布機で塗布した。塗布は、大気中、温度25℃、相対湿度50%RHの環境下で行った。塗布液は、Clevios(登録商標)P AI 4083(ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(略称:PEDOT/PSS)、ヘレウス社製)を、65%の純水と5%のメタノールで希釈することにより、調製した。
塗布膜に対し、高さ100mmの位置から、吐出風速が1m/s、幅手の風速分布が5%、温度100℃の温風を当て、溶媒を除去した。さらに、加熱処理装置を用い、温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行って乾燥し、正孔輸送層を形成した。
次に、正孔輸送層上に白色発光層の塗布液を乾燥後の厚さが40nmになるように押出し塗布機で塗布した。塗布は、窒素ガス濃度99%以上の雰囲気下、塗布温度25℃、塗布速度1m/minの塗布条件で行った。また、塗布液は、下記成分を100gのトルエンに溶解させて調製した。
(白色発光層の塗布液)
ホスト化合物H−A:1.0g
発光ドーパントD−A:100mg
発光ドーパントD−B:0.2mg
発光ドーパントD−C:0.2mg
下記式は、ホスト化合物H−A、発光ドーパントD−A、D−B及びD−Cのそれぞれの構造を表す。
Figure 0006303835
塗布膜に対し、高さ100mmの位置から、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃の温風を当てて溶媒を除去した。さらに、温度130℃の加熱処理を行って乾燥し、発光層を形成した。
発光層上に、電子輸送層の塗布液を、乾燥後の厚さが30nmになるように押出し塗布機で塗布した。塗布は、窒素ガス濃度が99%以上の雰囲気下、塗布温度25℃、塗布速度1m/minの塗布条件で行った。また、下記化合物E−Aを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解して得られた0.5質量%溶液を、電子輸送層の塗布液として用いた。
Figure 0006303835
塗布膜に対し、高さ100mmの位置から、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で温風を当て、溶媒を除去した。さらに、温度200℃の加熱処理を行って乾燥し、電子輸送層を形成した。
その後、基板を減圧チャンバーに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバー内のタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、電子輸送層上に厚さ3nmの電子注入層を形成した。
上記電子注入層の上に、5×10−4Paの真空下で、マスクを用いて所定のパターンのアルミニウム膜を蒸着法により形成し、厚さ100nmの陰極を得た。
陰極を形成後、陽極及び陰極の一部に重なるように、50nmのモリブデン/200nmのアルミニウム/50nmのモリブデンを順に積層し、引き出し電極を形成した。この引き出し電極は、図12に示すように断面形状が台形であり、底辺の長さが150μm、上辺の長さが100μm、厚さ250nmであった。
次に、陽極及び陰極の端部を除き、CVD法にて厚さ200nmのSiO膜を保護層として形成した。
保護層を形成後、保護層と上記製造した封止材1を上述した接合方法Iにより接合し、照明用の有機EL素子301を製造した。
〔有機EL素子302〜326の製造〕
上記有機EL素子301の製造において、封止材21に代えて各封止材22〜46を用いたこと以外は、有機EL素子301と同様にして照明用の各有機EL素子302〜326を製造した。
<評価>
(耐性試験後の封止性能)
各有機EL素子301〜326に対し、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で250時間保存する耐性試験を実施した。耐性試験後、室温下においた各有機EL素子301〜326に1mA/cmの電流を流して得られた発光像を撮影し、得られた画像の領域全体に対するダークスポットの面積の割合(%)を算出した。このダークスポットの面積の割合を封止性能として、下記基準により評価した。
◎:ダークスポットの面積の割合は0%であり、封止性能が非常に高い
○:ダークスポットの面積の割合が0%より大きく0.2%以下であり、封止性能が高い
△:ダークスポットの面積の割合が0.2%より大きく0.5%以下であり、実用できる程度の封止性能がある
×:ダークスポットの面積の割合が0.5%より大きく、封止性能が低い
(屈曲試験後の封止性能)
各有機EL素子301〜326を直径10mmφの円柱に1秒間かけて巻き取った後、1秒間かけて巻き出して平面に戻す操作を、10万サイクル繰り返す屈曲試験を実施した。
さらに、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下で100時間保存した後、上記耐性試験後の封止性能の評価と同様にしてダークスポットの面積の割合から屈曲試験後の封止性能を評価した。
下記表4は、評価結果を示している。
表4中、表1及び表2と同様に封止材の支持体の樹脂を略称で表している。
Figure 0006303835
表4に示すように、ガスバリアー層の伸び率が大きいほど、封止材の封止性能が向上していることから、伸び率が大きいガスバリアー層であれば、ヤング率が低く柔軟性が高い支持体の変形に追従しやすく、引き出し電極により生じた隙間を埋めやすいことが分かる。
<実施例IV>
〔封止材51〜55〕
実施例Iの封止材2、8、6、4及び1の製造において、タイプ01のガスバリアー層に代えて上述したタイプ03のガスバリアー層を形成し、各封止材51〜55を製造した。
〔有機EL素子401〕
実施例IIIの有機EL素子301の製造において、封止材21に代えて封止材51を用い、引き出し電極の厚さを400nmに変更したこと以外は、有機EL素子301と同様にして有機EL素子401を製造した。
〔有機EL素子402〜406〕
上記有機EL素子401の製造において、下記表5に示すように、接合方法Iを各接合方法II〜VIに代えたこと以外は、有機EL素子401と同様にして各有機EL素子402〜406を製造した。
〔有機EL素子407〜410〕
上記有機EL素子402の製造において、下記表5に示すように、封止材51を各封止材52〜55に代えたこと以外は、有機EL素子402と同様にして各有機EL素子407〜410を製造した。
<評価>
封止材51のガスバリアー性とガスバリアー層の伸び率を、実施例Iと同様に測定した。
また、実施例IIIと同様にして、各有機EL素子401〜410に対して耐性試験及び屈曲試験を行い、各試験後の封止性能を評価した。
下記表5は、評価結果を示している。
表5中、表1及び表2と同様に封止材の支持体の樹脂を略称で表している。
Figure 0006303835
表5に示すように、接合部が薄く、その厚さが0.1〜100.0nmの範囲内にあると、封止性能が高いことが分かる。また、ヤング率が小さく、柔軟性の高い封止材ほど封止性能が向上していることが分かる。
10 照明用の有機EL素子
1 基板
2 本体ユニット
3 封止材
31 支持体
32 ガスバリアー層
4 引き出し電極
5 接合部
6 保護層
10B ディスプレイ用の有機EL素子
200 本体ユニット
201 画素部
202 駆動回路部
100 常温接合装置
102 イオンガン
103〜106 ホルダー
T1、T2 ターゲット

Claims (5)

  1. 基板上の本体ユニットが封止材によって封止された電子デバイスであって、
    前記基板と前記封止材とが、前記本体ユニットから露出するように形成された引き出し電極を挟んで接合され、
    前記基板と前記封止材の接合部の厚さが、0.1〜100.0nmの範囲内にあり、
    前記封止材が、ガスバリアー層と、当該ガスバリアー層の支持体とを備え、
    前記支持体の温度25℃におけるヤング率が、0.1〜3.5GPaの範囲内にあり、
    前記ガスバリアー層の伸び率が、0.5〜5.0%の範囲内にあることを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記引き出し電極の厚さが、10〜500nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
  3. 前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板と前記封止材のそれぞれの接合面を表面活性化処理して得られた活性化層を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス。
  4. 前記接合部が、前記引き出し電極が形成された基板上に形成した金属層と、前記封止材上に形成した金属層のそれぞれを表面活性化処理して得られた活性化層を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス。
  5. 前記接合部が、シランカップリング剤又は分子接着剤が用いられた接着層を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス。
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