JP2009067040A - 複合ガスバリアフィルムおよびこれを用いた表示素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルム上に、ガスバリア層を有するガスバリアフィルムユニット2つ以上を、接着層を介して貼り合せた複合ガスバリアフィルム。前記ガスバリア層が、少なくとも1つの無機領域と少なくとも1つの有機ポリマー領域とが連続した構成であることが好ましい。また前記ガスバリア層が、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機ポリマー層が積層した構成であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
しかしながら、技術の進歩に伴い、ガスバリア性の向上はもちろん、生産性や信頼性や可撓性がさらに向上したガスバリアフィルムが求められている。また、機能性材料が付加されたガスバリアフィルムが求められる傾向にある。表示素子、特に有機EL素子に用いるガスバリアフィルムとして、適したものが得られていない。
具体的には以下の手段により、達成された。
(1)基材フィルム上に、ガスバリア層を有するガスバリアフィルムユニット2つ以上を、接着層を介して貼り合せた複合ガスバリアフィルム。
(2)前記ガスバリアフィルムユニットのうち少なくとも2つが、ガスバリア層を外側にして接着層を介して貼り合わされたことを特徴とする、(1)に記載の複合ガスバリアフィルム。
(3)前記ガスバリア層が、少なくとも1つの無機領域と少なくとも1つの有機ポリマー領域とが連続した構成である、(1)または(2)に記載の複合ガスバリアフィルム。
(4)前記ガスバリア層が、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機ポリマー層とが積層した構成である、(1)または(2)に記載の複合ガスバリアフィルム。
(5)前記接着層が、押出コーティング・ラミネーション樹脂を用いたラミネーション技術または接着剤を用いた接着技術により形成されたものである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(6)前記接着層が、エマルジョンタイプの接着剤、ワックスホットメルトラミネーション用接着剤、およびドライラミネーション用接着剤から選択される少なくとも1種の接着剤を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(7)前記接着層が、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーからなる一液型接着剤および/または末端に水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型接着剤を含む、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(8)前記接着層が、機能性材料を含有する、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(9)前記接着層が、吸湿材、酸素吸収材、応力緩和材、物質遮断材、インジケータ材、導電材、誘電材および光学材料からなる機能性材料の少なくとも1種を含有する、(1)〜(8)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(10)有機EL素子の基板用である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
(11)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルムを用いた表示素子。
また、本発明の複合ガスバリアフィルムの、他の構成は特に定めるものではなく、例えば、ガスバリアフィルムユニットは、2つであってもよいし、3つ以上であってもよい。ガスバリアフィルムユニットを3つ以上有する場合、そのうちの2つが接着層を介して貼り合わせられていれば良いが、3つ以上接着層を介して貼り合わせられていても良い。ガスバリアフィルムユニットの3つが接着層を介して貼り合わせられている例として、例えば、図2に示すような、第一ガスバリアフィルムユニット/第一接着層/第二ガスバリアフィルムユニット/第二接着層/第三ガスバリアフィルムユニットといった層構成が考えられる。また、例えば、第一接着層に水分インジケータ材、第ニ接着層に吸湿材を導入することにより、長寿命かつ寿命が近付いたことを事前に知ることができるような高品質なガスバリアフィルムを提供することができる。
以下、本発明の複合ガスバリアフィルムを構成する基材フィルム、ガスバリア層、接着層について、さらに詳細に説明する。
本発明におけるガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、有機ポリマー層、無機層等の積層体(ガスバリア層)を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。前記プラスチックフィルムとしては、具体的には、金属支持体(アルミニウム、銅、ステンレス等)ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
また1/4波長板としては、上記のフィルムを適宜延伸することで所望のレターデーション値に調整したフィルムを用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、プラスチックフィルムとして不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムに用いられるプラスチックフィルムの厚みは、用途によって適宜選択されるので特に制限がないが、典型的には1〜800μmであり、好ましくは10〜200μmである。これらのプラスチックフィルムは、透明導電層、プライマー層等の機能層を有していても良い。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、易接着層等が挙げられる。
ガスバリアフィルムは大気中の酸素、水分を遮断する機能を有するフィルムである。本発明で用いるガスバリアフィルムは、少なくとも1つの有機ポリマー領域と、少なくとも1つの無機領域、好ましくは、少なくとも1層の有機ポリマー層と少なくとも1層の無機層を含むガスバリア層を有する。本発明におけるガスバリア層は、該層を構成する組成が膜厚方向に有機ポリマー領域と無機領域が連続的に変化するいわゆる傾斜材料層であってもよい。前記傾斜材料の例としては、キムらによる論文「Journal of Vacuum Science and Technology A Vol. 23 p971−977(2005 American Vacuum Society) ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー A 第23巻 971頁〜977ページ(2005年刊、アメリカ真空学会)」に記載の材料や、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機ポリマー領域と無機領域が界面を持たない連続的な層等が挙げられる。以降、簡略化のため、有機ポリマー層と有機ポリマー領域は「有機ポリマー層」として、無機層と無機領域は無機層として記述する。
カスバリアフィルムを構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。なお、本発明におけるガスバリアユニットは、ガスバリア層が基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
また、有機ポリマー層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。
前記無機層は無機物で構成されガスバリア性を有すれば特に制限はない。前記無機物としては、典型的には、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、亜鉛、スズの酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、水素化物等が挙げられる。これらは純物質でもよいし、複数組成からなる混合物や傾斜材料層でもよい。これらのうち、アルミニウムの酸化物、窒化物若しくは酸窒化物、または珪素の酸化物、窒化物若しくは酸窒化物が好ましい。ガスバリア層が無機層の積層体である場合、前記無機層の積層体は硬くて緻密な無機物の層と軟らかい無機物の層との交互積層体であるのが好ましい。硬くて緻密な無機物の例としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素等が挙げられる。軟らかい無機物の例としては、炭化珪素、炭素を30%以上含有する酸化珪素または窒化珪素、空隙率が30%以上である酸化珪素または酸化アルミニウム等が挙げられる。
前記ガスバリア層を構成する各無機層の厚みに関しては特に限定されないが、典型的には1層あたり5nm〜500nmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1層あたり10nm〜200nmである。
特に、珪素の化合物を成膜する場合、誘導結合プラズマCVD、電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマを用いたPVDまたはCVDのいずれかの形成方法を採用するのが好ましく、誘導結合プラズマCVDによる形成方法を採用するのが最も好ましい。誘導結合プラズマCVDや電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマとを用いたCVD(ECR−CVD)は、例えば、化学工学会、CVDハンドブック、p.284(1991)に記載の方法にて実施することができる。また、電子サイクロトロン共鳴条件に設定したマイクロ波と磁場を印加したプラズマとを用いたPVD(ECR−PVD)は、例えば、小野他、Jpn.J.Appl.Phys.23、No.8、L534(1984)に記載の方法にて実施することができる。前記CVDを用いる場合の原料としては、珪素供給源としてシラン等のガスソースや、ヘキサメチルジシラザン等の液体ソースを用いることができる。
ガスバリア層を構成しうる有機ポリマー層とは有機ポリマーを主成分とする、有機ポリマー層であることが好ましい。具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリロイル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他有機珪素化合物の層である。有機ポリマー層は単独の材料からなっていても混合物からなっていても良い。2層以上の有機ポリマー層を積層しても良い。この場合、各層が同じ組成であっても異なる組成であっても良い。米国公開特許2004-46497号明細書に開示してあるように無機層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であっても良い。
(重合性化合物)
本発明で用いる重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物である。これらのうち、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物(アクリレートとメタクリレートをあわせて(メタ)アクリレートと表記する)、アクリルアミド系化合物、スチレン系化合物、無水マレイン酸等が挙げられる。
スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、4−ヒドロキシスチレン、4−カルボキシスチレン等が好ましい。
また、未反応モノマーをポリマーに転換するためにポスト重合を行ってもよい。前記ポスト重合は、加熱、光(紫外線、可視光線)照射、電子線照射、プラズマ照射、およびこれらの組み合わせを用いて行うことができる。また、前記ポスト重合は有機ポリマー層を設置した直後に行ってもよいし、すべての層を設置した後に行ってもよい。前記有機ポリマー層を複数層設置する場合には、各有機ポリマー層設置ごとにポスト重合を行ってもよい。このポスト重合によって、未反応モノマーに起因するガス成分の発生や有機ポリマー層の機械特性の劣化をより抑制することができる。
有機ポリマー層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機ポリマー層の平滑性は10μm角の平均粗さ(Ra値)として10nm以下であることが好ましく、2nm以下であることがより好ましい。有機ポリマー層の膜硬度は鉛筆硬度としてHB以上の硬さを有することが好ましく、H以上の硬さを有することがより好ましい。
有機ポリマー層の膜厚については特に限定はないが、薄すぎると膜厚の均一性を得ることが困難となるため、バリア性能を発現させる十分な積層構造が構築できない場合があり、厚すぎると外力によりクラックを発生し、バリア性が低下する可能性がある。かかる観点から、前記有機ポリマー層の厚みは、10nm〜2000nmが好ましく、20nm〜1000nmさらに好ましく、50nm〜500nmが最も好ましい。
本発明では、ガスバリアフィルムユニットを、接着層を介して貼り合せている。本発明では接着層を設けることにより、バリア層が破壊しにくくなり、バリア層の劣化を抑えることが可能になる。
ここで、接着層を介してとは、ガスバリアフィルムユニットが、接着層に直接に接している場合の他、ガスバリアフィルムユニットと接着層の間に他の層やフィルムが設けられている場合も含む趣旨である。また、接着層は2層以上から構成されていてもよい。
また(メタ)アクリル酸エステル成分量が上記範囲より少ないと、押出ラミネート樹脂とポリエステルフィルムの親和性が低下し、基材フィルムとの接着性が低下する場合があるので好ましくない。また(メタ)アクリル酸エステル成分量が上記範囲を越えると、押出ラミネート加工時のべたつき増加による加工適性低下のため好ましくない。
エマルジョンタイプの接着剤の例としては、熱可塑性エラストマー、LDPE、IO(アイオノマー)、PVDC、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、PE(ポリエチレン)ワックスなどを分散したコーティング剤等が挙げられる。ワックスホットメルトラミネーション用接着剤の例としては、PVDC(ポリ塩化ビニリデン樹脂をコートしたOPP(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、PETフィルム、PVAフィルムなどが挙げられる。ドライラミネーション用接着剤の例としては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ニトロセルロース、酢酸セルロース、およびシリコーンなどが挙げられる。これらの接着剤のうち、本発明では、熱や光による硬化剤の化学反応を用いた化学反応型の接着剤が好ましく、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーからなる一液型接着剤および/または末端に水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型接着剤であることがより好ましく、末端に水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型接着剤がさらに好ましい。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーからなる一液型接着剤の例としては、ジイソシアネートとポリエーテルポリオールの縮合体であるポリエーテルポリウレタンイポリイソシアネートをプレポリマーとしたもの、ジイソシアネートとポリエステルポリオールの縮合したポリエステルポリウレタンポリイソシアネートをプレポリマーとしたものなどが挙げられる。末端に水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型接着剤の例としては、グリコールとジカルボン酸の縮合物であるポリエステルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとジイソシアネートの縮合物であるポリエステルポリウレタンポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートの縮合物であるポリエーテルポリウレタンポリオールと、トリイソシアネートの縮合物などが挙げられる。
さらに、接着層に用いる接着剤は硬化後のTgが0℃以下である材料が好ましく、Tgが−20℃以下である材料がさらに好ましい。
また、接着層とは別に機能性材料を含有する機能性層を設けてもよく、この場合、接着層に隣接して設けることが好ましい。
また、本発明の複合ガスバリアフィルムの厚さは、10〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
次に、本発明の複合ガスバリアフィルムを利用した有機EL素子について詳しく説明する。本発明の複合ガスバリアフィルムは、有機EL素子の基板として、好ましく用いることができる。有機EL素子は、基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に有機発光層(以下、単に「発光層」と称する場合がある。)を含む有機化合物層を有する。発光素子の性質上、陽極および陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明である。
(基板)
本発明における有機EL素子に用いられる基板は、公知の有機EL素子に用いられる基板が広く採用できる。基板は、樹脂フィルムであってもよいし、ガスバリアフィルムであってもよい。特開2004−136466号公報、特開2004−148566号公報、特開2005−246716号公報、特開2005−262529号公報等に記載のガスバリアフィルムも好ましく用いることができる。
本発明で用いる基板の厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。上述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述がある。基板として耐熱性の低いプラスチック基材を用いる場合は、ITOまたはIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属または2属金属との合金(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属または2属金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、さらにITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
有機EL素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、有機発光層以外の他の有機化合物層としては、前述したごとく、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。
有機発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、または正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、または電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子との再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、ドーパントは1種であっても2種以上であってもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料とを混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、および白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、および白金である。
前記ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、およびガドリニウムが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極または陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、陰極または陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。また、電子輸送層・電子注入層が正孔ブロック層の機能を兼ねていてもよい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
また、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層を、発光層と陽極側で隣接する位置に設けることもできる。正孔輸送層・正孔注入層がこの機能を兼ねていてもよい。
有機EL素子全体は、保護層によって保護されているのが好ましい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているもの、もしくは有機EL素子の表面に平坦性を付与するものである。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、SiCw、SiOzCw等の金属炭化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
(ガスバリアフィルムユニットの形成)
(1)第1無機層の形成
基材フィルムとしての市販のPENフィルム(テオネックスQ65FA、帝人デュポンフィルム製、厚さ100μm、40℃90%RHにおける水蒸気透過率1.7g/m2・day)上に、スパッタリング装置(装置名:インラインスパッタリング蒸着装置、(株)エイコー・エンジニアリング製)を用いて、第1無機層(酸化アルミニウム)を形成した。前記スパッタリングの条件は、ターゲットとしてアルミニウムを、放電ガスとしてアルゴンを、反応ガスとして酸素を用いた。成膜圧力は0.1Paであり、到達膜厚は50nmであった。
(2)第1有機ポリマー層の形成
第1無機層を形成した基板フィルム上に、トリエチレングリコールジアクリレート20gと、紫外線重合開始剤(商品名:Cibaイルガキュア−184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.6gと、2−ブタノン200gとの混合溶液を塗布層の厚みが5μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布した。室温にて2時間乾燥した後、高圧水銀ランプの紫外線を照射して硬化させ(積算照射量約2J/cm2)、第1無機層上に第1有機ポリマー層を形成した。第1有機ポリマー層の膜厚は450nmであった。
第1の無機層と同様の方法および同様の条件で第1有機ポリマー層上に第2無機層(酸化アルミニウム)を形成した。到達膜厚は50nmであった。
(4)第2有機ポリマー層の形成
第1有機ポリマー層と同様の方法で第2無機層上に第2有機ポリマー層を形成した。
(5)第3無機層の形成
第2無機層と同様の方法および同様の条件で第2有機ポリマー層上に第3無機層(酸化アルミニウム)を形成し、第3無機層を形成した。第3無機層の到達膜厚は50nmであった。
得られたガスバリアフィルムユニットを、各々バリア層が外側を向くようにして、ポリエステル系樹脂を主剤とし、硬化剤としてイソホフロンジイソシアネートIIPDI)の3量体を含む接着剤を用いてグローブボックス内の無酸素・ドライ環境下でドライラミネーションにより積層・一体化した。さらに50℃4日間の加熱養生を行って複合ガスバリアフィルムを得た。このときの接着層の厚さは、6μmとした。
(ガスバリア性の評価方法)
本発明および比較用のフィルムのガスバリア性評価はカルシウム腐蝕法により実施した。カルシウム腐蝕法はG.Nisatoらの方法(2001 IDW Conference Proceedings)に従った。すなわち、ガスバリアフィルム試料上に真空蒸着法により金属カルシウム薄膜を作製し、これを直ちにガラス板とエポキシ系接着剤XNR−5516−HV(ナガセケムテックス製)で封止してテストセルを作製した。このテストセルを40℃相対湿度90%の環境下に静置し、水蒸気透過率に換算値を求めた。
(耐屈曲性の評価方法)
実施例および比較例における複合ガスバリアフィルムをそれぞれ20cm×30cmに切り出し、両端を張り合わせて円柱状にした後、12mmφの搬送ローラー2本を両ローラー間に約1Nの張力をかけて、フィルムとローラー部が完全に接触し、かつ、フィルムが滑らないように注意しながら30cm/分でフィルムを回転搬送させた。各フィルムを25℃相対湿度60%の環境で8時間調湿してから上記と同じ方法にてガスバリア性の評価を行った。
実施例1において、市販のPENフィルム(Q65A、200μm、帝人デュポンフィルム製)の両面に[実施例1]で作製されたガスバリアフィルムユニットを設けたものを作製した。
実施例1において、接着剤に、吸湿剤である市販のCaO粉末(フルウチ化学製)を練りこみ、他は同様に行って、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤に、市販の脱酸素剤(三菱ガス化学製)を練りこみ、他は同様に行って、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤コート面に予め市販のフッ素樹脂コーティング液(応力緩和剤、旭硝子製)のスピンコート法でコートして応力緩和層を設置した以外は実施例1と同様に行って、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤に、物質遮断剤である市販のキレート樹脂(モリテックス製)を練りこみ、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤コート面に予めインジケータ部分に金属Caを蒸着しておく以外は実施例1と同様に行い、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤コート面に予め市販の帯電防止コーティング液(アルテック製)をバーコート法でコートし40℃48時間養生して帯電防止層を設置した以外は実施例1と同様に行い、複合ガスバリアフィルムを得た。
実施例1において、接着剤コート面に予めスパッタリング法により強誘電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3(x=0.525))を含む層(PZT層)を設置した以外は、実施例1と同様に行い、複合ガスバリアフィルムを得た。該複合ガスバリアフィルムの絶縁性が1桁向上していることが確認できた。
実施例1において、接着剤コート面に予め市販の青色カラーフィルタ材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアル製)をスピンコート法にて設定した以外は実施例1と同じ方法で、光学材料含有複合バリアフィルムを得た。
実施例1で作製した複合ガスバリアフィルムを基板とし、真空チャンバー内に導入し、ITOターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、厚み0.2μmのITO薄膜からなる透明電極を形成した。ITO膜を有する基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この基板(陽極)上に真空蒸着法にて以下の有機化合物層を順次蒸着した。
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(第2正孔輸送層)
N,N'−ジフェニル−N,N'−ジナフチルベンジジン:膜厚40nm
(発光層兼電子輸送層)
トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム:膜厚60nm
また、上記有機EL素子と、ガスバリアフィルム以外全く同じ条件で作製した、特開2007−118564公報の実施例に記載の有機EL素子とを比較したところ、フィルター性能以外の素子性能は差がないことを確認できた。
この基材フィルムを変更した複合バリアフィルムを用いて同様に有機EL素子を作成したところ、いずれも基材フィルムにかかわらず同等の性能の素子を得ることができた。
また、本発明では、接着層に各種機能性材料を含めることができるため、複合ガスバリアフィルムに各種機能を付加することができ、加えて、採用する機能性材料に対する制限が極めて少ないため、極めて広範な用途に適用可能である。特に、信頼性および連続生産性を維持しつつ、容易に各種機能を付加できる点で、本発明の複合ガスバリアフィルムは極めて有用性が高い。
さらに、本発明では、耐屈曲性に優れ、かつ高いガスバリア能と必要に応じて吸水機能をさらに付与できることから、有機EL素子の基板に適した複合ガスバリアフィルムとすることができる。
2 接着層
11 基材フィルム
12 ガスバリア層
Claims (11)
- 基材フィルム上に、ガスバリア層を有するガスバリアフィルムユニット2つ以上を、接着層を介して貼り合せた複合ガスバリアフィルム。
- 前記ガスバリアフィルムユニットのうち少なくとも2つが、ガスバリア層を外側にして接着層を介して貼り合わされたことを特徴とする、請求項1に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記ガスバリア層が、少なくとも1つの無機領域と少なくとも1つの有機ポリマー領域とが連続した構成である、請求項1または2に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記ガスバリア層が、少なくとも1層の無機層と少なくとも1層の有機ポリマー層とが積層した構成である、請求項1または2に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記接着層が、押出コーティング・ラミネーション樹脂を用いたラミネーション技術または接着剤を用いた接着技術により形成されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記接着層が、エマルジョンタイプの接着剤、ワックスホットメルトラミネーション用接着剤、およびドライラミネーション用接着剤から選択される少なくとも1種の接着剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記接着層が、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーからなる一液型接着剤および/または末端に水酸基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型接着剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記接着層が、機能性材料を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 前記接着層が、吸湿材、酸素吸収材、応力緩和材、物質遮断材、インジケータ材、導電材、誘電材および光学材料からなる機能性材料の少なくとも1種を含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 有機EL素子の基板用である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルム。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合ガスバリアフィルムを用いた表示素子。
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