JP2012076360A - バリア性積層体の製造方法 - Google Patents

バリア性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2以上のバリア性シートが含まれるバリア性積層体の製造において、当該バリア性積層体の内部に残存する気泡の量を抑制することのできる製造方法を提供すること。
【解決手段】第一バリア性シート2と第二バリア性シート3との間に存在する接着層4を形成させるために使用するドライラミネート接着剤として、分子内に複数の水酸基を有する樹脂化合物と、ポリイソシアネート化合物と、が含まれ、かつ前記ポリイソシアネート化合物として、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を含むものを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バリア性積層体の製造方法に関し、さらに詳しくは、複数のシート状部材をドライラミネート接着剤で接合させてバリア性積層体を製造する際に、当該バリア性積層体の内部における気泡の残留を抑制することのできるバリア性積層体の製造方法に関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。一般に、太陽電池を構成する太陽電池モジュールは、受光面側から、透明前面基板、表面側充填材、太陽電池素子、裏面側充填材及びバックシート(裏面保護シートとも呼ばれる)が順に積層された構成であり、太陽光が上記太陽電池素子に入射することによって発電する機能を有している。
これらの構成部材のうち、バックシートは、太陽電池素子を水分や酸素等から保護するために、高い防湿性やガスバリア性を有することが求められる。このような観点から、バックシートを多層構成の積層体とし、この積層体において、金属箔シートや表面に金属酸化物又は金属の蒸着膜を設けた樹脂シート等をバリア層として1層ないし2層以上積層させたバリア性積層体が使用されている。
このとき、多層体であるバリア性積層体を構成する各層は、例えば、ポリウレタン系等のドライラミネート接着剤を使用して接合されるのが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−44472号公報
接合強度の観点から、ドライラミネート接着剤としては、分子内に複数の水酸基を有する樹脂(ポリオール化合物)を含む主剤とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤とからなる二液タイプの接着剤が一般的に使用されている。このようなタイプの接着剤では、主剤に含まれる樹脂が硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物で架橋されることによって高分子量化し、この高分子量化した樹脂が強固な接着層を形成させて各層を構成する樹脂シート等を強固に接合する。
ここで、硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物は、主剤に含まれるポリオール化合物と反応するのみでなく、主剤に含まれていたり、空気中に存在したりしていた微量の水分とも反応する。そして、水分と反応したポリイソシアネート化合物は、炭酸ガス(二酸化炭素)からなる気泡を発生させる。
発生した炭酸ガスは、通常、時間の経過とともに、接着層から各層を構成する樹脂シートの内部へと透過して移動し、最終的には積層体の表面から外部へと放出される。そのため、接着層で発生した炭酸ガスの気泡は、時間の経過とともに消失する。
しかし、ドライラミネート接着剤で接合した積層体にバリア層が2層以上含まれている場合には、これとは状況が異なる。すなわち、接着層で発生した炭酸ガスがいつまでも接着層に留まり、いくら時間が経過したとしても気泡が消失しない。なぜなら、ガスバリア性を有するバリア層は炭酸ガスの透過性が著しく小さいので、2層存在するバリア層の間に存在する接着層で発生した炭酸ガスは、バリア層を透過することができず、積層体の厚さ方向への移動が妨げられることになる。その結果、炭酸ガスは、積層体の外部へと放出されず、気泡のまま積層体の内部に存在する。
内部に多量の気泡が存在するバリア性積層体をバックシートとして太陽電池モジュールに使用すると、気泡の存在による応力の影響でバリア膜に亀裂を生じ、バックシートのバリア性が低下する要因となる。また、このような問題は、太陽電池モジュールのバックシートに限られたものでなく、例えば、食品包装用のバリア性積層体でも外観の低下等という問題を生じ得る。そのため、バリア層を複数有するバリア性積層体の製造において、接着層に残存する気泡の量を抑制することのできる製造方法が切望されているが、未だこのような問題が解決されていないのが実情である。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、2以上のバリア性シートが含まれるバリア性積層体の製造において、当該バリア性積層体の内部に残存する気泡の量を抑制することのできる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、バリア性シートに挟まれた位置に存在する接着層を形成させるとき、ドライラミネート接着剤の硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物として、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を使用することにより、バリア性積層体の内部における気泡の残留を抑制できることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
(1)複数のシート状部材がドライラミネート接着剤で形成された接着層によって接合され、
前記複数のシート状部材には、金属酸化膜の蒸着膜を有する樹脂シート、金属の蒸着膜を有する樹脂シート、及び金属箔シートからなる群より独立して選択される第一バリア性シート及び第二バリア性シートが含まれるバリア性積層体の製造方法であって、
分子内に複数の水酸基を有する樹脂化合物(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)と、が含まれるドライラミネート接着剤を使用して、
前記第一バリア性シートと前記第二バリア性シートとの間に存在する接着層を形成させ、
前記ポリイソシアネート化合物(B)として、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を使用することにより、
前記バリア性積層体の内部における気泡の残留を抑制することを特徴とするバリア性積層体の製造方法。
(2) 前記ポリイソシアネート化合物(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)との混合物であることを特徴とする(1)記載のバリア性積層体の製造方法。
(3) 前記混合物中におけるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の含有量が40〜70質量%であることを特徴とする(2)記載のバリア性積層体の製造方法。
(4) 前記樹脂化合物(A)の水酸基価が10〜40mg/gであることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載のバリア性積層体の製造方法。
(5)前記ドライラミネート接着剤が硬化して前記接着層となるまでのエージング期間において、前記第一バリア性シート及び前記第二バリア性シートが含まれる接合体を巻き取り状態で保管することを特徴とする(1)から(4)のいずれか記載のバリア性積層体の製造方法。
(6)(1)から(5)のいずれか記載のバリア性積層体の製造方法によって製造されたバリア性積層体が使用された太陽電池モジュール用部材。
本発明によれば、2以上のバリア性シートが含まれるバリア性積層体の製造において、当該バリア性積層体の内部に残存する気泡の量を抑制することのできる製造方法が提供される。
本発明のバリア性積層体の製造方法の第一実施態様で製造されるバリア性積層体を模式的に示す断面図である。 本発明のバリア性積層体の製造方法の第二実施態様で製造されるバリア性積層体を模式的に示す断面図である。 本発明のバリア性積層体の製造方法の第三実施態様で製造されるバリア性積層体を模式的に示す断面図である。 本発明のバリア性積層体の製造方法の第四実施態様で製造されるバリア性積層体を模式的に示す断面図である。
[第一実施態様]
まず、本発明のバリア性積層体の製造方法の第一実施態様で製造されるバリア性積層体1について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明のバリア性積層体の製造方法の第一実施態様で製造されるバリア性積層体1を模式的に示す断面図である。
本実施態様で製造されるバリア性積層体1は、2つのバリア性シート(第一バリア性シート2及び第二バリア性シート3)を有し、水分や酸素等のガス等に対して高いバリア性を示す。そのため、バリア性積層体1は、太陽電池モジュールにおけるバックシートや食品の包装材等、高いバリア性を必要とする用途において好ましく使用される。
バリア性積層体1は、第一バリア性シート2及び第二バリア性シート3が接着層4を介して接合されてなる。以下、各部材について説明する。
第一バリア性シート2は、第一基材シート21の表面に第一バリア膜22が形成されたものである。第一基材シート21は、シート状に成形された樹脂(樹脂シート)である。第一基材シート21として使用される樹脂シートの材質は、特に限定されない。なお、バリア性積層体1が太陽電池モジュールにおけるバックシートとして使用される場合、第一基材シート21として使用される樹脂シートは、機械的あるいは化学的強度に優れることが好ましく、具体的には、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、耐突き刺し性等の諸堅牢性に優れることが好ましい。第一基材シート21として使用される樹脂シートの材質としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂シートの中でも、特に、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、フッ素系樹脂のETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のフィルム又はシートが挙げられる。なお、本明細書では、これらの樹脂をシート状に加工したものの名称として樹脂シートという用語を使用するが、この用語は、樹脂フィルムも含む概念として使用される。
上記の各種の樹脂シートとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種又はそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他の成膜法を用いて成膜したものが挙げられる。本実施態様において、第一基材シート21の厚さは、5μm〜250μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、20μm〜80μmが最も好ましい。第一基材シート21の厚さが5μm以上であることにより、寸法安定性や、蒸着時に必要な耐熱性を付与することができ、第一基材シート21の厚さが250μm以下であることにより、加工時の樹脂シートの搬送性を付与することができる。
第一バリア膜22は、金属酸化物の蒸着膜であり、第一基材シート21の表面に設けられる。第一バリア膜22は、第一基材シート21にガスバリア性や防湿性を付与するために設けられる。したがって、第一基材シート21と第一バリア膜22とからなる第一バリア性シートは、ガスバリア性及び防湿性を有する。
第一基材シート21の表面に、金属酸化物の蒸着膜を形成する方法は、特に限定されず、公知の蒸着方法を使用することができる。このような蒸着方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)や、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。
蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着して形成された薄膜であれば使用可能である。このような金属としては、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等が例示される。これらの中でも、特に、珪素(Si)、アルミニウム(Al)の金属の酸化物の蒸着膜が好ましく使用される。
蒸着膜の厚さは、特に限定されないが、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜60nmであることがより好ましい。蒸着膜の厚さが5nm以上であることにより、十分なガスバリア性や防湿性が付与され、蒸着膜の厚さが100nm以下であることにより、蒸着膜(第一バリア膜22)の割れやクラックの発生が抑制される。
第二バリア性シート3は、第二基材シート31の表面に第二バリア膜32が形成されたものである。第二バリア性シート3としては、上述の第一バリア性シート2と同様のものを使用することができるので、説明を省略する。なお、第二バリア性シート3における第二基材シート31は、第一バリア性シート2における第一基材シート21と材質や厚さの面で同一でも異なってもよいので、バリア性積層体1に要求される性能を考慮して適宜選択すればよい。同様に、第二バリア性シート3における第二バリア膜32は、第一バリア性シート2における第一バリア膜22と材質や厚さの面で同一でも異なってもよいので、バリア性積層体1に要求される性能を考慮して適宜選択すればよい。
接着層4は、第一バリア性シート2と第二バリア性シートとを接合するために設けられる層である。接着層4は、後述するドライラミネート接着剤が塗布され、その後、塗布されたドライラミネート接着剤が硬化することで形成される。
本実施態様において、第一バリア性シート2の表面に存在する第一バリア膜22は、第二バリア性シート3の方向に配置され、第二バリア性シート3の表面に存在する第二バリア膜32は、第一バリア性シート2の方向に配置される。このため、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とは、第一バリア膜22と第二バリア膜32とが接着層4を介して接合される。なお、これは本発明の一例である第一実施態様における場合であり、本発明は、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とを接合するに際して、第一基材シート21と第二バリア膜32とを接合してもよいし、第二基材シート31と第一バリア膜22とを接合してもよいし、第一基材シート21と第二基材シート31とを接合してもよい。つまり、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とを接合するに際して、第一バリア膜22及び第二バリア膜32の配置は、特に限定されない。さらに、後述する第二実施態様のように、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3との間に他の層を含んでもよい。この場合であっても、第一バリア膜22及び第二バリア膜32の配置は、特に限定されない。
次に、本実施態様において、接着層4を形成し、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とを接合させるために使用されるドライラミネート接着剤について説明する。
本実施態様で使用されるドライラミネート接着剤は、分子内に複数の水酸基を有する樹脂化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを含むことを特徴とする。このドライラミネート接着剤は、樹脂化合物(A)を含む主剤とポリイソシアネート化合物(B)を含む硬化剤とを使用の直前に混合する二液タイプのものであることが好ましい。また、当該主剤及び硬化剤には、塗布性やハンドリング性の点から、溶剤が含まれることが好ましい。
上記ドライラミネート接着剤は、第一バリア性シート2における第一バリア膜22の表面に塗布された後、加熱や送風を受けることによって接着剤に含まれる溶剤が除去され、第一バリア膜22の表面に接着剤膜を形成させる。この接着剤膜の表面に第二バリア膜32が接触するように第二バリア性シート3を載置し、さらに、第一バリア性シート2及び第二バリア性シート3を厚さ方向に圧迫することでこれらを仮接着させて接合体とする。仮接着された接合体は、例えば、巻き取り状態で保管され、一定期間放置される。
この放置期間中、接合体に含まれる接着剤膜の内部では、主剤に含まれる樹脂化合物(A)の水酸基と硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が反応して、ウレタン結合を形成する反応が進行する。この反応によって、樹脂化合物(A)は、ポリイソシアネート化合物(B)によって架橋され、高分子量化する。樹脂化合物(A)が十分に架橋されると、上記ドライラミネート接着剤膜は、硬化し、接着層4となる。これにより、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とは、強固に接合されて、バリア性積層体1となる。
ここで、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とを仮接着した直後の接着剤膜の内部には、微量の水分が含まれる。この水分は、例えば、ドライラミネート接着剤に含まれていた水分や、ドライラミネート接着剤を塗布する際に接着剤膜に混入した空気中の水分を由来とする。そして、このような水分が接着剤膜に含まれると、上記接合体を放置している(すなわち、架橋反応を進行させている)期間において、硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基と水分とが反応して、炭酸ガスを発生させる。そして、発生した炭酸ガスは、互いに集まって、接着剤膜の内部に気泡を形成させる。
ここで、接着剤によって接合される層がバリアシートでなければ、接着剤膜の内部に発生した気泡は、接着剤膜に隣接する層(樹脂シート)の内部へと透過することができ、この層の内部を通過して、外部に放出される。このため、接着剤膜が接着層となった後では、接着層の内部に炭酸ガスの気泡が残留することは殆どない。しかし、接着剤によって接合される層がバリアシートの場合、接着剤膜の内部に発生した気泡は、この層(バリアシート)を透過することができないので、接着剤膜が接着層となった後でも、接着層の内部に気泡として残留し、バリア膜の割れや、見栄えの低下等の問題を引き起こす可能性がある。
このような問題を生じさせないためには、接着剤膜に含まれる水分の量をゼロとすればよいが、実際の作業工程を考慮すると、そのようなことは殆ど不可能である。そのため、従来、バリアシートを複数有するようなバリア性積層体を形成する場合、接着層の内部に気泡を残存させないようにすることは非常に困難だった。
この点、本発明では、硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)として、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を使用することにより、このような問題を解決する。このことを、以下説明する。
硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)として、水分に対する反応性の異なる2種類のポリイソシアネート化合物を使用した場合を想定する。この場合、水分に対して速やかに反応するポリイソシアネート化合物をポリイソシアネート化合物(B1)とし、水分に対して反応の緩やかなポリイソシアネート化合物をポリイソシアネート化合物(B2)とする。そして、水分に対して緩やかな反応性を有するポリイソシアネート化合物(B2)は、ポリイソシアネート化合物(B1)よりも1分子中に含まれるイソシアネート基の数が多いものである。したがって、水分に対して緩やかな反応性を有するポリイソシアネート化合物(B2)は、ポリイソシアネート化合物(B1)よりも架橋密度を大きくする効果が高いことになる。
ポリイソシアネート化合物(B1)は、水分に対して速やかに反応するため、樹脂化合物(A)に含まれる水酸基に対する大きい反応性を有する。このため、接着剤膜の内部では、ポリイソシアネート化合物(B1)が速やかに消費されて、炭酸ガスを発生させたり、樹脂化合物(A)の架橋を進めたりする。その一方で、ポリイソシアネート化合物(B2)は、緩やかに消費されるので、ポリイソシアネート化合物(B1)が反応により消費され尽くした後も、大半が未反応のままとなっている。
次に、ポリイソシアネート化合物(B1)が消費され尽くした時点を想定する。この時点では、接着剤膜に含まれる水分は、殆ど全てポリイソシアネート化合物(B1)と反応してしまっており、炭酸ガスへと変化している。このとき、ポリイソシアネート化合物(B1)は、水分と反応するだけでなく、樹脂化合物(A)の水酸基とも反応しているので、樹脂化合物(A)の一部を架橋している。しかし、もう一方の架橋剤である化合物B2は、その大半が未反応のままであるので、樹脂化合物(A)の架橋度は、未だそれほど大きいものでない。そのため、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3との間に存在する接着剤膜は、硬化が十分に進んでいない液体状態であり、比較的柔らかな膜の状態を維持している。このような傾向は、上記で好ましい例として述べたように、ポリイソシアネート化合物(B2)がポリイソシアネート化合物(B1)よりも、イソシアネート基等の多くの官能基を有する場合により顕著になる。なぜなら、官能基の少ないポリイソシアネート化合物(B1)が樹脂化合物(A)を架橋したとしても、架橋はそれほど進まないためである。
このように、接着剤膜に含まれていた水分の殆ど全てが炭酸ガスに変換された時点で、接着剤膜は、液体状態であり、依然として柔らかな状態を保っているので、接着剤膜の内部に存在する炭酸ガスは、接着剤膜の内部を移動することが可能である。そのため、接着剤膜の内部に存在する炭酸ガスは、時間の経過とともに、接合端面から外部へと抜けることができる。本発明では、ポリイソシアネート化合物(B)として、水分に対する反応性の異なる2種以上を使用することによって、いわば、発生した炭酸ガスが接合端面から抜けるまでの時間を稼いでいるともいえる。
このように接着剤膜に含まれる炭酸ガスが接合端面から抜ける一方で、ポリイソシアネート化合物(B2)による架橋反応が緩やかに進行し、接着剤膜が徐々に硬化する。この時点で、接着剤膜に含まれていた水分は、その殆ど全てが炭酸ガスに変換されているので、ポリイソシアネート化合物(B2)による架橋反応が進行している段階では、新たな炭酸ガスの発生はない。そして、ポリイソシアネート化合物(B2)による架橋が終了し、接着剤膜の硬化が完了して接着層4となった時点では、接着剤膜に含まれていた炭酸ガスは、その大部分が既に外部へ放出されており、気泡を形成させるだけの量が残存しない。なお、上記のように、ポリイソシアネート化合物(B2)がポリイソシアネート化合物(B1)よりも多官能である場合には、ポリイソシアネート化合物(B1)の反応が終了した時点とポリイソシアネート化合物(B2)による架橋が完了した時点との間で、接着剤膜の硬さの差が大きくなる。言い換えると、ポリイソシアネート化合物(B1)の反応が終了した時点において、接着剤膜の硬さをより軟らかいものとすることができるので、より炭酸ガスを端面から放出するのに適した状態とすることができる。
なお、上記接着剤膜が硬化して接着層4となるまでの間、上記仮接着された接合体を所定の温度にて放置するエージング期間が設けられる。このエージング期間において、接合体は、巻き取り状態で保管されることが好ましい。上記の通り、ポリイソシアネート化合物(B1)が水分と反応して炭酸ガスを発生させる時点では、上記接着剤膜は比較的軟らかい状態を維持する。このとき、仮接着状態の接合体が巻き取り状態で保管されていると、比較的軟らかい状態の接着剤膜に巻き圧力がかかり、当該接着剤膜からの炭酸ガスの放出が促進されるためである。
本発明は、以上のような作用によって、バリア性積層体1における気泡の残留を抑制する。以下、本実施態様において使用されるドライラミネート接着剤について、より具体的に説明する。
[主剤:樹脂化合物(A)]
本実施態様で使用されるドライラミネート接着剤の主剤に含まれる樹脂化合物(A)は、分子内に複数の水酸基を有する樹脂化合物である。このような樹脂化合物としては、ポリエステル系ポリオール、ポリウレタン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が例示される。ここで、本実施態様で作製されるバリア性積層体1が太陽電池モジュールのバックシートとして使用される場合、長期間に亘って屋外環境に曝されることに伴う接着層4の加水分解を抑制するとの観点から、ドライラミネート接着剤の主剤に含まれる樹脂化合物(A)として、ポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物が好ましい。
主剤成分の樹脂化合物(A)に含まれるポリウレタンジオールは、ウレタン構造をその繰り返し単位とし、その両末端に水酸基を有するポリウレタンである。ポリウレタンジオール(A)の数平均分子量は、7000〜13000であることが好ましい。7000以上であると、硬化剤との反応性が良いため好ましく、13000以下であると溶剤への溶解が向上するためで好ましい。
上記ポリウレタンジオールの水酸基価は、10〜50mgKOH/gの範囲であることが好ましい。ポリウレタンジオールの水酸基価が10mgKOH/g以上であると、添加された硬化剤成分の多くが主剤成分に含まれる水酸基と反応することとなり好ましく、50mgKOH/g以下であると硬化剤との反応がより進行するため好ましい。
ポリウレタンジオールは、ドライラミネート接着剤の主剤成分として、その接着性及び耐候性を向上させるため、脂肪族ポリカーボネートジオールと、1,6へキサンジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させて得ることもできる。以下、ポリウレタンジオールの構成成分である脂肪族ポリカーボネートジオール、1,6へキサンジオール及びイソホロンジイソシアネートについて説明する。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、下記のイソホロンジイソシアネートと反応することができるポリウレタンジオールの構成成分である。脂肪族ポリカーボネートジオールは、カーボネート構造を繰り返し単位とし、その両末端に水酸基を有するものである。その両末端の水酸基は、イソシアネート基と硬化反応することができる。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、アルキレンカーボネートとジオールを原料に用いて製造する方法、ジアルキルカーボネートやジアリールカーボネートとジオールを用いて製造する方法等を用いて製造することができる。本発明において使用される脂肪族ポリカーボネートジオールは、主剤成分である樹脂化合物(A)に必要とされる性能に応じて、上記製造方法を適宜選択することにより製造することができる。
脂肪族ポリカーボネートジオールの製造に使用できるアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート等が挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が、ジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等の側鎖を持たないジオール、2−メチル−1,8オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等の側鎖を持ったジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の環状ジオールを挙げることができる。なお、1種類のジオールを使用しても良いし、2種類以上のジオールを原料とした共重合ポリカーボネートジオールでもよい。
脂肪族ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、1000〜2000であることが好ましい。1000以上であると、ジイソシネートとの硬化反応が起こり易いため好ましく、2000以下であると接着剤成分である溶剤への溶解性が向上するため好ましい。ポリカーボネートジオールの製造においては、モノマーの反応性が高く、高分子量化し易いため、所定の数平均分子量を有するポリカーボネートジオールを得るためには、反応速度等の制御が必要となる。
脂肪族ポリカーボネートジオールは、市販のものを使用することもできる。耐久性、耐候性、耐熱性、耐加水分解性に優れた接着剤を得るため、例えば、数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)、数平均分子量2000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5662」を好適に使用することができる。
1,6へキサンジオールは、脂肪族ジオールであり、下記イソホロンジイソシアネートと反応してポリウレタンジオールを形成することができる。1,6へキサンジオールは、常温で液状を示すもので、接着剤成分である溶剤に溶解し得るものである。
1,6へキサンジオールと共にポリエステルジオールを使用することができる。ポリエステルジオールは、1,6へキサンジオールと同様に水酸基を2つ以上有するポリオールであるが、その基本骨格に嵩高い芳香族環を有するカルボン酸とのエステルとすることもできることから、イソホロンジイソシアネートと反応して得られるポリウレタンジオール(A)に優れた硬化速度と凝集力を付与することができる。ポリエステルジオールとしては、例えば、イソフタル酸を使用して製造した芳香族ポリエステルジオールを挙げることができる。なお、本発明においてポリエステルジオールは、定法に従って、所定のカルボン酸化合物とジオールの組み合わせを採択することによって製造することができる。
ポリエステルジオールの数平均分子量は、3000〜4000であることが好ましい。ポリエステルジオールの数平均分子量が3000以上であると、硬化剤との反応性が良くなるため好ましく、ポリエステルジオール(H)の数平均分子量が4000以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
イソホロンジイソシアネートは、ポリウレタンジオールの構成成分であり、脂環族系ポリイソシアネートである。イソホロンジイソシアネートは、上記脂肪族ポリカーボネートジオール、1,6へキサンジオール又はポリエステルジオールの水酸基と反応し、主剤成分であるポリウレタンジオールを形成する。
以上説明した脂肪族ポリカーボネートジオールと、脂肪族ジオールとイソホロンジイソシアネートを溶剤に溶解させ、混合し加熱還流することにより反応させて、主剤成分であるポリウレタンジオールの溶液を得ることができる。上記反応においては、脂肪族ポリカーボネートジオールと脂肪族ジオールのそれぞれが有する両末端の水酸基がイソホロンジイソシアネートのイソシアネート基と反応し、ウレタン結合を形成して硬化する。
主剤成分であるポリウレタンジオールを製造する反応系における1,6へキサンジオールの配合量は、脂肪族ポリカーボネートジオール100質量部に対し、5〜15質量部、好ましくは2〜8質量部であることが好ましい。1,6へキサンジオールの配合量が5質量部以上であると、耐久性のある接着剤成分を得ることができるため好ましく、15質量部以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
また、ポリウレタンジオールを製造する反応系におけるポリエステルジオールの配合量は、脂肪族ポリカーボネートジオール100質量部に対し、50〜100質量部であることが好ましい。ポリエステルジオールの配合量が50質量部以上であると、耐久性のある接着剤成分を得ることができるため好ましく、100質量部以下であると溶剤への溶解性が向上するため好ましい。
なお、脂肪族ポリカーボネートジオールと、脂肪族ジオールとイソホロンジイソシアネートを反応させる場合に使用することができる溶剤としては、これらの化合物を溶解させることができ、溶剤と反応しないものであれば、特に制限されるものではないが、溶剤等との相溶性とラミネート時の加工性の観点より酢酸エチル等のカルボン酸エステル系の溶剤を挙げることができる。
樹脂化合物(A)に含まれる脂肪族ポリカーボネートジオールは、イソシアネート基を有する硬化剤成分と反応する。脂肪族ポリカーボネートジオールは、ポリウレタンジオール(A)を製造する際に使用した上記の脂肪族ポリカーボネートジオールと同一のものを使用することができる。
主剤成分である樹脂化合物(A)は、上記説明したポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールとの混合物である。混合物中におけるポリウレタンジオールと脂肪族ポリカーボネートジオールの質量比率は、ポリウレタンジオール100質量部に対して、脂肪族ポリカーボネートジオール10から20質量部であることが好ましい。脂肪族ポリカーボネートジオールの量が10質量部以上であると、密着力が適度に低下するため好ましく、20質量部以下であると、ポリウレタンジオールと硬化剤との反応が起こりやすくなるため好ましい。
なお、主剤である樹脂化合物(A)には、必要に応じて、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
上記樹脂化合物(A)は、その水酸基価が10〜50mg/gの範囲であることが好ましい。通常、樹脂化合物(A)の架橋に使用される硬化剤成分であるポリイソシアネート化合物(B)は、水分によって失活することを考慮して過剰量を添加することになるが、樹脂化合物(A)の水酸基価が10mg/g以上であれば、添加されたポリイソシアネート化合物(B)の多くが樹脂化合物(A)の水酸基と反応することとなり、結果として水分と反応するポリイソシアネート化合物(B)の量を減らすことができる。これにより、接着剤膜の中で発生する炭酸ガスの量を減少させることができるので、より一層、バリア性積層体1の内部に残留する気泡の量を減少させることができる。また、樹脂化合物(A)の水酸基価が50mg/g以下であることにより、硬化後の接着剤層の耐久性を向上できるため好ましい。
ラミネート接着剤は、被着対象物に塗布された後で、溶剤成分が除去され、接着剤膜となる。このとき、接着剤膜には、主剤成分である樹脂化合物(A)と、硬化剤成分である
ポリイソシアネート化合物(B)と、必要に応じてその他の成分とが含まれる。接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、さらに、1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、各バリア性シートを強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
[硬化剤:ポリイソシアネート化合物(B)]
上記接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、このイソシアネート基が上記主剤のポリウレタンジオール化合物中の水酸基と反応することにより、ポリウレタンジオール化合物を架橋する。このようなポリイソシアネート化合物としては、上記主剤のポリウレタンジオール化合物を架橋することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(以下、「ヌレート変性IPDI」)等を例示することができる。これらのポリイソシアネート化合物の中でも、HDIとヌレート変性IPDIとを組み合わせた混合物が水酸基に対する反応性を向上させる観点より好ましい。なお、硬化剤をHDIとヌレート変性IPDIとの混合物とする場合、HDIとヌレート変性IPDIは、70:30〜50:50(質量比)の範囲で使用することが好ましい。
ドライラミネート接着剤の硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)は、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物(B1)とポリイソシアネート化合物(B2)の混合物である。「水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を使用する」とは、水分に対する反応性の大きな化合物と、水分に対する反応性の小さな化合物とを組み合わせた混合物を使用することを意味する。以下、この後の記載において、前者をポリイソシアネート化合物(B1)と呼び、後者をポリイソシアネート化合物(B2)と呼ぶ。
このようなポリイソシアネート化合物のうち、ポリイソシアネート化合物(B1)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)等が挙げられる。これらはアダクト変性されていてもよい。
また、ポリイソシアネート化合物(B2)としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B2)は、ポリイソシアネート化合物(B1)よりも多官能の化合物、すなわち1分子中に含まれるイソシアネート基の数が多い化合物であることが好ましい。中でも、ポリイソシアネート化合物(B2)が3官能の化合物であり、ポリイソシアネート化合物(B1)が2官能の化合物である組合せが好ましく、ポリイソシアネート化合物(B2)がヌレート変性IPDI(3官能)であり、ポリイソシアネート化合物(B1)がヘキサメチレンジイソシアネート(HDI、2官能)である組合せが最も好ましい。なお、ヌレート変性IPDIとは、3分子のIPDIが、それぞれ2つのイソシアネート基のうち1つずつを使用してイソシアヌレート構造を形成したIPDIの変性体である。3分子のIPDIは、イソシアヌレート構造を形成するためにそれぞれ1つのイソシアネート基が使用される一方で、それぞれ1つのイソシアネート基がそのまま残るので、ヌレート変性IPDIは3官能となる。
ポリイソシアネート化合物(B2)が、ヌレート変性イソホロンジイソシアネート(IPDI)であり、ポリイソシアネート化合物(B1)が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である場合、ラミネート接着剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)全体に対するヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の含有量は、10〜60質量%であることが好ましい。ドライラミネート接着剤の硬化剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)に対するHDIの含有量が10質量%以上であることにより、接着剤膜に存在する水分を除去することができる点で好ましく、ラミネート接着剤に含まれるポリイソシアネート化合物(B)成分全体に対するヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の含有量が60質量%以下であることにより、接着剤膜の硬化反応を遅らせることができる点で好ましい。
[溶剤]
上記接着剤成分である主剤及び硬化剤には、良好な塗布性及びハンドリング適正を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。なお、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
[シランカップリング剤]
ラミネート接着剤は、主剤と硬化剤を含む二液タイプであることが好ましく、硬化剤には、ポリイソシアネート化合物(B)の他に溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル等が挙げられる。また、硬化剤には、必要に応じて、シランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として加えることもできる。
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
なお、上記シランカップリング剤の添加量は、接着剤の主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、1から3質量%のシランカップリング剤であることが好ましい、シランカップリング剤の添加量が1質量%以上であると密着力が良好となるため好ましく、3質量%以下であると耐久性が向上するため好ましい。
[主剤と硬化剤の配合]
ドライラミネート接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、さらに、1.2〜3.0の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、バリア性シートを強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
ドライラミネート接着剤は、第一バリア性シート2の第一バリア膜22に塗布された後、加熱や送風を受けることによって接着剤に含まれる溶剤が除去され、第一バリア膜22の表面に接着剤膜を形成させる。この接着剤膜は、被接合表面と接合された状態で硬化し、接着層4となる。第一バリア膜22の表面に接着剤を塗布する方法は、特に制限されるものではないが、グラビアコーター法、ロールコータ法、はけ塗り法等を挙げることができる。なお、そのコーティング量としては、1.0〜10.0g/m(乾燥状態)が望ましい。
接着剤層の厚さは、バリア性積層体に必要な接着強度等に応じて適宜変更すれば良く例えば1.0〜10μmが挙げられるが特に限定されない。
この接着剤膜の表面に第二バリア膜32が接触するように第二バリア性シート3を載置し、さらに、第一バリア性シート2及び第二バリア性シート3を厚さ方向に圧迫することでこれらを仮接着させて接合体とする。仮接着された接合体は、例えば、巻き取り状態で保管され、一定期間放置される。
この放置期間中、接合体に含まれる接着剤膜の内部では、樹脂化合物(A)の水酸基とポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基とが反応して、ウレタン結合を形成する反応が進行する。この反応によって、樹脂化合物(A)は、ポリイソシアネート化合物(B)によって架橋され、高分子量化する。樹脂化合物(A)が十分に架橋されると、接着剤膜は、硬化し、接着層4となる。これにより、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3とは、強固に接合され、バリア性積層体1となる。
[第二実施態様]
次に、本発明のバリア性積層体の製造方法の第二実施態様で製造されるバリア性積層体1aについて、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明のバリア性積層体の製造方法の第二実施態様で製造されたバリア性積層体1aを模式的に示す断面図である。なお、本実施態様の説明において、既に説明した第一実施態様の説明と重複する箇所には、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上記と重複する効果等の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図2に示すように、本実施態様で作製されるバリア性積層体1aは、第一バリア性シート2と第二バリア性シート3との間に樹脂シート5を有する。このような態様においても、二つのバリア性シート2、3に挟まれた部分に接着層4が存在するため、斯かる接着層4における気泡の残留を抑制するために本発明は有効である。
樹脂シート5としては、既に説明した第一基材シート21と同様のものを使用することができる。また、樹脂シート5の厚さは、バリア性積層体1aに要求される特性を考慮して適宜設定すればよい。一例として、樹脂シート5の厚さとしては、50〜250μmが挙げられる。
[第三実施態様]
次に、本発明のバリア性積層体の製造方法の第三実施態様で製造されるバリア性積層体1bについて、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明のバリア性積層体の製造方法の第三実施態様で製造されたバリア性積層体1bを模式的に示す断面図である。なお、本実施態様の説明において、既に説明した第一実施態様及び第二実施態様の説明と重複する箇所には、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上記と重複する効果等の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施態様で作製されるバリア性積層体1bは、第二バリア性シート3aとして、金属箔シートを使用する。金属箔シートは、ガスバリア性、防湿性ともに極めて良好である。そのため、第二バリア性シート3aとして金属箔シートを複合して積層させたバリア性積層体1bは、高いバリア性を示す。このような態様においても、二つのバリア性シート2、3aに挟まれた部分に接着層4が存在するため、かかる接着層4における気泡の残留を抑制するために本発明は有効である。
第二バリア性シート3aとして使用される金属箔シートとしては、アルミニウム、銅箔等の金属箔をシート状に加工したものが例示され、中でもアルミニウム箔シートが好ましく使用される。第二バリア性シート3aとなる金属箔シートの厚さは、バリア性積層体1bに要求される特性を考慮して適宜設定すればよい。一例として、金属箔シートの厚さとしては、5〜50μmが挙げられる。
バリア性積層体1bでは、金属箔シートである第二バリア性シート3aを保護し、また電気的に絶縁するために、第二バリア性シート3aの表面に樹脂シート5が設けられる。樹脂シート5としては、既に説明した第二実施態様における樹脂シート5と同様のものを使用することができる。
[第四実施態様]
次に、本発明のバリア性積層体の製造方法の第四実施態様で製造されるバリア性積層体1cについて、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明のバリア性積層体の製造方法の第四実施態様で製造されたバリア性積層体1cを模式的に示す断面図である。なお、本実施態様の説明において、既に説明した第一実施態様、第二実施態様及び第三実施態様の説明と重複する箇所には、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上記と重複する効果等の説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施態様で作製されるバリア性積層体1cは、第二バリア性シート3bとして、金属蒸着シートを使用する。すなわち、第二バリア性シート3bは、第二基材シート31の表面に、第二バリア膜32bとして金属蒸着膜が形成されたものである。金属蒸着膜は、ガスバリア性、防湿性ともに良好である。そのため、金属蒸着シートである第二バリア性シート3bは、高いバリア性を示す。
金属酸化物蒸着膜、金属酸化物である第二バリア膜32bを構成する金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等が例示され、中でも酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好ましく使用される。第二バリア膜32bは、第一実施態様で説明した金属酸化膜と同様に、PVD法によって、第二基材シート31の表面に形成される。
金属酸化物の蒸着膜としては、金属酸化物を蒸着して形成された薄膜であれば特に制限されるものではない。金属酸化物の金属としては、珪素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等が例示される。これらの中でも、特に珪素、アルミニウム、の金属が好ましい。金属酸化物はとしては、シリカアルミナが好ましい。
第二バリア膜32bの厚さは、特に限定されず、バリア性積層体1cに要求される性能等に応じて適宜設定すればよい。第二バリア膜32bの厚さは、特に限定されないが、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜60nmであることがより好ましい。蒸着膜の厚さが5nm以上であることにより、十分なガスバリア性や防湿性が付与され、蒸着膜の厚さが100nm以下であることにより、バリア蒸着膜の割れやクラックの発生が抑制されるため好ましい。
[変形例]
以上、各実施態様を示して本発明を具体的に説明したが、本発明は、上記の実施態様に限定されるものでなく、本発明の構成の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
例えば、上記実施態様では、2又は3枚のシート状部材を積層させてバリア性積層体を作製したが、これに限定されず、より多くの枚数のシート状部材を積層させてバリア性積層体を作製してもよい。
また、上記実施態様では、一方のバリア性シート(2、3(3b))の各バリア膜(22又は32(32b))は、いずれも他方のバリア性シート(3(3b)又は2)の方向を向くように積層されたが、その他の方向を向くように積層されてもよい。この場合であっても、各バリア性シートの間には、接着層4が存在することになるので、本発明の効果を得ることができる。
また、上記実施態様では、バリア性シートは、第一バリア性シート2及び第二バリア性シート3(3a、3b)として2層存在したが、3層以上存在してもよい。
また、第一バリア性シート及び第二バリア性シートは、金属酸化物蒸着シート、金属箔シート及び金属蒸着シートからなる群よりそれぞれ独立して選択することができる。つまり、第一バリア性シート及び第二バリア性シートとして、上記群に含まれるシートを任意に組み合わせることができる。このことは、バリア性シートが3層以上存在する場合でも同様であり、3層以上のバリア性シートとして、上記群に含まれるシートを任意に組み合わせることができる。
また、上記実施態様では、ポリイソシアネート化合物(B)として、2種類のポリイソシアネート化合物として、ポリイソシアネート化合物(B1)とポリイソシアネート化合物(B2)を組み合わせたが、3種類以上のポリイソシアネート化合物を組み合わせてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[ドライラミネート接着剤の製造]
(主剤成分の製造)
1.ポリウレタンジオールA−1の製造
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」(以下、「PDC1000」と略す。)100質量部、1、6−ヘキサンジオール(5質量部)、イソホロンジイソシアネート(27.5質量部)、酢酸エチル(132.5質量部)を加え、赤外線吸収スペクトルにて、2270cm−1のイソシアネートの吸収が消失するまで加熱還流させ、ポリウレタンジオールA−1の50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、14mgKOH/gであり、数平均分子量は約8000であった。
2.脂肪族ポリカーボネートジオールB−1の製造
主剤成分である脂肪族ポリカーボネートジオールとして、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を準備した。なお、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1は、数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)である。
3.主剤の調製
上記で製造した主剤成分であるポリウレタンジオールA−1と脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を使用して、主剤を調製した。主剤の調製は、ポリウレタンジオールA−1を100質量部に対して、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を15質量部配合することにより行った。
(硬化剤の製造)
ドライラミネート接着剤を構成する硬化剤を製造した。硬化剤のポリイソシアネート化合物(B1)として、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)(旭化成ケミカルズ社製「デュラネートD101」)を用い、ポリイソシアネート化合物(B2)として、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)を用いた。ポリイソシアネート化合物(B1)であるイソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)とポリイソシアネート化合物(B2)であるヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)の配合割合は、ポリイソシアネート化合物(B1):ポリイソシアネート化合物(B2)を1:9とした。なお、上記配合割合(質量)は、溶剤を含まない固形質量比であるが、製造に際しては固形分50%に調製をした。
(主剤と硬化剤の配合)
上記で製造した主剤と硬化剤を使用し、ラミネート接着剤を製造した。また、主剤と硬化剤の配合は、主剤、硬化剤を溶剤に溶解させて、それぞれ50質量%(酢酸エチル溶液)とし行った。なお、上記硬化剤には、シランカップリング剤として、接着剤全体に対して、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加し、ラミネート接着剤を製造した。
[バリア性積層体の製造]
<実施例1>
上記で製造したラミネート接着剤を使用して、太陽電池用裏面保護シート(バックシート)用バリア性積層体を製造した。バリア性積層体の仕様は、下記の通りである。なお下記バリア製積層体の仕様において、DLはドライラミネートの接着層を示す。また、この仕様ではETFE側がモジュールの裏面側となるように配置され、VMPET(シリカ蒸着PET)/DL3/VMPET(シリカ蒸着PET)の部分に本発明のバリア性積層体の構成を備えている。
バリア性積層体の構成:ETFE/DL1/PET/DL2/VMPET/DL3/VMPET/DL4/PET
各層を構成する材料:
ETFE(エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体):25μm、旭硝子社製、商品名 25PW
PET:50−250 μm、東レ社製、商品名 X10S
VMPET:シリカ蒸着PET 12 μm、 三菱樹脂社製、商品名 テックバリアLX
DL1からDL4:上記で製造したラミネート接着剤を用い、接着剤層とした。
<実施例2〜10及び比較例1〜2>
ラミネート接着剤を構成する硬化剤のポリイソシアネート化合物(B1)とポリイソシアネート化合物(B2)の配合割合、樹脂化合物Aの水酸基価(OH価)及びイソシアネート基/水酸基比(NCO基/OH基)を下記表1に示したように変化させた以外は、実施例1と同様にしてバリア性積層体を製造した。
[バリア性積層体の評価]
実施例1〜10及び比較例1〜2で製造したバリア性積層体について、気泡の残留状態及びラミネート強度について評価した。評価結果を表1に示す。なお、評価方法は以下の通りである。
<気泡の残留状態の評価>
接合の完了したバリア性積層体の内部に残存する気泡を目視にて観察し、気泡の残留状態を評価した。その結果を表1に示す。なお、表1において、気泡の残留状態の評価基準は、以下の通りである。
○:積層体の内部に気泡が観察されない
△:10倍ルーペで積層体の内部に気泡観察される
×:目視で気泡が観察される
<ラミネート強度の評価>
ラミネート強度は、JIS K6854−3に準じて行い、下記基準で評価した。
評価基準は以下の通りである。
○:接着強度 5N/15mm幅以上
△:接着強度 3−5N/15mm幅
×:接着強度 3N/15mm幅以下
Figure 2012076360
表1から明らかなように、ラミネート接着剤におけるポリイソシアネート化合物として、水分に対する反応性の異なるHDIとヌレート変性IPDIとを併用した実施例1〜10では、水分に対する反応性に相違のないHDI同士を組み合わせた比較例1よりもバリア性積層体の内部に残留する気泡の数が少ないことがわかる。また、ヌレート変性IPDIのみ用いた比較例2では、接着剤膜の硬化反応が遅いため、水分と反応した炭酸ガスは抜けることができる。一方、ポリイソシアネート化合物は水との反応性が高いため、ポリウレタンジオールと反応するイソシアネートの量が少なくなるために気泡の問題は無いがラミネート強度が低下した。このことから、本発明のバリア性積層体の製造方法は、バリア性積層体の内部に残留する気泡を減少させる上で有効であることがわかる。
また、表1から、ポリイソシアネート化合物としてHDIとヌレート変性IPDIとを併用した場合、ポリイソシアネート化合物の全体量に対するHDIの含有量を40〜70質量%とすることにより、バリア性積層体の内部に残留する気泡を特に減少できることが理解できる。
1 第一実施態様バリア性積層体
1a 第二実施態様バリア性積層体
1b 第三実施態様バリア性積層体
1c 第四実施態様バリア性積層体
2 第一バリア性シート
21 第一基材シート
22 第一バリア膜
3 第二バリア性シート
3a 第二バリア性シート(金属箔シート)
3b 第二バリア性シート(金属蒸着シート)
31 第二基材シート
32 第二バリア膜
32b 第二バリア膜(金属蒸着膜)
4 接着層
5 樹脂シート

Claims (6)

  1. 複数のシート状部材がドライラミネート接着剤で形成された接着層によって接合され、
    前記複数のシート状部材には、金属酸化膜の蒸着膜を有する樹脂シート、金属の蒸着膜を有する樹脂シート、及び金属箔シートからなる群より独立して選択される第一バリア性シート及び第二バリア性シートが含まれるバリア性積層体の製造方法であって、
    分子内に複数の水酸基を有する樹脂化合物(A)と、ポリイソシアネート化合物(B)と、が含まれるドライラミネート接着剤を使用して、
    前記第一バリア性シートと前記第二バリア性シートとの間に存在する接着層を形成させ、
    前記ポリイソシアネート化合物(B)として、水分に対する反応性の異なる少なくとも2種のポリイソシアネート化合物を使用することにより、
    前記バリア性積層体の内部における気泡の残留を抑制することを特徴とするバリア性積層体の製造方法。
  2. 前記ポリイソシアネート化合物(B)が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(ヌレート変性IPDI)との混合物であることを特徴とする請求項1記載のバリア性積層体の製造方法。
  3. 前記混合物中におけるヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の含有量が40〜70質量%であることを特徴とする請求項2記載のバリア性積層体の製造方法。
  4. 前記樹脂化合物(A)の水酸基価が10〜40mg/gであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のバリア性積層体の製造方法。
  5. 前記ドライラミネート接着剤が硬化して前記接着層となるまでのエージング期間において、前記第一バリア性シート及び前記第二バリア性シートが含まれる接合体を巻き取り状態で保管することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のバリア性積層体の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバリア性積層体の製造方法によって製造されたバリア性積層体が使用された太陽電池モジュール用部材。
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