JP2002086610A - ガスバリアー性積層体 - Google Patents

ガスバリアー性積層体

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JP2002086610A
JP2002086610A JP2000284587A JP2000284587A JP2002086610A JP 2002086610 A JP2002086610 A JP 2002086610A JP 2000284587 A JP2000284587 A JP 2000284587A JP 2000284587 A JP2000284587 A JP 2000284587A JP 2002086610 A JP2002086610 A JP 2002086610A
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gas barrier
barrier layer
compound
resin
silicic acid
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JP2000284587A
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Takuji Nakagawa
卓治 中川
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿条件下で長時間放置された場合において
も、ガスバリアー層の支持体からの剥がれ、脱落やクラ
ックなどの欠損が発生しにくく、また、耐水性の不足で
ガスバリアー層が損傷するようなことがあっても高いガ
スバリアー性を保持することができるガスバリアー性積
層体を提供する。 【解決手段】支持体の少なくとも片面にガスバリアー層
を形成したガスバリアー性積層体において、ガスバリア
ー層が下記の2層を支持体側から順次積層して形成され
たガスバリアー性積層体。 (1)高水素結合性樹脂と、珪酸縮合物と反応する化合
物(A)を含む第1のガスバリアー層。 (2)珪酸縮合物、平板状顔料、及び高水素結合樹脂と
反応する化合物(B)を含む第2のガスバリアー層。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種包装材料、成
形体あるいは成形材料として好適なガスバリアー性積層
体に関する。
【0002】
【従来の技術】食品などの包装においては内容物の品質
を保護する観点からガスバリアー性、特に酸素、水蒸
気、二酸化炭素及び香気(アロマ、フレーバー)のバリ
アー性が重要な品質である。このようなバリアー性素材
を使用した包装材料は、菓子袋、カッオパック、レトル
トパウチ、ハムやソーセージなどの肉類包装、魚介類の
包装、乳製品の包装、みそ類の包装、茶・コーヒー類の
包装、炭酸ガス飲料容器、化粧品、農薬及び医薬品の包
装など、多くの分野で利用されている。
【0003】一方、ポリエチレンやポリプロピレンなど
のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート
(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)など
のポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン66などの
ポリアミド系樹脂、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂は強度、耐熱性、透明性な
どが優れているため広く包装材料として用いられてい
る。しかし、これら熱可塑性樹脂からなるフィルムを包
装素材として用いる場合、ガスバリアー性が不十分なた
め、ガスバリアー性を有する熱可塑性樹脂や、アルミ
箔、アルミ蒸着フイルム、珪素蒸着フイルムなどと積層
して包装材料とする方法が一般的である。
【0004】ガスバリアー性の高い熱可塑性樹脂にはポ
リビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコ
ール(EVOH、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン
化物)、ポリアルコール(ポリケトンの還元物)、塩化
ビニリデン(PVDC)などが挙げられるが、PVAや
EVOHのような水酸基による水素結合によってバリア
ー性を発揮している樹脂は高湿度(例えば20℃・80
%RH以上)でのバリアー性が急激に低下する問題があ
る。また、PVDCは塩素化合物であり焼却時のダイオ
キシンの発生など地球環境問題に対する意識の高まりの
ため包装材料として使用するのを極力控えようとするの
が最近の情勢である。
【0005】これらに対し、特開平7−251489号
公報には高水素結合性を有する樹脂と無機層状化合物を
有するガスバリアー層が例示されている。しかし、これ
らの技術において得られるフィルムは、高水素結合性樹
脂が一般に親水性の極性基を有し、この極性基が水分子
と水素結合しやすいため、樹脂自体が膨潤しやすく、膨
潤した分子鎖の中は酸素分子が通りやすいため、高湿度
条件下では、被膜のガスバリアー性が悪くなり、必ずし
も、満足できるガスバリアー性が得られるとは言いがた
い。
【0006】特開平11−129379号公報には、無
機層状化合物と樹脂と金属アルコキシドの加水分解物か
らなるガスバリアー性積層体が提案されている。この方
法では、無機層状化合物と樹脂を主剤としたガスバリア
ー性塗料に、金属アルコキシドの加水分解物は第3物質
として添加される。こうすると、金属アルコキシドの加
水分解物は樹脂と急激に縮合し、ランダムな3次元網目
構造をとるように反応が進行するためガスバリアー層は
ポーラスなものとならざるを得ず、高バリア性は期待で
きない。
【0007】特開平8−238711号公報には、珪酸
アルカリ金属塩溶液とカップリング剤からなる水性液を
重合体成形品の表面に塗布して薄膜を形成させてガスバ
リアー性積層体を得る方法がある。これは蒸着などの操
作を施すことなく安価に製造できる利点があるが、ガス
バリアー性が未だ不十分な場合があり、また塗膜強度や
耐水性が弱いという問題点がある。
【0008】特開平7−18202号公報には、珪酸ア
ルカリ金属塩である珪酸ナトリウムと珪酸リチウムの水
溶液との混合物からなるガスバリアー素材がある。これ
ら珪酸アルカリ金属塩を主剤とするガスバリアー層は、
珪酸アルカリ金属塩の被膜の抱える問題である耐水性の
不足とクラックの発生を完全に解決しているとは言い難
い。
【0009】特許第2556940号公報には、アルコ
キシシラン、シランカップリング剤及びポリビニルアル
コールを含有する組成物をゾル−ゲル法により重縮合
し、主成分が直線状ポリマーよりなる複合ポリマーから
ガスバリアー性積層フィルムを形成する技術が記載され
ている。この方法により、湿度依存性の高いPVAやE
VOHに代表される高水素結合性樹脂の湿度依存性を改
善しようと試みているが、依然高湿下におけるガスバリ
アー性については、満足のいく結果が得られていない。
【0010】一方、珪酸縮合物である珪酸アルカリ金属
塩あるいはコロイダルシリカはいずれもその一次粒子が
ナノメーター以下あるいはナノメーターレベルの超微粒
子であり、溶液中ではモノマー、ダイマー、トリマー、
オクトマーなどと、これらが縮合したオリゴマーなどを
数多く含んでおり、粒子は反応性の官能基を表面にも
ち、被膜形成時に各粒子が敷き詰められるだけでなく乾
燥すると縮合反応を起こして均一なバリアー性の膜を作
ることができる利点がある。
【0011】本発明者らは、これら珪酸縮合物を用いた
ガスバリアー層について鋭意検討し、珪酸縮合物と平板
状顔料を組み合わせてクラック発生を防止したガスバリ
アー性積層体を出願した(特願平11−31698
4)。しかし、珪酸縮合物と平板状顔料だけでは、高温
高湿で長期に保持された場合には耐水性が不足し、ガス
バリアー層の支持体からの剥がれ、脱落、クラックなど
が発生する場合があった。そこで、珪酸縮合物とイオン
反応して縮合を促進する含窒素化合物を用いることで、
優れた耐水性と密着性を有するガスバリアー性積層体を
得るに至った。(特願2000−067858)。しかし
ながら、高湿条件下で長時間放置された場合などの過酷
な条件下では、ガスバリアー層の支持体からの剥がれ、
脱落、クラックなどの密着性に関わる欠損が発生した場
合、ガスバリアー性の低下は免れない。また、耐水性の
不足によりガスバリアー層が損傷する場合があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高湿条件下
で長時間放置された場合においても、ガスバリアー層の
支持体からの剥がれ、脱落やクラックなどの欠損が発生
しにくく、また、耐水性の不足でガスバリアー層が損傷
するようなことがあっても高いガスバリアー性を保持す
ることができるガスバリアー性積層体を提供するもので
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】このため本発明は以下の
構造をとる。即ち、本発明の第1は、支持体の少なくと
も片面にガスバリアー層を形成したガスバリアー性積層
体において、ガスバリアー層が下記の2層を支持体側か
ら順次積層して形成されたガスバリアー性積層体であ
る。 (1)高水素結合性樹脂と、珪酸縮合物と反応する化合
物(A)を含む第1のガスバリアー層。 (2)珪酸縮合物、平板状顔料、及び高水素結合性樹脂
と反応する化合物(B)を含む第2のガスバリアー層。 本発明の第2は、前記第1のガスバリアー層と第2のガ
スバリアー層が傾斜構造を有する本発明第1のガスバリ
アー性積層体である。本発明の第3は、高水素結合性樹
脂がポリビニルアルコールあるいはエチレン−ビニルア
ルコール共重合体のいずれか一種から選ばれる樹脂であ
る本発明第1〜2のいずれかに記載のガスバリアー性積
層体である。本発明の第4は、化合物(A)が含窒素化
合物であり、化合物(B)がホウ素化合物である本発明
第1〜3記載のガスバリアー性積層体である。本発明の
第5は、含窒素化合物が、ポリアルキレンイミンあるい
はポリアルキレンアミンから選ばれる一種以上の化合物
である本発明第4記載のガスバリアー性積層体である。
本発明の第6は、珪酸縮合物が、一般式M2O・nSi
2(ただし、式中ではnは0以上の数、MはNaまた
はLiを表す)で表される珪酸ナトリウム、珪酸リチウ
ムから選ばれた少なくともいずれか一種である本発明第
1〜5のいずれかに記載のガスバリアー性積層体であ
る。本発明の第7は、平板状顔料が、スメクタイト粘土
及び雲母族から選ばれる一種以上の顔料である本発明第
1〜6のいずれかに記載のガスバリアー性積層体であ
る。本発明の第8は、ホウ素化合物がホウ酸である本発
明第4〜7のいずれかに記載のガスバリアー性積層体で
ある。本発明の第9は、第1のガスバリアー層と第2の
ガスバリアー層からなるガスバリアー層上に更に高水素
結合性樹脂を含む第3のガスバリアー層を形成してなる
本発明第1〜8のいずれかに記載のガスバリアー性積層
体である。本発明の第10は、支持体が熱可塑性樹脂か
らなるフイルムまたは成形体である本発明第1〜9のい
ずれかに記載のガスバリアー性積層体である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳述する。
本発明の第1は、支持体の少なくとも片面にガスバリア
ー層を形成したガスバリアー性積層体に関する。本発明
における支持体とは、ポリエチレンやポリプロピレンな
どのポリオレフイン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリナフタレンなどの熱可塑性樹脂から
なるフイルムやプラスチック成形品をさす。
【0015】本発明におけるガスバリアー層は、第1の
ガスバリアー層及び第2のガスバリアー層を支持体側よ
り、順次積層して形成するものである。まず、第1のガ
スバリアー層は、高水素結合性樹脂を含むものである
が、これにより、ガスバリアー層の全体の脱落やはがれ
等が起こりにくいだけでなく、高水素結合性樹脂層自体
がある程度のガスバリアー性を示すため、より外側に位
置する第2のガスバリアー層が損傷を受けた場合でも、
全体的にはガスバリアー性の低下を補うことができる利
点を有する。
【0016】高水素結合性樹脂とは、樹脂を構成する高
分子の側鎖あるいは主鎖末端に水素結合を有する官能基
を有する高分子物質で、水素結合性基またはイオン性基
を有する高水素結合性樹脂を含む樹脂が挙げられる。
【0017】ここで、水素結合性基としては水酸基、ア
ミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン酸基、
燐酸基などが挙げられ、イオン性基としてはカルボキシ
レート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモ
ニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。水素結合
性基またはイオン性基のうち、更に好ましいものとして
は、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸
基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモ
ニウム基などが挙げられる。なお、高水素結合性樹脂中
の水素結合性基またはイオン性基の含有量(両者を含む
場合は、両者の合計量)は、通常、20〜60モル%で
あり、好ましくは30〜50モル%である。これらの水
素結合性基及びイオン性基の含有量は、例えば、核磁気
共鳴(NMR)の手法(1H−NMR、13C−NMR
など)によって測定することができる。
【0018】高水素結合性樹脂の具体例としては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール分率が4
0モル%以上のエチレン−ビニルアルコール共重合体、
多糖類、ポリアクリル酸及びそのエステル類、ポリアク
リル酸ナトリウム、ポリスルホン酸、ポリスルホン酸ナ
トリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及び
その4級アンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグ
リセリンなどが挙げられる。上述した樹脂の中でも、更
に好ましいものとしては、ポリビニルアルコール、多糖
類が挙げられる。
【0019】多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によっ
て生体系で合成される生体高分子であり、ここではそれ
らをもとに化学修飾したものも含まれる。例えば、セル
ロース及びヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセ
ルロース誘導体、アミロース、アミロペクチン、プルラ
ン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなどが挙
げられる。
【0020】これら高水素結合性樹脂及び化合物(A)
を含む第1のガスバリアー層の厚さは、0.001μm
〜10μm、好ましくは、0.01μm〜2μmである。
化合物(A)の量は、第2のガスバリアー層の塗布量に
依存して決定することができるが、通常、高水素結合性
樹脂に対し、100:1〜100:50、好ましくは1
00:1〜100:30程度の比率である。
【0021】第2のガスバリアー層は、珪酸縮合物、及
び平板状顔料を含むものであるが、珪酸縮合物によっ
て、非常に緻密な皮膜を形成することができ、平板状顔
料のもつガスバリアー性とあいまって高いガスバリアー
性を示すことができるものである。
【0022】一方、第2のガスバリアー層に使用する珪
酸縮合物は水中ではイオン性を示し、溶解したモノマー
やダイマー、トリマー、テトラマーあるいはこれらが縮
合したオリゴマーとして存在している。このように珪酸
縮合物は、その一次粒子がナノメーター程度と小さく、
非常に密にパッキングする性質をもっており、ガス分
子、とりわけ酸素や水蒸気のような分子を透過させるこ
とはできない。さらにこれら珪酸縮合物の粒子で形成さ
れた被膜にできた空隙も珪酸表面のシラノール基の縮合
が進むにつれて融合が生じ強固な被膜を作ることができ
るものである。該珪酸縮合物としてコロイダルシリカ、
珪酸アルカリ金属塩、や、アルコキシシラン加水分解・
縮合物などがある。中でも、珪酸アルカリ金属塩あるい
はコロイダルシリカのいずれかから選ばれたものを少な
くとも一種を含むものが好ましい。
【0023】しかし、これらが被膜を形成する場合、シ
ラノール基が縮合してシロキサン結合になると、体積が
収縮し支持体との間に剥がれ、脱落が発生したり、クラ
ックが多発して非常にもろい被膜しか得られないのが通
常である。
【0024】この珪酸縮合物をガスバリアー層として形
成する場合の致命的ともいえる欠点について本発明者ら
は詳細に検討した結果、珪酸縮合物に平板状顔料を併用
することにより、これらの収縮力に対する抵抗力を平板
状顔料が発揮することを見いだした。
【0025】本発明では、平板状顔料を珪酸縮合物と併
用することで珪酸縮合物の縮合に伴うクラックの発生を
防止し、珪酸縮合物からなる膜の強度を高めるものとす
ることができる。このような効果を得るには、炭酸カル
シウムに代表される球状顔料では難しく平板状顔料に特
有な効果であった。
【0026】また、平板状顔料は珪酸縮合物との間で縮
合に伴う収縮によるクラック発生の防止という効果のみ
ならず、ガスバリアー性に特異な効果をもたらす。平板
状顔料とは、おおむね平板性を有する顔料であり、その
長径と厚みの比(アスペクト比)が5以上のものをさ
す。本発明ではガスバリアー層に珪酸縮合物と平板状顔
料を配合し、平板状顔料をガスバリアー層中に魚の鱗の
ように敷き詰めることによりガスの進入を防止する効果
を有するものである。
【0027】平板状顔料は無機物で結晶性を有するもの
であり、その平面方向から厚み方向にはガス分子が透過
することがない。本発明ではこのような平板状顔料を敷
き詰める。平板状顔料が層の厚み方向に幾重にも折り重
なるように積み重なることにより透過しようとするガス
分子が平板状顔料を迂回し透過する、いわゆる曲路効果
が発揮され、汎用の顔料である炭酸カルシウムのような
球形に近い顔料と珪酸縮合物からなるガスバリアー層か
ら予想されるガスバリアー性よりも数倍よくすることが
できるものである。
【0028】このような平板状顔料とは、単位結晶層が
互いに積み重なって層状構造を有している無機層状化合
物が好ましい。「層状化合物」とは、層状構造を有する
化合物ないし物質であり、「層状構造」とは、原子が共
有結合等によって強く結合して密に配列した面が、ファ
ンデルワールス力等の弱い結合力によって平行に積み重
なった構造やイオンで結合した平板性の高い顔料をい
う。
【0029】珪酸アルカリ金属塩とコロイダルシリカの
うち、ガスバリアー性の面だけから考えると珪酸アルカ
リ金属塩が更に好ましい。珪酸アルカリ金属塩として
は、アルカリ金属がナトリウムである珪酸ナトリウムの
場合、モル比0.5のオルト珪酸ナトリウム(Na2
・1/2SiO2あるいはNa4SiO4)、モル比0.
67のセスキ珪酸ナトリウム(3Na2O・2SiO2
るいはNa6Si27)、モル比1のメタ珪酸ナトリウ
ム(Na2O・SiO2あるいはNa2SiO3)、モル
比2の二珪酸ナトリウム(Na2O・2SiO2あるいは
Na2Si25)、モル比4の四珪酸ナトリウム(Na2
O・4SiO2あるいはNa2Si49、別名:珪酸ソー
ダ4号)などがある、また、日本工業規格JIS−K−
1408で定められた珪酸ソーダ1号(モル比2)、2
号(モル比2.5)、3号(モル比3)、メタ珪酸ナト
リウム1種、メタ珪酸ナトリウム2種がある。
【0030】また、アルカリ金属がカリウムである珪酸
カリウムの場合、メタ珪酸カリウム(K2O・Si
2)、四珪酸カリウム(K2O・4SiO2・H2O、別
名二珪酸水素カリウム)が挙げられる。アルカリ金属が
リチウムである珪酸リチウムの場合、オルト珪酸リチウ
ム(Li2O・1/2SiO2)、メタ珪酸リチウム(L
2O・SiO2)、3.5珪酸リチウム、7.5珪酸リ
チウム(Li2O・7.5SiO2)などがある。
【0031】また、例えばテトラメチルアンモニウムイ
オンをカウンターイオンとする珪酸アンモニウムのよう
なアンモニウム塩も本発明の範疇とする。
【0032】これら珪酸アルカリ金属塩は、モル比によ
って縮合度が異なり、粒子径も異なってくる。その大き
さはモル比が小さくなると液中への溶解度が大きくなる
などして明確に決めることはできないが、動的光散乱法
から類推すると数nm以下のものが大部分であり、ガス
バリアー層として密にパッキングすることができる。
【0033】本発明の珪酸アルカリ金属塩を含む塗料
は、前記珪酸アルカリ金属塩水溶液を主体とするもので
かまわない。また、2種類以上の珪酸アルカリ金属塩を
混合した水溶液を主体とするものでも良い。
【0034】次に、本発明に用いる平板状顔料として
は、第1にはフィロケイ酸塩鉱物が挙げられる。フィロ
ケイ酸塩鉱物に属するものは板状または薄片状であり明
瞭な劈開性を有し、雲母族、パイロフィライト、タルク
(滑石)、緑泥石、セプテ緑石、蛇紋石、スチルプノメ
レーン、粘土鉱物などがある。これらの中でも産出され
るときの粒子が大きく産出量が多い鉱物、例えば雲母族
やタルクが好ましい。雲母族には、白雲母(マスコバイ
ト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイ
ト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲
母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イラ
イト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが
挙げられる。もちろん、組成的にはタルクに類似する合
成雲母などの合成品も本発明の範疇に含める。
【0035】カオリンも一般的には平板結晶といわれて
いるが、結晶一個をとれば平板の部分はあるが全体とし
ては粒状である。しかし、カオリンのうち、意識的に結
晶層を剥離し平板になるように切りだしたデラミカオリ
ンなどは本発明に用いることができる。デラミカオリン
等を顔料として使用した場合、ガスバリアー層に用いる
顔料の粒子径は膜厚に対応して小さくする必要がある場
合があり、これら顔料をボールミル、サンドグラインダ
ー、コボルミル、ジェットミルなどの粉砕機で粉砕分級
して所望の大きさにそろえる必要がある。
【0036】本発明に用いる平板状顔料の第2は、積み
重なった構造やイオンで結合した平板性の高い、いわゆ
る無機層状化合物も有効である。無機層状化合物の具体
例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物
(リン酸ジルコニウム系化合物)、カルコゲン化合物
〔式MX2で表わされるジカルコゲン化合物が例示され
る。ここで、MはIV族(Ti、Zr、Hf)、V族
(V、Nb、Ta)またはVI族(Mo、W)の元素
を、Xはカルコゲン(S、Se、Te)を示す。〕が挙
げられる。
【0037】本発明に用いる平板状顔料の第3として、
スメクタイト族、バーミキュライト族、などの粘土鉱物
を挙げることができる。より具体的には、ディッカイ
ト、ナクライト、スメクタイト、ハロイサイト、アンチ
ゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、テトラシ
リリックマイカ、ナトリウムテニオライト、マーガライ
ト、バーミキュライト、ザンソフィライト、緑泥石、等
を挙げることができる。また、層状ポリ珪酸塩である、
カネマイト、マカタイト、アイラアイト、マカディアイ
ト、ケニアイト等も挙げることができる。
【0038】このうちスメクタイト粘土は特に好まし
い。スメクタイト粘度は三層構造の結晶からなってお
り、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライ
ト、サポナイト、鉄サポナイト、ヘクトライト、ソーコ
ナイト、スチプンサイト、ヘクタイトなどが知られてい
る。
【0039】これらのスメクタイト粘土は、淡黄色ある
いは白色の微粉末であり、その大きさは数nm〜数μm
で、水中で膨張し独特のコロイド構造を作る。例えば、
モンモリロナイトは、二つのシリカの間にアルミナ層が
サンドイッチされた三層構造を一単位とし、このフレー
クが水を介して連なっており、水溶液中ではフレーク間
の水のため、フレークはバラバラとなる。
【0040】また、一般にスメクタイト粘土は水中に分
散させると容易にコロイド状分散液、即ちゾルを形成す
るが、濃度が増すにつれてゲルを形成しやすくなり、顕
著なチキソトロピー性を示す。このため、高濃度のスメ
クタイト粘土分散液を調製することが難しい。このよう
な場合、解膠剤を添加すると安定した流動分散液(ゾ
ル)となり塗料粘度が低下するため好ましい。解膠剤と
しては、多価リン酸塩、例えばヘキサメタリン酸塩、ポ
リリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム等)が例示できる。
特にピロリン酸ナトリウムは性能/価格比に優れ好まし
い。
【0041】平板状顔料の粒子径は10nmから5μm
の間にあるものが好適であり、より好ましくは10nm
から1μm程度である。10nm未満であると平板性が
有効に働かず、塗工層の乾燥中に支持体に平行に並ぶこ
とが難しく、曲路効果を示しにくい。一方5μmを越え
ると外観不良や珪酸縮合物の成膜性が低下するため好ま
しくない。
【0042】本発明に使用可能な平板状化合物は粒径が
10nmから5μm以下であるものならば特に限定され
ないが、ガスバリアー性積層体の透明性の点からは、粒
径1μm以下であることが好ましい。更にガスバリアー
性積層体がフィルムであり、特に透明性が重要視される
用途(例えば食品用途)に用いる場合には、この粒径は
0.5μm以下であることが更に好ましい。また、この
透明性は、波長500nmの全光線透過率で、80%以
上(更に好ましくは85%以上)、ヘーズが0.5〜1
0%の範囲内であることが好ましい。このような透明性
は、例えば、市販の分光光度計(島津自記分光光度計U
V−3100PC型:島津製作所社製)で好適に測定す
ることが可能である。
【0043】次に、ガスバリアー性の点から、平板状顔
料は、その平均粒子径を厚みで除したアスペクト比が2
0以上であることがより好ましい。上記アスペクト比が
20未満では、用途によっては曲路効果が小さくガスバ
リアー性の発現が不十分となる場合がある。一方アスペ
クト比が1000を越える無機層状化合物を得ることは
技術的に難しく、また経済的にも高価なものとなる。製
造容易性の点からは、アスペクト比は1000以下であ
ることが好ましい。このような平板状顔料の粒子径の測
定には、光散乱法の測定装置を使用することもできる
が、本発明では透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡を
用いた直接観察でその平均粒子径を求めた。アスペクト
は電子顕微鏡の視野にある鱗片以外の棒状のものを探し
厚みとした。
【0044】珪酸縮合物と平板状顔料の比率は質量配合
比が95/5から5/95の範囲である。平板状顔料の
場合、例えばモンモリロナイトなどスメクタイト粘土は
その平板性と表面電荷のため容易に被膜を作ることがで
きる。もちろんその被膜の強度は弱く耐水性は少ないた
め、珪酸縮合物で補強する必要がある。
【0045】一方、珪酸縮合物単独では、その被膜は縮
合に伴いクラックができやすいが、平板状顔料を添加す
ることでクラックの発生を大幅に少なくすることができ
る。このように、珪酸縮合物と平板状顔料は互いにその
欠点を補う働きをしている。このため珪酸縮合物と平板
状顔料の比は上記のように広範囲の割合をとることが可
能である。しかし、ガスバリアー層の強度の点からは珪
酸縮合物の割合が多いほど実用性が高く、珪酸縮合物と
平板状顔料の比は質量配合比で90/10〜30/70
程度が好ましい。
【0046】このような珪酸縮合物、平板状顔料、化合
物(B)を含む塗液の濃度は、0.1〜20%、好まし
くは1〜10%程度であり、塗工方式により適宜選択す
ることができる。また、第2のガスバリアー層の膜厚は
0.01〜5μmが好ましく、0.03〜2μmがより
好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。0.01
μm未満であると支持体表面の平滑性に追いつかず、支
持体の凹凸によってガスバリアー層にピンホールが発生
しやすく、5μmを越えるとクラックが発生しやすくな
り、またガスバリアー層の脱落などが起こりやすい。更
に経済的にも不利になるため好ましくない。化合部
(B)の量は、第1ガスバリアー層の高水素結合性樹脂
の塗布量に依存して決定するものであるが、通常、珪酸
縮合物と平板状顔料の合計の部数に対し、100:1〜
100:50、好ましくは100:1〜100:30程
度の比率である。
【0047】更に本発明においては、第1のガスバリア
ー層と第2のガスバリアー層の界面において、第1のガ
スバリアー層に含まれる珪酸縮合物と反応する化合物
(A)と第2のガスバリアー層中の珪酸縮合物が、ま
た、第2のガスバリアー層に含まれる高水素結合性樹脂
と反応する化合物(B)と第1のガスバリアー層中に含
まれる高水素結合性樹脂が、各々化学反応を起こすもの
である。これら二つの反応により、第1のガスバリアー
層と第2のガスバリアー層間の密着性が強固となり、ガ
スバリアー性だけでなく、耐水性、耐湿性、柔軟性の向
上、また湿度の増加による皮膜の膨潤性を防止すること
になり、より外側に位置する第2のガスバリアー層が損
傷を受けても、第1のガスバリアー層で高いバリアー性
を保持することができる。
【0048】なお、ここでいう化学反応とはBronsted-L
owry酸塩基、Lewis酸塩基、酸−塩基的な中和、置換反
応、付加反応、縮合反応、重合、架橋、開合などに代表
に定義される一般的な化学反応をさす。珪酸縮合物と反
応する化合物(A)とは、例えば、炭酸塩、硫酸塩、塩
酸塩、硝酸塩、リン酸塩、珪酸塩、ホウ酸などの無機
塩、硝酸、リン酸、塩酸、硫酸などの鉱酸、乳酸、フミ
ン酸、シュウ酸などの有機酸、ポリ塩化アルミニウム、
ポリリン酸二水素アルミニウム、ヘキサメタリン酸ナト
リウムなどのリン酸化合物、酸化亜鉛、酸化チタンなど
の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ムなどの金属水酸化物、含窒素化合物等を必要に応じて
選択し、添加することができる。また、例えば、チタン
系カップリング剤、シラン系カップリング剤、メラミン
系カップリング剤、エポキシ系カップリング剤、イソシ
アネート系カップリング剤、銅化合物、ジルコニア化合
物などの化合物を、架橋剤として添加することができ
る。
【0049】高水素結合性樹脂と反応する化合物(B)
とは、エポキシ基を持つ化合物、メラミン、ホルマリ
ン、ジルコン化合物、酸化ホウ素、ホウ酸金属、有機ホ
ウ酸塩など、親水性官能基と反応する各種化合物が挙げ
られる。例えば代表的な高水素結合性樹脂のポリビニル
アルコールは、金属塩類、ホルムアルデヒド、グリオキ
ザール、ジアルデヒドデンプン等のジアルデヒド類、尿
素またはメラミンのジメチロール化物、カテコール、レ
ゾシノール、ヒドロキノン、没食子酸、ピロガロール等
のポリフェノール・タンニン誘導化合物、ポリアミド尿
素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエピ
クロルヒドリン樹脂、炭酸アンモニウムジルコニウム、
ホウ砂、ホウ酸、アゾ染料、などと反応し耐水化するこ
とが知られている。
【0050】また、本発明の第2のガスバリアー層中に
は、その特性を阻害しない範囲で、必要に応じて更に合
成樹脂を加えることもできる。これらの樹脂としては、
特に限定されないが、ポリビニルアルコール(PV
A)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVO
H)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロ
ニトリル(PAN)、多糖類、ポリアクリル酸及びその
エステル類などが挙げられる。
【0051】本発明の第2は、第1のガスバリアー層と
第2のガスバリアー層が傾斜構造を有しているものあ
る。傾斜構造とは、ガスバリアー層の断面を観察した
際、支持体側に高水素結合性樹脂を含む有機質の多い層
が形成され、また、ガスバリアー性積層体の表面には珪
酸縮合物と平板状顔料を主剤とする無機質の多い層とな
るような構造であり、その中間においては有機質層と無
機質層の組成比が連続的に変化している様な構造をさ
す。このような傾斜構造により、本発明のガスバリアー
層は独特の特徴を有する。
【0052】例えば、ガスバリアー層の表面は珪酸縮合
物を含む無機質層であるから、硬く、傷がつきにくく、
更に無機質層による表面滑性が付与されており、包装用
途などで使用する場合に高速包装機での適性に優れた効
果を発揮する。更に、表面が平滑で無機物特有の光沢と
映えを付与することができる。更に、表面は無機質が主
たる成分ではあるが、ごくわずかの樹脂も含まれている
ことから、印刷などの表面加工も可能である。一方中間
に位置する内層においては無機質と有機質が連続的に変
化している構造であるため有機質が緩衝となり応力歪み
に対して抵抗力があり可撓性が出てきて、曲率の小さい
曲げや折れに対してもガスバリアー層の損傷がない。ま
た、支持体に接する側は有機質が多く密着性が優れる。
このように、無機質/有機質の組成が傾斜構造をとると
本来両立しない有機質層による支持体との密着性の向上
と無機質層の持つガスバリアー性の良い特性が両立する
のみならず、外観性が向上したり表面に印刷可能で応力
歪みにも抵抗力があるなどの利点がある。
【0053】このような傾斜構造を持つガスバリアー層
は、単に珪酸縮合物と顔料を混合したり、含窒素化合物
を含む樹脂と珪酸縮合物及び顔料からなるものを混合し
てガスバリアー層を形成した場合では得られず、従って
本発明の第2を達成することができない。従って、本発
明の第2においては、第1のガスバリアー層を形成した
のち第2のガスバリアー層を順次形成する。その際、第
1のガスバリアー層の上層部が、第2のガスバリアー層
を塗工する際に溶解、第2のガスバリアー層の成分と混
合状態となることで、傾斜構造を形成する。なお、適度
な傾斜構造を形成するためには、第1のガスバリアー層
が、第2のガスバリアー層の塗工時に適度に溶解する程
度の耐水性を有するものが好ましい。第1のガスバリア
ー層が強度の耐水性を示す場合、第1のバリアー層と第
2のバリアー層の界面のみで化合物(A)と化合物
(B)が反応して層を形成し、3層構造となるため好ま
しくない。
【0054】また、第1のガスバリアー層が耐水性がな
く、第2のガスバリアー層形成時に容易に溶解するもの
を選択した場合、第1のガスバリアー層と第2のガスバ
リアー層が瞬時に混合されて層全体で反応、均一な構造
となるため傾斜構造とならず好ましくない。
【0055】また、上記傾斜構造は、第1のガスバリア
ー層の第2のガスバリアー層形成時の溶剤に対する溶解
性のみならず、二つのガスバリアー層同士の反応性にも
影響を受ける。このように、ガスバリアー層が傾斜構造
を形成するためには、第1のガスバリアー層と第2のガ
スバリアー層の組み合わせにいろいろな制約があると考
えられる。
【0056】このようにして形成された第1のバリアー
層と第2のバリアー層間の傾斜構造は、ガスバリアー性
積層体の断面の組成分析や、ガスバリアー層表面を不活
性ガスでエッチングしながら組成分布を測定することに
より確認できる。例えば、波長分散型電子線マイクロア
ナライザー(JXA−8900RL WDS型、日本電
子社製)を使用して、加速電圧20kV、照射電流1×
10-8Aで珪素(Si)と窒素(N)をライン分析(1
0,000倍)し、珪素/窒素の元素組成比を得た。ガ
スバリアー層の表層部分の最も強いSi強度を100、
基材界面部分の有機質層の最も強いN強度を100とし
て元素組成比より傾斜構造であるかどうかを判断した。
【0057】本発明の第3は、本発明における高水素結
合性樹脂が、ポリビニルアルコールあるいはエチレンビ
ニルアルコール共重合体のいずれか一種から選ばれるも
のである。これらの樹脂は、常温常湿の条件において
は、単独でも高いガスバリアー性を示す。
【0058】ポリビニルアルコールとは、例えば、酢酸
ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエス
テル交換(けん化)して得られるポリマー(即ち、ビニ
ルアルコールと酢酸ビニルの共重合体となったもの)
や、トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合
体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテ
ル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体など
をけん化して得られるポリマーが挙げられる(ポリビニ
ルアルコールの詳細については、例えば、ポバール会
編、「PVAの世界」、1992年、(株)高分子刊行
会:長野ら、「ポバール」1981年、(株)高分子刊
行会を参照)。
【0059】ポリビニルアルコールの「けん化」の程度
は、モル百分率で70%以上が好ましく、さらには85
%以上のものが好ましく、98%以上のいわゆる完全け
ん化品が特に好ましい。また、ポリビニルアルコールの
重合度は、100以上5000以下が好ましく、200
以上3000以下がより好ましい。更に、本発明におい
ては、ポリビニルアルコールは本発明の目的が阻害され
ない限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよ
い。
【0060】ポリビニルアルコールの変性体とは、ポリ
ビニルアルコールの製造過程において、ビニルエステル
類、特に酢酸ビニル単量体と、それと共重合可能な他の
不飽和単量体とを共重合させたものである。上記不飽和
単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、α−
ヘキセン、α−オクテンなどのオレフィン類、(メタ)
アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸などの不飽和酸、及び不飽和酸のアルキ
ルエステルやアルカリ塩類、ビニルスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸などのスルホン酸含有単量体及びそのアル
カリ塩類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートや、ト
リメチル−2−(−1−(メタ)アクリルアミド−1,
1−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチ
ル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アン
モニウムクロリド、1−ビニル−2−エチルイミダゾー
ルその他4級化可能なカチオン性単量体、スチレン、ア
ルキルビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド等が挙
げられる。
【0061】上記共重合成分の比率は、特に限定はされ
ないが、ビニルアルコール単位に対し、50モル%以
下、好ましくは30モル%以下の程度が好ましい。共重
合の方法、及び形態は、ランダム共重合、ブロック共重
合、グラフト共重合など任意に選択可能である。
【0062】これら共重合体のうち、ポリビニルアルコ
ールとポリカルボン酸が共重合されたブロック共重合体
が特に好適に用いられる。ポリカルボン酸がポリメタク
リル酸であることが特に好ましい。更に、前記共重合体
は、ポリビニルアルコール鎖の片末端にポリアクリル酸
鎖が延長された形態のA−B型ブロック共重合体が特に
好ましい。各ブロック成分比は、ポリビニルアルコール
ブロック成分(a)とポリアクリル酸ブロック成分
(b)の重量比(a)/(b)が、50/50〜95/
5が好ましく、60/40〜90/10が特に好まし
い。また、特に好ましい他のポリビニルアルコールの変
性体としては、分子内にシリル基を有する化合物のによ
り変性されたビニルエステル系重合体けん化物からなる
シリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂がある。
【0063】シリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂
を得る方法としては、特に限定はないが、常法によって
得られたポリビニルアルコールあるいは変性ポリ酢酸ビ
ニルなどのビニルアルコール系重合体に、分子内にシリ
ル基を有する化合物を反応させシリル基を重合体に導
入、ポリビニルアルコールもしくはその変性体の末端を
活性化し、分子内にシリル基を有する不飽和単量体を重
合体末端に導入、前記不飽和単量体をビニルアルコール
系重合体分子鎖にグラフト共重合せしめる等各種の変性
による方法、ビニルエステル系単量体と分子内にシリル
基を有する不飽和単量体とから共重合体を得て、これを
けん化する方法、または、シリル基を有するメルカプタ
ンなどの存在下でビニルエステルを重合し、これをけん
化し、末端にシリル基を導入する、等の方法が有効に用
いられる。
【0064】本発明で好ましく用いられるシリル基変性
ポリビニルアルコール系樹脂としては、分子内にシリル
基を有するものであればよいが、前記シリル基がアルコ
キシル基、アシロキシル基、及びこれらの加水分解物で
あるシラノール基、及びその塩などの反応性置換基を有
するものが好ましく、シラノール基が特に好ましい。
【0065】シリル基変性ポリビニルアルコール系樹脂
を得るために用いるシリル基を有する化合物(シリル化
剤)としては、トリメチルクロルシラン、ジメチルクロ
ルシラン、メチルトリクロルシラン、ビニルトリクロル
シラン、ジフェニルジクロルシラン、トリエチルフルオ
ロシランなどのオルガノハロシラン、トリメチルアセト
キシシラン、ジメチルジアセトキシシランなどのオルガ
ノシリコンエステル、トリメチルメトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシランなどのオルガノアルコキシシラ
ン、トリメチルシラノール、ジエチルシランジオールな
どのオルガノシラノール、N−アミエチルトリメトキシ
シランなどのアミノアルキルシラン、トリメチルシリコ
ンイソジシアネートなどのオルガノシリコンイソシアネ
ートその他のものが挙げられる。なお、樹脂の変性度は
用いるシリル化剤の種類、量、反応条件によって任意に
調節することができる。
【0066】また、ビニルエステル系単量体と、シリル
基を有する不飽和単量体とからの共重合体をけん化する
場合に用いられる不飽和単量体としては、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、などに代表
されるビニルアルコキシシランやビニルメチルジメトキ
シシラン、ビニルトリイソプロポキシシランなどに代表
されるビニルアルコキシシランのアルキル置換体、もし
くはアリル置換体などのビニルシラン系化合物、これら
のアルコキシ基の一部または全部をポリエチレングリコ
ールなどのポリアルキレングリコール置換したポリアル
キレングリコール化ビニルシランなどが挙げられる。さ
らには、3−(メタ)アクリルアミノ−プロピルトリメ
トキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピル
トリエトキシシランなどに代表される(メタ)アクリル
アミド−アルキルシランなども好ましく用いられる。
【0067】シリル基を有するメルカプタンなどの存在
下でビニルエステルを重合した後けん化して末端にシリ
ル基を導入する方法においては、3−(トリメトキシシ
リル)−プロピルメルカプタンなどのアルコキシシリル
アルキルメルカプタンが好ましく用いられる。
【0068】本発明の前記シリル基変性ポリビニルアル
コール系樹脂の変性度、即ち、シリル基の含有量、及び
PVAのけん化度等は、本発明の目的であるガスバリア
性に対し、重要な要因となる。シリル基の含有量は、通
常、重合体中のビニルアルコール単位に対しシリル基を
含む単量体として30モル%以下であり、10モル%以
下が好ましく、5モル%以下である場合が特に好ましく
用いられる。下限は特に限定されないが、0.1モル%
以上である場合において効果が特に顕著に発揮される。
【0069】なお、上記シリル化率は、シリル化前のポ
リビニルアルコール系樹脂に含まれていた水酸基の量に
対する、シリル化後の導入されたシリル基の割合を示す
ものである。
【0070】これら各種のポリビニルアルコール系樹脂
は、単独で用いてもよいが、本発明の目的を阻害しない
限り、共重合可能な他の単量体との共重合体としたり、
混合可能な他の樹脂化合物と併用することができる。こ
のような樹脂としては、例えばポリアクリル酸またはそ
のエステル類、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等
を挙げることができる。
【0071】エチレン−ビニルアルコール共重合体(以
下:EVOHと記載) とは、ビニルアルコール分率が4
0モル%以上80モル%以下であり、より好ましくは、
45モル%〜75モル%であるEVOHを意味する。更
に、本発明にいうEVOHは、本発明の目的が阻害され
ない限り、少量の共重合モノマーで変性されていてもよ
い。
【0072】EVOHの変性体とは、架橋されるために
変性されたものであり、好ましくはアルコール可溶なよ
うに変性されたものである。このような性質を付与する
ためにEVOHにはシリル基が導入される。
【0073】シリル基の導入は、例えば、3−イソシア
ネートプロピルトリエトキシシラン、トリメチルクロル
シラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシ
ラン、ビニルトリクロルシラン、ジフェニルジクロルシ
ラン、トリエチルフルオロオルガノハロシラン、トリメ
チルアセトキシシランのように、反応性シラン化合物を
EVOHの水酸基と反応させることにより行われる。
【0074】シリル基の導入、即ちシリル化は、少なく
ともEVOHがアルコールに可溶となるように行うこと
が必要である。具体的には、0.2モル%以上のシリル
化率となるようにすることが好ましい。シリル化率の上
限は、アルコール可溶性の観点からは特に制限はない
が、本発明における無機層状化合物の配置の点から、好
ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下と
する。なお、上記シリル化率は、シリル化前のEVOH
樹脂に含まれていた水酸基の量に対する、シリル化後導
入されたシリル基の割合を示すものである。
【0075】シリル基が導入された変性EVOHは、ア
ルコールまたはアルコール/水の混合溶媒に溶解する。
また、溶媒に溶解した変性EVOHは、導入されたシリ
ル基の一部が脱アルコール反応及び脱水反応により架橋
する。なお、上記反応には水の存在が必須であり、アル
コール/水の混合溶媒を用いることが好ましい。
【0076】本発明の第4は、化合物(A)が含窒素化
合物であり、化合物(B)がホウ素化合物であるもので
ある。
【0077】第2のガスバリアー層中の成分である珪酸
縮合物と反応し、第2のガスバリアー層を耐水化する化
合物(A)について検討した。その結果、ポリエチレン
イミンなど珪酸縮合物とイオン反応して縮合を促進する
含窒素化合物を検討したところ、驚異的に高い耐水性と
良好なガスバリアー性を得た。さらにこの理由を検討す
ると、珪酸縮合物と縮合反応する含窒素化合物は、珪酸
縮合物の表面にあるシラノール基との間にコンプレック
スを作るだけでなく、水酸イオンを生成してコンプレッ
クスを作っていないシラノール基にも作用して縮合をう
ながし、新たにシロキサン結合のネットワークを拡大す
るため、驚異的な耐水性を示すと同時に、高いガスバリ
アー性を発揮することを見いだした。従って、含窒素化
合物と珪酸縮合物を含むガスバリアー層は、強固で緻密
で耐水性を有するものとなる。
【0078】ポリアミンを例にすると、化合物中の窒素
原子により、珪酸縮合物と含窒素化合物とは〜Si−O
-+とアミン基(R−NH2、R−NH−R'、R−N
R'−R"、ここにR、R'、R":アルキル基)などが直
接反応し、〜Si−O−NH2−R〜の形でゲル化す
る。珪酸縮合物は、OH-…H:N+2−Rの形でアミ
ンによって解離して生じたOH-が珪酸縮合物のシラノ
ール結合に作用して縮合をうながし、新たなシロキサン
結合を生成してシロキサン結合のネットワークを形成す
るものと思われる。
【0079】本発明では、このような含窒素化合物を第
1のバリアー層に配合し、第2のガスバリアー層の中の
珪酸縮合物と反応させることによって、耐水性及びガス
バリアー性を飛躍的に向上させることができる。
【0080】これらの含窒素化合物としてはイミン化合
物やアミン化合物と称せられるものが代表である。これ
らのうちイミン化合物としてはポリアルキレンイミンが
代表であり、ポリエチレンイミン、アルキルあるいはシ
クロペンチル変性ポリエチレンイミン、エチレン尿素の
イミン付加物、ポリ(エチレンイミン−尿素)及びポリ
アミンポリアミドのエチレンイミン付加物、または、こ
れらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変
性体、もしくは、脂肪族環状炭化水素変性体、ポリアミ
ドイミド、ポリイミドワニスからなる群より選ばれたポ
リイミン系化合物がある。
【0081】また、アミン化合物としてはポリアルキレ
ンポリアミンがある。例えばポリエチレンポリアミン、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミンなどの化合物である。また同様の効果を示
すものとしては、ポリアミドのポリエチレンイミド付加
物などの化合物などのポリアミド、ヒドラジン化合物、
ポリアミンポリアミドのエピクロロヒドリン付加物(炭
素数3〜10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレ
ンポリアミンとからポリアミドをエピクロルヒドリンと
反応させて得られる水溶性で陽イオン性の熱硬化性樹
脂)などのポリアミンアミド化合物、4級窒素含有アク
リルポリマー、4級窒素含有ベンジルポリマー、ウレタ
ン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物、メチロール
化メラミン、カチオン性ポリウレタンなどの化合物など
の含窒素4級塩化合物がある。また、カチオン変性ポリ
ウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリド
ン−酢酸ビニル共重合体、第3級窒素含有アクリル系樹
脂等などのカチオン樹脂が挙げられる(カチオン樹脂に
ついては特開平8−90898号公報、特開昭63−1
62275号公報、特開昭62−148292号公報を
参照されたい)。更に、尿素、チオ尿素、グアニル尿
素、メチル尿素、ジメチル尿素などの尿素化合物やジシ
アンジアミド誘導体なども本発明の範疇である。
【0082】これらのものを更に詳述すると、本発明で
使用されるポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレ
ンイミン及びポリプロピレンイミンが好ましく、特にポ
リエチレンイミンが好ましい。これらのポリアルキレン
イミンは単独で使用しても、また酢酸、p−トルエンス
ルホン酸、硫酸、塩酸等との塩を形成して使用しても良
い。
【0083】有機アミン化合物としては第1級アミン化
合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物、及び
第4級アンモニウム塩化合物のいずれであっても良く、
また、有機モノアミン及び有機ポリアミンのいずれであ
っても良い。更に有機アミン化合物は、アミノ基以外の
異種官能基、例えばエポキシ基、ヒドロキシル基、カル
ボン酸基、ニトリル基などを有するものを包含する。
【0084】変性有機アミン化合物としては、モノエポ
キシ化合物やジエポキシ化合物などのエポキシ基を有す
る化合物とアミン化合物の付加物、エチレンオキサイド
やプロピレンオキサイドなどのヒドロキシル基を有する
化合物とアミン化合物の付加物、アクリルニトリルとア
ミン化合物のマイケル付加物、フェノール化合物とアル
デヒド化合物とアミン化合物のマンニッヒ反応で得られ
る付加物などが挙げられる。
【0085】上記のような変性には、1)アミン化合物
の有する刺激臭や皮膚刺激性などの毒性を低下させるこ
と、2)アミン化合物の粘度を低下させること、及び
3)分子量を大きくし秤量誤差を小さくすることなどの
効果がある。アミン化合物の変性の程度には特に制限は
ない。
【0086】本発明に用いられる有機アミン化合物を例
示すれば下記の通りである。 1)脂肪族ポリアミン(ポリアルキレンポリアミン)ま
たはモノアミン:エチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ
ン、イミノビス−プロピルアミン、ビス(ヘキサメチレ
ン)トリアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエ
チルアミノプロピルアミン、アミノエチルエタノールア
ミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンタンジア
ミン−3、N−アミノエチルピペラジン、1,3−ジア
ミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、トリエチレ
ンジアミン、ポリビニルアミン、ステアリルアミン、ラ
ウリルアミンなど。 2)芳香族ポリアミンまたはモノアミン:m−フェニレ
ンジアミン、4,4'−メチレンジアニリン、ベンジジ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−チオジア
ニリン、ジアニシジン、2,4−トルエンジアミン、ジ
アミノジフェニルスルホン、4,4'−(o−トルイジ
ン)、o−フェニレンジアミン、メチレンビス(o−ク
ロロアニリン)、m−アミノベンジルアミン、アニリン
など。 3)芳香族環基を有する脂肪族ポリアミンまたはモノア
ミン:メタキシリレンジアミン、テトラクロロキシレン
ジアミン、トリメチルアミノメチルフェノール、ベンジ
ルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン
など。 4)第2級アミン:N−メチルピペラジン、ピペリジ
ン、ヒドロキシエチルピペラジン、ピロリジン、モルホ
リンなど。 5)第3級アミン:テトラメチルグアニジン、トリエタ
ノールアミン、N,N'−ジメチルピペラジン、N−メ
チルモルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチ
レンジアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプタデシ
ルグリオキサリジン、ピリジン、ピラジン、キノリンな
ど。 6)第4級アンモニウム塩:ジアリルジメチルアンモニ
ウムクロライド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2
−エチルヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド、
1,3−ビス(トリメチルアンモニオメチル)シクロヘ
キサンジクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアン
モニウムクロライドなど。 また、アミン類としては、特開平10−226989号
公報に記載のあるアミン類も例示することができる。
【0087】本発明の第4において、第1のガスバリア
ー層に含まれる化合物(A)は、上述の通り含窒素化合
物であり、この含窒素化合物は水溶性であることが好ま
しいが、水不溶性であっても乳化や分散処理により使用
することが可能である。また、上述のような含窒素化合
物は、2種以上を任意に混合して用いることが可能であ
る。
【0088】また、本発明においては、第1のガスバリ
アー層に、更に耐水性向上剤を添加することもできる。
耐水性向上剤としては第1にエポキシ化合物がある。エ
ポキシ化合物は、モノ、ジ、トリなどエポキシ基をいく
つか含有するエポキシ化合物である。このエポキシ化合
物は、脂肪族エポキシ化合物及び芳香族エポキシ化合物
を包含し、例えばブチレンオキサイド、オクチレンオキ
サイド、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイ
ド、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリ
レート、アリルグリシジルエーテル、フェノールポリエ
チレングリコールグリシジルエーテル、ラウリルアルコ
ールポリエチレングリコールグリシジルエーテルなどが
ある。
【0089】また、ポリアミドアミン−エピハロヒドリ
ンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン
−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生
成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホ
ルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−
エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成
物、及びポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリン
またはホルムアルデヒド縮合反応生成物を単独あるいは
併用して用いることもできる。
【0090】上記縮合反応生成物は、その分子骨格中に
アミノ基を含み、その側鎖にエポキシ環またはメチロー
ル基を有するものであり、いぞん一般に下記成分:
(i)ポリアルキレンポリアミン、(ii)尿素類、(ii
i)二塩基性カルボン酸類、(iv)エピハロヒドリン類
またはホルムアルデヒドを反応させて合成することがで
きる(例えば、特公昭52−22982号、特公昭60
−31948号、特公昭61−39435号、特開昭5
5−127423号公報を参照されたい)。
【0091】これら含窒素化合物と耐水性向上剤との配
合比は質量比で99.9/0.1〜5/95であり、好
ましくは99/1〜20/80程度である。好適な比率
は各含窒素化合物の反応性と共重合した場合の窒素原子
のモル比などにより大幅に変動するため適宜確かめて使
用するのが最も好ましい。
【0092】上述の通り、第1のガスバリアー層に化合
物(A)として含まれる含窒素化合物と珪酸縮合物の宿
業反応により高い耐水性と良好なガスバリアー性を示す
が、更に良好な耐水性とガスバリアー性を得るために
は、第1のガスバリアー層に含まれる高水素結合性樹脂
と、第2のガスバリアー層に化合物(B)を反応させれ
ば良い。この反応性成分(B)として、本発明の第4で
はホウ素化合物を用いる。第1のガスバリアー層に含ま
れる高水素結合性樹脂とホウ素化合物は、高水素結合性
樹脂のもつ水酸基などに作用してゲル化し特異なコンプ
レックスを生成し、高水素結合性樹脂の有する親水性を
ブロックし、高い耐水性を付与するものである。このよ
うに、本発明のガスバリアー層は、第1のガスバリアー
層中の化合物(A)である含窒素化合物と珪酸縮合物と
の間の反応、及び、第2のガスバリアー層中に化合物
(B)として含まれるホウ素化合物と高水素結合性樹脂
との反応が第1、第2のガスバリアー層間で相互に発生
することにより、二つのガスバリアー層が強固に結び付
き、高いガスバリアー性、及び耐水性、密着性を得るこ
とができる。
【0093】なお、本発明に用いるホウ素化合物として
は、ホウ酸またはその金属塩、例えばホウ酸カルシウ
ム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタ
ホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ
酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ア
ンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニ
ウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウ
ム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホ
ウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、
六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀
(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第
2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウ
ム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホ
ウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリ
ウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸
鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニ
ッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ
酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウ
ム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸
バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム
(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、
メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四
ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第
1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン
等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸
リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カ
ーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザ
イベリ石等のホウ酸塩鉱物などが挙げられ、有機ホウ素
化合物としては、ボロキシン、フェニルホウ酸、ジフェ
ニルホウ酸、またはホウ酸とアルコール化合物あるいは
フェノール化合物とのホウ酸エステル化合物等が挙げら
れる。例えば、C1〜C20 の脂肪族モノアルコー
ル、多価アルコール(エチレングリコール、テトラブチ
レングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールな
ど)、フェノール化合物(フェノール、カテコール、レ
ゾルシノール、ハイドロキノン、クレゾールなど)との
ホウ酸モノ、ジ、トリあるいはテトラエステル化合物や
それらの混合物、さらにはそれらの金属塩が挙げられ
る。これらの中でも、ホウ酸は効果が高く、好ましく用
いられる。
【0094】本発明の第5は、含窒素化合物として、ポ
リアルキレンイミンあるいはポリアルキレンアミンから
選ばれる一種以上の化合物を使用することである。これ
らの中でもポリエチレンイミンが特に好ましい。ポリア
ルキレンイミンとは分子の主鎖骨格中、あるいは分岐鎖
骨格に窒素原子を含み、窒素含有量の高い塩基性の化合
物であり、分子量10000程度のものが知られてい
る。なお、ポリアルキレンイミンは単独で使用しても良
く、また酢酸、p−トルエンスルホン酸、硫酸、塩酸等
との塩を形成させて使用しても良い。また、ポリアルキ
レンアミンとは一級アミン、二級アミン、三級アミンを
側鎖にもつアミンであり、分子量300程度のものから
100000程度のものがある。分子量が数万の場合、
それ自体では容易に溶解しないが、オリゴマーの場合は
水に容易に溶解するため、耐水性向上剤と併用して使用
することが好ましい。
【0095】本発明の第6は、珪酸縮合物として、一般
式M2O・nSiO2(ただし、式中ではnは0以上の
数、MはNaまたはLiを表す)で表される珪酸ナトリ
ウム、珪酸リチウムから選ばれた少なくとも一種を使用
するものである。珪酸ナトリウムは成膜性が高くクラッ
クが発生しにくいことと、非常に安価である点で好まし
い。珪酸リチウムは、リチウムイオンのイオン半径が、
珪酸ナトリウム、珪酸カリウムのナトリウム、カリウム
のイオン半径より小さいため、珪酸が縮合した際に珪酸
縮合のネットワークにリチウムイオンが取り込まれやす
く、乾燥後の珪酸縮合物内にリチウムイオンが閉じこめ
られイオンが動きにくい。このため珪酸縮合物として珪
酸リチウムを用いた場合のガスバリアー層の耐水性は、
珪酸ナトリウムや珪酸カリウムを使用した場合と比べ格
段に高くより好ましい。
【0096】本発明の第7は、平板状顔料がスメクタイ
ト粘土及び雲母族から選ばれる一種以上の顔料であるも
のである。スメクタイト粘土が特に好ましい。
【0097】本発明の第8は、ホウ素化合物としてホウ
酸を使用するものである。
【0098】本発明の第9は、第2のガスバリアー層上
に、更に第三のガスバリアー層を形成するものである。
さらにに耐水性やガスバリアー性を高めたものであり、
第三のガスバリアー層に用いられるものには、第1のガ
スバリアー層に用いられるような高水素結合性樹脂や反
応性成分(B)などが好適である。このような第三のガ
スバリアー層を形成すると第2のガスバリアー層を第1
のガスバリアー層と第三のガスバリアー層でサンドイッ
チすることになり更に良好なガスバリアー性を得ること
ができる。
【0099】本発明の第10は、本発明における支持体
が、熱可塑性樹脂からなるフィルムもしくは成形体であ
るものである。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフイ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポ
リナフタレン等が存在する。また、成形体の形態として
は、瓶、容器、トレー、缶などが存在する。
【0100】また、本発明においては、上記支持体と、
ガスバリアー層との密着性を向上させるため、クロ混酸
液処理、コロナ放電処理、火炎処理、シランカップリン
グ剤処理、チタンカップリング剤処理、アイオノマー層
形成処理、ポリカチオン処理などの、物理的、もしくは
化学的表面処理を行うことにより、支持体表面にカルボ
キシル基、カルボニル基、スルホン基、窒化酸素等の極
性基を付与せしめたのち、ガスバリアー層を形成したも
のが更に好ましい。
【0101】支持体表面を処理する方法は各種知られて
いるがカルボキシル基やカルボニル基を生成する方法は
コロナ放電処理としてしられており、スルホン基を生成
するには発煙硫酸などで支持体表面を処理することがで
き、また窒素酸化物処理するには窒素ガス雰囲気下での
プラズマ処理などを行う。これらはいずれも支持体表面
の親水化処理であり本発明のような水系溶媒を使用した
塗液の密着性を向上させることができる。特に支持体表
面にまずポリアルキレンイミンやポリアルキレンアミン
などの層を形成する場合これらの官能基を予め付与して
おくと支持体表面の密着性が特に良く好ましい。
【0102】本発明のガスバリアー性積層体の23℃・
90%RHにおける酸素透過度が30cc/m2・da
y・atm以下であることが好ましく、より好ましくは
10cc/m2・day・atmである。この値以下で
あれば、十分酸素透過度が低く、実用に共することがで
きるものである。なお、酸素透過度はMOCON社のO
X−TRAN/100型で測定した。
【0103】また、本発明のガスバリアー層中に、色合
い調整剤、粘度調整剤、無機顔料、有機顔料、珪酸アル
カリ金属塩の硬化剤(炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、リン酸塩、珪酸塩などの無機塩、硝酸、リン酸、塩
酸、硫酸などの鉱酸、乳酸、フミン酸、シュウ酸などの
有機酸、ポリ塩化アルミニウム、ポリリン酸二水素アル
ミニウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどのリン酸化
合物、酸化亜鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化
物)、高水素結合性樹脂の架橋剤(チタン系カップリン
グ剤、シラン系カップリング剤、メラミン系カップリン
グ剤、エポキシ系カップリング剤、イソシアネート系カ
ップリング剤、銅化合物、ジルコニア化合物等)を添加
することができる。
【0104】また本発明においては、支持体中に酸化防
止剤、耐候安定剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染
料、可塑剤、難燃剤、無機充填材、例えばシリカ、アル
ミナ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、ゼ
オライト、マイカ、カーボンブラック、ガラス繊維など
を適宜含むことができる。
【0105】本発明のガスバリアー性積層体は、支持体
表面に、ガスバリアー層を形成する成分を含む塗料を塗
布、乾燥して得られる。塗布方法としては常法が適宜用
いられ、例えば、ダイレクトグラビア法、リバースグラ
ビア法、マイクログラビア法、2本ロールビートコート
法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコ
ーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、ディ
ップコート法、バーコーティング法、キス塗工、リップ
塗工、ブレード塗工、エアナイフ塗工、浸漬、刷毛塗り
などがある。さらにこれらを組み合わせたコーティング
法等が挙げられる。
【0106】また、乾燥方法としては熱風、乾燥空気、
赤外線、マイクロ波、ガスバーナー等を用いた方法、さ
らにこれらを任意に組み合わせた方法などが必要に応じ
て適宜用いられる。乾燥温度は、特に制限はないが、好
ましくは50℃〜300℃、より好ましくは70℃〜2
00℃、更に好ましくは90℃〜150℃である。ま
た、熱可塑性樹脂を支持体に使用する場合、その融点以
下で乾燥する必要があるため低温乾燥が望ましく、乾燥
温度として70℃〜120℃が好ましい。乾燥温度が5
0℃未満だと珪酸イオンの縮合が不十分となり耐水性や
バリアー性が不十分となる。120℃を越えると支持体
の強度的劣化や色調が変化し好ましくない。また、ガス
バリアー層を設ける場合、第1のガスバリアー層、第2
のガスバリアー層の各層を形成するにあたり、塗料を2
回以上重ね塗りすることも可能である。
【0107】
【実施例】以下に実施例を示し本発明を具体的に説明す
る。なお、配合、濃度、添加量などは質量基準の数値で
ある。
【0108】<実施例1>高水素結合性樹脂としてポリ
ビニルアルコール(商品名:ポバールPVA−117、
重合度1700、完全けん化、クラレ製)5gをイオン
交換水95gに分散しながら加熱、完全に溶解させた後
に冷却し全量を100gに調製した溶液と、含窒素化合
物としてポリエチレンイミン(商品名:エポミンP−1
000、30%ポリエチレンイミン樹脂水溶液、分子量
70,000、比重1.04、アミン価18(mgeq
/g・solid)、アミン比 1級/2級/3級=2
5/50/25、日本触媒)16.7gをイオン交換水
83.3gに溶解し全量を100gに調製した溶液と
を、固形分比で80:20となるような比率で混合し全
固形分2%に調製した塗工液を、予めコロナ処理を施し
た厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以
下OPP)表面に、メイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚
が0.1μmとなるように塗布し、100℃の熱風乾燥
機で1分乾燥して第1のガスバリアー層を形成した。更
に、イオン交換水に平板状顔料として粒径520nmの
モンモリロナイト(クニピアF:クニミネ工業製)を固
形分3%となるようにホモミキサーで分散したものに、
珪酸縮合物としてモル比3.5珪酸リチウム塩溶液(商
品名:珪酸リチウム35、固形分はLi2O・SiO2
して23%、Li2O 2.91%、SiO2 20.
74%、pH10.89、比重1.209 粘度11.
7cps(25℃)、日本化学工業製)を平板状顔料と
珪酸縮合物が固形分比で30:70となるように加え全
固形分5%にしたものに、ホウ酸(特級試薬、和光純薬
製)を全固形分に対して1%添加した塗工液を、メイヤ
ーバーを用いて、前記第1のガスバリアー層上に乾燥後
の膜厚が厚さ0.8μmとなるように塗工し、これを熱
風乾燥機を用いて110℃で1分乾燥した後、更に13
0℃で2分乾燥し、第2のガスバリアー層を形成して、
ガスバリアー性積層体を得た。
【0109】<実施例2>第1のガスバリアー層を得る
ための塗工液を、高水素結合性樹脂としてポリビニルア
ルコール(商品名:ポバールPVA−103、重合度3
00、完全けん化、クラレ製)、含窒素化合物としてポ
リアミン(商品名:ポリメントNK−200PM、56
%固形分、アミノエチル化樹脂、分子量20,000、
日本触媒製)を使用したこと以外は、実施例1と同様に
ガスバリアー性積層体を得た。
【0110】<実施例3>第1のガスバリアー層を得る
ための塗工液を、高水素結合性樹脂としてエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体(商品名:ソアノール16D、
ペレット、日本合成化学工業製)5gを、イオン交換水
47.5g及び2−プロパノール(特級試薬、和光純薬
製)47.5gからなる溶液に分散しながら加熱し完全
に溶解させた後冷却し、全量を100gに調製した溶液
と、含窒素化合物としてポリアミン(商品名:ポリメン
トNK−200PM、56%固形分、アミノエチル化樹
脂、分子量20,000、日本触媒製)8.9gをイオ
ン交換水91.1gに完全に溶解させ、全量を100g
に調製した溶液とを、固形分比で80:20となるよう
に混合したもの使用したこと以外は、実施例1と同様に
してガスバリアー性積層体を得た。
【0111】<実施例4>第2のガスバリアー層を得る
ための塗工液を、平板状化合物として合成スメクタイト
(商品名:ルーセンタイトSWN、固形分91%、コー
プケミカル製)を使用したこと以外は、実施例1と同様
にしてガスバリアー性積層体を得た。
【0112】<比較例1>ポリビニルアルコール(商品
名:ポバールPVA−117、重合度1700、完全け
ん化、クラレ製)5gをイオン交換水95gに分散しな
がら加熱、完全に溶解した後に冷却、全量を100gに
調製した溶液を塗工液とし、予めコロナ処理を施した厚
さ25μmのOPP表面上に、メイヤーバーを用いて乾
燥後の膜厚が4μmとなるよう塗布し、100℃の熱風
乾燥機で1分乾燥してガスバリアー層を形成して、ガス
バリアー性積層体とした。
【0113】<比較例2>モル比3.5珪酸リチウム塩
溶液(商品名:珪酸リチウム35、関東化学製)に、粒
径520nmのモンモリロナイト(クニピアF:クニミ
ネ工業製)を加え、固形分比70:30にしたものをホ
モミキサーで分散した10%分散液(固形分2%)を、
予めコロナ処理を施した厚さ25μmのOPP表面上
に、メイヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が2μmとなる
よう塗布し、100℃の熱風乾燥機で1分乾燥してガス
バリアー層を形成して、ガスバリアー性積層体とした。
【0114】<比較例3>含窒素化合物として、ポリエ
チレンイミン((商品名:エポミンP−1000、30
%ポリエチレンイミン樹脂水溶液、分子量70,00
0、比重1.04、アミン価18(mgeq/g・so
lid)、アミン比 1級/2級/3級=25/50/
25、日本触媒)を2−プロパノール(特級試薬、和光
純薬製)に固形分比2%になるように溶解したものを、
予めコロナ処理した厚さ25μmのOPP表面上に、メ
イヤーバーを用いて乾燥後の膜厚が0.04μmとなる
よう塗布し、80℃の熱風乾燥機で2分乾燥して第1の
ガスバリアー層を形成した。更に、イオン交換水に平板
状顔料として合成スメクタイト(商品名:ルーセンタイ
トSWN、固形分91%、コープケミカル製)を固形分
3%となるようにホモミキサーで分散したものに、珪酸
縮合物としてモル比3.5珪酸リチウム塩溶液(商品
名:珪酸リチウム35、固形分はLi2O・SiO2とし
て23%、Li2O2.91%、SiO2 20.74
%、pH10.89、比重1.209 粘度11.7c
ps(25℃)、日本化学工業製)を平板状顔料と珪酸
縮合物が固形分比で50:50となるように加え全固形
分5%にした塗工液を、メイヤーバーを用いて、前記第
1のガスバリアー層上に乾燥後の膜厚が厚さ0.8μm
となるように塗工し、これを熱風乾燥機を用いて110
℃で1分乾燥した後、更に130℃で2分乾燥し、第2
のガスバリアー層を形成して、ガスバリアー性積層体を
得た。
【0115】<試験方法>実施例、比較例の各サンプル
を23℃90%RH条件下に24時間放置した後、更に
23℃55%RHに24時間放置したものを以下の試験
サンプルとした。 1)酸素透過度:JIS−K−7126 B法(等圧
法)で塗工面を酸素検出器側にして23℃90%RH条
件で24時間測定した。(酸素透過度測定装置:OX−
TRAN100型、MOCON社製)。 2)塗膜密着性:ガスバリアー性積層体の塗工面にセロ
ハンテープを貼り、急速に手で剥がしたときに塗膜が剥
がれないものを○、一部のみ剥がれたものを△、半分以
上剥がれたものを×とした。 3)塗膜耐水性:ガスバリアー性積層体に水をたらし、
その塗膜の表面を手でこすりその剥がれ脱落度合いを官
能評価した。塗膜表面が変化しないものを◎、塗膜は剥
がれないがわずかにヌルヌルした感じがするものを、一
部のみヌルヌル剥がれたものを△、全体がヌルヌルと剥
がれたものを×とした。 4)傾斜構造の確認:実施例及び比較例で得られたサン
プルをウルトラミクロトーム(LKB−2128、LK
B社製)を用い、ダイヤモンドナイフでカットしバリア
ー層の断面を得た。波長分散型電子線マイクロアナライ
ザー(JXA−8900RL WDS型、日本電子社
製)を使用して、加速電圧20kV、照射電流1×10
-8Aで珪素(Si)と窒素(N)をライン分析(10,
000倍)し、珪素/窒素の元素組成比を得た。ガスバ
リアー層の表層部分の最も強いSi強度を100、基材
界面部分の有機質層の最も強いN強度を100として元
素組成比より傾斜構造であるかどうかを判断した。
【0116】
【表1】
【0117】
【発明の効果】本発明によって、高湿条件下で長時間放
置された場合においても、ガスバリアー層の支持体から
の剥がれ、脱落やクラックなどの欠損が発生しにくく、
また、耐水性の不足でガスバリアー層が損傷するような
ことがあっても高いガスバリアー性を保持することがで
きるガスバリアー性積層体を提供が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/00 C08K 3/00 3/34 3/34 3/38 3/38 C08L 29/04 C08L 29/04 A S 79/02 79/02 // C08L 23:00 23:00 Fターム(参考) 4F006 AA12 AA35 AA39 AB20 AB65 AB72 AB76 BA05 CA07 DA04 4F100 AA18C AA18H AA33C AA33H AC03C AC03H AC05C AC05H AH03B AH03H AK01B AK01C AK01D AK07 AK21B AK21C AK21D AK69B AK69C AK69D AK80B AL05B AL05C AT00A BA04 BA07 BA27 CA13C CA13H CA23C CA23H EH46 EJ38 EJ55 GB15 JD02 JD02B JD02C 4J002 BE021 BE031 DJ007 DK009 DM008 EN016 EN056 FD098 GG00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体の少なくとも片面にガスバリアー層
    を形成したガスバリアー性積層体において、ガスバリア
    ー層が下記の2層を支持体側から順次積層して形成され
    たことを特徴とするガスバリアー性積層体。 (1)高水素結合性樹脂と、珪酸縮合物と反応する化合
    物(A)を含む第1のガスバリアー層。 (2)珪酸縮合物、平板状顔料、及び高水素結合性樹脂
    と反応する化合物(B)を含む第2のガスバリアー層。
  2. 【請求項2】第1のガスバリアー層と第2のガスバリア
    ー層が傾斜構造を有することを特徴とする請求項1記載
    のガスバリアー性積層体。
  3. 【請求項3】高水素結合性樹脂がポリビニルアルコール
    あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体のいずれ
    か一種から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項
    1〜2のいずれかに記載のガスバリアー性積層体。
  4. 【請求項4】化合物(A)が含窒素化合物であり、化合
    物(B)がホウ素化合物であることを特徴とする請求項
    1〜3記載のガスバリアー性積層体。
  5. 【請求項5】含窒素化合物が、ポリアルキレンイミンあ
    るいはポリアルキレンアミンから選ばれる一種以上の化
    合物であることを特徴とする請求項4記載のガスバリア
    ー性積層体。
  6. 【請求項6】珪酸縮合物が、一般式M2O・nSiO
    2(ただし、式中ではnは0以上の数、MはNaまたは
    Liを表す)で表される珪酸ナトリウム、珪酸リチウム
    から選ばれた少なくともいずれか一種であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリアー性
    積層体。
  7. 【請求項7】平板状顔料が、スメクタイト粘土及び雲母
    族から選ばれる一種以上の顔料であることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリアー性積層
    体。
  8. 【請求項8】ホウ素化合物がホウ酸であることを特徴と
    する請求項4〜7のいずれかに記載のガスバリアー性積
    層体。
  9. 【請求項9】第1のガスバリアー層と第2のガスバリア
    ー層からなるガスバリアー層上に更に高水素結合性樹脂
    を含む第3のガスバリアー層を形成してなることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリアー性
    積層体。
  10. 【請求項10】支持体が熱可塑性樹脂からなるフイルム
    または成形体であることを特徴とする請求項1〜9のい
    ずれかに記載のガスバリアー性積層体。
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