JP2003320608A - ガスバリアフィルム積層体 - Google Patents

ガスバリアフィルム積層体

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JP2003320608A
JP2003320608A JP2002133657A JP2002133657A JP2003320608A JP 2003320608 A JP2003320608 A JP 2003320608A JP 2002133657 A JP2002133657 A JP 2002133657A JP 2002133657 A JP2002133657 A JP 2002133657A JP 2003320608 A JP2003320608 A JP 2003320608A
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gas barrier
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film laminate
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silane coupling
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JP2002133657A
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Noboru Sasaki
昇 佐々木
Masanobu Yoshinaga
雅信 吉永
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、透明性に優れるとともに、金属箔を
その一部に積層してなる包装材料並みの高度なガスバリ
ア性及びボイル殺菌、レトルト殺菌等の加熱処理に対す
る耐性をも有するガスバリアフィルム積層体の提供を目
的とする。 【解決手段】プラスチック材料からなる基材の少なくと
も片面に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物
及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマ
ー層を設け、さらに無機酸化物からなる蒸着薄膜層、水
溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加
水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を
塗布して加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層、及び応
力・水分緩和層の三層を順次積層してなるガスバリア層
を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として食品や非
食品及び医薬品等の包装分野に用いられる包装用のフィ
ルム積層体に関するもので、特に透明性に優れていて内
容物の確認が可能で、且つボイル殺菌やレトルト殺菌等
による加熱処理後も剥離が発生せずに金属箔を積層して
なる包装材料並の高度なガスバリア性を保てるようにし
たガスバリアフィルム積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食品や非食品及び医薬品等の包装
に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してその
機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸
素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体等による影
響を防止する必要があり、これらの通過を遮断するガス
バリア性等を備えることが求められている。そのため従
来から、温度や湿度などの影響を少なくすることを可能
とするアルミ等の金属箔をガスバリア層として用いた包
装材料が一般的に用いられてきた。
【0003】ところが、アルミ等の金属箔をガスバリア
層として用いた包装材料は、温度や湿度の影響を受ける
ことが少なく、しかも高度なガスバリア性を保持して内
容物を収納することが可能であるが、それを介して内容
物を透視・確認することができない、使用後の廃棄の際
は不燃物として処理しなければならない、内容物や包装
状態の検査の際に金属探知器が使用できない等の欠点を
有しており問題があった。
【0004】そこで、これらの欠点を克服した包装材料
として、例えば米国特許第3442686号明細書、特
公昭63−28017号公報等に記載されているよう
な、高分子フィルム上に真空蒸着法やスパッタリング法
等の薄膜形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等
の無機酸化物の蒸着薄膜を形成したフィルムが提案され
ている。これらの蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水
蒸気等に対するガスバリア性を共に有していることが知
られ、金属箔等を積層してなる包装材料では得ることの
できない透明性とガスバリア性を共に有する包装材料と
して好適とされている。
【0005】しかしながら、上述したような包装材料に
適するフィルムであっても、包装容器または包装体とし
てこのフィルムを単体で用いることは殆どなく、蒸着後
の蒸着フィルム表面に文字・絵柄等の印刷加工を施した
り、または他のフィルム等と貼り合わせたり、さらには
包装容器等の形状に成形加工したりと、さまざまな後工
程を経て包装体を完成させている。従って、包装材料と
してはこれらの後工程が的確に行えるようなものとなっ
ていなければならない。
【0006】また、包装形態や包装する内容物によって
は、ボイル殺菌、レトルト殺菌、オートクレーブ等の殺
菌処理を包装中、或いは包装後の包装体に対して行う場
合もある。例えば、上述した蒸着フィルム等を用いてシ
ーラントフィルムと貼り合わせて製袋した後、内容物を
充填してボイル殺菌やレトルト殺菌を行うことがある
が、このような場合、シール部に蒸着層の一部に剥離が
発生して外観不良になったり、剥離部分のガスバリア性
が低下してその近辺の内容物が変質することがあった。
【0007】従って、このような包装用のフィルム積層
体としては、包装体とするための後工程や種々の包装形
態に対応してそのフィルム積層体が本来持っている特性
を損なわないようにしておく配慮も必要である。
【0008】要するに、上述したような包装形態に対し
て好適に使用し得る包装材料としては、蒸着フィルム内
容物を直接透視することが可能なだけの透明性、内容物
に対して影響を与える気体等を遮断する高いガスバリア
性及びボイル殺菌やレトルト殺菌後もガスバリア性の劣
化がなくまた剥離等が発生しない加熱処理耐性等を有す
ること等の条件を備えている必要があるが、現在のとこ
ろこれらを共に満足する包装材料は見いだされていな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
状況に対応してなされたものであり、透明性に優れると
共に、金属箔をその一部に積層してなる包装材料並みの
高度なガスバリア性及びボイル殺菌、レトルト殺菌等の
加熱処理に対する耐性をも有する、実用性の高い包装用
のフィルム積層体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
すべくなされたもので、請求項1に記載される発明は、
プラスチック材料からなる基材の少なくとも片面に、ア
クリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカ
ップリング剤との複合物からなるプライマー層を設け、
さらに無機酸化物からなる蒸着薄膜層、水溶性高分子と
1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含
む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を塗布し加熱乾
燥してなるガスバリア性被膜層、及び応力・水分緩和層
を順次積層してなるガスバリア層を少なくとも設けてな
ることを特徴とするガスバリアフィルム積層体である。
【0011】また、請求項2に記載される発明は、請求
項1記載のガスバリアフィルム積層体において、前記シ
ランカップリング剤が、アクリルポリオールの水酸基ま
たはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なく
とも一方と反応する有機官能基を持つことを特徴とす
る。
【0012】さらにまた、請求項3に記載される発明
は、請求項2記載のガスバリアフィルム積層体におい
て、前記シランカップリング剤に含まれる有機官能基
が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基のいずれ
かであることを特徴とする。
【0013】さらにまた、請求項4に記載される発明
は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガスバリ
アフィルム積層体において、前記無機酸化物が、酸化ア
ルミニウム、酸化珪素、或いはそれらの混合物のいずれ
かであることを特徴とする。
【0014】さらにまた、請求項5に記載される発明
は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスバリ
アフィルム積層体において、前記金属アルコキシドが、
テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミ
ニウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを
特徴とする。
【0015】さらにまた、請求項6に記載される発明
は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガスバリ
アフィルム積層体において、前記水溶性高分子が、ポリ
ビニルアルコールであることを特徴とする。
【0016】さらにまた、請求項7に記載される発明
は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載ガスバリア
フィルム積層体において、前記応力・水分緩和層が、ア
クリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカ
ップリング剤との複合物から形成されていることを特徴
とする。
【0017】さらにまた、請求項8に記載される発明
は、請求項7記載のガスバリアフィルム積層体におい
て、前記シランカップリング剤が、アクリルポリオール
の水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート
基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持つことを
特徴とする。
【0018】さらにまた、請求項9に記載される発明
は、請求項7または請求項8記載のガスバリアフィルム
積層体において、前記シランカップリング剤に含まれる
有機官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ
基のいずれかであることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を用いてさら
に詳細に説明する。図1は本発明のガスバリアフィルム
積層体の断面構成説明図である。
【0020】本発明のガスバリアフィルム積層体は、基
本的には、プラスチック材料からなる基材1の少なくと
も片面に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物
及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマ
ー層2を設け、さらに無機酸化物からなる蒸着薄膜層
3、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたは
その加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合
溶液を塗布し加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層4、
及び応力・水分緩和層5の三層を順次積層してなるガス
バリア層6を少なくとも設けてなるものである。
【0021】基材1はプラスチック材料からなり、蒸着
薄膜層3の透明性を生かすために透明性に優れるフィル
ム基材であることが好ましい。基材1の例としては、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナ
フタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリ
エチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィル
ム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ
カーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィル
ム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。これらの各フ
ィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良く、機械的強度
や寸法安定性等を考慮して適宜のものを選択して用いれ
ば良い。この中でも、二軸方向に任意に延伸されたポリ
エチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルム
が好ましく用いられる。またこの基材1の蒸着薄膜層3
が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤
や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、
滑剤等を分散または塗布しても良い。また、薄膜との密
着性を良くするために、前記基材1の薄膜層積層面側に
コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処
理、薬品処理、溶剤処理等の前処理を施しても良い。
【0022】基材1はその厚さが特に制限されるもので
はなく、また、その構成も単体フィルムに限定されるも
のではなく、包装材料としての適性を考慮して異なる性
質のフィルムを積層してなる積層フィルムを使用するこ
ともできる。尚、基材1の厚さは、プライマー層2や、
無機酸化物からなる蒸着薄膜層3とガスバリア性被膜層
及び応力・水分緩和層5からなる三層構成のガスバリア
層6等を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的に
は3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μm
とすることが好ましい。
【0023】また、量産性を考慮すれば、連続的に前記
各層を形成できるように長尺の連続フィルムとすること
が望ましい。
【0024】一方、プライマー層2は、プラスチック材
料からなる基材1上に設けられ、基材1と無機酸化物か
らなる蒸着薄膜層3との間の密着性を高め、ボイル殺菌
やレトルト殺菌等の各種加熱処理後の蒸着薄膜層3の剥
離の発生を防止するために設けられる層である。
【0025】本発明者等は鋭意検討の結果、本発明にお
いて上記目的達成の為にプライマー層2として用いるこ
とができるのは、アクリルポリオールとイソシアネート
化合物及びシランカップリング剤との複合物が最適であ
ることを見いだした。
【0026】以下、このプライマー層2を構成する複合
物について、さらに詳細に説明する。この複合物を構成
するアクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマー
を重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル
酸誘導体モノマー及びその他のモノマーとを共重合させ
て得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基
を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソ
シアネート基と反応させるものである。中でもエチルメ
タクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒド
ロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタ
クリレート等のアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合
させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加え共
重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。
またイソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒド
ロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間である
ことが好ましい。
【0027】一方、前記複合物を構成するイソシアネー
ト化合物は、アクリルポリオールと反応してできるウレ
タン結合により基材1や無機酸化物からなる蒸着薄膜層
3との密着性を高めるために添加されるもので、主とし
て架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成す
るためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のト
リレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイ
ソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート
(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)等のモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用い
られる。これらは単独または混合物等として用いられ
る。
【0028】アクリルポリオールとイソシアネート化合
物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシア
ネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があ
り、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し問題
となる。そこでアクリルポリオールとイソシアネート化
合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイ
ソシアネート基がアクリルポリオール由来の水酸基の5
0倍以下であることが好ましくい。特に好ましいのはイ
ソシアネート基と水酸基が等量で配合される場合であ
る。混合方法は、周知の方法が適用可能で特に制限はな
い。
【0029】他方、前記複合物を構成するシランカップ
リング剤としては、任意の有機官能基を含むシランカッ
プリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシ
ラン等のシランカップリング剤或いはその加水分解物の
1種ないしは2種以上の混合物を挙げることができる。
【0030】これらのシランカップリング剤のうち、ア
クリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物
のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが特に
好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエト
キシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシ
シランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニルアミノ
プロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むも
の、さらにγ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシ
ランやβ―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むもの等
で、これらは単独でまたは2種以上の混合物で用いるこ
とができる。
【0031】これらのシランカップリング剤は、一端に
存在する有機官能基がアクリルポリオールとイソシアネ
ート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、もしく
はそのアクリルポリオールの水酸基またはイソシアネー
ト化合物のイソシアネート基と反応する官能基と共有結
合をもたせることによりさらに強固なプライマー層を形
成し、他端のアルコキシ基等の加水分解によって生成し
たシラノール基が無機酸化物からなる蒸着薄膜層3中の
金属や、その表面の活性の高い水酸基等と強い相互作用
により蒸着薄膜層3との高い密着性を発現し、目的の物
性を得ることができるようにするために混合する。よっ
て上記シランカップリング剤を金属アルコキシドと共に
加水分解反応させたものを用いても構わない。また上記
シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセ
トキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのア
ルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、
シラノール基を形成するものであればプライマー層2を
構成する複合物に用いることができる。
【0032】アクリルポリオールとシランカップリング
剤の配合比は、重量比で1/1から100/1の範囲で
あることが好ましく、より好ましくは2/1から50/
1の範囲にあることである。
【0033】配合する際の溶解および希釈溶媒として
は、前記アクリルポリオールとイソシアネート化合物及
びシランカップリング剤を溶解および希釈可能なもので
あれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチル
エチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素類等の単独或いはそれらを任意に配合した
溶媒を用いることができる。しかし、シランカップリン
グ剤を加水分解するために塩酸や酢酸等の水溶液を用い
ることがあるため、共溶媒としてイソプロピルアルコー
ル等と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒
を用いることがより好ましい。
【0034】またシランカップリング剤の配合時に反応
を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わな
い。添加される触媒としては、例えば反応性及び重合安
定性の点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ
塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アル
コキシド等の錫化合物を用いることが可能である。これ
らの触媒は、配合時に直接添加してもよく、またメタノ
ール等の溶媒に溶かして添加しても良い。
【0035】プライマー層2を形成するためのプライマ
ー溶液(複合物)の調液法としては、前記したシランカ
ップリング剤とアクリルポリオールを混合し、溶媒、希
釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化
合物と混合して複合溶液を作製する方法、または予めシ
ランカップリング剤を溶媒中に混合しておき、その後ア
クリルポリオールを混合させたものに溶媒、希釈剤を加
えて任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物を
加えて複合溶液を作製する方法等ある。
【0036】また、この複合溶液に各種添加剤、例え
ば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金
属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩
等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイ
ト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触
媒、架橋反応促進剤、充填剤等を必要に応じて添加する
ことも可能である。
【0037】プライマー層2の厚さは、均一に塗膜が形
成することができれば特に限定しない。しかし、乾燥膜
厚は一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ま
しい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得ら
れにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μ
mを越える場合は塗膜にフレキシビリティを保持させる
ことができず、加熱や外力等の外的要因により塗膜に亀
裂を生じる恐れがあるため好ましくない。従ってプライ
マー層2の厚さとしては、0.05〜0.5μmの範囲
内にあることが好ましい。
【0038】プライマー層2の形成方法としては、例え
ばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリー
ン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフ
エッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を
用いることができる。この時の乾燥条件は、一般的に設
定されている条件が設定され得る。
【0039】一方、本発明におけるガスバリア層6は、
レトルト、ボイル等の加熱処理後も剥離が発生せず、所
期のガスバリア性を維持できるようにした構成の層であ
り、後述する三層構成にすることによりその目的を達成
し得るものである。
【0040】以下、本発明におけるこのガスバリア層6
を構成する各層についてさらに詳細に説明する。まず、
ガスバリア層6を構成する第一の層である、無機酸化物
からなる蒸着薄膜層3を説明する。この無機酸化物から
なる蒸着薄膜層3は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸
化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物等の無
機酸化物の蒸着薄膜からなり、透明性を有し、且つ加熱
殺菌処理等の加熱処理をしても酸素、水蒸気等に対する
ガスバリア性が損なわれることのない構成の層であれば
よい。従って、上述した無機酸化物の中では、特に酸化
アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好まし
い。ただし本発明の蒸着薄膜層3の構成材料は、上述し
た無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料で
あればその他の材料を用いることも可能である。
【0041】この蒸着薄膜層3の厚さは、用いられる無
機酸化物の種類・構成により異なってくるが、一般的に
は5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は使用目
的応じて適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であ
ると均一な膜が得られないことや膜厚が十分でないこと
があり、ガスバリア層としての機能を十分に果たすこと
ができない場合がある。また膜厚が300nmを越える
場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができ
ず、成膜後に折り曲げや引っ張り等の外力により、薄膜
に亀裂を生じる恐れがあるので問題がある。より好まし
くは、10〜150nmの範囲内にあることである。
【0042】この無機酸化物からなる蒸着薄膜層3をプ
ライマー層2を形成した基材1上に形成する方法として
は種々在るが、一般的には通常の真空蒸着法により形成
する。しかし、その他の薄膜形成方法であるスパッタリ
ング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法
(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性
を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れてい
る。また真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式
や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用い
ることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮
すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。ま
た蒸着薄膜層3と基材1の密着性及び蒸着薄膜層3の緻
密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオン
ビームアシスト法を用いて成膜することも可能である。
また、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3の透明性を上げ
るために、酸素等の各種ガスなど吹き込んで行う反応蒸
着を用いても一向に構わない。
【0043】次いで、ガスバリア層6を構成する第二の
層であるガスバリア性被膜層4を説明する。このガスバ
リア性被膜層4は、水溶性高分子と1種以上の金属アル
コキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/
アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤をによ
り形成される。コーティング剤としては、例えば、水溶
性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で
溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め
加水分解させるなどの処理を行ったものを混合した溶液
を使用する。この溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜
層3上にコーティング後、加熱乾燥してこのガスバリア
性被膜層4を形成する。
【0044】続いて、このコーティング剤に含まれる各
成分について更に詳細に説明する。コーティング剤に用
いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウ
ム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、
PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合
にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいう
PVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られる
ものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数十%残
存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数
%しか残存していない完全PVA等用いることができる
が、これ以外のものを用いても一向に構わない。
【0045】また金属アルコキシドは、一般式、M(O
R)n (M:Si、Ti、Al、Zr等の金属、R:
CH3、C26等のアルキル基)で表せる化合物であ
る。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC
264〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al
(O−2’−C373〕などが挙げられ、中でもテト
ラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが
加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるの
で好ましい。
【0046】この溶液中にガスバリア性を損なわない範
囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、
或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公
知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
【0047】コーティング剤の塗布方法としては、通常
用いられるディッピング法、ロールコーティング法、ス
クリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従
来公知の方法を用いることが可能である。
【0048】上記したコーティング剤と塗布方法によっ
て形成するガスバリア性被膜層4の厚さは、コーティン
グ剤の種類や加工機や加工条件等によって最適条件が異
なり、特に限定されるものではない。但し乾燥後の厚さ
が、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られな
く十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ま
しくない。また厚さが50μmを超える場合は塗膜にク
ラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ま
しくは0.01〜50μmの範囲にあることが好まし
く、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあること
である。
【0049】そして最後にガスバリア層6を構成する第
三の層である応力・水分緩和層5を説明する。本発明の
ガスバリアフィルム積層体は、印刷を施したり、接着剤
層やシーラント層をさらに設けて包装体や包装容器等と
して供され、場合によってはさらにボイル殺菌やレトル
ト殺菌等の加熱処理が施される。この時、包装体等を構
成するガスバリアフィルム積層体は接着剤層やシーラン
ト層等からの応力や水分の影響を受け層間剥離やガスバ
リア性の低下見られることがある。この応力・水分緩和
層5は、バリア低下の要因であると思われるボイル殺菌
やレトルト殺菌等の各種加熱処理等の際に起こる接着層
やシーラント層等からの応力や水分の影響を緩和し、ガ
スバリア層6を構成する第一の無機酸化物からなる蒸着
薄膜層3と第二のガスバリア性被覆層4を保護すること
を目的に設けられるものである。
【0050】従って、応力・水分緩和層5の構成材料と
して用いることができるのは、ガスバリア性被膜層4と
の密着性に優れ且つ応力や水分の影響を緩和することが
できる材料であれば特に限定されるものではなく、例え
ばポリエステル系樹脂、ポリエポキシ系樹脂、ポリウレ
タン系樹脂、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂、ポリ
エーテル系樹脂、シランカップリング剤等またはそれら
の混合物を挙げることができる。これらの中でアクリル
ポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリ
ング剤からなるポリウレタン系複合物を用いた場合、物
性が最も優れるのでより好ましい。
【0051】以下、このポリウレタン系複合物について
さらに詳細に説明する。アクリルポリオールとは、アク
リル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合
物もしくは、アクリル酸誘導体モノマー及びその他のモ
ノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、
末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシ
アネート化合物のイソシアネート基と反応させるもので
ある。中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、
ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸誘導体
モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその
他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが
好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反
応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOH
mg/g)の間であることが好ましい。
【0052】またイソシアネート化合物とは、アクリル
ポリオールと反応してできるウレタン結合によりガスバ
リア性被膜層4との密着性を高めるために添加されるも
ので、主として架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
これを達成するためにイソシアネート化合物としては、
芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系の
キシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイ
ソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネー
ト(IPDI)等のモノマー類と、これらの重合体、誘
導体が用いられる。これらは単独でまたは混合物として
用いられる。この中では、脂肪族系のものであることが
より好ましい。
【0053】アクリルポリオールとイソシアネート化合
物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシア
ネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があ
り、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工
上問題となる。そこでアクリルポリオールとインソシア
ネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物
由来のイソシアネート基がアクリルポリオール由来の水
酸基の50倍以下であることが好ましくい。特に好まし
いのはイソシアネート基と水酸基が等量で配合される場
合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限
定しない。
【0054】さらにシランカップリング剤としては、任
意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いるこ
とができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グ
リシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップ
リング剤或いはその加水分解物の1種ないしは2種以上
の混合物を挙げることができる。
【0055】さらにこれらのシランカップリング剤のう
ち、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート
化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つもの
が特に好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルト
リエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメ
トキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)−
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニル
アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を
含むもの、さらにγ―グリシドオキシプロピルトリメト
キシシランやβ―(3,4―エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含む
もの等で、これらが単独または2種以上の混合物で用い
ることができる。
【0056】これらのシランカップリング剤は、一端に
存在する有機官能基がアクリルポリオールとイソシアネ
ート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、もしく
はそのアクリルポリオールの水酸基またはイソシアネー
ト化合物のイソシアネート基と反応する官能基と共有結
合をもたせることによりさらに寸法安定性に優れた層を
形成し、他端のアルコキシ基等の加水分解によって生成
したシラノール基がガスバリア性被膜層4中の金属アル
コキシドや水溶性高分子の活性の高い水酸基等と強い相
互作用によりガスバリア性被膜層4との高い密着性を発
現するように加えるものである。また上記シランカップ
リング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等に
なっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、
クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基
を形成するものであればこの複合物に用いることができ
る。
【0057】アクリルポリオールとシランカップリング
剤の配合比は、重量比で1/1から100/1の範囲で
あることが好ましく、より好ましくは2/1から50/
1の範囲にあることである。
【0058】配合する際の溶解および希釈溶媒として
は、前記アクリルポリオールとイソシアネート化合物及
びシランカップリング剤を溶解および希釈可能であれば
特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケ
トンなどのケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類等が単独および任意に配合された溶媒を用いる
ことができる。しかし、シランカップリング剤を加水分
解するために塩酸や酢酸等の水溶液を用いることがある
ため、共溶媒としてイソプロピルアルコール等と極性溶
媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いること
がより好ましい。
【0059】またシランカップリング剤の配合時に反応
を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わな
い。添加される触媒としては、例えば反応性及び重合安
定性の点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ
塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アル
コキシド等の錫化合物を用いることが可能である。これ
らの触媒は、配合時に直接添加してもよく、またメタノ
ール等の溶媒に溶かして添加しても良い。
【0060】応力・水分緩和層5は、以上に説明したア
クリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカ
ップリング剤を任意の配合比で混合して作成した複合溶
液をガスバリア性被膜層4上にコーティングして形成す
る。その複合溶液の製作法としては、シランカップリン
グ剤とアクリルポリオールを混合し、溶媒、希釈剤を加
えて任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と
混合する方法、または予めシランカップリング剤を溶媒
中に混合しておきその後にアクリルポリオールを混合さ
せたものに溶媒、希釈剤を加えて任意の濃度に希釈した
後、イソシアネート化合物加える方法等がある。またコ
ーティングの際、この応力・水分緩和層5は別機にて単
独で塗工しても良いし、ガスバリア性被膜層4を塗工後
インラインにて連続的に塗工するようにしても構わな
い。塗工方法は、グラビア印刷法等の公知の方法等が用
いることが可能である。
【0061】このコーティング液のは各種添加剤、例え
ば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金
属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩
等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイ
ト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触
媒、架橋反応促進剤、充填剤等を必要に応じて添加する
ことも可能である。
【0062】応力・水分緩和層5の厚さは、用いられる
種類によりその最適条件が異なるが、応力や水分の影響
が緩和できる範囲に限定されていれば特に限定しない。
しかし、厚さが0.1μmより薄いと均一な塗膜が得ら
れにくく、応力や水分に対する緩和効果が低下する場合
があるので好ましくない。また厚い場合緩和効果は十分
であるがコスト的な問題がある。一般的には乾燥厚さで
0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましく、より
好ましくは0.3〜5μmの範囲内にあることである。
【0063】本発明においては、さらに応力・水分緩和
層5上に他の層を積層することも可能である。例えば印
刷層、介在フィルム、ヒートシール層等である。
【0064】印刷層は包装袋等の製袋用の包装材料とし
て供するために形成されるものである。例えば、ウレタ
ン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系等の従
来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔
料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤等
が添加されてなるインキにより構成される層である。こ
の印刷により、文字、絵柄等が形成される。形成方法と
しては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シ
ルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコ
ート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知
の塗布方式を用いることができる。印刷層の乾燥膜厚
(固形分)は0.1〜2.0μm程度で良い。
【0065】また介在フィルムは、応力・水分緩和層5
と製袋等のために設けるヒートシール層の間に設けるこ
とで、袋状包装材料時の破袋強度や突き刺し強度を高め
るために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安
定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピ
レンフィルム等から選ばれる。厚さは、材質や要求品質
に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範
囲である。積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹
脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法
等の公知の方法が適用できる。
【0066】さらにヒートシール層は袋状包装体などを
形成する際に接着層として設けられるものであるが、例
えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチ
レン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合
体及びそれらの金属架橋物等の樹脂により形成される。
厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜2
00μmの範囲である。形成方法としては、上記樹脂か
らなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂など
の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を
用いることが一般的であるが、それ以外の公知の方法に
より積層することも可能である。
【0067】
【実施例】以下に、本発明のレトルト性を有するガスバ
リアフィルム積層体を具体的な実施例を挙げて更に説明
する。
【0068】〈プライマー溶液の調整〉希釈溶媒(酢酸
エチル)中、γ−イソシアネートプロピルトリメチルシ
ラン1重量部に対し、アクリルポリオール10重量部を
混合し攪拌した。次いでイソシアネート化合物としてX
DIとIPDIの7対3混合物をアクリルポリオールの
水酸基に対しこのイソシアネート化合物のイソシアネー
ト基が等量となるように加えた。この混合溶液を添加化
合物の総濃度として2重量%となるように希釈したもの
をプライマー溶液として用いた。
【0069】〈ガスバリア性被膜溶液の調整〉下記に示
す液と液を配合比(wt%)で6/4に混合したも
のを、ガスバリア性被膜溶液として用いた。 液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1
N)89.6gを加え、30分間撹 拌し加水分解させ
た固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液 液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピ
ルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比
で90:10)
【0070】〈応力・水分緩和層形成溶液の調整〉希釈
溶媒(酢酸エチル)中に、γ−イソシアネートプロピル
トリメチルシランが1重量部に対し、 アクリルポリオ
ールを10重量部の割合で混合し、攪拌した。次いでイ
ソシアネート化合物としてXDIとIPDIの7対3混
合物をアクリルポリオールの水酸基に対しこのイソシア
ネート化合物のイソ シアネート基が等量となるように
加えた。この混合溶液を添加化合物の総濃度として10
重量%となるように希釈したものを応力・水分緩和層形
成溶液として用いた。
【0071】〈実施例1〉基材1として、厚さ12μm
の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)を用
い、この片面に、上述したプライマー溶液をグラビアコ
ートにより塗布乾燥し、厚さ0.1μmのプライマー層
2を形成した。次いで電子線加熱方式による真空蒸着装
置により、金属アルミニウムを蒸発させそこに酸素ガス
を導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウム蒸着薄膜
(無機酸化物からなる蒸着薄膜層3)を形成した。次い
で上述したガスバリア性被膜溶液をグラビアコート法に
より塗布乾燥し、厚さ0.4μmのガスバリア性被膜層
4を形成した。さらに上述した応力・水分緩和層形成溶
液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ24μm
の応力・水分緩和層5を形成し、本発明のレトルト性を
有するガスバリアフィルム積層体を得た。
【0072】〈実施例2〉無機酸化物からなる蒸着薄膜
層2が、抵抗加熱方式による真空蒸着方式により形成し
た、厚さ約70nmの酸化珪素からなる層である以外は
実施例1と同様の条件にて実施例2に係るレトルト性を
有するガスバリアフィルム積層体を得た。
【0073】〈実施例3〉応力・水分緩和層5の厚さを
0.5μmとした以外は実施例1と同様の条件にて実施
例3に係るレトルト性を有するガスバリアフィルム積層
体を得た。
【0074】〈比較例1〉応力・水分緩和層を設けなか
った以外は実施例1と同様の条件にて比較例1に係るフ
ィルム積層体を得た。
【0075】〈ドライラミネート〉実施例及び比較例の
フィルム積層体の蒸着薄膜層側にヒートシール層とし
て、厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルムから
なる層を2液硬化型ウレタン系接着剤を介してドライラ
ミネート法により積層し包装材料を作製した。
【0076】〈テスト〉上述のようにして得られた包装
材料を用いて4辺をシール部とするパウチを作製し、そ
の中に内容物として水150gを充填した。その後、1
21℃−30分間のレトルト殺菌を行った。そして、レ
トルト前後の酸素透過率(単位:cm3/m2/day、
測定条件:30℃−70%RH)を測定し、評価を行っ
た。その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】実施例に係るフィルム積層体に対して比較
例のものは前述した包装材料として用いられる条件とし
た、内容物を直接透視することが可能なだけの透明性、
内容物に対して影響を与える気体等を遮断する金属箔並
の高度なガスバリア性及び各種加熱殺菌処理等の加熱処
理後におけるガスバリア性の保持特性を全て満たすもの
ではないが、実施例はそれらを全て満たしていると言え
る。
【0079】
【発明の効果】本発明は、透明性に優れ、収納されてい
る内容物の確認が可能で、且つボイル殺菌やレトルト殺
菌後も剥離が発生せずに金属箔を積層してなる包装材料
並の高度なガスバリア性を保持できる、極めて実用性の
高い包装材料である。そして、包装分野において巾広い
使用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレトルト性を有するガスバリアフィル
ム積層体の断面構成説明図である。
【符号の説明】
1 プラスチック基材 2 プライマー層 3 無機酸化物からなる蒸着薄膜層 4 ガスバリア性被膜層 5 応力・水分緩和層 6 ガスバリア層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA00C AA19C AA20C AH06B AH06H AH06K AH08D AK01A AK01D AK21D AK25B AK51B AK52D AR00E BA05 BA07 BA10A BA10E CA30B EH66C EJ65B GB23 GB66 JB09D JC00 JD02 JD02D JJ03 JK11E JK20E JM02C JN01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック材料からなる基材の少なくと
    も片面に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物
    及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマ
    ー層が設けてあり、さらに無機酸化物からなる蒸着薄膜
    層、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたは
    その加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合
    溶液を塗布し加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層、及
    び応力・水分緩和層を順次積層してなるガスバリア層が
    設けてあることを特徴とするガスバリアフィルム積層
    体。
  2. 【請求項2】前記シランカップリング剤が、アクリルポ
    リオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシ
    アネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持
    つことを特徴とする請求項1記載のガスバリアフィルム
    積層体。
  3. 【請求項3】前記シランカップリング剤に含まれる有機
    官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基の
    いずれかであることを特徴とする請求項2記載のガスバ
    リアフィルム積層体。
  4. 【請求項4】前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸
    化珪素或いはそれらの混合物のいずれかであることを特
    徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス
    バリアフィルム積層体。
  5. 【請求項5】前記金属アルコキシドが、テトラエトキシ
    シランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いは
    それらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求
    項1乃至請求項4のいずれかに記載のガスバリアフィル
    ム積層体。
  6. 【請求項6】前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコー
    ルであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいず
    れかに記載のガスバリアフィルム積層体。
  7. 【請求項7】前記応力・水分緩和層が、アクリルポリオ
    ールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤
    との複合物から形成されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項6のいずれかに記載のガスバリアフィルム
    積層体。
  8. 【請求項8】前記シランカップリング剤が、アクリルポ
    リオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシ
    アネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持
    つことを特徴とする請求項7記載のガスバリアフィルム
    積層体。
  9. 【請求項9】前記シランカップリング剤に含まれる有機
    官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、アミノ基の
    いずれかであることを特徴とする請求項7または請求項
    8に記載のガスバリアフィルム積層体。
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