JP2013032186A - 開封性の優れたバリア性を有する包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材層、バリア層およびシーラント層を有する包装用積層フィルムから形成された包装袋において、包装袋のバリア性は維持しつつ、開封性に優れる包装袋を提供する。
【解決手段】包装用積層フィルムは、少なくとも一方の横側部に、包装袋の開封を容易にするための傷痕加工部(3,3’)を所定の長さと幅で有するものであり、前記傷痕加工部は、袋の外面側である前記基材層に存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものであり、前記傷痕加工部の所定の長さが、包装袋の他方の横側部には達しない長さとすること。
【選択図】図1

Description

本発明は、開封性の優れたバリア性を有する包装袋、とくに、ラミネートフィルムから形成され、スナック菓子等の食品を包装した、開封性に優れ、バリア性を有する包装袋に関する。
スナック菓子等の食品は、水蒸気・酸素遮断性を有する包装用積層フィルムから形成された袋に充填され、ヒートシールにより密閉されて流通している。包装フィルムは、強靭であり、また、ヒートシール部の接着力も高いため、消費者にとって袋の開封は必ずしも容易ではなかった。開封性を高めるために、ヒートシール部を形成するシーラント層をイージーピール性組成物にするとか、特許文献1および2に示されているような、袋表面に傷痕加工を施した例がある。
図8には、特許文献1に開示されている傷痕加工部群が設けられた包装袋の例を示した。図8の包装袋では、縦シール部(A1)と横シール部(A2)とを有しており、縦シール部(A1)には、傷痕加工部(A3)が縦方向全長にわたって設けられている。この例では、バリア性を確保するため、傷痕加工する部位が縦シール部に限定されているが、縦シール部に傷痕加工を施した場合には、開封性が不十分という問題があり、また、縦シール部を開封した場合には、袋の中の品物を小出しにできないという問題があった。
また、特許文献2に開示された包装用積層フィルムは、横1軸延伸ポリプロピレンフィルムと低密度ポリエチレン樹脂とから構成されているだけで、バリア層がなく、また、傷痕加工がシール部以外の領域に縦方向全長にわたって行われているため、特許文献1の包装袋に比べて、開封性が向上しているが、酸素、水蒸気遮断性に乏しいものであった。
特公平6−51487号公報 特開2000−7016号公報
本発明の課題は、バリア層を有する包装用積層フィルムから形成された包装袋に、バリア性を確保しながら、袋を容易に横方向から開封することのできる包装袋を提供することである。
上記課題は、下記本発明により解決される。
基材層、バリア層およびシーラント層を有する包装用積層フィルムから形成された包装袋において、
前記包装用積層フィルムは、少なくとも一方の横側部に、包装袋の開封を容易にするための傷痕加工部を所定の長さと幅で有するものであり、
前記傷痕加工部は、袋の外面側である前記基材層に存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものであり、
前記傷痕加工部の所定の長さが、包装袋の他方の横側部には達しない長さであることを特徴とする包装袋である。
上記発明において、前記シーラント層が、低融点ポリマーを含み、前記基材層が、二軸延伸フィルム層を含んでいることが好ましい。
前記シーラント層は、無延伸低密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどから構成されていることが好ましい。
また、前記シーラント層は、低融点ポリマーと無機フィラーとを混練して形成した無延伸フィルムであってもよい。
また、前記シーラント層は、低融点ポリマーとバリア性を有するポリマーとを混練して形成したフィルムであってもよい。前記バリア性を有するポリマーは、好ましくは、エチレンビニルアルコール樹脂および/またはナイロン等である。
前記シーラント層は、低融点ポリマー層と、無機フィラー、エチレンビニルアルコール樹脂及びナイロンの群からなる化合物の少なくともいずれかを混練したポリマー層との多層構造にすることにより、低温シール性と、無機フィラー混練による開封性の向上またはバリア性を有するポリマー混練によるバリア性の向上とを兼ね備えることができる。
前記傷痕加工部は、微細な傷痕群からなるものであることが好ましい。また前記傷痕加工部に、所定深さのスリットが形成されていることが好ましい。
前記包装用積層フィルムが、一方の面に印刷層が形成された基材層、一方の面に蒸着層が形成された基材層とを、前記印刷層と前記蒸着層とを接着剤または共押出しポリマー層を介して積層した印刷蒸着基材層フィルムの所定個所に傷痕加工を施した後、前記印刷蒸着基材層フィルムに、シーラント層フィルムを積層したものであることが好ましい。
前記印刷層は、前記包装用積層フィルムの基準位置を示すアイマークを有しており、前記傷痕加工の位置は、前記アイマークを基準にして定められていることが好ましい。
前記包装袋の少なくとも一方の横側部に、所定の長さと幅の前記傷痕加工が施されるものであって、前記所定の長さが、前記縦シール部に達していない長さであることが好ましい。
また、二軸延伸フィルムを含む基材層、蒸着層、および低融点ポリマーを含むシーラント層を具備し、少なくとも基材層の所定個所に傷痕加工が行われた包装用積層フィルムを筒状に成形して縦シールを行い、しかるのち、所定間隔で横シールを行って形成された包装袋において、前記傷痕加工部が、前記横シール部を含むシール部によって、傷痕加工が施されていない箇所とは区画されている包装袋も本発明に含まれる。
(第2の発明)
なお、傷痕加工部が、前記横シール部を含むシール部によって、傷痕加工が施されていない箇所とは区画されている場合には、前記傷痕加工は、前記基材層だけでなく、シーラント層にも及んでいてもよい。
本発明では、包装袋の開封を容易にするための傷痕加工部が、断面方向に関して、袋の外面側である前記基材層に存在するが、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものであり、かつ平面方向に関して、その長さを包装袋の他方の横側部には達しない長さに制限することで、局部的に傷痕加工部が形成されるものとしたため、包装袋としてのバリア性の低下は最小限に抑えられつつ、包装袋の開封性が向上する。
本発明では、印刷基材層/蒸着基材層からなる印刷蒸着材層に傷痕加工を施して形成された印刷蒸着基材層フィルムに、シーラント層フィルムを積層するので、シーラント層に傷痕加工部のない包装用積層フィルムを得ることができる。
また、本発明では、基材層/印刷層とからなる印刷基材層フィルムに傷痕加工を施し、かかるフィルムに、低融点ポリマー層/前記低融点ポリマーよりも融点の高いポリマーから形成された層/蒸着層とからなる蒸着シーラント層フィルムとを積層することにより、バリア性を低下させることなく、開封性を高めることができる。
さらに、本発明では、所定箇所の傷痕加工が、印刷層のアイマークを基準にして行われるようにすると、包装袋の特定位置に正確に傷痕加工を行うことができるので、小面積の傷痕加工で効果的に開封性を与えることができ、傷痕加工によるバリア性の低下をより一層抑えることができる。
本発明では、基材層、印刷層、蒸着層およびシーラント層を有する包装用積層フィルムから包装袋を製造する過程において、傷痕加工を、深さを厳密にコントロールしながら施し、しかるのち、品物を充填しながら横シールを行うことにより、包装袋の製造過程で傷痕加工を行いながら、包装袋の製造を行うことができる。
また、本発明では、シーラント層フィルムを形成するにあたり、バリア性のポリマー(エチレン酢酸ビニル樹脂等)を低融点ポリマーに混練して、ストレッチをかけながらフィルム成形することで、シーラント層にもバリア性を付与でき、バリア性を有しながら、開封性を高めることができる。
また、本発明では、シーラント層形成ポリマーに、無機フィラーを混練してシーラント層フィルムを形成した場合には、シーラント層フィルムが低伸度で破断するようになるので、開封性をより高めることができる。
また、本発明では、蒸着層を含む基材層フィルムとシーラント層フィルムとの積層にバリア接着剤を用いた場合には、蒸着層の所定箇所に傷痕加工された場合にも、バリア性の低下を最小限に抑えることができる。
更に前記傷痕加工部が、前記横シール部を含むシール部によって、他の部位と区画されている構成を採用すれば、傷痕加工部が、前記基材層だけでなく、シーラント層に達する深さである場合でも、開封性がよく、しかもバリア性の低下のない包装袋を得ることができる。
包装袋長さ方向中央部で側端部に傷痕加工部を有する本発明実施形態の一例に係る包装袋の平面図である。 横シール部近傍であって、包装袋の側端部に傷痕加工部を有する本発明実施形態の他の一例に係る包装袋の平面図である。 図2の傷痕加工部が横シール部と保護シール部に取り囲まれている、本発明実施形態の他の一例に係る包装袋の平面図である。 図3の変形例を示す平面図である。 図3に示される傷痕加工部に切り込みが設けられている、本発明実施形態の他の一例に係る包装袋の平面図である。 図3の変形例を示す平面図である。 図1の変形例であって、傷痕加工部が横シール部から離れた部位にも設けられている、本発明実施形態の他の一例に係る平面図である。 従来の傷痕加工が施された包装袋の平面図である。 本発明の包装袋を製造するために用いられる縦型包装機を示す概略図である。
(包装用積層フィルム)
本発明において包装袋を製造するために用いられる包装用積層フィルムを構成する基本要素は、シーラント層、基材層および該シーラント層と基材層との間に設けられたバリア層(金属または無機酸化物蒸着層、エチレンビニルアルコール樹脂層等)である。本発明においては、基材層の所定箇所に傷痕加工部が設けられたフィルムを使用して、シーラント層フィルムと積層して得られた包装用積層フィルムが用いられる。本発明においては、包装用積層フィルムには、印刷層が設けられていることが好ましく、この印刷層には、袋長さを一定にするために所定間隔でアイマークが印刷されているが、基材層の所定箇所に傷痕加工を施すために、このアイマークを利用して傷痕加工部の位置決めを行うことができる。
(基材層フィルム)
本発明の包装袋を形成するために使用される包装用積層フィルムにおいて、包装用積層フィルムに機械的強度を与える基材層フィルムには、引張り強度が高く、適度な硬さを有し、蒸着層形成および袋形成時のヒートシールに耐える耐熱性があることが要求され、また低コストであることが好ましいから、通常の包装用積層フィルムと同様に、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリ乳酸フィルム等の二軸延伸フィルムが用いられる。二軸延伸ポリプロピレンフィルムとしては、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPH)も本発明において好ましく用いられる。基材層フィルムの厚さは、通常10〜70μm程度である。かかる基材層フィルムへの傷痕加工については、後述する。
(シーラント層フィルム)
本発明の包装袋を形成するために使用される包装用積層フィルムにおいて、包装用積層フィルムにヒートシール性を与えるシーラント層としては、160℃以下、好ましくは、120℃以下の低い温度で溶融する低融点ポリマー層であることが好ましい。このようなポリマーとして、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、メタロセン触媒で重合した直鎖低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン無延伸フィルムなどが用いられることができる。このほかヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPH)などを用いることもできる。無延伸ポリプロピレンおよびヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレンのヒートシーラブル層には、低融点で溶融できるように、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、ブテン等)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン触媒で重合した直鎖低密度ポリエチレン等)、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む層が形成されていることが好ましい。また、シーラント層を構成するポリエチレンは、単層でも複層でもよい。複層の例としては、上記の直鎖低密度ポリエチレン層と低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンとの共押出成形物などが挙げられる。シーラント層は、上記のようにポリオレフィンだけでなく、低融点ポリエステルで形成されていてもよい。低融点ポリエステルとしては、例えばイーストマンコダック社のエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジオールとの共重合ポリエステルを挙げることができる。前記シーラント層の厚みとしては、20〜50μmが好ましい。
本発明においては、開封性の向上は、基材層の所定領域に傷痕加工部を設けることにより達成されるが、開封性をさらに高めるために、シーラント層を構成するフィルムを、前述の低融点ポリマーに無機フィラーを混合して形成することが好ましい。かかる無機フィラーとしては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられ、かかるフィラーの混合量としては10〜30重量%が好ましい。この場合には、シーラント層を多層化し、無機フィラー混練低密度ポリエチレン/メタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレンの2層構造としてもよい。2層構造のシーラント層フィルムは、それぞれの層を共押出し成形することにより得ることができる。
また、本発明においては、基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工部を設ける位置、長さ、幅、深さなどを制限することで包装袋としてのバリア性の低下を極力抑えているが、蒸着層が形成された基材層フィルムに傷痕加工部を設ける場合、前記傷痕加工部が蒸着面にまで達することがあり、この部分において、バリア性の低下が発生する場合がありうる。そこで包装袋のバリア性を蒸着層だけに依存するのではなく、本発明においては、バリア性を付与したシーラント層を用いることもできる。シーラント層に酸素バリア性を付与する方法としては、低融点ポリオレフィンポリマーに、エチレンビニルアルコール共重合体および/またはナイロン等を混練してフィルムを形成・延伸したフィルムは、低融点ポリマー層中に、エチレンビニルアルコールポリマーやナイロンが薄い層状(フレーク状)になって存在し、この層状のエチレンビニルアルコールまたはナイロンにより、シーラント層フィルムには、酸素に対するバリア性が付与される。エチレンビニルアルコール、ナイロンの混練量としては、低融点ポリオレフィンポリマー100重量%に対して、10〜30重量%が好ましい。低融点ポリマーにエチレンビニルアルコール樹脂、ナイロンの混練は公知の方法で行うことができ、例えば特開平3−130125号公報などで開示されている。この場合には、シーラント層を多層化することが好ましく、たとえば、メタロセン直鎖低密度ポリエチレンと、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを混練した高密度ポリエチレンとを共押出し成形して2層化されたフィルムを形成し、軟化温度の差を利用しながら、高密度ポリエチレン側のみに延伸効果を発現させてバリア性を付与するとともにメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン層側により低温シールを可能にすることができる。
(バリア層の形成)
本発明において用いられる包装用積層フィルムにおけるバリア層としては、通常行われているように、金属(アルミニウム、鉄、マグネシウム等)または無機酸化物(アルミナ、酸化ケイ素等)の蒸着層が、基材層とシーラント層の間に形成される。上記蒸着層の形成は、基材層フィルムが蒸着に耐える耐熱性を有していることから、基材層フィルム上に形成するのが好ましい。また、シーラント層フィルム側に形成する場合には、低融点シーラント層上に形成することもできるが、低融点のシーラント層上に、それよりも融点の高いポリエステル等のポリマー層を積層し、そのポリマー層上に蒸着層を形成する方が好ましい。蒸着層の厚さは、通常30〜150nmである。
(印刷層の形成)
包装袋には商品名をはじめ購入者の視覚に訴えて購買欲を持たすため、包装袋には一般的に印刷が行われる。すなわち包装用積層フィルムには通常印刷層が形成されている。前述の蒸着層がアルミニウム等の金属で形成された場合、該蒸着層は不透明であるので、印刷内容が外側から見えるように、印刷用は蒸着層の外側に形成されることが好ましい。かかる構成の包装用積層フィルムとするには、印刷層を形成した基材層フィルムと蒸着層を形成した基材層とを積層して印刷蒸着基材層フィルムを形成し、印刷層側を外側にして使用するのが好ましい。
(傷痕加工部)
本発明の包装袋おいては、包装袋の開封性を高めるため、包装用積層フィルムに傷痕加工部を設けるものであるが、その一方で、包装袋としてのバリア性の低下は、最小限に抑えるために、前記傷痕加工部を設ける位置、長さ、幅、深さなどが、制限されているものである。
前記傷痕加工部の位置としては、包装袋の横側部に形成される。なお、横側部であれば、一方のみに形成しても両方に形成しても良い。前記傷痕加工部の長さとしては、包装袋の他方の横側部には達しない長さとする。更に袋の中心に縦シール部がある場合は、該縦シール部に達しない長さとすることが好ましい。前記傷痕加工部の具体的な長さや幅としては、一例として幅135mm、長さ200mmの包装袋の場合、横側面における幅としては、10〜20mmが好ましく、横側部からの長さとしては、15〜50mmとすることが好ましい。なお、袋の幅、長さが異なっても、傷痕加工部は、ほぼ上記の寸法で行われることが好ましい。前記傷痕加工部の深さとしては、袋の外面側である前記基材層にのみ存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものとする。シーラント層に傷痕加工部が存在しないことにより、包装袋のシール性が維持される。ただし、傷痕加工部が、横シール部を含むシール部によって、(すなわち、保護シール部によって、或いは横シール部と保護シール部によって、)該傷痕加工部の周囲が、傷痕加工部以外の部位と区画されている場合などでは、前記傷痕加工部の深さは、シーラント層まで達するものであってもよい。前記横シール部を含むシール部が、包装袋としてのバリア性を維持するからである。なお、本様態の包装袋において、傷痕加工部の部位に、更に保護シール部を設けると、バリア性維持の安全性が更に向上する。
また、傷痕加工部は、通常、包装袋の片側の側端部に設けられるが、包装袋のどちら側からでも開封を容易にするため、包装袋の両側に傷痕加工部を設けることもできる。更に包装袋の一方の側端部に、複数箇所の傷痕加工部を設けることもできる。例えば袋の長さが長い場合には、傷痕加工部を複数箇所設けることにより、好みの位置で袋を開封できるようになる。更に、消費者が開封位置を容易に把握できるように、傷痕加工部を他の部位とは異なる印刷を施すこともできる。
(傷痕加工)
本発明においては、傷痕加工部を設ける位置、長さ、幅、深さに上記のような制限を設けたため、基材層フィルムの全体に傷痕加工を行うことはできず、所定位置に限って傷痕加工を行わなければならない。そのような所定位置にのみ傷痕加工部を設けるために、基材層フィルムへ印刷を行う際に、該基材層フィルムの所定間隔ごとにアイマークを印刷しておき、該アイマークを基準として、事前にインプットしておいたプログラムに基づき傷痕加工を行うことにより、所定の位置、長さ、幅の傷痕加工部が得られるようにコントロールすることができる。
基材層フィルム面への傷痕加工は、特許文献1、2に記載されたような公知の方法及び装置により行うことができる。一例を挙げると、外周面上に多数の突起刃を形成した金属製円盤と、ゴムを被覆した受けロールとの間に、連続的にフィルムを通してフィルムを押圧することにより傷痕加工を行うことができる。この場合には、押圧されたフィルム面に微細な傷痕加工部群が形成される。また、外周面に単一または複数の刃を形成したロールと他の円滑な面を有するロールとの間に、フィルムを連続的に通して、フィルム面に所定深さの単一または複数のスリットを形成することにより傷痕加工を行うこともできる。
傷痕加工されるフィルムとしては、二軸延伸ポリプロピレンまたは二軸延伸ポリエステルフィルムの基材層フィルムの片面に印刷層を形成した印刷基材層フィルムと前記と同様の二軸延伸フィルムに蒸着層を形成した蒸着基材層フィルムとを積層したもの、あるいは、蒸着基材層を積層していない印刷基材層フィルムに、傷痕加工を施すのが好ましい。傷痕加工が施された基材層に、シーラント層フィルムまたは蒸着シーラント層フィルムが積層されて、本発明で用いられる包装用積層フィルムが得られる。
また、二軸延伸フィルムに印刷層、蒸着層を形成し、さらに、シーラント層を積層した包装用積層フィルムに、所定深さの傷痕加工を行って、基材層のみを傷痕加工が施された包装用積層フィルムを得ることができる。この場合には、傷痕加工を、基材層フィルムとシーラント層フィルムとの積層工程後に行って、その後、所定のフィルム幅にスリット加工を行ってもよく、また、積層後所定幅にスリットしたフィルムを、包装工程でフィルムロールから巻きだしながら、傷痕加工を行って、包装機に供給してもよい。
(ラミネート工程)
上記のようにして形成した、基材層フィルムの片面に印刷を施し、その上にアンカーコートとなる接着剤またはポリエチレンの押出成形等により形成されたポリマー層を設けた上で、蒸着層を形成した基材層フィルムと、シーラント層フィルムとを、接着剤を介してドライラミネートを行うか、ポリエチレンを押し出しながらサンドイッチラミネートにより積層して本発明に用いられる包装用積層フィルムを得ることができる。
また、別の態様としては、基材層フィルムの片面に印刷層を形成し、一方、低融点シーラント層フィルムより融点の高いポリマー層を積層し、この上に蒸着層を形成し、この蒸着シーラント層フィルムの蒸着面と、前記基材層の印刷面とを、接着剤を介してまたは押出しポリエチレン層を介して、両者を積層して、本発明に用いられる包装用積層フィルムを得ることができる。本発明において用いられる接着剤としては、ポリエーテル/ポリウレタンを主成分とする2液溶液型、芳香族ポリエーテル系、芳香族ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、脂肪族ウレタン系、脂肪族ポリエーテル系のポリマーを溶剤に溶かした接着剤、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンメタクリレート共重合体、エチレンアクリレートリレート共重合体等の熱溶融型の接着剤を用いることができる。また、特開2004−27014号公報に記載されているようなバリア接着剤や三菱瓦斯化学工業株式会社から市販されているマクシーブ(商品名)を使用することもできる。
(包装用積層フィルムの全体構成)
以上のようにして得られた包装用積層フィルムの全体構成例としては、印刷基材層/接着剤層/蒸着基材層/共押出しポリマー層または接着剤層/シーラント層の層構造からなる構成、基材層フィルム/印刷層/接着剤層/蒸着層/高融点ポリマー層/低融点シーラント層の層構成、印刷基材層/接着剤/蒸着基材層/共押出しポリマー層/無機フィラー混練直鎖低密度ポリエチレン層/直鎖低密度ポリエチレン層の層構造からなる構成或いは印刷基材層/接着剤層/蒸着基材層/共押出しポリマー層/エチレンビニルアルコール樹脂混練高密度ポリエチレン層/直鎖低密度ポリエチレン層の層構造からなる構成などが挙げられる。
(包装機)
本発明の包装袋を製造するために使用される包装機としては、通常の縦ピロー包装機が使用可能である。その一例を図9に示す。上記した本発明において用いられる包装用積層フィルムを巻いた巻きロール(図示せず)から、傷痕加工が施された包装用積層フィルム(F)が包装機(10)に供給される。包装機は、包装用積層フィルムを筒状に成形するための管状フォーマ(13)、筒状に成形された包装用積層フィルムを前記管状フォーマに沿わせながら下方に移送するためのプルダウン機構(14)、筒状になった包装用積層フィルムが長さ方向に重なり合う箇所を管状フォーマ上でシールするための縦シール装置(11)、および縦シールされた筒状の包装用積層フィルムを所定間隔で横シールするための一対の横シール装置(12)から構成されている。プルダウン装置(14)は、一般的にベルト(14c)と該ベルト(14c)を駆動するための複数のローラ(14a,14b、14d)とから構成される。
(袋成形)
上記の包装機を用いて、本発明の包装袋は下記のようにして製造される。包装用積層フィルムを、巻きロールから包装機(10)の管状フォーマ(13)のショルダー部(13a)に供給し、包装用積層フィルムは、ショルダー部(13a)から筒状部(13b)に移行しながら、円筒状に成形される。筒状の包装用積層フィルム(F)は、プルダウンベルト(14)により管状フォーマに沿いながら下方に移行される過程において、縦シール装置(11)により、長さ方向に重なり合う部分が縦シールされる。縦シールの形式としては、包装用積層フィルムの一方の表側端面と他方の裏側端面を重ね合わせてもよく(封筒貼り)、一方の裏側端面(シーラント層側)と裏側端面(シーラント層側)とを重ね合わせてもよい(合掌貼り)。封筒貼りを行う場合には、基材層表面でシールが可能なように、基材層としては、ヒートシーラブル二軸延伸ポリプロピレンフィルムが用いられることが好ましい。
次いで、筒状にされた包装用積層フィルム(F)は、下方に送られ、横シール機構(12)により、横シールが所定間隔で行われ、横シール装置に備えられたナイフにより上下に切り離され、下側は、フォーマ上部から供給されたスナック菓子等の食品(C)が充填された包装袋(B)となり、下方に落下して、包装機下に配置されたコンベア(図示せず)に載せられる。また、上側は、下側端部のみがシールされ、上部が開口した未完成な袋であり、フォーマ上部から落下する食品が充填されながら、次のサイクルで、包装袋の上部がシールされ、完成した袋となる.
本発明においては、基本的に、袋の特定位置において基材層のみに傷痕加工部が施されていなければならないから、包装用積層フィルムが、巻きロールから包装機フォーマに供給される過程において、包装機の傷痕加工装置によって、傷痕加工が施される。包装機にはアイマーク検出センサーが設けられており、該センサーにより該アイマークを検出しながら、該包装袋の所定位置に傷痕加工装置が位置するように、包装用積層フィルムの傷痕加工部の位置と横シール部との位置関係を把握する。把握された情報を基に、横シールが所定位置に行われるように横シール装置の運動がコントロールされ、それとともに傷痕加工装置も所定位置に移動するようにコントロールすることができる。
本発明の傷痕加工部を有する包装袋の実施例を、図面を参照しつつ、以下に述べるが、本発明は図示された様態に限られるものではない。
図1は、本発明にいう傷痕加工部が施された包装袋の一例を示している。図1において、(1)は縦シール部、(2)は横シール部を示している。(3)及び(3’)は、傷痕加工部であり、包装袋の縦方向中央部で側端部に所定の幅で横方向に所定の長さで設けられている。この例では、ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材層として、該基材層フィルムの片面に印刷層を形成し、次いで接着剤を介して既にアルミ蒸着層が形成された他のポリエチレンテレフタレートフィルムのアルミ蒸着面と前記印刷面を積層し、その後、図1に示した位置に傷痕加工部(3)が位置するように、印刷蒸着基材層フィルムの所定位置に傷痕加工が施されている。このような基材層フィルムに、直鎖低密度ポリエチレンフィルムからなるシーラント層フィルムをドライラミネートにより積層して得られる包装用積層フィルムから、包装袋が形成されている。このようにして包装袋の側端部に傷痕加工部(3)を設けることにより、かかる部分から袋を容易に開封することができる。また、傷痕加工部(3)が、包装用積層フィルムの基材層側だけであり、シーラント層側には施されておらず、基材層に施された傷痕加工部(3)も局部的であるので、本発明の包装袋のバリア性は、傷痕加工部を施さないものに比しても遜色がなく、ほぼ同等レベルにある。なお、傷痕加工部は、包装袋の片側の側端部(3)だけでなく、図1において2点鎖線で示したように反対側の側端部(3’)に設けて、包装袋の両側に傷痕加工部を設けたものとのしても良い。
図2で示した包装袋では、三角形状の傷痕加工部(3)が、一方の側端部で横シール部(2)に隣接して設けられている。なお、図2において2点鎖線で示すように、他方の側端部にも傷痕加工部(3’)を設けてもよい。
図3に示した例では、図2で示した傷痕加工部と同様な傷痕加工が施されて形成された傷痕加工部(3)が設けられているが、さらに、傷痕加工部のバリア性の低下を防ぐために、傷痕加工部の下側に保護シール部(2a)が形成されている。包装袋の製造において、このような保護シールが可能になるように、横シールジョウの形状を、保護シール形成のためのシールジョウの形状を加えた形状として、かかる横シールジョウを用いて横シールを行うことにより、横シール部と保護シール部によって傷痕加工部(3)の部分だけが区画された包装袋を得ることができる。このような保護シール部が形成される場合には、基材層だけでなく、シーラント層にも傷痕加工が施されていてもよい。
図4に示した例は、図3の変形例である。図3の例に比べて、袋が空気または窒素で膨らまされている場合、保護シール部(2a)が湾曲しながら膨らむので、袋の耐圧性が優れている。
図5に示した例では、図4に示した例と同じであるが、傷痕加工部(3)の存在する領域で、側部から内側に延びる切り込み(4)が設けられたものであり、これにより開封性をさらに向上させている。
図6に示した例は、図2の変形例である。この例では、保護シール(2a)が傷痕加工部(3)内に複数箇所設けられている。この場合には、横シールジョーの形状を、図6に示した形状とすれば、通常の横シールジョウでは、シールジョウ表面には凹凸が設けられているから、このようなシールジョウでシールを行えば、傷痕加工部(3)内において図6に示すようなシールが形成される。
図7に示した例では、図1の変形例であるが、一方に側部における非シール領域で上部横シール部(2)に隣接して、横長矩形の傷痕加工部(3)が設けられている。この例では、傷痕加工部(3)が側部から縦シール部(1)方向に伸びるが、該縦シール部(1)までには至らない領域において設けられている。更に、傷痕加工部は、図7に示したように、横シール部(2)に隣接する部位だけでなく、横シール部(2)から離れた部位(3’)に設けてもよい。
本発明に係る包装袋は、バリア性を維持しながら、開封性が著しく向上しているので、消費者のニーズに応えているものである。かかる包装袋を形成するために、傷痕加工を施しながら、バリア性を有する包装用積層フィルムを製造する製造分野、該包装用積層フィルムを使用して食品を包装する包装分野、製造された包装袋が流通する流通分野等の広い分野で本発明は利用されることができる。
1 縦シール部
2 横シール部
2a 保護シール部
3,3’ 傷痕加工部
4 切り込み
上記課題は、下記本発明により解決される。
基材層、蒸着層およびシーラント層を有する包装用積層フィルムを、前記基材層を袋の外面側、シーラント層を袋の内面側になるように筒状に成形して縦シールを行い、しかるのち、所定間隔で横シールを行って形成される包装袋において、
包装袋の上端と下端には横シール部が、包装袋の幅方向中央部には縦シール部が形成されており、包装袋の少なくとも一方の横側端部を起点として、前記横側端部から中央の縦シール部までの範囲内において、所定面積の局部的な傷痕加工部が形成され、
(1)前記シーラント層は、低融点ポリマー層、及び前記低融点ポリマーよりも融点の高いポリマー層からなり、前記蒸着層は、前記融点の高いポリマー層上に形成され(発明A)ているか、または
(2)前記蒸着層は基材層側に形成され、前記シーラント層は、低融点ポリマーとバリア性を有するポリマーとから構成され(発明B)、
前記傷痕加工部を形成する傷痕は、袋の外面側である前記基材層に存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものである、ことを特徴とする包装袋。
上記発明において、前記基材層が、二軸延伸フィルム層を含んでいることが好ましい。
前記シーラント層の低融点ポリマーは、無延伸低密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどから構成されていることが好ましい。
また、前記シーラント層は、低融点ポリマーとバリア性を有するポリマーとを混練して形成したフィルムであってもよい。前記バリア性を有するポリマーは、好ましくは、エチレンビニルアルコール樹脂、ナイロンまたはこれらの混合物等である(発明B)
前記シーラント層は、低融点ポリマー層と、低融点ポリマー層に、エチレンビニルアルコール樹脂及びナイロンの群からなる化合物の少なくともいずれかを混練したポリマー層との多層構造にすることにより、低温シール性と、バリア性を有するポリマー混練によるバリア性の向上とを兼ね備えることができる。
前記シーラント層は、低融点ポリマー層と前記低融点ポリマー層よりも融点の高いポリマー層とから構成されてもよく、前記融点の高いポリマーとしては、ポリステル等が挙げられる(発明A)。
(シーラント層フィルム)
本発明の包装袋を形成するために使用される包装用積層フィルムにおいて、包装用積層フィルムにヒートシール性を与えるシーラント層を形成するポリマーとしては、160℃以下、好ましくは、120℃以下の低い温度で溶融する低融点ポリマーであることが好ましい。このようなポリマーとして、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、メタロセン触媒で重合した直鎖低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン無延伸フィルムなどが用いられることができる。このほかヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPH)などを用いることもできる。無延伸ポリプロピレンおよびヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレンのヒートシーラブル層には、低融点で溶融できるように、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、ブテン等)との共重合体、低密度ポリエチレン(メタロセン触媒で重合した直鎖低密度ポリエチレン等)、エチレン酢酸ビニル共重合体を含む層が形成されていることが好ましい。また、シーラント層を構成するポリエチレンは、単層でも複層でもよい。複層の例としては、上記の直鎖低密度ポリエチレン層と低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンとの共押出成形物などが挙げられる。シーラント層は、上記のようにポリオレフィンだけでなく、低融点ポリエステルで形成されていてもよい。低融点ポリエステルとしては、例えばイーストマンコダック社のエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジオールとの共重合ポリエステルを挙げることができる。前記シーラント層の厚みとしては、20〜50μmが好ましい。
また、本発明においては、基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工部を設ける位置、長さ、幅、深さなどを制限することで包装袋としてのバリア性の低下を極力抑えているが、蒸着層が形成された基材層フィルムに傷痕加工部を設ける場合、前記傷痕加工部が蒸着面にまで達することがあり、この部分において、バリア性の低下が発生する場合がありうる。そこで包装袋のバリア性を蒸着層だけに依存するのではなく、本発明(B)においては、バリア性を付与したシーラント層を用い。シーラント層に酸素バリア性を付与する方法としては、低融点ポリオレフィンポリマーに、エチレンビニルアルコール共重合体および/またはナイロン等を混練してフィルムを形成・延伸したフィルムは、低融点ポリマー層中に、エチレンビニルアルコールポリマーやナイロンが薄い層状(フレーク状)になって存在し、この層状のエチレンビニルアルコールまたはナイロンにより、シーラント層フィルムには、酸素に対するバリア性が付与される。エチレンビニルアルコール、ナイロンの混練量としては、低融点ポリオレフィンポリマー100重量%に対して、10〜30重量%が好ましい。低融点ポリマーにエチレンビニルアルコール樹脂、ナイロンの混練は公知の方法で行うことができ、例えば特開平3−130125号公報などで開示されている。この場合には、シーラント層を多層化することが好ましく、たとえば、メタロセン直鎖低密度ポリエチレンと、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを混練した高密度ポリエチレンとを共押出し成形して2層化されたフィルムを形成し、軟化温度の差を利用しながら、高密度ポリエチレン側のみに延伸効果を発現させてバリア性を付与するとともにメタロセン触媒直鎖低密度ポリエチレン層側により低温シールを可能にすることができる。
(バリア層の形成)
本発明において用いられる包装用積層フィルムにおけるバリア層としては、通常行われているように、金属(アルミニウム、鉄、マグネシウム等)または無機酸化物(アルミナ、酸化ケイ素等)の蒸着層が、基材層とシーラント層の間に形成される。上記蒸着層の形成は、基材層フィルムが蒸着に耐える耐熱性を有していることから、基材層フィルム上に形成するのが好ましい。また、シーラント層フィルム側に形成する場合(発明A)は、低融点のシーラント層上に、それよりも融点の高いポリエステル等のポリマー層を積層し、そのポリマー層上に蒸着層を形成する。蒸着層の厚さは、通常30〜150nmである。
(傷痕加工部)
本発明の包装袋おいては、包装袋の開封性を高めるため、包装用積層フィルムに傷痕加工部を設けるものであるが、その一方で、包装袋としてのバリア性の低下は、最小限に抑えるために、前記傷痕加工部を設ける位置、長さ、幅、深さなどが、制限されているものである。
前記傷痕加工部の位置としては、包装袋の横側部に形成される。なお、横側部であれば、一方のみに形成しても両方に形成しても良い。前記傷痕加工部の長さとしては、縦シール部に達しない長さとする。前記傷痕加工部の具体的な長さや幅としては、一例として幅135mm、長さ200mmの包装袋の場合、横側面における幅としては、10〜20mmが好ましく、横側部からの長さとしては、15〜50mmとすることが好ましい。なお、袋の幅、長さが異なっても、傷痕加工部は、ほぼ上記の寸法で行われることが好ましい。前記傷痕加工部の深さとしては、袋の外面側である前記基材層にのみ存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものとする。シーラント層に傷痕加工部が存在しないことにより、包装袋のシール性が維持される。ただし、傷痕加工部が、横シール部を含むシール部によって、(すなわち、保護シール部によって、或いは横シール部と保護シール部によって、)該傷痕加工部の周囲が、傷痕加工部以外の部位と区画されている場合などでは、前記傷痕加工部の深さは、シーラント層まで達するものであってもよい。前記横シール部を含むシール部が、包装袋としてのバリア性を維持するからである。なお、本様態の包装袋において、傷痕加工部の部位に、更に保護シール部を設けると、バリア性維持の安全性が更に向上する。
また、傷痕加工部は、通常、包装袋の片側の側端部に設けられるが、包装袋のどちら側からでも開封を容易にするため、包装袋の両側に傷痕加工部を設けることもできる。更に包装袋の一方の側端部に、複数箇所の傷痕加工部を設けることもできる。例えば袋の長さが長い場合には、傷痕加工部を複数箇所設けることにより、好みの位置で袋を開封できるようになる。更に、消費者が開封位置を容易に把握できるように、傷痕加工部を他の部位とは異なる印刷を施すこともできる。
(包装用積層フィルムの全体構成)
以上のようにして得られた包装用積層フィルムの全体構成例としては、基材層フィルム/印刷層/接着剤層/蒸着層/高融点ポリマー層/低融点シーラント層の層構成(発明A)或いは印刷基材層/接着剤層/蒸着基材層/共押出しポリマー層/エチレンビニルアルコール樹脂混練高密度ポリエチレン層/直鎖低密度ポリエチレン層の層構成(発明B)からなる構成などが挙げられる。

Claims (21)

  1. 基材層、バリア層およびシーラント層を有する包装用積層フィルムから形成された包装袋において、
    前記包装用積層フィルムは、少なくとも一方の横側部に、包装袋の開封を容易にするための傷痕加工部を所定の長さと幅で有するものであり、
    前記傷痕加工部は、袋の外面側である前記基材層に存在し、袋の内面側である前記シーラント層には存在しないものであり、
    前記傷痕加工部の所定の長さが、包装袋の他方の横側部には達しない長さであることを特徴とする包装袋。
  2. 前記シーラント層が、低融点ポリマーを含み、前記基材層が、二軸延伸フィルム層を含んでいる、請求項1に記載の包装袋。
  3. 前記シーラント層が、無延伸低密度ポリエチレンフィルムまたは無延伸ポリプロピレンフィルムを含んでいる、請求項1に記載の包装袋。
  4. 前記シーラント層が、低融点ポリマーと無機フィラーとを混練して形成された無延伸フィルムを含んでいる、請求項2に記載の包装袋。
  5. 前記シーラント層が、低融点ポリマーとバリア性を有するポリマーとを混練して形成されたフィルム含んでいる、請求項1に記載の包装袋。
  6. 前記バリア性を有するポリマーが、エチレンビニルアルコール樹脂および/またはナイロンである、請求項5に記載の包装袋。
  7. 前記シーラント層が、前記低融点ポリマー層とポリマー層との多層構造を有するものであり、
    前記ポリマー層は、無機フィラー、エチレンビニルアルコール樹脂及びナイロンの群からなる化合物の少なくともいずれかを混練したものである、請求項4ないし6のいずれかに記載の包装袋。
  8. 前記傷痕加工部が、微細な傷痕群からなるものである、請求項1に記載の包装袋。
  9. 前記傷痕加工部に、所定深さのスリットが形成されている、請求項1に記載の包装袋。
  10. 前記包装用積層フィルムが、印刷基材層/接着剤または共押出しポリマー層/蒸着基材層の層構造を有する印刷蒸着基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工を施した後に、前記印刷蒸着基材層フィルムにシーラント層フィルムを積層したものである、請求項1に記載の包装袋。
  11. 前記印刷蒸着基材層フィルムと前記シーラント層フィルムとが、バリア性接着剤を介して積層されたものである、請求項10に記載の包装袋。
  12. 前記包装用積層フィルムが、基材層/印刷層の層構造を有する印刷基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工を施した後、前記印刷基材層フィルムに、低融点ポリマー層/前記低融点ポリマーよりも融点の高いポリマー層/蒸着層の層構造を有する蒸着シーラント層フィルムを積層して得られるものである請求項1に記載の包装袋。
  13. 前記印刷基材層フィルムと前記蒸着シーラント層フィルムとが、バリア性接着剤を介して積層されたものである、請求項12記載の包装袋。
  14. 前記印刷層は、前記包装用積層フィルムの基準位置を示すアイマークを有しており、前記アイマークを基準にして前記傷痕加工の位置が定められてから、前記傷痕加工が施された請求項10ないし13のいずれかに記載の包装袋。
  15. 印刷基材層/接着剤層または共押出しポリマー層/蒸着基材層の層構造を有する印刷蒸着基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工を施した後、前記印刷蒸着基材層フィルムに、シーラント層フィルムを積層することからなる、開封性が付与された包装用積層フィルムの製造方法。
  16. 印刷基材層フィルムの所定箇所に傷痕加工を施した後、前記印刷基材層フィルムに、低融点ポリマー層/前記低融点ポリマーよりも融点の高いポリマーからなるポリマー層/蒸着層の層構造を有する蒸着シーラント層フィルムを積層することからなる、開封性が付与された包装用積層フィルムの製造方法。
  17. 二軸延伸フィルムを含む基材層、蒸着層、および低融点ポリマーを含むシーラント層を具備する包装用積層フィルムに、前記基材層に傷痕加工され、前記シーラント層には傷痕加工がされないように、傷痕加工の深さを調整して前記傷痕加工を施すことからなる、開封性が付与された包装用積層フィルムの製造方法。
  18. 前記印刷層は、アイマークを含むものであり、前記所定箇所の傷痕加工は、前記アイマークを基準にして位置が定められる請求項15,16または17に記載の包装用積層フィルムの製造方法。
  19. 前記包装袋の少なくとも一方の横側部に、所定の長さと幅の前記傷痕加工が施されるものであって、前記所定の長さが、前記縦シール部に達していない長さである、請求項15〜18のいずれかに記載の包装用積層フィルムの製造方法。
  20. 二軸延伸フィルムを含む基材層、蒸着層および低融点ポリマーを含むシーラント層を具備し、少なくとも基材層に傷痕加工部を有する包装用積層フィルムを筒状に成形して縦シールを行い、しかるのち、所定間隔で横シールを行って形成される包装袋において、
    前記傷痕加工部が、前記横シール部を含むシール部によって、傷痕加工が施されていない箇所とは区画されていることを特徴とする包装袋。
  21. 傷痕加工部の深さが、前記基材層から前記シーラント層まで及んでいる、請求項20記載の包装袋。
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