JP6007901B2 - 製袋用フィルム及び包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い内容物を充填包装するのに好適なフィルム及び包装袋において、内容物を良好に剥離することが可能なフィルム及び包装袋に関する。
練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等の粘り気のある内容物は、プラスチック製フィルムを用いて製袋された包装袋に充填包装して市場に供給されている。
しかし、この包装袋に充填包装された内容物は、内容物の持つ粘り気により包装袋の内面に付着してしまい、包装袋内での内容物の流動性が悪く、かつ、この包装袋の内面に接している部分の内容物は、包装袋の内面に残ってしまい、包装袋から取り出し難いため、内容物の取り出し作業が甚だ面倒であった。このため、内容物の取出歩留りを低下させることが所望されている。また、包装袋内に残ってしまった内容物は、包装袋と共に廃棄することになり、この内容物の廃棄量も比較的多く発生するため、包装袋の廃棄処理において環境面からも問題視されている。
そこで、例えば、特許文献1(特開2000-355362号公報)には、内容物を充填してなる包装袋において、その包装袋を形成するフィルムと内容物との剥離性の向上を目的として、フィルムに剥離剤を塗布することが行われている。
なお、上述した包装袋は、例えば、特許文献1の図4に開示されている縦ピロー充填包装機を用いて形成することができる。具体的には、ロール状に巻き取られる剥離剤塗工済のフィルムは、帯状体の状態から、上方から下方にかけて連続して移動する過程でセーラー等の成形部材において筒状に形成され、フィルムのシーラント層同士を合わせた合掌状の縦方向、横方向の重合部がヒートシールされる。この袋状に成形された内部に内容物が充填され、充填後は、その開口部が横ヒートシールされる。これにより、包装袋を形成することができる。
また、特許文献2(特許2787269号公報)には、基材樹脂に対して、剥離剤として凝固点が10℃以下であり、かつ、HLB(Hydrophile Lipophile Balance)が5.0以下の添加剤を0.3〜3重量部添加することで、粘性の高い内容物に対して内容物の付着を抑制する技術について開示されている。
さらに、特許文献3(特開2007−284071号公報)には、基材樹脂に対して水酸基の数が0又は1の脂肪酸エステルを添加した液切れ性の高いキャップについて開示されている。
特開2000−355362号公報 特許2787269号公報 特開2007−284071号公報
しかしながら、特許文献2のような液体の剥離剤を添加したフィルムは、製膜後のフィルムから剥離剤がブリードアウトし、フィルムの張り合わせラインや製袋ラインに剥離剤が付着、蓄積することになる。その際、ラインに堆積した剥離剤によりべたつき、あるいは滑り性が向上しすぎてフィルムの張り合わせラインの走行性に影響を及ぼすことがある。
また、剥離剤を塗布したフィルムをロール巻きする際は、剥離剤面がフィルムの裏側表面と接触することになる。その結果、フィルムの裏側表面に剥離剤が裏移りし、フィルムを製袋機にて走行させる際に、セーラー等の成形部材に剥離剤が付着し、フィルムの走行性に影響を及ぼすことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ライン適性及び内容物の剥離性の良好なフィルム及び包装袋を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する。
本発明にかかる製袋用フィルムは、
少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とを含む剥離剤を樹脂に添加したシーラント層を有し、
前記剥離剤はHLB値が1.5以下の脂肪酸エステルであり、
少なくとも表面を算術平均粗さRa≧0.1μm、最大高さRmax≧2.0μmに粗面化した、製袋機と接する層を有し、
前記界面活性剤は、全てHLB値が1.0以下で水酸基の数が0のグリセリン脂肪酸フルエステルである、ことを特徴とする。
本発明にかかる包装袋は、
上記記載のフィルムを用いて製袋した、ことを特徴とする。
本発明によれば、ライン適性及び内容物の剥離性の良好なフィルム及び包装袋を提供することができる。
第1実施形態の食品包装袋用の多層フィルム1の構成例を示す図である。 図1に示す多層フィルム1を用いて製袋した包装袋101(封筒貼り)を示す図である。 図1に示す多層フィルム1を用いて製袋した包装袋301(合掌貼り)を示す図である。 図1に示す多層フィルム1を用いて包装袋を形成する方法例を示す図である。 ライン適性、剥離性の判定結果を示す図である。 静摩擦係数の測定結果を示す図である。 第2実施形態の多層フィルム2の構成例を示す図である。 第3実施形態の多層フィルム3の構成例を示す図である。 第4実施形態の多層フィルム4の構成例を示す図である。 第5実施形態の包装袋401の構成例を示す図であり、(a)は、包装袋401の全体構成例を示し、(b)は、(a)のA−A断面構成例を示す図である。 図10に示す包装袋401を形成する多層フィルムFの構成例、及び、その多層フィルムFを用いて包装袋401を形成する方法例(封筒貼り)を示す図である。 第5実施形態の包装袋501の構成例を示す図であり、(a)は、包装袋501の全体構成例を示し、(b)は、(a)のA−A断面構成例を示す図である。 図12に示す包装袋501を形成する多層フィルムFの構成例、及び、その多層フィルムFを用いて包装袋501を形成する方法例(合掌貼り)を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、融点の異なる2種類の界面活性剤を剥離剤として用いることで製膜直後のブリードアウトを抑制することができ、ライン適性を改善し、さらに内容物の剥離性も良好なフィルムを成形できることを見出した。
例えば、融点の異なる2種類の界面活性剤として、常温で固体の界面活性剤と、常温で液体の界面活性剤と、を用いることで、固体と液体とを混合し、剥離剤に粘性を持たせることができる。その結果、ライン適性及び剥離性を向上させることができる。但し、融点の異なる2種類の界面活性剤は、上述した、常温で固体の界面活性剤と、常温で液体の界面活性剤と、に限定するものではなく、融点の異なる任意の2種類の界面活性剤を剥離剤として用いることで、ライン適性及び内容物の剥離性の良好なフィルムを得ることができる。
(第1実施形態)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態の多層フィルム1について説明する。図1は、第1実施形態の食品包装袋用の多層フィルム1の構成例を示す図である。なお、ここでは多層フィルムとして説明するが、シーラント層のみからなる単層フィルムであっても良い。
本実施形態の多層フィルム1は、図1に示すように、基材層11とシーラント層12とを有して構成している。また、多層フィルム1のシーラント層12には、剥離剤が添加されており、時間経過によりブリードアウトすることで剥離剤塗膜13が形成され、図1に示す多層フィルム1が形成される。
基材層11は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリアミド等、公知の材料を用いて構成される。基材層11の厚さは、シーラント層12よりも薄いことが好ましく、好ましい厚さとしては5μm〜50μmであり、より好ましくは、10μm〜25μmである。なお、基材層11は、内容物を充填した後に熱をかけることで収縮できるように延伸されたフィルムで構成することも可能である。この場合、収縮性と成形性との観点から二軸延伸ナイロンであることが好ましい。
シーラント層12は、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリアミド等、公知の材料からなる基材樹脂に対し、剥離剤としての界面活性剤を混入した混合樹脂で構成する。なお、基材樹脂としては、複数の樹脂を混合して用いることも可能である。剥離剤としての界面活性剤は、100ppm〜50000ppmの範囲で添加することが好ましい。これは、界面活性剤の添加量が50000ppmより多すぎると、製膜機や製袋機などに界面活性剤が多量に付着してしまい、ライン適性が悪化してしまうためである。また、界面活性剤の添加量が100ppmより少ない場合は、内容物の剥離性が不十分になるためである。なお、シーラント層12の厚さは、15μm〜100μmであることが好ましく、30μm〜70μmであることがより好ましい。また、多層フィルム1をサンドラミネートにて成形する場合等には基材層11と、シーラント層12と、の間に第3の層であるサンド層(図示せず)を介在させることも可能である。サンド層を備えることにより基材層11とシーラント層12との剛性差を緩衝することができる。サンド層を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系の樹脂が適用可能である。
シーラント層12に添加する剥離剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。その中でも、フラワーペーストや練り餡などの粘性が高く、さらに油分の高い内容物に対しても良好な剥離性を備えるために、グリフィン法によるHLB値が低い界面活性剤、特に脂肪酸エステルで構成することが好ましい。好ましいHLBの値としては、1.5以下であり、1.0以下であることが更に好ましい。これは、HLB値が1.5より高い脂肪酸エステルは、内容物、特に油分の高いチョコレートペーストに対する剥離性が悪く、また、HLB値が1.5以下の脂肪酸エステルは、チョコレートペーストのように油分の高い内容物に対しても良好な剥離性を得ることができるためである。また、HLB値が1.5以下の脂肪酸エステルの中でも水酸基の数が少ない材料であることが内容物の剥離性を向上させるために好ましく、水酸基の数が0であることがより好ましい。このようなHLB値が低く、且つ、水酸基の数が0の脂肪酸エステルとしては、例えば、トリグリセライドなどのようなグリセリン脂肪酸フルエステルなどが挙げられる。
なお、界面活性剤は、製膜直後のブリードアウト量、及び、時間経過におけるブリードアウト量をコントロールするために、融点の異なる2種類以上を用いることが好ましい。
また、これらの混合した界面活性剤としては、少なくとも常温(23℃)で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、を含むことが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤は、ブリードアウトし難いが、液体の界面活性剤は、樹脂分子との絡みが少ないので、固体と液体の界面活性剤を同時に用いることで液体の界面活性剤のブリードアウトに伴い、固体の界面活性剤もブリードアウトすることでブリードアウトを促進させることができる。
また、ブリードアウトし難い固体の界面活性剤を用いることで液体の界面活性剤単体に比べて適度にブリードアウトを進行させられるため、液体の界面活性剤単体のみを用いた場合に比べて製膜直後のブリードアウトが抑制され、生産ラインでの剥離剤の付着を抑制することができると共に、固体の界面活性剤によるフィルムの粉吹き問題やラインのべたつき、スリップを軽減し、フィルムのライン走行性を向上させることができる。
なお、2種類の界面活性剤の融点の差は、ライン適性及び内容物充填時における剥離性向上のために10℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。また、液体の界面活性剤の融点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。また、固体の界面活性剤の融点としては、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。
なお、常温で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、のブレンド比率は、4:1〜1:4であることが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤のブレンド比率が多すぎると、製膜直後のブリードアウト量が微々たるものとなり、内容物の剥離に適さなくなると共に、界面活性剤の粘性が高くなりすぎ、ラインに付着した界面活性剤により、フィルムの走行性が悪くなるためである。また、常温で液体の界面活性剤の比率が多すぎると、ブリードアウト量が多くなりすぎることでラインに多くの界面活性剤が付着してしまい、フィルムの張り合わせラインや製袋ラインの走行性に悪影響を及ぼすためである。
上記の点を鑑み、シーラント層12は、ライン適正とフィルム外観性のために少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とを含む剥離剤を添加した樹脂からなることが好ましい。そのブレンド比は、常温で液体の界面活性剤:常温で固体の界面活性剤が4:1〜1:4であることが好ましく、液体の界面活性剤の混合量が多い方がライン適正の上で更に好ましい。また、界面活性剤は、油分の高い粘稠物に対して良好な剥離性を備えるためにHLBが1.0以下で、水酸基の数が0の脂肪酸エステルであることが好ましい。これにより、剥離剤に粘性を持たせ、ライン適性が良好で、内容物の剥離性が良く、また、フィルムをロール状にして保存した際などにおける剥離剤の基材層11への裏移りが少ない多層フィルム1を提供することができる。
上記のように構成される多層フィルム1は、基材層11を構成するフィルムとシーラント層12を構成するフィルムとを押出ラミネータにより押し出し、双方のフィルムを熱融着して成形することができる。なお、基材層11とシーラント層12との接着面は、界面の接着をより良好にするため、接着剤を用いて接着することも可能である。この場合、接着剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、チタネート系、ウレタン系等を用いることができる。多層フィルム1を成形した後は、多層フィルム1のシーラント層12側を内側にして巻取り管に巻き取られて管理することになる。
なお、上述した図1に示す多層フィルム1を用いて包装袋を製袋することで、例えば、図2、図3に示す包装形態の包装袋を製袋することができる。図2は、封筒貼りで形成した包装袋101の構成例を示し、図3は、合掌貼りで形成した包装袋301の構成例を示す図である。
図2に示す封筒貼りの包装袋101は、上述した図1に示す多層フィルム1を筒状に湾曲させてその両側端部をオーバーラップさせて重ね合わせ、その重ね合わせた部分をシールして縦シール部102a,102bを形成し、筒状体の包装袋を形成する。そして、筒状体の包装袋の内部に所定量の内容物を充填し、上方横シール部103、下方横シール部104を縦シール部102a,102bと交差するようにそれぞれ形成して、内容物を密閉する。105は、多層フィルム1同士がシールされていない非シール部である。
また、図3に示す合掌貼りの包装袋301は、上述した図1に示す多層フィルム1を筒状に湾曲させてその両側縁部を重ね合わせ、その重ね合わせた部分同士をシールして縦シール部302を形成し、筒状体の包装袋を形成する。そして、筒状体の包装袋の内部に所定量の内容物を充填し、上方横シール部303、下方横シール部304を縦シール部302と交差するようにそれぞれ形成して、内容物を密閉する。305は、多層フィルム1同士がシールされていない非シール部であり、306は、多層フィルム1同士がシールされているシール部である。
上述した図1に示す多層フィルム1を用いて包装袋を製袋することで、ライン適性及び内容物の剥離性の良好な包装袋を形成することができる。なお、図1に示す多層フィルム1を用いて製袋した包装袋の包装形態は、特に限定せず、上述した封筒貼り、合掌貼りなどの任意の包装形態の包装袋を形成することが可能である。
次に、図4を参照しながら、上述した図1に示す多層フィルム1を用いて包装袋を製袋する方法例について説明する。なお、以下の説明では、図1に示す多層フィルム1を用いて図2に示す包装袋101を製袋する例について説明する。
図2に示す包装袋101は、多層フィルムを筒状にする第1工程、縦シールを行う第2工程、袋下部の横シールを行う第3工程、内容物を充填する第4工程、袋上部の横シールを行う第5工程、連続状の袋の境界線を切断する第5工程が上記の順番で順次行われ、包装装置は間欠運転される。以下、工程順に説明する。
多層フィルムを筒状にする第1工程:
原反ローラRから繰り出された多層フィルム1は、複数の繰り出しロール220,221を経てフォーマ212に導かれる。219は、多層フィルム1の長手方向において一定間隔に印刷されたレジマークを検知するレジマークセンサであり、包装機の軌道上に多層フィルム1が一定の送り長さとなるようにする役目を有する。
本実施形態では、フォーマ212に導かれる前工程で、多層フィルム1に熱菌処理を施す必要があり、図4に示す浴槽240に熱菌処理用の溶媒を投入し、その浴槽240の溶媒に多層フィルム1を浸して多層フィルム1を熱菌処理することになる。熱菌処理用の溶媒としては、例えば、過酸化水素水が挙げられる。
本実施形態の多層フィルム1を構成するシーラント層12は、剥離剤としての界面活性剤を混入した混合樹脂で構成しているため、多層フィルム1を熱菌処理用の溶媒に浸して熱菌処理を施したとしても、従来のように剥離剤が剥がれることがない。このため、多層フィルム1に熱菌処理を施したとしても、内容物に対する剥離性を担保することができる。
例えば、特許文献1では、ロール塗工機による塗工方法等によってフィルムに剥離剤を塗布している。このため、図4に示す縦ピロー充填包装機200を用いて包装袋を形成しようとした場合は、熱菌処理用の溶媒(過酸化水素水)にフィルムを浸した際に、フィルムに塗布した剥離剤がフィルムから剥がれてしまうことになる。その結果、剥離剤の機能を発揮することができず、最終的に形成された包装袋についても内容物に対する剥離性が低減し、開封時に容易にフィルムから内容物を剥離させることができなくなってしまう。
これに対し、本実施形態では、シーラント層12に剥離剤を混入しているため、多層フィルム1に熱菌処理を施すために、熱菌処理用の溶媒に多層フィルム1を浸した場合でも、剥離剤が剥がれることがないため、最終的に形成される包装袋101についても内容物に対する剥離性を担保し、内容物の剥離性が良好な包装袋101を形成することができる。
熱菌処理を施した多層フィルム1は、フォーマ212を通過する間に筒状に湾曲されて、その湾曲した先端の両側縁部がオーバーラップし、重ね合わせ部を形成する。
縦シールを行う第2工程:
上述した第1工程で形成した重ね合わせ部を縦シール機213にて熱シールし、縦シール部102a,102bが形成される。
袋下部の横シールを行う第3工程:
開閉自在なしごきロール215を閉じて、多層フィルム1から形成された筒状体107の上方開放部側をしごく。上記しごいて偏平化した筒状体107の一部であるしごき部108に、開閉自在な第1横シール機216及び第2横シール機217からなる横シール機を閉じて、包装機の軌道上、袋下部の下方横シール部104を形成する。
内容物を充填する第4工程:
上記ののち、ホッパ211より所定量の内容物Wを投入して筒状体107内に充填する。
袋上部の横シールを行う第5工程:
しごきロール215、第1横シール機216及び第2横シール機217を開いたのち、送りロール214を回転させることで、分離前の充填包装袋101aと共に筒状体107およびこれに続く多層フィルム1を所定の長さだけ繰り出す。
第1横シール機216及び第2横シール機217を閉じて、しごき部108を熱溶着し、上方横シール部103となる領域を第2横シール機217にて溶着すると共に、それに連なる軌道上の上流に位置する次の下方横シール部104となる領域を溶着する。そして分離前の充填包装袋101aを形成する。
連続状の袋の境界線を切断する第5工程:
プレス兼カッタ218を閉じて分離前の充填包装袋101aが接続されている溶着部である下方横シール部104となる領域および上方横シール部103となる領域とを強圧すると共に両者の境界を二分割して包装袋101をコンベア230上へ落下させる。
本実施形態の包装袋101は、上述した第1工程〜第5工程を経ることで、内容物Wが充填された包装袋101を得ることができる。
本実施形態の多層フィルム1のシーラント層12には、少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とを含む剥離剤が添加されているため、その多層フィルム1を用いて包装袋101を製袋することで、ライン適性及び内容物の剥離性の良好な包装袋101を得ることができる。なお、図3に示す包装袋301においても図2に示す包装袋101と同様にライン適性及び内容物の剥離性の良好な包装袋301を得ることができる。
(実施例)
次に、本実施形態の剥離剤添加の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は一例であり、本実施形態は、以下の実施例に限定するものではない。
<剥離剤の添加試験>
本実施例では、後述する材料で構成する剥離剤を添加した直鎖状低密度ポリエチレン(MFR=2、密度:0.916)を用いて厚み60μm、巾320mmのフィルムを製膜した。その後、基材樹脂としてポリアミド(三菱樹脂株式会社製、サントニールST、厚み:15μm)と製膜した直鎖状低密度ポリエチレンのフィルムとをウレタン系接着剤を用いて張り合わせた。張り合わせた多層フィルムを1000m成形し、それをロール状に巻き取り、40℃、48時間放置後、オリヒロ社製ONPACK2030を用いて製袋と共に、内容物としてフラワーペーストを充填した。
(実施例1)
上述の直鎖状低密度ポリエチレンに常温で固体であるトリグリセライド(融点:65℃、HLB値:0)を500ppmと、常温で液体であるトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を500ppmの合計1000ppmになるよう混合した剥離剤を添加してフィルムを製膜した。
(実施例2)
剥離剤として常温で固体であるトリグリセライド(融点:65℃、HLB値:0)を800ppmと、常温で液体であるトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を200ppmの合計1000ppmを用いた以外は実施例1と同様のフィルムを製膜した。
(実施例3)
剥離剤として常温で固体であるトリグリセライド(融点:65℃、HLB値:0)を200ppmと、常温で液体であるトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を800ppmの合計1000ppmを用いた以外は実施例1と同様のフィルムを製膜した。
(実施例4)
剥離剤として常温で固体であるフルエステル化していないグリセリン脂肪酸エステル(融点:65℃、HLB値:4.3)を500ppmと、常温で液体であるフルエステル化していないグリセリン脂肪酸エステル(融点:24℃、HLB値:3.1)を500ppmの合計1000ppmを用いた以外は実施例1と同様のフィルムを製膜した。
(実施例5)
剥離剤として常温で液体のトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を500ppmと、オレイン酸アミド(融点:70℃)を500ppmの合計1000ppmを用いた以外は実施例1と同様のフィルムを製膜した。
(比較例1)
剥離剤として常温で固体であるトリグリセライド(融点:65℃、HLB値:0)を1000ppm用いた以外は実施例1と同様にフィルムを製膜した。
(比較例2)
剥離剤として常温で液体であるトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を1000ppm用いた以外は実施例1と同様にフィルムを製膜した。
(比較例3)
剥離剤を未添加の直鎖状低密度ポリエチレンと基材樹脂とをフィルムにして張り合わせた後に、ロール塗工機により常温で液体であるグリセリン脂肪酸エステル(融点:65℃、HLB値:4.3)を直鎖状低密度ポリエチレンの表面に塗布した。塗布量は、多層フィルムの層厚(95μm)に対して5%の厚さ(4.75μm)とした。
(フィルム外観の判定)
製膜後、粉吹いたり、ロール状に巻き取ったフィルムの基材樹脂表面に剥離剤の裏移りが見られなかったりしたものを○、それぞれが顕著に現れたものを×として評価した。
(ライン適性:走行性の判定)
作製したフィルムの製袋時において、12時間稼働させた際にフィルムのつまりや引っかかりがなく、安定してフィルムを走行、製袋できたものを○、つまりや引っかかりが頻繁に起こったものを×として評価した。
(剥離性の判定)
内容物を充填し、製袋した包装袋の中央部及び側部を横断するようにナイフで切り込みを入れて1枚のフィルム形状にしたものを裏返して、チョコレートペースト、カスタードペーストを落下させ、それらの付着量を目視確認した。フィルム溶着面などの角部にも内容物の付着がないものを○、付着が見られるものを×として評価した。
各判定結果を図5に示す。図5に示すように、剥離剤として常温で固体の脂肪酸エステルと常温で液体の脂肪酸エステルとを混合して用いたものは、全てライン適性が良好であり、フィルムの走行性を妨げることはなかった。また、実施例1〜3の全てグリセリン脂肪酸フルエステルを用いたものは、カスタードペーストよりも油分が多いチョコレートペーストに対しても良好な剥離性を得ることができた。一方、全てがグリセリン脂肪酸エステルでないものは油分の高いチョコレートペーストに対する剥離性が悪い結果となった。
また、比較例1は、製膜後の時間経過に伴い、粉吹いて外観性が悪い結果となった。比較例2においては、剥離剤が製袋機に多量に付着することでべたついてしまい、ライン適性が悪い結果となった。また、比較例3においては、フィルムへの裏移りが多く、さらに、ラインに付着することによるライン適正の低下が見られた。また、油分の多いチョコレートペーストに対する剥離性が悪い結果となった。
このため、上記の試験結果から、剥離剤として常温で固体である界面活性剤と、常温で液体である界面活性剤と、のブレンド樹脂を基材樹脂に添加してブリードアウトさせて用いることで、外観性、ライン適性、剥離性に良好なフィルムを得られることが判明した。さらに、界面活性剤において、グリセリン脂肪酸フルエステルを用いることにより、チョコレートペーストのような油分が高く、粘性の強い内容物に対しても良好な剥離性を得られることが判明した。
<フィルム滑り性試験>
次に、剥離剤をシーラント層12に塗布する場合と、剥離剤をシーラント層12に添加する場合と、において、フィルムを繰り返し滑らせた際の走行性について試験した。
(実施例)
ポリアミド(15μm)//ポリエチレン(20μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(60μm)で構成する多層フィルムをサンドラミネート方式を用いて成形した。なお、ポリアミドとポリエチレンとは、接着剤を用いて接着した。本実施例における直鎖状低密度ポリエチレンには、常温で固体であるトリグリセライド(融点:65℃、HLB値:0)を500ppmと、常温で液体であるトリグリセライド(融点:−12℃、HLB値:0)を500ppmの合計1000ppmが添加されている。
(比較例)
比較例では、実施例と同様に多層フィルムを形成した。本比較例においては、直鎖状低密度ポリエチレンには剥離剤が添加されておらず、多層フィルム成形後に常温で液体のグリセリン脂肪酸エステルをロール塗工機を用いて直鎖状低密度ポリエチレンの表面に塗布した。塗布量は、多層フィルムの層厚(95μm)に対して5%の厚さ(4.75μm)とした。
(測定方法)
実施例、比較例の多層フィルムの静摩擦係数は、HEIDON社「Static Friction TESTER:HEIDON-10」の摩擦試験機を使用して傾斜法で測定した。具体的には、接地面積35×75mm、150gの平面圧子に試料である多層フィルムを固定し、上昇板を上昇速度平均10°/6secで上昇させ、圧子の滑りが生じた角度(tanθ)に応じた静摩擦係数を読み取り、多層フィルムの静摩擦係数を測定した。
実施例、比較例の多層フィルムの試験環境23℃、50%RHで行った静摩擦係数の測定結果を図6に示す。図6は、実施例、比較例について各々5つのサンプルを作製し、試験機のステンレス面(上昇板)を拭き取ることなく、連続で試験を行った際の各サンプルでの静摩擦係数を示す。なお、静摩擦係数は、同じサンプルについて静摩擦係数を3回測定し、その3回の静摩擦係数の平均値とした。
図6に示す静摩擦係数の測定結果から、実施例における常温で固体であるトリグリセライドと、常温で液体であるトリグリセライドと、を含む剥離剤を、直鎖状低密度ポリエチレンに練り込んだ多層フィルムは、サンプルを変更して繰り返し滑らせても滑り性が変化することなく、安定した滑り性を備えることが判明した。一方、比較例における直鎖状低密度ポリエチレンの表面に剥離剤を塗布した多層フィルムは、繰り返し滑らす度に剥離剤がステンレス面に付着、蓄積し、多層フィルムの滑り性に影響を及ぼし、静摩擦係数が増加し、滑り性に悪影響を与える結果となった。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態の多層フィルム2は、図7に示すように、基材粗化面24を形成した製袋機と接する基材層21と、シーラント層22と、を有して構成する。図7は、本実施形態の食品包装袋用の多層フィルム2の構成例を示す図である。第2実施形態の多層フィルム2を構成する基材層21、シーラント層22は、第1実施形態の多層フィルム1を構成する基材層11、シーラント層12と同様の材料を用いて構成することができる。なお、製袋方法については、上述のような公知の技術を適宜用いることが可能である。
本実施形態の多層フィルム2は、シーラント層22に剥離剤が添加されており、時間経過によりブリードアウトすることで剥離剤塗膜23が形成されるが、基材層21の製袋機と接する側の表面に基材粗化面24が形成されている。このため、図7に示す多層フィルム2を成形した後に、その多層フィルム2をロールした際に、剥離剤塗膜23との接触面積を低減させ、剥離剤の基材層21への移行を低減させることができる。これにより、製袋時における剥離剤の製袋機への転移を抑制することができ、フィルム走行性が悪化するのを低減することができる。
なお、基材粗化面24は、最大高さRmaxが少なくとも剥離剤塗膜23の厚みより大きいことが好ましく、シーラント層22に剥離剤を添加した際のブリードアウト量により適宜変更することが好ましい。基材粗化面24の表面粗さは、算術平均粗さRaが0.1μm以上であり、最大高さRmaxが2.0μm以上であることが好ましい。但し、算術平均粗さは、JIS B 0601−2001に準じて測定した値である。なお、基材層21の基材粗化面24の形成方法は特に限定せず任意の方法を用いて行うことが可能である。
例えば、高分子フィルムの製造においては、一般に、Tダイスから溶融押出されたフィルムを冷却ロールに接触させて冷却する。この場合、1つの冷却ロールの表面を粗化しておけば、その粗化した表面が多層フィルム2に転写され、片側表面が粗化された多層フィルム2を得ることができる。また、二軸延伸フィルムの場合は、冷却ロールで冷却されたフィルムをさらに順次縦横2方向に延伸するため、最終厚さの多層フィルム2における基材粗化面24の表面粗さは、冷却時よりも小さくなる。
なお、シーラント層22に添加される剥離剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能であるが、粘性が高く、油分の多い内容物に対する良好な剥離性を備えるために、HLBの低い界面活性剤であることが好ましい。好ましいHLBの値としては、1.5以下であり、さらに好ましくは、1.0以下である。また、水酸基の数が0又は1の脂肪酸エステルが好ましく、中でもトリグリセライドであることが好ましい。また、常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とを混合して用いることでブリードアウトした際の粉吹きやブリードアウトしすぎることによるべたつきを抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
本実施形態の多層フィルムは、易開封性(イージーピール)適性を有し、包装袋の開封時には、ナイフなどの道具を用いることなく開封することができ、内容物をフィルムに付着させることなく、容易に取り出すことが可能である。本実施形態における包装袋は、図8に示す多層フィルム3を使用して図4に示す縦ピロー充填包装機200にて製造される。本実施形態の多層フィルム3は、図8に示すように、基材層31と、シーラント層32と、を有して構成する。なお、製袋方法については、上述のような公知の技術を適宜用いることが可能である。
基材層31は、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリアミド等、公知の材料を用いて構成される。基材層31は、9〜50μmの厚さで構成することが好ましく、12〜25μmの厚さで構成することが更に好ましい。
シーラント層32は、ヒートシール性及びイージーピール適性を有する樹脂に対し、剥離剤としての界面活性剤を混入した混合樹脂で構成する。
ヒートシール性及びイージーピール適性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸を使用して酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の公知の樹脂を適宜使用することができ、これらの2つ以上の樹脂で構成することが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂と、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体等のプロピレン系樹脂等と、の混合樹脂を用いることで良好なイージーピールを形成することができる。
これら2つ以上の樹脂からなるシーラント層32をシールして上述した図2、図3に示す包装袋を形成することで、例えば、図2に示す包装袋101を開封する際は、非シール部105の先端を指で摘んで多層フィルム3を引っ張るだけで縦シール部102a,102bが剥離し、縦シール部102a,102b、上方横シール部103、下方横シール部104が容易に剥離するような凝集剥離易開封性シールを構成することができる。また、図3に示す包装袋301を開封する際は、縦シール部302を構成する非シール部305を指で摘んで多層フィルム3を引っ張るだけでシール部306が剥離し、縦シール部302、上方横シール部303、下方横シール部304が容易に剥離するような凝集剥離易開封性シールを構成することができる。
凝集剥離易開封性シールは、シーラント層32自体が破壊されて剥離するものであって、剥離時に糸引きが生じない。このため、内容物に包装袋を構成する樹脂が混入することがない。また、滑らかな剥離感でシール強度が安定しており、温度依存性が非常に少ない。さらに、剥離面は真っ白な剥離痕が生じる。この真っ白な剥離痕は、シールが適性にできているかどうかを目視で確認できるため、包装工程上でのシール状況の確認にも役立てることができる。その結果、包装袋に充填する内容物の信頼性を保つことができる。なお、包装袋に収容される内容物としては、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い粘稠物が挙げられる。本実施形態の包装袋に収容する内容物は特に限定せず、任意の内容物を収容することが可能であるが、本実施形態の包装袋は、内容物の剥離性が良いため、粘稠物等が好適である。
剥離剤としての界面活性剤は、100ppm(parts per million)〜50000ppmの範囲で添加する。これは、界面活性剤の添加量が50000ppmより多すぎると、界面活性剤のブリードアウト量が多くなり、ヒートシール性が悪くなるためである。また、多層フィルム3をロールした際に接触する基材層31への界面活性剤の移行が多くなるためである。本実施形態の多層フィルム3は、多層フィルム3をロール状にして原反フィルムにした場合は、シーラント層32と基材層31とが接触するため、基材層31に界面活性剤が移行することになる。また、界面活性剤の添加量が100ppmより少ない場合は、界面活性剤のブリードアウト量が少なくなり、内容物の剥離性が不十分になるためである。シーラント層32は、15〜120μmの厚さで構成することが好ましく、40〜80μmの厚さで構成することが更に好ましい。
本実施形態の多層フィルム3は、シーラント層32に剥離剤としての界面活性剤が添加されているため、上述した多層フィルム3を成形した後に、多層フィルム3のシーラント層32側にブリードアウトにより剥離剤塗膜33が形成される。
シーラント層32に添加する剥離剤としての界面活性剤は、公知の界面活性剤を用いることが可能であるが、粘性の高いフラワーペーストや練り餡などの内容物に対しても高い剥離性を備えるために、HLB値が低い脂肪酸エステルで構成することが好ましい。HLBの値としては、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。また、水酸基の数が0の脂肪酸エステルであることが好ましい。このような材料の中でも、トリグリセライドを用いることが好ましい。また、融点が高く、HLB値の低い脂肪酸エステルを剥離剤として用いることで、多層フィルム3を原反フィルムとして保管している際の剥離剤のブリードアウトを抑制できるため、ロール時の剥離剤の裏移りを抑制し、製袋時の多層フィルム3の走行性を阻害することなく、効果的に内容物と多層フィルム3との付着を防止することができる。
また、界面活性剤は、製膜直後のブリードアウト量、及び、時間経過におけるブリードアウト量をコントロールするために、融点の異なる2種類以上を用いることが好ましい。また、これらの混合した界面活性剤としては、少なくとも常温(23℃)で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、を含むことが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤は、ブリードアウトし難いが、液体の界面活性剤は、樹脂分子との絡みが少ないので、固体と液体の界面活性剤を同時に用いることで液体の界面活性剤のブリードアウトに伴い、固体の界面活性剤もブリードアウトすることでブリードアウトを促進させることができる。また、ブリードアウトし難い固体の界面活性剤を用いることで液体の界面活性剤単体に比べてゆっくりとブリードアウトを進行させられるため、液体の界面活性剤単体のみを用いた場合に比べて製膜直後のブリードアウトが抑制され、生産ラインでの剥離剤の付着を抑制することができると共に、固体の界面活性剤による粉吹き問題やラインのべたつきを軽減し、フィルムのライン走行性を向上させることができる。なお、2種類の界面活性剤の融点の差は、ライン適性及び内容物の充填時における剥離性向上のために10℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。また、液体の界面活性剤の融点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。また、固体の界面活性剤の融点としては、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。
なお、常温で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、のブレンド比率は、4:1〜1:4であることが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤のブレンド比率が多すぎると、製膜直後のブリードアウト量が微々たるものとなり、内容物の剥離に適さなくなるとともに、界面活性剤の粘性が高くなりすぎ、ラインに付着した界面活性剤により、フィルムの走行性が悪くなるためである。また、常温で液体の界面活性剤の比率が多すぎると、ブリードアウト量が多くなりすぎることでラインに多くの界面活性剤が付着してしまい、フィルムの張り合わせラインや製袋ラインの走行性に悪影響を及ぼすためである。また、イージーピール適性を有する樹脂に液体の界面活性剤を単体で用いた場合には、界面活性剤の影響により、シール性が低下し、良好なイージーピールを形成することが困難となる。
上記の点を鑑み、シーラント層32は、ライン適正とフィルム外観性のために少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤を含む剥離剤を添加した樹脂からなることが好ましい。そのブレンド比は、常温で液体の界面活性剤:常温で固体の界面活性剤が4:1〜1:4であることが好ましく、液体の界面活性剤の混合量が多い方がライン適正の上で更に好ましい。また、界面活性剤は、油分の高い粘稠物に対して良好な剥離性を備えるためにHLBが1.0以下で、水酸基の数が0の脂肪酸エステルであることが好ましい。これにより、剥離剤に粘性を持たせ、ライン適性が良好で、内容物の剥離性が良く、また、フィルムをロール状にして保存した際などにおける剥離剤の基材層31への裏移りが少ない多層フィルム3を提供することができる。
上記のように構成される多層フィルム3は、基材層31を構成するフィルムとシーラント層32を構成するフィルムとを押出ラミネータにより押し出し、双方のフィルムを熱融着して形成することができる。なお、基材層31とシーラント層32との接着面は、界面の接着をより良好にするため、接着層(図示せず)を介在して構成することが好ましい。接着層を構成する材料は、基材層31とシーラント層32とを接着することが可能であれば任意の材料で構成することが可能である。接着層を構成する接着剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、チタネート系、ウレタン系等を用いることができる。多層フィルム3を形成した後は、多層フィルム3のシーラント層32側を内側にして巻取り管に巻き取られ、保管することになる。
上述した図8に示す多層フィルム3を製袋して形成した包装袋は、少なくとも内容物と接するシーラント層32に、少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤を含む剥離剤を含んで構成することで、従来の包装袋に比して内容物、特に粘稠物に対する剥離性を大きく向上させることができる。
また、内容物と接するシーラント層32が、2つ以上の樹脂からなるイージーピール性を有する混合樹脂であることで、容易に開封出来ると共に、多層フィルム3に内容物がくっつくのを防止し、歩留まり性を向上させることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
本実施形態の多層フィルムは、内容物を充填包装後に熱収縮することで、内容物の振動を抑制することが可能である。このような包装袋は、図9に示す多層フィルム4を使用して図4に示す縦ピロー充填包装機200にて製造した包装袋に熱収縮を施すことで形成することができる。本実施形態の多層フィルム4は、図9に示すように、基材層41と、シーラント層42と、を有して構成する。
基材層41は、内容物を充填した後に熱をかけることで収縮できるように延伸された公知の樹脂で構成する。但し、基材層41は、強度などの各種機械特性を満足するためにポリアミドを用いることが好ましい。ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46のような脂肪族ナイロン、MX_ナイロンのような芳香族を含有する脂肪族ナイロン、芳香族ナイロン等又はこれらの共重合ナイロン、またこれら樹脂の混合物が挙げられる。なお、収縮性と成形性との観点から二軸延伸ナイロンを用いることが更に好ましい。基材層41は、9〜50μmの厚さで構成することが好ましく、12〜25μmの厚さで構成することが更に好ましい。
シーラント層42は、ヒートシール性を有する樹脂に対し、剥離剤としての界面活性剤を混入した混合樹脂で構成する。
ヒートシール性を有する樹脂は、包装袋の縦シール部及び横シール部を強シールとして形成することが可能な公知の樹脂で構成する。縦シール部及び横シール部のヒートシール強度としては、JIS K6854によるヒートシール強度が10N/15mm幅以上となるようにすることが好ましい。これにより、例えば、図4に示す縦ピロー充填包装機200を用いて内容物を充填する際に、縦シール部及び横シール部の剥離を原因とする内容物の露出を防止することができる。
剥離剤としての界面活性剤は、100ppm(parts per million)〜50000ppmの範囲で添加する。これは、界面活性剤の添加量が50000ppmより多すぎると、界面活性剤のブリードアウト量が多くなり、ヒートシール性が悪くなるためである。また、フィルムから製袋機へ剥離剤が多量に転移し、フィルム走行性を悪化させてしまう。また、界面活性剤の添加量が100ppmより少ない場合は、界面活性剤のブリードアウト量が少なくなり、内容物の剥離性が不十分になるためである。シーラント層42は、15〜120μmの厚さで構成することが好ましく、40〜80μmの厚さで構成することが更に好ましい。
本実施形態の多層フィルム4は、シーラント層42に剥離剤としての界面活性剤が添加されているため、上述した多層フィルム4を成形した後に、多層フィルム4のシーラント層42側にブリードアウトにより剥離剤塗膜43が形成される。
シーラント層42に添加する剥離剤である界面活性剤としては、油分が高く、粘性の高い内容物に対する剥離性も高い材料が好ましく、HLB値の低い材料で構成される。HLBの値としては、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。また、水酸基の数が0の界面活性剤であることが好ましい。また、高温充填や包装袋を収縮させるために熱をかける際には融点の高い界面活性剤が好ましく、常温(23℃)で固体の界面活性剤であり、炭素数が10以上の界面活性剤であることが好ましい。なお、融点が高く、HLB値の低い界面活性剤を剥離剤として用いることで、多層フィルム4を原反フィルムとして保管している際の剥離剤のブリードアウトを抑制し、高温充填や包装袋収縮時の熱で剥離剤のブリードアウトを促進させることができるため、ロール時の剥離剤の裏移りを抑制し、製袋時の多層フィルム4の走行性を阻害することなく、効果的に内容物と多層フィルム4との付着を防止することができる。
また、製膜直後のブリードアウト量、及び、時間経過におけるブリードアウト量をコントロールするために、融点の異なる2種類以上の界面活性剤を用いることが好ましい。また、2種類の界面活性剤としては、常温で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、を用いることが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤は、ブリードアウトし難いが、液体の界面活性剤は、樹脂分子との絡みが少ないので、固体と液体の界面活性剤を同時に用いることで液体の界面活性剤のブリードアウトに伴い、固体の界面活性剤もブリードアウトすることでブリードアウトを促進させることができる。また、ブリードアウトし難い固体の界面活性剤を用いることで液体の界面活性剤単体に比べてゆっくりとブリードアウトを進行させられるため、液体の界面活性剤単体のみを用いた場合に比べて製膜直後のブリードアウトが抑制され、生産ラインでの剥離剤の付着を抑制することができる。
剥離剤を構成する常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とのブレンド比は、常温で固体の界面活性剤が、常温で液体の界面活性剤より多いことが好ましい。これにより、製膜直後のブリードアウトを抑制しつつ、製袋後の熱収縮時に界面活性剤を良好にブリードアウトさせられるとともに、フィルムの粉吹き問題などを防止することができる。なお、2種類の界面活性剤の融点の差は、内容物の充填時における剥離性向上のために10℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。また、液体の界面活性剤の融点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。また、固体の界面活性剤の融点としては、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。
シュリンク包装袋を形成する場合は、上述した図9に示す多層フィルム4を使用して図4に示す縦ピロー充填包装機200にて製造した内容物を充填した包装袋を熱湯や温水に浸すなどして包装袋を構成する多層フィルム4を熱収縮させ、シュリンク包装袋を形成する。これにより、包装袋内に充填した内容物が動かないようにすることができる。なお、包装袋を温水に浸す際は、80〜95℃の範囲で20分以上、好ましくは30分以上浸すことが好ましい。また、この熱により、包装袋を構成するシーラント層42に添加された剥離剤のブリードアウトを促進することができ、内容物との剥離性を向上させることができる。従って、製袋後に剥離剤のブリードアウトを促進することで、多層フィルム4をロール状に巻き取り原反フィルムとして保管している際に発生する剥離剤の基材層41への移行を抑制することができる。
なお、上述した熱収縮工程については、本来の収縮率を満たし、シール強度、必要以上の引裂き応力を要しない程度であれば、内容物容積、温度により上記値に限定されることはなく、適宜変更することができる。更に、熱収縮工程は、熱湯や温水に限定されることなく、ヒーター等を用いて実施することも可能である。また、シュリンク包装袋を形成する多層フィルム4の構成例は、図9に示す層構成例に限定せず、熱収縮性の樹脂を用いて多層フィルム4を構成することで、上述したシュリンク包装袋を形成することが可能である。
このように、本実施形態の包装袋は、少なくとも内容物と接するシーラント層42に、少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤を含む剥離剤を含んで構成することで、従来の包装袋に比して内容物、特に粘稠物に対する剥離性を大きく向上させることができる。また、常温で固体の界面活性剤が、常温で液体の界面活性剤より多いことで、製膜直後のブリードアウトを抑制しつつ、製袋後の熱収縮時に界面活性剤を良好にブリードアウトさせられ、フィルムの粉吹き問題などを防止することができる。
また、内容物を充填した後に熱をかけることで収縮する樹脂を用いて基材層41を構成することで、内容物を充填後の包装袋を熱収縮して、内容物の振動を抑制した、所謂、シュリンク包装袋を形成することができる。これにより、包装袋に充填した内容物が内部で動かないようにすることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
近年では、輸送コストの削減などから比重の重い材料でも大量輸送可能な耐ピンホール性、耐衝撃性などに優れた包装袋が所望されている。そこで、特許文献3や特許文献4に記載されるような多層フィルムに内容物を充填して製袋し、二枚のフィルムとして挙動する二重包装袋が用いられている。なお、特許文献3や特許文献4に開示されるような二重包装袋においても未だ内容物の剥離性に乏しく、開封時に内容物を容易に取り出し可能な二重包装袋が所望されている。
まず、図10、図11を参照しながら、本実施形態の包装袋401の構成例について説明する。図10は、本実施形態の包装袋401の構成例を示す図であり、図10(a)は、包装袋401の全体構成例を示し、図10(b)は、図10(a)のA−A断面構成例を示す図である。図11は、本実施形態の包装袋401を形成する多層フィルムFの構成例及び、その多層フィルムFを用いて包装袋401を形成する方法例(封筒貼り)を示す図であり、図11(a),(b)は、多層フィルムFの構成例を示し、図11(c)は、図11(b)に示す多層フィルムFを筒状に湾曲させ、多層フィルムFの両側縁部405,405を重ね合わせた状態を示し、図11(d)は、多層フィルムFの両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406同士をシールし、縦シール部402を形成した状態を示す。なお、本実施形態における多層フィルムFは、内側フィルムF2と外側フィルムF1とがそれぞれ多層で構成されており、製袋時にそれぞれが一枚のフィルムとして挙動する。
本実施形態の図10に示す包装袋401を形成する多層フィルムFは、図11(a)に示すように、それぞれシーラント層及び基材層を有する内側フィルムF2と外側フィルムF1とを二枚重ねにして構成している。本実施形態の多層フィルムFは、図11(a)に示すように、チューブ状の多層フィルムFをローラで圧接して扁平状にしたものであり、中間の層同士が擬似接着されている。その扁平状にした多層フィルムFを原反ローラRに巻いた状態で保管する。このため、包装袋401の製造工程時に原反ローラRから供給される多層フィルムFは、図11(b)に示すように、内側フィルムF2と外側フィルムF1との両側縁部405,405が互いに連続している。
なお、擬似接着とは、隣り合う層同士が接着剤や熱融着により接着されて完全に一体化して硬くなったものではなく、隣り合う層同士が粘着して柔軟な状態になっていることを意味し、実質的に接着されていないものも含む。擬似接着は、隣り合う層同士との間の全面にわたってシール強度の小さな接着がされていても良く、また、隣り合う層同士との間の全面の一部に部分的に接着がされていても良い。擬似接着の好ましい接着強度は、180°剥離法で引張速度50mm/分で測定した値が、10〜200g/15mmであり、好ましくは、20〜100g/15mm、より好ましくは、30〜70g/15mmである。
原反ローラRから供給された多層フィルムFは、図11(c)に示すように筒状に湾曲され、その筒状に湾曲された多層フィルムFの両側縁部405,405をオーバーラップさせて重ね合わせる。そして、両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406同士をシールし、図11(d)に示すように縦シール部402を形成する。
図11(d)に示すように縦シール部402を形成した多層フィルムFは、その縦シール部402に対して交差する方向の一方の端部を端面シールし、図10(a)に示す下方横シール部404を形成し、他方の端部が開口した包装袋401を構成する。そして、その開口から内容物を包装袋401に収容し、他方の端部を端面シールし、図10(a)に示す上方横シール部403を形成し、包装袋401を密封する。これにより、図10(a)に示す包装袋401が形成される。なお、縦シール部402は、図10(b)に示すように、両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406同士をシールした部分でシール部422を形成し、重ね合わせた部分406,406同士をシールしていない部分で把持部421を形成する。把持部421は、シール部422の端に形成される。
本実施形態の包装袋401を形成する多層フィルムFを構成する内側フィルムF2と外側フィルムF1は、図11(d)に示すように、シーラント層430と、基材層431と、ブロッキング層432と、を有して構成する。
本実施形態の多層フィルムFは、図11(d)に示すように、内側フィルムF2を構成するブロッキング層432と、外側フィルムF1を構成するブロッキング層432と、が隣接し、擬似接着されている。また、内側フィルムF2を構成するシーラント層430と、外側フィルムF1を構成するシーラント層430と、が外側に位置するように構成している。このため、本実施形態の多層フィルムFを原反ローラRにロール状に巻いて原反フィルムにした場合は、内側フィルムF2を構成するシーラント層430と、外側フィルムF1を構成するシーラント層430と、が接触することになる。
なお、本実施形態の多層フィルムFは、インフレーション法等を用いて外層側から内層側にかけてシーラント層、基材層、ブロッキング層となるようにチューブ状に押し出し、それを偏平状にローラで圧接することにより内層に配置されたブロッキング層がブロッキングしたシーラント層、基材層、ブロッキング層、ブロッキング層、基材層、シーラント層となる層構成を有する多層フィルムを製膜することができる。このとき、多層フィルムのブロッキングした面を境として片側が内側フィルムF2、もう一方の側が外側フィルムF1となる。このようにインフレーション法で構成したフィルムは、図11(b)に示すように予め筒状になっており、製造されたそのままの形態で使用でき、後工程でフィルムを二枚重ねにする必要がないため好適である。
シーラント層430は、ヒートシール性を有する樹脂に対し、剥離剤としての界面活性剤を混入した混合樹脂で構成する。
ヒートシール性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸を使用して酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の公知の樹脂等を使用することができる。
なお、シーラント層430は、イージーピール適性を有することが好ましく、ヒートシール性を有する2つ以上の樹脂で構成することが好ましい。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂と、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体等のプロピレン系樹脂等と、を含む混合樹脂を用いることで良好なイージーピールを形成することができる。
ヒートシール性を有する2つ以上の樹脂からなるシーラント層430同士をシールして形成することで、内容物を取り出すために包装袋401を開封する前は、縦シール部402、上方横シール部403、下方横シール部404が剥離することがなく、また、包装袋401を開封する際は、縦シール部402を構成する把持部421を指で摘んで多層フィルムFを引っ張るだけでシール部422が剥離し、縦シール部402、上方横シール部403、下方横シール部404が容易に剥離するような凝集剥離易開封性シールを構成することができる。
凝集剥離易開封性シールは、図11(d)に示すシーラント層430同士をシールして形成したシール部422を構成するシーラント層430自体が破壊されて剥離するものであって、剥離時に糸引きが生じない。このため、内容物に包装袋401を構成する樹脂が混入することがない。また、滑らかな剥離感でシール強度が安定しており、温度依存性が非常に少ない。さらに、剥離面は真っ白な剥離痕が生じる。この真っ白な剥離痕は、シールが適性にできているかどうかを目視で確認できるため、包装工程上でのシール状況の確認にも役立てることができる。その結果、包装袋401に充填する内容物の信頼性を保つことができる。
剥離剤としての界面活性剤は、100ppm(parts per million)〜50000ppmの範囲で添加する。これは、界面活性剤の添加量が50000ppmより多すぎると、界面活性剤のブリードアウト量が多くなり、ヒートシール性が悪くなるためである。また、フィルムから製袋機へ剥離剤が多量に転移し、フィルム走行性を悪化させてしまう。また、界面活性剤の添加量が100ppmより少ない場合は、界面活性剤のブリードアウト量が少なくなり、内容物の剥離性が不十分になるためである。シーラント層430は、30〜60μmの厚さで構成することが好ましく、40〜50μmの厚さで構成することが更に好ましい。
また、剥離剤は、シーラント層430、すなわちチューブ状の押出時における最外層のみに含まれることが好ましく、これにより製袋した際に外側の最外層と内容物側の最内層に剥離剤を有することとなる。このような構成とすることで、内容物と接する層430と製袋機と接する層430のみに剥離剤を含むことになる。これにより、ブロッキング層432のブロッキング性(擬似接着性)を内容物と接する層430と製袋機と接する層430より相対的に高めることができる。そのため、内容物に対する剥離性と製袋機との滑りを向上させ、ライン適正を良好に保つことが出来ると同時に、シール時において、ブロッキング層432がずれることなく、良好にシールすることが可能である。
基材層431は、無延伸ポリアミド、延伸ポリアミド、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの樹脂で構成する。基材層431は、10〜30μmの厚さで構成することが好ましく、15〜25μmの厚さで構成することが更に好ましい。
ブロッキング層432は、チューブ状のフィルムをローラで押し潰して偏平に圧接した際にお互いが接触する層であり、ブロッキング層432同士は完全溶着されず、擬似接着を形成する。これにより、内側フィルムF2及び外側フィルムF1とは、包装袋401が衝撃を受けた際などに擬似接着が剥がれ、それぞれ独立に挙動することとなる。ブロッキング層432は、製袋時に、内側フィルムF2と外側フィルムF1との間にズレが発生してシール不良や外観不良となるおそれがないよう高ブロッキング性を有する樹脂で構成される。高ブロッキング性を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン系の樹脂などを用いることができる。なお、ブロッキング層432は、10〜30μmの厚さで構成することが好ましく、15〜25μmの厚さで構成することが更に好ましい。
本実施形態の多層フィルムFは、シーラント層430に剥離剤としての界面活性剤が添加されているため、上述したインフレーション法等を用いて多層フィルムFを成形した後に、多層フィルムFのシーラント層430側にブリードアウトにより剥離剤塗膜(図示せず)が形成される。
シーラント層430に添加する剥離剤である界面活性剤としては、油分が高く、粘性の高い内容物に対する剥離性の良好な材料として、HLB値の低い脂肪酸エステルであることが好ましい。HLBの値としては、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることが更に好ましい。また、水酸基の数が0の脂肪酸エステルであることが好ましい。このような材料としては、トリグリセライドなどがあげられる。
また、多層フィルムF成形直後のブリードアウト量、及び、時間経過におけるブリードアウト量をコントロールするために、融点の異なる2種類以上の界面活性剤を用いることが好ましい。2種類の界面活性剤としては、少なくとも常温で液体の界面活性剤と、常温で固体の界面活性剤と、を用いることが好ましい。これは、常温で固体の界面活性剤は、ブリードアウトし難いが、液体の界面活性剤は、樹脂分子との絡みが少ないので、固体と液体の界面活性剤を同時に用いることで液体の界面活性剤のブリードアウトに伴い、固体の界面活性剤もブリードアウトすることでブリードアウトを促進させることができる。また、ブリードアウトし難い固体の界面活性剤を用いることで液体の界面活性剤単体に比べてゆっくりとブリードアウトを進行させられるため、液体の界面活性剤単体のみを用いた場合に比べて多層フィルムF成形直後のブリードアウトが抑制され、生産ラインでの剥離剤の付着を抑制することができる。なお、2種類の界面活性剤の融点の差は、内容物の充填時における剥離性向上のために10℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。また、液体の界面活性剤の融点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。また、固体の界面活性剤の融点としては、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。
なお、本実施形態の包装袋401は、図4に示すような縦ピロー充填包装機200を用い、縦シール部402、下方横シール部404、上方横シール部403の凝集剥離易開封性シールによって密封された多層フィルムFによる袋内に内容物Wが充填された包装袋401を製造することができる。但し、本実施形態の包装袋401は、図11(a),(b)に示す多層フィルムFを用いるため、図4に示すフォーマ212を通過する間に、図11(a),(b)に示す多層フィルムFが図11(c)に示すように筒状に湾曲され、多層フィルムFの両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406が形成される。そして、多層フィルムFの両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406同士が縦シール機213を通る間に熱溶着され、多層フィルムFの内側同士が一体にシールされた縦シール部402が形成されて連続した筒状体107が形成される。
このように、本実施形態の包装袋401は、シーラント層430、即ち、チューブ状の押出時における最外層のみに剥離剤を含むことで、内容物と接する層430と製袋機と接する層430のみに剥離剤を含むことになる。これにより、ブロッキング層432のブロッキング性を内容物と接する層430と製袋機と接する層430より相対的に高めることができる。そのため、内容物に対する剥離性と製袋機との滑りを向上させ、ライン適正を良好に保つことが出来ると同時に、シール時において、ブロッキング層432がずれることなく、良好にシールすることが可能である。また、本実施形態の包装袋401は、例えば、チューブ状の押出時における最内層であるブロッキング層432にもブリードアウトを伴う界面活性剤などの剥離剤を添加してもよい。この場合、最外層に添加した剥離剤よりもブロッキング性が高くなるように構成することが好ましく、ブリードアウトを伴う剥離剤をチューブ状の押出時における最内層に有することで、擬似接着が剥がれた後、剥離剤がブリードアウトすることにより衝撃に対してフィルムF1及びF2がそれぞれ独立して挙動しやすくなり耐衝撃性を向上させることができる。
また、縦シール部402、上方横シール部403、下方横シール部404は、易開封性シールとすることで、包装袋401を開封する際に、縦シール部402を構成する把持部421を指で摘んで多層フィルムFを引っ張るだけで縦シール部402を構成するシール部422が剥離し、縦シール部402、上方横シール部403、下方横シール部404を容易に剥離することができ、開封性の良好な包装袋401を得ることができる。
なお、上述した実施形態では、図11(c)に示すように、多層フィルムFの両側縁部405,405をオーバーラップさせて、両側縁部405,405を平坦状に重ね合わせ、その両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406のシーラント層430同士をシールし、図10に示す包装袋401を形成した。しかし、多層フィルムFの両側縁部405,405をオーバーラップさせずに、両側縁部405,405同士を一致させるように立ち上がらせて重ね合わせ、その両側縁部405,405を重ね合わせた部分406,406のシーラント層430同士をシールし、合掌貼り形態とした包装袋を形成することも可能である。
次に、ラミネート方式の疑似接着された包装袋について説明する。図13(d)に示す包装袋501は、ラミネート方式の疑似接着された包装袋を示す図である。基材層541とサンド層542と中間層543とからなる外側フィルムF3と剥離剤を含むシーラント層544からなる内側フィルムF4とで構成する二枚の多層フィルムとして挙動する多層フィルムFを用いてシーラント層544同士を重ね合わせてシールして形成される。なお、後述するドライラミネート法により成形する場合には、必ずしもサンド層542は必要ではなく、基材層541と、擬似接着された中間層543とシーラント層544と、で接着剤を用いて構成すればよい。
まず、図12、図13を参照しながら、本実施形態の包装袋501の構成例について説明する。図12は、本実施形態の包装袋501の構成例を示す図であり、図12(a)は、包装袋501の全体構成例を示し、図12(b)は、図12(a)のA−A断面構成例を示す図である。図13は、本実施形態の包装袋501を形成する多層フィルムFの構成例及び、その多層フィルムFを用いて包装袋501を形成する方法例(合掌貼り)を示す図であり、図13(a),(b)は、多層フィルムFの構成例を示し、図13(c)は、図13(b)に示す多層フィルムFを筒状に湾曲させ、多層フィルムFの両側縁部561,561を重ね合わせた状態を示し、図13(d)は、多層フィルムFの両側縁部561,561を重ね合わせた部分562,562同士をシールし、縦シール部502を形成した状態を示す。なお、本実施形態における多層フィルムFは、中間層543とシーラント層544とが擬似接着されており、製袋時に、中間層543とシーラント層544とが剥離し、二枚のフィルムとして挙動する。
本実施形態の図12に示す包装袋501は、図13(b),(c)に示す多層フィルムFの両側縁部561,561を重ね合わせた部分562,562同士を図13(d)に示すように重ね合わせてシールして形成する。図13に示す多層フィルムFは、図13(d)に示すように、基材層541、サンド層542、中間層543、シーラント層544を有し、中間層543とシーラント層544とは擬似接着されている。それ以外の層同士は、接着されている。このため、本実施形態の多層フィルムFは、基材層541とサンド層542と中間層543とからなる外側フィルムF3とシーラント層544からなる内側フィルムF4とで構成する二枚の多層フィルムとして挙動する。なお、基材層541に印刷処理を施し、基材層541とサンド層542とを印刷面を介して構成しても良い。
擬似接着している中間層543とシーラント層544とは、内容物を充填するまでの間は一枚のフィルムとして挙動し、内容物を充填して包装袋501を製造した後は、衝撃が加わったときに容易に擬似接着が剥がれ、中間層543とシーラント層544とが剥離し、二枚のフィルムとして挙動する。その結果、耐ピンホール性、耐衝撃性、引裂伝搬強度を向上させることができる。本実施形態の多層フィルムFは、中間層543とシーラント層544とが擬似接着しているため、衝撃が加わった際などには二枚のフィルムを構成することができる。
図13(a),(b)に示す多層フィルムFは、サンドイッチラミネート法やドライラミネート法等を用いて構成することができる。例えば、サンドイッチラミネート法を用いて図13(a),(b)に示す多層フィルムFを構成する場合は、まず、剥離剤を含むシーラント層544を構成するインフレーション法によりチューブ状に押し出したフィルムを偏平に熱及び/又は圧力により擬似接着させて2層の擬似接着されたフィルムを成形する。そして、基材層541を構成するフィルムと、中間層543、シーラント層544を構成する擬似接着された上記フィルムと、をTダイスより押し出したサンド層542を構成する溶融樹脂で溶融接着して多層フィルムFを形成することができる。また、ドライラミネート法を用いて図13(a),(b)に示す多層フィルムFを構成する場合は、基材層541を構成するフィルムと、中間層543、シーラント層544を構成する擬似接着された上記フィルムと、を接着剤等でラミネートして多層フィルムFを形成することができる。接着剤としては、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、チタネート系、ウレタン系等を用いることができる。このように成形する場合、インフレーション法により成形した中間層543及びシーラント層544は、剥離剤を含む。このとき、擬似接着が剥がれ、それぞれ二枚のフィルムとして挙動した際には、擬似接着が剥がれた後の衝撃に対してフィルムF3及びF4がそれぞれ独立して挙動しやすくなり耐衝撃性を向上させることができる。
基材層541は、公知の様々な材料が適用可能である。また、サンド層542は、基材層541と中間層543との間に介在する層であり、基材層541と中間層543とを接着させたり、緩衝材として機能させたりする。サンド層542は、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系の樹脂で構成され、基材層541と中間層543との間の強度を有する樹脂で構成することが好ましい。なお、サンド層542は、10〜30μmの厚さで構成することが好ましく、15〜25μmの厚さで構成することが更に好ましい。
中間層543は、基材層541とシーラント層544との間に介在する中間層であり、シーラント層544と同一の樹脂、あるいはシーラント層544とのブロッキング性の高い樹脂で構成される。中間層543を構成する樹脂としては、例えば、2つ以上の樹脂からなる混合樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂などのイージーピール適性を有する樹脂で構成される。また、イージーピール適性を有する樹脂としては、他に低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体等のプロピレン系樹脂との混合樹脂等が挙げられる。中間層543は、30〜60μmの厚さで構成することが好ましく、40〜50μmの厚さで構成することが更に好ましい。
シーラント層544は、公知の様々な材料が適用可能であり、本実施形態の多層フィルムFは、少なくともシーラント層544に上述したような剥離剤としての界面活性剤が添加される。そのため、上述したサンドイッチラミネート法やドライラミネート法等を用いて多層フィルムFを成形した後に、多層フィルムFのシーラント層544側にブリードアウトにより剥離剤塗膜(図示せず)が形成される。
本実施形態の包装袋501は、図13(a),(b)に示す多層フィルムFを、図13(c)に示すように筒状に湾曲させてシーラント層544同士を重ね合わせて溶着した部分で図12に示す縦シール部502のシール部506を形成すると共に、縦シール部502に対して交差する方向の上方横シール部503および下方横シール部504を形成する。また、シーラント層544同士を重ね合わせて溶着していない部分で図12に示す縦シール部502の把持部505を形成する。把持部505は、シール部506の端に形成される。本実施形態の包装袋501の内部には、内容物が充填される。
本実施形態の縦シール部502、上方横シール部503、下方横シール部504は、内容物を取り出すために包装袋501を開封する前は、縦シール部502、上方横シール部503、下方横シール部504が剥離することがなく、また、包装袋501を開封する際は、縦シール部502を構成する把持部505を指で摘んで多層フィルムFを引っ張るだけでシール部506が剥離し、縦シール部502、上方横シール部503、下方横シール部504が容易に剥離するような凝集剥離易開封性シールを構成することができる。
なお、本実施形態の包装袋501は、図4に示すような縦ピロー充填包装機200を用い、縦シール部502、下方横シール部504、上方横シール部503によって密封された多層フィルムFによる袋内に内容物Wが充填された包装袋501を製造することができる。但し、本実施形態の包装袋501は、図13(a),(b)に示す多層フィルムFを用いるため、図4に示すフォーマ212を通過する間に、図13(a),(b)に示す多層フィルムFが図13(c)に示すように筒状に湾曲され、多層フィルムFの両側縁部561,561を重ね合わせた部分562,562が形成される。そして、多層フィルムFの両側縁部561,561を重ね合わせた部分562,562同士が縦シール機213を通る間に熱溶着され、多層フィルムFの内側同士が一体にシールされた縦シール部502が形成されて連続した筒状体107が形成される。
このように、本実施形態の包装袋501は、少なくともシーラント層544に剥離剤を含むことで、内容物Wの剥離性が良く、且つ、擬似接着が剥がれてそれぞれ2枚のフィルムとして挙動した際に、剥離剤がブリードアウトすることで擬似接着が剥がれた後の衝撃に対してフィルムF3及びF4がそれぞれ独立して挙動しやすくなり、耐衝撃性を向上させることができる。
なお、上述した実施形態及び実施例は、本発明の好適な実施形態及び実施例であり、上記実施形態及び実施例のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、多様な変更または改良を加えることが可能である。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
なお、この出願は、2011年4月18日に出願した、日本特許出願番号2011-092420号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1、2、3、4、F 多層フィルム
11、21、31、41、431、541 基材層
12、22、32、42、430、544 シーラント層
13、23、33、43 剥離剤塗膜
24 基材粗化面
432 ブロッキング層
542 サンド層
543 中間層
101、301、401、501 包装袋
102a、102b、302、402、502 縦シール部
103、104、303、304、403、404、503、504 横シール部

Claims (7)

  1. 少なくとも常温で固体の界面活性剤と常温で液体の界面活性剤とを含む剥離剤を樹脂に添加したシーラント層を有し、
    前記剥離剤はHLB値が1.5以下の脂肪酸エステルであり、
    少なくとも表面を算術平均粗さRa≧0.1μm、最大高さRmax≧2.0μmに粗面化した、製袋機と接する層を有し、
    前記界面活性剤は、全てHLB値が1.0以下で水酸基の数が0のグリセリン脂肪酸フルエステルである、ことを特徴とする製袋用フィルム。
  2. 前記シーラント層は、イージーピール適性を有する複数の樹脂からなる、ことを特徴とする請求項1記載の製袋用フィルム。
  3. 熱をかけることにより収縮する樹脂からなる層を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項に記載の製袋用フィルム。
  4. 前記固体の界面活性剤の添加量が、前記液体の界面活性剤より多い、ことを特徴とする請求項に記載の製袋用フィルム。
  5. 疑似接着された層を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項記載の製袋用フィルム。
  6. インフレーション法を用いて成膜され、内容物と接する層と製袋機と接する層に前記剥離剤を有する、ことを特徴とする請求項に記載の製袋用フィルム。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の製袋用フィルムを用いて製袋した、ことを特徴とする包装袋。
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