JP2019014516A - 食品包装用複合フィルム、及び縦ピロー包装用複合フィルム - Google Patents

食品包装用複合フィルム、及び縦ピロー包装用複合フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】離型剤の塗布などの後工程を行うことなく包装フィルムと内容物との剥離操作が容易である、食品包装用複合フィルムを提供する。【解決手段】最内層及び最外層の少なくとも2層からなる食品包装用複合フィルムであって、前記最内層が離型剤を5000ppm以上50000ppm以下含む厚さが10μm以上のヒートシール層であり、前記離型剤が水酸基の数が1以上2以下のグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記離型剤のHLB値が2.0以上であり、総厚さが40μm以上200μm以下である。【選択図】なし

Description

本願は、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い内容物を充填包装するのに好適なフィルムにおいて、内容物を良好に剥離することが可能な食品包装用複合フィルム及び該食品包装用複合フィルムを使用した縦ピロー包装用複合フィルムに関する。
近年、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い内容物を充填する包装容器を、金属缶やガラス瓶等から、減容化、軽量化、搬送利便性などの観点から、プラスチックフィルムからなる包装体への切り替えが進んでいる。
従来、ピロー包装やフィルムを2枚重ねにした二重包装体が用いられており、例えば、特許文献1には、液体、流動体、ペースト体を充填する業務用や工業用の多重袋が開示されている。また特許文献2には、フラワーペースト、練り餡、チョコレート、マーガリン、液卵、清涼飲料水等を液体状や粘体状で充填する二重袋が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されている包装袋に内容物を充填包装すると、内容物のもつ粘り気により内容物が包装袋の内面に付着してしまい、包装袋内での内容物の流動性が悪くなる。また、包装袋の内面に接している部分の内容物は、包装袋内に残ってしまい、包装体から取り出し難い。よって、特許文献1及び特許文献2に記載されている包装袋では、充填包装された内容物の取り出し作業が甚だ面倒である問題があった。
このため、内容物の取り出し歩留まりの低下を抑制させることが所望されている。また、包装袋内に残ってしまった内容物は包装袋と共に廃棄することになり、この内容物の廃棄量も比較的多く発生する為、包装袋の廃棄処理において環境面からも問題視されている。
そこで、特許文献3〜6では包装体のフィルムと内容物との付着を改善するために、包装体フィルムに次のような工夫を施すことを開示している。
特許文献3には、フィルムと内容物の剥離効果を目的として、フィルムの内層側にエンボス加工を施す方法が開示されている。
特許文献4には、内容物に充填してなる包装袋において、その包装袋を形成するフィルムと内容物との剥離性の向上を目的として、フィルムに剥離剤を塗布することが開示されている。
また、ゼリー菓子、プリン、ヨーグルト、液体洗剤、練り歯磨き、カレールー、シロップ、ワセリン、洗顔クリーム、洗顔ムース等の固体、半固体、液体、粘性体、ゲル状物等の内容物が包装材に付着しない撥水性フィルムとして、特許文献5にはシール層に充填粒子を含有し且つその表面に撥水性粒子を塗工するフィルムが開示されており、特許文献6には熱軟化した樹脂基材に疎水性酸化物微粒子を塗工し、冷却固化するフィルムが開示されている。
特開2003−305783号公報 特開2003−335302号公報 特開2017−13479号公報 特開2000−355362号公報 特開2013−75715号公報 特開2014−968号公報
しかしながら、特許文献3では、フィルムの内装側にエンボス加工を施すための製膜設備に専用のロールを取り付けることが必要なため、フィルム製造設備が当該フィルム専用機となり、フィルム生産性が劣る。特許文献4〜6では、フィルム製膜とは別個に、離型剤塗布、撥水性粒子、または疎水性酸化物微粒子を塗布乾燥する工程が必要であり、製造工程数が増え、製造コストが増加する。
また、フィルム表面へのエンボス加工、あるいは粒子層の形成により、フィルムの透明性が悪く、内容物の視認性が不十分になるという問題がある。
本願は、上記従来技術の課題を解決しようとするものであり、離型剤の塗布、エンボス加工、撥水性粒子層の塗工等の製膜後の後工程を行うことなく、包装フィルムと内容物との剥離操作が容易である、食品包装用複合フィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本願は上記課題を解決する1つの形態として、
最内層及び最外層の少なくとも2層からなる食品包装用複合フィルムであって、最内層が離型剤を5000ppm以上50000ppm以下含む厚さが10μm以上のヒートシール層であり、離型剤が水酸基の数が1以上2以下のグリセリン脂肪酸エステルを含み、離型剤のHLB値が2.0以上であり、総厚さが40μm以上200μm以下である食品包装用複合フィルム、
を開示する。
ここで「最内層」とはフィルムの一方側の表面を含む層であり、例えば当該フィルムを用いて内容物を充填する包装袋とした際には、内容物と接するフィルムの表面側(内容物側)に配置される層である。「最外層」とはフィルムの他方側の表面を含む層であり、例えば当該フィルムを用いて内容物を充填する包装袋とした際には、内容物と接しないフィルムの表面側に配置される層である。
上記フィルムにおいて、ヒートシール層が下記の樹脂AからなるI層、または、下記の樹脂Aが40質量%以上80質量%以下、下記の樹脂Bが20質量%以上60質量%以下である混合物からなるII層、あるいは、これらの層の組み合わせを含むことが好ましい。また、ヒートシール層が最内層側からII層及びI層の順で積層された少なくとも2層からなることが好ましい。
樹脂A:ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体及びこれらのアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種。
樹脂B:ポリプロピレン系樹脂又はポリブテン系樹脂。
ここで「最内層側」とは最内層に含まれるフィルムの表面側であり、例えば当該フィルムを包装袋とした際に、内容物と接するフィルムの表面側である。
上記フィルムにおいて、最外層がポリアミド系樹脂からなり、最外層の厚さが総厚さの20%以上70%以下であることが好ましい。
上記フィルムにおいて、最外層と最内層との間の中間層としてエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂層を有することが好ましい。
また、本願は上記課題を解決する1つの形態として、上記食品包装用共押複合フィルムを使用した縦ピロー包装用複合フィルム、を開示する。
本発明における食品包装用複合フィルム及び縦ピロー包装用複合フィルムによれば、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等の高い粘性を有する食品を内容物とするプラスチック包装体に上記フィルムを用いると、内容物を取り出しやすく、且つ、包装体内面に付着残りを著しく削減することができ、内容物の使用可能量を十分とすることができる。又、内容物の付着分を再度取り出すための手間や工程が不要となる。さらに、内容物の成分比率、乳化状況についても限定されることなく、包装体と内容物とを容易に剥離させることができる。
以下、本発明の食品包装用複合フィルムについて詳細に説明する。
本発明は最内層及び最外層の少なくとも2層を配した食品包装用複合フィルムであり、最内層が離型剤を所定の割合で含有していることに特徴を有する。
ここで「最内層」とはフィルムの一方側の表面を含む層であり、例えば当該フィルムを用いて内容物を充填する包装袋とした際には、内容物と接するフィルムの表面側(内容物側)に配置される層である。「最外層」とはフィルムの他方側の表面を含む層であり、例えば当該フィルムを用いて内容物を充填する包装袋とした際には、内容物と接しないフィルムの表面側に配置される層である。
上記食品包装用複合フィルムは単品で用いて内容物を包装する包装袋を形成してもよく、さらに他のフィルムを積層して包装袋を形成してもよい。あるいは、共押し出し法等により最外層及び最内層を含む2層以上の多層フィルムとしてから包装袋を形成してもよい。
また、本発明は上記食品包装用複合フィルムを使用した縦ピロー包装用複合フィルムとすることもできる。縦ピロー包装とは、縦ピロー包装機を用い、フィルムを筒状に湾曲させ、フィルムの端同士をシールし、内容量にあった長さにてフィルム流れ方向と垂直にシールし形成させる包装形態である。
<最内層(ヒートシール層)>
本発明における最内層は離型剤が所定の割合で含有されたヒートシール層である。
ヒートシール層を構成する樹脂組成物としては、ポリオレフィン樹脂又は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いることができる。ここで「主成分」とは樹脂組成物全体に対して、50質量%以上含有している種類の樹脂組成物を指す。好ましくは70%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
ポリオレフィン樹脂の種類は特に限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、炭素数1〜20のα−オレフィンからなる共重合体、などを用いることが出来る。また、これらは単独でも複数種の併用であってもよい。その中でも、ヒートシール性を付与する観点から、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の使用が望ましい。
また、ヒートシール層を構成する樹脂組成物としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体及びこれらのアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることもできる。
ヒートシール層の厚さは、特に制限されるものではないが、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。最内層の厚さを上記下限値以上とすることにより、離型効果が良好に発揮される。また、フィルムの総厚さ、製造コストを低減するため、最内層の厚さを上記上限値以下とすることが適する。
ヒートシール層を構成する樹脂組成物の融点は特に制限されないが、内容物充填時の耐熱性を考慮すると90℃以上であることが好ましい。
ここで、最内層は下記I層又は下記II層、あるいは、これらの層の組み合わせを含むことが好ましい形態である。すなわち、最内層はI層及びII層をそれぞれ単独で有する形態あるいは、I層及びII層を両方有する形態が好ましい。最内層(ヒートシール層)がI層及びII層を両方有する場合は、最内層は最内層側からII層及びI層の順で積層された少なくとも2層からなることが好ましい。なお、「最内層側」とは最内層に含まれるフィルムの表面側であり、例えば当該フィルムを包装袋とした際に、内容物と接するフィルムの表面側である。
以下にI層及びII層について説明する。
(I層)
I層はヒートシール性を備える層である。I層を構成する樹脂組成物には上記ヒートシール層を構成する樹脂組成物を採用することができるが、下記の樹脂Aからなることが好ましい。
樹脂A:ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体及びこれらのアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種。
I層の厚さは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。I層の厚さを上記下限値以上とすることにより、離型効果が良好に発揮される。また、フィルムの総厚さ、製造コストを低減するため、I層の厚さを上記上限値以下とすることが適する。
I層を構成する樹脂組成物の融点は特に制限されないが、内容物充填時の耐熱性を考慮すると90℃以上であることが好ましい。
(II層)
II層は非相溶性の2種以上のポリオレフィン樹脂の混合物を用いることにより構成されるヒートシール性とイージーピール性とを併せ持つ層である。いわゆる、イージーピール層である。
最内層がII層を備えることにより、包材を開封する際に最内層が凝集破壊され、刃物を用いずに手で容易に開封(イージーピール)できる。
II層を構成する樹脂組成物は特に限定されないが、例えば次のような構成であることが好ましい。すなわち、II層は上記樹脂Aを40質量%以上80質量%以下、下記樹脂Bを20質量%以上60質量%以下である混合物からなることが好ましい。
樹脂B:ポリプロピレン系樹脂又はポリブテン系樹脂。
II層のイージーピール強度としては、剥離性、使用性の観点から23℃で、下限は1N/15mm幅以上が好ましく、3N/15mm幅以上がより好ましい。また上限は特に制限はないが、10N/15mm幅以下が好ましく、8N/15mm幅以下がより好ましい。
II層の厚さは、ヒートシール層に単独で用いる場合は、下限は10μm以上であることが好ましく、上限が15μm以下であることがより好ましい。II層の厚さを下限値以上とすることにより、離型効果が良好に発揮され、上限値以下にすることにより、剥離面の毛羽立ちや膜残りが発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られる。
(I層とII層の組み合わせ)
I層及びII層を組み合わせる場合は、I層とII層の合計厚さが10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが特に好ましい。また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。I層とII層の合計厚さを上記下限値以上とすることにより、離型効果が良好に発揮される。また、フィルムの総厚さ、製造コストを低減するため、I層とII層の合計厚さを上記上限値以下とすることが適する。
ただし、I層及びII層を組み合わせる場合は、II層の厚さは、製膜性及び剥離外観性の観点から2μm以上、好ましくは3μm以上、さらに好ましくは4μm以上であり、かつ15μm以下、好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下とすることが望ましい。II層の厚さの下限を2μm以上とすることにより、安定した製膜性が得られ、また上限を15μm以下にすることにより剥離面の毛羽立ちや膜残りが発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られる。
(離型剤)
次に、最内層に含有させる離型剤について説明する。
離型剤を構成する成分としては脂肪酸エステルが挙げられる。離型剤を構成する脂肪酸エステルは単一であってもよく、2種以上を併用した混合物であってもよいが、離型剤のHLB値が2.0以上に調整されることが好ましく、3.0以上に調整されることが特に好ましい。離型剤のHLB値は、例えばアトラス法によって決定される。
離型剤のHLB値が上記下限値以上であることにより、当該離型剤がフィルムに親水性を付与するので、フィルムから食品を剥離する操作が容易になる。離型剤を2種以上混合する場合は、各成分のHLB値の加重平均とする。なお、HLB値の値は大きければ大きいほど上記効果も大きくなることが予想されるため、上限は特に限定されない。
アトラス法:エステル系の界面活性剤について、鹸化価をS、界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価をAとし、HLB値を20(1−S/A)で定義する。
ここでHLB値とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなる。
離型剤を構成する脂肪酸エステルとしては油分を含む内容物に対する離型性を高めることができる観点から、親水性の脂肪酸エステルであることが好ましい。離型剤に使用可能な親水性の脂肪酸エステルとしては、具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンジオレート等のグリセリンの脂肪酸部分エステルや、ジグリセリンラウレート等のグリセリン脱水縮合生成物(ポリグリセリン)の脂肪酸部分エステルといった、アルコール性ヒドロキシ基を有するポリオールと脂肪酸との部分エステル等を例示することができる。
離型剤における親水性脂肪酸エステルの好ましい含有量は、離型剤の全量を基準として10質量%以上50質量%以下である。
最内層に脂肪酸エステルを含有させるにあたっては、最内層を構成するLLDPEに脂肪酸エステルを含有する防曇剤を配合する態様を好ましく例示できる。防曇剤の基材樹脂は特に限定されるものではないが、最内層を構成するLLDPEとの親和性が良好である観点から、ポリエチレン(PE)であることが特に好ましい。
離型剤に含有される脂肪酸エステルの水酸基の数としては1以上2以下であることが好ましい。また水酸基はグリセリン等のポリオール由来の水酸基であることが好ましい。脂肪酸エステルの水酸基の数が上記範囲にあることにより、離型剤のHLB値を2.0以上に調整し易くなる。
最内層が食品等の内容物に対して離型性を発揮するには、最内層中に離型剤が拡散して、フィルムの最内層側(内容物側)へブリードアウトすることが重要である。よって離型剤のブリードアウト量を適切に調整するために、最内層における離型剤の含有量を適切に調整することが重要である。
最内層における離型剤の好ましい含有量は離型剤の成分である脂肪酸エステルに依存するが、離型剤が水酸基の数が1以上2以下のグリセリン脂肪酸エステルを含み、かつ、離型剤のHLB値が2.0以上である場合は、最内層における離型剤の含有量(質量%濃度)は5000ppm以上50000ppm以下であることが好ましい。最内層における離型剤の含有量が50000ppm以上だとブリードアウト量が増え、フィルム外観を損ねる虞がある。又、熱安定性も低くなる為、製膜上問題がある。最内層における離型剤の含有量が5000ppm以下だと性能が不足する懸念がある。より好ましくは15000ppm以上40000ppm以下である。
例えば、ジグリセリンラウレート(HLB7.3)とグリセリンモノオレート/ジオレート混合物(HLB3.1)との混合物である離型剤を用いる場合には、最内層における当該離型剤の含有量が10000ppm以上50000ppm以下となる範囲を好適に採用することができる。
なお、最内層が2層以上からなる場合、いずれか一層に離型剤を添加しても、全ての層に添加しても構わない。すなわち、例えば最内層がI層及びII層を有する場合、離型剤をI層のみに添加してもよく、II層のみに添加してもよく、I層及びII層の両方に添加してもよい。I層のみ又はII層のみに離型剤を添加した場合であっても、I層からII層へ又はII層からI層へ離型剤がブリードアウトし、I層及びII層における離型剤の含有量は均一になる。すなわち、最内層における離型剤の含有量は、最内層のそれぞれの層における離型剤の含有量の加重平均である。
ただし、離型剤を添加する層の厚さは合計で10μm以上とすることが重要である。例えば、最内層がI層及びII層を有しかつI層及びII層に離型剤を添加する場合、I層及びII層の厚さの合計が10μm以上になることが重要である。離型剤を添加する層の厚さが合計で10μm未満であると、離型剤を添加した層から離型剤を添加していない層へ離型剤が拡散してしまい、最内層全体における離型剤の含有量(質量%濃度)が少なくなってしまうことから、フィルムの最内層側(内容物側)に向かう離型剤のブリードアウトの量が少なくなり、離型性の効果が低下するため好ましくない。
<最外層>
本発明における最外層を構成する樹脂組成物は、特に限定されないが、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、その他の樹脂を用いることができる。その中でも、包装体、包装時の生産性、包装機適正を考慮すると、シール熱板トラレの観点から、耐熱性の高いポリアミド系樹脂からなることが好ましい。
ポリアミド系樹脂の種類としては、特に限定されないが、具体的に例示すると、4ナイロン、6ナイロン、7ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、46ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、610ナイロン、611ナイロン、6Tナイロン、6Iナイロン、MXD6ナイロン、6−66ナイロン、6−610ナイロン、6−611ナイロン、6−12ナイロン、6−612ナイロン、6−6Tナイロン、6−6Iナイロン、6−66−610ナイロン、6−66−12ナイロン、6−66−612ナイロン、66−6Tナイロン、66−6Iナイロン、6T−6Iナイロン、66−6T−6Iナイロン等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、コストの観点から、6ナイロンまたは6−66ナイロンを用いることが好ましい。
最外層の厚さは特に限定はされないが、フィルムの総厚さに対する最外層の厚さの割合が、下限が20%以上であることが好ましく、40%以上がより好ましい。また、上限は70%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。
下限を20%以上とすることにより、フィルムに十分な耐ピンホール性や、フィルム腰を付与することができ、また上限を70%以下とすることにより、製造コストを抑制することができる。
<中間層>
本発明のフィルムには、最外層と最内層との間に中間層が配置されていてもよい。中間層には酸素バリア性付与を目的として、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂(EVOH)層を備えていることが好ましい。
EVOH層中のエチレン含有モル分率は、特に限定されるものではないが、フィルム製膜安定性の観点から、下限は27モル%以上が好ましく、29モル%以上がより好ましく、32モル%以上がさらに好ましい。一方、上限は47モル%以下が好ましく、44モル%以下がより好ましく、38モル%以下がさらに好ましい。
EVOHのケン化度は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
また、フィルムの総厚さに対するEVOH層の厚さの割合は、下限が3%以上であることが好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましい。また、上限は20%以下が好ましく、18%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。
下限を3%以上とすることにより、フィルムに十分な酸素バリア性を付与することができ、また、上限を20%以下とすることにより、フィルムの耐ピンホール性の低下や製造コストを抑制することができる。
<その他の樹脂層>
本発明のフィルムは、各層の層間剥離強度を高める目的で、接着樹脂層を設けることができる。接着樹脂層は1層であってもよいし、複数であってもよい。接着樹脂層がポリエチレン樹脂を含む層に隣接する場合は、ポリエチレン系接着樹脂を用いると好適である。
接着樹脂層に使用可能なポリエチレン系接着性樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン系アイオノマー(IO)等のエチレン共重合体系樹脂が例示できる。
また、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体若しくはエチレン系エラストマーに、アクリル酸若しくはメタアクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、またはマレイン酸、フマール酸若しくはイタコン酸等の二塩基性脂肪酸の無水物を化学的に結合させた変性ポリオレフィン系樹脂を例示でき、層間密着性が高く好ましい。
接着樹脂層の厚さは、作業性、経済性、取扱い性の観点から、下限は3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、8μm以上がさらに好ましい。また上限は特に制限はないが、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
下限が3μm以上であれば、層間剥離強度を向上させることができる。また接着樹脂層が厚過ぎると、透明性の悪化やフィルムの総厚さが厚くなってしまう他、製造コストもかさむため上限は30μm以下であることが望ましい。
本発明のフィルムにおいては、上記のような層間接着を行う接着樹脂層のほかに、最内層のヒートシール層に隣接して接着樹脂層を一層以上配することができる。この場合の接着樹脂層の樹脂としては、特に限定されない。但し、コスト、製膜性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂であることが適している。
<その他の添加剤及び樹脂>
本発明のフィルムは、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、成形加工性、生産性等の諸性質を改良・調整する目的で、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、などの添加剤及びその他の樹脂を適宜添加できる。また、フィルムの良好な透明性を維持するためには、無機粒子や滑剤などの粒子径は100μm以下が望ましい。
<食品包装用複合フィルム>
本発明のフィルムの好ましい層構成としては、接着樹脂層の表記を省いて、最外層/中間層/最内層の順に記すと、次の例が挙げられる。尚、ポリアミド樹脂をPA、ポリオレフィン樹脂をPO、ポリエチレン系樹脂をPE、ポリプロピレン系樹脂をPP,エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物をEVOH、ポリオレフィン系樹脂の混合からなるイージーピール層をEPと略記して記す。
中でも(1)、(2)、(7)、(8)、の構成が好適に使用できる。
(1) PA/PO
(2) PA/EVOH/PO
(3) PE/PA/PO
(4) {PE又はPP}/PA/PO
(5) {PE又はPP}/EVOH/PO
(6) {PE又はPP}/PA/EVOH/PA/PO
(7) PA/PO/EP
(8) PA/EVOH/PO/EP
(9) {PE又はPP}/PA/PO/EP
(10) {PE又はPP}/PA/PO/EP
(11) {PE又はPP}/EVOH/PO/EP
(12) {PE又はPP}/PA/EVOH/PA/PO/EP
本発明のフィルムの総厚さは、内容物の形状、重量、必要なガスバリア性能、包装形態等の用途に応じて、40μm以上200μm以下の範囲で適宜選定することができる。
また、本発明のフィルムは公知の共押出法により作製できる。共押出法としては、T−ダイ法、インフレーション法が挙げられる。
あるいは、本発明のフィルムは、用途に応じて、無延伸、一軸延伸、二軸延伸の何れでも作製することができ、また、本発明のフィルムを単体で用いることも、他のフィルムと積層して用いることもできる。例えば、包装袋用には、無延伸フィルムや適度なコシを持たせるために無延伸フィルムに延伸フィルムをラミネートしたフィルムが好適に使用できる。また、深絞り底材用には、成形性の良い無延伸フィルムが好適である。また、深絞り蓋材用には、本発明の無延伸フィルムに二軸延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートした構成が好適である。
<実施例>
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
下記に記載の原料を用い、共押出Tダイ法により、各実施例及び表1に記した層構成である多層無延伸フィルムを作製した。
各例の層構成は、最外層側から最内層側への順で記し、各層の成分は次の略号で記す。尚、「+」は樹脂又は成分の混合を意味する。また、以下の「最内層」はフィルムがPE1層を有する場合はPE1層を表し、イージーピール樹脂層を有する場合はイージーピール樹脂層を表し、PE1層及びイージーピール樹脂層を有する場合はPE1層及びイージーピール樹脂層を合せた概念を表す。
・PE1;ポリエチレン樹脂
<プライムポリマー製モアテック 密度:0.931>
・PB;ポリブテン樹脂
<三井化学社製タフマー 密度:0.91>
・PA1;ナイロン6
<ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチック製ノバミッド6Ny>
・EVOH1;エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
<日本合成化学社製ソアノール38mol%>
・AD1;カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(接着樹脂)
<三菱化学製モディック(ポリエチレン樹脂ベース)>
・離型剤1:脂肪酸エステル(グリセリンモノステアレート(水酸基の数2)を離型剤1の全量基準で25質量%含む)、HLB値4.3
・イージーピール樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)70質量%+ポリブチレン−1樹脂(PB−1)30質量%
(実施例1)
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤1を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤1の含有量は35862ppmである。
(実施例2)
実施例1において、PA1とAD1との間にEVOHを配した。
PA1(28μm)/EVOH(8μm)/AD1(10μm)/PE1(44μm)/イージーピール樹脂(10μm)
PE1には離型剤1を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは54μmであり、最内層における離型剤1の含有量は32593ppmである。
(実施例3)
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤1を40000ppm添加した。イージーピール樹脂にも離型剤1を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤1の含有量は40000ppmである。
(実施例4)
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)
PE1には離型剤1を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは52μmであり、最内層における離型剤1の含有量は40000ppmである。
(実施例5)
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤1を15000ppm添加した。イージーピール樹脂にも離型剤1を15000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤1の含有量は15000ppmである。
(実施例6)
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤2を40000ppm添加した。イージーピール樹脂にも離型剤2を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤2の含有量は40000ppmである。
・離型剤2:脂肪酸エステル(グリセリンモノステアレート(水酸基の数2)を離型剤2の全量基準で20質量%含む)、HLB値2.5
(比較例1)
実施例1において、添加した離型剤を変更した。
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤3を40000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤3の含有量は35862ppmである。
・離型剤3:脂肪酸エステル(トリグリセライド(水酸基の数0)を離型剤3の全量基準で20質量%含む)、HLB値1
(比較例2)
実施例1において、離型剤をイージーピール樹脂層のみに添加した。
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
イージーピール樹脂には離型剤1を36000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤1の含有量は3724ppmである。
(比較例3)
実施例1において、PE1に添加している離型剤を配合しなかった。
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
最内層の厚みは58μmである。
(比較例4)
実施例1において、PE1に添加している離型剤配合量が減らした。
PA1(28μm)/AD1(10μm)/PE1(52μm)/イージーピール樹脂(6μm)
PE1には離型剤1を1000ppm添加した。
よって、最内層の厚さは58μmであり、最内層における離型剤1の含有量は897ppmである。
<評価>
各例で得られたフィルムについて、次の評価を行い表1にまとめた。
<内容物のフィルムに対する付着性(フィルムの剥離性)>
5cm角に切り取ったフィルム2枚を用意し、上側と下側の各フィルムの最内層面同士の間に、内容物を挟んで水平台に置き、その上から5cm角3kgの重りを載せ、2℃下で24時間静置した。その後、上側のフィルムを剥がした。剥がした上側のフィルム5cm角あたりに、内容物が付着している面積を後述の方法により計測し、付着面積が10%以上の場合を「×」、10%未満5%以上を△、5%未満の場合を「○」と評価し、「△」以上を実用上問題ない範囲とした。
上側のフィルムに付着した内容物の面積は、マス目の間隔が1mmである方眼用紙に内容物が付着している側が上側となるように上記上側のフィルムを設置し、内容物が付着している部分と重なる方眼用紙の1mmマスの数から算出した。内容物が付着した部分と重なる1mmマスの数は、1mmマスに内容物が完全に重なっているマスだけでなく、少しでも内容物が重なるマスも含めて計数している。なお、計測した内容物は目視で明らかに付着していることが分かる部分のみであり、薄く付着した部分に関しては面積を計測していない。
<イージーピール(EP)剥離評価>
上記において作製したフィルムと、下記測定用フィルムとを、シーラント層側(上記フィルムにおける最内層側、下記測定用フィルムにおけるLLDPE側)同士を重ね合せ、シール温度140℃、シール時間3秒、シール圧3.1kg/cmの条件下でシールした。
そして、シール部分を15mm幅で短冊状に切り出し、引張試験機にて、剥離確度180℃で上下に引張り、剥離強度8N/15mm幅で剥離可能かどうかで評価を行った。剥離強度8N/15mmで剥離できた場合を「○」と評価し、剥離できなかった場合を「×」と評価した。
測定用フィルム:2軸延伸ナイロン(15μm)と融点120℃のLLDPE(60μm)のラミネートフィルム。
Figure 2019014516
付着性に関する試験に用いた内容物は、餡子、クリーム1(W/O型)、クリーム2(O/W型)である。内容物の成分比率を下記の表2にまとめた。
ここで、乳化の型について説明する。乳化の型には水の中に油が粒子となって分散している水中油型(O/W型)乳化と、油の中に水が粒子となって分散している油中水型(W/O型)乳化がある。このうちどちらの乳化にしたいかは、乳化剤により決めることができる。水と油に乳化剤を加え混ぜ合わせた時、水に溶けやすい高HLBの乳化剤を使用すると親水基を外側に親油基を内側にして油の粒子を閉じ込めるO/W型乳化となる。反対に水に溶けにくい(油に溶けやすい)、低HLBの乳化剤を使用すると親油基を外側に親水基を内側にして水の粒子を閉じ込めるW/O型乳化となる。
Figure 2019014516
表1より、実施例1〜4は、HLB値が2以上である所定の離型剤を配合したため、内容物の成分比率、乳化状態問わず、包装体と内容物との剥離性が良好であった。
一方で、比較例1は、添加剤としてHLB値が1のトリグリセライドを使用したため、O/W型に乳化した内容物に対しては、剥離効果があったものの、W/O型に乳化した内容物に対しては、剥離効果が薄かった。比較例2は、イージーピール樹脂層にのみ離型剤を添加した例であり、最内層における離型剤の含有量が少ないため、いずれの内容物に対しても剥離効果が薄かった。比較例3は、離型剤を添加しなかったため、いずれの内容物に対しても剥離効果はなかった。比較例4は、最内層における離型剤の含有量が少量だった為、いずれの内容物に対しても剥離効果が薄かった。
イージーピール剥離評価に関しては、イージーピール層を有するフィルムは総じて剥離性が良好であった。
本発明のフィルムによれば、練り餡、ショートニング、ジャム、マヨネーズ等、粘性の高い内容物を包材から取り出しやすくすることが出来、食品の廃棄量を減らし、付着分を再度取り出すための手間が不要で作業効率が上がり、使用後の包材の資材回収が容易になり、内容物視認性が良く、食品加工業、一般消費者に、安価で且つ作業性、環境性、安全性に優れた包装材を提供することが出来る。

Claims (6)

  1. 最内層及び最外層の少なくとも2層からなる食品包装用複合フィルムであって、前記最内層が離型剤を5000ppm以上50000ppm以下含む厚さが10μm以上のヒートシール層であり、前記離型剤が水酸基の数が1以上2以下のグリセリン脂肪酸エステルを含み、前記離型剤のHLB値が2.0以上であり、総厚さが40μm以上200μm以下である食品包装用複合フィルム。
  2. 前記ヒートシール層が下記の樹脂AからなるI層、または、下記の樹脂Aが40質量%以上80質量%以下、下記の樹脂Bが20質量%以上60質量%以下である混合物からなるII層、あるいは、これらの層の組み合わせを含む、請求項1に記載の食品包装用複合フィルム。
    樹脂A:ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体及びこれらのアイオノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種。
    樹脂B:ポリプロピレン系樹脂又はポリブテン系樹脂。
  3. 前記ヒートシール層が最内層側から前記II層及び前記I層の順で積層された少なくとも2層からなる、請求項2に記載の食品包装用複合フィルム。
  4. 前記最外層がポリアミド系樹脂からなり、前記最外層の厚さが前記総厚さの20%以上70%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の食品包装用複合フィルム。
  5. 前記最外層と前記最内層との間の中間層としてエチレン酢酸ビニル共重合体けん化物樹脂層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の食品包装用複合フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の食品包装用共押複合フィルムを使用した縦ピロー包装用複合フィルム。
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