JP6819820B2 - 積層フィルム及び食品包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来の樹脂を使用した積層フィルム及び食品包装袋に関する。
近年、環境負荷低減を目的に、包装材に使用する樹脂フィルムを構成する材料の一部を、石油等の化石燃料由来の樹脂から、植物由来の樹脂に置き換える検討がなされている(例えば、特許文献1、2参照)。
植物由来の樹脂は、環境対応性は高いものの、化石燃料由来の樹脂とは異なる性質を示すことが多い。このため、樹脂フィルムを構成する材料の一部を、単に植物由来の樹脂と置き換えると、樹脂フィルムの目的とする特性が得られない場合がある。
特開2012−167172号公報 特開2013−151623号公報
特に、エチレン系樹脂は、プロピレン系樹脂との親和性(相溶性)が低い。このため、プロピレン系樹脂を主体とする樹脂フィルム(積層フィルム)において、エチレン系樹脂を併用する場合、その種類によっては、樹脂フィルムの成型性が低下する場合があった。また、プロピレン系樹脂を主体とするヒートシール性の樹脂フィルム(積層フィルム)において、植物由来のポリエチレンを使用すると、ヒートシール性の低下が生じる場合があった。
このため、環境対応性を向上させるべく、樹脂由来のエチレン系樹脂を使用する場合にも、その種類を選択することは重要である。
本発明が解決しようとする課題は、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成において、好適な成型性やヒートシール性を有する積層フィルム、及びかかる積層フィルムを使用(製袋)した食品包装袋を提供することにある。
本発明は、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)が積層された積層フィルムであって、前記表面層(A)、前記中間層(B)及び前記シール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有し、前記中間層(B)が、さらに植物由来の低密度ポリエチレン(b1)を含有する積層フィルムにより、上記課題を解決するものである。
本発明の積層フィルムは、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成であるが、植物由来のエチレン系樹脂の種類を選択することにより、高い成型性を維持して、目的とする好適な特性を有する環境対応型のフィルムとすることができる。また、本発明の積層フィルムは、パン等の食品の包装に好適に使用することができる。
以下、本発明の積層フィルム及び食品包装袋について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の積層フィルムは、少なくとも表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、一方の表層が表面層(A)、他方の表層がシール層(C)となっている。
本発明においては、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有し、中間層(B)が、さらに植物由来の低密度ポリエチレン(b1)(以下、「バイオ低密度ポリエチレン(b1)」と言う。)を含有する。
以下、各層(A)〜(C)の構成について、順に説明する。
[表面層(A)]
表面層(A)は、積層フィルムを食品包装袋に製袋した際に表層を構成する層であり、印刷が施される印刷層等として機能する。
この表面層(A)は、プロピレン系樹脂を含有する。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性や製袋適性を付与し易いことから、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、85質量%以上であることが特に好ましい。また、表面層(A)に含まれる樹脂成分が実質的にプロピレン系樹脂のみを含んでもよい。
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体)等を使用することができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%であることがさらに好ましい。また、積層フィルムに対して、好適な耐衝撃性を付与し易いことから、α−オレフィン含量は、2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。
積層フィルムを透明フィルムとする場合には、プロピレン系樹脂には、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を好ましく使用することができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。中でも、積層フィルムに対して、好適な透明性を付与し易いことから、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体を使用することが好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR)は、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、3g/10分以上であることがより好ましく、5g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るためには、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書中において、特に断りがない限り、MFRは、温度230℃、荷重21.18Nの測定条件で、JIS K 7210:1999の規定に準拠して測定される。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の密度は、0.88〜0.905g/cm程度であることが好ましく、0.89〜0.9g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防止する観点から、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シールの際に、積層フィルムに溶断シール性を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要であるため、融点は、150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましい。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量は、積層フィルムに対して、好適な透明性や包装適性を付与し易いことから、35質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、その含有量は、75質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
また、溶断シール時に十分な溶断玉を形成させ易いことから、より低融点であるプロピレン−1−ブテンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体を、プロピレン−エチレンランダム共重合体と併用することも好ましい。中でも、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体(プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体)を、特に好ましく使用することができる。
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体中のエチレン含量及び1−ブテン含量は、それぞれ25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%であることがさらに好ましい。また、積層フィルムに対して、好適な低温シール性を付与し易いことから、エチレン含量及び1−ブテン含量は、それぞれ0.5質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、3.0g/10分以上であることがより好ましく、5.0g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るため、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体の密度は、0.88〜0.905g/cm程度であることが好ましく、0.89〜0.9g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防止する観点から、105℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シールの際に、積層フィルムに溶断シール性を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要であるため、融点は、145℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体の含有量は、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性を付与し易いことから、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、その含有量は、55質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
一方、積層フィルムをマット性のフィルムとする場合には、プロピレン系樹脂には、プロピレン系ブロック共重合体、特にプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を好ましく使用することができる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。中でも、積層フィルムに対して、マット感、耐寒性及び剛性を優れたバランスで付与することができるため、α−オレフィンとしては、エチレンが好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体のMFRは、積層フィルムの成型性が良好であり、また積層フィルムに対して、好適な耐衝撃性やマット感を付与し易いことから、0.5g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましい。また、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体の融点は、積層フィルムに対して、好適な製袋性を付与し易いことから、155〜165℃程度であることが好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体は、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。複数種を併用する場合には、プロピレン系ブロック共重合体の含有量の総量を下記範囲とすることが好ましい。
なお、積層フィルムに対して、マット感、溶断シール性及び製袋適性を優れたバランスで付与し易いことから、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の市販品として、例えば、BC8、BC7(いずれも日本ポリプロ社製)、E150GK、F704V(いずれもプライムポリマー社製)、PC480A、PC684S、PC380A、VB370A(いずれもサンアロマー社製)等を好適に使用することができる。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、積層フィルムに対して、マット感、溶断シール性及び製袋適性を優れたバランスで付与し得るように、適宜調整すればよい。
具体的な含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。含有量を前記範囲に設定することにより、積層フィルムの意匠性を高めると共に、積層フィルムに対して、均一性のあるマット感を付与し易くなる。中でも、積層フィルムの耐衝撃性を高くする場合には、その含有量を80〜100質量%程度とすることが好ましく、マット感を向上させる場合には、その含有量を70〜90質量%程度とすることが好ましい。
表面層(A)には、上記プロピレン系樹脂以外の包装フィルムに使用される各種オレフィン系樹脂を使用してもよい。かかるオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系単重合体、エチレン系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
エチレン系単重合体としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。
なお、これらのオレフィン系樹脂の表面層(A)に含まれる樹脂成分中の含有量は、20質量%以下であることが好ましい。
中でも、製袋時に有効な広い温度域で柔軟性があり、プロピレン系樹脂と良好な分散性が得られることから、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、エチレン−1−ブテン共重合体(結晶性エチレン−1−ブテン共重合体)を好ましく使用することができる。エチレン−1−ブテン共重合体は、特に積層フィルムを透明フィルムとする際に特に好ましく使用することができる。
積層フィルムに対して、好適な低温シール性を付与し易いことから、表面層(A)に含まれる樹脂成分中のエチレン−1−ブテン共重合体の含有量は、1〜20質量%程度であることが好ましく、5〜15質量%程度であることがより好ましい。
エチレン−1−ブテン共重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、3g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るため、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましい。
エチレン−1−ブテン共重合体の密度は、0.87〜0.9g/cm程度であることが好ましく、0.875〜0.895g/cm程度であることがより好ましい。
また、表面層(A)には、植物由来の樹脂を併用してもよい。積層フィルム中に含まれる植物由来の樹脂の使用比率(以下、「バイオ度」とも言う。)を高める場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の植物由来の樹脂の含有量を、10質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。
一方、積層フィルムのヒートシール性、溶断シール性、耐衝撃性等の各種特性を重視する場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の植物由来の樹脂の含有量を、10質量%未満とすることが好ましく、5質量%未満とすることがより好ましく、実質的に0質量%とすることがさらに好ましい。
表面層(A)は、プロピレン系樹脂を含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
表面層(A)の表面のJIS B 0601:2001に規定される表面粗さ(Ra)は、0.2〜1程度であることが好ましく、0.3〜0.7程度であることがより好ましい。表面粗さ(Ra)を前記範囲とすることにより、その他の添加剤(例えば、スリップ剤、アンチブロッキング剤等)の追添量を低減するか、あるいは併用しなくても、表面滑り性に優れる積層フィルムが得られる。このため、製袋スピードを向上させると共に、製袋後の付き揃え、梱包作業の向上・効率化を図り、内容物を充填してから自動包装機等によって包装する際の作業性を向上させることもできる。
表面層(A)の表面のASTM D 1894−95に規定される摩擦係数は、0.05〜0.7程度であることが好ましく、0.07〜0.6程度であることがより好ましく、0.1〜0.5程度であることがさらに好ましい。摩擦係数を前記範囲とすることにより、包装時のフィルム送り性や、製袋後の付き揃え性、梱包作業性等を向上させ易くなる。また、クロージャーによる結束時のフィルム破れを好適に抑制し易くもなる。なお、摩擦係数は、表面層(A)に使用する樹脂成分に応じて、滑材、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加することにより調整することができる。
[中間層(B)]
中間層(B)は、積層フィルムに対して、食品包装袋を製袋する際に要求される特性や、食品包装袋として要求される特性を付与する機能を有する層である。
この中間層(B)は、プロピレン系樹脂を含有し、さらにバイオ低密度ポリエチレン(b1)を含有する。
プロピレン系樹脂を含有することにより、積層フィルムに対して、良好なヒートシール性、広範な温度域での好適な溶断シール性と共に、好適な耐衝撃性や耐破袋性を付与することができる。
また、低密度ポリエチレンを含有することにより、溶融状態における中間層(B)の形成材料の圧力(樹脂圧力)が上昇することを防止又は抑制することができる。
後述するように、積層フィルムは好ましくは共押出法により製造される。この際、中間層(B)の成形材料は、押出機で加熱溶融され、溶融状態の成形材料をフィルタに通過させた後、成形ダイに供給される。なお、フィルタでは、溶融状態の成形材料中に存在する異物等が除去される。
本発明では、溶融状態の形成材料は、その圧力が低く抑えられているので、フィルタを円滑に通過させることができる。このため、中間層(B)の製膜性や成型性を向上させることができる。また、フィルタに目詰まりが生じ難く、フィルタの寿命を延長することができるので、積層フィルムの生産性にも優れる。
これに対して、低密度ポリエチレンに代えて、他のポリエチレン(特に、直鎖状低密度ポリエチレン)を使用すると、溶融状態の形成材料の圧力が上昇し、積層フィルムの製膜性や成型性が低下する。また、フィルタに目詰まりが生じ易くなる結果、フィルタを頻繁に交換せざるを得なくなり、積層フィルムの生産性が低下すると共に、生産コストも上昇する。
特に、本発明者らの検討によれば、低密度ポリエチレンとしてバイオ低密度ポリエチレン(b1)を使用すると、石油等の化石燃料由来の低密度ポリエチレンを使用する場合と比較しても、溶融状態の形成材料の圧力上昇を抑制する効果が高くなる傾向にあることが判っている。これは、バイオ低密度ポリエチレン(b1)と化石燃料由来の低密度ポリエチレンとにおけるポリマーの分岐状態や分子量の違いに起因するものと、本発明者らは考えている。
また、バイオ低密度ポリエチレン(b1)を使用することにより、積層フィルムのバイオ度を高めることができるので、二酸化炭素排出量の低減に寄与し、環境対応性の向上を図ることもできる。
バイオ低密度ポリエチレン(b1)は、サトウキビ、トウモロコシ、ビート等の植物を原料としてモノマー(エチレン)生成し、石油由来のモノマーを使用する低密度ポリエチレンの製造方法と同様にして製造することができる。製造方法としては、特に限定されないが、公知の方法(例えば、ラジカル重合反応)を使用することができる。
なお、バイオ低密度ポリエチレン(b1)の市販品としては、例えば、ブラスケム社製のSPB681、SBC818、STN7006等が挙げられる。
バイオ低密度ポリエチレン(b1)の密度は、0.93g/cm以下であることが好ましく、0.925g/cm以下であることがより好ましい。
バイオ低密度ポリエチレン(b1)のMFRは、1〜7g/10分程度であることが好ましく、2〜6g/10分程度であることがより好ましく、3〜5g/10分程度であることがさらに好ましい。かかるMFRのバイオ低密度ポリエチレン(b1)を使用することにより、溶融状態の形成材料の圧力上昇を抑制する効果が好適に発揮され、積層フィルムの製膜性や成型性の低下をより確実に抑制することができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のバイオ低密度ポリエチレン(b1)の含有量は、積層フィルムの良好な製膜性や成型性を維持しつつ、積層フィルムに対して、好適な剛性や耐衝撃性、製袋加工適性等を適切に付与することを考慮して適宜設定される。具体的には、バイオ低密度ポリエチレン(b1)の含有量は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。また、上限は所望の特性等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、高い溶断シール強度を保持したい場合には30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
中間層(B)は、さらに化石燃料由来のポリエチレン(b2)を含有してもよい。中間層(B)に使用するプロピレン系樹脂も化石燃料由来の樹脂であるため、ポリエチレン(b2)は、プロピレン系樹脂との親和性(相溶性)が高い。したがって、バイオ低密度ポリエチレン(b1)を併用する場合には、ポリエチレン(b2)の存在により、バイオ低密度ポリエチレン(b1)をプロピレン系樹脂と均一に混合し易くなる。その結果、中間層(B)の特性を均一にすることができる。
ポリエチレン(b2)としては、例えば、エチレン系単重合体、エチレン系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
エチレン系単重合体としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−ブテン−ゴム共重合体(EBR)、エチレン−プロピレン−ゴム共重合体(EPR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等が挙げられる。
中でも、ポリエチレン(b2)としては、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。ポリエチレン(b2)として直鎖状低密度ポリエチレンを使用することにより、積層フィルムの耐衝撃性をより向上させることができる。
ポリエチレン(b2)のMFRは、2〜10g/10分程度であることが好ましく、3〜5g/10分程度であることがより好ましい。かかるMFRのポリエチレン(b2)を使用することにより、積層フィルムの成膜性を向上させ易く、ポリエチレン(b2)の中間層(B)中での分散性も良好であるため、積層フィルムに対して、均一な特性を付与し易くなる。
ポリエチレン(b2)の密度は、0.915g/cm以下であることが好ましく、0.91g/cm以下であることがより好ましく、0.906g/cm以下であることがさらに好ましい。かかる密度のポリエチレン(b2)を使用することにより、積層フィルムに対して、好適な溶断シール性と、高い耐衝撃性及び耐破袋性とを付与し易くなる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のポリエチレン(b2)の含有量は、積層フィルムの良好な製膜性や成型性を維持しつつ、積層フィルムに対して、好適な剛性や耐衝撃性、製袋加工適性等を適切に付与することを考慮して適宜設定される。具体的には、ポリエチレン(b2)の含有量は、5〜20質量%程度であることが好ましく、5〜15質量%程度であることがより好ましい。
中間層(B)のプロピレン系樹脂には、表面層(A)と同様のプロピレン系樹脂、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体)等を使用することができる。
プロピレン系樹脂は、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むことが好ましく、プロピレン−エチレンランダム共重合体を含むことがより好ましい。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(特に、プロピレン−エチレンランダム共重合体)を含むプロピレン系樹脂を使用することにより、このプロピレン系樹脂とバイオ低密度ポリエチレン(b1)及び/又はポリエチレン(b2)との親和性(相溶性)を高めることができる。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量は、特に限定されないが、1〜20質量%程度であることが好ましく、1.5〜15質量%程度であることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、3g/10分以上であることがより好ましく、5g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るため、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の密度は、0.88〜0.905g/cm程度であることが好ましく、0.89〜0.9g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防止する観点から、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シールの際に、好適な溶断シール性を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要であるため、融点は、150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましい。
中間層(B)中に含まれる樹脂成分中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の含有量は、積層フィルムに対して、好適な製袋適性や耐破袋性を付与し易いことから、10〜50質量%程度であることが好ましく、10〜45質量%程度であることがより好ましい。
積層フィルムを透明フィルムとする場合には、プロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体を含むことが好ましい。
プロピレン単独重合体のMFRは、積層フィルムを形成できる範囲であれば、特に限定されず、0.5g/10分以上であることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、3g/10分以上であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの良好な成型性を得るためには、MFRは、20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましい。
プロピレン単独重合体の密度は、0.88〜0.92g/cm程度であることが好ましく、0.885〜0.915g/cm程度であることがより好ましい。
プロピレン単独重合体の融点は、製袋等の積層フィルムの加工適性を十分に保持する観点から、145℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量は、55〜85質量%程度であることが好ましく、60〜80質量%程度であることがより好ましく、65〜75質量%程度であることがさらに好ましい。プロピレン単独重合体の含有量を前記範囲に設定することにより、積層フィルムに対して、好適な剛性や透明性と、優れた耐衝撃性とを付与することができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分は、上記の各種樹脂を適宜の含有量にて使用すればよいが、積層フィルムの全厚を薄く設計した際の剛性及び耐衝撃性の低下を抑制し易いことから、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量を55質量%以上、かつ、エチレン系樹脂の含有量を5〜45質量%とすることが好ましい。
特に、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量を50〜80質量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量を5〜25質量%とし、バイオ低密度ポリエチレン(b1)及びポリエチレン(b2)の合計量を5〜45質量%とすることが好ましい。
一方、積層フィルムをマット性のフィルムとする場合には、プロピレン系樹脂は、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を含むことが好ましい。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体には、マット性のフィルムとする場合の表面層(A)と同様のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を使用することができる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体は、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の含有量は、20〜50質量%程度であることが好ましく、25〜45質量%程度であることがより好ましく、30〜40質量%程度であることがさらに好ましい。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の含有量を前記範囲に設定することにより、積層フィルムに対して、好適な耐衝撃性やマット感と、製袋時の高い安定性とを付与することができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分は、上記の各種樹脂を適宜の含有量にて使用すればよいが、積層フィルムの全厚を薄く設計した際の剛性及び耐衝撃性の低下を抑制し易いことから、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量を55質量%以上、かつエチレン系樹脂の含有量を7〜45質量%とすることが好ましい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分として、バイオ低密度ポリエチレン(b1)、化石燃料由来のポリエチレン(b2)及びプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体(b3)の3成分のみを使用する場合には、これらの含有量の比率(b1/b2/b3)を、質量比で2/3/95〜30/25/45とすることが好ましく、10/5/85〜25/20/55とすることがより好ましい。
また、中間層(B)に含まれる樹脂成分として、樹脂b1〜b3にプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(b4)を加えた4成分を使用する場合には、これらの含有量の比率(b1/b2/b3/b4)を、質量比で2/3/65/30〜25/20/15/40とすることが好ましく、10/5/50/35〜15/15/30/40とすることがより好ましい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分の比率を前記範囲とすることにより、好適なマット調を有しつつ、優れた耐破袋性(特に、低温下での優れた耐破袋性及び耐摩擦性)を有する積層フィルムを得ることができる。
中間層(B)は、プロピレン系樹脂及びバイオ低密度ポリエチレン(b1)を含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
[シール層(C)]
シール層(C)は、積層フィルムのシール層(C)同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。
このシール層(C)は、プロピレン系樹脂を含有する。プロピレン系樹脂を含有することにより、シール層(C)と中間層(B)との高い密着性が得られる。
シール層(C)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、積層フィルムに対して好適なシール性を付与し易いことから、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、実質的に100質量%であってもよい。
なお、シール層(C)は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択して構成するようにすればよい。
例えば、シール層(C)同士をシールして包装袋として使用する場合には、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン系樹脂は、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体のようなプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、1−ブテン−プロピレンランダム共重合体のようなα−オレフィン−プロピレンランダム共重合体を含むことが好ましい。
中でも、プロピレン系樹脂としては、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、1−ブテン−プロピレンランダム共重合体のようなブテン系ランダム共重合体を含むことが好ましい。このようなブテン系ランダム共重合体を含むプロピレン系樹脂を使用すれば、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、かつ易開封シールとして適度なヒートシール強度を得易いためである。
ブテン系ランダム共重合体中の1−ブテン含量は、積層フィルムに対して、好適なシール性や耐ブロッキング性を付与し易いことから、60〜95モル%程度であることが好ましく、65〜95モル%程度であることがより好ましく、70〜90モル%程度であることがさらに好ましい。また、積層フィルムに対して、好適な低温シール性を付与し易いことから、プロピレン含量は、2〜10モル%程度であることが好ましく、3〜9モル%程度であることがより好ましく、4〜8モル%程度であることがさらに好ましい。
シール層(C)に含まれる樹脂成分中のブテン系ランダム共重合体の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。また、その含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。ブテン系ランダム共重合体の含有量を前記範囲に設定すれば、積層フィルムに対して、好適な低温シール性、溶断シール性や耐裂け性を付与し易く、また低コスト化にも有利である。
ブテン系ランダム共重合体には、他のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を併用することが好ましい。
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含量は、特に限定されないが、1〜20質量%程度であることが好ましく、1.5〜15質量%程度であることがより好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
中でも、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、中間層(B)と同様のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を使用することができる。
また、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、積層フィルムの良好な成型性を得やすいことから、0.5〜20g/10分程度であることが好ましく、2〜10g/10分程度であることがより好ましい。
積層フィルムに対して、好適な低温シール性を付与し易いことから、シール層(C)に含まれる樹脂成分中の他のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましい。また、その含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
特に、積層フィルムを使用して包装袋を形成する際に、シール層(C)同士をヒートシールした易開封性シール部分を設ける場合には、ブテン系ランダム共重合体とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体とを、ブテン系ランダム共重合体/プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体で表される質量比が20/80〜50/50程度となるような割合で併用することが好ましい。
なお、シール層(C)も植物由来のポリオレフィン(例えば、前述したような植物由来の低密度ポリエチレン(b1))を含有してもよい。バイオ度を向上させる観点からは、シール層(C)に含まれる樹脂成分中の植物由来のポリオレフィンの含有量を10質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%程度とすることがより好ましい。
一方、積層フィルムの溶断シール性、耐衝撃性等の特性を重視する場合には、植物由来のポリオレフィンの含有量を10質量%未満とすることが好ましく、5質量%未満とすることがより好ましく、実質的に0質量%とすることがさらに好ましい。
シール層(C)は、プロピレン系樹脂を含有する樹脂のみで構成してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を含有してもよい。この添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等が挙げられる。
シール層(C)の表面のASTM D 1894−95に規定される摩擦係数は、0.01〜0.4程度であることが好ましく、0.02〜0.35程度であることがより好ましく、0.05〜0.3程度であることがさらに好ましい。摩擦係数を前記範囲とすることにより、包装時のフィルム送り性、製袋後のしわや盛上り抑制による梱包作業の作業性を向上させ易くなる。
また、パン等の内容物を充填する際に、内容物が積層フィルムの内面(シール層(C)の表面)と擦れても、傷の発生を抑制することができる。さらに、積層フィルムに対して、耐摩耗性、耐裂け性を付与し易く、フィルム破れを好適に抑制することもできる。なお、摩擦係数は、シール層(C)に使用する樹脂成分に応じて、滑材、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加することにより調整することができる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、上記の表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)が積層されたプロピレン系樹脂を主体とする積層フィルムであり、中間層(B)が植物由来の低密度ポリエチレン(b1)を含有する。当該構成により、本発明の積層フィルムは、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成においても、押出成型に際して過負荷の生じない好適な成型性を実現できる。また、優れた溶断シール強度やヒートシール強度等の好適なヒートシール性や好適な耐衝撃性を実現できる。
積層フィルムの平均厚さは、製袋される包装袋の用途や態様に応じて、適宜調整すればよいが、減容化と流通時の耐破袋性とを両立させ易いことから、25〜50μm程度であることが好ましく、30〜45μm程度であることがより好ましい。
積層フィルムの厚さにおいて各層が占める割合や、各層の具体的な厚さは、特に限定されないが、次のように設定することができる。
表面層(A)の占める割合は、1〜35%程度であることが好ましく、5〜25%程度であることがより好ましい。
中間層(B)の占める割合は、45〜85%程度であることが好ましく、50〜75%程度であることがより好ましい。
シール層(C)の占める割合は、5〜20%程度であることが好ましく、10〜20%程度であることがより好ましい。
表面層(A)の具体的な平均厚さは、0.5〜15μm程度であることが好ましく、1〜10μm程度であることがより好ましい。
中間層(B)の具体的な平均厚さは、5〜35μm程度であることが好ましく、10〜25μm程度であることがより好ましい。
シール層(C)の具体的な平均厚さは、1〜20μm程度であることが好ましく、5〜10μm程度であることがより好ましい。
本発明の積層フィルムを透明フィルムとする場合には、積層フィルムの曇り度(ヘイズ)は、包装する内容物を視認し易いことから、6%以下であることが好ましく、5.5%以下であることがより好ましく、5.0%以下であることがさらに好ましく、4.5%以下であることが特に好ましい。このような高い透明性を有する場合にも、積層フィルムは、好適な包装適性を有しつつも、内容物とフィルムとの摩擦や擦れによる裂け等の破袋が生じ難くなる。
なお、積層フィルムの透明性を向上させるためには、各層において、ブロック共重合体のような曇り度を高くする原因となる樹脂を使用しないか、あるいはその使用量を極力少なくすることが好ましい。この場合、積層フィルム全体に含まれる樹脂成分中のブロック共重合体の含有量を10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましい。
本発明の積層フィルムをマット調フィルムとする場合には、積層フィルムの曇り度は、好適なマット調の意匠性を得やすいことから、その曇り度が55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。また、内容物の視認性を確保する場合には、曇り度を80%以下とすることが好ましく、70%以下とすることがより好ましい。
本発明の積層フィルムは、好適な耐擦傷性や耐破袋性を得やすいことから、その剛性(MD)が450MPa以上であることが好ましく、550MPa以上であることがより好ましく、600MPa以上であることがさらに好ましい。なお、当該剛性は、得られた積層フィルムの23℃における1%接線モジュラスを、ASTM D 882−12に基づき、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)を用いて測定される。
本発明の積層フィルムは、包装材として使用した際の破袋や内容物の漏洩等を抑制しやすいことから、その衝撃強度が0.10J以上であることが好ましく、0.15J以上であることがより好ましい。特にマット調フィルムの場合には、0.20J以上であることが特に好ましい。なお、当該衝撃強度は、積層フィルムを0℃に設定した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法により測定される。
本発明の積層フィルムは、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)以外の任意の他の樹脂層を有していてもよい。ただし、他の樹脂層の厚さは、積層フィルム全体の厚さ(総厚)の20%以下であることが好ましい。特に、積層フィルムは、前述したような表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)のみからなる構成が好ましい。さらに、このような構成において、中間層(B)が複数の層が積層された積層体で構成されてもよい。
具体的な層構成の例としては、表面層(A)とシール層(C)との間に中間層(B)を設けた表面層(A)/中間層(B)/シール層(C)の三層構成、あるいは中間層(B)を積層体で構成した表面層(A)/中間層(B1)/中間層(B2)/シール層(C)の四層構成等が挙げられる。中でも、積層フィルムの特性の調整や、積層フィルムの製造が容易であることから、表面層(A)/中間層(B)/シール層(C)からなる三層構成が好ましい。
積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、共押出法を使用することができる。共押出法では、各層に使用する樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層し、その後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形して、積層フィルムを得る。
共押出法によれば、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能であり、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた積層フィルムを得ることができる。
なお、以上の製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
表面層(A)の表面には、印刷インキの密着性(接着性)等を向上させるため、表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理のような表面酸化処理、サンドブラスト処理のような表面凹凸処理等を挙げることができる。これらの処理は、1種を単独で使用しても、複数種を併用してもよい。中でも、表面処理としては、コロナ放電処理が好適である。
本発明の積層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。特に、マット感が従来になく優れる点から、和紙等に似た包装材を提供することができ、高級感を引き出すために用いる食品用等に好適に用いることができる。
包装袋は、積層フィルムのシール層(C)同士を重ねてヒートシールするか、あるいは表面層(A)とシール層(C)とを重ね合わせてヒートシールすることにより、シール層(C)を内側として袋状に形成することが好ましい。
例えば、積層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状に形成した後、1辺のヒートシールしていない開口部から内容物を充填し、ヒートシールして開口部を密封することにより、包装袋として使用することができる。
さらには、自動包装機によりロール状の積層フィルムを引き出し、円筒形状とすることで重なり合った端部同士をヒートシールした後、上端及び下端をそれぞれヒートシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、食パン用の包装袋とする場合には、印刷面を折り込んでシールすることでガゼット部を有する袋(底ガゼット袋)とすることができる。具体的には、本発明の積層フィルムのシール層(C)が袋の内側になるようにして、製袋機(例えば、トタニ技研工業株式会社製、「HK−40V」等)により底ガゼット袋に加工する。
本発明の積層フィルムは、好適な溶断シール性や製袋適性を発揮することから、底ガゼット袋を製袋するのに特に好適に使用することができる。
底ガゼット袋のサイド部及び底ガゼット部(底部の折込部)の溶断シール強度は、13N/15mm以上であることが好ましく、14N/15mm以上であることがより好ましく、14.5N/15mm以上であることがさらに好ましく、16N/15mm以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、30N/15mm以下であることが好ましい。製袋時の溶断シール温度や製袋速度を調整することにより、溶断シール強度を設定することができる。
得られた底ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性となるようにヒートシールする。この際のヒートシール強度は、5N/15mm未満であることが好ましく、0.1N/15mm以上5N/15mm未満であることがより好ましく、0.2N/15mm以上4N/15mm未満であることがさらに好ましい。
その後、必要に応じて、袋の上部を、プラスチック板、テープ、ひも等の結束具を使用して結束してもよい。
また、バターロール等の各種パンの集積包装とする場合には、横ピロー型自動包装機(例えば、フジキカイ株式会社製、「FW−3400αV型」等)に、シール層(C)が袋の内側になるようにして、積層フィルムをロール状の形態で供給する。本発明の積層フィルムは、ピロー包装時のヒートシール性や易開封性にも優れることから、ピロー包装袋用としても特に好適に使用することができる。
横ピロー型自動包装機では、積層フィルムのシール層(C)のシール面を重ね合わせてヒートシールして袋を形成しつつパンを内包させる。この包装機によるピロー包装袋の底部及び背貼り部分のヒートシール強度は、それぞれ7.5〜30N/15mm程度であることが好ましく、10〜30N/15mm程度であることがより好ましい。ヒートシール温度や包装速度を調整することにより、ヒートシール強度を設定することができる。
次いで、ピロー包装袋の上部をヒートシールして易開封性シール部分を形成してもよく、その近傍をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束してもよい。易開封性シール部分を形成する場合、そのヒートシール強度は、5N/15mm未満であることが好ましく、0.1N/15mm以上5N/15mm未満であることがより好ましく、0.2N/15mm以上4N/15mm未満であることがさらに好ましい。
また、シール層(C)とヒートシール可能な別のフィルムを重ね合わせてヒートシールすることにより包装袋、容器又は容器の蓋を形成することも可能である。
この場合、別のフィルムとしては、LDPE、EVA、ポリプロピレン等で構成される比較的機械強度の低いフィルムを使用することができる。また、別のフィルムとしては、LDPE、EVA、ポリプロピレン等で構成されるフィルムと、比較的引き裂き性の良好な延伸フィルム(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等)とを貼り合わせることにより得られるラミネートフィルムを使用することもできる。
前述したように、本発明の積層フィルムは、好適な耐衝撃性や耐破袋性を発揮することから、各種の包装用途に好適に適用することができる。特に、本発明の積層フィルムは、低温でも優れた耐衝撃性を発揮することから、低温下での包装や流通がなされることの多い食品包装用途で好適に使用することができる。
中でも、本発明の積層フィルムは、鋭利な先端部や鉤部を有する結束具(クロージャー)が使用される食パンや菓子パン等のパン包装に適用した際に、結束時の破袋が生じ難く、また、移送時に結束具や搬送容器との接触が生じた場合にもピンホールや裂けが生じ難い。また、内容物である食品とフィルム内面(シール面)との擦れや混入されたプラスチックトレーとの摩擦、突き刺し等によるピンホールや裂けも生じ難い。さらに、本発明の積層フィルムは、ガゼット部を形成した場合にも、好適な溶断シール強度を確保できることから、パン包装に使用する包装袋用途へ適用することが好ましい。
以上、本発明の積層フィルム及び食品包装袋について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の積層フィルム及び食品包装袋は、その一部の構成を同様の機能を発揮する他の構成と置換してもよく、任意の構成を追加してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
1.積層フィルムの作製
1−1.透明フィルムの作製
(実施例1)
まず、表面層、中間層及びシール層それぞれの形成材料を、下記の樹脂を使用して調製した。
次に、これらの樹脂混合物を3台の押出機のそれぞれに供給し、共押出して、表面層/中間層/シール層の三層構成を有する積層フィルムを形成した。なお、表面層の平均厚さを7μm、中間層の平均厚さを18μm、シール層の平均厚さを5μmとした。したがって、積層フィルム全体での平均厚さは、30μmである。
その後、得られた透明積層フィルム(表面層)の表面に、表面エネルギーが33mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
[表面層の形成材料]
・プロピレン−エチレンランダム共重合体(COPP(1)):55部
エチレン含量:2.0%
密度 :0.90g/cm
メルトフローレート(MFR):6.0g/10分
融点 :140℃
・プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体:35部
密度 :0.90g/cm
MFR:5.4g/10分(190℃、21.18N)
・結晶性エチレン−1−ブテン共重合体:10部
密度 :0.88g/cm
MFR:4.0g/10分
[中間層の形成材料]
・プロピレン単重合体(HOPP):79部
密度 :0.90g/cm
MFR:7.5g/10分
・プロピレン−エチレンランダム共重合体(COPP(2)):10部
エチレン含量:5.2%
密度 :0.90g/cm
MFR:5.4g/10分
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):10部
密度 :0.905g/cm
MFR:4.0g/10分
・サトウキビ由来の低密度ポリエチレン(バイオLDPE):1部
商品名:ブラスケム社製、「SPB681」
密度 :0.922g/cm
MFR:3.8g/10分
[シール層の形成材料]
・COPP(2):70部
・プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(COPP(3)):30部
密度 :0.90g/cm
MFR:4.0g/10分
(実施例2)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
HOPP:77部、COPP(2):10部、LLDPE:10部、バイオLDPE:3部
(実施例3)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:75部、COPP(2):10部、LLDPE:10部、バイオLDPE:5部
(比較例1)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
HOPP:75部、COPP(2):15部、LLDPE:10部
1−2.マットフィルムの作製
(実施例4)
まず、表面層、中間層及びシール層それぞれの形成材料を、下記の樹脂を使用して調製した。
次に、これらの樹脂混合物を3台の押出機のそれぞれに供給し、共押出して、表面層/中間層/シール層の三層構成を有する積層フィルムを形成した。なお、表面層の平均厚さを7μm、中間層の平均厚さを18μm、シール層の平均厚さを5μmとした。したがって、積層フィルム全体での平均厚さは、30μmである。
その後、得られた透明積層フィルム(表面層)の表面に、表面エネルギーが35mN/mになるようにコロナ放電処理を施した。
[表面層の形成材料]
・プロピレン−エチレンブロック共重合体(COPP(4)):100部
密度 :0.90g/cm
MFR:8.0g/10分
融点 :160℃
[中間層の形成材料]
・COPP(2):44部
・COPP(4):38部
・LLDPE:14部
・バイオLDPE:4部
[シール層の形成材料]
・COPP(2):70部
・COPP(3):30部
(実施例5)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして透明積層フィルムを得た。
COPP(2):43部、COPP(4):37部、LLDPE:12部、バイオLDPE:8部
(実施例6)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
COPP(2):42部、COPP(4):37部、LLDPE:11部、バイオLDPE:10部
(実施例7)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
COPP(2):41部、COPP(4):36部、LLDPE:8部、バイオLDPE:15部
(比較例2)
中間層の形成材料の組成を下記に変更した以外は、前記実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
COPP(2):40部、COPP(4):45部、LLDPE:15部
2.測定及び評価
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを用いて、下記の測定及び評価を行った。
[樹脂圧力の測定]
実施例及び比較例にて調製した中間層の形成材料の溶融状態における圧力を、樹脂圧力計(理化工業社製、「CZ−200P−HC」)により測定した。
<評価基準>
◎:樹脂圧力が8.0MPa未満である。
○:樹脂圧力が8.0MPa以上、9.0MPa未満である。
×:樹脂圧力が9.0MPa以上である。
[剛性の測定]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムの23℃における1%接線モジュラスを、ASTM D 882−12に基づき、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)を用いて測定した。
なお、測定は、フィルム製造時の押出方向(以下、「MD方向」と言う。)にて実施した。
[透明性の測定]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムの曇り度を、JIS K 7105:1987に基づき、ヘーズメーター(日本電飾工業株式会社製)を用いて測定した。
[製袋適性の評価]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムのシール層を内側にして、積層フィルムを半折後、底部にガセットを入れて、シール部温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場株式会社製「HK−40V」、製袋速度:120枚/分)した。これにより、底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
<評価基準>
○:120ショットの製袋速度でも、積層フィルムが追随し、付き揃え性も問題ない。
△:120ショットの製袋速度でも、積層フィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる。
×:120ショットの製袋速度に追随できない積層フィルムがあり、付き揃え性が悪い。
[溶断シール強度の測定]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを用いて、上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。
得られた底ガゼット袋5枚のガゼット部の中央と、ガゼット以外のサイド部の中央とから、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を1枚ずつ(1つの袋につき2枚)、溶断シール部が長さ方向の中央部となるように、合計10枚切り出した。そして、各試験片を23℃、引張速度300mm/分の条件で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)で引き剥がした。このとき測定された最大荷重を、溶断シール強度とした。
<溶断シール強度の評価基準>
◎:ガゼット部及びサイド部の溶断シール強度が、いずれも16N/15mm以上である。
○:ガゼット部及びサイド部の溶断シール強度が、いずれも13N/15mm以上、16N/15mm未満である。
×:ガゼット部及びサイド部の少なくとも一方の溶断シール強度が、13N/15mm未満である。
[ヒートシール強度の測定]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを用いて、上記製袋適性の評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行に、ヒートシーラー(テスター産業株式会社製、圧力:0.2MPa、時間:1秒間、シール温度:上部シールバー95℃、下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。
得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を2枚ずつ(1つの袋につき2枚)、ヒートシール部が幅方向の中央部となるように、合計10枚切り出した。そして、各試験片を23℃、引張速度300mm/分の条件で、テンシロン引張試験機(株式会社エー・アンド・デー製)で引き剥がした。このとき測定された最大荷重を、ヒートシール強度とした。
<評価基準>
○:ヒートシール強度が、いずれも5N/15mm未満であり、引き剥がした際にフィルム破れが生じなかった。
×:ヒートシール強度が、いずれも5N/15mm以上であるか、引き剥がした際にフィルム破れが生じた。
[衝撃強度の測定]
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを、0℃に設定した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
<評価基準>
○:衝撃強度が0.15J以上である。
△:衝撃強度が0.10J以上、0.15J未満である。
×:衝撃強度が0.10J未満である。
これらの測定結果及び評価結果を、以下の表1に示す。
Figure 0006819820
表1から明らかなように、実施例にて得られた本発明の積層フィルムは、押出成型に際しても過度な負荷が生じにくく好適な成型性を有するものであった。また、製袋適性も良好で、溶断シール強度やヒートシール性も好適であった。

Claims (16)

  1. 表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)が積層された無延伸の積層フィルムであり
    前記表面層(A)、前記中間層(B)及び前記シール層(C)が、それぞれプロピレン系樹脂を含有し、
    前記中間層(B)が、さらに植物由来の低密度ポリエチレン(b1)を含有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記低密度ポリエチレン(b1)のメルトフローレートが、1〜7g/10分である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の前記低密度ポリエチレン(b1)の含有量が、1〜15質量%である請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記中間層(B)が、さらに化石燃料由来のポリエチレン(b2)を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の5〜20質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記ポリエチレン(b2)が、直鎖状低密度ポリエチレンである請求項4に記載の積層フィルム。
  6. 前記ポリエチレン(b2)のメルトフローレートが、2〜10g/10分である請求項4又は5に記載の積層フィルム。
  7. 前記中間層(B)の前記プロピレン系樹脂が、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の10〜50質量%含む請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記中間層(B)の前記プロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の55〜85質量%含む請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. 前記中間層(B)の前記プロピレン系樹脂が、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を、前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中の20〜50質量%含む請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  10. 前記表面層(A)及び前記シール層(C)のそれぞれに含まれる樹脂成分中の前記プロピレン系樹脂の含有量が、50質量%以上である請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 前記表面層(A)及び前記シール層(C)のそれぞれの前記プロピレン系樹脂が、プロピレン−α−オレフィン共重合体を含む請求項1〜10のいずれかに記載の積層フィルム。
  12. 当該積層フィルムの厚さにおいて、前記表面層(A)の占める割合が10〜35%、前記中間層(B)の占める割合が45〜85%、前記シール層(C)の占める割合が5〜20%である請求項1〜11のいずれかに記載の積層フィルム。
  13. 当該積層フィルムの平均厚さが、25〜50μmである請求項1〜12のいずれかに記載の積層フィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の積層フィルムを使用したことを特徴とする食品包装袋。
  15. ガゼット部を有する請求項14に記載の食品包装袋。
  16. パン包装に使用する請求項14又は15に記載の食品包装袋。
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