JP2019151018A - 積層フィルム、包装材、包装袋および包装体 - Google Patents

積層フィルム、包装材、包装袋および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】経時による水蒸気のバリア性低下が抑えられた積層フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルム層と、金属原子を含む無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層とがこの順に積層された積層フィルム。ここで、緩衝層は、赤外吸収スペクトル測定から求められる吸水性が小さいものである。また、この積層フィルムを用いた包装材。また、この包装材を用いて物品を包装した包装体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム、包装材、包装袋および包装体に関する。特に、水蒸気の透過性が制御された積層フィルム、包装材、包装袋および包装体に関する。
食品、医薬品、電子部品など、経時変化や保存性が問題となる物品を包装することを意図したバリアフィルム(気体の透過性が低いフィルム)の開発が様々に行われている。
例えば、特許文献1には、高分子フィルム基材の少なくとも片面に、アルミニウム等の無機材料の蒸着膜が形成され、さらにその蒸着膜の上にポリ塩化ビニリデンの塗膜が積層されているフィルム(高分子フィルム基材、アルミニウム蒸着層およびポリ塩化ビニリデン層の3層のフィルム)が記載されている。
特開平8−39718号公報
上記のように、バリアフィルムについては様々な検討がなされてきている。
しかし、本発明者による検討の結果、特許文献1に記載のバリアフィルムは、水蒸気のバリア性が必ずしも十分でないことが分かった。具体的には、比較的長い時間にわたって当該バリアフィルムを用いた場合、経時により水蒸気のバリア性が低下する傾向にあることが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。つまり、本発明は、経時による水蒸気のバリア性低下が抑えられた積層フィルムを提供することを目的の1つとする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の発明をなし、上記課題を達成できることを見出した。
本発明は、以下のとおりである。
1.
基材フィルム層と、金属原子を含む無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層とがこの順に積層され、
前記緩衝層を、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をAとし、
前記緩衝層を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をBとしたとき、
B/Aが1.40以下である、積層フィルム。
2.
1.に記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シランカップリング剤の反応物、金属原子含有化合物および活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
3.
2.に記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が熱可塑性樹脂を含み、
当該熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
4.
2.に記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が熱硬化性樹脂を含み、
当該熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
5.
2.に記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含み、
当該活性エネルギー線硬化性樹脂が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびポリエーテルアクリレートからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
6.
2.に記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が金属原子含有化合物を含み、
当該金属原子含有化合物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
7.
1.〜6.のいずれか1つに記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が、厚さ1nm以上の、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素の少なくとも1種を含む金属蒸着層からなる積層フィルム。
8.
1.〜6.のいずれか1つに記載の積層フィルムであって、
前記緩衝層が、厚さ0.1μm以上の、金属蒸着層以外の層からなる積層フィルム。
9.
1.〜8.のいずれか1つに記載の積層フィルムであって、
前記金属原子を含む無機物層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素および窒化ケイ素からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む積層フィルム。
10.
1.〜9.のいずれか1つに記載の積層フィルムであって、
前記基材フィルム層が、熱可塑性樹脂を含む積層フィルム。
11.
1.〜10.のいずれか1つに記載の積層フィルムを用いた包装材。
12.
11.に記載の包装材を用いて物品を包装した包装体。
13.
1.〜10.のいずれか1つに記載の積層フィルムにより構成された包装袋であって、
前記包装袋に塩化カルシウムを入れて密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に168時間置いたときの、前記包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.65[g/m・day]以下であり、
前記包装袋に水分活性が0.90の食品を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に168時間置いたときの、前記包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が、1.0[g/m・day]以下である包装袋。
本発明によれば、経時による水蒸気のバリア性低下が抑えられた積層フィルムが提供される。
本実施形態の積層フィルム(積層フィルム1)の層構成を説明するための図である。 積層フィルム1を用いて作成された包装袋21と、その包装袋21の内部に収容された物品22とから構成される、包装体20を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタアクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<積層フィルム>
図1は、本実施形態の積層フィルム1の層構成を表した図である。
積層フィルム1は、基材フィルム層11と、金属原子を含む無機物層12と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層13と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層14とがこの順に積層されたものである。
ここで、緩衝層13を、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をAとし、
緩衝層13を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をBとしたとき、
B/Aは、1.40以下である。
なお、以下の説明において、金属原子を含む無機物層12を「無機物層12」、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層13を「緩衝層13」、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層14を「ポリ塩化ビニリデン層14」とも記載する。
本発明者は、種々の検討に基づき、本実施形態の積層フィルム1を設計した。具体的には、ポリ塩化ビニリデン層14と、無機物層12の間に、特に、吸水性(吸湿性)が小さい緩衝層13を介在させた。これにより、経時による水蒸気のバリア性低下が抑えられるものと考えられる。
なお、本実施形態では、上記の吸水性(吸湿性)の尺度として、緩衝層13の赤外線吸収スペクトルの測定データを利用した(具体的には、前述のB/A)。これについて説明しておく。
本発明者の知見などによれば、フィルムを高湿度環境下に一定時間静置してフィルムに吸湿させると、樹脂に吸収された水分子の振動に由来すると考えられる2500〜3700cm−1付近の吸収が増大する。一方、1000〜1600cm−1付近の吸収はほとんど変化しない(主としてフィルム素材固有の吸収のみが観測される)。よって、前者の吸収ピーク面積を後者の吸収ピーク面積で割った値を、フィルムの水蒸気透過度に関する指標とすることができる。
本実施形態では、
・緩衝層13を、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をA、
・緩衝層13を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をB、
としたとき、B/Aが1.40以下となる緩衝層13を、無機物層12とポリ塩化ビニリデン層14との間に設けている。B/Aは水蒸気透過度の指標であり、B/Aが大きくなるほど樹脂に吸収されている水分子が多いため、水蒸気透過度が大きくなり、B/Aが1に近いほど樹脂に吸収された水分子が少ないため水蒸気透過度が小さくなると推定される。
したがって、B/Aは、1に近いほど好ましい。具体的には、1.35以下がより好ましく、1.2以下がさらに好ましく、1.1以下が特に好ましい。
積層フィルム1の各層について、材質、厚み、その他性状を説明する。
・基材フィルム層11
基材フィルム層11を構成する材料は、特に限定されないが、典型的には熱可塑性樹脂を含む。つまり、基材フィルム層11は、好ましくは熱可塑性樹脂を含む材料により形成されたシート状またはフィルム状の基材により構成される。
基材フィルム層11には、積層フィルム1の強度を十分なものとしたり、無機物層12を安定的に存在させたりする役割が期待される。
基材フィルム層11が含むことができる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
基材フィルム層11の熱可塑性樹脂として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。
基材フィルム層11は、熱可塑性樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、防曇剤やアンチブロッキング剤等の添加剤、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキッド系樹脂等の接着性の樹脂、シランカップリング剤などが含まれていてもよい。
基材フィルム層11の厚みは、好ましくは5〜50μm、より好ましくは8〜30μmである。この厚みとすることで、十分な強度を得つつ、ハンドリング性が良好な(かさばらない)積層フィルム1を得ることができる。
・無機物層12
無機物層12を構成する無機物は、金属原子を含有する無機物である限り特に限定されず、例えば、金属や金属酸化物等が挙げられる。より具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4B族元素;セレン、テルル等の周期表6B族元素等の単体、合金または酸化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
無機物の中でも、バリア性やコスト等の観点から、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。特に、水蒸気バリア性の観点から、アルミニウムや酸化アルミニウム等、アルミニウム原子を含む態様が好ましく、フィルムの透明性が確保されるという観点から酸化アルミニウムであることが好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含まれていてもよい。同様に、酸化アルミニウムには、Alの化学式で表される酸化アルミニウム(III)の他に、AlOの化学式で表される酸化アルミニウム(II)やAlOの化学式で表される酸化アルミニウム(I)が含まれていてもよい。
無機物層12は、無機物特有の緻密な(すき間が少ない)ミクロ構造により、水蒸気のバリア性に寄与するものである。
無機物層12は好ましくは上記無機物の少なくとも一種により形成されている。無機物層12は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層12が複数の無機物層から構成されている場合には、同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層12の形成方法は特に限定されない。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスや、ゾルゲルプロセス等により、基材フィルム層11の表面に無機物層12を形成することができる。
無機物層12の厚さは、好ましくは1nm〜500nm、より好ましくは5nm〜300nm以下、より好ましくは7nm〜150nmである。この厚みとすることで、十分な水蒸気バリア能、ハンドリング性(かさばらない)、他の層との密着性などのバランスを最適化できる。
なお、この厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
・緩衝層13
緩衝層13は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる(換言すると、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を実質上含まない)限り、特に限定されない。なお、ここで「実質上含まない」とは、緩衝層13全体に対して例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは全く含まないことを表す。
前述のように、緩衝層13を設けることによりポリ塩化ビニリデン層14を有する水蒸気のバリア性劣化を防止することができる。
緩衝層13は、好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シランカップリング剤の反応物、金属原子含有化合物および活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む。これらについて以下具体的に説明する。
緩衝層13が含むことができる熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;エチレン酢酸ビニル共重合体;エチレンビニルアルコール共重合体;ポリアクリロニトリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;アイオノマー;等を挙げることができる。
特に、緩衝層13は、熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。これらの熱可塑性樹脂を緩衝層13に含めることで、緩衝層13の吸湿性を低くしやすくなり、前述のB/Aの値を小さく設計しやすい。つまり、緩衝層13がこれら樹脂を含む場合、積層フィルム1の水蒸気バリア性の一層の向上効果が得られると考えられる。
緩衝層13は、熱可塑性樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
緩衝層13が含むことができる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかが好ましい。これらの熱硬化性樹脂は、緻密/剛直な分子構造に起因して水分を吸収しづらいと考えられ、前述のB/Aの値を小さく設計しやすい。つまり、これら樹脂を用いて緩衝層13を設計することで、積層フィルム1の水蒸気バリア性の一層の向上効果が得られると考えられる。
緩衝層13は、熱硬化性樹脂を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
緩衝層13を構成することとなる活性エネルギー線硬化性樹脂は、特に限定されないが、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびポリエーテルアクリレートからなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、通常、活性エネルギー線(典型的には紫外線)の照射により、カチオンやラジカル等を発生する化合物(通常、開始剤などと呼ばれる)と併用される。
開始剤のうち、光の照射によってラジカルを生成する光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2'−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等のチオキサントン類;ペルフルオロ(tert−ブチルペルオキシド)、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等のフッ素系ペルオキド類;α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等を挙げることができる。これらは、主として光の波長が200〜400nmのUV領域でラジカルを発生する。
開始剤のうち、光の照射によってカチオンを生成する光カチオン開始剤としては、光照射により、上記カチオン重合可能な開環重合性化合物類のカチオン重合を開始させる化合物であれば特に限定はない。好ましくは、「オニウムカチオン−その対アニオン」のオニウム塩のような、光反応してルイス酸を放出する化合物である。これらは、主として光の波長が200〜400nm以下のUV領域で、その機能を発現することが多い。
オニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4−(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル〕スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジェニル)〔1,2,3,4,5,6−η−(メチルエチル)ベンゼン〕−鉄(1+)等が挙げられる。また、オニウム陽イオン以外に、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロトルエンスルホン酸イオン等を挙げることができる。
一方、対アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサクロロアンチモネート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラ(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラ(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラ(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート、テトラ(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(ジ(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート等を挙げることができる。
緩衝層13が含むことができる金属原子含有化合物としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物が好ましく挙げられる。なお、本明細書において、ケイ素(Si)は、金属元素として扱う。
緩衝層13が含むことができる金属原子含有化合物は、典型的には、アモルファス状のものである。また、緩衝層13が金属酸化物などの化合物を含む場合、その酸化状態は、包装袋21の通常の使用条件で安定である限りにおいて特に限定されないし、また、組成が理論的に安定な化学量論比に従っていなくてもよい(例えば、酸化アルミニウムは、完全なAlでなくてもよい。)
緩衝層13は、金属原子含有化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
緩衝層13が金属原子含有化合物を含む場合、緩衝層13を設ける方法は特に限定されないが、例えばゾルゲル法が好ましく挙げられる。ゾルゲル法には、他の方法(気相プロセスなど)に比べて工程が簡便であったり、緩衝層13の性状を制御しやすかったり、といったメリットが期待される。
具体的には、式:M(OR)nで表される金属アルコキシド(MはSi、Ti、AiまたはZrを表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは3または4である)を含む適当な原料液を用いて、公知のゾルゲル法の技術により脱水縮合などを行って緩衝層13を設けることが考えられる。
また、緩衝層13は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素の少なくとも1種を含む金属蒸着層から形成されていてもよい。
なお、緩衝層13が金属原子含有化合物を含む場合、無機物層12とあわせて、金属原子を含有する層が連続することとなる。本実施形態は、無機物層12と緩衝層13が同一組成である態様を排除するものではないが、作用効果の点からは、無機物層12と緩衝層13とは組成が異なることが好ましい。
緩衝層13の原材料として用いることが可能なシランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、スルフィドシラン等が挙げられる。
アミノシランとしては、例えば、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN−フェニル−γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アクリルシランとしては、例えば、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプトシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイドシランとしては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
スルフィドシランとしては、例えば、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
なお、シランカップリング剤は、その性質として知られている「有機物と無機物との間に介在して接着性を高める」という点から、無機物層12とポリ塩化ビニリデン層14との間の緩衝層13に用いられると、層間の密着性が向上し、積層フィルムの耐久性向上や水蒸気バリア性能の一層の向上などの効果が得られると考えられる。
緩衝層13の厚みの下限は特に限定されないが、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが更に好ましい。これにより、緩衝層13による効果を十分に得られると考えられる。特に、一態様として、緩衝層は、厚さ0.1μm以上の、金属蒸着層以外の層からなることが好ましい。
また、緩衝層13の厚みの上限も特に限定されないが、5.0μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが更に好ましい。これにより、ハンドリング性が良好な(かさばらない)積層フィルム1を得ることができる。
さらに、緩衝層13が酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素の少なくとも1種を含む金属蒸着層から形成されている場合には、その厚みの上限や下限は特に限定されないが、水蒸気バリア性を十分に確保させる観点から、例えば1nm以上、好ましくは1〜50nm、より好ましくは5〜30nm、さらに好ましくは7〜15nmである。
・ポリ塩化ビニリデン層14
ポリ塩化ビニリデンは、フィルムとしたとき、汎用的な合成樹脂の中では水蒸気透過率がかなり小さい樹脂として知られている。すなわち、ポリ塩化ビニリデン層14は、他の層(無機物層12など)とあいまって、水蒸気バリア性の発現に重要な役割を果たすと考えられる。
ポリ塩化ビニリデン層14は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む限り、特に限定されない。ここで「ポリ塩化ビニリデン系樹脂」とは、塩化ビニリデンモノマーに対応する構造単位を含むものであれば特に限定されず、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)であってもよいし、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
ポリ塩化ビニリデン層14中には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂が80質量%以上含まれることが好ましく、90質量%以上含まれることがより好ましい。
上記共重合体としては、塩化ビニリデンの含有割合が60質量%以上99質量%以下であり、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の含有割合が1質量%以上40質量%以下である共重合体を上げることができる。塩化ビニリデンと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18)、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂は、公知の方法で製造することで得てもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランレジンシリーズ等が挙げられる。
一例として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の形態は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックス(水系の乳濁液)の形態であることが好ましい。これにより、積層フィルム1の帯電防止(静電気抑制)などの効果も期待することができる。
この場合は、水蒸気バリア性能を安定させる観点から、無機物層12と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスからなる層の間に、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解させて塗布したポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む層を設けることが好ましい。
このラテックスについては、従来公知の方法で製造してもよいし、種々の市販品を用いてもよい。市販品としては、旭化成社製のサランラテックスシリーズ等が挙げられる。
なお、ポリ塩化ビニリデン層14は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の成分を含んでもよい。例えば、基材フィルム層11などと同様の添加剤、接着性樹脂、膜形成性を良化させる成分(例えば、シランカップリング剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等)を含んでもよい。
上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂を原材料としてポリ塩化ビニリデン層14を形成する方法は、特に限定されない。
例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解して、緩衝層13の表面に塗布し、そして乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン層14を形成することができる。このとき使用可能な有機溶剤は、使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂の種類に応じて適宜選択されるため特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;これらの混合溶媒;等が挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶媒およびテトラヒドロフランとトルエンとメチルエチルケトンとの混合溶媒が好ましい。上記のような有機溶剤に溶解させたポリ塩化ビニリデンを用いてポリ塩化ビニリデン層14を形成することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを、緩衝層13の表面に塗布し、そして乾燥させることによりポリ塩化ビニリデン層14を形成してもよい。
さらに、上述のように緩衝層13の表面に有機溶剤に溶解させたポリ塩化ビニリデンを用いてポリ塩化ビニリデン層14を形成することと、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスによりポリ塩化ビニリデン層14を形成することの両方を行い、2層構成のポリ塩化ビニリデン層14を形成してもよい。
特にこの場合、当該2層のうち、緩衝層13の側の層については有機溶剤を用いて層形成することが好ましい。これは、(1)有機溶剤を用いて層形成するほうが他の層との接着性をより高められること、(2)一般にはラテックス形態のポリ塩化ビニリデンは安価であり、また、界面活性剤を含有させるなどで製造工程での帯電防止性に優れ、塵の付着などが抑えられること、等が理由である。
ポリ塩化ビニリデン層14の厚みは、好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.2〜5μmである。なお、ポリ塩化ビニリデン層14が多層を含む場合(例えば、上述の、有機溶剤系およびラテックス系の両方で層形成する場合など)には、それら多層の合計の厚みがここに示された厚みであることが好ましい。
この厚みとすることで、十分な水蒸気バリア能があり、かつ、ハンドリング性が良好な(かさばらない)積層フィルム1を得ることができる。
・その他の層
積層フィルム1は、上記4層以外の層を更に有してもよい。例えば、ヒートシール性を高めるための熱融着層、外力や内容物の接触から積層フィルム1を保護するための保護層、滑性層、帯電防止層等を有していてもよい。また、これらの層は、コーティングにより設けられていてもラミネートにより設けられていてもよい。
一例として、ヒートシール性付与の観点から、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1等のα−オレフィンのホモポリマーまたはコポリマー、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンと炭素数が2または4以上10以下のα−オレフィンとのランダム共重合体、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により形成される層、EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により形成される層などを追加で設けることができる。これらの中では、α−オレフィンのホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。
・積層フィルム1の製造方法
製造方法については、各構成要素の説明においても適宜述べているが、改めて述べる。
製造方法は、任意の方法であってよいが、好ましくは以下手順で製造することができる。
(1)基材フィルム層11を構成する基材、例えばPETフィルムなどの熱可塑性樹脂を含むフィルムを準備する。
このフィルムは、無機物層12との接着性を高めるために、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面処理が行われていてもよい。
(2)無機物層12を形成する。
形成方法としては、基材フィルム層11の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスにより形成する方法や、いわゆるゾル−ゲル法による形成方法が挙げられる。
(3)緩衝層13を形成する。
例えば、前述の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、金属原子含有化合物などのうち1種または2種以上を溶剤に溶解させたものを、上記無機物層12の上にコーティングし、その後、溶剤を揮発させ、必要に応じて加熱するなどして、緩衝層13を形成することができる(用いられる材料によっては、加熱により、化学反応が進行する)。
また、前述の活性エネルギー線硬化性樹脂を溶剤に溶解させたものを、上記無機物層12の上にコーティングし、その後溶剤を揮発させ、さらに、活性エネルギー線を照射することで緩衝層13を形成することもできる。この際、活性エネルギー線としては紫外線(UV)が好ましい。なお、活性エネルギー線の照射量(積算光量)は、例えば10〜1000mJ/cm程度である。
また、ゾルゲル法などにより緩衝層13を形成してもよい。具体的には、金属アルコキシド(前掲の式:M(OR)nで表されるものなど)を含む適当な原料液を塗布し、公知の方法により脱水縮合などさせることで緩衝層13を形成してもよい。
また、公知のラミネート法などにより緩衝層13を形成してもよい。つまり、緩衝層13の素となる単層フィルムを、ヒートラミネート法、ドライラミネート法などのラミネート法により上記無機物層12の表面に貼り合せてもよい。
(4)ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解したもの、および/または、ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを、緩衝層13の表面に塗布して、ポリ塩化ビニリデン層14を形成する。
ここで用いることができるポリ塩化ビニリデン系樹脂材料(有機溶剤に溶解したもの、または、ラテックス)は、前述のとおりである。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂を有機溶剤に溶解したものを塗布する場合、その塗布量は、通常0.05〜5.0g/m、好ましくは0.07〜2.0g/m、より好ましくは0.1〜0.5g/mである。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.02〜3.1μm、好ましくは0.05〜1.3μmである。これらは、バリア性、透明性、残留溶剤の量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂の微粒子を含むラテックスを塗布する場合、その塗布量は、通常0.2〜10.0g/m、好ましくは0.5〜5.0g/m、より好ましくは0.8〜3.0g/mである。また、厚さ(乾燥後の厚さ)は、通常0.1〜6.2μm、好ましくは0.2〜1.8μmである。これらは、バリア性、透明性、残留溶剤の量、密着性、取扱い性等のバランスの観点から決定される。
上記の塗布の方法や装置は、特に限定されない。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて上記工程を行うことができる。
また、塗布後の乾燥方法は特に限定されない。例えば、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、ドラムドライヤー、フローティングドライヤー等の公知の乾燥機を用いて乾燥する方法が挙げられる。乾燥温度は、通常50〜200℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは90〜130℃である。乾燥時間は、通常5秒〜10分、好ましくは5秒〜3分、より好ましくは5秒〜1分である。
上記の乾燥後、必要によりオーブン等によりエージング処理を行うことが好ましい。例えば、上記乾燥後のフィルムを、好ましくは35〜60℃以下、より好ましくは40〜50℃のオーブン中で、好ましくは24時間以上、より好ましくは48時間〜72時間程度エージング処理する。このエージング処理によりポリ塩化ビニリデン系樹脂の結晶化が促進され、バリア性能をより一層向上させることができる。
・水蒸気透過度
積層フィルム1は、40±2℃、90±5%RHの条件下で測定される水蒸気透過度が0.65g/m・day以下であることが好ましい。この値以下の水蒸気透過度であることで、積層フィルム1で包装する物品が空気中の水分を吸湿しないようにする、または、積層フィルム1で包装する物品の乾燥を抑える効果がより顕著となる。なお、上記の水蒸気透過度は、JIS K 7129に準じ、MOCON社製の水蒸気透過度測定装置を用いて測定することができる。
また、より実環境(積層フィルム1が実用される環境)に近い条件での測定として、積層フィルム1により構成された包装袋(例えば後述の包装袋21)に、内容物として塩化カルシウムまたは水分活性が0.90の食品を入れて密封して一定時間放置し、このときの内容物の質量の増加/減少量および包装袋の内表面積から、水蒸気透過度を算出することもできる。
具体的には、積層フィルム1により構成された包装袋に、塩化カルシウムを入れて密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に168時間置いたときの、包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度は、好ましくは0.65[g/m・day]以下、より好ましくは0.55[g/m・day]以下、さらに好ましくは0.50[g/m・day]以下である。
また、積層フィルム1により構成された包装袋に、水分活性が0.90の食品を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に168時間置いたときの、包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度は、好ましくは1.0[g/m・day]以下、より好ましくは0.70[g/m・day]以下、さらに好ましくは0.50[g/m・day]以下である。
上記の、168時間という長時間、40℃環境下に包装袋を放置することで水蒸気透過度を求めることにより、「経時による水蒸気のバリア性低下」の度合いを定量的に評価することができる。
<包装袋、包装材>
図2は、積層フィルム1を用いて作成された包装袋21と、その包装袋21の内部に収容された物品22とから構成される、包装体20を図示したものである。
包装体20において、包装袋21は、その開口部(図2の右側)が、適当な手段(例えばヒートシール法)により密封されていることが好ましい。
包装袋21は、上述の積層フィルム1を用いて作成される限りにおいて特に限定されない。しかし、本発明者の知見として、好ましくは、積層フィルム1の基材フィルム層11とポリ塩化ビニリデン層14のどちらを包装袋21の内表面側とし、どちらを外表面側とするかを適切に検討・選択することで、水蒸気バリア能の経時による悪化を一層抑えることができる。
具体的には、大気中の水分による物品22の吸湿抑制(シケり防止)を目的とする場合、基材フィルム層11を外表面側、ポリ塩化ビニリデン層14を内表面側とすることが好ましい。一方、物品22の乾燥抑制(保湿)を目的とする場合、基材フィルム層11を内表面側、ポリ塩化ビニリデン層14を外表面側とすることが好ましい。
物品22については、食品、医薬品、半導体素子や有機EL等の電子部品など、特に限定は無い。包装袋21により、吸湿または乾燥が問題となりうるあらゆる物品を好ましく密封することができる。
物品22が、乾燥した物品(吸湿が問題となりうる物品)である場合、食品の例としては、焼き菓子(クッキーやビスケットなど)、煎餅、おかき、あられ、ぽん菓子等の米菓、野菜チップ、スナック菓子、ふりかけ、穀物粉末(小麦粉、米粉など)が挙げられる。医薬品の例としては、粉状のもの、顆粒状のもの、カプセル状のもの、錠剤状のものなどを挙げることができる。
物品22が、水分を比較的多く含む物品(乾燥が問題となりうる物品)である場合、食品の例としては、例えば、ケーキ類、パン、米飯、ジャムが挙げられる。また、食品以外の例としては、粘土(例えば、工作用・工芸用の粘土類)、ウェットシート(例えばウェットティッシュやメイク落としシート)、おしぼり等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1:積層フィルムの作成>
(1)基材フィルム層を構成するフィルムに対する、無機物層の形成
まず、基材フィルム層を構成するフィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を準備した。このフィルムのコロナ処理面に、高周波誘導加熱方式により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材フィルム上に厚みが7nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、無機物層を形成した。
(2)緩衝層の形成
上記(1)で形成した無機物層(厚み7nmの酸化アルミニウム層)の上に、ポリウレタン系塗材を塗布し、乾燥させて、緩衝層を形成した。
具体的には、まず、三井化学社製のポリウレタン系塗材(商品名:タケラックWPB341、濃度30%水溶液)を、水で20%に希釈した。これを、アプリケーターを用いて、固形分換算で0.3g/mの量で塗布した(つまり、乾燥後の重量が0.3g/mとなるように塗布した)。塗布後、ドライヤーを用いて30秒間乾燥した。以上により緩衝層を形成した。
(3)ポリ塩化ビニリデン層の形成
旭化成社製のポリ塩化ビニリデン系塗材(サランラテックスL536B、濃度50%)を水で25%に希釈し、10%のアンモニア水で中和したものを準備した。これを、上記(2)で形成した緩衝層の上に塗布した。塗布にはメイヤーバーを用い、塗布量は1.0g/m(固形分)になるように調整した。塗布後、100℃のオーブン中で60秒間乾燥した。以上によりポリ塩化ビニリデン層を形成した。
(4)ヒートシール層の形成およびエージング処理
三井化学東セロ社製の無延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:GLC#40)を、接着剤を用いて、上記(1)〜(3)で作製したサンプルのポリ塩化ビニリデン層とラミネートした。
接着剤としては、三井化学社ウレタン系接着剤(商品名:タケラックA−310とタケネートA−3を12:1で混合し、酢酸エチルで希釈した液)を、無延伸ポリプロピレンフィルムの表面にメイヤーバーを用いて3.0g/m(固形分)になるように塗布し、乾燥させて用いた。
ラミネート後、40℃のオーブン中で2日間エージングを行った。
以上により、評価用のフィルムを得た。
<実施例2:積層フィルムの作成>
実施例1の上記工程(2)を、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、評価用の積層フィルムを得た。
まず、ユニチカ社製のポリエステル系樹脂(商品名:エリーテルUE9800)を、酢酸エチルとメチルエチルケトンの1:1混合溶剤に溶解し、5%溶液を作製した。そして、この溶液を、実施例1と同様にして、(1)で形成した無機物層の上に塗布し、乾燥させて、緩衝層を形成した。
<実施例3:積層フィルムの作成>
実施例1の上記工程(2)を、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、評価用の積層フィルムを得た。
まず、日本合成社製のエチレンビニルアルコール樹脂(商品名:ソアノール16DX)を、水、イソプロピルアルコールおよびノルマルプロピルアルコールの1:1:1混合溶剤に溶解させ、8%溶液を作製した。そして、この溶液を、実施例1と同様にして、(1)で形成した無機物層の上に塗布し、乾燥させて、緩衝層を形成した。
<実施例4:積層フィルムの作成>
実施例1の上記工程(2)を、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、評価用の積層フィルムを得た。
まず、三井化学社製のUV硬化性アクリル樹脂(商品名:オレスターRA3050)を、酢酸エチルで7.3%に希釈した。これに、光開始剤としてイルガキュア184(BASF社製)を、樹脂分に対して8%添加した。そして、この溶液を、実施例1と同様にして、(1)で形成した無機物層の上に塗布し、乾燥させた。
その後、UV照射装置(アイグラフィック社製 EYE GRANDAGE 型式ECS 301G1)を用いて、UV強度:210mW/m、積算光量:330mJ/cmの条件で紫外線を照射した。これにより、膜中の成分を重合させ、緩衝層を形成した。
<比較例1:積層フィルムの作成>
実施例1の上記工程(2)を、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、評価用の積層フィルムを得た。
クラレ社製のポリビニルアルコール樹脂(商品名:PVA105)を水で溶解し、10%水溶液を作製した。この溶液を、実施例1と同様にして、(1)で形成した無機物層の上に塗布し、乾燥させて、緩衝層を形成した。
<比較例2:積層フィルムの作成>
実施例1の上記工程(2)を、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、評価用の積層フィルムを得た。
旭化成社製のポリ塩化ビニリデン樹脂(商品名:サランレジンF216)を、メチルエチルケトンおよびトルエンの2:1混合溶剤を溶媒として70℃で加熱溶解し、5%溶液を作製した。この溶液を、実施例1と同様にして、(1)で形成した無機物層の上に塗布し、乾燥させて、緩衝層を形成した。
すなわち、緩衝層を設けず、ポリ塩化ビニリデン層を2層設けた。
<評価用の包装袋の作成>
上記で得られた評価用積層フィルムを、内表面積が0.01m(100cm)になるように製袋して、包装袋を得た。このとき、ドライラミネート法により貼り合わせた無延伸ポリプロピレンフィルムの面が、袋の内表面側になるようにした。
<緩衝層の赤外吸収スペクトルの測定>
赤外線全反射測定用法(ATR法)により、緩衝層の赤外吸収スペクトルを測定し、前述のA、BおよびB/Aを求めた。これらの数値は表1に記載した。
具体的には、以下のように測定した。
・測定用試料の作成
各実施例および比較例の積層フィルムに斜めに刃を入れて切り、緩衝層を露出させたスペクトル測定用試料を2つ準備した。
この試料のうち1つを、40℃に設定したオーブンの中に設置することにより、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した。また、もう1つの試料を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した。
・IR測定および解析
日本分光社製IRT−5200装置を用い、PKM−GE−S(Germanium)結晶を装着し、入射角度45°、室温、分解能4cm−1、積算回数100回の条件で測定した。
緩衝層を、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をAとし、
緩衝層を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をBとしたときの、B/Aを求めた。
なお、ピーク面積の算出については、装置に付属の解析ソフトウェアにより、ベースラインより上の部分の面積を算出した。
<性能評価>
・水蒸気透過性の測定 その1(塩化カルシウム密封)
作製した各包装袋に、内容物として塩化カルシウムを8g入れ、袋の入口をヒートシールして密封し、包装体を得た。包装体の初期質量(g)を測定し、その後、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に168時間放置した。そして、再度包装体の質量(g)を測定し質量差を求めた。この質量差を、袋の内表面積(0.01m)および放置時間((168/24)日)で割り、包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度(g/m・day)を求めた。この値を表1に記載した。
・水蒸気透過性の測定 その2(水分活性0.9のカステラ密封)
作製した各包装袋に、内容物として、水分活性Awが0.9のカステラを5g入れ、袋の入口をヒートシールして密封し、包装体を得た。包装体の初期質量(g)を測定し、その後、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に168時間放置した。そして、再度包装体の質量(g)を測定し、質量差の絶対値を求めた。この質量差の絶対値を、袋の内表面積(0.01m)および放置時間((168/24)日)で割り、包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度(g/m・day)を求めた。求められた数値の絶対値を表1に記載した。
Figure 2019151018
表1より、特定の4層を備える積層フィルムを用いた包装袋(実施例1〜4)は、40℃で168時間という高温かつ長時間の評価によっても、水蒸気の透過が有意に小さいことがわかる。
特に、実施例1〜4では、内容物が塩化カルシウムである場合と、内容物がカステラである場合の両方で、水蒸気の透過が抑えられている。このことは、本実施形態の積層フィルム(特定の4層を備える)は、物品の吸湿抑制(シケり防止)および乾燥抑制(保湿)の両方に好ましく適用可能なことを示す。なお、数値上は、とりわけ、物品の吸湿抑制(シケり防止)に本実施形態の積層フィルムを適用することが好ましい。
一方、比較例1より、緩衝層のB/Aが1.4を超える(緩衝層の吸水性が大きい)と、吸湿抑制(シケり防止)および乾燥抑制(保湿)の両性能が有意に悪くなることがわかる。また、比較例2より、緩衝層を設けない場合、乾燥抑制(保湿)の性能が特に悪くなることがわかる。
1 積層フィルム
11 基材フィルム層
12 無機物層(金属原子を含む無機物層)
13 緩衝層(ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層)
14 ポリ塩化ビニリデン層(ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層)
20 包装体
21 包装袋
22 物品

Claims (13)

  1. 基材フィルム層と、金属原子を含む無機物層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂以外の素材からなる緩衝層と、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を含むポリ塩化ビニリデン層とがこの順に積層され、
    前記緩衝層を、40±3℃、7%RH以下の条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をAとし、
    前記緩衝層を、40±3℃、90±5%RHの条件で72時間放置した後に赤外線吸収スペクトルを測定したとき、2500〜3700cm−1間のピーク面積を、1000〜1600cm−1間のピーク面積で割って求められるピーク面積比をBとしたとき、
    B/Aが1.40以下である、積層フィルム。
  2. 請求項1に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シランカップリング剤の反応物、金属原子含有化合物および活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
  3. 請求項2に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が熱可塑性樹脂を含み、
    当該熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体およびアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
  4. 請求項2に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が熱硬化性樹脂を含み、
    当該熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
  5. 請求項2に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含み、
    当該活性エネルギー線硬化性樹脂が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートおよびポリエーテルアクリレートからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
  6. 請求項2に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が金属原子含有化合物を含み、
    当該金属原子含有化合物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化チタン、および酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む、積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が、厚さ1nm以上の、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素の少なくとも1種を含む金属蒸着層からなる積層フィルム。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムであって、
    前記緩衝層が、厚さ0.1μm以上の、金属蒸着層以外の層からなる積層フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層フィルムであって、
    前記金属原子を含む無機物層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素および窒化ケイ素からなる群より選ばれる少なくともいずれかを含む積層フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層フィルムであって、
    前記基材フィルム層が、熱可塑性樹脂を含む積層フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層フィルムを用いた包装材。
  12. 請求項11に記載の包装材を用いて物品を包装した包装体。
  13. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層フィルムにより構成された包装袋であって、
    前記包装袋に塩化カルシウムを入れて密封し、温度40±2℃、湿度90±5%RHの環境に168時間置いたときの、前記包装袋の外表面側から内表面側への水蒸気透過度が0.65[g/m・day]以下であり、
    前記包装袋に水分活性が0.90の食品を入れて密封し、温度40±2℃、湿度7±3%RHの環境に168時間置いたときの、前記包装袋の内表面側から外表面側への水蒸気透過度が、1.0[g/m・day]以下である包装袋。
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