JP6807668B2 - バリア性積層フィルムおよびレトルト食品用包装体 - Google Patents

バリア性積層フィルムおよびレトルト食品用包装体 Download PDF

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Description

本発明は、バリア性積層フィルムおよびレトルト食品用包装体に関する。
バリア性フィルムとして、基材層上にバリア層である無機物層を設けたバリア性積層フィルムが知られている。
しかしながら、この無機物層は摩擦等に対して弱く、このようなバリア性積層フィルムは、後加工の印刷時、ラミネート時または内容物の充填時等に、擦れや伸びにより無機物層にクラックが入りバリア性が低下することがある。
そのため、無機物層上にさらにバリア層である有機・無機ハイブリッド層を積層したバリア性積層フィルムも用いられている。
このようなバリア性積層フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(国際公開第2004/048081号パンフレット)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、樹脂基材と、該樹脂基材上に設けられ、主に無機化合物を含むガスバリア蒸着層と、該ガスバリア蒸着層上に設けられ、一般式Si(OR...(1)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物のうち1つ、一般式(RSi(OR...(2)で表されるケイ素化合物およびその加水分解物のうち1つ(ただし、一般式(1)および(2)中、R、RはCH、C、またはCOCH、Rは有機官能基を表す)、および水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、乾燥して得られたガスバリア被覆層を含むガスバリア積層フィルムが開示されている。
国際公開第2004/048081号パンフレット
バリア性フィルムの各種特性について要求される技術水準は、ますます高くなっている。
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されているような無機物層上に有機・無機ハイブリッド層を積層したバリア性積層フィルムは、無機物層と有機・無機ハイブリッド層との相乗効果により優れたバリア性能を有するものの、レトルト処理後において水蒸気バリア性が不十分になる場合があることが明らかになった。
さらに、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されているような無機物層上に有機・無機ハイブリッド層を積層したバリア性積層フィルムは、レトルト処理後において、有機・無機ハイブリッド層と、有機・無機ハイブリッド層上に積層される、熱融着層等のラミネートフィルムとの間の接着性が不十分になる場合があることが明らかになった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水蒸気バリア性を維持しつつ層間の接着性に優れたバリア性積層フィルムを提供するものであり、さらにはレトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性に優れたバリア性積層フィルムを提供するものである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、基材層と有機・無機ハイブリッド層との間に設けられた無機物層の厚みを高度に制御することにより、得られるバリア性積層フィルムにおいて、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性の両方をバランスよく向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示すバリア性積層フィルムおよびレトルト食品用包装体が提供される。
[1]
基材層と、無機物層と、有機・無機ハイブリッド層と、をこの順番に備えるバリア性積層フィルムであって、
上記無機物層の厚みが5nm以上15nm未満であるバリア性積層フィルム。
[2]
上記[1]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記有機・無機ハイブリッド層が水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物との3次元架橋物を含むバリア性積層フィルム。
[3]
上記[2]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記水酸基含有高分子がポリビニルアルコール系樹脂を含むバリア性積層フィルム。
[4]
上記[2]または[3]に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記有機ケイ素化合物がケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種を含むバリア性積層フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性積層フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層と上記基材層との間にアンダーコート層をさらに備えるバリア性積層フィルム。
[7]
上記[1]乃至[6]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層の厚みをP(nm)とし、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される水蒸気透過度をX(g/(m・24h))としたとき、
X/Pが0.030以下であるバリア性積層フィルム。
[8]
上記[1]乃至[7]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、
/Pが0.20以上であるバリア性積層フィルム。
(方法)
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの上記有機・無機ハイブリッド層面と上記無延伸ポリプロピレンフィルムの上記ポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた上記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の180度ラミネート剥離強度を測定する。
[9]
上記[1]乃至[8]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
上記無機物層の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される、130℃で30分間レトルト処理した後の180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、
/Pが0.15以上であるバリア性積層フィルム。
(方法)
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの上記有機・無機ハイブリッド層面と上記無延伸ポリプロピレンフィルムの上記ポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた上記多層フィルムに対して、高温高圧レトルト殺菌装置で130℃、30分間の条件でレトルト処理を行う。上記レトルト処理をおこなった上記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の180度ラミネート剥離強度を測定する。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される、水蒸気透過度が0.3g/(m・24h)未満であるバリア性積層フィルム。
[11]
上記[1]乃至[10]いずれか一つに記載のバリア性積層フィルムにおいて、
レトルト食品用包装材に用いられるバリア性積層フィルム。
[12]
上記[11]に記載のバリア性積層フィルムを含むレトルト食品用包装体。
本発明によれば、水蒸気バリア性を維持しつつ層間の接着性に優れたバリア性積層フィルムを提供することができ、さらにはレトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性に優れたバリア性積層フィルムを提供することができる。
本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。なお、文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
<バリア性積層フィルム>
図1および2は、本発明に係る実施形態のバリア性積層フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
バリア性積層フィルム100は、基材層101と、無機物層102と、有機・無機ハイブリッド層103と、をこの順番に備え、無機物層102の厚みが5nm以上15nm未満である。
本発明者の検討によれば、無機物層上に有機・無機ハイブリッド層を積層したバリア性積層フィルムは、無機物層と有機・無機ハイブリッド層との相乗効果により優れたバリア性能を有するものの、レトルト処理後において水蒸気バリア性が不十分になる場合があることが明らかになった。
さらに、本発明者の検討によれば、無機物層上に有機・無機ハイブリッド層を積層したバリア性積層フィルムは、レトルト処理後において、有機・無機ハイブリッド層と、有機・無機ハイブリッド層上に積層される、熱融着層等のラミネートフィルムとの間の接着性が不十分になる場合があることが明らかになった。
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、基材層101と有機・無機ハイブリッド層103との間に設けられた無機物層102の厚みを5nm以上15nm未満の範囲に制御することにより、得られるバリア性積層フィルムにおいて、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性の両方をバランスよく向上できることを見出した。
無機物層102の厚みの下限値は5nm以上、好ましくは7nm以上、より好ましくは8nm以上、特に好ましくは10nm以上である。無機物層102の厚みの上限値は、15nm未満、好ましくは14nm以下、より好ましくは13nm以下、さらに好ましくは12nm以下である。
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、無機物層102の厚みを上記下限値以上とすることにより、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性の両方を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100において、無機物層102の厚みを上記上限値未満または以下とすることにより、レトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性を効果的に向上させることができる。
以上から、本実施形態によれば、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性の両方に優れたバリア性積層フィルム100を得ることができる。
本実施形態において、無機物層102の厚さは、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡により、バリア性積層フィルム100中の無機物層102の断面を撮影する。得られた写真から、無機物層102の厚さを10点測定し、それら10点の厚さの平均値を無機物層102の厚さとすることができる。
バリア性積層フィルム100は、水蒸気バリア性に優れ、包装用フィルムや封止用フィルムとして好適に用いることができる。バリア性積層フィルム100において、水蒸気バリア性をさらに向上させる観点から、無機物層102の厚みをP(nm)とし、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される水蒸気透過度をX(g/(m・24h))としたとき、X/Pは、好ましくは0.030以下、より好ましくは0.025以下、さらに好ましくは0.015以下である。
このようなX/Pは、例えば、無機物層102の構成材料や厚み、有機・無機ハイブリッド層103の構成材料や厚みを調整することにより達成できる。
バリア性積層フィルム100において、水蒸気バリア性をさらに向上させる観点から、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される、水蒸気透過度が0.3g/(m・24h)未満であることが好ましく、0.2g/(m・24h)以下であることがより好ましく、0.15g/(m・24h)以下であることがさらに好ましい。
このような水蒸気透過度は、例えば、無機物層102の構成材料や厚み、有機・無機ハイブリッド層103の構成材料や厚みを調整することにより達成できる。
バリア性積層フィルム100は、有機・無機ハイブリッド層103と、有機・無機ハイブリッド層103上に積層されるラミネートフィルムと、の間の接着性に優れている。バリア性積層フィルム100において、ラミネートフィルムとの接着性をさらに向上させる観点から、無機物層102の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、Q/Pは好ましくは0.20以上であり、さらに好ましくは0.60以上、特に好ましくは1.0以上である。
(方法)
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの上記有機・無機ハイブリッド層面と上記無延伸ポリプロピレンフィルムの上記ポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた上記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、バリア性積層フィルム100と上記無延伸ポリプロピレンフィルムとの180度ラミネート剥離強度を測定する。
このようなQ/Pは、例えば、無機物層102の構成材料や厚み、有機・無機ハイブリッド層103の構成材料や厚みを調整することにより達成できる。
バリア性積層フィルム100は、レトルト処理後においても、有機・無機ハイブリッド層103と、有機・無機ハイブリッド層103上に積層されるラミネートフィルムと、の間の接着性に優れている。バリア性積層フィルム100において、レトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性をさらに向上させる観点から、無機物層102の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される、130℃で30分間レトルト処理した後の180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、Q/Pが0.15以上であることが好ましく0.20以上であることがより好ましい。
(方法)
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの上記有機・無機ハイブリッド層面と上記無延伸ポリプロピレンフィルムの上記ポリウレタン系接着剤層が接するようにして、上記バリア性積層フィルムと上記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた上記多層フィルムに対して、高温高圧レトルト殺菌装置で130℃、30分間の条件でレトルト処理を行う。上記レトルト処理をおこなった上記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、バリア性積層フィルム100と上記無延伸ポリプロピレンフィルムとの180度ラミネート剥離強度を測定する。
このようなQ/Pは、例えば、無機物層102の構成材料や厚み、有機・無機ハイブリッド層103の構成材料や厚みを調整することにより達成できる。
以下、バリア性積層フィルム100を構成する各層について説明する。
[有機・無機ハイブリッド層]
本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103は、例えば、水酸基含有高分子および有機ケイ素化合物を含む混合物を加熱して3次元架橋させることにより形成されたものである。すなわち、本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103は、例えば、水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物との3次元架橋物を含むものである。これにより、得られるバリア性積層フィルム100のバリア性をより良好なものとすることができる。
(水酸基含有高分子)
本実施形態に係る水酸基含有高分子は、分子内に水酸基を有する高分子である。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、でんぷん、セルロース類等が挙げられる。
これらの中でも、バリア性の向上効果をより効果的に得ることができる観点から、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂はモノマー単位中に最も多く水酸基を含む高分子であるため加水分解後の有機ケイ素化合物の水酸基と非常に強固な水素結合を形成でき、その結果、バリア性により優れた有機・無機ハイブリッド層103を得ることができる。
ここで、ポリビニルアルコール系樹脂とは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分ケン化ポリビニルアルコールや、酢酸基が数%しか残存していない完全ケン化ポリビニルアルコールを含む。
(有機ケイ素化合物)
本実施形態に係る有機ケイ素化合物は分子内に有機ケイ素基を有する高分子である。
有機ケイ素化合物としては、例えば、式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物が挙げられる。ここで、RはCH、C、またはCOCHである。
式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物の中でも、水系の溶媒中において比較的安定である観点から、テトラエトキシシランが好ましい。
なお、本実施形態において、ケイ素アルコキシド化合物の加水分解生成物には、ケイ素アルコキシド化合物の部分加水分解生成物等も含まれる。
また、本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103は、式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種を含むとともに、式(2):(RSi(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種をさらに含むことが好ましい。ここで、RはCH、C、またはCOCHであり、Rは有機官能基である。nは1以上であり、好ましくは2以上5以下、さらに好ましくは2以上4以下、特に好ましくは3である。
すなわち、本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103は、(A)水酸基含有高分子と、(B)式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種と、(C)式(2):(RSi(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種と、の3つの成分を含むことが好ましい。
これにより、有機・無機ハイブリッド層103がより緻密な構造となり、その結果、バリア性により優れた有機・無機ハイブリッド層103を得ることができる。
上記式(2)において、有機官能基(R)は、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、およびイソシアネート基等の非水性官能基であることが好ましい。非水性官能基であると、有機・無機ハイブリッド層103の耐水性をさらに向上させることができる。
式(2):(RSi(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物が多量体である場合は、三量体が好ましく、より好ましくは式(2A):(NCO−RSi(OR(式中、Rは(CH)m、mは1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。さらに好ましくは、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、さらにまた好ましくは、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。
また、上記式(2)において、有機官能基(R)として、3−グリシドキシプロピル基、または2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)基が好ましく使用できる。
また、有機・無機ハイブリッド層103中の水酸基含有高分子の含有量は、バリア性をより向上させる観点から、有機・無機ハイブリッド層103の全体を100質量%としたとき、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
また、Si(ORがすべてSiOに変換したと仮定した場合、有機・無機ハイブリッド層103中のSi(OR由来のSiOの含有量は、バリア性をより向上させる観点から、有機・無機ハイブリッド層103の全体を100質量%としたとき、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、50質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。
また、(RSi(ORがすべて(RSiO1.5に変換したと仮定した場合、有機・無機ハイブリッド層103中の(RSi(OR由来の(RSiO1.5の含有量は、バリア性をより向上させる観点から、有機・無機ハイブリッド層103の全体を100質量%としたとき、2質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103の厚みは特に限定しないが、バリア性をより向上させる観点から、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。
(有機・無機ハイブリッド層の形成方法)
本実施形態に係る有機・無機ハイブリッド層103は、例えば、(A)水酸基含有高分子と、(B)式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種と、(C)式(2):(RSi(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種と、を含む有機・無機ハイブリッド層用塗材を基材層101または無機物層102上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
ここで、式(1):Si(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物や式(2):(RSi(ORで示されるケイ素アルコキシド化合物の加水分解方法は、一般に知られているように、酸またはアルカリ触媒とアルコールと水とを用いて行われる。
有機・無機ハイブリッド層用塗材を無機物層102上に塗布する方法としては、特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディップコーター、ダイコーター等の公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。
有機・無機ハイブリッド層用塗材の乾燥方法としては特に限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、熱風乾燥、熱ロール乾燥、マイクロ波照射、高周波照射、赤外線照射、UV照射等を用いて乾燥する方法が挙げられる。
[無機物層]
無機物層102を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物、金属窒化物、金属弗化物、金属酸窒化物等が挙げられる。
無機物層102を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレン、テルル等の周期表6A族元素等の単体、酸化物、窒化物、弗化物、または酸窒化物等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
なお、本実施形態では、周期表の族名は旧CAS式で示している。
さらに、上記無機物の中でも、バリア性やコスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
上記無機物の中でも、酸化アルミニウムはレトルト処理による耐水性にも優れることから特に好ましい。酸化アルミニウムは、アルミニウム(Al)と酸素(O)の存在比(モル比)は、Al:O=1:1.5〜1:2.0であることが好ましい。
無機物層102は上記無機物により構成されている。無機物層102は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層102が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層102の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、化学気相成長法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法(CVD法)、プラズマCVD法、ゾルゲル法等により基材層101の片面または両面に無機物層102を形成することができる。
[基材層]
基材層101は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、紙等の有機質材料により形成されており、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド等の公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、フッ素樹脂あるいはこれらの混合物等の公知の熱可塑性樹脂が挙げられる。
これらの中でも、透明性を良好にする観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、およびポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂により構成された基材層101は、バリア性積層フィルム100の用途に応じて、単層であっても、二層以上であってもよい。
また、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成されたフィルムを少なくとも一方向、好ましくは二軸方向に延伸して基材層101としてもよい。
基材層101としては、透明性、剛性、および耐熱性に優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、およびポリイミドから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂により構成された二軸延伸フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂により構成された二軸延伸フィルムがより好ましい。
また、基材層101は無機物層102との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、プライマーコート処理、オゾン処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
基材層101の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、1μm以上1000μm以下が好ましく、1μm以上500μm以下がより好ましく、1μm以上300μm以下がさらに好ましい。
基材層101の形状は、特に限定されないが、例えば、シート、フィルム、トレー、カップ、中空体等の形状が挙げられる。
[アンダーコート層]
図2に示すように、バリア性積層フィルム100において、より均一で良質な無機物層102を形成し、バリア性をより向上させる観点から、無機物層102と基材層101との間にアンダーコート層104をさらに備えることが好ましい。
アンダーコート層104としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オキサゾリン系樹脂、アクリル系樹脂から選択される一種または二種以上により構成されていることが好ましい。
また、アンダーコート層104としては、分子内にビニル基を少なくとも1つ以上有する重合性モノマーまたはオリゴマーを基材層101上に塗布して、加熱や紫外線、電子線等による架橋反応によりアンダーコート層を形成させるものが好適である。
重合性モノマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系、ビニル系、不飽和ポリエステル系のオリゴマーや、各種単官能または多官能のアクリレート、メタクリレート、ビニルエステル等のモノマーが挙げられる。中でも、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物またはウレタン(メタ)アクリレート系化合物から選択される少なくとも一種を硬化してなるアンダーコート層が好ましく、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を硬化してなるアンダーコート層がより好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、および脂肪族エポキシ化合物等から選択される少なくとも一種のエポキシ化合物と、アクリル酸またはメタクリル酸と、を反応させて得られる化合物;これらの化合物をカルボン酸またはその無水物と反応させて得られる酸変性エポキシ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
これらのエポキシ(メタ)アクリレート系化合物は、光重合開始剤および必要に応じて他の光重合開始剤あるいは熱反応性モノマーからなる希釈剤と共に、基材層101の表面に塗布され、その後紫外線等を照射して架橋反応によりアンダーコート層が形成される。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物からなるオリゴマー(以下、ポリウレタン系オリゴマーとも呼ぶ。)をアクリレート化したもの等が挙げられる。
ポリウレタン系オリゴマーは、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との縮合生成物から得ることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、メチレン・ビス(p−フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンのアダクト体、1,5−ナフチレンジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート等が挙げられる。
また、ポリオール化合物としては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテル系ポリオール;ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリエステル系ポリオール;アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマー等がある。
アクリレートを構成する単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのエポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、必要に応じて、併用される。また、これらを重合させる方法としては、公知の種々の方法、具体的には電離性放射線を含むエネルギー線の照射または加熱等による方法が挙げられる。
アンダーコート層104を紫外線で硬化して形成する場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミフィラベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステルまたはチオキサントン類等を光重合開始剤として、また、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルホスフィン等を光増感剤として混合して使用するのが好ましい。また、本実施形態では、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物とウレタン(メタ)アクリレート系化合物は併用してもよい。
また、これらのエポキシ(メタ)アクリレート系化合物やウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、(メタ)アクリル系モノマーで希釈してもよい。このような(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アンダーコート層104の厚さは、良好な接着性を得る観点から、0.001μm以上であることが好ましく、経済的であるという観点から0.5μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.005μm以上0.1μm以下であり、特に好ましくは0.01μm以上0.08μm以下である。
[熱融着層]
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、ヒートシール性を付与するために、少なくとも片面に熱融着層を設けてもよい。
熱融着層としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体;高圧法低密度ポリエチレン;線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE);高密度ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリプロピレンランダム共重合体;低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体;エチレン・ブテン−1ランダム共重合体;プロピレン・ブテン−1ランダム共重合体;等から選択される一種または二種以上のポリオレフィンを含む樹脂組成物により構成される層;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む樹脂組成物により構成される層;EVAおよびポリオレフィンを含む樹脂組成物により構成される層等が挙げられる。
<用途>
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、例えば、食品、医薬品、日常雑貨等を包装するための包装用フィルム;真空断熱パネル用フィルム;エレクトロルミネセンス素子、太陽電池等を封止するための封止用フィルム;等として好適に使用することができる。本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルムとの接着性に優れていることから、レトルト食品用包装材として特に好適に用いることができる。
また、本実施形態に係るバリア性積層フィルム100は包装体を構成するフィルムとして好適に用いることもできる。本実施形態に係る包装体は、例えば、内容物を充填することを目的として使用される包装袋自体または当該袋に内容物を充填したものである。また、本実施形態に係る包装袋は用途に応じその一部にバリア性積層フィルム100を使用してもよいし、包装袋全体にバリア性積層フィルム100を使用してもよい。
本実施形態に係るバリア性積層フィルム100を含む包装体は、レトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるバリア性積層フィルム100とラミネートフィルムとの接着性に優れていることから、レトルト食品用包装体として特に好適に用いることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実施例・比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
<評価方法>
(1)評価用多層フィルムの作製
厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:RXC−22)の片面に、ポリウレタン系接着剤(ポリウレタン系接着剤(三井化学社製、商品名:タケラックA525S):9質量部、イソシアネート系硬化剤(三井化学社製、商品名:タケネートA50):1質量部および酢酸エチル:7.5質量部)を乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、次いで、乾燥することによりポリウレタン系接着剤層を形成した。次いで、実施例・比較例で得られたバリア性積層フィルムの有機・無機ハイブリッド層面と無延伸ポリプロピレンフィルムのポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、バリア性積層フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを貼り合わせ(ドライラミネート)、多層フィルムを得た。多層フィルムは、接着剤層を硬化させるため、40℃、5日間エージングを施した。
(2)レトルト処理
上記(1)で得られた多層フィルムを無延伸ポリプロピレンフィルムが内面になるように折り返し、2方をヒートシールし、袋状にした。その後、内容物として水を充填し、もう1方をヒートシールして袋をそれぞれ作製した。高温高圧レトルト殺菌装置で130℃、30分間の条件でレトルト処理を行い、袋のヒートシール部を除去してレトルト処理後の多層フィルムを得た。
(3)剥離強度の測定
上記(1)で得られた多層フィルムおよび上記(2)で得られたレトルト処理後の多層フィルムを15mm幅にそれぞれ切断した後、剥離のきっかけを作るために試料の角をラミネート面と無延伸ポリプロピレンフィルムの間を部分的に剥離し、その後300(mm/分)の剥離速度で、バリア性積層フィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の180度ラミネート剥離強度をそれぞれ測定した。レトルト処理後の試料は濡れた状態で測定した。
(4)水蒸気透過度[g/(m・24h)]
上記(1)で得られた多層フィルムおよび上記(2)で得られたレトルト処理後の多層フィルムのそれぞれについて、無延伸ポリプロピレンフィルムが内面になるように折り返し、2方をヒートシールし、袋状にした。その後、内容物として塩化カルシウムを入れた。次いで、もう1方をヒートシールして、内表面積が0.01mの袋をそれぞれ作製した。次いで、得られた袋を40℃、湿度90%RHの条件で300時間それぞれ保管した。保管前後の塩化カルシウムの重量を測定し、その差から水蒸気透過度(g/(m・24h))をそれぞれ算出した。
<実施例1>
(アンダーコート層用の塗材の調製)
アンダーコート層の形成には、溶剤含有アクリル樹脂(東レファインケミカル株式会社製、商品名:コータックスLH−635)、溶剤含有イソシアネート基末端ウレタン樹脂(三井化学株式会社製、商品名:タケネートA−10)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−9007)を用いた。配合比は、アクリル樹脂の水酸基量に対し、1.7倍のイソシアネート基量に相当するウレタン樹脂、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランは、アクリル樹脂とウレタン樹脂の合計量の10質量%とした。まず、LH−635にKBE−9007を加え、十分に撹拌・混合した後に、A−10と混合溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/酢酸エチル=1/1/2(重量比))を加えて、固形分濃度0.5質量%の塗布液:U液を調整した。
(有機・無機ハイブリッド層用の塗材の調製)
有機・無機ハイブリッド層の形成には、ポリビニルアルコール樹脂(株式会社クラレ製、商品名:クラレポバールPVA124)、テトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名:KBE−04)、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−9659)を用いた。配合比は、KBE−04の加水分解物(SiO換算):PVA124:KBM−9659の加水分解物(R−SiO1.5換算)=6/4/0.72=56.0/37.3/6.7(重量比)とした。
具体的な配合は、以下の通りである。まず、KBE−04(2.5g)、KBM−9659(0.131g)、0.1N−HCl水溶液(1.94g)を混合し、2時間撹拌して加水分解反応を進行させた。さらに、イソプロピルアルコール(4.9g)、水(17.5g)を加え、1時間撹拌して、A液を調整した。次に、水:イソプロピルアルコール=9:1の混合液(97g)にPVA124(3g)を溶解させ、B液を調製した。そして、A液(27g)と、B液(16g)とを混合し、30分間撹拌して、固形分濃度3%の塗工液:H液を調整した。
(バリア性積層フィルムの形成)
基材層として、12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(ユニチカ社製、商品名:エンブレットPET12)を用い、PET12のコロナ面にNo.4のバーコーターでU液を塗工し、80℃、5分間乾燥させた。塗工量は約0.06g/mであった。さらに、100℃1時間及び、60℃12時間のエージングを実施し、アンダーコート層を十分に硬化させた。その後、アンダーコート層上にコロナ処理をおこなった。
次いで、電子線加熱方式の真空蒸着装置により、アルミニウムを加熱蒸発させ、さらに酸素を導入し、基材層のアンダーコート層のコロナ処理面に厚みが7nmになるように酸化アルミニウムを蒸着し、酸化アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた酸化アルミニウム蒸着フィルムの酸化アルミニウム層上に、H液をアプリケーターで塗工し、120℃5分間乾燥させ、厚み約0.4μmの塗膜を形成した。次いで、150℃、30分間の熱処理を実施し、有機・無機ハイブリッド層を形成した。
得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
<実施例2〜3および比較例1〜2>
上記酸化アルミニウム層の厚みを表1に示す値にした以外は実施例1と同様にしてバリア性積層フィルムをそれぞれ作製し、各評価をそれぞれおこなった。得られたバリア性積層フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0006807668
実施例で得られたバリア性積層フィルムはレトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)との接着性に優れていた。これに対し、比較例で得られたバリア性積層フィルムはレトルト処理後における水蒸気バリア性およびレトルト処理後におけるラミネートフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)との接着性に劣っていた。
100 バリア性積層フィルム
101 基材層
102 無機物層
103 有機・無機ハイブリッド層
104 アンダーコート層

Claims (10)

  1. 基材層と、無機物層と、有機・無機ハイブリッド層と、をこの順番に備えるバリア性積層フィルムであって、
    前記無機物層の厚みが5nm以上15nm未満であり、
    前記有機・無機ハイブリッド層が水酸基含有高分子と有機ケイ素化合物との3次元架橋物を含み、
    前記有機ケイ素化合物が、式(1):Si(OR で示されるケイ素アルコキシド化合物(R はCH 、C 、またはC OCH である)およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種と、式(2):(R Si(OR で示されるケイ素アルコキシド化合物(R はCH 、C 、またはC OCH であり、R はビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、またはイソシアネート基を含む。nは1以上5以下である)およびその加水分解生成物から選択される少なくとも一種とを含むバリア性積層フィルム。
  2. 請求項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記水酸基含有高分子がポリビニルアルコール系樹脂を含むバリア性積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層が、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、およびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物を含むバリア性積層フィルム。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層と前記基材層との間にアンダーコート層をさらに備えるバリア性積層フィルム。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層の厚みをP(nm)とし、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される水蒸気透過度をX(g/(m・24h))としたとき、
    X/Pが0.030以下であるバリア性積層フィルム。
  6. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、
    /Pが0.20以上であるバリア性積層フィルム。
    (方法)
    厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの前記有機・無機ハイブリッド層面と前記無延伸ポリプロピレンフィルムの前記ポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、前記バリア性積層フィルムと前記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた前記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、前記バリア性積層フィルムと前記無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の180度ラミネート剥離強度を測定する。
  7. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    前記無機物層の厚みをP(nm)とし、下記の方法により測定される、130℃で30分間レトルト処理した後の180度剥離による剥離強度をQ(N/15mm)としたとき、
    /Pが0.15以上であるバリア性積層フィルム。
    (方法)
    厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚みが3μmのポリウレタン系接着剤層を形成する。次いで、当該バリア性積層フィルムの前記有機・無機ハイブリッド層面と前記無延伸ポリプロピレンフィルムの前記ポリウレタン系接着剤層とが接するようにして、前記バリア性積層フィルムと前記無延伸ポリプロピレンフィルムとをドライラミネートし、多層フィルムを得る。得られた前記多層フィルムに対して、高温高圧レトルト殺菌装置で130℃、30分間の条件でレトルト処理を行う。前記レトルト処理をおこなった前記多層フィルムを15mm幅に切断した後、300(mm/分)の剥離速度で、前記バリア性積層フィルムと前記無延伸ポリプロピレンフィルムとの間の180度ラミネート剥離強度を測定する。
  8. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    温度40℃、湿度90%RHの条件で測定される、水蒸気透過度が0.3g/(m・24h)未満であるバリア性積層フィルム。
  9. 請求項1乃至いずれか一項に記載のバリア性積層フィルムにおいて、
    レトルト食品用包装材に用いられるバリア性積層フィルム。
  10. 請求項に記載のバリア性積層フィルムを含むレトルト食品用包装体。
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