JP2023050299A - ガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】虐待後における酸素バリア性を向上させることができるガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む基材層と、金属酸化物層と、ガスバリア性被覆層と、をこの順に備え、ガスバリア性被覆層の表面において、X線光電子分光法により測定されるケイ素原子と炭素原子の比(Si/C)が0より大きく0.50未満である、ガスバリア性積層体。【選択図】図1

Description

本開示は、ガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品に関する。
食品、医薬品等の包装に用いられる包装袋などの包装容器においては、内容物の変質や腐敗などを抑制し、それらの機能や性質を保持するために、水蒸気、酸素、その他の内容物を変質させる気体の進入を遮断するガスバリア性が要求される。そのため、従来、これら包装袋においてはガスバリア性積層体が用いられている。
ガスバリア性積層体は一般に、基材層、金属酸化物層及びガスバリア性被覆層をこの順に備えており、ガスバリア性被覆層は、ガスバリア性の機能を付与しうるガスバリア性被覆層形成用組成物を金属酸化物層上に塗布し硬化させることによって形成される。
このようなガスバリア性積層体として、従来より、種々のものが開発されている。
例えば、下記特許文献1には、透明なプラスチックからなる基材上にアクリル樹脂とイソシアネート樹脂の混合物からなる透明プライマー層、無機化合物からなる薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層した透明積層体であって、ガスバリア性被膜が、水性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなる層である透明積層体により、酸素バリア性等を向上させることが提案されている。
特開平10-264292号公報
しかし、上記特許文献1に記載されたガスバリア性積層体は、以下の課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載されたガスバリア性積層体は、虐待後における酸素バリア性の向上の点で改善の余地を有していた。
本開示は、虐待後における酸素バリア性を向上させることができるガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品を提供することを目的とする。
本開示は、熱可塑性樹脂を含む基材層と、金属酸化物層と、ガスバリア性被覆層と、をこの順に備え、前記ガスバリア性被覆層の表面において、X線光電子分光法により測定される炭素原子に対するケイ素原子の比(Si/C)が0より大きく0.50未満である、ガスバリア性積層体である。
本開示のガスバリア性積層体によれば、虐待後における酸素バリア性を向上させることができる。
本開示のガスバリア性積層体によりこのような効果が得られる理由は定かではないが、基材層が熱可塑性樹脂を含むようにしたことに加えて、X線光電子分光法により測定される炭素原子に対するケイ素原子の比(Si/C)を0より大きく0.50未満とすることで、ガスバリア性被覆層の柔軟性がより向上するためではないかと推測される。
上記ガスバリア性積層体は、前記基材層と前記金属酸化物層との間にアンカーコート層をさらに備えることが好ましい。
この場合、アンカーコート層の表面の平滑性が、基材層の表面の平滑性よりも向上する。このため、金属酸化物層の厚みを均一にすることが可能となり、ガスバリア性積層体のガスバリア性をより向上させることができる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記ガスバリア性被覆層が、下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方と、水溶性高分子と、を含む組成物の硬化体からなり、前記組成物において、前記ケイ素アルコキシドをSiOに換算した場合、固形分中の前記水溶性高分子の含有率が40質量%以上であることが好ましい。
Si(OR)・・・・・・(1)
(前記一般式(1)中、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。)
この場合、ガスバリア性積層体の柔軟性をより向上させることができる。このため、虐待後おけるガスバリア性積層体の酸素バリア性をより向上させることができる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記組成物において、前記ケイ素アルコキシドをSiOに換算した場合、固形分中の前記水溶性高分子の含有率が43質量%以上85質量%以下であることが好ましい。
この場合、固形分中の水溶性高分子の含有率が43質量%未満である場合に比べて、虐待後のガスバリア性積層体の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。また、固形分中の水溶性高分子の含有率が85質量%を超える場合に比べて、レトルト処理後のガスバリア性積層体における層間密着性をより向上させることができる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記ガスバリア性被覆層が、シランカップリング剤をさらに含み、前記シランカップリング剤が、下記一般式(2)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方を含むことが好ましい。
(RSi(OR・・・・・・(2)
(前記一般式(2)中、Rは1価の有機官能基を表し、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。nは1以上の整数を表す。)
この場合、ガスバリア性被覆層と金属酸化物層との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性積層体における層内剥離を抑制することができる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記金属酸化物層の厚みが5nm以上80nm以下であることが好ましい。
この場合、金属酸化物層の厚みが5nm未満である場合に比べてガスバリア性積層体の酸素バリア性がより向上する。また、金属酸化物層の厚みが80nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体の酸素バリア性をより向上させることもできる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記ガスバリア性被覆層の厚みが50nm以上700nm以下であることが好ましい。
この場合、ガスバリア性被覆層の厚みが50nm未満である場合に比べてガスバリア性積層体の酸素バリア性がより向上する。また、ガスバリア性被覆層の厚みが700nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体の酸素バリア性をより向上させることもできる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記アンカーコート層の厚みが30nm以上300nm以下であることが好ましい。
この場合、アンカーコート層の厚みが30nm未満である場合に比べて、基材層の表面よりもアンカーコート層の表面の平滑性をより向上させることが可能となり、金属酸化物層の厚みをより均一にすることが可能となるとともに、酸素バリア性をより向上させることもできる。このため、ガスバリア性積層体の酸素バリア性をより一層向上させることができる。また、アンカーコート層の厚みが300nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。
上記ガスバリア性積層体においては、前記基材層の厚みが40μm以下であることが好ましい。
この場合、基材層の厚みが40μm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。
また、本開示は、上記ガスバリア性積層体と、シーラント層とを備える包装フィルムである。
この包装フィルムは、上記ガスバリア性積層体を備えるため、虐待後における酸素バリア性を向上させることができる。
さらに、本開示は、上記包装フィルムを備える包装容器である。
この包装容器は、上記包装フィルムを備えるため、虐待後における酸素バリア性を向上させることができる。
さらにまた、本開示は、上記包装容器と、前記包装容器内に充填される内容物とを備える包装製品である。
この包装製品は、上記包装容器を備えており、包装容器は虐待後における酸素バリア性を向上させることができるため、酸素の混入による内容物の品質の低下を長期間にわたって抑制することができる。
本開示によれば、虐待後における酸素バリア性を向上させることができるガスバリア性積層体、包装フィルム、包装容器及び包装製品が提供される。
本開示のガスバリア性積層体の一実施形態を示す断面図である。 本開示の包装フィルムの一実施形態を示す断面図である。 本開示の包装製品の一実施形態を示す側面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。
<ガスバリア性積層体>
まず、本開示のガスバリア性積層体の一実施形態について図1を参照しながら説明する。図1は、本開示のガスバリア性積層体の一実施形態を示す断面図である。図1において、ガスバリア性積層体10は、熱可塑性樹脂を含む基材層1と、金属酸化物層3と、ガスバリア性被覆層4とを、この順に備える。ガスバリア性被覆層4の表面においては、X線光電子分光法(XPS)により測定される炭素原子に対するケイ素原子の比(Si/C)が0より大きく0.50未満である。なお、ガスバリア性積層体10は、基材層1と金属酸化物層3との間にアンカーコート層2を有してもよい。
このガスバリア性積層体10は、虐待後における酸素バリア性を向上させることができる。
以下、基材層1、アンカーコート層2、金属酸化物層3及びガスバリア性被覆層4について詳細に説明する。
(基材層)
基材層1は、ガスバリア性被覆層4の支持体となる層であり、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及び天然高分子化合物(セルロースアセテート等)が挙げられる。これらは単独で又は2種以上の混合物で構成されてもよい。
中でも、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレンなどが挙げられるが、レトルト処理耐性の観点からは、ポリプロピレンが好ましい。ここで、ポリプロピレンは、ホモポリプロピレンでもプロピレンコポリマーでもよいが、酸素バリア性の観点からは、基材層1のうち少なくともガスバリア性被覆層4側の表層を構成するポリプロピレンはポリプロピレン共重合体であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)及びポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)などが挙げられる。
基材層1は、延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよいが、酸素バリア性の観点からは、延伸フィルムであることが好ましい。ここで、延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム及び二軸延伸フィルムが挙げられるが、二軸延伸フィルムが、耐熱性を向上させることから、好ましい。
基材層1の厚みは、特に制限されないが、例えば0.1mm以下であればよい。中でも、基材層1の厚みは、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。基材層1の厚みが40μm以下であると、基材層1の厚みが40μm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。但し、強度を向上させる観点からは、10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましい。
基材層1は、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(アンカーコート層)
アンカーコート層2は、基材層1と金属酸化物層3との密着性をより向上させるための層であり、基材層1と金属酸化物層3との間に設けられている。
アンカーコート層2を構成する材料は、基材層1と金属酸化物層3との密着性を向上させることが可能なものであれば特に制限されるものではないが、このような材料としては、オルガノシラン又は有機金属化合物と、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物との反応物を含む。すなわち、アンカーコート層2は、ウレタン系接着剤層であるということもできる。オルガノシランは、例えば3官能オルガノシラン、又は3官能オルガノシランの加水分解物である。有機金属化合物は、例えば金属アルコキシド又は金属アルコキシドの加水分解物である。有機金属化合物に含まれる金属元素は、例えばAl、Ti、Zr等である。オルガノシランの加水分解物及び金属アルコキシドの加水分解物はそれぞれ、少なくとも一つの水酸基を有していればよい。透明性の観点から、ポリオール化合物はアクリルポリオールであることが好ましい。イソシアネート化合物は、主に架橋剤又は硬化剤として機能する。ポリオール化合物およびイソシアネート化合物は、モノマーでもよいしポリマーでもよい。
アンカーコート層2の厚みは基材層1と金属酸化物層3との密着性を向上させることが可能な厚みであれば特に制限されるものではないが、好ましくは30nm以上である。この場合、アンカーコート層2の厚みが30nm未満である場合に比べて、基材層1の表面よりもアンカーコート層2の表面の平滑性をより向上させることが可能となり、金属酸化物層3の厚みをより均一にすることが可能となるとともに、酸素バリア性をより向上させることもできる。このため、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより一層向上させることができる。アンカーコート層2の厚みは40nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましい。アンカーコート層2の厚みを大きくすることにより、延伸等の外力がかかった場合の水蒸気バリア性の低下を一層抑制することができる。アンカーコート層2の厚みは300nm以下であることが好ましい。この場合、アンカーコート層2の厚みが300nm以上である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。アンカーコート層2の厚みは200μm以下であることがより好ましい。
(金属酸化物層)
金属酸化物層3は、金属酸化物を含む層である。ガスバリア性積層体10は、金属酸化物層3を有することにより、ガスバリア性をより向上させることができる。
金属酸化物を構成する金属としては、Si、Al、Mg、Sn、Ti、及びInからなる群より選択される少なくとも1種の原子が挙げられる。金属酸化物としては、水蒸気バリア性の観点から、SiO又はAlOが好ましい。中でも、金属酸化物としては、SiOが好ましい。この場合、ガスバリア性積層体10がより優れた水蒸気バリア性を有することが可能となる。
金属酸化物層3は単層からなっていてもよく、複数層からなっていてもよい。
金属酸化物層3の厚みは特に制限されるものではないが、5nm以上であることが好ましい。この場合、金属酸化物層3の厚みが5nm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性がより向上する。金属酸化物層3の厚みは8nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが特に好ましい。
また、金属酸化物層3の厚みは80nm以下であることが好ましい。この場合、金属酸化物層3の厚みが80nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることもできる。金属酸化物層3の厚みは70nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることが特に好ましい。
(ガスバリア性被覆層)
ガスバリア性被覆層4は、ガスバリア性被覆層形成用組成物の硬化体で構成される。
ガスバリア性被覆層4の表面において、X線光電子分光法(以下、「XPS」ともいう)により測定される炭素原子に対するケイ素原子の比(以下、「Si/C」ともいう)は0より大きく0.50未満である。この場合、Si/Cが0.50以上である場合に比べて、虐待後におけるガスバリア性積層体10の酸素バリア性を向上させることができる。
XPSによるSi/Cは、以下の測定機器を使用し、以下の測定条件でナロー分析を行うことによりスペクトルを取得し、このスペクトルからSiとCの比を算出することにより求められる。なお、炭素原子に対するケイ素原子の比(Si/C)は、モル比である。
<測定機器>
日本電子株式会社製、JPS-9030型光電子分光装置
<測定条件>
(スペクトル採取条件)
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:10W(10kV・10mA)
X線走査面積(測定領域):直径6mmの円形領域
光電子取込角度:90°
XPSによるSi/Cは、好ましくは0.48以下であり、より好ましくは0.45以下である。XPSによるSi/Cは、0より大きければよいが、レトルト処理後の金属酸化物層3に対する密着性を向上させる観点からは、XPSによるSi/Cは、0.15以上であることが好ましい。
ガスバリア性被覆層形成用組成物は、ケイ素アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方と、水溶性高分子と、を含む。
ケイ素アルコキシドは、下記一般式(1)Si(OR)で表される。
Si(OR)・・・・・・(1)
一般式(1)中、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。中でも、エチル基が好ましい。この場合、ケイ素アルコキシドはテトラエトキシシランとなり、加水分解後、水系の溶媒中で比較的安定化することが可能となる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、その変性体、及び、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール樹脂又はその変性体が好ましい。この場合、この組成物は、硬化により、ガスバリア性積層体10に対してより優れたガスバリア性を付与することができる。また、この組成物は、硬化されても、ガスバリア性積層体10に対しより優れた柔軟性を付与することができ、虐待後における酸素バリア性をより向上させることができる。
水溶性高分子が、ポリビニルアルコール樹脂又はその変性体で構成される場合、水溶性高分子の鹸化度は、特に制限されるものではないが、ガスバリア性積層体10のガスバリア性を向上させる観点からは、95%以上であることが好ましく、100%であってもよい。
水溶性高分子の重合度は、特に制限されるものではないが、ガスバリア性積層体10のガスバリア性を向上させる観点からは、300以上であることが好ましい。水溶性高分子の重合度は、450~2400が好ましい。
固形分中の水溶性高分子の含有率は特に制限されるものではないが、ケイ素アルコキシドをSiOに換算した場合、好ましくは40質量%以上である。この場合、ガスバリア性積層体10の柔軟性をより向上させることができる。このため、虐待後おけるガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることができる。
固形分中の水溶性高分子の含有率は43質量%以上であることが好ましく、44質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが特に好ましい。固形分中の水溶性高分子の含有率は43質量%以上であると、固形分中の水溶性高分子の含有率が43質量%未満である場合に比べて、虐待後のガスバリア性積層体の酸素ガスバリア性をより向上させることができる。
固形分中の水溶性高分子の含有率は100質量%未満であればよいが、85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。固形分中の水溶性高分子の含有率が85質量%以下であると、固形分中の水溶性高分子の含有率が85質量%を超える場合に比べて、レトルト処理後のガスバリア性積層体10における層間密着性をより向上させることができる。
ガスバリア性被覆層形成用組成物は、さらに硬化剤としてシランカップリング剤を含んでもよい。
シランカップリング剤は特に制限されるものではないが、下記一般式(2)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方であることが好ましい。
(RSi(OR・・・・・・(2)
上記一般式(2)中、Rは1価の有機官能基を表し、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。
この場合、ガスバリア性被覆層4と金属酸化物層3との密着性を向上させることが可能となり、ガスバリア性積層体10における層間剥離(デラミネーション)を抑制することができる。
なお、RとRは互いに同一でも異なってもよい。R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。
で示される1価の有機官能基としては、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。中でも、1価の有機官能基としては、イソシアネート基が好ましい。この場合、組成物が、硬化によって、より優れた熱水耐性を有することが可能となり、ガスバリア性積層体10に対してレトルト処理後でもより大きなラミネート強度を付与することが可能となる。
で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基などが挙げられる。中でも、メチル基が好ましい。この場合、加水分解が速く行われる。
nは1以上の整数を表す。nが1である場合、シランカップリング剤は単量体を表すのに対し、nが2以上である場合、シランカップリング剤は多量体を表す。nは3であることが好ましい。この場合、ガスバリア性被覆層4の熱水耐性をより向上させることができ、ガスバリア性積層体10に対してレトルト処理後でもより大きなラミネート強度を付与することが可能となる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を持つシランカップリング剤;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等のエポキシ基を持つシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基を持つシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を持つシランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアネート基を持つシランカップリング剤が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固形分中のシランカップリング剤の含有率は特に制限されないが、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは7質量%以上である。この場合、固形分中のシランカップリング剤の含有率が3質量%未満である場合に比べて、硬化により、ガスバリア性積層体10に対し、レトルト処理後でもより大きなラミネート強度を付与することができる。
固形分中のシランカップリング剤の含有率は、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、特に好ましくは12質量%以下である。この場合、固形分中のシランカップリング剤の含有率が20質量%を超える場合に比べて、シランカップリング剤がブリードアウトしにくくなり、表面を汚染することが抑制される。
なお、固形分中のシランカップリング剤の含有率は、例えばシランカップリング剤が上記一般式(2)で表される場合、シランカップリング剤の質量を、RSi(OH)の質量に換算して計算される。
(固形分中のその他の成分)
固形分は、ガスバリア性被覆層4のガスバリア性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
(固形分中の成分の合計含有率)
固形分中のケイ素アルコキシド又はその加水分解物、水溶性高分子及びシランカップリング剤の合計含有率は特に制限されるものではないが、通常は95質量%以上であり、好ましくは97質量%以上であり、100質量%であってもよい。
(液体)
上記固形分を溶解又は分散させる液体としては、通常、水性媒体が用いられる。水性媒体としては、水、親水性の有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。親水性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;セロソルブ類;カルビトール類;アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水性媒体としては、水のみからなる水性媒体、又は、水を主成分として含む水性媒体が好ましい。水性媒体が水を主成分として含む場合、水性媒体中の水の含有率は70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
ガスバリア性被覆層4の厚みは特に制限されるものではないが、50nm以上であることが好ましい。
この場合、ガスバリア性被覆層4の厚みが50nm未満である場合に比べて、ガスバリア性積層体10の酸素バリア性がより向上する。
ガスバリア性被覆層4の厚みは、ガスバリア性を向上させる観点から、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上であることが特に好ましい。
一方、ガスバリア性被覆層4の厚みは700nm以下であることが好ましい。ガスバリア性被覆層4の厚みが700nmを超える場合に比べて、ガスバリア性積層体10の柔軟性がより向上し、虐待後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることができる。また、レトルト処理後のガスバリア性積層体10の酸素バリア性をより向上させることもできる。
ガスバリア性被覆層4の厚みは、ガスバリア性積層体10の柔軟性をより向上させる観点からは、500nm以下であることがより好ましく、400nm以下であることが特に好ましい。
<ガスバリア性積層体の製造方法>
次に、ガスバリア性積層体10の製造方法について説明する。
まず基材層1を用意する。
次に、基材層1の一面上にアンカーコート層2を形成する。
具体的には、基材層1の一面上に、アンカーコート層2を形成するアンカーコート層形成用組成物を塗布し加熱して乾燥させることによってアンカーコート層2を形成する。このとき、加熱温度は、例えば、50~200℃であり、乾燥時間は、例えば、10秒~10分程度である。
次に、アンカーコート層2の上に金属酸化物層3を形成する。
金属酸化物層3は、例えば真空成膜法により形成することができる。真空成膜法としては、物理気相成長法及び化学気相成長法が挙げられる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタ蒸着法、イオンプレーティング法等を挙げることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法が特に好ましく用いられる。真空蒸着法としては、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法が挙げられる。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができる。
次に、金属酸化物層3上にガスバリア性被覆層4を形成する。
ガスバリア性被覆層4は、例えば、金属酸化物層3上にガスバリア性被覆層形成用組成物を塗布し、硬化させることによって形成できる。ここで、固形分が硬化するとは、固形分中のケイ素アルコキシド又はその加水分解物及び水溶性高分子、又は、ケイ素アルコキシド又はその加水分解物、水溶性高分子及びシランカップリング剤が互いに反応して一体化することをいう。
ガスバリア性被覆層形成用組成物の塗布方法としては、公知の方法を採用することができる。塗布方法としては、具体的には、グラビアコート法、ディップコート法、リバースコート法、ワイヤーバーコート法、ダイコート法等のウェット成膜法が挙げられる。
硬化は、例えば加熱などによって行うことができる。
硬化を加熱によって行う場合、加熱温度及び加熱時間は、ガスバリア性被覆層形成用組成物中の固形分の硬化と水性媒体等の液体の除去を同時に行うことができるように設定すればよい。加熱温度は、例えば80~250℃とすればよく、加熱時間は、例えば3秒~10分とすればよい。
以上のようにしてガスバリア性積層体10が得られる。
<包装フィルム>
次に、本開示の包装フィルムの実施形態について図2を参照しながら説明する。なお、図2において、図1と同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図2は、本開示の包装フィルムの一実施形態を示す断面図である。図2に示すように、包装フィルム20は、ガスバリア性積層体10と、ガスバリア性積層体10に積層されるシーラント層21とを備えており、シーラント層21は、ガスバリア性積層体10の基材層1のガスバリア性被覆層4側に配置されている。図2に示すように、ガスバリア性積層体10において、ガスバリア性被覆層4とシーラント層21とが接着剤層22によって接着されていてもよい。
この包装フィルム20は、上記ガスバリア性積層体10を備えるため、虐待後における酸素バリア性を向上させることができる。
接着剤層22の材料としては、例えば、ポリエステル-イソシアネート系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル系樹脂などを用いることができる。包装フィルム20をレトルト用途に使用するには、レトルト処理耐性のある2液硬化型のウレタン系接着剤を好ましく用いることができる。
(シーラント層)
シーラント層21の材質としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられるが、ポリオレフィン樹脂が一般的に使用される。具体的に、ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物等を使用することができる。シーラント層21の材質は、上述した熱可塑性樹脂の中から、使用用途やボイル処理、レトルト処理などの温度条件によって適宜選択できる。
シーラント層21を構成する熱可塑性樹脂は、延伸されていても延伸されていなくてもよいが、融点を低下させ、ヒートシールを容易にする観点からは、延伸されていない方が好ましい。
シーラント層21の厚みは、内容物の質量や、包装袋の形状などにより適宜定められ、特に限定されるものではないが、包装フィルム20の柔軟性及び接着性の観点から、30~150μmであることが好ましい。
<包装製品>
次に、本開示の包装製品の実施形態について図3を参照しながら説明する。なお、図3は、本開示の包装製品の一実施形態を示す側面図である。図3において、図1又は図2と同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図3に示すように、包装製品40は、包装容器30と、包装容器30内に充填された内容物Cとを備えている。図3に示す包装容器30は、一対の包装フィルム20を用い、シーラント層21同士を対向させた状態で包装フィルム20の周縁部をヒートシールすることによって得られたものである。なお、図3において、包装フィルム20の接着剤層22は省略して示してある。
この包装製品40は、包装容器30を備えており、包装容器30は虐待後における酸素バリア性を向上させることができるため、酸素の混入による内容物Cの品質の低下を長期間にわたって抑制することができる。
なお、包装容器30は、1つの包装フィルム20を折り曲げ、シーラント層21同士を対向させた状態で包装フィルム20の周縁部をヒートシールすることによっても得ることができる。
包装容器30としては、包装袋、ラミネートチューブ容器、液体紙容器などが挙げられる。
内容物Cは、特に限定されるものではなく、内容物Cとしては、食品、液体、医薬品、電子部品などが挙げられる。
本開示は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、包装フィルム20において、シーラント層21が、ガスバリア性積層体10の基材層1のガスバリア性被覆層4側に配置されているが、シーラント層21は、基材層1のガスバリア性被覆層4と反対側に配置されていてもよい。
以下、実施例を挙げて本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
<コート液の調製>
実施例又は比較例で用いられるガスバリア性被覆層形成用組成物としてのコート液1~8を以下のようにして調製した。
(コート液1)
ケイ素アルコキシドとしてのテトラエトキシシラン(商品名:KBE04、固形分:100%、信越化学工業株式会社製、以下「TEOS」ともいう)とメタノール(関東化学)と0.1N 塩酸(関東化学株式会社製)とを、質量比が45/15/40となるように混合し、加水分解した溶液(TEOSの加水分解溶液)と、ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール60-98、株式会社クラレ製、以下「PVA」ともいう)の5質量%水溶液とを混合し、コート液1を得た。コート液1は、固形分を100とした場合に、TEOS(SiO換算値)とPVAの質量比率が40/60になるように調製した。
(コート液2)
TEOSの加水分解溶液と、PVAの5質量%水溶液と、シランカップリング剤(SC剤)としての1,3,5-トリス(3-メトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを、水/IPA=1/1の質量比の混合溶液で、固形分の割合が5%(質量比、RSi(OH)換算)となるように希釈、調整してなる溶液とを混合し、コート液2を得た。コート液2は、固形分を100とした場合に、TEOS(SiO換算値)と、イソシアヌレートシラン(RSi(OH)換算値)と、PVAの質量比率が40/5/55になるように調製した。
(コート液3~8)
固形分を100とした場合に、TEOS(SiO換算値)とイソシアヌレートシラン(RSi(OH)換算値)とPVAの質量比率を表1又は表2に示すとおりにしたこと以外はコート液2と同様にしてコート液3~8を調製した。
<アンカーコート層形成用組成物の調製>
アンカーコート層形成用組成物は以下のようにして調製した。
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することでアンカーコート層形成用組成物(アンカーコート剤)を調製した。
<ガスバリア性積層体の作製>
(実施例1)
ガスバリア性積層体をロールtoロール方式で以下のように作製した。まず、厚み12μmの基材層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「P60」、東レ株式会社製)を、巻き出し装置、搬送装置、及び巻き取り装置に装着した。
次に、基材層を繰り出し、搬送中の基材層上に、膜厚が12nmとなるようにAlO膜(金属酸化物層)を形成した。このとき、AlO膜の形成は、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置を用いて、アルミニウムインゴットを電子ビーム加熱によって蒸発させながら、圧力が1.2×10-2Paとなるよう酸素を導入することによって行った。
このAlO膜上にコート液1を塗工し、加熱乾燥させて、表1に示すように350nmの厚みを有するガスバリア性被覆層を形成した。このとき、加熱は、コート液1中の固形分を構成するTEOSとPVAとが硬化して硬化体を形成しつつ、コート液1中の液体を除去するように行った。このとき、具体的に、加熱温度は90℃とした。
以上のようにして、基材層、金属酸化物層、及びガスバリア性被覆層がこの順で積層されたガスバリア性積層体を得た。
こうして得られたガスバリア性積層体について、以下のようにしてXPSによるケイ素原子に対する炭素原子の比(Si/C)を求めた。
すなわち、XPSによるSi/Cは、以下の測定機器を使用し、以下の測定条件でナロー分析を行うことによりスペクトルを取得し、このスペクトルからSiとCの比(モル比)を算出することにより求めた。結果を表1に示す。
<測定機器>
日本電子株式会社製、JPS-9030型光電子分光装置
<測定条件>
(スペクトル採取条件)
入射X線:MgKα(単色化X線、hν=1253.6eV)
X線出力:10W(10kV・10mA)
X線走査面積(測定領域):直径6mmの円形領域
光電子取込角度:90°
(実施例2)
ガスバリア性積層体をロールtoロール方式で以下のように作製した。まず、厚み12μmの基材層としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「P60」、東レ株式会社製)を、巻き出し装置、搬送装置、及び巻き取り装置に装着した。
次に、搬送中の基材層の一面上に、上記のようにして調製したアンカーコート層形成用組成物をグラビアコート法により塗布して塗膜を形成した。そして、塗膜を120℃で10秒間加熱し、乾燥させることにより、厚み25nmのアンカーコート層を形成し、積層体を得た。こうして得られた積層体を巻き取り装置で巻き取り、ロール状積層体を得た。
次に、ロール状積層体を巻き出し装置、搬送装置、及び巻き取り装置に装着した。そして、ロール状積層体から積層体を繰り出し、搬送中の積層体のアンカーコート層上に、厚みが12nmとなるようにAlO膜(金属酸化物層)を形成した。このとき、AlO膜の形成は、電子ビーム加熱方式の真空蒸着装置を用いて、アルミニウムインゴットを電子ビーム加熱によって蒸発させながら、圧力が1.2×10-2Paとなるよう酸素を導入することによって行った。
このAlO膜上にコート液2を塗工し、加熱乾燥させて、表1に示すように350nmの厚みを有するガスバリア性被覆層を形成した。このとき、加熱は、コート液2中の固形分を構成するTEOSとPVAとイソシアヌレートシランとが硬化して硬化体を形成しつつ、コート液2中の液体を除去するように行った。このとき、具体的に、加熱温度は、90℃とした。
以上のようにして、基材層、アンカーコート層、金属酸化物層、及びガスバリア性被覆層がこの順で積層されたガスバリア性積層体を得た。
こうして得られたガスバリア性積層体について、実施例1と同様にしてXPSによるSi/Cを求めた。結果を表1に示す。
(実施例3~27及び比較例1~5)
基材層、アンカーコート層、金属酸化物層及びガスバリア性被覆層の構成を、表1又は表2に示すとおりにしたこと以外は実施例2と同様にしてガスバリア性積層体を作製した。なお、金属酸化物層をSiOxで構成する場合には、電子ビーム加熱によって蒸発させるアルミニウムインゴットの代わりに、SiO蒸着材料としての二酸化珪素を用いた。また、表1又は表2において、基材層に用いられる「OPP」は、厚み25μmのポリプロピレン樹脂フィルム(商品名「U-1」、二軸延伸フィルム、三井化学東セロ株式会社製)を示している。
こうして得られたガスバリア性積層体について、実施例1と同様にしてXPSによるSi/Cを求めた。結果を表1又は表2に示す。
<ガスバリア性積層体の評価>
実施例1~27及び比較例1~5で得られたガスバリア性積層体について、以下のようにしてXPSによる虐待後の酸素バリア性、及び、レトルト処理後の酸素バリア性を評価した。
(1)ラミネートフィルムの作製
まず、上記の評価を行うために、以下のようにしてラミネートフィルムを作製した。
すなわち、実施例1~27及び比較例1~5で得られたガスバリア性積層体の基材層の表面上に、2液型の接着剤(商品名「タケラックA-525/タケネートA-52」、三井化学株式会社製)を用いて、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、商品名「トレファン ZK207」、東レフィルム加工株式会社製)を貼り付けることによって表面の幅が210mmであるラミネートフィルムを作製した。
(2)酸素透過度の測定
酸素透過度測定装置(製品名「OX-TRAN2/20」、MOCON社製)を用い、上記ラミネートフィルムについて、温度30℃、相対湿度70%の条件で酸素透過度(単位:cc/m・day・atm)を初期の酸素透過度として測定した。このとき、測定は、JIS K-7126-2に準拠して行った。結果を表1及び表2に示す。
(3)虐待後の酸素バリア性
上記ラミネートフィルムに対して、以下のようにして屈曲試験(ゲルボフレックス試験)及び延伸試験を行うことにより虐待を行い、虐待後の酸素透過度を、上述した初期の酸素透過度の測定と同様にして測定した。結果を表1及び表2に示す。
(屈曲試験)
屈曲試験は以下のようにして行った。
上記ラミネートフィルムから縦297mm×横210mmの試験サンプルAを切り出し、この試験サンプルAを、ゲルボフレックステスター(テスター産業社製)の固定ヘッドに、直径87.5mm×210mmの円筒状になるように取り付け、円筒体を作製した。そして、円筒体の両端を保持し、初期把持間隔を175mm、ストロークを87.5mmに設定して440度のひねりを加える動作を繰り返し行う往復運動を、速度40回/分で10回行い、円筒体を屈曲させた。
(延伸試験)
延伸試験は以下のようにして行った。
上記ラミネートフィルムから、縦200mm×横150mmの試験サンプルBを切り出し、東洋ボールドウィン社製のテンシロンを用いて、速度100μm/秒で縦方向に5%延伸し、その状態を1分間保持した後、同様の速度で試験サンプルBを元の位置に戻した。
なお、虐待後の酸素バリア性の合否基準は以下のとおりとした。
(合否基準)
合格・・・・屈曲後の酸素透過度が15cc/m・day・atm以下であり且つ
延伸後の酸素透過度が2cc/m・day・atm以下である
不合格・・・屈曲後の酸素透過度が15cc/m・day・atmより大きい、
延伸後の酸素透過度が2cc/m・day・atmより大きい又は
その両方を満たす
(4)レトルト処理後の酸素バリア性
(試験サンプルの作製)
レトルト処理後の酸素バリア性の評価を行うために、以下のようにして試験サンプルCを作製した。
まず、上記のようにして作製したラミネートフィルムを用いて、開口を有する三方パウチを作製した。このとき、三方パウチは、ラミネートフィルムを、未延伸ポリプロピレンフィルム同士が対向するように折り曲げ、未延伸ポリプロピレンフィルム同士を熱融着させることによって形成した。そして、開口から水道水(市水)を注入して三方パウチの開口を封止することにより、封止体を用意し、この封止体を試験サンプルCとした。
(レトルト処理)
上記のようにして得られた試験サンプルCについて、121℃で30分間の加熱処理(レトルト処理)を行った。そして、レトルト処理後の酸素透過度を、上述した初期の酸素透過度の測定と同様にして測定した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023050299000002

Figure 2023050299000003

表1及び2に示すように、実施例1~27のガスバリア性積層体は、比較例1~5のガスバリア性積層体に比べて、虐待後における酸素透過度が十分低い値を示していた。
以上のことから、本開示のガスバリア性積層体は、虐待後における酸素バリア性を向上させることができることが確認された。
1…基材層、3…金属酸化物層、4…ガスバリア性被覆層、10…ガスバリア性積層体、20…包装フィルム、21…シーラント層、30…包装容器、40…包装製品。

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂を含む基材層と、金属酸化物層と、ガスバリア性被覆層と、をこの順に備え、
    前記ガスバリア性被覆層の表面において、X線光電子分光法により測定されるケイ素原子と炭素原子の比(Si/C)が0より大きく0.50未満である、ガスバリア性積層体。
  2. 前記基材層と前記金属酸化物層との間にアンカーコート層をさらに備える、請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記ガスバリア性被覆層が、
    下記一般式(1)で表されるケイ素アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方と、水溶性高分子と、を含む組成物の硬化体からなり、
    前記組成物において、前記ケイ素アルコキシドをSiOに換算した場合、固形分中の前記水溶性高分子の含有率が40質量%以上である、請求項1又は2に記載のガスバリア性積層体。
    Si(OR)・・・・・・(1)
    (前記一般式(1)中、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。)
  4. 前記組成物において、前記ケイ素アルコキシドをSiOに換算した場合、固形分中の前記水溶性高分子の含有率が43質量%より大きく85質量%以下である、請求項3に記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記ガスバリア性被覆層が、シランカップリング剤をさらに含み、
    前記シランカップリング剤が、下記一般式(2)で表されるケイ素化合物及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも一方を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
    (RSi(OR・・・・・・(2)
    (前記一般式(2)中、Rは1価の有機官能基を表し、Rは、アルキル基、又は、-COCHを表す。nは1以上の整数を表す。)
  6. 前記金属酸化物層の厚みが5nm以上80nm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  7. 前記ガスバリア性被覆層の厚みが50nm以上700nm以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  8. 前記アンカーコート層の厚みが30nm以上300nm以下である、請求項2に記載のガスバリア性積層体。
  9. 前記基材層の厚みが40μm以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のガスバリア性積層体と、シーラント層とを備える包装フィルム。
  11. 請求項10に記載の包装フィルムを備える包装容器。
  12. 請求項11に記載の包装容器と、前記包装容器内に充填される内容物とを備える包装製品。
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