JP2016150492A - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐屈曲性とバリア性が要求される包装材料に用いることができるガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】フィルム基材の一方の面に、密着層とガスバリア層が順次積層されてなるガスバリアフィルムであって、前記密着層は、アクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなる透明な層で、前記ガスバリア層は、金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物を含む組成物からなる層で、且つ、800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの最大吸収波数(n1)が、1080〜1130cm−1の範囲にあることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医薬品、精密電子部品等の包装分野に用いられるガスバリアフィルムであり、特に真空包装等の耐屈曲性とガスバリア性が要求される包装材料に関するものである。
従来、上記用途の耐屈曲性を有するバリアフィルムとして、アルミニウム等の金属原子とリン原子とを構成成分として含む被膜が知られている。例えば、アルミニウムを主成分とする金属オルトリン酸塩からなる組成物を有機重合体成形品に塗布することによって、ガス透過防止被膜を形成する方法が開示されている(特許文献1)。
また、アルミニウム塩およびリン酸エステルを含む組成物を、金属、金属合金、プラスチック等の基材にコーティングしてガスバリア層を形成する方法が開示されている(特許文献2)。
さらに、上記発明の課題であったガスバリア性、特にレトルト処理などの熱水処理への耐性を解決するために、基材上にアルミニウム等の金属酸化物とリン化合物を反応させた皮膜層を形成させたバリアフィルムが発明されている(特許文献3)。
特開昭55−46969号公報 特許第5117857号公報 特許第4961045号公報
しかしながら、上記のようなコーティング層は金属酸化物を含むために割れやすく、例えば飲料の紙容器などのように折れ線があるものや、凹凸のある内容物を入れて真空包装する容器に使用する場合には、コーティング層に割れが生じてバリア性が低下し、保存性が悪くなるという問題があった。
そこで、本発明の目的は上記のような包装材料に使用する場合にもバリア性の低下が起きないような、耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の請求項1に係る発明は、フィルム基材の一方の面に、密着層とガスバリア層が順次積層されてなるガスバリアフィルムであって、
前記密着層は、アクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなる透明な層で、
前記ガスバリア層は、金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物を含む組成物からなる層で、且つ、800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの最大吸収波数(n1)が、1080〜1130cm−1の範囲にあることを特徴とするガスバリアフィルムである。
また、請求項2に係る発明は、前記金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)がアルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルムである。
また、請求項3に係る発明は、前記密着層に含まれるイソシアネート化合物が、キシレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとの混合物からなることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルムである。
本発明によれば、フィルム基材の一方の面に、アクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなる密着層を形成することで、その上に形成される金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物からなるガスバリア層との密着性を向上することができる。
また、前記ガスバリア層が金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物を含む組成物からなることで、金属酸化物(A)の粒子同士がリン原子を介して結合されることで、金属酸化物(A)の粒子同士が直接結合することよりも優れた屈曲性を呈することができる。
またさらに、発明者等の鋭意研究の結果、ガスバリア層の800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの最大吸収波数(n1)が、1080〜1130cm−1の範囲にあることにより、優れたガスバリア性を発現する結果が得られた。
上記で説明したように、本発明によれば、食品、医薬品、精密電子部品等の包装分野に用いられる、特に真空包装等の屈曲によるバリア性が低下することのない耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明のガスバリアフィルムは、フィルム基材の一方の面にアクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなる密着層と、金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物を含む組成物からなるガスバリア層とを順次積層してなることを特徴としている。
フィルム基材としては、例えば、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系フィルム(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、アクリル系フィルム、セルロース系フィルム(トリアセチルセルロース又はジアセチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水酸基含有ポリマーなどの樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムが挙げられる。特に限定されないが、透明で熱収縮率が低いフィルム基材が好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよいし無延伸フィルムであってもよい。得られる複合構造体の加工適性(印刷やラミネートなど)が優れることから、延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムは、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、およびチューブラ延伸法のいずれかの方法で製造された二軸延伸フィルムであってもよい。
フィルム基材の厚さはとくに制限を受けるものではなく、単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。密着層、複合皮膜層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜100μmと
することが好ましい。
本発明に係る密着層はアクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなり、フィルム基材とガスバリア層との間に介在して、それぞれとの密着性を向上させると同時に、均一な層を形成することで優れたガスバリア性を付与することができる。
アクリルポリオールとしては、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基を有し、下記のイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応するものであれば特に限定するものではない。
イソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用いられ、これらが単独かまたは混合物等として用いられる。中でもキシレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとは、反応前の組成物中での安定性と反応後の密着性に優れ好ましい。
また、シランカップリング剤としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤あるいはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
上記で説明した密着層を形成するための組成物(コーティング液)の塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。
本発明に係るガスバリア層は金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物からなり、金属酸化物(A)はガスバリア性に優れ、またリン化合化合物(B)はガスバリア層の耐屈曲性に優れた作用効果を及ぼす。
金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)としては、原子価が2価以上(たとえば、2〜4価や3〜4価)の金属原子を挙げることができ、具体的には、例えば、マグネシウム、カルシウム等の周期表第2族の金属;亜鉛等の周期表第12族の金属;アルミニウム等の周期表第13族の金属;ケイ素等の周期表第14族の金属;チタン、ジルコニウム等の遷移金属などを挙げることができる。なおケイ素は半金属に分類される場合があるが、本発明ではケイ素を金属に含めるものとする。金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。これらの中でも、金属酸化物(A)を製造するための取り扱いの容易さや得られる複合構造体のバリア性がより優れることから、金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)は、アルミニウム、チタンおよびジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウムであることが特に好ましい。
金属酸化物(A)は、加水分解可能な特性基が金属原子(M)に結合した化合物(L)を原料として用いてこれを加水分解縮合させることで、化合物(L)の加水分解縮合物と
して金属酸化物(A)を合成することができる。
加水分解縮合させる方法としては、液相合成法、気相合成法、固体粉砕法などの方法を使用することができるが、得られる金属酸化物(A)の形状や大きさの制御性や製造効率などを考慮すると、液相合成法、具体的にはゾルゲル法を使用することができる。
合成された金属酸化物(A)は、通常金属酸化物(A)の粒子の形態である。金属酸化物(A)の各粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、扁平状、多面体状、繊維状、針状などの形状を挙げることができ、繊維状または針状の形状であることがバリア性および耐熱水性により優れる複合皮膜となることから好ましい。また、単一の形状の粒子のみでもよいし、2種以上の異なる形状を有する粒子でもよい。
金属酸化物(A)の粒子の大きさも特に限定されず、ナノメートルサイズからサブミクロンサイズのものを例示することができるが、バリア性と透明性により優れる複合皮膜層となることから、平均粒径として1〜100nmの範囲にあることが好ましい。
ガスバリア層を形成する他方のリン化合物(B)は、金属酸化物(A)と反応可能な部位を含有し、典型的には、そのような部位を複数含有する。好ましい一例では、リン化合物(B)は、そのような部位(原子団または官能基)を2〜20個含有する。そのような部位の例には、金属酸化物(A)の表面に存在する官能基(たとえば水酸基)と反応可能な部位が含まれる。たとえば、そのような部位の例には、リン原子に直接結合したハロゲン原子や、リン原子に直接結合した酸素原子が含まれる。
リン化合物(B)としては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体が挙げられる。ポリリン酸の具体例としては、ピロリン酸、三リン酸、4つ以上のリン酸が縮合したポリリン酸などが挙げられる。上記の誘導体の例としては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸の、塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物(塩化物等)、脱水物(五酸化ニリン等)などが挙げられる。また、ホスホン酸の誘導体の例には、ホスホン酸(H−P(=O)(OH))のリン原子に直接結合した水素原子が種々の官能基を有していてもよいアルキル基に置換されている化合物(例えば、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)等)や、その塩、(部分)エステル化合物、ハロゲン化物および脱水物も含まれる。さらに、リン酸化デンプンなど、リン原子を有する有機高分子も、前記リン化合物(B)として使用することができる。これらのリン化合物(B)は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらのリン化合物(B)の中でも、コーティング液の安定性と得られる複合皮膜層のバリア性がより優れることから、リン酸を単独で使用するか、またはリン酸とそれ以外のリン化合物とを併用することが好ましい。
本発明のガスバリア層は、上記で説明した金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物からなることを特徴としている。具体的には、金属酸化物(A)の粒子同士が、リン化合物(B)に由来するリン原子を介して結合された特定の構造を有する。このような反応生成物や構造は金属酸化物(A)とリン化合物(B)とを混合し反応させることにより形成することができる。リン化合物(B)との混合に供される(混合される直前の)金属酸化物(A)は、金属酸化物(A)そのものであってもよいし、金属酸化物(A)を含む組成物の形態であってもよい。
より好ましい一例では、金属酸化物(A)を溶媒に溶解または分散することによって得られた液体(溶液または分散液)の形態で、金属酸化物(A)がリン化合物(B)と混合される。具体的には、金属酸化物(A)の表面に存在する官能基(たとえば水酸基)と、リン化合物の金属酸化物との反応が可能な部位(例えばリン原子に直接結合したハロゲン
原子や酸素原子)とが、縮合反応(加水分解縮合反応)を起こし、リン原子を介して結合することができる。
具体的なガスバリア層の形成方法としては、例えば、金属酸化物とリン化合物を含む組成物(コーティング液)を、フィルム基材に形成された密着層の上に塗布し、その後、熱処理することにより、金属酸化物の粒子同士が、リン化合物に由来するリン化合物を介して結合される反応を進行させることで得られる。
熱処理の温度の下限は、110℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることがさらに好ましい。熱処理温度が低いと、充分な反応度を得るのにかかる時間が長くなり、生産性が低下する原因となる。熱処理の温度の好ましい上限は、基材の種類などによって異なるが、220℃以下であり、190℃以下であることが好ましい。熱処理は、空気中、窒素雰囲気下、またはアルゴン雰囲気下などで実施することができる。
熱処理の時間は、0.1秒〜1時間の範囲にあることが好ましく、1秒〜15分の範囲にあることがより好ましく、5〜300秒の範囲にあることがさらに好ましい。
ガスバリア層を形成するための組成物(コーティング液)には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、でんぷん等の多糖類、多糖類から誘導される多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸/メタクリル酸)およびそれらの塩、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体のけん化物などが含まれてもよい。
上記で説明した組成物(コーティング液)によって形成されたガスバリア層は、800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの、赤外線吸収が最大となる波数が1080〜1130cm−1の範囲にあることが好ましく、この時、優れたバリア性と耐熱水性が発現されることを見出した。
また、ガスバリア層の厚さは薄くすることによって、印刷、ラミネート等の加工時におけるバリアフィルムの寸法変化を低く抑えることができ、さらにバリアフィルムの柔軟性が増し、その力学的特性を基材自体の力学的特性に近づけることができる。このような理由から、その膜厚は0.1〜4.0μmが好ましい。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET:東レ製、ルミラーP60、厚さ12μm、片側コロナ処理)のコロナ処理面にアクリルポリオールとイソシアネート化合物としてキシレンジイソシアネート(以下XDIと略)とイソホロンジイソシアネート(以下IPDIと略)の7対3混合物をアクリルポリオールの水酸基に対しこのイソシアネート化合物混合物のイソシアネート基が等量となるように加え、全固形分が3w%になるよう酢酸エチルで希釈し、さらにこれにβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを全固形分に対し5w%添加して混合し、密着層形成用の組成物(コーティング溶液)を得た。このコーティング溶液をバーコータ(#3)にて0.1μm厚みに塗工し、120℃のオーブンにて1分間乾燥させて密着層を形成した。
次に、蒸留水230質量部を撹拌しながら70℃に昇温した。その蒸留水に、アルミニウムイソプロポキシド88質量部を1時間かけて滴下し、液温を徐々に95℃まで上昇させ、発生するイソプロパノールを留出させることによって加水分解縮合を行った。次いで、60質量%の硝酸水溶液4.0質量部を添加し、95℃で3時間撹拌することによって加水分解縮合物の粒子の凝集体を解膠させた。その後、固形分濃度がアルミナ換算で10質量%になるように濃縮して分散液を調整した。
また、85質量%のリン酸水溶液1.76質量部に対して、蒸留水42.85質量部、メタノール19.00質量部およびトリフルオロ酢酸1.39質量部を加え、均一になるように攪拌して溶液を調整した。続いて、この溶液に攪拌しながら、前記分散液を35.00質量部滴下し、滴下完了後からさらに30分間攪拌してガスバリア層形成用の組成物(コーティング液)を調整した。
次に、フィルム基材であるPET基材の密着層上に、バーコータ(#5)を用いて、乾燥後の厚さが0.5μmとなるように上記コーティング液を塗布し、100℃で5分間乾燥し、その後、さらに180℃で1分間の熱処理を施してガスバリア層を形成してガスバリアフィルムを作製した。
<実施例2>
85質量%のリン酸水溶液3.53質量部に対して、蒸留水56.08質量部、メタノール19.00質量部およびトリフルオロ酢酸1.39質量部を加え、均一になるように撹拌して溶液を調整し、さらに攪拌しながら前記分散液を20.00質量部を滴下し、滴下完了後からさらに30分間攪拌してガスアリア層形成用の組成物(コーティング液)を調整した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<実施例3>
実施例2で得られたガスアリア層形成用の組成物(コーティング液)を用い、熱処理の温度および時間を180℃で1分間から200℃で1分間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<実施例4>
全固形分が7w%になるように酢酸エチルで希釈した密着層形成用の組成物(コーティング溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<比較例1>
密着層を形成せずに、PET基材のコロナ面に、直接、ガスバリア層を形成した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<比較例2>
蒸留水29.61質量部、メタノール19.00質量部およびトリフルオロ酢酸1.39質量部を加え、均一になるように撹拌して溶液を調整し、さらにその溶液を攪拌しながら、前記分散液を50.00質量部滴下してガスアリア層形成用の組成物(コーティング液)を調整した以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<比較例3>
全固形分が1w%になるように酢酸エチルで希釈した密着層形成用の組成物(コーティング溶液)を用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを作製した。
<評価及び方法>
実施例1〜4、比較例1〜3で得られたそれぞれのガスバリアフィルムに対して、ガスバリア層面と未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP:東レフィルム加工社製 CPP、トレファンNO ZK207、厚さ70μm)とを、乾燥後の塗布量が3g/mがとなるように2液型の接着剤(三井化学社製 A525/A52)を介して、ドライラミネート法により積層してラミネートフィルムを作製した。それぞれのガスバリアフィルム単体とそのラミネーフィルムについて、以下の方法で赤外線吸収スペクトル測定及び虐待性試験(耐屈曲性)前後の酸素透過度及び水蒸気透過度の測定を行い評価した。
(1)赤外線吸収スペクトル測定
各ガスバリアフィルムに対して、フーリエ変換赤外分光光度計(Perkin Elmer社製、「Spectrum One」)を用いて、ATR(全反射測定)のモードで、700〜4000cm−1の範囲で測定した。なお、ガスバリア層の厚さが1μm以下である場合には、ATR法による赤外線吸収スペクトルではフィルム基材(PET)由来の吸収ピークが検出され、ガスバリア層のみに由来する吸収強度を正確に求めることができない場合があるので、その場合にはフィルム基材のみの赤外線吸収スペクトルを別途測定し、それを差し引くことでガスバリア層由来のピークのみを抽出した。
このようにして得られたガスバリア層の赤外線吸収スペクトルに基づいて、800〜1400cm−1の範囲における最大吸収波数(n1)、および、最大吸収波数(n1)における吸光度(A1)を求めた。また、2500〜4000cm−1の範囲における水酸基の伸縮振動に基づく最大吸収波数(n2)、および、最大吸収波数(n2)における吸光度(A2)を求めた。また、最大吸収波数(n1)の吸収ピークの半値幅は、当該吸収ピークにおいて吸光度(A1)の半分の吸光度(吸光度(A1)/2)を有する2点の波数を求め、それらの波数の差を算出することによって得た。また、最大吸収波数(n1)の吸収ピークが、他の成分に由来する吸収ピークと重なっている場合には、ガウス関数を用いて最小二乗法により、それぞれの成分に由来する吸収ピークに分離した後に、上記した場合と同様に最大吸収波数(n1)の吸収ピークの半値幅を得た。なお、ピークの半値幅、および(吸光度(A2))/(吸光度(A1))の値は、800〜1400cm−1の範囲における最大吸収波数(n1)が1080〜1130cm−1の範囲に位置する場合にのみ算出した。結果は以下の表1に示す。
(2)虐待性試験
各ラミネートフィルムをそれぞれ10cm×10cmの大きさで切り出した。切り出したフィルム片2枚を、CPP層を内側にして重ね合わせ、インパルスシーラー(富士インパルス社製:Fi−300)を用いて3辺をヒートシールすることにより10cm×10cmのパウチを作製した。このパウチ中にスライス状のジャガイモ(平均直径50mm、平均厚み5mm)を充填し、卓上・脱気シーラー(富士インパルス社製:V−301)を用いて脱気包装を行った。
次に、前記ジャガイモを包んだパウチを、貯湯式レトルト装置を用いて0.2MPa、120℃で30分間レトルト処理を行ない、レトルト前後のラミネートフィルムについて、酸素透過度と水蒸気透過度を下記に示す手順で測定した。なお、脱気包装による内容物の凹凸形状及びレトルト処理によるフィルムの熱収縮による影響を耐屈曲性の代用特性とした。結果は以下の表2に示す。
[酸素透過度の測定方法]
酸素透過度は、酸素透過度測定装置(MOCON社製 OXTRAN 2/20)を用いて、温度30℃、相対湿度70%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7126、B法(等圧法)、およびASTM D3985−81に準拠し、測定値は単位[cc/m・day・MPa]で表記した。
[水蒸気透過度の測定方法]
水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製 PERMATRAN W3/31)を用いて温度40℃、相対湿度90%の条件で測定した。測定方法は、JIS K−7129、ASTM F1249−90に準拠し、測定値は単位[g/m・day]で表記した。
Figure 2016150492
Figure 2016150492
<比較結果>
実施例1〜4で得られた本発明品のガスバリアフィルムは、虐待性試験後の酸素透過度及び水蒸気透過度の低下が僅かであった。一方、比較例1〜3で得られたガスバリアフィルムは虐待性試験後の酸素透過度及び水蒸気透過度は大きく低下した。これにより、本発明のガスバリアフィルムは屈曲性に対応できる包装材料として優れたガスバリア性を有することが確認された。
本発明のガスバリアフィルムは、フィルムに対して引っ張りや屈曲などの外力が加わった場合においても、バリア性の低下が少なく、初期の高いバリア性を維持することができる。そのため、凹凸のある内容物を入れて真空包装するような形態の容器にでも使用することが可能である。

Claims (3)

  1. フィルム基材の一方の面に、密着層とガスバリア層が順次積層されてなるガスバリアフィルムであって、
    前記密着層は、アクリルポリオール、イソシアネート化合物およびシランカップリング剤を含む組成物からなる透明な層で、
    前記ガスバリア層は、金属酸化物(A)とリン化合物(B)との反応生成物を含む組成物からなる層で、且つ、800〜1400cm−1の範囲における赤外線吸収スペクトルの最大吸収波数(n1)が、1080〜1130cm−1の範囲にあることを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記金属酸化物(A)を構成する金属原子(M)がアルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記密着層に含まれるイソシアネート化合物が、キシレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとの混合物からなることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
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