JP2019171728A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する積層体を提供する。【解決手段】基材の少なくとも片側に、金属化合物[A]を含む層[X]を有する積層体であって、前記金属化合物[A]はOH基を有し、前記層[X]の赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において極大値を2つ以上有する、積層体。【選択図】なし
Description
本発明は、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する積層体に関する。
ケイ素、アルミニウム、チタン等の金属原子を含む材料とその他の材料とが反応してなる反応生成物の塗布膜は、従来から知られている。例えば特許文献1では、媒質中にアルミニウムのイオン源とリンのイオン源とを別々に溶解した後に、これらの溶液を混合させることでアルミニウムを主成分とする金属のオルトリン酸塩の分散液または溶液を形成し、この分散液または溶液を塗布することによって形成されたガス透過防止被膜を有する有機重合体成形品が開示されている。
また、特許文献2では、基材上に無機酸化物蒸着層を設け、リン酸イオン含有溶液と金属イオン含有溶液を混合して得られるコーティング液を塗布することで、この無機酸化物蒸着層上にさらに金属リン酸塩被服層を設けたバリア性積層フィルムが開示されている。
また、特許文献3では、金属酸化物の微小な粒子とリン化合物とを混合することによって得られたコーティング液を塗布して、基材上にコーティング層を設けた複合構造体が開示されている。
また、特許文献4では、基材と前記基材に積層された層Yとを有する複合構造体であって、前記層(Y)は反応生成物(R)を含み、前記反応生成物Rは、金属酸化物と硫黄化合物とが反応してなる反応生成物を含んだ層を基材に積層した複合構造体が開示されている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の積層体は、例えば食品包装材料用途としては酸素バリア性や水蒸気バリア性が充分ではなかった。さらに、特許文献3及び特許文献4の積層体についても、酸素バリア性及び水蒸気バリア性が経時で低下しやすく、用途が大幅に制限されていた。たとえば、上記従来のコーティング層は、長期にわたり使用・保管されたりレトルト処理が行われたりする食品用包装材料への使用には制限があった。
そこで、本発明では、例えば従来の技術では使用に制限があった用途にも適用可能な、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する積層体を提供する。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)基材の少なくとも片側に、金属化合物[A]を含む層[X]を有する積層体であって、前記金属化合物[A]はOH基を有し、前記層[X]の赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において極大値を2つ以上有する、積層体。
(2)前記層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たす、(1)に記載の積層体。
(吸光度S1+吸光度S2)/吸光度T ≦0.2 ・・・式(1)
吸光度S1:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が最大となる波数ns1における吸光度
吸光度S2:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が2番目に大きい値となる波数ns2における吸光度
吸光度T:1,000〜1,150cm−1の範囲において赤外線吸収が極大となる波数ntにおける吸光度
(3)前記金属化合物[A]を構成する金属原子が周期表4〜14族の金属元素を少なくとも1つ含む、(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記金属化合物[A]がアルミニウムおよび/またはケイ素である、(3)に記載の積層体。
(1)基材の少なくとも片側に、金属化合物[A]を含む層[X]を有する積層体であって、前記金属化合物[A]はOH基を有し、前記層[X]の赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において極大値を2つ以上有する、積層体。
(2)前記層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たす、(1)に記載の積層体。
(吸光度S1+吸光度S2)/吸光度T ≦0.2 ・・・式(1)
吸光度S1:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が最大となる波数ns1における吸光度
吸光度S2:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が2番目に大きい値となる波数ns2における吸光度
吸光度T:1,000〜1,150cm−1の範囲において赤外線吸収が極大となる波数ntにおける吸光度
(3)前記金属化合物[A]を構成する金属原子が周期表4〜14族の金属元素を少なくとも1つ含む、(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記金属化合物[A]がアルミニウムおよび/またはケイ素である、(3)に記載の積層体。
本発明によれば、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を有する積層体を提供することができる。
以下、本発明の積層体について、さらに詳しく説明する。
本発明の積層体は、基材の少なくとも片側に、金属化合物[A]を含む層[X]を有する積層体であって、前記金属化合物[A]はOH基を有し、前記層[X]の赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において極大値を2つ以上有する積層体である。
[基材]
本発明にかかる基材は特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。中でも、無機化合物層との密着力やハンドリングの観点からポリエステルフィルムが好ましい。基材は、未延伸であっても、延伸(一軸又は二軸)されていてもよいが、熱寸法安定性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
本発明にかかる基材は特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。中でも、無機化合物層との密着力やハンドリングの観点からポリエステルフィルムが好ましい。基材は、未延伸であっても、延伸(一軸又は二軸)されていてもよいが、熱寸法安定性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
基材の厚みは特に制限はないが、1μm以上300μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。
基材の表面には、層[X]との密着性を向上させるため、必要に応じて、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、グロー放電処理等を施してもよい。
また基材上には無機層が形成されていてもよい。無機層は、酸素ガスや水蒸気に対するバリア性を有するものであることが好ましい。無機層は、アルミニウムなどの金属層のように遮光性を有するものや、透明性を有するものを適宜使用することができる。無機層が形成された積層体全体を、一つの多層構成の基材として用いることができる。透明性を有する無機層としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化錫、またはそれらの混合物等の無機酸化物から形成される層;窒化ケイ素、炭窒化ケイ素等の無機窒化物から形成される層、炭化ケイ素等の無機炭化物から形成される層などが挙げられる。これらの中でも、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、窒化ケイ素から形成される層が、酸素や水蒸気に対するバリア性が優れる観点から好ましい。
無機層の形成方法に特に制限はなく、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法等、公知の方法で形成できるが、生産性の観点から真空蒸着法が好ましい。
[層[X]]
本発明における層[X]は、金属化合物[A]を含み、前記金属化合物[A]はOH基を有し、赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において、極大値を2つ以上有する。
本発明における層[X]は、金属化合物[A]を含み、前記金属化合物[A]はOH基を有し、赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において、極大値を2つ以上有する。
ここで、2,500〜4,000cm−1の範囲は、金属原子(Mと記載することもある)とOH基とが結合したM−OHで表される結合に由来する赤外線吸収ピークが生じる範囲である。当該ピークはその結合の周囲の環境や構造などによって特定の波数に吸収ピークを示す。金属化合物[A]が当該範囲において極大値を2つ以上有することとは、前記OH基の周囲の状態が異なる2つ以上の状態であることを表す。極大値を2つ以上有することで、金属化合物[A]を構成する金属原子が、バインダー化合物[C]と結合形成可能なOH基を十分に有し、金属原子とバインダー化合物[C]との結合形成により緻密な膜が形成されて、バリア性が向上する。極大値を1つしか有しない場合、金属化合物[A]を構成する金属原子が、表面同士で結合を形成してしまったり、凝集してしまったりして、バインダー化合物[C]との間に結合を形成しづらいため、バリア性に乏しい疎な膜が形成される。
なお、本発明において極大値とは、波数を大きい方向へ変化させた場合に、赤外線吸収スペクトルが増加から減少に変わる点であって、かつ該点の元素の原子比率の値よりも、該点から波数を10cm−1増加または減少させたときの点の原子比率の値がいずれも3%以上減少する点のことをいう。
金属化合物[A]はOH基を含有する金属化合物であれば特に制限はなく、例えば金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物等が挙げられる。なお、後述するように、金属化合物[A]はOH基を含有する金属酸化物[B]とバインダー化合物[C]とが結合してなる反応物であることが好ましい
また、層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たすことが好ましい。
(吸光度S1+吸光度S2)/吸光度T ≦0.2 ・・・式(1)。
また、層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たすことが好ましい。
(吸光度S1+吸光度S2)/吸光度T ≦0.2 ・・・式(1)。
ここで、吸光度S1は赤外線吸収スペクトルの2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が最大となる波数ns1における吸光度を、吸光度S2は赤外線吸収スペクトルの2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が2番目に大きい値となる波数ns2における吸光度を、さらに、吸光度Tは赤外線吸収スペクトルの1,000〜1,150cm−1の範囲において赤外線吸収が極大となる波数ntにおける吸光度をそれぞれ表す。
吸光度S1と吸光度S2はいずれも金属原子MとOH基が結合したM−OHで表される結合に由来し、吸光度Tは金属原子Mとバインダー化合物[C]由来の原子(例えばリン原子P)とが酸素原子Oを介した(例えばM−O−Pで表される)結合に由来する。層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たすことで、金属化合物を構成する金属原子とバインダー化合物[C]との結合形成が十分となり、層[X]がバリア性の優れた緻密な膜となる。
また、本発明における金属化合物[A]を構成する金属原子は、周期表4〜14族の金属元素を少なくとも1つ含むことが好ましい。具体的には、例えば、亜鉛等の周期表第12族の金属、アルミニウム等の周期表第13族の金属、ケイ素等の周期表第14族の金属、チタン、ジルコニウム等の遷移金属などを挙げることができる。なおケイ素は半金属に分類される場合があるが、本発明においてはケイ素を金属に含めるものとする。金属化合物[A]を構成する金属原子は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。これらの中でも、取り扱いの容易さや得られる層[X]のバリア性がより優れることから、金属化合物[A]を構成する金属原子は、アルミニウムおよび/またはケイ素であることが好ましい。
また、本発明における金属化合物[A]は、OH基を含有する金属酸化物[B]とバインダー化合物[C]とが結合してなる反応物であることが好ましい。金属酸化物[B]はOH基を含有するアルミナおよび/またはOH基を含有するシリカであることが好ましい。さらに金属酸化物[C]は表面にOH基を含有する粒子状の形状であることが好ましく、粒子状の形状であれば溶液または分散液の状態で好適に用いられる。また、バインダー化合物[C]はリン原子またはケイ素原子を有することが好ましい。リン原子を有するバインダー化合物[C]としては、例えばリン酸化合物が好ましい。ケイ素原子を有するバインダー化合物[C]としては、例えばテトラエトキシシラン(以下、TEOS)などの金属アルコキシドの加水分解物が挙げられる。
金属化合物[A]の製法としては、OH基を含有する金属酸化物[B]にバインダー化合物[C]を添加させて混合することで反応させることが好ましい。取り扱いや反応の観点から、混合時の金属化合物[B]とバインダー化合物[C]は溶液または分散液の形状であることが好ましい。混合時において使用できる有機溶媒の種類に特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール等のアルコールが好適に用いられる。混合時は、局所的な反応を抑制するために添加速度を抑え、撹拌しながら混合することが好ましい。さらに、金属酸化物[B]同士の凝集を抑え、緻密な層[X]を形成する観点から、混合時におけるそれらの温度は20℃以下とすることが好ましい。
層[X]の形成法としては、金属化合物[A]の元となる金属酸化物[B]とバインダー化合物[C]の混合物である塗液を、基材上に塗布することが好ましい。塗液は、基材の少なくとも一方の面の上に直接塗布してもよい。塗液を塗布する前に、基材の表面を公知のアンカーコーティング剤で処理したり、基材の表面に公知の接着剤を塗布したりするなどして、基材の表面に接着層を形成しておいてもよい。
塗液を基材上に塗布する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。好ましい方法としては、例えば、キャスト法、ディッピング法、ロールコーティング法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キスコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法などが挙げられる。塗液を基材上に塗布した後、この塗膜に高温処理工程を施すことが好ましい。本高温処理工程は、塗液の溶媒を除去して乾燥することに加え、OH基を含有する金属酸化物[B]とリン原子を含有するバインダー化合物[C]との反応を促進させ、金属化合物[A]を含む緻密な層が形成される。高いバリア性を発現する観点から、本高温処理工程は、140℃〜250℃の範囲の温度であることが好ましく、170℃〜220℃の範囲であることがより好ましい。また本高温処理工程は30秒〜5分の範囲の時間であることが好ましい。
バリア性をより向上させるために、層[X]は、特定の重合体[D]をさらに含んでもよい。重合体[D]は、例えばOH基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基およびカルボキシル基の塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合体が挙げられる。層[X]において重合体[D]は、重合体[D]の有する官能基によって金属酸化物[B]の金属原子及びバインダー化合物[C]に由来する原子の一方または両方と直接的にまたは間接的に結合していてもよい。
水酸基を有する重合体[D]の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、でんぷん等の多糖類、多糖類から誘導される多糖類誘導体などが挙げられる。カルボキシル基、カルボン酸無水物基またはカルボキシル基の塩を有する重合体[D]の具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸/メタクリル酸)及びそれらの塩などを挙げることができる。
層[X]の厚みは、50nm以上500nm以下が好ましく、100nm以上300nm以下がより好ましい。50nm未満ではバリア性が不十分となる場合があり、500nmを超えると層が割れる場合がある。
本発明の積層体は、層[X]上に、さらに層[Y]等のバリア層を積層することも可能であり、また他の層を積層することも可能である。積層することが可能な他の層は、例えば、印刷層、介在フィルム、ヒートシール層等である。
印刷層は、包装袋などの包装体として必要となる文字情報や絵柄等を表示するために形成されるものである。印刷層は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂中に各種顔料、耐湿顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤等が添加されてなるインキにより構成される層である。印刷層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコート等の周知の塗布方式を用いることができる。印刷層の乾燥膜厚(固形分)は、好ましくは、0.1〜2.0μmである。
また、介在フィルムは、層[X]と後述するヒートシール層の間に設けることで、包装用材料として必要な破袋強度や突き刺し強度を確保するために設けられるもので、機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムにより構成されるものが好ましい。介在フィルムの厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μmである。介在フィルムの積層方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等の公知の方法を挙げることができる。
さらに、ヒートシール層は、袋状包装体等を形成する際に接着層となるように設けられるものである。ヒートシール層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等のヒートシール性樹脂により形成される。ヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。ヒートシール層の形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、それ以外の公知の方法により積層することも可能である。
[用途例]
本発明の積層体は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性のいずれにも優れる。そのため、本発明の積層体は、食品、薬品、医療器材、産業資材、衣料等の包装材料として好ましく使用できる。それらの中でも、本発明の積層体は、酸素と水蒸気の両方に対するバリア性が要求される食品用包装材料を形成する用途に特に好ましく使用できる。
本発明の積層体は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性のいずれにも優れる。そのため、本発明の積層体は、食品、薬品、医療器材、産業資材、衣料等の包装材料として好ましく使用できる。それらの中でも、本発明の積層体は、酸素と水蒸気の両方に対するバリア性が要求される食品用包装材料を形成する用途に特に好ましく使用できる。
また、包装材料以外の用途としては、LCD用基板フィルム、有機EL用基板フィルム、電子ペーパー用基板フィルム、電子デバイス用封止フィルム、PDP用フィルム、LED用フィルム、ICタグ用フィルム、太陽電池用バックシート、太陽電池用保護フィルムなどの電子デバイス関連フィルム、光通信用部材、電子機器用フレキシブルフィルム、燃料電池用隔膜、燃料電池用封止フィルム、各種機能性フィルムの基板フィルムを例として挙げることができる。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各測定及び評価は、次のように実施した。
(1)層[X]の赤外線吸収スペクトル
層[X]の赤外線吸収スペクトルは、以下の方法で測定した。
層[X]の赤外線吸収スペクトルは、以下の方法で測定した。
基材としてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた積層体について、フーリエ変換赤外分光光度計(Perkin Elmer社製、「Spectrum One」)を用いて、層[X]の赤外線吸収スペクトルを測定した。赤外線吸収スペクトルは、ATR(全反射測定)のモードで、700〜4,000cm−1の範囲で測定した。なお、層[X]の厚さが1μm以下である場合には、ATR法による赤外線吸収スペクトルでは基材由来の吸収ピークが検出され、層[X]のみに由来する吸収強度を正確に求めることができない場合がある。このような場合には、基材のみの赤外線吸収スペクトルを別途測定し、それを差し引くことで層[X]由来のピークのみを抽出する。PETフィルム以外の基材(延伸ナイロンフィルムなど)を用いた積層体についても、上記と同様の方法で測定可能である。
このようにして得られた層[X]の赤外線吸収スペクトルに基づいて、2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が最大となる波数ns1における吸光度S1、2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が2番目に大きい値となる波数ns2における吸光度S2、さらに、1,000〜1,150cm−1の範囲において赤外線吸収が極大となる波数ntにおける吸光度Tを、それぞれ求めた。
(2)酸素透過率
積層体の酸素透過率は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(“OX−TRAN”(登録商標)2/21)を使用して測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を酸素透過率の値とした。
積層体の酸素透過率は、温度23℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(“OX−TRAN”(登録商標)2/21)を使用して測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を酸素透過率の値とした。
(3)水蒸気透過率
積層体の水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(“PERMATRAN”(登録商標)−W 3/31)を使用して測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
積層体の水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%RHの条件で、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(“PERMATRAN”(登録商標)−W 3/31)を使用して測定した。測定は2枚の試験片について2回ずつ行い、合計4つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
[実施例1]
金属酸化物[B]として、アルミナゾル(川研ファインケミカル製、「アルミナゾル10A」(商品名)、濃度10質量%)18.66質量部に対して、蒸留水58質量部.19質量部、メタノール19.00質量部、及びポリビニルアルコール水溶液(濃度5質量%)0.50質量部を加え、均一になるように撹拌することで分散液bを得た。続いて、水浴中で分散液bを15℃とし、液温を維持した状態で撹拌しながら、同じく15℃に調整したリン酸水溶液(濃度85質量%)3.66質量部を液滴し、その後さらに液温を15℃に維持しながら30分間撹拌し、塗液aを調整した。
金属酸化物[B]として、アルミナゾル(川研ファインケミカル製、「アルミナゾル10A」(商品名)、濃度10質量%)18.66質量部に対して、蒸留水58質量部.19質量部、メタノール19.00質量部、及びポリビニルアルコール水溶液(濃度5質量%)0.50質量部を加え、均一になるように撹拌することで分散液bを得た。続いて、水浴中で分散液bを15℃とし、液温を維持した状態で撹拌しながら、同じく15℃に調整したリン酸水溶液(濃度85質量%)3.66質量部を液滴し、その後さらに液温を15℃に維持しながら30分間撹拌し、塗液aを調整した。
次に、基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)U46(商品名)、厚さ100μm)を使用し、基材上に、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるようにバーコーターによって塗液aを塗布し塗膜を形成した。続いて200℃で1分間の高温処理工程を施して、積層体を得た。
[実施例2]
基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)を使用し、基材に塗液aを塗布した後の乾燥条件を180℃で1分間とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)を使用し、基材に塗液aを塗布した後の乾燥条件を180℃で1分間とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[実施例3]
基材に塗液aを塗布した後の乾燥条件を130℃で1分間とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
基材に塗液aを塗布した後の乾燥条件を130℃で1分間とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[実施例4]
TEOS3.35質量部とメタノール1.33質量部を混合した溶液に、0.02N塩酸水溶液5.32質量部を撹拌しながら液滴することでTEOS加水分解溶液を得た。バインダー化合物[C]として、このTEOS加水分解溶液10質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
TEOS3.35質量部とメタノール1.33質量部を混合した溶液に、0.02N塩酸水溶液5.32質量部を撹拌しながら液滴することでTEOS加水分解溶液を得た。バインダー化合物[C]として、このTEOS加水分解溶液10質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[実施例5]
基材上に、塗液aのかわりに分散液bをそのまま塗布して塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
基材上に、塗液aのかわりに分散液bをそのまま塗布して塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[実施例6]
PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)に真空蒸着法で厚み15nmの酸化アルミニウムからなる無機層を設け、これを基材として使用した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)に真空蒸着法で厚み15nmの酸化アルミニウムからなる無機層を設け、これを基材として使用した以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
[比較例1]
金属酸化物[B]として、シリカ含有アルミナゾル(川研ファインケミカル製「アルミナゾルCSA110AD」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
金属酸化物[B]として、シリカ含有アルミナゾル(川研ファインケミカル製「アルミナゾルCSA110AD」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[比較例2]
金属酸化物[B]として、シリカ含有アルミナゾル(川研ファインケミカル製「アルミナゾルCSA110AD」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例7と同様にして、積層体を得た。
金属酸化物[B]として、シリカ含有アルミナゾル(川研ファインケミカル製「アルミナゾルCSA110AD」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例7と同様にして、積層体を得た。
[比較例3]
基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)を使用した以外は、比較例2と同様にして、積層体を得た。
基材として、PETフィルム(東レ株式会社製、“ルミラー”(登録商標)P60(商品名)、厚さ12μm)を使用した以外は、比較例2と同様にして、積層体を得た。
[比較例4]
金属酸化物[B]として、シリカゾル(日産化学製「スノーテックスST−O−40」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
金属酸化物[B]として、シリカゾル(日産化学製「スノーテックスST−O−40」(商品名)、濃度10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
表1から明らかなように、実施例の積層体は、比較例の積層体よりも、優れた酸素バリア性及び水蒸気バリア性を示した。
本発明の積層体は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性のいずれにも優れる。そのため、本発明の積層体は、食品、薬品、医療器材、産業資材、衣料等の包装材料として好ましく使用できる。それらの中でも、本発明の積層体は、酸素と水蒸気の両方に対するバリア性が要求される食品用包装材料を形成する用途に特に好ましく使用できる。
また、包装材料以外の用途としては、LCD用基板フィルム、有機EL用基板フィルム、電子ペーパー用基板フィルム、電子デバイス用封止フィルム、PDP用フィルム、LED用フィルム、ICタグ用フィルム、太陽電池用バックシート、太陽電池用保護フィルムなどの電子デバイス関連フィルム、光通信用部材、電子機器用フレキシブルフィルム、燃料電池用隔膜、燃料電池用封止フィルム、各種機能性フィルムの基板フィルムを例として挙げることができる。
Claims (4)
- 基材の少なくとも片側に、金属化合物[A]を含む層[X]を有する積層体であって、前記金属化合物[A]はOH基を有し、前記層[X]の赤外線吸収スペクトルが2,500〜4,000cm−1の範囲において極大値を2つ以上有する、積層体。
- 前記層[X]の赤外線吸収スペクトルの吸光度S1、吸光度S2、吸光度Tが式(1)を満たす、請求項1に記載の積層体。
(吸光度S1+吸光度S2)/吸光度T ≦0.2 ・・・式(1)
吸光度S1:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が最大となる波数ns1における吸光度
吸光度S2:2,500〜4,000cm−1の範囲において赤外線吸収が2番目に大きい値となる波数ns2における吸光度
吸光度T:1,000〜1,150cm−1の範囲において赤外線吸収が極大となる波数ntにおける吸光度 - 前記金属化合物[A]を構成する金属原子が周期表4〜14族の金属元素を少なくとも1つ含む、請求項1または2に記載の積層体。
- 前記金属化合物[A]がアルミニウムおよび/またはケイ素である、請求項3に記載の積層体。
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