JP2011051277A - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材層1の一方の表面上に、ガスバリア層2、ガスバリア被膜層3、ガスバリア層4、ガスバリア被膜層5を順次積層してなり、ガスバリア層2、4は酸化珪素からなり、ガスバリア被膜層3、5は、一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、(R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)、および水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布して乾燥させてなるガスバリア性積層フィルム。
【選択図】 図1
Description
通常のガスバリア性を有する包装材料としては、比較的ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルムまたは塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルムなどがよく用いられてきたが、これらの包装材料は、高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。従って高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウムなどの金属箔をガスバリア層として積層した包装材料を用いざるを得なかった。アルミニウムなどの金属箔を積層した包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を有している。しかし、こうした包装材料では、それを透視して収容物を確認することができない、使用後に不燃物として廃棄処理しなければならない、収容物の検査に金属探知器が使用できない、などの多くの欠点を有していた。
これらの太陽電池モジュールは、屋外で使用されるため、使用される材料およびその構成などにおいて、十分な耐久性、耐候性が要求される。特に、裏面保護シートは耐候性とともに高いガスバリア性が要求されている。これは水分の透過によるユニット内の充填材が剥離したりして配線の腐食を起こし、モジュールの出力そのものに悪影響を及ぼすためである。
従来、この太陽電池用裏面保護シートとしては、白色のフッ素系フィルムでアルミニウム箔を両側からサンドイッチした積層構成が多く用いられていた。しかし、このフッ素系フィルムは機械的強度が弱いため太陽電池素子とアルミニウム箔が短絡して電池性能に悪影響を及ぼす欠点があり、さらに価格が高いため、太陽電池モジュールを低価格化する際に1つの障害となっている。これらの問題点を改善するべく、アルミニウム箔を用いずに、耐候性と高いガスバリア性を兼ね備えたガスバリアフィルムの要求が高まっている。
また、この太陽電池モジュールをフレキシブル化させるべく開発も行なわれており、これを達成するためには太陽光が当たる表面のガラス基板もプラスチック材料などからなるシートに置き換える必要があり、この表面保護シートも裏面保護シートと同様に、耐候性および高いガスバリア性が要求されている。
その中で、有機シラン化合物を用いたプラズマCVD法による酸化珪素薄膜は、高いガスバリア性を発現するバリア層として検討されており、食品包装分野では実用化されている。特許文献2には炭素濃度および、酸化珪素薄膜の組成を制御することで、密着性と透明性が改善するとの報告がある。
前記ガスバリア層2および前記ガスバリア層4は酸化珪素からなり、
前記ガスバリア被膜層3および前記ガスバリア被膜層5は、
一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
(但し、一般式(1)および(2)中、R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)、および
水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布して乾燥させてなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
請求項2に記載の発明は、前記一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)が、式(NCO−R4Si(OR3)3)3(但し、式中、R4は(CH2)nを表し、nは1以上の数を表す)で表される三量体1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項3に記載の発明は、前記ガスバリア層2の膜厚(厚さXa)および前記ガスバリア層4の膜厚(厚さXb)が、0.005μm以上0.5μm以下であり、
前記ガスバリア被膜層3の膜厚(厚さYa)および前記ガスバリア被膜層5の膜厚(厚さYb)が、0.05μm以上3μm以下であり、
前記Xa、Xb、YaおよびYbの関係が、下記3つの式を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルムである。
0.001≦XaYa
0.001≦XbYb
XaYa+(Xa+Xb)Yb≦0.4
(式中のXa、Xb、Ya、Ybの厚さの単位はμmである)
請求項4に記載の発明は、前記基材層1および前記ガスバリア被膜層3の表面上にそれぞれ積層した前記ガスバリア層2および前記ガスバリア層4が、プラズマ化学蒸着(CVD)法により形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項5に記載の発明は、前記一般式Si(OR1)4…(1)は、その加水分解性基(R1)がC2H5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項6に記載の発明は、前記基材層1と前記ガスバリア層2との間に、アクリルポリオール、イソシアネート類、およびシランカップリング剤からなるプライマー層をさらに積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルムである。
請求項7に記載の発明は、前記一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)は、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性積層フィルムである。
一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物、およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
(但し、一般式(1)および(2)中、R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)
および
水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、加熱、および乾燥して得られる。
これらの透明なプラスチックフィルムは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性などが優れたものが好ましい。特に、耐熱性や寸法安定性などの面から、二軸方向に延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、透明なプラスチックフィルムは、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等などの添加剤を含有してもよい。さらに、透明なプラスチックフィルムにおいて、他の層を積層する側の表面には、密着性をよくするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などを施してもよい。
これらの透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性や他の層を積層する場合の加工適性などを考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲、特に6〜30μmの範囲であることが好ましい。
また、プラズマCVD法以外のガスバリア層2およびガスバリア層4の形成方法としては、真空蒸着法が好ましく、プラズマCVD法と同様に、上記プラスチックフィルムからなる基材層1の片面もしくは両面に成膜することができる。現時点の真空蒸着法において、真空蒸着装置内での蒸発源材料の加熱手段としては、電子線加熱方式や抵抗加熱方式や誘導加熱方式などが好ましい。また基材層1およびガスバリア被膜層3との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法などを用いることも可能である。さらに、蒸着薄膜層の透明性を上げるために、酸素ガスなど吹き込んで反応性蒸着を行ってもよい。
i)一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
ii)一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物、およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
(但し、一般式(1)および(2)中、R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)
および
iii)水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、加熱、および乾燥して得られる。
なお、バリアの孔とは、膜の中の緻密なネットワークを作らず気体の透過を容易にする部分をいう。
そこで、水酸基を有する水溶性高分子を添加することにより、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、金属酸化物が縮合に際し高分子との間にうまく分散してセラミックに近い高いガスバリア性を発現する。また、この被膜を酸化珪素からなるガスバリア層の上に堆積することで、それぞれ単層によって得られる効果よりも、非常に高いガスバリア性、耐水性、耐湿性を発現する。しかし、金属アルコキシドあるいはその加水分解物と水酸基を有する水溶性高分子の混合からなる被膜層は、水素結合からなるため、水により膨潤して溶解する。ガスバリア層との積層構造による相乗効果があってもボイルやレトルト処理等の過酷な条件下ではガスバリア性が劣化しやすい。
一般式(2)は、その有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、及びイソシアネート等の非水性官能基であることが好ましい。非水官能基は、官能基が疎水性であるため、耐水性はさらに向上する。
一般式(2)で表される化合物が多量体である場合は、三量体が好ましく、より好ましくは、一般式(NCO−R4Si(OR3)3)3(式中、R4は(CH2)n、nは1以上)で表される1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮合体である。
この1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシアヌレート部には化学的反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応と同様の性能を示すことが知られている。一般的には、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートをSi(OR1)と、水酸基を有する水溶性高分子に添加することにより、水素結合に基づくガスバリア性積層フィルムが水による膨潤することを防ぎ、耐水性を向上させることができる。また、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランは、反応性が高く、液安定性が低いのに対し、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができ、その耐水性性能は3−イソシアネートアルキルアルコキシシランと同等である。さらに、ヌレート部は耐水性があるのみでなく、その極性によりSi(OR1)4と、水酸基を有する水溶性高分子はバリアの孔になりにくい。
このメトキシ基は、加水分解速度が早く、また、プロピル基を含むものは比較的安価に入手しえることから、実用上のメリットが大きい。
しかしながら、上述のようなエポキシ系シラン化合物の一部は、変異原性を有する場合がある。また、有機官能基(R2)が、ビニル及びメタクリロキシの場合、製造過程で紫外線または電子線等の照射が必要となり設備及び工程の増加によりコスト高を招く傾向がある。有機官能基(R2)が、ウレイドの場合は、特有の臭気があり、また、イソシアネートの場合は、反応性が高く、ポットライフが短い。このようなことなどから、本発明に使用されるii)の成分としては、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートがより好ましいと考えられる。
塗布液の混合方法では、加水分解したSi(OR1)4、水酸基を有する水溶性高分子、及び(R2Si(OR3)3)nを、どの順番で混合しても効果は発現する。(R2Si(OR3)3)nは、混合して、塗布液中で分散せずに油滴状に存在するような場合は、上述のように加水分解を行い、微分散させることが好ましい。特にSi(OR1)4と(R2Si(OR3)3)nを別々に加水分解してから水溶性高分子に添加すれば、SiO2の微分散およびSi(OR1)4の加水分解効率を考慮すると望ましい。
ガスバリア被膜層3およびガスバリア被膜層5の乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など被膜層に熱をかけて、水分を飛ばす方法であれば、これらのいずれでも、またこれらを2つ以上組み合わせても構わない。
さらに、上述してきたガスバリア被膜層3およびガスバリア被膜層5それ自体の高いガスバリア性の発現、
さらに、ガスバリア層3およびガスバリア層5の表面に形成することでガスバリア層の欠陥などを穴埋めしてガスバリア性を向上する機能、
さらには、ガスバリア被膜層形成時の硬化収縮による内部応力によりガスバリア層を引き締めることで発現するガスバリア性向上機能である。
つまり、密着性良好なガスバリア性積層フィルムを作成するためには、ガスバリア層の厚さの上限値とガスバリア被膜層の厚さの上限値とに反比例の関係が成り立つことになる。まず、基材層1の一方の表面上にガスバリア層2とガスバリア被膜層3のみを積層する場合、ガスバリア被膜層3形成時の硬化収縮による内部応力はガスバリア層4には働かず、ガスバリア層2にのみ働くため、ガスバリア層2の厚さXa[μm]の上限値とガスバリア被膜層3の厚さYa[μm]の上限値とに反比例の関係が成り立ち、それぞれの厚さXaおよびYaは不等式XaYa≦α1(正数)を満たす必要がある。また、基材層1の一方の表面上にガスバリア層2とガスバリア被膜層3を積層した後、ガスバリア層4とガスバリア被膜層5とを積層する場合には、被膜層5形成時の硬化収縮による内部応力はガスバリア層2とガスバリア層4の両方に働くため、ガスバリア層2の厚さXa[μm]とガスバリア層4の厚さXb[μm]とを合わせた上限値と被膜層5の厚さYbとに反比例の関係が成り立ち、それぞれの厚さXa、XbおよびYbは不等式(Xa+Xb)Yb≦α2(正数)を満たす必要がある。
さらにまた、上述したガスバリア層2とガスバリア被膜層3との関係と同様にして、ガスバリア被膜層5形成時の硬化収縮による内部応力は、ガスバリア被膜層5の厚さが厚くなるほど大きくなり、ガスバリア層4の抵抗力は、ガスバリア層4の厚さが厚くなるほど小さくなる。すなわち、上述したガスバリア層4の厚さXb[μm]は(0.005≦Xb≦0.5)、被膜層5の厚さYb[μm](0.05≦Ya≦3)の範囲において、ガスバリア層4の厚さXaが厚くなるに伴い、さらにガスバリア被膜層5の厚さYaが厚くなるに伴い、上述したガスバリア層4を引き締めることにより発現するガスバリア性向上機能の効果は大きくなる。しかし、言い換えれば、ガスバリア層4の厚さXbが薄い場合には、ガスバリア被膜層5の厚さYbを厚く、ガスバリア被膜層5の厚さYbが薄い場合には、ガスバリア層4の厚さXbを厚くしなければ、上記ガスバリア性向上機能は十分には発現しないこととなる。つまり、上記ガスバリア性向上機能を十分に発現するためには、酸化珪素からなる上記ガスバリア層4の厚さXbの下限値と上記ガスバリア被膜層5の厚さYbの下限値とに反比例の関係が成り立ち、それぞれの厚さXb、Ybは不等式XbYb≧β2(正数)を満たす必要がある。
さらにまた、上記β1およびβ2の値は、酸化珪素からなるガスバリア層2およびガスバリア層4の形成方法、ガスバリア被膜層3およびガスバリア被膜層5を形成する上述した塗布液の種類および硬化条件などにより異なるが、β1およびβ2は0.001以上で、ガスバリア性向上機能が十分に働くようになる。従って、上記厚さXa、Yaは不等式XaYa≧0.001を満たし、上記厚さXb、Ybも不等式XbYb≧0.001を満たすことが好ましい。
0.001≦XaYa
0.001≦XbYb
XaYa+(Xa+Xb)Yb≦0.4
なお、式中のXa、Xb、Ya、Ybの単位はμmである。
プライマー層としては、例えばアクリルポリオール、ポリビニルアセタール、ポリ−スチルポリオール、及びポリウレタンポリオール等から選択されるポリオール類と、イソシアネート化合物との2液反応によって得られる有機高分子、またはポリイソシアネート化合物および水との反応によりウレア結合を有する有機化合物、ポリエチレンイミンまたはその誘導体、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン、フェノール、また有機変性コロイダルシリカのような無機シリカ、シランカップリング剤およびその加水分解物のような有機シラン化合物を主剤とするものなどが挙げられる。特にアクリルポリオールとイソシアネート化合物、シランカップリング剤の組み合わせが好ましい。この組み合わせからなるプライマー層を用いると、基材層とガスバリア層の間に、安定したさらに高い密着性を得ることができる。
プライマー層の厚さは、一般的には乾燥後の厚さで、0.005μm以上1μm以下であることが望ましく、より好ましくは0.01μm以上0.5μm以下である。0.01μm未満の場合は塗工技術の点から均一な塗膜が得られ難く、逆に0.5μmより大きい場合はコストが高くなり、経済的にデメリットになる。
一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物、およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
(但し、R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)
および
水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布、加熱、および乾燥して得られていればよく、さらに複雑な積層構造をとっていてもよい。
たとえば、ガスバリア層2とガスバリア被膜層3とガスバリア層4とガスバリア被膜層5の積層体の上にガスバリア層とガスバリア被膜層との積層体を積層してもよい。さらに、基材層1のガスバリア層2とガスバリア被膜層3とガスバリア層4と被膜層5とが積層されていないもう一方の面に、ガスバリア層2とガスバリア被膜層3とをそれぞれ順次積層してもよい。さらにまた、ガスバリア被膜層5の表面に印刷層を積層してもよい。この場合、従来から用いられている通常の印刷インキを用い、周知の印刷方式や塗布方式などによって、厚さ0.1〜2.0μmの印刷層を特に制約なく積層することができる。
上記の中間フィルム層または外側フィルム層としては透明なフィルム層が用いられる。こうした透明なフィルム層としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアクリルニトリル系フィルム、ポリイミド系フィルムなどが挙げられる。上記のヒートシール層としては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、およびこれらの金属架橋物、などの合成樹脂が用いられる。中間フィルム層、外側フィルム層、ヒートシール層の厚さは、目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。上記の接着剤としては、1液硬化型または2液硬化型のポリウレタン系接着剤などが用いられる。接着剤を介してこれらの層を積層するには、ドライラミネート法などが用いることができる。また、ヒートシール層の他の積層方法として、ヒートシール層の合成樹脂を、熱溶融押出する方法(エクストルージョンラミ)を用いることもできる。
(A):テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4、以下、TEOSと称す)17.9gと、メタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌し、加水分解させた固形分5%(重量比SiO2換算)の加水分解溶液
(B):ポリビニルアルコールの5%(重量比)、水/メタノール=95/5(重量比)水溶液
(C):1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートを、水/IPA=1/1溶液で、固形分5%(重量比R2Si(OH)3換算)
次に、上記方法にて調液した溶液(A)から(C)をA/B/C=100/20/10(固形分重量比)の割合で混合し、この塗布液をバーコーターにより上記ガスバリア層4の表面上に塗布し、120℃で1分間乾燥させ、0.3μmのガスバリア被膜層5を形成した。こうして実施例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1の一方の表面上に酸化珪素からなるガスバリア層2およびガスバリア層4のみを積層し、ガスバリア被膜層3およびガスバリア被膜層5は積層しなかった。こうして比較例1のガスバリア性積層フィルムを作製した。
実施例1のガスバリア性積層フィルムにおいて、基材層1の一方の表面上に酸化珪素からなるガスバリア層2およびガスバリア層4、さらにガスバリア層4の表面上にガスバリア被膜層5のみを積層し、ガスバリア被膜層3は積層しなかった。こうして比較例2のガスバリア性積層フィルムを作製した。
次に、実施例1、2、3および比較例1、2のそれぞれの印刷フィルムの印刷層の表面に、5g/m2のポリウレタン系接着剤を介して厚さ50μmのポリプロピレンのヒートシール層を積層した。以下、これらを積層フィルムという。
1.酸素透過度
実施例1、2、3および比較例1、2の単体フィルム、印刷フィルムおよび積層フィルムについて、モダンコントロール社製の酸素透過度計(MOCON OX−TRAN 2/21)により、30℃−70%RH雰囲気下での酸素透過度(cc/m2・24h・MPa)を測定した。
2.水蒸気透過度
実施例1、2、3および比較例1、2の単体フィルムについて、モダンコントロール社製の水蒸気透過度計(MOCON PERMATRAN−W 3/31)により、40℃−90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(g/m2・24h)を測定した。
3.ラミネート強度
実施例1、2、3および比較例1、2の積層フィルムから15mm幅にスリットした試験片について、通常のテンシロン型万能試験機により、ラミネート強度(N/15mm)を測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
一方、ガスバリア被膜層が積層されていない比較例1のガスバリア性積層フィルムからなる印刷フィルムおよび積層フィルムは、実施例1、実施例2および実施例3のガスバリア性積層フィルムと比較して、酸素透過度が高くガスバリア性に劣っていた。
また、ガスバリア被膜層3のみが積層されていない比較例2のガスバリア性積層フィルムは、実施例1、実施例2および実施例3のガスバリア性積層フィルムと比較して、積層フィルムにおけるラミネート強度はほぼ同等レベルであるが、単体フィルムの酸素透過度および水蒸気透過度が高くガスバリア性が劣っていた。
さらにまた、ガスバリア層2およびガスバリア層4をプラズマCVD法により形成し、ガスバリア層2の厚さXa[μm]、ガスバリア層4の厚さXb[μm]、ガスバリア被膜層3の厚さYa[μm]、ガスバリア被膜層5の厚さYb[μm]がXaYa+(Xa+Xb)Yb>0.4となる実施例2のガスバリア性積層フィルムは、実施例1および実施例3のガスバリア性積層フィルムと比較して、ガスバリア性は高いが、積層フィルムのラミネート強度が若干劣っていた。
2・・・ガスバリア層
3・・・ガスバリア被膜層
4・・・ガスバリア層
5・・・ガスバリア被膜層
Claims (7)
- 透明なプラスチックフィルムからなる基材層1の一方の表面上に、ガスバリア層2、ガスバリア被膜層3、ガスバリア層4、ガスバリア被膜層5を順次積層してなるガスバリア性積層フィルムにおいて、
前記ガスバリア層2および前記ガスバリア層4は酸化珪素からなり、
前記ガスバリア被膜層3および前記ガスバリア被膜層5は、
一般式Si(OR1)4…(1)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)で表される珪素化合物およびその加水分解物のうちの少なくとも1つ、
(但し、一般式(1)および(2)中、R1、R3はCH3、C2H5、またはC2H4OCH3を表し、R2は有機官能基を表し、nは1以上の数を表す)、および
水酸基を有する水溶性高分子を含有する塗布液を塗布して乾燥させてなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。 - 前記一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)が、式(NCO−R4Si(OR3)3)3(但し、式中、R4は(CH2)nを表し、nは1以上の数を表す)で表される三量体1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記ガスバリア層2の膜厚(厚さXa)および前記ガスバリア層4の膜厚(厚さXb)が、0.005μm以上0.5μm以下であり、
前記ガスバリア被膜層3の膜厚(厚さYa)および前記ガスバリア被膜層5の膜厚(厚さYb)が、0.05μm以上3μm以下であり、
前記Xa、Xb、YaおよびYbの関係が、下記3つの式を満たすことを特徴とする、請求項1または2に記載のガスバリア性積層フィルム。
0.001≦XaYa
0.001≦XbYb
XaYa+(Xa+Xb)Yb≦0.4
(式中のXa、Xb、Ya、Ybの厚さの単位はμmである) - 前記基材層1および前記ガスバリア被膜層3の表面上にそれぞれ積層した前記ガスバリア層2および前記ガスバリア層4が、プラズマ化学蒸着(CVD)法により形成されたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記一般式Si(OR1)4…(1)は、その加水分解性基(R1)がC2H5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記基材層1と前記ガスバリア層2との間に、アクリルポリオール、イソシアネート類、およびシランカップリング剤からなるプライマー層をさらに積層することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層フィルム。
- 前記一般式(R2Si(OR3)3)n…(2)は、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートであることを特徴とする請求項2に記載のガスバリア性積層フィルム。
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---|---|---|---|---|
JP2008073993A (ja) * | 2006-09-22 | 2008-04-03 | Dainippon Printing Co Ltd | ガスバリア性積層フィルム |
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-
2009
- 2009-09-03 JP JP2009203525A patent/JP2011051277A/ja active Pending
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