JP2018099899A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 レトルト処理後であっても、ガスバリア性の低下が少なく層間剥離が生じにくい、ガスバリア性およびラミネート強度に優れた積層フィルムを提供する。
【解決手段】 プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを特徴とする積層フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は食品、医薬品等の包装分野に用いられる包装材料に関し、詳しくは、プラスチック基材に被覆層及び無機薄膜を形成した積層フィルムであって、レトルト処理を施した際においても、無機薄膜との間の密着性に優れ、ガスバリア性の優れた積層フィルムに関する。
食品、医薬品等に用いられる包装材料は、蛋白質、油脂の酸化抑制、味、鮮度の保持、医薬品の効能維持のために、酸素、水蒸気などのガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。また、太陽電池や、有機ELなどの電子デバイスや、電子部品などで使用されるガスバリア性材料は、食品包材以上に高いガスバリア性を必要とする。
従来より、プラスチックからなる基材フィルムの表面にアルミニウムなどの金属薄膜、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機酸化物の薄膜を形成したガスバリア性積層フィルムは、水蒸気や酸素などの各種ガスの遮断を必要とする食品用途において一般的に用いられている。中でも、酸化ケイ素や酸化アルミニウム、これらの混合物などの無機酸化物の薄膜を形成したものは、透明であり内容物の確認が可能であることから広く使用されている。
しかしながら、上記のガスバリア性積層フィルムは、形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量部或いは可塑剤などの添加剤部などの分解、脱ガスなどを起因とする無機薄膜層中に欠陥、ピンホール等を発生し、ガスバリア性が低下する場合がある。さらに、印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、無機薄膜層がひび割れてクラックが発生し、ガスバリア性が低下する問題がある。特に、上述の工程により無機薄膜層がダメージを受けると、その後のレトルト処理によりガスバリア性が大幅に低下し、また無機薄膜とそれに接する樹脂間の層間接着強度が低下して内容物が漏れ出たりする問題がある。
上記ガスバリア性積層フィルムの他に、基材フィルムの上に樹脂組成物をコートすることによるガスバリア性フィルムも多く提案されている。特にそれ自体高い酸素バリア性を持つポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いたコート剤が実用化されている。
さらに、上記ビニルアルコール系樹脂にモンモリロナイトなどの無機層状化合物を配合したガスバリア性を有する層をプラスチックからなる基材フィルムにコートしたガスバリア性フィルムも提案されている。例えば、基材フィルム上にポリビニルアルコール、架橋剤、無機層状化合物で構成されたガスバリア性を有する層を設ける例、基材フィルム上にエチレン−ビニルアルコール系共重合体、水溶性ジルコニウム系架橋剤、無機層状化合物からなるガスバリア性を有する層を設ける例(例えば、特許文献1、2参照)が挙げられる。これらのガスバリア性フィルムは樹脂を架橋しているため、耐湿性や、ボイル程度の耐水性には耐えられるものの、レトルト用に用いた場合には120〜130℃の加圧下で行われるレトルト処理後のガスバリア性、ラミネート強度が十分満足できるものではなかった。
一方、無機薄膜を形成したガスバリア性積層フィルムの欠点を改善する方法として、無機薄膜の上にさらにガスバリア性を有する層を設ける試みがなされている。その例として、無機薄膜上に水溶性高分子と無機層状化合物および金属アルコキシドあるいはその加水分解物をコートしてゾルゲル法により無機薄膜上に無機層状化合物を含有する無機と水溶性高分子の複合体を形成させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法はレトルト後も優れた特性を示すが、コート液の安定性が低く、コートの開始と終了時(すなわち工業的に流通するロールフィルムとした場合のロール外周部分と内周部分)で特性が異なる、フィルム幅方向の乾燥・熱処理の僅かな違いにより特性が異なる、製造時の環境により品質の違いが大きい、といった問題を抱えていた。さらには、ゾルゲルコートが柔軟性に乏しいため、フィルムに折り曲げや衝撃が加わった際にピンホールが発生しやすく、ガスバリア性が低下する場合があるといった問題も指摘されている。
このような背景のもと、無機薄膜層上にゾルゲル反応などを伴わないコート法、すなわち、樹脂を主体としコート時には架橋反応を伴う程度のコート法による改良が望まれていた。このような方法のガスバリア性積層体としては、無機薄膜上に特定の粒径およびアスペクト比の無機層状化合物を含有する樹脂層をコートしたガスバリア性積層体(例えば、特許文献4)、無機薄膜上にシランカップリング剤を含むバリア性樹脂をコートしたガスバリア性積層体(例えば、特許文献5)が開示されている。
また、無機薄膜を形成したガスバリア性積層フィルムの劣化を改善する他の方法として、ポリエステル基材フイルムと、例えば蒸着法により形成した無機薄膜層との間に各種水性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、またはポリウレタンとポリエステルの混合物からなる被覆層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献6)。更に、湿熱下での被覆層の耐水性の向上のため、各種水性ポリウレタンおよび/または水性ポリエステル樹脂とオキサゾリン基含有水溶性ポリマーから成る被覆層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献7)。また、基材フィルムからのオリゴマー析出による無機薄膜層の劣化を防止するため、各種水性アクリル樹脂と、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの混合物から成る被覆層を設ける方法が知られている(例えば、特許文献8参照)。この場合、オキサゾリン基を添加して架橋させることで耐水性を向上させている。
特開2005−349769号公報 特開2008−297527号公報 特開2000−43182号公報 特許3681426号公報 特許3441594号公報 特開平2−50837号公報 特開2002−301787号公報 特開平11−179836号公報
しかし、これらの方法であっても、ボイルや高湿下での特性の改良は認められるものの、レトルト後のガスバリア性、ラミネート強度が十分満足できかつ安定した品質のガスバリア性フィルムは得られていないのが現状であった。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものであり、その目的は、無機薄膜を形成した積層体としレトルト処理した後も酸素、水蒸気のバリア性に優れ、レトルト処理後に層間剥離の起こらない密着性を有し、かつ製造が容易で経済性に優れた積層フィルムを提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行なった結果、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることで、レトルト処理した後も酸素、水蒸気に対するバリア性に優れ、レトルト処理後に層間剥離の起こらない密着性を有する積層フィルムを提供できるという事実を見出し、本願発明に至ったものである。
本発明は、積層フィルムの被覆層にオキサゾリン基を有する樹脂を用い、さらにアクリル樹脂を併用することで、レトルト処理後も被覆層表面の変形が少なくすることができ、それにより被覆層の上に積層された無機薄膜層へのダメージを軽減でき、結果的にレトルト処理時でも無機薄膜層を形成した積層体のガスバリア性を維持できるという、従来技術にない技術思想に基づく積層フィルムである。
前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。
1.膜厚5〜250μmプラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂及び/又はウレタン樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを特徴とする積層フィルム。
2.前記1.記載の積層フィルムであって、被覆層の平均厚みが5〜150nmであることを特徴とする積層フィルム。
3.前記2.記載の積層フィルムであって、オキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gであることを特徴とする積層フィルム。
4.前記3.記載の積層フィルムであって、被覆層中にウレタン樹脂を含むことを特徴とする積層フィルム。
5.前記4.記載の積層フィルムであって、被覆層中のウレタン樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする積層フィルム。6.前記5.記載の積層フィルムであって、被覆層中のアクリル樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が40mgKOH/g以下であることを特徴とする積層フィルム。
7.前記6.記載の積層フィルムであって、被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を20〜70重量%、アクリル樹脂を10〜60重量%、ウレタン樹脂を10〜60重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする積層フィルム。
8.前記7.記載の積層フィルムであって、無機薄膜層が、アルミナ、シリカの複合酸化物層であることを特徴とする積層フィルム。
本発明の積層フィルムに無機薄膜層を形成した積層体はレトルト処理した後も酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れ、かつラミネート強度に優れる。
また、前記積層体は生産安定性および経済性に優れ、均質の特性が得られやすい。
以下、本発明の積層フィルム及びその製造方法の実施の形態を説明する。
[基材フィルム]
本発明で用いる基材フィルムは、例えば、プラスチックを溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、プラスチックとしては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表される、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。耐熱性や寸歩安定性、透明性の点でポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートに他の成分を共重合したものが好ましい。
本発明における基材フィルムは、機械強度、透明性等、所望の目的に応じて任意の膜厚のものを使用することができる。特に限定されないが、通常は5〜250μmであることが推奨され、包装材料として用いる場合は10〜60μmであることが望ましい。
基材フィルムの透明度は、特に限定されるものではないが、透明性が求められる包装材料として使用する場合には、50%以上の光線透過率をもつものが望ましい。
また本発明における基材フィルムは、1種または2種以上のプラスチックフィルムの積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
また基材フィルムには、本発明の目的を損なわないかぎりにおいて、コロナ放電処理、グロー放電、火炎処理、表面粗面化処理等の表面処理が施されていてもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾等が施されてもよい。
[被覆層]
本発明の積層フィルムは、プラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記積層フィルムのレトルト処理前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを満たすことが重要である。
より好ましくは1.5〜15%であり、さらに好ましくは2〜12%である。本発明の被覆層を設けることで、変化率を上記範囲内にすることが可能となり、被覆層の変形に伴う無機薄膜層の劣化がなく、ガスバリア性を維持できる。
表面粗さの変化率が1%未満であると、被覆層の変形の自由度が小さすぎて柔軟性が欠如することになり、結果として無機薄膜層に応力がかかる懸念がある。一方、18%以上になると、被覆層の変形が大きくなり、変形は無機薄膜にも影響し、結果として十分なガスバリア性が得られない場合がある。
本発明における被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムの表面粗さRaは、0.5nm〜10nmであることが好ましく、より好ましくは1.0nm〜9.5nm、さらに好ましくは2.0nm〜9.0nmである。Raが0.5nm以下であると、凹凸が細かすぎて、被覆層と無機薄膜層の界面において、無機物の緻密さに欠けた膜となる虞が有る。一方、Raが10nm以上であると、被覆層表面の凹凸により、無機薄膜層が均一に堆積されず、常態バリア性が低下する虞がある。
本発明における被覆層は、オキサゾリン基を有する樹脂を用いる。特に被覆層中に未反応のオキサゾリン基が存在するのが好ましい。
オキサゾリン基は金属酸化物といった無機薄膜との親和性が高く、また、無機薄膜層形成時に発生する無機酸化物の酸素欠損部分や金属水酸化物と反応できるため、無機薄膜層と強固な密着性を示す。また、被覆層中に存在する未反応のオキサゾリン基は、基材フィルムおよび被覆層の加水分解により発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成することができ、被覆層の耐水性を維持できる。
また、未反応のオキサゾリン基部分と、反応させた架橋部分を被覆層中に共存させることで、耐水性を有しながら柔軟性をも合わせもった膜になり、レトルト処理した際にも
被覆層が変形することが少ないため、結果的に、無機薄膜層もダメージを受けることなく、ガスバリア性を維持することができる。
従来、無機薄膜層と基材フィルムあるいは被覆層を設けた積層フィルムとの密着性が不十分であると、無機薄膜層を形成した積層フィルムをレトルト処理した際に層間に水が入り込み、無機薄膜層と基材フィルムの界面での剥離が生じる。この剥離部分をきっかけとして無機薄膜層に割れや浮きが生じる結果、バリア性およびラミネート強度が低下してしまう。
また、レトルト処理時の層間剥離は基材フィルムと被覆層との間にも起こる。すなわち、レトルト処理時には、基材フィルムを構成する例えばポリエステル樹脂などのプラスチックまたは被覆層中の樹脂が加水分解し結合が分断される。その結果、基材フィルムと被覆層との間の密着性不良が起こり、上記同様にガスバリア性およびラミネート強度が低下する原因となる。
また、例え層間密着性が良好な被覆層を設けても、被覆層自体が軟らかすぎると、レトルト処理した際に被覆層自体が変形し、その上に積層された無機薄膜をも変形させてしまい、ガスバリア性の低下の原因となる。一方、被覆層自体が硬すぎると、レトルト処理した際の基材フィルムの伸縮応力により被覆層が割れて変形し、それに伴い、被覆層上に積層された無機薄膜をも変形させてしまい、こちらもガスバリア性低下の原因となる。
つまり、本発明における被覆層は、オキサゾリン基を含む樹脂を含有し、好ましくは未反応のオキサゾリン基が存在することにより、レトルト時でも層間の密着性が強固であり、かつ被覆層の変形もないことから、結果として無機薄膜のひび割れや劣化を防止でき、ガスバリア性およびラミネート強度を維持できる。
オキサゾリン基を有する樹脂のみから成る被覆層でも、耐レトルト性を発現できるが、より長時間・高温の過酷なレトルト処理になると、被覆層自体の凝集力がやや不十分であることから、被覆層自体の変形による無機薄膜層へのダメージは避けられない。そこで、本発明では、より過酷なレトルト処理にも被覆層が十分耐えることが可能なように、アクリル樹脂を混合するのが好ましい。アクリル樹脂を混合することで、被覆層自体の凝集力が向上し、結果として耐水性が高まる。アクリル樹脂がカルボン酸基を有する場合には、オキサゾリン基と部分的な架橋構造を有することができ、さらに耐水性の向上が期待できる。
本発明ではさらに、カルボキシル基を有するウレタン樹脂を混合することで、被覆層の耐レトルト性をより高めることができる。すなわち、ウレタン樹脂中のカルボキシル基とオキサゾリン基を反応させることにより、被覆層は、部分的に架橋しながらもウレタン樹脂の柔軟性を備えた層となり、無機薄膜の応力緩和をより高レベルで行うことができる。
本発明の積層フィルムは、無機薄膜層を備えた積層体であるが、上記態様によりレトルト処理後も無機薄膜層のガスバリア性および層間密着性を維持することができる。
次に、被覆層の構成に関して詳細に説明する。
(オキサゾリン基を有する樹脂)
本発明では、被覆層中にオキサゾリン基を有する樹脂を含有させる必要がある。オキサゾリン基を有する樹脂としては、オキサゾリン基を有する重合体、例えばオキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じその他の重合性不飽和単量体と従来公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)によって共重合させることにより得られる重合体を挙げることができる。
オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを挙げることができる。
上記のその他の重合性不飽和単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜24個のアルキルまたはシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上適宜選択される。
上記オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体及びその他の重合性不飽和単量体の共重合体の組成モル比は、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体が30〜70モル%であることが好ましく、40〜65モル%であることがより好ましい。
本発明で用いられるオキサゾリン基を有する樹脂は、他樹脂との相溶性、濡れ性の向上、架橋反応効率や被覆層の透明性を向上させることから、水溶性樹脂が好ましい。
オキサゾリン基を有する樹脂を水溶性にするために、他の重合性不飽和単量体として親水性単量体を含有させるのが好ましい。親水性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、水への溶解性の高い(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含有していることが好ましい。導入するポリエチレングリコール鎖の分子量としては、200〜150が好ましく、300〜700がより好ましい。
また、本発明の被覆層を構成する被覆層用樹脂組成物中のオキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基含有量は、5.1〜9.0mmol/gであることが好ましい。より好ましくは6.0〜8.0mmol/gの範囲内である。これまで5.0mmol/g程度までのオキサゾリン基を有する樹脂が使用されている例がみられるが(例えば、特許文献8参照)、本発明では、オキサゾリン基量が多い樹脂を使用することにより、被覆層が架橋構造を有すると同時に被覆層中にオキサゾリン基を残存させることができ、耐水性と柔軟性のバランスをよりコントロールしやすくなる効果が期待できる。
また、本発明の被覆層を構成する被覆層用樹脂組成物中のオキサゾリン基を有する樹脂の数平均分子量は、被覆層の柔軟性と凝集力を発現させるため、20000〜50000の範囲内であることが好ましい。より好ましくは25000〜45000である。分子量が20000未満になると、架橋構造をとった際の拘束力が大きくなることから、レトルト処理時における被覆層の柔軟性が十分に得られず、無機薄膜層への応力負荷が増大する。一方、分子量が50000以上であると、被覆層の凝集力が十分でないことから、耐水性が低下する。
被覆層を構成する被覆層用樹脂組成物中のオキサゾリン基を有する樹脂の含有割合は、組成物中の全樹脂成分(例えば前記オキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂および後述するウレタン樹脂の合計)100質量%中、20〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜60質量%、さらに好ましくは40〜50質量%であるのがよい。オキサゾリンを有する樹脂の含有割合が20質量%未満であると、オキサゾリン基による耐水密着性、柔軟性の効果が十分に発揮されない傾向にあり、一方、70質量%を超えると、被覆層の凝集力が不十分となり、耐水性が低下する虞がある。
(アクリル樹脂)
被覆層を構成する樹脂組成物は、アクリル樹脂を含有する。アクリル樹脂としては、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート(以下、纏めて「アルキル(メタ)アクリレート」と称することがある)を主要な成分とする水性アクリル樹脂が用いられる。水性アクリル樹脂としては、具体的には、アルキル(メタ)アクリレート成分を通常40〜95モル%の含有割合で含み、必要に応じて、共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体成分を通常5〜60モル%の含有割合で含む水溶性または水分散性の樹脂が挙げられる。水性アクリル系樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有割合を40モル%以上とすることにより、塗布性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に良好になる。一方、アルキル(メタ)アクリレートの含有割合を95モル%以下とし、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を水性アクリル系樹脂に5モル%以上導入することにより、水溶化ないし水分散化を容易にするとともに、その状態を長期にわたり安定化することができ、その結果、被覆層と基材フィルムとの接着性や、被覆層内での反応による被覆層の強度、耐水性、耐薬品性などの改善を図ることができる。
アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
共重合可能でかつ官能基を有するビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基またはその塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基が好ましい。これらの官能基は、1種のみでもよいし2種以上であってもよい。
ビニル単量体として用いることのできる、カルボキシル基や酸無水物基を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等のほか、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、さらには無水マレイン酸等も挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらスルホン酸の金属塩(ナトリウム等)やアンモニウム塩などが挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、アミド基またはアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレート等が挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、アミノ基、アルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩を有する化合物としては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、およびこれらのアミノ基をメチロール化したものや、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトン等により4級化したもの等が挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、水酸基を有する化合物としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。
ビニル単量体として用いることのできる、エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
水性アクリル樹脂には、アルキル(メタ)アクリレートおよびビニル単量体として上述した官能基を有する化合物のほかに、例えば、アクリロニトリル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノ又はジアルキルエステル、フマル酸モノ又はジアルキルエステル、イタコン酸モノ又はジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルトリメトキシシラン等を併用して含有させることもできる。
アクリル樹脂は、カルボキシル基を有し、その酸価が40mgKOH/g以下であることが望ましい。これにより、上述したオキサゾリン基とカルボキシル基とが反応し、被覆層は部分的に架橋しながらも柔軟性を維持でき、一層の凝集力向上と無機薄膜の応力緩和が両立できる。より好ましい酸価は20mgKOH/g以下、さらに好ましい酸価は10mgKOH/g以下である。酸価が40mgKOH/gを超えると、架橋が進みすぎることによって被覆層の柔軟性が低下し、レトルト処理時の無機薄膜層への応力が増加する虞がある。
被覆層を構成する被覆層用樹脂組成物中のアクリル樹脂の含有割合は、組成物中の全樹脂成分(例えば前記オキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂および後述するウレタン樹脂の合計)100質量%中、10〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜55質量%、さらに好ましくは20〜50質量%であるのがよい。アクリル樹脂の含有割合が10質量%未満であると、耐水性、耐溶剤性の効果が十分に発揮されない場合があり、一方、60質量%を超えると、被覆層が硬くなりすぎるため、レトルト処理時の無機薄膜層への応力負荷が増大する傾向にある。
(ウレタン樹脂)
被覆層を構成する樹脂組成物は、ウレタン樹脂を含有することが好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより得られる水溶性または水分散性樹脂を用いることができる。特に、水性ポリウレタン樹脂は水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基またはその塩等を含有するものが好ましく用いられる。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
ウレタン樹脂の構成成分であるポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
ウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
ウレタン樹脂にカルボキシル基またはその塩を導入するには、例えば、ポリオール成分(ポリヒドロキシ化合物)として、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基を有するポリオール化合物を用いることで共重合成分として導入し、塩形成剤により中和すればよい。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどのN−アルキルモルホリン類、N−ジメチルエタノールアミン、N−ジエチルエタノールアミンなどのN−ジアルキルアルカノールアミン類等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有し、その酸価が10〜40mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。これにより、上述したオキサゾリン基とカルボキシル基とが反応し、被覆層は部分的に架橋しながらも柔軟性を維持でき、一層の凝集力向上と無機薄膜の応力緩和が両立できる。より好ましくは15〜35mgKOH/gの範囲内、さらに好ましくは20〜30mgKOH/gの範囲内である。
被覆層中にウレタン樹脂を含有する場合の被覆層を構成する樹脂組成物中のウレタン樹脂の含有割合は、組成物中の全樹脂成分(例えば前記オキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂および後述するウレタン樹脂の合計)100質量%中、10〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜55質量%、さらに好ましくは20〜50質量%であるのがよい。上記範囲でウレタン樹脂を含有させることにより、耐水性の向上が期待できる。そして、水性ポリウレタン系樹脂は、水性アクリル系樹脂と共に使用される。
被覆層用樹脂組成物において、該組成物中のオキサゾリン基量[mmol]に対するカルボキシル基量[mmol]が20mmol%以下になっていることが好ましく、より好ましくは15mmol%以下になっていることである。カルボキシル基量が20mmol%を超えると、被覆層形成時に架橋反応が進みすぎることによってオキサゾリン基を多量に消費してしまうことになり、無機薄膜層との密着性および被覆層の柔軟性が低下し、その結果、レトルト処理後のガスバリア性や密着性を損なう虞がある。
本発明においては、被覆層の膜厚を5〜150nmとすることが好ましい。これにより、被覆層の厚みを均一に制御し、結果として無機薄膜層を緻密に堆積させることが可能になる。また被覆層自体の凝集力が向上し、無機薄膜層−被覆層−基材フィルムの各層間の密着力が密になるため、塗膜の耐水性を高めることもできる。被覆層の膜厚は、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、好ましくは140nm以下、より好ましくは110nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。被覆層の膜厚が150nmを超えると、被覆層の凝集力が不十分となり、また被覆層の均一性も低下するため、レトルト処理時の酸素バリア性や水蒸気バリア性を十分に発現できない場合があり、しかもガスバリア性が低下するだけでなく、製造コストが高くなり経済的に不利になる。一方、被覆層の膜厚が5nm未満であると、基材フィルムに対して十分な層間密着性が得られない。
被覆層を基材フィルムの少なくとも片面に設ける方法は特に限定はなく、例えばコート法を採用することができる。
コート法の中でも好適な方法としてオフラインコート法、インラインコート法を挙げることができるが、例えば基材フィルムを製造する工程で行うインラインコート法の場合、
コート時の乾燥、熱処理の条件はコート厚み、装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。
なお、基材フィルムにコロナ放電処理、その他の表面活性化処理を施してもよい。
更に必要であれば、被覆層中に、他の樹脂を少量、あるいは静電防止剤や滑り剤、アンチブロッキング剤などの公知の無機、有機の各種添加剤を含有させることは本発明の目的を阻害しない限り任意である。
[無機薄膜層]
本発明の積層フィルムにおいて、前記被覆層のさらにその上には無機薄膜層が積層される。無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。より好ましくは25〜65%の範囲である。Al濃度が20%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合があり、一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
この複合酸化物における酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、蛍光X線を使った組成を測定するモニターにより行なうことができる。被測定物にX線を照射して被測定物が含む原子から発生する特性X線の強度を測定して組成に換算し値を出力するものである。換算は既知の膜厚組成の被測定物を測定し、得られた蛍光X線との関係により作成した検量線による。
プラスチック基材フィルムが、無機酸化物層が含む原子と同一の原子を含む場合、例えば無機酸化物層としてSiOx、プラスチックフィルム中に滑剤としてシリカの粉体が含まれている場合Si原子を共通に含んでいる場合は、予め同一濃度の該原子を含むプラスチック基材フィルム上に異なる既知の膜厚の無機酸化物層を形成したフィルム作成し該モニターで測定する。得られた蛍光X線強度と膜厚の関係式を求めて作成した検量線により未知の無機酸化物層膜厚を得ることができる。
無機薄膜層の膜厚は、1nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上であり、800nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。無機薄膜層の膜厚が1nm未満であると、満足のいくガスバリア性が得られ難くなる場合があり、一方、800nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性の向上効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、蒸着法など公知の薄膜形成法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。蒸着法による無機薄膜形成法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)などが適宜用いられる。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物、あるいはSiOとAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、基材フィルムにバイアスを印加したり、基材フィルムを加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、基板バイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
本発明により、レトルト処理後の酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れ、かつ層間密着性が高くラミネート強度に優れた積層フィルムを得ることができる。
[ヒートシール性樹脂層]
本発明の積層フィルムは、通常包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成して用いられることが多い。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂などを使用できる。
本発明の積層体は、無機薄膜または基材プラスチックフィルムとヒートシール性プラスチックフィルムとの間またはその外側に、更に、印刷層、他のプラスチック基材および/または紙基材を少なくとも1層以上積層してもよい。印刷層を形成する印刷インクとしては、水性および溶媒系の樹脂含有印刷インクが使用できる。ここで、印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂およびこれらの混合物が例示される。更に、印刷インクに、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤などの公知の添加剤を添加してもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥など公知の乾燥方法が使用できる。
他のプラスチック基材や紙基材としては、充分な積層体の剛性および強度を得る観点から、紙、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂および生分解性樹脂が好ましい。また、機械的強度の優れたフィルムとして、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムを積層することが好ましい。
特に、本発明の積層フィルムを包装材料として使用する場合、無機薄膜とヒートシール性プラスチックフィルとの間に、ピンホール性などの機械特性を向上させるため、ナイロンフィルムを積層することが好ましい。
ナイロンの種類としては、通常、ナイロン6、ナイロン66、メタキシレンアジパミド等が挙げられる。また、ナイロンフィルムの厚さは、通常10〜30μm、好ましくは15〜25μmである。10μmより薄いと強度に不足があり、また、30μmを超えると腰が強く加工に適さない。ナイロンフィルムとしては、縦横の各方向の延伸倍率が、通常2 倍以上、好ましくは2.5〜4倍程度の二軸延伸フィルムが好ましい。斯かるナイロンフィルムは、ピンホール性が良好であり、また、突き刺し強度も良好である。
本発明により、レトルト処理後の酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れ、かつ層間密着性が高くラミネート強度に優れた積層フィルムを得ることができる。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)ラミネート積層体の作成
実施例、比較例で得られた積層フィルムの無機薄膜層の上に、ウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラックA525S」と「タケネートA50」を13.5:1の割合で配合)を用いて、ドライラミネート法により厚さ15μmのナイロンフィルム(東洋紡績株式会社製、N1100)を貼り合わせ、次いで前記同様の接着剤を用いて、熱接着性樹脂として厚み70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社製、P1147)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングして実施例1〜5、比較例1〜3のラミネートガスバリア性積層フィルムを得た。なお、接着層の厚みはいずれも乾燥後約4μmであった。
(2)水蒸気透過度の評価方法
上記(1)で作成した評価用ラミネート積層体について、JIS−K7129−B法に準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製「PERMATRAN−W 3/33MG」)を用い、温度40℃、湿度100%RHの雰囲気下で、常態での水蒸気透過度を測定した。なお、測定においてフィルムの調湿は、プラスチックフィルム側からガスバリア性樹脂組成物層側に向けて水蒸気が透過するような方向で行った。
他方、評価用ラミネート積層体に対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネートフィルムについて、上記と同様にして水蒸気透過度(レトルト処理後)を測定した。
(3)酸素透過度の評価方法
上記(1)で作成した評価用ラミネート積層体について、JIS K7126 B法JIS−K7126−2の電解センサー法(付属書A)に準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、温度23℃、湿度65%RHの雰囲気下で、常態での酸素透過度を測定した。
他方、評価用ラミネート積層体に対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後のラミネート積層体について、上記と同様にして酸素透過度(レトルト処理後)を測定した。
(4)ラミネート強度の評価方法
上記(1)で作製したラミネート積層体Aを幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、テンシロン万能材料試験機(東洋ボールドウイン社製「テンシロンUMT−II−500型」)を用いてラミネート強度(常態)を測定した。なお、ラミネート強度の測定は、引張速度を200mm/分とし、実施例および比較例で得られた各積層フィルムの無機薄膜層(ガスバリア性積層フィルム層)とナイロンフィルム層との層間に水をつけて剥離角度90度で剥離させたときの強度を測定した。
他方、上記で作製したラミネート積層体Aに対して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、直ちに、得られたレトルト処理後のラミネート積層体から上記と同様にして試験片を切り出し、上記と同様にしてラミネート強度(レトルト処理後)を測定した。
(5)積層フィルムの表面粗さ測定
実施例、比較例で得られた、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムの無機薄膜層の表面粗さ(Ra)は走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて評価した。SPMはエスアイアイナノテクノロジー社製SPA300(プローブステーションはNanonavi)を用いた。観察領域は2μm×2μmとし、xデータ数1024、yデータ数512とした。観察する場所は、フィルム中の滑材やフィラーなどによる突起や窪みが無い場所とした。観察にはカンチレバーDF20(エスアイアイナノテクノロジー社より入手)を使用した。得られたSPM像は装置付属のソフトウエアにある平坦化処理を施し、表面粗さRa値を得た。なお、平坦化処理は基本的に2次傾き補正とし、必要に応じてフラット処理を施した。SPM観察は1試料10ヶ所以上で実施し、Ra値は平均値を用いた。前記条件において、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムの常態での表面粗さRaを測定した。
他方、被覆層および無機薄膜層を積層した積層フィルムに対して、積層体の周囲を金枠で固定して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した後、40℃で24時間乾燥し、得られたレトルト処理後の積層フィルムについて、上記と同様にして表面粗さRa(レトルト処理後)を測定した。
レトルト処理前後の表面粗さの変化率Xは、「レトルト前の表面粗さ」と「レトルト後の表面粗さ」の差の絶対値を「レトルト前の表面粗さ」で除することにより算出した。

X= (|(レトルト前の表面粗さ)−(レトルト後の表面粗さ)|) × 100
/(レトルト前の表面粗さ)
(6)被覆層の膜厚の測定方法
各実施例および比較例において基材フィルムに被覆層のみを積層した段階での積層フィルムを試料とし、該試料を斜め切削し、得られた斜め切削面を観察し、被覆層表面から、被覆層/基材フィルムの界面までの高さを測定することにより、被覆層の膜厚を求めた。
なお、試料の斜め切削は、ダイプラウインテス社製「SAICAS NN04」を使用し、切刃にダイアモンドナイフを用い、水平速度500nm/秒、垂直速度20nm/秒の条件で実施した。被覆層/基材フィルムの界面は、被覆層と基材フィルムの物性が異なるため、切削角度が界面で変化すること、SPMによる位相像において被覆層と基材フィルムでコントラストが変化すること、被覆層と基材フィルムでは切削面の凹凸状態が変化すること、などから容易に認識することが可能であった。
斜め切削面の観察は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製「SPA300(Nanonaviプローブステーション)」)を使用して(カンチレバー:同社から提供されるDF3又はDF20を使用、観察モード:DFMモード)実施した。詳しくは、被覆層表面と斜め切削面とが1視野内に入るようにして観察し、被覆層表面の平坦化処理を行うことにより、観察像の傾き補正を実施した。平坦化処理は、SPM付属のソフトウエアの機能であるマニュアル傾き補正を使用し、X方向・Y方向の傾き補正を行った。なお、被覆層/基材フィルム界面は観察視野全体の平坦化処理(ソフトウエアの機能である、2次傾き補正等)を行った像から、切削法の欄で記述した方法で決定した。
(7)オキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基量
オキサゾリン基を有する樹脂を凍結乾燥し、核磁気共鳴分析計(NMR)(ヴァリアン社製「ジェミニ−200」)を用いたH−NMR分析から、オキサゾリン基に由来する吸収ピーク強度と、その他のモノマーに由来する吸収ピーク強度とを求め、そのピーク強度からオキサゾリン基量(mmol/g)を算出した。
<被覆層用樹脂組成物に用いる各材料の調製>
(オキサゾリン基を有する樹脂(A−1))
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業株式会社製「ABN−E」)21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下漏斗から2時間かけて滴下して反応させ、滴下終了後も引き続き5時間反応させた。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。その後、反応液を冷却し、得られた重合体をイオン交換水に溶解させ、固形分濃度25%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−1)のオキサゾリン基量は4.3mmol/gであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定した数平均分子量は20000であった。
(オキサゾリン基を有する樹脂(A−2))
上記オキサゾリン基を有する樹脂(A−1)の合成と同様の方法で、組成(オキサゾリン基量および分子量)の異なる固形分濃度10%のオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(A−2)のオキサゾリン基量は7.7mmol/gであり、GPCにより測定した数平均分子量は40000であった。
(アクリル樹脂(B−1))
アクリル樹脂として、市販のアクリル酸エステル共重合体の25質量%エマルジョン(ニチゴー・モビニール(株)社製「モビニール(登録商標)7980」を用意した。このアクリル樹脂(B−1)の酸価(理論値)は4mgKOH/gであった。
(ウレタン樹脂(C−1))
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管および温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96部と、ジメチロールプロピオン酸12.60部と、ネオペンチルグリコール11.74部と、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70部と、溶剤としてアセトニトリル85.00部およびN−メチルピロリドン5.00部とを投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次いで、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)を得た。
次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450部を添加し、25℃に調整して2000min-1で攪拌混合しながら、上記で得られたポリウレタンプレポリマー溶液(イソシアネート基末端プレポリマー)の全量を添加して水分散させた。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分濃度30%の水溶性ポリウレタン樹脂(C−1)を調製した。得られたウレタン樹脂(C−1)の酸価(理論値)は25mgKOH/gであった。
(ポリエステル樹脂(D−1)の重合)
共重合ポリエステル樹脂の製造例撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマール酸23部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させた後、無水トリメリット酸19部を加え、窒素下220℃で1時間撹拌し、固形分25%の水溶性ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で重量平均分子量は12000であった。
(実施例1)
(1)塗布液の調整
下記の配合比率で各材料を混合し、塗布液(被覆層用樹脂組成物)を作製した。なお、得られた塗布液中のオキサゾリン基を有する樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂の固形分換算の質量比は表1に示す通りである。
水 67.53質量%
イソプロパノール 5.00質量%
オキサゾリン基を有する樹脂 (A−2) 20.00質量%
アクリル樹脂 (B−1) 4.80質量%
ウレタン樹脂 (C−1) 2.67質量%
(2)ポリエステル基材フィルムの製造および塗布液のコート
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)のポリエチレンテレフタレート樹脂を予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。そして、得られた一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液をファウンテンバーコート法によりコートした。乾燥しつつテンターに導き、100℃で予熱、120℃で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら225℃で熱処理を行い、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムに50nmの被覆層が形成された積層フィルムを得た。
(3)無機薄膜層の形成
上記(2)で得られたフィルムの被覆層形成面に、無機薄膜層として二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物層を、電子ビーム蒸着法により形成した。蒸着源としては、3mm〜5mm程度の粒子状のSiO2(純度99.9%)およびA1(純度99.9%)を用いた。ここで複合酸化物層の組成は、SiO/A1(質量比)=60/40であった。またこのようにして得られたフィルム(無機薄膜層/被覆層含有フィルム)における無機薄膜層(SiO/A1複合酸化物層)の膜厚は13nmであった。このようにして被覆層および無機薄膜層を備えたフィルムを得た。
以上のようにして、基材フィルムの上に被覆層/無機薄膜層を備えた積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムについて、レトルト処理前後の表面粗さ測定を行った。結果を表1に示す。
また、前述の評価方法に従って、酸素透過度、水蒸気透過度およびラミネート強度を評価した。結果を表2に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
被覆層形成用の塗工液を調製するにあたり、各樹脂の種類および固形分換算の質量比が表1に示す通りとなるよう各材料の使用量を変更し(このとき、塗工液全量に占めるイソプロパノールの比率は、実施例1と同様、5.00質量%とした)、あるいは被覆層の膜厚が表1に示す通りとなるよう塗工液の塗布量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価した。結果を表2に示す。
(比較参考例1)
被覆層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、評価した。結果を表2に示す。
本発明により、レトルト処理後であっても、酸素や水蒸気に対して優れたガスバリア性を発揮し、また無機薄膜層を備えた積層フィルムでありながらレトルト処理を施した際においても該無機薄膜とそれに接する樹脂間の層間密着性が高く、良好なラミネート強度を有する積層フィルムが得られる。かかる積層フィルムは、生産安定性および経済性に優れ、均質の特性が得られやすいガスバリア性積層フィルムである。したがって、本発明の積層フィルムは、レトルト用の食品包装に止まらず、各種食品や医薬品、工業製品の包装用途のほか、太陽電池、電子ペーパー、有機EL素子、半導体素子等の工業用途にも広く用いることができる。

Claims (8)

  1. 膜厚5〜250μmのプラスチック基材フィルムの少なくとも片面に、アクリル樹脂及び/又はウレタン樹脂を含むとともにオキサゾリン基を有する樹脂をも含む被覆層を設け、さらに前記被覆層上に無機薄膜層が設けられて成る積層フィルムであり、前記被覆層を構成する樹脂組成物中のオキサゾリン基量[mmol]に対するカルボキシル基量[mmol]が20mmol%以下になっており、前記積層フィルムの周囲を金枠で固定して、温度130℃の加圧熱水中に保持するレトルト処理を30分間施した前後の表面粗さRaの変化率が1〜18%であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 請求項1記載の積層フィルムであって、被覆層の平均厚みが5〜150nmであることを特徴とする積層体。
  3. 請求項2記載の積層フィルムであって、オキサゾリン基を有する樹脂のオキサゾリン基量が5.1〜9.0mmol/gであることを特徴とする積層フィルム。
  4. 請求項3記載の積層フィルムであって、被覆層中にウレタン樹脂を含むことを特徴とする積層フィルム。
  5. 請求項4記載の積層フィルムであって、被覆層中のウレタン樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が10〜40mgKOH/gであることを特徴とする積層フィルム。
  6. 請求項5記載の積層フィルムであって、被覆層中のアクリル樹脂がカルボン酸基を有しており、その酸価が40mgKOH/g以下であることを特徴とする積層フィルム。
  7. 請求項6記載の積層フィルムであって、被覆層がオキサゾリン基を有する樹脂を20〜70重量%、アクリル樹脂を10〜60重量%、ウレタン樹脂を10〜60重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする積層フィルム。
  8. 請求項7記載の積層フィルムであって、無機薄膜層が、アルミナ、シリカの複合酸化物層であることを特徴とする積層フィルム。
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