JP2006256091A - 加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体 - Google Patents

加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱殺菌処理や加熱調理等による加熱処理がなされた場合においても当初のガスバリア性の低下を防げるようにした、加熱処理耐性を有するガスバリア性フィルム積層体の提供を目的とする。
【解決手段】プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層とが設けられていると共に、ガスバリア性複合膜層上には無機化合物を添加したポリウレタン系樹脂材料からなるバリア劣化防止層がさらに設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品や医薬品等の包装に好適に用いられるガスバリア性のフィルム積層体であって、特にボイル殺菌、レトルト殺菌等の加熱殺菌や加熱調理等による加熱処理がなされた場合に加熱処理前に有していた当初のガスバリア性が劣化しないようにした、加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体に関する。
近年、食品や医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度等による影響が少ないアルミニウム等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミニウム等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度等による影響が少なく、高度なガスバリア性を示すが、それを介して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならない、検査の際に金属探知器が使用できない等の欠点を有しており問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を高分子フィルム上に形成したフィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有していることが知られ、金属箔等を用いた包装材料では得ることのできない、透明性とガスバリア性を共に有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、このような包装材料においては、前処理を施さない基材上に無機酸化物を蒸着した場合には、基材と蒸着薄膜の密着性が弱いため、ボイル殺菌やレトルト殺菌等の加熱殺菌処理やレトルト調理等により加熱処理がなされるとデラミネーションを引き起こすことがあった。また、密着性の低下により、ガスバリア性が劣化するという問題も抱えていた。
この問題を解決するために、プラスチック基材上にプラズマを用いた前処理を行い、その上に形成される金属酸化物蒸着層との密着性を改善し、後加工適性等を向上させようとする試みがなされている。
さらに、上記のような蒸着フィルムに後加工適正を付与するための方法として、無機酸化物蒸着薄膜層の上に、第2層として、水酸基を有する水溶性高分子と1種類以上の金属アルコキシド或いは金属アルコキシド加水分解物または、塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とする塗工剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を積層したガスバリアフィルムも提案されている(特許文献3参照)。
ところが、このような構成のガスバリアフィルムにプライマー層や介在フィルム層をさらに積層してなる包装材料に対してボイル殺菌やレトルト殺菌のような加熱殺菌処理を行うと、その際の熱や圧力の影響により各層で伸縮が起こり、ガスバリア性被膜層にクラック等が発生し、加熱処理前に有していたガスバリア性が低下することがある。特に、包装材料の1層を構成する接着剤層の構成材料としては一般的にポリウレタン樹脂が使用され
ているが、このような包装材料のポリウレタン樹脂からなる接着剤層は熱に弱く、しかも加熱処理時に塑性変形が生じるため、上記のような傾向は大きくなる。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特開平7−164591号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物蒸着層並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とする塗工液からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層を少なくとも有するガスバリア性のフィルム積層体であって、特に加熱殺菌処理や加熱調理等による加熱処理がなされた場合においても当初のガスバリア性の低下を防げるようにした、加熱処理耐性を有するガスバリア性フィルム積層体の提供を目的とする。
上記の目的を達成するためになされ、請求項1記載の発明は、プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層とが設けられていると共に、ガスバリア性複合膜層上には無機化合物を添加したポリウレタン系樹脂材料からなるバリア劣化防止層がさらに設けられていることを特徴とする加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、プラスチック基材表面のリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理面上に設けられていることを特徴とする。
さらにまた、請求項3記載の発明は、請求項1記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、プラスチック基材に設けられたアクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層を介して設けられていることを特徴とする。
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項3記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、シランカップリング剤が、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持つことを特徴とする。
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、無機化合物が、酸化チタン、酸化鉄、鉄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、無機化合物のポリウレタン系樹脂材料中にお
ける添加量が、0.1〜50wt%の範囲であることを特徴とする。
さらにまた、請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする。
さらにまた、請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする。
さらにまた、請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体において、水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたはポリ(ビニルアルコール−o−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする。
本発明によれば、無機酸化物蒸着層並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層、そして無機化合物を添加したポリウレタン樹脂材料からなるバリア劣化防止層が順次設けてあるので、バリア劣化防止層の加熱処理時における塑性変形が極めて小さくなるので、変形に追従し難い無機酸化物蒸着層やガスバリア性複合膜層におけるクラックの発生が殆どなくなり、加熱処理耐性に優れるガスバリアフィルム積層体を提供することが出来る。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の一例の断面構成を示す説明図であり、図2は本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の他の例の断面構成を示す説明図である。
図1に示す加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体6は、基本的には、プラスチック基材1の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層2並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層3とが設けられていると共に、ガスバリア性複合膜層3上には無機化合物を添加したポリウレタン樹脂材料からなるバリア劣化防止層4がさらに設けられてなるものである。そしてこの加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体6は、その一部を構成する無機酸化物からなる蒸着薄膜層2はプラスチック基材1表面のリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理面5上に設けられている。
一方、図2に示す加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体16は、基本的には、プラスチック基材11の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層12並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤の塗膜の加熱乾燥薄膜からなるガスバリア性複合膜層13とが設けられていると共に、ガスバリア性複合膜層13上には無機化合物を添加したポリウレタン樹脂材料からなるバリア劣化防止層14がさらに設けられてなるものである。この点に関しては前述の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体6
と同じ構成となっているが、この加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体16は、蒸着薄膜層12がプラスチック基材11上に設けられたアクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層15を介して設けられている点で異なっている。
このような構成の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体6、16の一部を構成するプラスチック基材1、11は、プラスチック材料からなるフィルム状の基材である。このようなプラスチック基材1、11はその上部に設けられる無機酸化物からなる蒸着薄膜層1、12の透明性を生かすために可能であれば透明であることが好ましい。具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等の各種プラスチックフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、延伸、未延伸のどちらでも良いが、機械的強度や寸法安定性に優れるものが好ましい。この中では、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこのプラスチック基材1、11の無機酸化物からなる蒸着薄膜層2、12が設けられる面と反対側の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等からなる薄膜が形成されていても良い。
プラスチック基材1、11の厚さは特に制限を受けるものではなく、また包装材料用途としての適性を考慮して、異なる性質のフィルムを積層した積層構成のフィルムを使用することもできる。尚、図2にも示すように、プライマー層15、無機酸化物蒸着薄膜層2、12、さらにはガスバリア性被膜層3、13等をその上部に形成する場合の加工性も考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲の厚さのものが好ましく、特に6〜30μmの範囲がより好ましい。
このような構成のプラスチック基材1、11の上部には無機酸化物蒸着層2、12が設けられるが、これらが密着性良好な状態で積層されるようにするため、プラスチック基材1の表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理面5を設けておいたり、アクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層15を設けておくことが好ましい(図1、2参照。)。
プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)によるプラスチック表面への前処理は、発生したラジカルやイオンを利用してプラスチック基材の表面に官能基を持たせるなどの化学的効果と、表面をイオンエッチングして不純物等を飛ばしたり平滑化するといった物理的効果の2つの効果を同時に得ることが可能である。従って、このような表面処理を行えば、後に行う蒸着の際に緻密な蒸着薄膜を形成させることができるようになる。その結果、プラスチック基材1と蒸着薄膜層2との密着性を強化させることができ、レトルト殺菌や加熱殺菌等において加熱処理がなされた場合においてもクラックが発生し難くなるため、加熱処理耐性の向上が図られることになる。
一方、プラスチック基材11と無機酸化物からなる蒸着薄膜層12との密着を強化するために、上記の方法以外にアクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層15を設けることも有効である。
プライマー層15で使用されるアクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。中でも
エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等のアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価は5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
イソシアネート化合物は、アクリルポリオールと反応し、それによってできるウレタン結合により基材や無機酸化物からなる蒸着薄膜層との密着性を高めるために添加されるもので、主として架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成し得るイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のモノマー類と、これらの重合体、誘導体が好適に用いられる。これらは単独でまたは混合して用いられる。
アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるのもではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生して加工上問題となる場合がある。そこでアクリルポリオールとインソシアネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基がアクリルポリオール由来の水酸基の50倍以下であることが好ましい。特に好ましいのはイソシアネート基と水酸基が等量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が適用可能であり特に限定はしない。
一方、シランカップリング剤としては、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β―(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むもの、さらにγ―グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランのようにエポキシ基を含むもの等で、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基がアクリルポリオールとイソシアネート化合物からなる複合物中で相互作用を示すことにより、もしくはアクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いる場合には共有結合をもたせることにより、強固な層を形成し、他端のアルコキシ基等の加水分解によって生成したシラノール基が無機酸化物中の金属や、無機酸化物の表面の活性の高い水酸基等と強い相互作用により無機酸化物との高い密着性を発現し、得られるプライマー層に目的の物性が得られるようにするために添加するものである。よって上記シランカップリング剤を金属アルコキシドとともに加水分解反応させたものを用いても構わない。また上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればこの複合物に用いることができる。
アクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比で1/1から100/1の範囲であることが好ましいが、2/1から50/1の範囲にあればより好ましい。
上記各成分の複合物からなるプライマー層15の厚さは、均一に塗膜が形成することができる範囲にあれば特に限定しない。具体的には、乾燥膜厚が0.01〜2μmの範囲にあることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られ難く、密着性が
低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。従って、プライマー層15の厚さは0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましい。
このプライマー層15の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。
このような処理が施されたプラスチック基材の上部に設けられる無機酸化物蒸着層2、12は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物等の無機酸化物の蒸着薄膜からなり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有する層である。本発明の加熱処理耐熱を有するガスバリアフィルム積層体においてより優れた加熱処理耐性が発現できるようにすることを配慮すると、これらの中では、酸化アルミニウムや酸化珪素からなる蒸着薄膜層が好ましい。ただしこれらの蒸着薄膜層2、12は、上述した無機酸化物から構成されたものに限定されるものではなく、上記条件に適合する材料であればこれ以外の無機酸化物を構成材料として用いることが可能である。
蒸着薄膜層2、12の厚さは、それを構成する無機酸化物の種類や構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内にあることが望ましい。ただし厚さが5nm未満であると均一な薄膜が得られ難く、膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア性を十分に発揮することができない場合がある。また厚さが300nmを越える場合には薄膜にフレキシビリティを保持させることが難しくなり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、薄膜に亀裂を生じる恐れが出てくる。よって、10〜150nmの範囲内にあることがより好ましい。
蒸着薄膜層2、12をプラスチック基材1、11上に形成する方法としては種々在るが、一般的には通常の真空蒸着法を採用することができる。その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることも可能である。ただし生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。また、真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択の幅の広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層2、12とプラスチック基材1、11との密着性と蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着薄膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
このようにして設けられた無機酸化物蒸着層2、12の上に設けられているのがガスバリア性複合被膜層3、13である。このガスバリア性複合被膜層3、13はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子並びに1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤を用いて形成される。
より具体的には、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接混合するか、或いは予め加水分解させるなどの処理を行ったものを混合したものを塗工剤とし、この塗工剤を前述した無機酸化物からなる蒸着薄膜層2、12上に塗布して均一な厚さの塗膜を成膜した後、それを加熱乾燥して形成される。以下、上記した塗工剤に含まれる各成分についてさらに詳細に説明する。
塗工剤に用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が具体例とて挙げられる。本発明においては、特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を塗工剤を構成する水溶性高分子として用いた場合に優れたガスバリア性が発現されるようになるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものであり、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を含む。
また、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C25等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC254〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C373〕等が挙げられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムは加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
このような塗工剤中にはガスバリア性の発現に支障がない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
塗工剤の塗布方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法等の従来公知の方法を用いることができる。
一方、このガスバリア性複合被膜層3、13の厚さは、塗工剤や加工機の種類や加工条件等によって最適条件異なり特に限定しなが、乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜となり難くなり十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は塗膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。よって、その厚さは0.01〜50μmの範囲、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあればよい。
次に、無機化合物を添加したポリウレタン樹脂材料からなるバリア劣化防止層4、14について詳細に説明する。
金属酸化物からなる蒸着薄膜層等のガスバリア層を有するガスバリアフィルムを用いた包装材料は、その一部にシーラント層等が設けられる。シーラント層は袋状包装体等を作製する際に接着層として働くように設ける層であって、ポリウレタン樹脂により形成されることが多い。このような場合、ポリウレタン樹脂はガラス転移点が低く、それによって形成された薄膜(シーラント層)は熱が加えられると塑性変形を起こす。従って、このような層を前記したガスバリア性フィルムに積層させて設けると、無機酸化物からなる蒸着薄膜層やガスバリア性複合膜層の硬い層がこれらの変形に追随できないためにクラック等の破壊が発生し、これがバリア劣化の原因となっている。
ガスバリア性複合膜3、13の上に形成されているバリア劣化防止層4、14はこのようなガスバリア性の劣化を防ぐことを目的として設けられている層であり、例えばポリウレタン系樹脂組成物中に無機化合物を添加したポリウレタン系樹脂材料からなる。
無機化合物としては、酸化チタン、酸化鉄、鉄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の化合物が挙げられる。これらの無機化合物は単独でも2種類以上を混合して使用しても構わない。また、これらの化合物の粒径、形状、密度等は特にこだわらない。
無機化合物の添加量は、0.1〜50wt%の範囲にあることが好ましく、1〜40wt%の範囲にあればより好ましい。添加量が、0.1wt%未満であると目的とする耐熱
水性を付与することが難しくなり、バリア性劣化を防ぐ効果は得られ難い。また、添加量が50wt.%を超えると、ポリウレタン樹脂に均一に分散ができ難くなるばかりでなく、層の凝集力が低下してラミネート強度が弱くなるため好ましくない。
一方、ポリウレタン系樹脂組成物としては、例えば二液硬化型接着剤を挙げることができる。この接着剤は高分子末端に水酸基を有する主剤(ポリオール)と、イソシアネート基を有する硬化剤(ポリイソシアネート)からなり、水酸基とイソシアネート基の反応により、ウレタン結合を形成して硬化する。
主剤としては、ポリオールとジカルボン酸からなる末端水酸基のポリエステルポリオール、ポリエステルポリオールとジイソシアネートより得られるポリエステルポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオールとジイソシアネートから得られるポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物とジイソシアネートから得られるポリエステルポリエーテルポリウレタンポリオールが具体例として挙げられ、これらは何れも2官能または3官能のポリオールである。これらの中でも、加熱処理耐性付与の効果がより期待される主剤としてはポリエステル系のものである。また、これらは酸無水物変性されていても構わない。
一方、硬化剤としては、トリメメチロールプロパンにジイソシアネートを付加して得られるアダクト体、ジイソシアネートに水を反応させて得られるビュレット体、ジイソシアネートの重合体で得られるイソシアヌレート等の結合形成を有する多官能ポリイソシアネート等が、単独でもしくは2種類以上混合して使用できる。また、ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート等も挙げられる。
主剤と硬化剤の配合比率は接着剤の種類により異なるが、主剤の水酸基/硬化剤のイソシアネート基の当量比が1/1〜1/3の割合で加えることが好ましい。
以上のような組成になるポリウレタン系樹脂材料からなるバリア劣化防止層4、14の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件が採用される。
上記方法にて形成されたバリア劣化防止層4、14の厚さは、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μm程度の範囲にあればよい。
また、無機化合物を添加したポリウレタン樹脂材料中には、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤等の添加剤を適宜添加しても構わない。
以上、本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の概要を説明したが、本発明は以上のような構成のものに限定されるものではなく、ガスバリア性複合被膜層とバリア劣化防止層の間に印刷層が介在された構成のものであってもよい。またバリア劣化防止層上に印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させた構成のものであってもよい。
介在フィルムは、例えば、破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が用いられる。その厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲にあればよい。
さらにシーラント層は袋状包装体などを形成する際に接着層として働くように設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂から構成される。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲であればよい。
一方、前記したプラスチック基材1、11の反対面にも、必要に応じて印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させることも可能である。
以下に本発明の実施例について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、下記のようにしてプライマー溶液を作成した。
<プライマー溶液の調整>
まず、希釈溶媒(酢酸エチル)中に、γ−イソシアネートプロピルトリメチルシラン1重量部とアクリルポリオール10重量部を混合して攪拌した。次いでキシリレンジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートの7対3混合物をそのイソシアネート基が前記アクリルポリオールの水酸基に対して等量となるようにさらに加え、混合溶液を得た。そして、この混合溶液を添加化合物の総濃度が2重量%となるように希釈し、プライマー溶液とした。
次に、下記のようにして複合被膜溶液を作成した。
<複合被膜溶液の調整>
下記に示すA液とB液を配合比(wt%)を6/4にして混合し、ガスバリア性被膜溶液を作成した。
<A液>
テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2換算)の加水分解溶液。
<B液>
ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)。
また、下記のようにして接着剤配合液を作成した。
<接着剤配合液の調整>
主剤としてポリエステルポリウレタンポリオール、硬化剤としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)のアダクト体をそれぞれの官能基比で1/1となるように混合し、さらにそれが固形分率で30wt%となるように酢酸エチルで希釈し、二液硬化型ポリウレタン系接着剤配合液を作成した。
次に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚
さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。続いて、この蒸着フィルムの蒸着薄膜層に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記接着剤配合液に接着剤固形分として20wt%の硫酸バリウムを混練してなるポリウレタン系樹脂材料をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmのバリア劣化防止層を形成し、実施例1に係る加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施し、プラズマ前処理面を形成した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、自己バイアス値は800Vとした。また、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。次に、プラズマ前処理面上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して蒸着フィルムを作成した。次いでこの蒸着フィルムの蒸着薄膜層上に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記の接着剤配合液に接着剤固形分として20wt%の硫酸バリウムを混練してなるポリウレタン系樹脂材料をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmのバリア劣化防止層を形成し、実施例2に係る加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、上記プライマー溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.1μmのプライマー層を形成した。次に、プライマー層の上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。次いで上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記接着剤配合液に接着剤固形分として20wt%の硫酸バリウムを混練してなるポリウレタン系樹脂材料をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmのバリア劣化防止層を形成し、実施例3に係る加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施し、プラズマ前処理面を形成した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、自己バイアス値は800Vとした。また、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。次に、プラズマ前処理面上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。次いでこの蒸着フィルムの蒸着薄膜層上に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記の接着剤配合液に接着剤固形分として5wt%の硫酸バリウムを混練してなるポリウレタン系樹脂材料をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmのバリア劣化防止層を形成し、実施例4に係る加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、プ
ラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施し、プラズマ前処理面を形成した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、自己バイアス値は800Vとした。また、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。次に、プラズマ前処理面上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。次いでこの蒸着フィルムの蒸着薄膜層上に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記の接着剤配合液に接着剤固形分として10wt%の硫酸バリウムを混練してなるポリウレタン樹脂材料をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmのバリア劣化防止層を形成し、実施例5に係る加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。続いて、この蒸着フィルムの蒸着薄膜層に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記接着剤配合液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ4μmの接着性オーバーコート層を形成し、比較のための実施例6に係るフィルム積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施し、プラズマ前処理面を形成した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、自己バイアス値は800Vとした。また、処理ガスにはアルゴン/酸素混合ガスを用いた。次に、プラズマ前処理面上に、電子線加熱方式を用いた反応蒸着により、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層(厚さ20nm)を成膜して、蒸着フィルムを作成した。次いでこの蒸着フィルムの蒸着薄膜層上に上記複合被膜溶液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmのガスバリア性複合被膜層を形成した。そして最後に、ガスバリア性複合被膜層上に上記接着剤配合液をグラビアコート法により塗布してから乾燥させ、厚さ0.4μmの接着性オーバーコート層を形成し、比較のための実施例7に係るフィルム積層体を得た。
上記実施例1〜7で作成したフィルム積層体にドライラミネートにより延伸ナイロン(15μm)をラミネートし、次いで未延伸ポリプロピレン(70μm)をラミネートして包装材料を作成した。
次に、この包装材料を用いて、内容物として水を充填した4辺をシール部とするパウチを作成し、121℃−30分間のレトルト殺菌を行った。そして、レトルト後の酸素透過率(単位:cm3/m2/day、測定条件:30℃−70%RH)を測定し評価を行った。その測定結果を表1に示す。
Figure 2006256091
本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の一例の断面構成を示す説明図である。 本発明の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体の他の例の断面構成を示す説明図である。
符号の説明
1、11…プラスチック基材
2、12…無機酸化物からなる蒸着薄膜層
3、13…ガスバリア性複合被膜層
4、14…バリア劣化防止層
5…プラズマ前処理面
15…プライマー層
6、16…加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体

Claims (9)

  1. プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層並びに水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主体とする塗工剤からなる塗膜の加熱乾燥薄膜であるガスバリア性複合膜層とが設けられていると共に、ガスバリア性複合膜層上には無機化合物を添加したポリウレタン系樹脂材料からなるバリア劣化防止層がさらに設けられていることを特徴とする加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  2. 無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、プラスチック基材表面のリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用したプラズマ前処理面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  3. 無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、プラスチック基材に設けられたアクリルポリオールとイソシアネート化合物及びシランカップリング剤との複合物からなるプライマー層を介して設けられていることを特徴とする請求項1記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  4. シランカップリング剤が、アクリルポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも一方と反応する有機官能基を持つことを特徴とする請求項3記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  5. 無機化合物が、酸化チタン、酸化鉄、鉄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、或いはそれらの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  6. 無機化合物のポリウレタン系樹脂材料中における添加量が、0.1〜50wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  7. 無機酸化物からなる蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  8. 金属アルコキシドが、テトラエトキシシランまたはトリイソプロポキシアルミニウム、或いはそれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加熱処理耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
  9. 水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたはポリ(ビニルアルコール−o−エチレン)、セルロース、デンプンの少なくとも1種類以上を成分に持つことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の加熱殺菌耐性を有するガスバリアフィルム積層体。
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