JP4552523B2 - 蓋付き容器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック容器用の蓋材に使用する積層フィルムおよびそれを使用した蓋材に関するものであり、さらに詳しくは、ガスバリア性が高く、透明性を有し、更には蓋材の開封時にシール面より積層フィルムの破れなどが発生せず良好な開封性を有する透明ガスバリア積層フィルムおよびそれを使用した蓋材に関するものである。
従来、プラスチック容器用の蓋材は、開封時の開けやすさの観点から剛性(コシ)が要求され、一般的に延伸フィルムを2枚貼り合わせ、さらにヒートシール性フィルムを貼り合わせた3層の積層フィルムがよく使用されている。
また、該容器に包装される食品、非食品、医薬品などの内容物によっては、その内容物の変敗を抑制し、それらの機能、性質を保持するために、包装容器にガスバリア性を備えることが求められている。
したがって、該蓋材を形成する積層フィルムには、従来安価で適度なガスバリア性を有する塩化ビニリデン樹脂をコーティングした延伸フィルムが構成上に使用されていた。
例えば、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)をコートした2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(KPET)12μm//2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm//直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)60μm(//部は、ドライラミネーション法により、接着剤でのラミネーションを示している)が使用されていた。
しかしながら、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)は、焼却時に有害なダイオキシンを発生することから環境問題の一つとして取り上げられ、代替することが望まれている。
そこで塩化ビニリデン樹脂(PVDC)をコートした2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(KPET)の代替品として、プラスチックフィルム上に無機酸化物の蒸着薄膜を形成させた透明ガスバリアフィルムが開発・上市されている。
プラスチックフィルム上に無機酸化物としてマグネシウム酸化物を使用して蒸着薄膜を形成した透明ガスバリアフィルム(例えば、特許文献1参照)や無機酸化物に酸化珪素を使用した透明ガスバリアフィルム(例えば、特許文献2参照)などがある。
以下に先行技術文献を示す。
特開昭60−27532号公報 特公昭53−12953号公報
ところが、上述した無機酸化物蒸着フィルムを使用した積層フィルム、例えば、無機酸化物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm//2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm//直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)60μm(//部は、ドライラミネーション法により、接着剤でのラミ
ネーションを示している)の層構成の積層フィルムよりなる蓋材を作製し、プラスチック成形容器にリング状のヒートシールを行い、開封性を試みたところ、1部にシール部から積層フィルムの破れが発生し、蓋材が該容器に残ってしまい内容物を取り出しにくいという問題が生じた。
すなわち、該蓋材の容器へのシール方法の一つであるリングシールは、細いシール巾にシール時の熱、圧力が集中するため、シール部の接着強度の低下が起こるおそれがあり、それによるシール部のデラミや蓋開封時の積層フィルムの破れによる開封性不良の問題が生じないように、リングシール適性が要求されるのだが、前記の構成ではリングシール適性としては不十分であった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、透明性、環境対応に優れ、且つ高いガスバリア性を有するとともに、蓋材として使用した際に開封時にシール面からの積層フィルムの破れが発生せず、良好な開封性を示す透明ガスバリア積層フィルムおよびそれを使用した蓋材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、合成樹脂材料からなる基材層(1)の少なくとも片面に、蒸着薄膜層(3)、中間層(5)、シーラント層(6)を順次、接着剤層(4、4´)を介して積層した透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記基材層(1)と蒸着薄膜層(3)との間に熱架橋性プライマーコート層(2)を有することを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記熱架橋性プライマーコート層(2)が、一般式M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは該金属アルコキシドの加水分解物または、一般式、R´Si(OR)3(R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランあるいは該オルガノシランの加水分解物の内、少なくとも一方とポリオール化合物およびイソシアネート化合物との複合物からなることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記熱架橋性プライマーコート層(2)が、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物との複合物からなることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記蒸着薄膜層(3)が、無機酸化物であることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記蒸着薄膜層(3)の厚みが、5〜500nmであることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルム。
本発明の請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムの蒸着薄膜層(3)上に、さらにガスバリア性被覆層(7)を積層した構成において、該ガスバリア性被覆層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含むものからなることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項8に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムの蒸着薄膜層(3)上に、さらにガスバリア性被覆層(7)を積層した構成において、該ガスバリア性被覆層(7)が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方と、無機層状化合物との複合物からなることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記中間層(5)が、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム、および2軸延伸ポリプロピレンフィルムのいずれかであることを特徴とする透明ガスバリア積層フィルムである。
本発明の請求項10に係る発明は、容器開口部にヒートシールにより、取り付けられる蓋材であって、請求項1乃至9のいずれか1項記載の透明ガスバリア積層フィルムからなることを特徴とする開封性に優れた蓋材である。
本発明の請求項11に係る発明は、請求項10記載の蓋材において、容器開口部にリングシールにより、取り付けられることを特徴とする蓋材である。
本発明の透明ガスバリア積層フィルムは、合成樹脂材料からなる基材層の少なくとも片面に、蒸着薄膜層、中間層、シーラント層を順次、接着剤層を介して積層した透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記基材層と蒸着薄膜層との間に熱架橋性プライマーコート層を有することにより、透明性、環境対応に優れ、且つ高いガスバリア性を有するとともに、蓋材として使用した際に開封時にシール面からの積層フィルムの破れが発生せず、良好な開封性を示すものである。
本発明の実施の形態を図1に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る透明ガスバリア積層フィルムの層構成の1実施例を示す側断面図である。
本発明に係る透明ガスバリア積層フィルムは、図1に示すように、合成樹脂材料からなる基材層(1)の少なくとも片面に、蒸着薄膜層(3)、中間層(5)、シーラント層(6)を順次、接着剤層(4、4´)を介して積層した透明ガスバリア積層フィルムにおいて、前記基材(1)と蒸着薄膜層(3)との間に熱架橋性プライマーコート層(2)を有することを特徴とするものである。
さらに、ガスバリア性を高めるために、前記蒸着薄膜層(3)と中間層(5)との間に、ガスバリア性被覆層(7)を付加することができるものである。
前記基材層(1)に使用する材料は、特に制約はされないが、加工適性などを考慮して、単体フィルム及び各種の積層フィルムを使用することができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などやこれらの共重合体の無延伸あるいは延伸フィルムである。
通常、これらのものを、フィルム状に加工して使用し、特に耐熱性、強度、コストなどの面から、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用することが好ましい。
該基材層(1)の厚さは、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲であることが好ましく、6〜30μmがより好ましい。
次に、熱架橋性プライマーコート層(2)について以下に説明するが、本発明の該熱架橋性プライマーコート層(2)は、該基材層(1)上に設けられ、該基材層(1)と蒸着薄膜層(3)との間の密着性を高めるために設けられるものである。
上記目的を達成するために熱架橋性プライマーコート層(2)として使用することができるものは、先ず、一般式M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される金属アルコキシドあるいは該金属アルコキシドの加水分解物または、一般式、R´Si(OR)3(R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランあるいは該オルガノシランの加水分解物の内、少なくとも一方とポリオール化合物およびイソシアネート化合物からなる複合物である。
つぎに、前記熱架橋性プライマーコート層(2)が、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物からなる複合物も使用することができる。
本発明で使用される前記金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物で、例えば、アルコキシシラン化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタニウムアルコキシド化合物、その他などを使用することができる。
具体的には、テトラメトキシシラン[Si(O−CH34]、テトラエトキシシラン[Si(O−C254]、テトライソプロポキシシラン[Si(O−iso−C374]、テトラブトキシシラン[Si(O−C494]、ジメチルジメトキシシラン[(H3C)2Si(O−CH32]、トリメトキシメチルシラン[H3CSi(O−CH33]、ジメチルジエトキシシラン[(H3C)2Si(O−C252]などのアルコキシシラン化合物、テトラメトキシジルコニウム[Zr(O−CH34]、テトラエトキシジルコニウム[Zr(O−C254]、テトライソプロポキシジルコニウム[Zr(O−iso−C374]、テトラブトキシジルコニウム[Zr(O−C494]などのジルコニウムアルコキシド化合物、テトラメトキシチタニウム[Ti(O−CH34]、テトラエトキシチタニウム[Ti(O−C254]、テトライソプロポキシチタニウム[Ti(O−
iso−C374]、テトラブトキシチタニウム[Ti(O−C494]などのチタニウムアルコキシド化合物などを挙げることができる。
また、熱架橋性プライマーコート層(2)に使用される金属アルコキシドが、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
次に、前記3官能基のオルガノシランは、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される化合物で、例えば、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらの化合物は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
また、熱架橋性プライマーコート層(2)に使用される該3官能基のオルガノシランは、前記一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
さらに、熱架橋性プライマーコート層(2)に使用される3官能基のオルガノシランは、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される化合物で、例えば、γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができるが、これらの化合物は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
また、熱架橋性プライマーコート層(2)に使用される該3官能基のオルガノシランは、前記一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基など、R:アルキル基など)で表される化合物の加水分解物であってもよい。
次に、該熱架橋性プライマーコート層(2)を構成している、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールを使用することができる。
先ず、該ポリエステルポリオールは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びこれらの反応性誘導体の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、4−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのアルコール原料から公知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂のうち末端に2個以上の水酸基(ヒドロキシル基)を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
次に、該アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、もしくはアクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーと共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレンなどのその他のモノマーを加え、共重合させたアクリルポリオールが好ましく使用される。
また、イソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
次に、該ポリオール化合物と3官能基のオルガノシランの配合比は、重量比で1/1〜100/1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2/1〜50/1の範囲内である。
溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが単独および任意に配合されたものを使用することができる。
しかし、該3官能基のオルガノシランを加水分解するために塩酸や酢酸などの水溶液を使用することがあるため、共溶媒としてイソプロピルアルコールなどと極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を使用することがより好ましい。
また、3官能基のオルガノシランの配合時に反応を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わない。
添加される触媒としては、反応性および重合安定性の観点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アルコキシドなどの錫化合物であることが好ましい。
これらの触媒は、配合時に直接添加してもよく、またメタノールなどの溶媒に溶かして添加してもよい。
添加量は、少なすぎても多すぎても触媒効果は得られないため、3官能基のオルガノシランに対してモル比で1/10〜1/10000の範囲内が好ましく、さらに望ましくは、1/100〜1/2000の範囲内であることがより好ましい。
次に、該イソシアネート化合物は、ポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールと反応してできるウレタン結合により、基材層(1)や蒸着薄膜層(3)との密着性を高めるために添加されるもので、主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。
このようなイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネートやジフェニルメタンジイソシアネート、脂肪族系のキシリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が使用され、これらは単独または混合物として用いられる。
ポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比は、特に制限されるものではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキングなどが発生し加工上問題がある。
そこでポリオール化合物とイソシアネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基がポリオール化合物由来の水酸基の50倍以下であることが好ましい。
特に、好ましいのは、イソシアネート基と水酸基が等量で配合される場合であり、その混合方法は、公知の方法が使用できる。
次に、該プライマーコート層(2)を形成するためのプライマー溶液の調液法としては、3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物を任意の配合比で混合した複合混合溶液を作り、それを基材層(1)にコーティングして形成する。
その複合混合溶液の作り方としては、3官能基のオルガノシランとポリオール化合物を混合し、溶媒、希釈剤を加え、任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して複合混合溶液を作る方法、または予め3官能基のオルガノシランを溶媒中に混合しておき、その後ポリオール化合物を混合させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物を加え複合混合溶液を作る方法などがある。
この複合混合溶液に各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系などの酸化防止剤、レベリング剤、流動調製剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤などを必要に応じて添加することも可能である。
次に、該熱架橋性プライマーコート層(2)の厚みは、均一に塗膜が形成することができれば、特に限定されないが、その乾燥膜厚が5〜300nmの範囲内であることが好ましい。
厚みが、5nm以下では均一な塗膜形成ができず、安定的な密着性が得られず、300nm以上では、物性的に平衡に達するので経済的でない。
次に、該熱架橋性プライマーコート層(2)を形成する方法は、例えば、公知のグラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式、バーコーティング方式、滴下方式などを使用することができる。
尚、前記熱架橋性プライマーコート層(2)との密着性をさらに良くするために、該基材層(1)の表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、低温プラズマ処理、火炎処理、薬品処理、溶剤処理などの公知の方法で前処理を行なう場合もある。
また、該基材層(1)の表裏面には、公知の各種の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、及び滑剤などを使用することも可能である。
以上、前述した熱架橋性プライマーコート層(2)は、蓋材をプラスチック容器本体に被せ、リングシールする際、該リングシールによる高い熱、圧力に対する耐性を付与させるものであり、基材層(1)と蒸着薄膜層(3)との間の密着力のリングシール前後における劣化を防止し、蓋材としての機能を十分に発揮させるものである。
さらに、該熱架橋性プライマーコート層(2)は、その性能をより一層、十分に得るために、該基材層(1)に塗布した後、エージング工程を設けることが好ましく、そのエージング方法は、40〜60℃の雰囲気に1〜5日間程度、放置すると良い。
次に、該無機酸化物の蒸着薄膜層(3)としては、基本的には金属の酸化物を使用する
ことが可能であり、例えばアルミニウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物またはそれらの混合物が挙げられる。
一般的には、透明性、物性面、生産性などから、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムを使用することが好ましい。
このような蒸着層を形成する方法は、真空蒸着法、スパッタリング法などを使用することができるが、生産性などを考慮すると、真空蒸着法が好ましい。
前記真空蒸着法は、被蒸着体の形態から、3つの方式があり、1)バッチ方式:成形品の蒸着方式、2)巻き取り式半連続方式:ロール状のフィルム(ウェブ)が対象で真空系の中で巻き出し・蒸着・巻き取り後、大気系に再度戻し、蒸着製品を取り出す方式、3)巻き取り式完全連続方式:ロール状のフィルム(ウェブ)が対象でアンワインダー(巻き出し装置)とリワインダー(巻き取り装置)を大気系に配置し、蒸着ドラムや蒸発源を真空系に配置してロール状のフィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する方式であって、一般的にair−to−air方式と呼ばれる完全連続方式で生産性が高い特徴がある方式である。
ロール状のフィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する場合は、特に巻き取り式半連続方式が普及しており、その巻き取り式真空蒸着装置の構成要素と作業工程の概略、更に真空蒸着装置の内部構造について記述する。
先ず、構成要素は、ロール状フィルム(ウェブ)、蒸発源、蒸発物質、蒸着ドラム、真空系統、アンワインダー(巻き出し装置)、リワインダー(巻き取り装置)、ガイドロール等である。
次に作業工程の概略について記述すると、先ず前準備として真空蒸着装置の扉を開け、ロール状のフィルム(ウェブ)をアンワインダー(巻き出し装置)にセットし、アンワインダーと蒸着ドラム間に配置されているガイドロールを介して、前記ウェブを蒸着ドラムまで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)との間に配置されているガイドロールを介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取り、前記ウェブへの蒸発物質の蒸着準備が終了する。
次に、真空蒸着装置の扉を閉じて、真空ポンプにより、真空蒸着装置内の真空吸引定圧室と隔壁により分割された真空蒸着室を所定の真空環境にして、アンワインダーから前記ウェブを繰り出し、ガイドロールを介して走行させた前記ウェブに、蒸着ドラムの下部に配置されている蒸発源から蒸発物質を加熱蒸発させて前記ウェブに蒸着させる。
前記蒸着ドラムは冷却されているので前記ウェブに蒸発物質を再結晶化させて固着させ、更にリワインダー側のガイドロールを介して蒸着された前記ウェブはリワインダーに巻き取られる。
真空蒸着装置の内部構造は、真空吸引定圧室と真空蒸着室に隔壁で分割されており、真空吸引定圧室はアンワインダー、ガイドロール、張力制御装置、速度制御装置、位置制御装置、蒸着ドラムの一部、リワインダー等が配置されている。
真空蒸着室は蒸着ドラムの一部と蒸発源とその加熱装置等が配置されており、真空蒸着装置本体の周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空吸引定圧室は真空度が1×100MPa程度、隔壁を介して設けた真空蒸着室は1×10-2MPa(SI単位)程
度にセットされる。
2つに室が隔壁で分割されているので、真空吸引定圧室で前記ウェブから発生したガスなどの不純物(ダスト)は、真空蒸着室での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。
また、逆に真空蒸着室に配置されている蒸発源からの放射熱は、真空吸引定圧室への影響は少ないので前記ウェブへの熱の影響は少ない。
真空蒸着法も、加熱方法により、1)間接抵抗法、2)直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、3)高周波誘導加熱法、4)電子ビーム法(Electoron Beam、略してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化珪素や酸化アルミニウム等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、エネルギー変換効率の良い電子ビーム法が最適である。
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発物質に直接、電子ビームを照射し、蒸発物質表面上をスキャンすることで、蒸発物質表面を加熱する方法で、電子ビームがあたった部分でエネルギーを変換し、蒸発物質を蒸発させる方法である。
該蒸着薄膜層(3)の厚みは、蒸着フィルム(A)の最終用途によって、適宜選択されるが、5〜400nmの範囲内であることが好ましい。
膜厚が5nm未満では均一な膜が設けられないので、十分なガスバリア性が得られず、膜厚が400nmを越えると、柔軟性がなくなり、折り曲げ、引張りなどの外的要因により、蒸着膜に亀裂や剥離が発生しやすくなるので好ましくない。
以上のようにして作製した、基材層(1)/熱架橋性プライマーコート層(2)/蒸着薄膜層(3)の層構成からなる蒸着フィルム(A)の蒸着薄膜層(3)上に、接着剤層(4)を介して、中間層(5)を設ける。
該中間層(5)は、前記蒸着フィルム(A)とシーラント層(6)との間に設けることで、蓋材として使用した際に開封時にシール面からの透明ガスバリア積層フィルムの破れを防止する目的で設けられるもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などやこれらの共重合体の無延伸あるいは延伸フィルムである。
通常、これらのものを、フィルム状に加工して使用し、特に機械強度および熱安定性の面から、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム、および2軸延伸ポリプロピレンフィルムのいずれかであることが好ましい。
該中間層(5)の厚みは、強度、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲内であることが好ましく、6〜30μmの範囲内がより好ましい。
次に、接着剤層(4)としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリアクリル系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤などを使用することができる。
尚、ラミネーションの方法は、例えばドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
例えば、前記ドライラミネーション方法は、フィルム上に接着剤を塗布するコーティング部、乾燥装置、ニップローラー部の3つのセクションと、巻き出し、巻き取り、及びテンションコントロールシステムから構成されている。
該コーティング部は、一般的にグラビアコーティング方式、又はリバースコーティング方式を採用している。
前記ラミネーション用接着剤は、溶剤型接着剤、或いは無溶剤型接着剤が使用されるが、無溶剤型接着剤を使用する場合は、乾燥装置は不要であり、ノンソルベントドライラミネーション方法と呼んでいる。
前記ホットメルトラミネーション方法は、加熱溶融したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのホットメルト接着剤をフィルム上に塗工し、直ちに、他のフィルムをラミネートする方法である。
前記エクストルージョンラミネーション方法は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を加熱し、シリンダーと呼ばれる筒の中で溶解し、スクリューで圧力をかけて押し出し、該シリンダーの先端部にあるTダイスと呼ばれる細いスリットからカーテン状に溶解した樹脂が押し出されフィルム状となってラミネーションされる方法である。
以上のように、蒸着フィルム(A)と中間層(5)とをラミネーションする方法は、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法などが使用できるが、接着性、耐熱性、コスト面などを考慮するとドライラミネーション方法が好ましい。
また、他のラミネーション方法として、サンドイッチラミネーション方法を使用することもできる。
さらに、蓋材としての機能をもたせるために、中間層(5)上にプラスチック容器本体とシールできるシーラント層(6)が接着剤層(4´)を介して設けられる。
該シーラント層(6)としては、ポリオレフィン系樹脂である低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、環状ポリオレフィンなどを使用することができる。
また、該シーラント層(6)の厚みは、強度、加工性を考慮すると、15〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜60μmの範囲内がより好ましい。
尚、前記接着剤層(4´)は、前記の接着剤層(4)と同一の材料、ラミネーション方法などを使用する。
本発明の透明ガスバリア積層フィルムは、他に印刷層(図示せず)、アンカーコーティング層(図示せず)などを含んでいても良い。
基材層(1)への印刷層を設ける場合は、該基材層(1)の印刷面は表面或いは裏面どちらの面でも印刷可能であるが、一般的には、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して該基材層(1)の裏面に印刷層を設けることが好ましい。
該印刷層を形成する印刷インキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
該印刷層を設ける印刷方式は、例えば、グラビア印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式など公知の印刷方式を使用できるが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを該基材層(1)に転移させ、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。
尚、前記基材層(1)に印刷する際、該基材層(1)とインキとの密着性を向上させるため必要ならば、該基材層(1)の印刷面側にオゾン処理、コロナ処理などの前処理を施すことが好ましく、更に、アンカーコート剤などをコーティングしても良い。
前記アンカーコート剤としては、例えばイソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系などのアンカーコート剤や、或いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネーション用接着剤などを使用することができる。
該アンカーコート剤をコーティングする方法は、公知のグラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式、バーコーティング方式、滴下方式、などを使用することができる。
次に、上述した、本発明の透明ガスバリア積層フィルムの、前記蒸着薄膜層(3)と中間層(5)との間に、ガスバリア性被覆層(7)を付加することにより、ガスバリア性をより一層高めることができる。
図1に示すように、基材層(1)、熱架橋性プライマーコート層(2)、蒸着薄膜層(3)、ガスバリア性被覆層(7)、接着剤層(4)、中間層(5)、接着剤層(4´)、シーラント層(6)を順次積層した層構成からなる透明ガスバリア積層フィルムである。
該ガスバリア性被覆層(7)は、蒸着薄膜層(3)の後工程での2次的な各種損傷を防止するとともに、より高いガスバリア性を付与するために該蒸着薄膜層(3)上に設けられるものであり、その成分は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を該蒸着薄膜層(3)上に塗布してガスバリア性被覆層(7)を形成する。
例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水溶液あるいは水/アルコール混合溶液)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行なったものを混合した溶液を蒸着薄膜層(3)上にコーティングし、加熱
乾燥し形成したものである。
あるいは、前記ガスバリア性被覆層(7)としては、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液あるいは水/アルコール混合溶液に無機層状化合物を添加したコーティング剤を塗布して形成してもよい。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
特に、ポリビニルアルコール(PVA)は、ガスバリア性が優れているので好ましく、ここでいうポリビニルアルコール(PVA)は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものである。
前記ポリビニルアルコール(PVA)としては、例えば酢酸基が数十%残存している、所謂部分鹸化ポリビニルアルコール(PVA)から酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化ポリビニルアルコール(PVA)などを含み、特に限定されるものではない。
前記塩化錫は、塩化第一錫、塩化第二錫、或いはそれらの混合物であり、またこれら塩化錫の無水物及び水和物なども使用できる。
次に、金属アルコキシドとしては、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定なテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムなどが好ましい。
さらに、該コーティング剤には、そのガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を、必要に応じて加えることができる。
該コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。
このようなイソシアネート化合物として、例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
該ガスバリア性被覆層(7)を蒸着薄膜層(3)上に形成する方法は、グラビアコーティング方式、リバースロールコーティング方式、エアナイフコーティング方式などの公知の方法で塗布した後、加熱、乾燥して形成される。
その際の該ガスバリア性被覆層(7)の厚みは、乾燥後の厚さが、0.01〜50μmの範囲内にあることが好ましい。
該乾燥後の厚さが、0.01μm以下では、十分なガスバリア性が得られず、50μm以上の場合は、塗膜にクラックが入り易く、ガスバリアに悪影響を及ぼすので好ましくない。
前記無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト、ハイロサイト、縁泥石、スメクタイト、バーミキューライト、パイロフィライト、雲母などに代表される天然産出の粘土鉱物、合成スメクタイトや合成雲母などの化成
品を挙げることができる。
無機層状化合物である限りは、その種類、粒径、アスペクト比などは目的とする要求品質などにより、適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、膨潤性が高く、層状構造の相関に水溶性高分子が入り込んでナノコンポジット構造を形成しやすい点からスメクタイト群の具体例としては、モンモリロナイト、サポナイトなどを挙げることができ、その中でも膨潤性や分散性、価格面や加工性の点から、モンモリロナイトがより好ましい。
以上のようにして、透明性、環境対応に優れ、且つ高いガスバリア性を有するとともに、蓋材として使用した際に開封時にシール面からの積層フィルムの破れが発生せず、良好な開封性を示す透明ガスバリア積層フィルムを提供することができる。
また、その透明ガスバリア積層フィルムを使用した蓋材は、容器開口部にヒートシールで、リングシール方式によって、取り付けることができ、シール部の接着強度の低下もなく、且つデラミや蓋材開封時の破れもないリングシール適性の優れた蓋材を提供することができるものである。
以下には、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明をするが、これらに限定されるものではなくもっと広範囲に適用されるものである。
<実施例1>
本発明に係る透明ガスバリア積層フィルムは、図1に示すように、基材層(1)には、片面にコロナ放電処理が施された、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用した。
該コロナ放電処理面に下記組成からなる熱架橋性プライマーコート液をグラビアロールコーティング方法によって、塗布、乾燥し、乾燥した厚みが0.1μmよりなる熱架橋性プライマーコート(2)を積層した。
その後、熱架橋性プライマーコート層(2)の架橋促進のため、40℃で4日間エージングを行なった。
次に、該熱架橋性プライマーコート層(2)上に電子線加熱方式の真空蒸着装置によって、厚み20nmの酸化アルミニウムよりなる無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を積層して無機酸化物からなる蒸着フィルム(A)を得た。
さらに、該蒸着フィルム(A)の蒸着薄膜層(3)上に下記組成からなるガスバリア性コート液をグラビアロールコーティング方法によって、塗布、乾燥し、乾燥した厚みが0.5μmよりなるガスバリア性被覆層(7)を積層した。
引き続き、該ガスバリア性被覆層(7)上にポリウレタン系接着剤(三井武田ケミカル株式会社製A525/A52)を3.5g/m2(固形分)塗布した接着剤層(4)を介して、ドライラミネーション方法によって、両面コロナ放電処理を施された、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)(東洋紡績株式会社製E5202)からなる中間層(5)を積層した。
さらに、該中間層(5)上に前記同様にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(固形分)塗布した接着剤層(4´)を介して、ドライラミネーション方法によって、厚み50
μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPE)(出光ユニテック株式会社製LX−711C)からなるシーラント層(6)を積層し、40℃で4日間エージングを行なって、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムを得た。
前記熱架橋性プライマーコート液の調整は、アクリルポリオール6g(固形分50%)にイソシアネートプロピルトリメトキシシラン0.6gを混合し、撹拌して希釈溶媒により調整された溶液(固形分20%)7gに対して、イソシアネート樹脂(固形分50%)1.5gと希釈溶媒を加えて30分間撹拌し、固形分2%に調整して、熱架橋性プライマーコート液を得た。
前記ガスバリア性コート液の調製は、テトラエトキシシラン10.4gに0.1N−塩酸を89.6g加え、30分間撹拌後、加水分解した固形分3重量%(SiO2換算)の溶液とポリビニルアルコール(PVA)溶液を混合して、ガスバリア性コート液を得た。
<実施例2>
実施例1において、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を厚み40nmの酸化珪素に変更した以外は同様にして、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムを得た。
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
実施例1において、熱架橋性プライマーコート層(2)を積層しなかった以外は同様にして、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムを得た。
<比較例2>
実施例1において、熱架橋性プライマーコート層(2)の替わりに、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物よりなるポリウレタン系のプライマーコート液を塗布し、乾燥して、厚み0.1μmよりなるポリウレタン系のプライマーコート層を積層した以外は同様にして、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムを得た。
実施例1〜2、比較例1〜2の、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムについて、それぞれの酸素ガスバリア性、および該透明ガスバリア積層フィルムを所定形状にカットして蓋材を作製し、シール条件を変化させて、イージーピール性成形容器(マジックトップSEM)に対して、リングシール(シール幅7mm)により、それぞれ30ヶシールしたものの開封性を評価し、結果は表1に示した。
Figure 0004552523
表1は、蓋材用の透明ガスバリア積層フィルムの開封性を評価した表である。
尚、酸素ガスバリア性の評価方法は、JIS K−7126 B法準拠(測定条件30℃70%RH)、開封性評価は、全部で30ヶ開封した内の開封不良数で評価した。
尚、開封不良数とは、手で開封した際に、蓋材に破れが発生し、開封口全面にわたって開くことができなかったものである。
以下に、実施例と比較例との比較結果について説明する。
<比較結果>
上記実施例1〜2による本発明品は、上記比較品1〜2に比較して、ガスバリア性に優れるばかりでなく、リングシール条件に依らず、極めて優れた開封性を有し、蓋材としての
性能を十分に満足していることがわかる。
これに対し、比較例1〜2は、酸素ガスバリア性に関しては優れているが、開封時の不良が発生しており、特にリングシール条件が厳しくなると(温度、圧力が高くなると)、不良数が増してくることから、蓋材としての実用物性が不十分であることがわかる。
本発明に係る透明ガスバリア積層フィルムの層構成の1実施例を示す側断面図である。
符号の説明
1・・・基材層
2・・・熱架橋性プライマーコート層
3・・・蒸着薄膜層
4・・・接着剤層 4´・・・接着剤層
5・・・中間層
6・・・シーラント層
7・・・ガスバリア性被覆層
A・・・蒸着フィルム

Claims (7)

  1. 容器と、この容器の開口部にリングシールにより取り付けられた蓋材とから成る付き容器の製造方法であって
    この蓋材が、合成樹脂材料からなる基材層の少なくとも片面に、蒸着薄膜層、接着剤層、中間層、接着剤層、シーラント層を順次積層した透明ガスバリア積層フィルムであって、前記基材層と蒸着薄膜層との間に、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基、R:アルキル基)で表される3官能基のオルガノシランとポリオール化合物およびイソシアネート化合物との複合物から成る熱架橋性プライマーコート層を有し、
    前記リングシールが180℃以上、0.4MPa以上0.7MPa以下、2秒の条件で行われたものである、
    ことを特徴とする蓋付き容器の製造方法
  2. 前記蒸着薄膜層が、無機酸化物であることを特徴とする請求項1記載の蓋付き容器の製造方法
  3. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項2記載の蓋付き容器の製造方法
  4. 前記蒸着薄膜層の厚みが、5〜500nmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蓋付き容器の製造方法
  5. 前記蓋材が、蒸着薄膜層上にさらにガスバリア性被覆層を有しており、該ガスバリア性被覆層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含むものからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蓋付き容器の製造方法
  6. 前記蓋材が、蒸着薄膜層上にさらにガスバリア性被覆層を有しており、該ガスバリア性被覆層が、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または、(b)塩化錫、の少なくとも一方と、無機層状鉱物との複合物からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蓋付き容器の製造方法
  7. 前記中間層が、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、2軸延伸ポリアミドフ
    ィルム、および2軸延伸ポリプロピレンフィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の蓋付き容器の製造方法
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