JP2006247847A - 透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材 - Google Patents

透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ラミネート強度、耐水性、耐湿性に優れ、高い透明性、ガスバリア性を有し、さらにボイル・レトルト耐性などにも優れた透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材を提供することを目的とする。
【解決手段】、X線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%以下、酸素が33.0%以上、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が99.8%以上である表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)上にプライマー層(2)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)、ガスバリア性被膜層(4)を順次積層した透明蒸着フィルム(A)および該透明蒸着フィルム(A)上にナイロンフィルム層(6)、シーラントフィルム層(7)が接着剤層(5、5´)を介して、順次積層されていることを特徴とするレトルト包材である。
【選択図】図2

Description

本発明は、包装用、特に食品包装用に使用する透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材に関するものであり、さらに詳しくは、ラミネート強度、耐水性、耐湿性に優れ、高い透明性、ガスバリア性を有し、さらにボイル・レトルト耐性、電子レンジ適性、環境適応性にも優れた透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材に関するものである。
食品などの包装に用いられる包装材料は、内容物を長期間保存しても腐敗や変質を起こさないように外気からの酸素や水蒸気を遮断するために、ガスバリア性に優れた包装材料が使用されている。例えば、従来から、ガスバリア性素材としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHとする)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が高いと言われる高分子化合物からなるガスバリア性フィルム、またはこの高分子化合物をラミネート、またはコーティングによりガスバリア性積層フィルムとして包装材料に用いた包装フィルムが一般的に使用されてきた。また、単独では、高いガスバリア性を有していない適当な高分子化合物からなるフィルムにアルミニウム箔をラミネートした積層フィルムやアルミニウムなどの金属を蒸着したアルミニウム蒸着積層フィルムが一般的に使用されてきた。
ところが、前述のPVA、EVOH系の高分子化合物からなるフィルム、または、高分子化合物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性及び湿度依存性が大きいため、高温又は高湿度下においてガスバリア性の低下が見られ、特に水蒸気バリア性がなく、包装用途によっては、煮沸処理やレトルト処理を行なうとガスバリア性が著しく低下することがある。またPVDC系の高分子化合物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、湿度依存性は小さいが酸素ガスバリア性を1cm3/m2・day・atm以下とする高ガスバリア性を実現することは困難である。また、被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理時に有害な毒性のガスを発生することなどから環境問題の一つとして取り上げられている。
一方、前述のアルミニウム箔積層フィルムやアルミニウム蒸着積層フィルムは、温度や湿度などの影響を受けることは少なく、ガスバリア性に優れるが、包装された内容物が見えず、特にアルミニウム箔の場合は、電子レンジによる加熱処理ができないという問題や、近年の環境問題に関する規制が広がる中で、使用後の廃棄の際に分別回収して再利用することが困難である問題、特にアルミニウム箔のように焼却残渣が発生する問題などいろいろな欠点を有していた。
このような中で、これらの欠点を克服した包装材料として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などの基材フィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機酸化物を真空蒸着法等の形成手段により、蒸着薄膜を形成した透明蒸着フィルムにガスバリア性被膜層、シーラント層を設けたガスバリア性積層フィルムが提案(例えば、特許文献1参照。)されている。このガスバリア性積層フィルムおよびこの積層フィルムを用いた包装材料は、透明性、ガスバリア性、耐水性、耐湿性に優れ、ボイル・レトルト耐性、電子レンジ適性、環境対応性にも優れた包装材料として好適に使用されている。
以下に先行技術文献を示す。
特許第2790054号公報
前述のガスバリア性積層フィルムを構成している基材フィルムは、前述した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)に代表されるポリエステルフィルムが、耐熱性、寸法安定性、厚さの均一性などに優れており、無機酸化物の蒸着用としても好適に用いられている。
特に、ボイル・レトルト適性にも優れた包装材料として好適に使用可能にするために、前記基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機酸化物からなる蒸着薄膜層との間に密着強度を高め、デラミネーションの発生やガスバリア性の劣化を防止するためにプライマー層を設けるのが一般的である。
さらに、通常、前記プライマー層と基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)との密着性を良くするために、該基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の表面に前処理としてコロナ処理が行なわれている。
このようにコロナ処理を行なうことにより、該基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の表面の濡れ性を上げ、該プライマー層に対して密着性を確保してきたが、その表面状態は、コロナ処理の度合いにより濡れ性が変わり、該基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)と該プライマー層との密着性にバラツキがあった。そのため濡れ性による表面処理の管理では、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)とプライマー層とのラミネート強度が不安定であり、耐圧環境下で使用する必要があるボイル・レトルト包材用の目的としての透明蒸着フィルムとしては完全ではなかった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、ラミネート強度、耐水性、耐湿性に優れ、高い透明性、ガスバリア性を有し、さらにボイル・レトルト耐性、電子レンジ適性、環境適応性にも優れた透明蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト包材を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項1に係る発明は、X線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%以下、酸素が33.0%以上、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が99.8%以上である表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の該表面上に少なくとも無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を設けたことを特徴とする透明蒸着フィルムである。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の透明蒸着フィルムにおいて、前記無機酸化物が酸化アルミニウムまたは酸化珪素であることを特徴とする透明蒸着フィルムである。
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の透明蒸着フィルムにおいて、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)と前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)との間に3官能オルガノシランあるいはその加水分解物と、アクリルポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物からなる透明プライマー層(2)を設けたことを特徴とする透明蒸着フィルムである。
本発明の請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の透明蒸着フィルムにおいて、前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)上に水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層(4)を設けたことを特徴とする透明蒸着フィルムである。
本発明の請求項5に係る発明は、請求項4記載の透明蒸着フィルムのガスバリア性被膜層(4)上にナイロンフィルム層(6)とシーラントフィルム層(7)とを接着剤層(5、5´)を介して、順次積層したことを特徴とするレトルト包材である。
本発明の透明蒸着フィルムは、X線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%以下、酸素が33.0%以上、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が99.8%以上である表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層の該表面上にプライマー層、無機酸化物からなる蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を順次積層したことにより、ラミネート強度が安定し、耐水性、耐湿性に優れ、高い透明性、ガスバリア性を有している。またこの透明蒸着フィルムを用いたレトルト包材は、前記ガスバリア性被膜層上にナイロンフィルム層、シーラントフィルム層が接着剤層を介して、順次積層されていることにより、ボイル・レトルト耐性に優れ、さらに電子レンジ適性、環境適応性にも優れたものである。
本発明の実施の形態を図1及び図2に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る透明蒸着フィルム(A)の層構成の1実施例を示す側断面図であり、図2は本発明に係る透明蒸着フィルム(A)を用いたレトルト包材(B)の層構成の1実施例を示す側断面図である。
本発明に係る透明蒸着フィルム(A)は、基材フィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の表面がX線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%以下、酸素が33.0%以上、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が99.8%以上になるコロナ処理を行なうことで表面濡れ性が一定し、図1に示すように、該ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の該表面上に設けられる透明プライマー層(2)の密着性が安定し、該透明プライマー層(2)がコーターロールから脱落しないコートが可能になる。尚、前述のX線光電子分光法(XPS)による測定方法は、装置は日本電子株式会社製のJPS−90MXVを使用し、測定条件としては、X線源:MaKα、X線出力:100W(10KV−10mA)、アナライザー透過エネルギー:10eV、定量分析に用いた相対感度因子:C1s→1.00、O1s→2.28とした。
前述のように表面処理された該ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の表面上に直接、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)を設けても構わないが、透明蒸着フィルムを用いた包装材料の用途が、ボイル・レトルト耐性を必要とするレトルト包材の場合は、該表面上に透明プライマー層(2)を設け、該透明プライマー層(2)を介して、該蒸着薄膜層(3)を設けることにより、該ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)と蒸着薄膜層(3)との間の密着強度を高め、デラミネーションの発生やガスバリア性の劣化を防止するのが好ましい。
さらに、ガスバリア性を高めるために、前記蒸着薄膜層(3)の蒸着面にガスバリア性被膜層(4)を順次積層することがより好ましい。
前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の厚さは、物性面、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲であることが好ましく、6〜30μmがより好ましい。
次に、前記透明プライマー層(2)、蒸着薄膜層(3)、ガスバリア性被膜層(4)を形成する材料について詳細に説明する。
先ず、透明プライマー層(2)について以下に説明するが、本発明の該透明プライマー層(2)は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の表面処理面上に設けられ、該ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)と蒸着薄膜層(3)との間の密着強度を高め、デラミネーションの発生やガスバリア性の劣化を防止するために設けられるものである。
上記目的を達成するために透明プライマー層(2)として使用することができるものは、3官能オルガノシランあるいはその加水分解物と、アクリルポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物である。
前記3官能オルガノシランあるいはその加水分解物と、アクリルポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物について、さらに詳しく説明する。
先ず、3官能オルガノシランは、一般式、R´Si(OR)3(式中、R´:アミノ基、イソシアネート基、スルホキシド基、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドオキシプロピル基など、R:アルキル基など)で表される化合物で、例えば、γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノ−プロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシトリメトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどを挙げることができるが、これらの化合物は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。また、本発明において用いられる3官能オルガノシランは、前記化合物などの加水分解物であってもよい。該加水分解物を得る方法は、3官能オルガノシランに直接酸やアルカリなどを添加して加水分解を行なう方法など既知の方法を利用できる。
次に、前記アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、もしくはアクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーと共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基を持つもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを単独で重合させたものや、スチレンなどのその他のモノマーを加え、共重合させたアクリルポリオールが好ましく使用される。また、イソシアネート化合物との反応性を考慮するとヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
次に、該アクリルポリオール化合物と3官能オルガノシランの配合比は、重量比で1/1〜100/1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2/1〜50/1の範囲内である。
溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば、特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが単独および任意に配合されたものを使用することができる。しかし、該3官能オルガノシランを加水分解するために塩酸や酢酸などの水溶液を使用することがあるため、共溶媒としてイソプロピルアルコールなどと極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を使用することがより好ましい。
また、3官能オルガノシランの配合時に反応を促進させるために反応触媒を添加しても一向に構わない。添加される触媒としては、反応性および重合安定性の観点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アルコキシドなどの錫化合物であることが好ましい。これらの触媒は、配合時に直接添加してもよく、またメタノールなどの溶媒に溶かして添加してもよい。添加量は、少なすぎても多すぎても触媒効果は得られないため、3官能オルガノシランに対してモル比で1/10〜1/10000の範囲内が好ましく、さらに望ましくは、1/100〜1/2000の範囲内であることがより好ましい。
さらに、前記イソシアネート化合物とは、アクリルポリオールと反応してできるウレタン結合により、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)や蒸着薄膜層(3)との密着性を高めるために添加されるもので、主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシリレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が使用され、これらが単独か、または混合物として用いられる。
該アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は、特に制限されるものではないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキングなどが発生し加工上問題がある。そこでアクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比としては、イソシアネート化合物由来のイソシアネート基(NCO基)がアクリルポリオール由来の水酸基(OH基)の50倍以下であることが好ましく、特に、好ましいのは、イソシアネート基(NCO基)と水酸基(OH基)が等量で配合される場合である。その混合方法としては、公知の方法が使用可能で特に限定されるものではない。
次に、該透明プライマー層(2)を形成するための前記複合物の調液法としては、前記3官能オルガノシランとアクリルポリオールを混合し、溶媒、希釈剤を加え、任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して複合混合溶液を作る方法、または予め3官能オルガノシランを溶媒中に混合しておき、その後アクリルポリオールを混合させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物を加え複合混合溶液を作る方法などがある。
前記複合物の調液時に、液安定性を向上させるため、金属アルコキシドまたはその加水分解物を加えても構わない。この金属アルコキシドとは、テトラエトキシシラン[Si(O−C254]、トリプロポキシアルミニウム[Al(OC373]など、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物、あるいはその加水分解物である。中でもテトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウムあるいはその両者の化合物が、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
また、前記複合物中に反応触媒を添加しても構わない。例えば、添加される触媒としては、反応性および重合安定性の観点から塩化錫(SnCl2、SnCl4)、オキシ塩化錫(SnOHCl、Sn(OH)2Cl2)、錫アルコキシドなどの錫化合物であることが好ましい。
さらに、各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などの硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系などの酸化防止剤、レベリング剤、流動調製剤、架橋反応促進剤、充填剤などを必要に応じて添加することも可能である。
次に、該透明プライマー層(2)を形成する方法は、例えば、公知のグラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式、エアナイフコーティング方式などを使用することができる。
また、該透明プライマー層(2)の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば、特に限定されないが、その乾燥膜厚が0.01〜2μmの範囲内であることが好ましい。厚さが、0.01μmより薄いと均一な塗膜形成ができず、安定的な密着性が得られず、2μmを越えると、塗膜に柔軟性を保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。0.05〜0.5μmの範囲内にあることが特に好ましい。
尚、該透明プライマー層(2)は、その性能をより一層、十分に得るために、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)に塗布した後、エージング工程を設けることが好ましく、そのエージング方法は、40〜60℃の雰囲気に1〜5日間程度、放置すると良い。
次に、前記蒸着薄膜層(3)を形成する無機酸化物としては、基本的には金属の酸化物を使用することが可能であり、例えばアルミニウム、珪素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物またはそれらの混合物が挙げられる。
一般的には、透明性、物性面、生産性などから、酸化アルミニウム、酸化珪素を使用することが好ましい。
このような蒸着薄膜層(3)を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などを使用することができるが、生産性、コスト面などを考慮すると、真空蒸着法が好ましい。
前記真空蒸着法は、被蒸着体の形態から、3つの方式があり、1)バッチ方式:成形品の蒸着方式、2)巻き取り式半連続方式:ロール状のフィルム(ウェブ)が対象で真空系の中で巻き出し・蒸着・巻き取り後、大気系に再度戻し、蒸着製品を取り出す方式、3)巻き取り式完全連続方式:ロール状のフィルム(ウェブ)が対象でアンワインダー(巻き出し装置)とリワインダー(巻き取り装置)を大気系に配置し、蒸着ドラムや蒸発源を真空系に配置してロール状のフィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する方式であって、一般的にair−to−air方式と呼ばれる完全連続方式で生産性が高い特徴がある方式である。
ロール状のフィルム(ウェブ)に蒸発物質を蒸着する場合は、特に巻き取り式半連続方式が普及しており、その巻き取り式真空蒸着装置の構成要素と作業工程の概略、更に真空蒸着装置の内部構造について記述する。先ず、構成要素は、ロール状フィルム(ウェブ)
、蒸発源、蒸発物質、蒸着ドラム、真空系統、アンワインダー(巻き出し装置)、リワインダー(巻き取り装置)、ガイドロール等である。
次に、作業工程の概略について記述すると、先ず、前準備として真空蒸着装置の扉を開け、ロール状のフィルム(ウェブ)をアンワインダー(巻き出し装置)にセットし、アンワインダーと蒸着ドラム間に配置されているガイドロールを介して、ロール状フィルム(ウェブ)を蒸着ドラムまで走行させ、更にリワインダー(巻き取り装置)との間に配置されているガイドロールを介して、リワインダー(巻き取り装置)に巻き取り、ロール状フィルム(ウェブ)への蒸発物質の蒸着準備が終了する。
次に、真空蒸着装置の扉を閉じて、真空ポンプにより、真空蒸着装置内の真空吸引定圧室と隔壁により分割された真空蒸着室を所定の真空環境にして、アンワインダーからロール状フィルム(ウェブ)を繰り出し、ガイドロールを介して走行させたロール状フィルム(ウェブ)に、蒸着ドラムの下部に配置されている蒸発源から蒸発物質を加熱蒸発させてロール状フィルム(ウェブ)に蒸着させる。前記蒸着ドラムは、冷却されているのでロール状フィルム(ウェブ)に蒸発物質を再結晶化させて固着させ、更に、リワインダー側のガイドロールを介して蒸着されたロール状フィルム(ウェブ)はリワインダーに巻き取られる。
真空蒸着装置の内部構造は、真空吸引定圧室と真空蒸着室に隔壁で分割されており、真空吸引定圧室はアンワインダー、ガイドロール、張力制御装置、速度制御装置、位置制御装置、蒸着ドラムの一部、リワインダー等が配置されている。
真空蒸着室は蒸着ドラムの一部と蒸発源とその加熱装置等が配置されており、真空蒸着装置本体の周辺に付属して配置されている真空ポンプにより、真空吸引定圧室は真空度が1×100MPa程度、隔壁を介して設けた真空蒸着室は1×10-2MPa(SI単位)程度にセットされる。2つに室が隔壁で分割されているので、真空吸引定圧室でロール状フィルム(ウェブ)から発生したガスなどの不純物(ダスト)は、真空蒸着室での蒸着時に悪い影響を与えることは少ない。また、逆に真空蒸着室に配置されている蒸発源からの放射熱は、真空吸引定圧室への影響は少ないのでロール状フィルム(ウェブ)への熱の影響は少ない。
真空蒸着法も、加熱方法により、1)間接抵抗法、2)直接抵抗加熱法(ワイヤフィード法)、3)高周波誘導加熱法、4)電子ビーム法(Electoron Beam、略してEB法)の4つの方法があるが、蒸発物質が酸化アルミニウムや酸化珪素等の絶縁性金属酸化物を使用する場合は、エネルギー変換効率の良い電子ビーム法が最適である。
巻き取り式電子ビーム真空蒸着法は、蒸発物質に直接、電子ビームを照射し、蒸発物質表面上をスキャンすることで、蒸発物質表面を加熱する方法で、電子ビームがあたった部分でエネルギーを変換し、蒸発物質を蒸発させる方法である。
該蒸着薄膜層(3)の厚さは、透明蒸着フィルム(A)の最終用途によって、適宜選択されるが、5〜400nmの範囲内であることが好ましい。膜厚が5nm未満では均一な膜が設けられないので、十分なガスバリア性が得られず、膜厚が400nmを越えると、柔軟性がなくなり、折り曲げ、引張りなどの外的要因により、蒸着膜に亀裂や剥離が発生しやすくなるので好ましくない。
次に、本発明におけるガスバリア性被膜層(4)は、アルミニウム箔なみの高いガスバリア性を付与するために前記蒸着薄膜層(3)上に設けられるものである。
前記ガスバリア性被膜層(4)は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。
例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水溶液あるいは水/アルコール混合溶液)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなどの処理を行なったものを混合した溶液を該蒸着薄膜層(3)上にコーティングし、加熱乾燥し形成したものである。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
特に、ポリビニルアルコール(PVA)は、ガスバリア性が優れているので好ましく、ここでいうポリビニルアルコール(PVA)は、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるもので、例えば酢酸基が数十%残存している、所謂部分鹸化ポリビニルアルコール(PVA)から酢酸基が数%しか残存していない完全鹸化ポリビニルアルコール(PVA)などを含み、特に限定されるものではない。
前記塩化錫は、塩化第一錫、塩化第二錫、或いはそれらの混合物であり、またこれら塩化錫の無水物及び水和物なども使用できる。
次に、前記金属アルコキシドおよびその加水分解物とは、テトラエトキシシラン[Si(O−C254]、トリプロポキシアルミニウム[Al(OC373]など、一般式、M(OR)n(式中、M:Si、Zr、Ti、Alなどの金属元素、R:CH3、C25などのアルキル基、n:金属元素の酸化数)で表される化合物、あるいはその加水分解物である。中でもテトラエトキシシラン、トリプロポキシアルミニウムあるいはその両者の化合物が、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
さらに、該コーティング剤には、そのガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を、必要に応じて加えることができる。
該コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。このようなイソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
該ガスバリア性被膜層(4)を蒸着薄膜層(3)上に形成する方法は、グラビアロールコーティング方式、リバースロールコーティング方式、エアナイフコーティング方式などの公知の方法で塗布した後、加熱、乾燥して形成される。
その際の該ガスバリア性被膜層(4)の厚さは、乾燥後の厚さが、0.01〜50μmの範囲内にあることが好ましい。該乾燥後の厚さが、0.01μm以下では、十分なガスバリア性が得られず、50μm以上の場合は、塗膜にクラックが入り易く、ガスバリアに悪影響を及ぼすので好ましくない。
以上のようにして作製した、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)/透明プライマー層(2)/無機酸化物からなる蒸着薄膜層(3)/ガスバリア性被膜層
(4)の層構成からなる透明蒸着フィルム(A)は、通常、2軸延伸ナイロンフィルム(ON)などの他のフィルムとラミネートしたり、ヒートシール性を付与するために、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などをラミネートして用いることができる。このようなラミネートフィルムの構成例としては、透明蒸着フィルム/PE、透明蒸着フィルム/CPP、PET/透明蒸着フィルム、透明蒸着フィルム/ON/CPPなどが挙げられる。
本発明の透明蒸着フィルムにおいては、該透明蒸着フィルム(A)の該ガスバリア性被膜層(4)上に、ナイロンフィルム層(6)とシーラントフィルム層(7)とを接着剤層(5、5´)を介して、順次積層し、レトルト包材とすることが可能である。
前記ナイロンフィルム層(6)は、2軸延伸されたナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド樹脂フィルム(PA)が用いられ、透明蒸着フィルム(A)とシーラントフィルム層(7)との間に設け、耐圧性をもたせることにより、レトルト殺菌時における透明蒸着フィルム(A)の破れを防止する。
該ナイロンフィルム層(6)の厚さは、強度、加工性を考慮すると、3〜200μmの範囲内であることが好ましく、6〜30μmの範囲内がより好ましい。
次に、接着剤層(5)としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリアクリル系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他などのラミネート用接着剤などを使用することができる。
尚、ラミネーションの方法は、例えばドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
例えば、前記ドライラミネーション方法は、フィルム上に接着剤を塗布するコーティング部、乾燥装置、ニップローラー部の3つのセクションと、巻き出し、巻き取り、及びテンションコントロールシステムから構成されている。該コーティング部は、一般的にグラビアロールコーティング方式、又はリバースロールコーティング方式などを採用している。
前記ラミネーション用接着剤は、溶剤型接着剤、或いは無溶剤型接着剤が使用されるが、無溶剤型接着剤を使用する場合は、乾燥装置は不要であり、ノンソルベントドライラミネーション方法と呼んでいる。
前記ホットメルトラミネーション方法は、加熱溶融したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのホットメルト接着剤をフィルム上に塗工し、直ちに、他のフィルムをラミネートする方法である。
前記エクストルージョンラミネーション方法は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を加熱し、シリンダーと呼ばれる筒の中で溶解し、スクリューで圧力をかけて押し出し、該シリンダーの先端部にあるTダイスと呼ばれる細いスリットからカーテン状に溶解した樹脂が押し出されフィルム状となってラミネーションされる方法である。
このエクストルージョンラミネーション方法を利用して、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を接着剤の代わりにして、一方の基材と他方の基材とをラミネーションするサンドイッチラミネーション方法を使用することもできる。
以上のように、該透明蒸着フィルム(A)と該ナイロンフィルム層(6)とをラミネーションする方法は、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチラミネーション方法などが使用できるが、接着性、耐熱性、コスト面などを考慮するとドライラミネーション方法が好ましい。
さらに、レトルト包材としての機能をもたせるために、前記ナイロンフィルム層(6)上にヒートシールできるシーラントフィルム層(7)が接着剤層(5´)を介して設けられる。尚、該接着剤層(5´)は、前記接着剤層(5)と同一の材料、ラミネーション方法などを使用する。
該シーラントフィルム層(7)としては、ポリオレフィン系樹脂である低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、環状ポリオレフィンなどからなるフィルムを使用することができる。
また、該シーラントフィルム層(7)の厚さは、強度、加工性を考慮すると、15〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜80μmの範囲内がより好ましい。
本発明の透明蒸着フィルムは、他に印刷層(図示せず)などを含んでいても良い。
透明蒸着フィルム(A)への印刷層を設ける場合は、例えば、該透明蒸着フィルム(A)の外面[ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層(1)の表面側]、或いは内面(ガスバリア性被膜層(4)の裏面側)どちらの面でも印刷可能であるが、一般的には、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して該透明蒸着フィルム(A)の内面に印刷層を設けることが好ましい。
該印刷層を形成する印刷インキとしては、インキに色彩を与える顔料や染料などからなる色材と該色材を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させる樹脂と該樹脂を安定して溶解し、該顔料や染料などの分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できる溶剤とから構成されるビヒクル、更に色材の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤などからなる助剤から形成されているが、特に色材は、耐候性の良い顔料が好ましい。
該印刷層を設ける印刷方式は、例えば、グラビア印刷方式、シルクスクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式など公知の印刷方式を使用できるが、鉄製の円筒(シリンダー)表面上に銅メッキを施して下地を形成し、該銅メッキ面上に剥離層を設け、更に銅メッキをして、その表面を鏡面状に研磨した銅面に彫刻方式や腐食方式により、凹部(セル)を作成し、該セル内の印刷インキを該透明蒸着フィルム(A)の内面に転移させ、調子物でもカラフルに印刷ができ、且つ訴求効果も高いグラビア印刷方式が好ましい。
以上のように、透明蒸着フィルム(A)の該ガスバリア性被膜層(4)上に、ナイロンフィルム層(6)とシーラントフィルム層(7)とを接着剤層(5、5´)を介して、順次積層して得たレトルト包材(B)は、該シーラントフィルム層(7)を内面として、ピロー包装袋、4方シール袋、3方シール袋、ガゼット状袋、スタンディングパウチなどに成形して用いることができる。
以下には、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明をするが、これらに限定される
ものではなくもっと広範囲に適用されるものである。
<実施例1>
表面状態がX線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%、酸素が33.0%、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が100%である厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いて、そのコロナ処理面に下記組成からなる透明プライマー液をグラビアロールコーティング方式によって、塗布、乾燥し、乾燥した厚さが0.1μmよりなる透明プライマー層を積層した。その際、透明プライマー層がコーターロールに脱落することは無かった。その結果を表1に示す。尚、前述のX線光電子分光法(XPS)による測定方法は、装置は日本電子株式会社製のJPS−90MXVを使用し、測定条件としては、X線源:MaKα、X線出力:100W(10KV−10mA)、アナライザー透過エネルギー:10eV、定量分析に用いた相対感度因子:C1s→1.00、O1s→2.28とした。
次に、該透明プライマー層上に電子線加熱方式の真空蒸着装置によって、厚さ20nmの酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層を積層して透明蒸着フィルムを得た。さらに、該透明蒸着フィルムの蒸着薄膜層上に下記組成からなるガスバリア性コート液をグラビアロールコーティング方式によって、塗布、乾燥し、乾燥した厚みが0.3μmよりなるガスバリア性被膜層を積層した。
引き続き、該ガスバリア性被膜層上にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(固形分)塗布した接着剤層を介して、ドライラミネーション方法によって、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(ON)を積層した。
さらに、該ナイロンフィルム(ON)上に前記同様にポリウレタン系接着剤を3.5g/m2(固形分)塗布した接着剤層を介して、ドライラミネーション方法によって、厚さ70μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)からなるシーラントフィルム層を積層してレトルト包材を得た。該包材を用いて4方シール袋を作製し、125℃、35分間の条件でレトルト処理を行なった結果、デラミ(浮き)は無かった。その結果を表1に示す。
前記透明プライマー層を形成する透明プライマー液の調整は、アクリルポリオール6g(固形分50%)にイソシアネートプロピルトリメトキシシラン0.6gを混合し、撹拌して希釈溶媒により調整された溶液(固形分20%)7gに対して、イソシアネート樹脂(固形分50%)1.5gと希釈溶媒を加えて30分間撹拌し、固形分2%に調整して、透明プライマー液を得た。
前記ガスバリア性被膜層を形成するガスバリア性コート液の調製は、テトラエトキシシラン10.4gに0.1N−塩酸を89.6g加え、30分間撹拌後、加水分解した固形分3重量%(SiO2換算)の溶液とポリビニルアルコール(PVA)溶液を混合して、ガスバリア性コート液を得た。
<実施例2>
実施例1において、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が65.0%、酸素が35.0%、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が100%である厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した結果、透明プライマー層がコーターロールに脱落することは無かった。またレトルト処理後にデラミ(浮き)は無かった。その結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が64.0%、酸素が36.0%、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が100%である厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した結果、透明プライマー層がコーターロールに脱落することは無かった。またレトルト処理後にデラミ(浮き)は無かった。その結果を表1に示す。
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
実施例1において、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.5%、酸素が32.5%、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が100%である厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した結果、透明プライマー層がコーターロールに部分的に脱落した。またレトルト処理後に小さなデラミ(浮き)が発生した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1において、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が68.0%、酸素が32.0%、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が100%である厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用いた以外は実施例1と同様にして実施した結果、透明プライマー層がコーターロールに部分的に脱落した。またレトルト処理後に小さなデラミ(浮き)が発生した。その結果を表1に示す。
Figure 2006247847
表1は、実施例1〜3、および比較例1〜2における、透明プライマー層のコーターロールからの脱落状況、またレトルト処理後におけるデラミ(浮き)の状況を評価した表である。
以下に、実施例および比較例の評価結果について説明する。
<評価結果>
前記実施例1〜3は、透明プライマー層のコーターロールからの脱落もなく、またレトルト処理後におけるデラミ(浮き)も全くなく、レトルト包材としての性能を十分に満足していることがわかる。
これに対し、比較例1〜2は、透明プライマー層がコーターロールに部分的に脱落し、またレトルト処理後に小さなデラミ(浮き)が発生して、レトルト包材としての実用物性が不十分であることがわかる。
本発明に係る透明蒸着フィルムの層構成の1実施例を示す側断面図である。 本発明に係る透明蒸着フィルムを用いたレトルト包材の層構成の1実施例を示す側断面図である。
符号の説明
A・・・透明蒸着フィルム
B・・・レトルト包材
1・・・ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層
2・・・透明プライマー層
3・・・蒸着薄膜層
4・・・ガスバリア性被膜層
5、5´・・・接着剤層
6・・・ナイロンフィルム層
7・・・シーラントフィルム層

Claims (5)

  1. X線光電子分光法により、波形分離したC1sピークとO1sピークより算出した、アトミック%が、炭素が67.0%以下、酸素が33.0%以上、且つ炭素と酸素のアトミック%の合計が99.8%以上である表面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層の該表面上に少なくとも無機酸化物からなる蒸着薄膜層を設けたことを特徴とする透明蒸着フィルム。
  2. 前記無機酸化物が酸化アルミニウムまたは酸化珪素であることを特徴とする請求項1記載の透明蒸着フィルム。
  3. 前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)層と前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層との間に3官能オルガノシランあるいはその加水分解物と、アクリルポリオールおよびイソシアネート化合物との複合物からなる透明プライマー層を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の透明蒸着フィルム。
  4. 前記無機酸化物からなる蒸着薄膜層上に水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドおよびその加水分解物または(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜層を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の透明蒸着フィルム。
  5. 請求項4記載の透明蒸着フィルムのガスバリア性被膜層上にナイロンフィルム層とシーラントフィルム層とを接着剤層を介して、順次積層したことを特徴とするレトルト包材。
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