JP2001138430A - ボイルないしレトルト処理用積層包装材 - Google Patents

ボイルないしレトルト処理用積層包装材

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JP2001138430A
JP2001138430A JP32380399A JP32380399A JP2001138430A JP 2001138430 A JP2001138430 A JP 2001138430A JP 32380399 A JP32380399 A JP 32380399A JP 32380399 A JP32380399 A JP 32380399A JP 2001138430 A JP2001138430 A JP 2001138430A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を阻止する
バリア性に優れ、更に、ラミネ−ト強度等を有し、飲食
品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種々の物品を
充填包装し、更に、ボイルないしレトルト処理し、殺菌
ないし滅菌処理した包装製品を製造するに有用なボイル
ないしレトルト処理用積層包装材を提供することであ
る。 【解決手段】 基材フィルムの一方の面に、酸素プラズ
マ処理面を設け、更に、該酸素プラズマ処理面の面に、
無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着
膜の上に、プライマ−剤層とラミネ−ト用接着剤層とを
介して、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層した
ことを特徴とするボイルないしレトルト処理用積層包装
材に関するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイルないしレト
ルト処理用積層包装材に関し、更に詳しくは、酸素ガス
あるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れ、更
に、ラミネ−ト強度等を有し、飲食品、医薬品、化粧
品、化学品、その他等の種々の物品を充填包装し、更
に、ボイルないしレトルト処理し、殺菌ないし滅菌処理
した包装製品を製造するに有用なボイルないしレトルト
処理用積層包装材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他
等の種々の物品を充填包装し、更に、ボイルないしレト
ルト処理し、殺菌ないし滅菌処理した包装製品を製造す
るに有用なボイルないしレトルト処理用積層包装材とし
て、種々の形態からなる積層包装材が開発され、提案さ
れている。それらの中で、近年、ポリエステル系樹脂フ
ィルムあるいはポリアミド系樹脂フィルム等のプラスチ
ック基材の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD
法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相
成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD
法)等を利用して、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化
マグネシウム、その他等の無機酸化物の蒸着膜を形成し
て透明ガスバリア性フィルムを製造し、これを酸素ガス
あるいは水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材として
使用し、これに、他のプラスクックフィルム、その他等
の基材を任意に積層してなる積層包装材が注目されてい
る。而して、上記の透明ガスバリア性フィルムは、従来
のアルミニウム箔あるいはポリ塩化ビニリデン系樹脂コ
−ト膜等によるバリア性素材と比較して、使用後の焼却
廃棄処理適正等に優れ、環境対応に適う素材として、今
後、その需要が大いに期待されているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際
に、上記の透明ガスバリア性フィルムを使用し、これと
他のプラスチックフィルム等を積層して積層包装材を製
造し、次いで、これを製袋して包装用袋等を製造し、更
に、該包装用袋内に内容物を充填包装して包装半製品を
製造し、しかる後、該包装半製品にボイルあるいはレト
ルト処理等を施して殺菌ないし滅菌処理した包装製品を
製造しても、十分に満足し得る包装製品を製造すること
が極めて困難であるというのが実状である。例えば、上
記の包装製品においては、包装用袋等を構成する積層包
装材が、プラスクック基材と無機酸化物の蒸着膜との層
間、あるいは、無機酸化物の蒸着膜と他のプラスクック
フィルムとの層間等において十分なラミネ−ト強度が得
られず、しばしば、層間剥離(デラミ)等の現象を生
じ、その商品価値を著しく損ない、もはや商品として使
用し得ないという問題点がある。また、上記の包装製品
においては、積層包装材を構成するプラスチック基材の
表面に設けた無機酸化物の蒸着膜は、ガラス質で、可撓
性に欠け、例えば、印刷加工、ラミネ−ト加工、製袋加
工等の後加工における加熱加圧等により、しばしば、ク
ラック等を発生し、その酸素ガスあるいは水蒸気等に対
するガスバリア性を著しく低下し、この場合も、その商
品価値を著しく損ない、もはや商品として使用し得ない
ものである。特に、上記の包装製品において、プラスチ
ック基材として、ポリアミド系樹脂フィルムを使用した
透明ガスバリア性フィルムにおいては、プラスチック基
材として、ポリエステル系樹脂フィルム等を使用した透
明ガスバリア性フィルムと比較して、該ポリアミド系樹
脂フィルムが吸水性が高いことから、レトルトあるいは
ボイル処理時に、該ポリアミド系樹脂フィルムが水を吸
収ないし吸着し、該ポリアミド系樹脂フィルムが、膨潤
するという現象を起こし、而して、そのようなポリアミ
ド系樹脂フィルムの膨潤に対し無機酸化物の蒸着膜が追
従性に欠けることから、該無機酸化物の蒸着膜にクラッ
ク等が発生し、ガスバリア性等を著しく低下させるとい
う問題点がある。更に、場合によっては、基材フィルム
としてのポリアミド系樹脂フィルムと無機酸化物の蒸着
膜とが剥離し、もはやその用をなさないという問題点も
ある。このため、上記の透明ガスバリア性フィルムにお
いて、その密着性、ガスバリア性等を向上させるため
に、プラスチック基材の表面に、予め、プライマ−剤層
等を形成する方法等も提案されているが、それによる効
果は、それなりに期待し得るものであるが、未だ、ボイ
ルないしレトルト処理適正を有し、十分に満足し得るハ
イバリア性を有するボイルないしレトルト処理用積層包
装材を製造することは困難であるというのが実状であ
る。そこで本発明は、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過
を阻止するバリア性に優れ、更に、ラミネ−ト強度等を
有し、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、その他等の種
々の物品を充填包装し、更に、ボイルないしレトルト処
理し、殺菌ないし滅菌処理した包装製品を製造するに有
用なボイルないしレトルト処理用積層包装材を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、蒸着膜形成直前
のポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹
脂フィルム等の基材フィルムの表面に、酸素ガスによる
プラズマ処理、または、酸素ガスとアルゴンガスまたは
ヘリウムガスとの混合ガスによるプラズマ処理を行い酸
素プラズマ処理面を形成し、次いで、その酸素プラズマ
処理面の面に、無機酸化物の蒸着膜を形成し、更にま
た、該無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマ−剤層とラ
ミネ−ト用接着剤層とを介して、少なくとも、ヒ−トシ
−ル性樹脂層を積層して積層包装材を製造し、而して、
該積層包装材を使用して包装用袋等を製造し、更に、該
包装用袋内に内容物を充填包装して包装半製品を製造
し、しかる後、該包装半製品にボイルあるいはレトルト
処理等を施して殺菌ないし滅菌処理した包装製品を製造
したところ、基材フィルムの表面に、緻密で、柔軟性に
富む無機酸化物の蒸着膜を形成することができると共に
ポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリアミド系樹脂
フィルム等の基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密
接着性に優れ、更に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対す
る極めて高いバリア性を有し、また、プライマ−剤層と
ラミネ−ト用接着剤層とを介して、ヒ−トシ−ル性樹脂
層等を積層することから、無機酸化物の蒸着膜とヒ−ト
シ−ル性樹脂層等とのラミネ−ト強度等にも優れ、ボイ
ルないしレトルト処理等を行っても、上記の各層間にお
いて層間剥離(デラミ)等の現象は認められず、極めて
強度に優れ、殺菌ないし滅菌処理した包装製品を製造す
ることができ、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、化学
品、その他等の種々の物品をレトルト充填包装し、更
に、ボイルないしレトルト処理し、殺菌ないし滅菌処理
した包装製品を製造するに有用なボイルないしレトルト
処理用積層包装材を製造し得ることができることを見出
して本発明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、基材フィルムの一方
の面に、酸素プラズマ処理面を設け、更に、該酸素プラ
ズマ処理面の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、
該無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマ−剤層とラミネ
−ト用接着剤層とを介して、少なくとも、ヒ−トシ−ル
性樹脂層を積層したことを特徴とするボイルないしレト
ルト処理用積層包装材に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について図面等を用
いて以下に更に詳しく説明する。まず、本発明にかかる
ボイルないしレトルト処理用積層包装材の層構成につい
て、その一例を例示して図面を用いて説明すると、図1
は、本発明にかかるボイルないしレトルト処理用積層包
装材についてその一例の層構成を示す概略的断面図であ
り、図2は、本発明にかかるボイルないしレトルト処理
用積層包装材を使用し、これを製袋してなる包装用袋に
ついてその一例を例示する概略的斜視図である。
【0007】まず、本発明にかかるボイルないしレトル
ト処理用積層包装材Aは、図1に示すように、ポリエス
テル系樹脂フィルムまたはポリアミド系樹脂フィルム等
の基材フィルム1の表面に、無機酸化物の蒸着膜3の形
成直前に、酸素ガスによる酸素プラズマ処理面2a、ま
たは、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウムガスとの
混合ガスによる酸素プラズマ処理面2b等からなる酸素
プラズマ処理面2を形成し、更に、該酸素プラズマ処理
面2(2a、2b)の面に、無機酸化物の蒸着膜3を設
け、更に、該無機酸化物の蒸着膜3の上に、プライマ−
剤層4とラミネ−ト用接着剤層5とを介して、少なくと
も、ヒ−トシ−ル性樹脂層6等を積層した構成からなる
ことを基本構造とするものである。上記の例示は、その
一例であり、本発明はこれによって限定されるものでは
ないことは言うまでもないことである。例えば、本発明
においては、図示しないが、上記の無機酸化物の蒸着膜
としては、無機酸化物の蒸着膜の一層からなる単層膜の
みならず無機酸化物の蒸着膜の2層を重層してなる多層
膜、あるいは、異種の無機酸化物の蒸着膜の2層を重層
してなる複合膜等のいずれのものでもよいものである。
また、本発明においては、図示しないが、その包装目
的、充填包装する内容物、包装法、その他等の条件によ
り、他のプラスクック基材、紙基材、セロファン、合成
紙、その他等を任意に積層し、種々の形態からなるボイ
ルないしレトルト処理用積層包装材を製造することがで
きるものである。
【0008】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材を使用し、これを
製袋してなる包装用容器についてその一例を例示して説
明すると、図2に示すように、上記の図1に示すボイル
ないしレトルト処理用積層包装材Aを使用した例で例示
すると、上記の図1に示すボイルないしレトルト処理用
積層包装材Aの2枚を用意し、そのヒ−トシ−ル性樹脂
層6、6の面を対向させて重ね合わせ、次に、その三方
の外周周辺の端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部7、7、
7を形成すると共にその上方に開口部8を形成して、本
発明にかかるボイルないしレトルト処理用積層包装材を
使用し、これを製袋してなる三方シ−ル型軟包装用袋B
を製造することができる。而して、本発明においては、
図示しないが、上記で製造した三方シ−ル型軟包装用袋
Bを使用し、その上方の開口部から内容物を充填包装
し、次いで、その上方の端部をヒ−トシ−ルして上方シ
−ル部を形成して包装半製品を製造し、しかる後、該包
装半製品に、例えば、90℃、30分間のボイル処理、
あるいは、120℃、30分間のレトルト処理等を施し
て、殺菌ないし滅菌処理した包装製品を製造することが
できるものである。上記の例示は、その一例であり、本
発明はこれによって限定されるものではないことは言う
までもないことである。例えば、図示しないが、本発明
において、本発明にかかるボイルないしレトルト処理用
積層包装材を使用し、これを製袋してなる包装用容器の
形態としては、例えば、2方シ−ル型軟包装用袋、ガセ
ット型包装用袋、自立性包装用袋、その他等、種々の形
態からなる包装用容器を製造し得るものである。
【0009】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成する材料、その製造法、その他等について説明する
と、まず、本発明において、基材フィルムとしては、例
えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオ
レフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トあるいは
ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各
種のナイロン樹脂からなるポリアミド系樹脂、ポリカ−
ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアル
コ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化
物、ポリアクリロニトリル系樹脂、アセタ−ル系樹脂、
その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用す
ることができる。上記の樹脂のフィルムないしシ−トと
しては、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製
膜したもの、または、1ないし2軸方向に延伸加工され
ているもの等のいずれのものでもを使用することがで
き、更に、その厚さとしては、製膜時等における安定性
等から、約5〜100μm位、好ましくは、9〜50μ
m位が望ましい。なお、本発明において、用途に応じ
て、例えば、光安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可
塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その
透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含
有する樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用することが
できる。
【0010】ところで、本発明においては、上記に例示
した基材フィルムの中でも、ボイルないしレトルト処理
用積層包装材としての強度、耐熱性、特に、ボイルない
しレトルト処理適性等を充足するものとしては、例え
ば、テレフタル酸若しくはその誘導体、2.6−ナフタ
レンジカルボン酸若しくはその誘導体等のジカルボン酸
類と、エチレングリコ−ルとの重縮合反応等によって得
られるポリエチレンテレフタレ−トフィルムあるいはポ
リエチレンナフタレ−トフィルム等のポリエステル系樹
脂のフィルムないしシ−トを使用することが最も好まし
いものである。上記のポリエステル系樹脂フィルムとし
ては、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜
したもの、あるいは、例えば、テンタ−方式、あるい
は、チュ−ブラ−方式等の通常の延伸加工方式で1軸な
いし2軸方向に延伸加工されているもの等を使用するこ
とができ、更に、その厚さとしては、フィルムの製造時
の安定性等から、約5〜100μm位、好ましくは、9
〜50μm位が望ましい。具体的には、例えば、2軸延
伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、2軸延伸ポリ
エチレンナフタレ−トフィルム等を使用することが好ま
しいものである。
【0011】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成する酸素プラズマ処理面について説明すると、かか
る酸素プラズマ処理面としては、気体をア−ク放電によ
り電離させることにより生じるプラズマガスを利用して
表面改質を行なうプラズマ表面処理法等を利用して、酸
素プラズマ処理面を形成することができるものである。
すなわは、本発明においては、酸素ガス、窒素ガス、ア
ルゴンガス、ヘリウムガス等のガスをプラズマガスとし
て使用する方法でプラズマ処理を行って、酸素プラズマ
処理面を形成することができる。而して、本発明におい
て、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの表
面に行うプラズマ処理としては、プラズマ放電処理の際
に、酸素ガス、または、酸素ガスとアルゴンガスまたは
ヘリウムガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行
なうことが好ましく、このようなプラズマ処理により、
より低い電圧でプラズマ処理を行なうことが可能であ
り、更に、これによりポリエステル系樹脂フィルム等の
基材フィルムの表面の変色等も防止して、その表面に、
良好に酸素プラズマ処理面を設けることができるもので
ある。
【0012】ところで、本発明において、上記のプラズ
マ処理としては、酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウ
ムガスとの混合ガスを使用してプラズマ処理を行うこと
が最も望ましく、また、そのプラズマ処理は、ポリエス
テル系樹脂フィルム等の基材フィルムの表面に無機酸化
物の蒸着膜を形成する直前にインラインで行うことが望
ましいものである。すなわち、本発明においては、ポリ
エステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの表面に、無
機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラ
ズマ処理を行うことにより、ポリエステル系樹脂フィル
ム等の基材フィルムの表面に付着している水分や塵等を
除去すると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸素
分子がポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの
表面と化学反応を起こすことによって、その処理面に薄
くて平滑性の高い酸化被膜を形成した酸素プラズマ処理
面を設けることができものである。更に、本発明におい
ては、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの
表面に、無機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラ
インでプラズマ処理を行うことにより、ポリエステル系
樹脂フィルム等の基材フィルムの表面に、例えば、水酸
基(−OH基)等が形成されている酸素プラズマ処理面
を設けることもできるものである。
【0013】而して、本発明においては、上記のような
プラズマ処理により、ポリエステル系樹脂フィルム等の
基材フィルムの表面に酸化被膜、あるいは、水酸基(−
OH基)等が形成されている酸素プラズマ処理面上に、
後述するように、無機酸化物の蒸着膜を蒸着すると、非
常に緻密な、柔軟性に富む無機酸化物の蒸着膜を形成す
ることができ、しかも、ポリエステル系樹脂フィルム等
の基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性に優
れ、その結果、その両者の層間における層間剥離(デラ
ミ)等の現象は認められず、更に、付言すれば、無機酸
化物の蒸着膜の膜厚は、従来のそれと比較して、より薄
い膜厚で、十分に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する
極めて高いバリア性薄膜を形成することができるもので
ある。しかも、本発明においては、上記のように無機酸
化物の蒸着膜を、従来のそれと比較して、より薄い膜厚
で形成して、十分に酸素ガスあるいは水蒸気等に対する
ハイバリア性薄膜とすることができることから、例え
ば、フィルムの巻き取り、印刷加工、ラミネ−ト加工、
あるいは、製袋加工等の後処理加工において、上記の無
機酸化物の蒸着膜にクラック等の発生等を防止すること
ができ、いわゆる、後加工適性を向上させることができ
るという利点も有するものである。更に、本発明におい
ては、上記のように、ポリエステル系樹脂フィルム等の
基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密着性が優れて
いることから、他の樹脂のフィルムないしシ−ト等のラ
ミネ−ト適性も向上するものである。また、本発明にお
いては、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルム
の表面に、その無機酸化物の蒸着膜形成直前にインライ
ンでプラズマ処理を行うことから、その製造コスト面に
おいても、他の方法等と比較して極めて優れているもの
であるという利点を有するものである。
【0014】なお、本発明において、上記のプラズマ処
理においては、プラズマ処理条件等が極めて重要であ
り、その条件によって得られる効果は、しばしば、異な
ることになるものである。而して、本発明において、プ
ラズマ処理と化学反応に影響する要因としては、プラズ
マ出力、ガスの種類、ガスの供給量、および、処理時間
等を挙げることができる。本発明において、プラズマ処
理としては、具体的には、酸素ガスとアルゴンガスまた
はヘリウムガスとの混合ガスを使用することが望まし
く、そして、その酸素ガスとアルゴンガスまたはヘリウ
ムガスとの混合ガスのガス圧としては、1×10-1〜1
×10-10 Torr位、より好ましくは、1×10-4
1×10-8Torr位が望ましく、また、酸素ガスとア
ルゴンガスまたはヘリウムガスとの比率としては、分圧
比で酸素ガス:アルゴンガスまたはヘリウムガス=10
0:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜
70:30位が望ましく、更に、そのプラズマ出力とし
ては、5〜70kW位、より好ましくは、10〜50k
W位が望ましく、更にまた、その処理速度としては、5
0〜800m/min位、より好ましくは、100〜6
00m/min位が望ましい。上記の酸素ガスとアルゴ
ンガスまたはヘリウムガスとの分圧比において、アルゴ
ンガスまたはヘリウムガス分圧が高くなると、プラズマ
で活性化される酸素分子が少なくなり、アルゴンガスま
たはヘリウムガスが還元性ガスとしてポリエステル系樹
脂フィルム等の基材フィルムと反応し、ポリエステル系
樹脂フィルム等の基材フィルムの酸化による酸化被膜の
形成、あるいは、水酸基等の導入が阻害されることから
好ましくないものである。また、上記のプラズマ出力
が、5kW未満、更には、10kW未満の場合には、酸
素ガスの活性化が低下し、高活性の酸素原子が生成しに
くいことから好ましくなく、また、70kWを越える
と、更には、50kWを越えると、プラズマ出力が高す
ぎるので、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィル
ムの劣化により、ボイルないしレトルト処理用積層包装
材そのものの物性が低下するという問題を引き起こすこ
とから好ましくないものである。更に、上記の処理速度
が、50m/min未満、更には、100m/min未
満であると、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィ
ルムに対する酸素プラズマ量が少なく、また、800m
/minを越えると、更には、600m/minを越え
ると、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの
酸化が急速に進み、ポリエステル系樹脂フィルム等の基
材フィルムが多孔質状になり、バリア性が低下して好ま
しくないものである。
【0015】ところで、本発明において、プラズマ処理
において、プラズマを発生させる方法としては、例え
ば、直流グロ−放電、高周波(Audio Frequ
ency:AF、Radio Frequency:R
F)放電、マイクロ波放電等の3通りの装置を利用して
行うことができる。而して、本発明においては、通常
は、13.56MHzの高周波(AF)放電装置を利用
して行うことができる。
【0016】なお、本発明において、無機酸化物の蒸着
膜を形成する直前のポリエステル系樹脂フィルム等の基
材フィルムの表面に、上記のようなプラズマ処理により
形成されるプラズマ処理面について、例えば、X線光電
子分光装置(Xray Photoelectron
Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量
分析装置(Secondary Ion Mass S
pectroscopy、SIMS)等の表面分析装置
を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析す
る方法を利用して、プラズマ処理面の元素分析を行うこ
とより、前述のように、ポリエステル系樹脂フィルム等
の基材フィルムの表面に付着している水分や塵等を除去
されると共に、更に、プラズマ中で活性化された酸素分
子がポリエステル系樹脂フィルム等の基材フィルムの表
面と化学反応を起こすことによって、その処理面に薄く
て平滑性の高い酸化被膜を形成した酸素プラズマ処理面
であること、更に、ポリエステル系樹脂フィルム等の基
材フィルムの表面に、例えば、水酸基(−OH基)等の
官能基が形成されている酸素プラズマ処理面であること
を確認することができるものである。具体的には、X線
源として、MgKα1.2、X線出力として15Kv、
20mAの測定条件で表面〜100ÅのXPS分析を行
い、而して、酸化被膜の形成状態は、表面のO/Cの組
成比を測定して確認することができ、処理前のO/C組
成比と処理後のO/C組成比は、処理後の方が、酸化物
が形成される分、大きくなるものである。また、水酸基
(−OH基)等の形成状態は、O1sの532eV位置
のピ−クを測定して確認することができ、処理前は、5
32eVの位置にピ−クは存在しないが、O2 プラズマ
処理することによって、0H基の存在を意味するO1s
の532eVの位置にピ−クが生じるものである。
【0017】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かか
る無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長
法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併
用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜ある
いは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製
造することができるものである。
【0018】本発明において、上記の化学気相成長法に
よる無機酸化物の蒸着膜について更に説明すると、かか
る化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、
例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、
光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemica
l Vapor Deposition法、CVD法)
等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができ
る。本発明においては、具体的には、基材フィルムの一
方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原
料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウ
ムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスと
して、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を
利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素
等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。上記
において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高
周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ
等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明に
おいては、高活性の安定したプラズマを得るためには、
高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望
ましい。
【0019】具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成
長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一
例を例示して説明すると、図3は、上記のプラズマ化学
気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法について
その概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的
構成図である。上記の図3に示すように、本発明におい
ては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ−
12内に配置された巻き出しロ−ル13から基材フィル
ム1を繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロ−
ル14を介して所定の速度で冷却・電極ドラム15周面
上に搬送する。而して、本発明においては、例えば、上
記の補助ロ−ル14と冷却・電極ドラム15との間にプ
ラズマ処理装置16を配設し、該プラズマ処理装置16
により、基材フィルム1の表面にプラズマガスを照射し
て、該基材フィルム1の表面に、無機酸化物の蒸着膜の
形成直前において、酸素プラズマ処理面を形成するもの
である。他方、本発明においては、ガス供給装置17、
18および、原料揮発供給装置19等から酸素ガス、不
活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、そ
の他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物
を調整しなから原料供給ノズル20を通して真空チャン
バ−12内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そし
て、上記の冷却・電極ドラム15周面上に搬送され、酸
素プラズマ処理面を設けた基材フィルム1の酸素プラズ
マ処理面の上に、グロ−放電プラズマ21によってプラ
ズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸
化物の蒸着膜を形成し、製膜化する。本発明において
は、その際に、冷却・電極ドラム15は、真空チャンバ
−12の外に配置されている電源22から所定の電力が
印加されており、また、冷却・電極ドラム15の近傍に
は、マグネット23を配置してプラズマの発生が促進さ
れている。次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸
着膜を形成した基材フィルム1は、補助ロ−ル24を介
して巻き取りロ−ル25に巻き取って、本発明にかかる
プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形
成することができるものである。なお、図中、26は、
真空ポンプを表す。
【0020】上記の例示は、その一例を例示するもので
あり、これによって本発明は限定されるものではないこ
とは言うまでもないことである。図示しないが、本発明
においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物
の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を
積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も
1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材
質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもでき
る。また、本発明においては、上記のような低温プラズ
マ化学気相成長装置を用いて、まず、第1層の無機酸化
物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化
物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成す
るか、あるいは、上記のような低温プラズマ化学気相成
長装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機
酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層
膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができ
る。
【0021】上記において、酸化珪素等の無機酸化物の
蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガ
スとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジ
シロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメ
チルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジ
シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシ
ラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を
使用することができる。本発明において、上記のような
有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチ
ルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを
原料として使用することが、その取り扱い性、形成され
た蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。ま
た、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アル
ゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0022】本発明において、上記で形成される酸化珪
素の蒸着膜は、有機珪素化合物等のモノマ−ガスと酸素
ガス等とが化学反応し、その反応生成物が基材フィルム
の酸素プラズマ処理面の面に密接着し、緻密な、柔軟性
等に富む薄膜を形成することができ、通常、一般式Si
X (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸
化珪素を主体とする連続状の蒸着膜である。而して、上
記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の
点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.
9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体と
する薄膜であることが好ましいものである。上記におい
て、Xの値は、モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラ
ズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの
値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が
黄色性を帯び、透明性が悪くなる。また、上記の酸化珪
素の蒸着膜は、珪素(Si)と酸素(O)を必須構成元
素として有し、更に、炭素(C)と水素(H)のいずれ
が一方、または、その両者の元素を微量構成元素として
含有する酸化珪素の蒸着膜からなり、かつ、その膜厚
が、50Å〜4000Åの範囲であり、更に、上記の必
須構成元素と微量構成元素の構成比率が、膜厚方向にお
いて連続的に変化しているものである。更に、上記の酸
化珪素の蒸着膜は、炭素からなる化合物を含有する場合
には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少
していることを特徴とするものである。
【0023】而して、本発明において、上記の酸化珪素
の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xr
ay Photoelectron Spectros
copy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Sec
ondary Ion Mass Spectrosc
opy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向
にイオンエッチングする等して分析する方法を利用し
て、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記
のような物性を確認することができる。また、本発明に
おいて、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚
50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的に
は、その膜厚としては、100〜1000Å位が望まし
く、而して、上記において、1000Å、更には、40
00Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易
くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、5
0Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難
になることから好ましくないものである。上記のおい
て、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分
析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファン
ダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。ま
た、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変
更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくするこ
と、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方
法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことが
できる。
【0024】次に、本発明において、上記の物理気相成
長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明
すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着
膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、
イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等
の物理気相成長法(Physical VaporDe
position法、PVD法)を用いて無機酸化物の
蒸着膜を形成することができる。本発明において、具体
的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気
化し、これを基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸
着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使
用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの一方の
上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマ
で助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて
蒸着膜を形成することができる。上記において、蒸着材
料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波
誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等
にて行うことができる。
【0025】本発明において、物理気相成長法による無
機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、その具体例
を挙げると、図4は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を
示す概略的構成図である。図4に示すように、巻き取り
式真空蒸着装置31の真空チャンバ−32の中で、巻き
出しロ−ル33から繰り出す基材フィルム1は、ガイド
ロ−ル34、35を介して、冷却したコ−ティングドラ
ム36に案内される。而して、本発明においては、例え
ば、上記のガイドロ−ル35と冷却したコ−ティングド
ラム36との間にプラズマ処理装置37を配設し、該プ
ラズマ処理装置37により、基材フィルム1の表面にプ
ラズマガスを照射して、該基材フィルム1の表面に、無
機酸化物の蒸着膜の形成直前において、酸素プラズマ処
理面を形成するものである。次いで、上記の冷却したコ
−ティングドラム36上に案内された基材フィルム1の
酸素プラズマ処理面の上に、るつぼ38で熱せられた蒸
着源39、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化
アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガ
ス吹出口40より酸素ガス等を噴出し、これを供給しな
がら、マスク41、41を介して、例えば、酸化アルミ
ニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上
記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物
の蒸着膜を形成した基材フィルム1を、ガイドロ−ル3
5′、34′を介して送り出し、巻き取りロ−ル42に
巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法
による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。な
お、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸
着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を
形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の
上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるい
は、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、こ
れを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形
成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化
物の蒸着膜を形成することができる。
【0026】上記において、無機酸化物の蒸着膜として
は、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用
可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム
(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(C
a)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(N
a)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジ
ルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸
化物の蒸着膜を使用することができる。而して、好まし
いものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(A
l)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化
物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のよう
に金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例え
ば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMO
X (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、
金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表され
る。また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(S
i)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.
5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(C
a)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ
(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.
5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、
0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)
は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の
値をとることができる。上記において、X=0の場合、
完全な金属であり、透明ではなく全く使用することがで
きない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値で
ある。本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、ア
ルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケ
イ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(A
l)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用するこ
とができる。本発明において、上記のような無機酸化物
の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の
酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜20
00Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内
で任意に選択して形成することが望ましい。また、本発
明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する
金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以
上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物
の蒸着膜を構成することもできる。
【0027】ところで、本発明において、本発明にかか
る積層材、包装用容器等を構成する無機酸化物の蒸着膜
として、上記のように化学気相成長法あるいは物理気相
成長法等によ無機酸化物の蒸着膜のいずれの蒸着膜でも
使用することができるものであるが、本発明において
は、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の場合に
は、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスが、化学的
に分解し、更に、これが酸素ガス等と化学反応して蒸着
膜を形成することができ、極めて緻密な、柔軟性等に富
み、かつ、基材フィルムの酸素プラズマ処理面に強固に
密接着した蒸着膜を形成し得ることができるので、化学
気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の方が、物理気相
成長法によるそれよりも好ましいものである。また、本
発明においては、例えば、物理気相成長法と化学気相成
長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層
以上からなる複合膜を形成して使用することもできるも
のである。而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の
2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルム
の上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富
み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の
蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、
物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2
層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構
成することが望ましいものである。勿論、本発明におい
ては、上記とは逆くに、基材フィルムの上に、先に、物
理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次
に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比
較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜
を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物
の蒸着膜を構成することもできるものである。
【0028】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成するプライマ−剤層について説明すると、かかるプ
ライマ−剤層としては、まず、ポリウレタン系樹脂をビ
ヒクルの主成分とし、該ポリウレタン系樹脂1〜30重
量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量
%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤
0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位
の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、
架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意
に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合してポリ
ウレタン系樹脂組成物を調整し、而して、該ポリウレタ
ン系樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−
ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、ス
プレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、前述
の無機酸化物の蒸着膜の上にコ−ティングし、しかる
後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去
し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発
明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。な
お、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、
例えば、0.1g/m2 〜1.0g/m2 (乾燥状態)
位が望ましい。而して、本発明においては、上記のよう
なプライマ−剤層により、無機酸化物の蒸着膜とヒ−ト
シ−ル性樹脂層との密接着性等を向上させると共にプラ
イマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加
工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後
加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生
を防止するものである。
【0029】上記において、ポリウレタン系樹脂組成物
を構成するポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官
能イソシアネ−トとヒドロキシル基含有化合物との反応
により得られるポリウレタン系樹脂を使用することがで
きる。具体的には、例えば、トリレンジイソシアナ−
ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレン
ポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソ
シアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−
ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシ
アナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テルポ
リオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアクリレ−ト
ポリオ−ル、その他等のヒドロキシル基含有化合物との
反応により得られる一液ないし二液硬化型のポリウレタ
ン系樹脂を使用することができる。而して、本発明にお
いて、上記のようなポリウレタン系樹脂を使用すること
により、無機酸化物の蒸着膜とヒ−トシ−ル性樹脂層と
の密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長
度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製
袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無
機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するもので
ある。
【0030】次にまた、上記において、ポリウレタン系
樹脂組成物を構成するシランカップリング剤としては、
二元反応性を有する有機官能性シランモノマ−類を使用
することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメト
キシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエト
キシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラ
ン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ン
の水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができ
る。
【0031】上記のようなシランカップリング剤は、そ
の分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキ
シ、または、アセトキシ基等が加水分解し、シラノ−ル
基(SiOH)を形成し、これが、無機酸化物の蒸着膜
を構成する金属、あるいは無機酸化物の蒸着膜表面上の
活性な基、例えば、水酸基等の官能基と何らかの作用に
より、例えば、脱水縮合反応等の反応を起こして、無機
酸化物の蒸着膜表面上にシランカップリング剤が共有結
合等で修飾され、更に、シラノ−ル基自体の無機酸化物
の蒸着膜表面に吸着や水素結合等により強固な結合を形
成する。他方、シランカップリング剤の他端にあるビニ
ル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、あるいは、メ
ルカプト等の有機官能基が、そのシランカップリング剤
の薄膜の上に形成される、例えば、印刷模様層、ラミネ
−ト用接着剤層、アンカ−コ−ト剤層、その他の層等を
構成する物質と反応して強固な結合を形成し、更に、上
記の印刷模様層、ラミネ−ト用接着剤層、アンカ−コ−
ト剤層等を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層が強固に密接
着して、そのラミネ−ト強度を高め、このようにして、
本発明においては、ラミネ−ト強度の高い強固な積層構
造を形成可能とするものである。本発明においては、シ
ランカップリング剤が有する無機性と有機性とを利用
し、無機酸化物の蒸着膜と、印刷模様層、接着剤層ある
いはアンカ−コ−ト剤層を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂
層との密接着性を向上させ、これにより、そのラミネ−
ト強度等を高めるものである。
【0032】次に、本発明において、上記のポリウレタ
ン系樹脂組成物を構成する充填剤としては、例えば、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリ
カ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末、その他等のも
のを使用することができる。而して、上記の充填剤は、
ポリウレタン系樹脂組成物液の粘度等を調製し、そのコ
−ティング適性を向上させると共にバインダ−樹脂とし
てのポリウレタン系樹脂とシランカップリング剤を介し
て結合し、コ−ティング膜の凝集力を向上させるもので
ある。
【0033】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成するラミネ−ト用接着剤層について説明すると、か
かるラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤としては、
例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチ
ル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリ
マ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリ
ロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリア
クリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着
剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリ
ル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からな
るエチレン共重合体系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポ
リエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド
系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミ
ノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系
接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリ
ル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレ
ン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−
ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等
からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用するこ
とがてきる。上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液
型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態で
もよく、また、その性状は、フィルム・シ−ト状、粉末
状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構
については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧
型等のいずれの形態でもよいものである。而して、上記
の接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ル
コ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるい
は、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティン
グ量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が
望ましい。なお、本発明においては、上記のようなラミ
ネ−ト用接着剤の中でも、特に、2液硬化型のポリウレ
タン系樹脂からなるラミネ−ト用接着剤が、極めて強固
な接着強度、柔軟性のコ−ティング膜等を形成し得るこ
とか好ましいものである。
【0034】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等を
構成する最内層、あるいは、最外層を形成するヒ−トシ
−ル性樹脂層を構成するヒ−トシ−ル性樹脂としては、
熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムない
しシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロ
セン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン
共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合
体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−
メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペン
テンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまた
はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸
変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ
(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その
他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することがで
きる。而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹
脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用する
ことができる。その膜もしくはフィルムないしシ−トの
厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましく
は、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0035】ところで、本発明において、上記のような
材料を使用し、本発明にかかるボイルないしレトルト処
理用積層包装材を製造する方法としては、例えば、前述
の無機酸化物の蒸着膜の面に、まず、上記のプライマ−
剤を塗布して塗布膜を形成してプライマ−剤層を設け、
次いで、該プライマ−剤層の面に、上記のラミネ−ト用
接着剤をコ−ティングしてコ−ティング膜を形成してラ
ミネ−ト用接着剤層を設け、しかる後、該プライマ−剤
層およびラミネ−ト用接着剤層等を介して、少なくと
も、ヒ−トシ−ル性樹脂層を構成するヒ−トシ−ル性樹
脂フィルムないしシ−トをドライラミネ−ト積層法を用
いて積層することにより、本発明にかかる積層材を製造
することができる。
【0036】なお、本発明においては、本発明にかかる
ボイルないしレトルト処理用積層包装材、包装用容器等
を構成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア
−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹
脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等
に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリ
ビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の
着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィ
ルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィル
ムないしシ−ト等を使用することができる。これらの材
料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用すること
ができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとして
は、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、
更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0037】更に、本発明においては、通常、包装用容
器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれること
から、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装
適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピン
ホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生
性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本
発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を
任意に選択して使用することができ、具体的には、例え
ば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル
酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタク
リル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン
系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリア
クリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロ
ニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹
脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ
−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、
ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィ
ルムないしシ−トから任意に選択して使用することがで
きる。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙
等も使用することができる。本発明において、上記のフ
ィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に
延伸されたもの等のいずれのものでも使用することがで
きる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから3
00μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとして
は、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティン
グ膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0038】なお、本発明においては、本発明にかかる
積層材を構成するいずれかの層間に所望の印刷模様層を
形成することができるものである。而して、上記の印刷
模様層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2
種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安
定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、
架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤
の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔
料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練し
てインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使
用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印
刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他
等の印刷方式を使用し、前述のコ−ティング薄膜の上
に、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様
を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成すること
ができる。
【0039】なお、本発明においては、前述の無機酸化
物の蒸着膜の面に設けるプライマ−剤層としては、前述
のポリウレタン系樹脂組成物によるプライマ−剤層の他
に、更に、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系
樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)ア
クリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンア
ルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるい
はその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、そ
の他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用して
プライマ−剤層を形成することができる。なお、本発明
においては、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ
−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いて
コ−ティングしてプライマ−コ−ト剤層を形成すること
ができ、而して、そのコ−ティング量としては、0.1
〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0040】次に、本発明において、本発明にかかるボ
イルないしレトルト処理用積層包装材を使用して製袋な
いし製函する方法について説明すると、例えば、包装用
容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場
合、上記のような方法で製造した本発明にかかるボイル
ないしレトルト処理用積層包装材を使用し、その内層の
ヒ−トシ−ル性フィルムの面を対向させて、それを折り
重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺
端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成す
ることができる。而して、その製袋方法としては、上記
の本発明にかかるボイルないしレトルト処理用積層包装
材を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるい
はその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、
例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、
四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型
(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、
角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−
トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器
を製造することができる。その他、例えば、自立性包装
袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能で
あり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用し
てチュ−ブ容器等も製造することができる。上記におい
て、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−
ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−
ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行う
ことができる。なお、本発明においては、上記のような
包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ
−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ
−等を任意に取り付けることができる。
【0041】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合には、例えば、本発明にかか
るボイルないしレトルト処理用積層包装材として、紙基
材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を
製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を
使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリ
ックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタ
イプの液体用紙容器等を製造することができる。また、
その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいず
れのものでも製造することができる。
【0042】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化
学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、そ
の他等の物品の充填包装に使用されるものである。具体
的には、例えば、ハム・ソ−セ−ジ、ハンバ−グ、カレ
−、シチュ−、お粥、中華料理用具、液体調味料、その
他等のボイルあるいはレトルト処理し、殺菌ないし滅菌
処理した包装製品を製造する包装用容器として有用なも
のである。
【0043】
【実施例】上記の本発明について実施例を挙げて更に具
体的に説明する。 実施例1 (1).基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ
化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、まず、下
記の条件でプラズマ処理を行い、上記の2軸延伸ポリエ
チレンテレフタサ−トフィルムの片面に、酸素プラズマ
処理面を設けた。 (プラズマ処理条件) 処理面;コロナ処理面 導入ガス量;酸素ガス:ヘリウムガス=7.0:3.0
(単位;slm) 真空チャンバ−内の真空度;2〜6×10-6mBar 蒸着チャンバ−内の真空度;2〜5×10-3mBar 冷却・電極ドラム供給電力;3kW ライン速度;100m/min 次に、上記で形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレ
−トフィルムの酸素プラズマ処理面の上に、インライン
で下記のプラズマ化学蒸着条件で、厚さ100Åの酸化
珪素の蒸着膜を形成した。 (蒸着条件) 蒸着面;酸素プラズマ処理面 導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘ
リウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度;2〜6×10-6mBar 蒸着チャンバ−内の真空度;2〜5×10-3mBar 冷却・電極ドラム供給電力;10kW ライン速度;100m/min 次に、上記で膜厚100Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し
た直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラ
ズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス
(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単
位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6
×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素/
アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行って、酸化珪
素の蒸着膜の表面張力を54dyne/cm以上向上さ
せてたプラズマ処理面を形成した。 (2).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着
膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合
物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量
%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、
十分に混練してなるプライマ−剤組成物を使用し、これ
をグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.4g/m2
(乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−
剤層を形成した。更に、上記で形成したプライマ−層の
面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤
を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロ−ルコ−
ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるよ
うにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し
た。次に、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、
厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを、その
コロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その
両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる積層
材を製造した。 (3).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意
し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して
重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−
トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を
有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製
造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から
カレ−を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ
−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、
更に、該包装半製品を90℃、30分間ボイル処理して
包装製品を製造した。上記で製造した包装製品は、酸素
ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネ
−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯
蔵保存等に優れているものであった。
【0044】実施例2 (1).基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ
化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、上記の実
施例1と全く同様に行って、上記の2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタサ−トフィルムの片面に、酸素プラズマ処理
面を設け、更に、該酸素プラズマ処理面の上に、厚さ1
00Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更にまた、該厚さ
100Åの酸化珪素の蒸着膜の面に、プラズマ処理面を
形成した。 (2).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着
膜のプラズマ処理面に、上記の実施例1と全く同様に行
って、膜厚0.4g/m2 (乾燥状態)からなるプライ
マ−剤層を形成し、更に、該プライマ−剤層の面に、膜
厚4.0g/m 2 (乾燥状態)からなるラミネ−ト用接
着剤層を形成した。次に、上記で形成したラミネ−ト用
接着剤層面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィ
ルムを使用し、これをドライラミネ−ト積層し、次い
で、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面
に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を
使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚
4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティング
してラミネ−ト用接着剤層を形成した。次に、上記で形
成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延
伸ポリプロピレンフィルムを、そのコロナ処理面を対向
させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ
−ト積層して、本発明にかかる積層材を製造した。 (3).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意
し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して
重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−
トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を
有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製
造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から
ハンバ−グを充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−
トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造
し、更に、該包装半製品を120℃、30分間レトルト
処理して包装製品を製造した。上記で製造した包装製品
は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、ま
た、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐
え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。
【0045】比較例1 (1).基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ
化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、まず、下
記の蒸着条件で、厚さ100Åの酸化珪素の蒸着膜を形
成した。 (蒸着条件) 蒸着面;コロナ処理面 導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘ
リウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度;2〜6×10-6mBar 蒸着チャンバ−内の真空度;2〜5×10-3mBar 冷却・電極ドラム供給電力;10kW ライン速度;100m/min 次に、上記で膜厚100Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し
た直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラ
ズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス
(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単
位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6
×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素/
アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行って、酸化珪
素の蒸着膜の表面張力を54dyne/cm以上向上さ
せてたプラズマ処理面を形成した。 (2).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着
膜のプラズマ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラ
ミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ
−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になる
ようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し
た。次に、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、
厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを、その
コロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その
両者をドライラミネ−ト積層して、積層材を製造した。 (3).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意
し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して
重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−
トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を
有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製
造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から
カレ−を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ
−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、
更に、該包装半製品を90℃、30分間ボイル処理して
包装製品を製造した。
【0046】比較例2 (1).基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチ
レンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ
化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、上記の比
較例1と全く同様に行って、上記の2軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムの片面に、厚さ100Åの酸
化珪素の蒸着膜を形成し、更に、該厚さ100Åの酸化
珪素の蒸着膜の面に、プラズマ処理面を形成した。 (2).次に、上記の(1)で形成した酸化珪素の蒸着
膜のプラズマ処理面に、上記の比較例1と全く同様に行
って、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)からなるラミネ
−ト用接着剤層を形成した。次に、上記で形成したラミ
ネ−ト用接着剤層面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロ
ン6フィルムを使用し、これをドライラミネ−ト積層
し、次いで、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィル
ムの面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接
着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法によ
り、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−
ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次に、
上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μ
mの無延伸ポリプロピレンフィルムを、そのコロナ処理
面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドラ
イラミネ−ト積層して、積層材を製造した。 (3).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意
し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して
重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−
トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を
有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製
造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から
ハンバ−グを充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−
トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造
し、更に、該包装半製品を120℃、30分間レトルト
処理して包装製品を製造した。
【0047】実験例 上記の実施例1〜2、および、比較例1〜2で製造した
積層材について、酸素透過度、水蒸気透過度、および、
ラミネ−ト強度を測定した。 (1).酸素透過度の測定 これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、
モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクスト
ラン(OXTRAN)〕にて測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、
モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マト
ラン(PERMATRAN)〕にて測定した。 (3).これは、積層材を15mm巾の短冊きりし、テ
ンシロンでT字剥離で、剥離速度300mm/minで
実施して測定した。上記の測定結果について、下記の表
1に示す。
【0048】 上記の表1において、酸素透過度の単位は、〔cc/m
2 /day・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過
度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・100%R
H〕であり、また、ラミネ−ト強度の単位は、〔kgf
/15mm巾〕である。
【0049】上記の表1に示す結果より明らかなよう
に、実施例1〜2にかかるものが、酸素透過度、水蒸気
透過度、ラミネ−ト強度等のいずれにおいても優れてい
るものであることが判明した。これは、本発明におい
て、酸素プラズマ処理面、プライマ−剤層等を形成する
ことによるものである。
【0050】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、蒸着膜形成直前のポリエステル系樹脂フィルムある
いはポリアミド系樹脂フィルム等の基材フィルムの表面
に、酸素ガスによるプラズマ処理、または、酸素ガスと
アルゴンガスまたはヘリウムガスとの混合ガスによるプ
ラズマ処理を行い酸素プラズマ処理面を形成し、次い
で、その酸素プラズマ処理面の面に、無機酸化物の蒸着
膜を形成し、更にまた、該無機酸化物の蒸着膜の上に、
プライマ−剤層とラミネ−ト用接着剤層とを介して、少
なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層して積層包装材
を製造し、而して、該積層包装材を使用して包装用袋等
を製造し、更に、該包装用袋内に内容物を充填包装して
包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品にボイル
あるいはレトルト処理等を施して殺菌ないし滅菌処理し
た包装製品を製造して、基材フィルムの表面に、緻密
で、柔軟性に富む無機酸化物の蒸着膜を形成することが
できると共にポリエステル系樹脂フィルムあるいはポリ
アミド系樹脂フィルム等の基材フィルムと無機酸化物の
蒸着膜との密接着性に優れ、更に、酸素ガスあるいは水
蒸気等に対する極めて高いバリア性を有し、また、プラ
イマ−剤層とラミネ−ト用接着剤層とを介して、ヒ−ト
シ−ル性樹脂層等を積層することから、無機酸化物の蒸
着膜とヒ−トシ−ル性樹脂層等とのラミネ−ト強度等に
も優れ、ボイルないしレトルト処理等を行っても、上記
の各層間において層間剥離(デラミ)等の現象は認めら
れず、極めて強度に優れ、殺菌ないし滅菌処理した包装
製品を製造することができ、例えば、飲食品、医薬品、
化粧品、化学品、その他等の種々の物品をレトルト充填
包装し、更に、ボイルないしレトルト処理し、殺菌ない
し滅菌処理した包装製品を製造するに有用なボイルない
しレトルト処理用積層包装材を製造し得ることができる
というものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるボイルないしレトルト処理用積
層包装材についてその一例の層構成の概略を示す概略的
断面図である。
【図2】本発明にかかるボイルないしレトルト処理用積
層包装材を使用して製袋してなる包装用容器についてそ
の一例を示す概略的斜視図である。
【図3】プラズマ化学蒸着装置の一例を示す概略的構成
図である。
【図4】巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構
成図である。
【符号の説明】
A ボイルないしレトルト処理用積層包装材 1 基材フィルム 2(2a、2b) 酸素プラズマ処理面 3 無機酸化物の蒸着膜 4 プライマ−剤層 5 ラミネ−ト用接着剤層 6 ヒ−トシ−ル性樹脂層 7 シ−ル部 8 開口部 B 三方シ−ル型軟包装用袋
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 BA04 BA15 BA24 BA33 BA40 BB02 BB05 BB41 BB51 CA11 CA28 CA29 CA35 DA01 4F073 AA01 BA24 BB01 BB09 CA01 CA21 DA01 EA64 EA65 EA71 GA09 HA03 HA12 4F100 AA01C AA17B AA20B AK01D AK06D AK07 AK42A AK51C AK51G AK62D AK63D AR00C AT00A BA04 BA07 BA10A BA10D CA23C CB00 EH46C EH66B EJ38 EJ38A EJ55 EJ65C GB15 JA20C JD03 JD04 JL12D YY00C

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの一方の面に、酸素プラズ
    マ処理面を設け、更に、該酸素プラズマ処理面の面に、
    無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着
    膜の上に、プライマ−剤層とラミネ−ト用接着剤層とを
    介して、少なくとも、ヒ−トシ−ル性樹脂層を積層した
    ことを特徴とするボイルないしレトルト処理用積層包装
    材。
  2. 【請求項2】 基材フィルムが、2軸延伸ポリエチレン
    テレフタレ−トフィルムからなることを特徴とする上記
    の請求項1に記載するボイルないしレトルト処理用積層
    包装材。
  3. 【請求項3】 酸素プラズマ処理面が、無機酸化物の蒸
    着膜を製膜化するインラインで、該無機酸化物の蒸着膜
    を製膜化前に、予め、酸素プラズマ処理面を設けること
    を特徴とする上記の請求項1〜2に記載するボイルない
    しレトルト処理用積層包装材。
  4. 【請求項4】 無機酸化物の蒸着膜が、プラズマ化学気
    相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴と
    する上記の請求項1〜3に記載するボイルないしレトル
    ト処理用積層包装材。
  5. 【請求項5】 プライマ−剤層が、ポリウレタン系樹脂
    をビヒクルの主成分とし、更に、シランカップリング剤
    と充填剤とを含むポリウレタン系樹脂組成物による塗布
    膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜4に記載
    するボイルないしレトルト処理用積層包装材。
  6. 【請求項6】 プライマ−剤層が、膜厚0.1g/m2
    〜1.0g/m2 (乾燥状態)の範囲からなることを特
    徴とする上記の請求項1〜5に記載するボイルないしレ
    トルト処理用積層包装材。
  7. 【請求項7】 ラミネ−ト用接着剤層が、2液硬化型の
    ポリウレタン系樹脂をビヒクルの主成分とするラミネ−
    ト用ポリウレタン系樹脂組成物によるコ−ティング膜か
    らなることを特徴とする上記の請求項1〜5に記載する
    ボイルないしレトルト処理用積層包装材。
  8. 【請求項8】 ヒ−トシ−ル性樹脂層が、低密度ポリエ
    チレン、線状低密度ポリエチレン、または、メタロセン
    系触媒を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共
    重合体からなるなることを特徴とする上記の請求項1〜
    6に記載するボイルないしレトルト処理用積層包装材。
JP32380399A 1999-11-15 1999-11-15 ボイルないしレトルト処理用積層包装材 Expired - Fee Related JP4569982B2 (ja)

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