JP5034257B2 - バリア性フィルム、およびその製造方法 - Google Patents

バリア性フィルム、およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5034257B2
JP5034257B2 JP2006034699A JP2006034699A JP5034257B2 JP 5034257 B2 JP5034257 B2 JP 5034257B2 JP 2006034699 A JP2006034699 A JP 2006034699A JP 2006034699 A JP2006034699 A JP 2006034699A JP 5034257 B2 JP5034257 B2 JP 5034257B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
gas
barrier
barrier film
inorganic oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006034699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007211319A (ja
Inventor
浩一 三上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2006034699A priority Critical patent/JP5034257B2/ja
Publication of JP2007211319A publication Critical patent/JP2007211319A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5034257B2 publication Critical patent/JP5034257B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、バリア性フィルム、およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、物理気相成長法(PVD)において、電子銃由来の2次電子を相殺し、バリア性フィルムへの2次電子の帯電を防止することができるバリア性フィルムの製造方法、およびその製造方法により作成されたバリア性フィルムに関する。
従来、酸素、水蒸気等に対するバリア性を備えた包装用材料として、種々のものが開発され、提案されている。最も一般的なものとして、可撓性プラスチック基材の上にアルミニウム箔を積層してなる包装用フィルムが知られている。これは、酸素、水蒸気、太陽光等に対し安定したバリア性を得られるという利点を有するものの、バリア層としてのアルミニウム箔が、焼却適性に劣り、使用後の廃棄処分が容易でないという問題点を有する。さらに、上記のアルミニウム箔を積層した包装用フィルムは、透明性がなく、また、電子レンジ適性に欠けるという問題点もある。
上記のようなアルミニウム箔を積層してなる包装用フィルムに対し、例えば、ポリ塩化ビニリデン、あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体からなるバリア層を有するフィルムが開発され提案されている。しかしながら、上記のポリ塩化ビニリデンを使用したフィルムは、塩素原子を含有することから、使用後に焼却処理を行なうと塩素ガスが発生し、環境衛生上好ましくない。また、上記のエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用したフィルムは、酸素透過性が低く、かつ香味成分の吸着性が低いという長所を有するものの、水蒸気に接触すると、バリア性が著しく低下するという問題点がある。すなわち、バリア層としてのエチレン−ビニルアルコール共重合体の層を水蒸気から遮断するために、複雑な積層構造を有するフィルムを製造しなければならず、その結果、製造コストが増大するという問題点を有する。
そこで、近年、高いバリア性を有し、かつ、安定した保香性を発揮し、さらに、透明性に富むバリア性フィルムとして、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリアフィルムを使用した積層材が提案されている。これは、従来のアルミニウム箔等を使用したバリア性フィルムと比較して、透明性に優れ、かつ、酸素、水蒸気等に対する高いバリア性を有すると共に、内容物に対する保香性等にも優れ、さらに、廃棄時における環境上の問題もなく、包装用材料等にその需要が期待されている。
このようなバリア性フィルムを製造する装置として、特許文献1には、(a)蒸発材料を収容する容器と、(b)該容器に配設された蒸発材料を蒸発させるための蒸発機構と、(c)蒸発材料から離れた位置に配置された被蒸着物質と、(d)蒸発材料と被蒸着物質との空間にマイクロ波を伝達するためのマイクロ波発生装置とを具備してなる真空塗布装置が示されている。特許文献1記載の装置は、蒸発材料の蒸発に電子銃を用いるものであるが、電子ビームが蒸発材料に照射される際に2次電子が発生し、これが静電気となりバリア性フィルムに蓄積するという問題点を有する。すなわち静電気が過度にフィルムに蓄積すると、フィルム表面より放電し、フィルムが損傷するという問題点がある。
このような問題点を解決するために、特許文献2には、除電装置をワインディングチャンバーの巻き取りロールの直前に設置すると共に、ワインディングチャンバーを一定圧力のアルゴンガスで満たしてフィルムを除電する真空蒸着装置が示されている。しかしながら特許文献2記載の真空蒸着装置には、2次電子が発生しフィルムに帯電することが問題となるコーティングチャンバーではなく、ワインディングチャンバーに除電装置が設けられており、フィルムに帯電した2次電子は事後的に除去されることから、十分な除電効果を得ることはできない。
また特許文献3には、プラスチックフィルムの面近傍に負の電位を形成する、例えばキャンロールを電気的に絶縁し電源によりキャンロールを負の電位にする等して、2次電子のプラスチックフィルムへの帯電を防止する連続蒸着装置が示されている。しかしながら、この装置を使用しても、フィルムに対する、十分な除電または帯電防止効果を得ることはできない。
また特許文献4には、るつぼの後方に設けられた導電性プレートと、その導電性プレートを駆動する駆動手段とを有する2次電子トラップ部を具備する巻き取り式蒸着装置が示されている。特許文献4記載の装置においては、後方部に反射する2次電子はトラップ可能であるが、それ以外の2次電子はトラップすることができないことから、フィルムに対する十分な帯電防止効果を得ることはできない。
さらに特許文献5には、蒸発源より蒸発した金属を、冷却ドラム上に支持された基材の表面に付着させるに際し、基材表面と基材表面から少なくとも10mm以上200mm以下の間の金属蒸気飛翔空間に少なくとも酸化性ガスを含むガスから形成されるプラズマを形成せしめ、該金属蒸気と該プラズマによって活性化されたガスとを反応せしめた後、基材表面に付着させることを特徴とする、金属酸化物蒸着方法が記載されている。
しかしながら特許文献5記載の方法に用いられる装置においては、酸化性ガスの流入口が金属蒸気飛翔空間外に設けられていることから、金属蒸気飛翔空間外にも酸化性ガスが流入し、金属蒸気と酸化性ガスとの反応効率が低下する。すなわち基材表面に十分な金属酸化物皮膜を形成できないことから、十分なガスバリア性が得られない。また反応効率を上げるため、多量の酸化性ガスをコーティングチャンバー内に導入すると、未反応の酸化性ガスあるいはプラズマにて活性化されたガスが多量に排気系に流れ、真空度の低下や真空ポンプ用オイルの劣化を引き起こしたり、あるいは装置内に白い粉末状の金属酸化物が付着するとともに真空ポンプの破損が生ずるという問題点がある。
特開平5−279843号公報 特開2003−301260公報 特開平10−60643号公報 特開平8−260144号公報 特開平8−325710号公報
上記のとおり、基材に無機酸化物を蒸着する際に起こる、バリア性フィルムへの2次電子の帯電を防止する手段や、バリア性フィルムに帯電した2次電子を除電する様々な手段が提案されているが、高いガスバリア性を維持しつつ十分な帯電防止効果や除電効果を生ずるバリア性フィルムの製造方法は得られていない。
これに対し本発明は、基材に無機酸化物を蒸着する工程において、蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの高い反応効率を維持しつつバリア性フィルムへの2次電子の帯電を防止することにより、高いガスバリア性を維持しつつバリア性フィルムの損傷を防止することのできるバリア性フィルムの製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、基材に無機酸化物を蒸着する工程において、基材と、電子線で加熱する蒸着源との間に、酸素ガスと不活性ガスの混合ガスを導入し、マイクロ波を発生させながら無機酸化物を蒸着することにより、バリア性フィルムへの2次電子の帯電を十分に防止できることと、さらにこのようにして製造されたバリア性フィルムにガスバリア性塗布膜を設けることにより、酸素透過度や水蒸気透過度等のバリア性が著しく向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の(a)〜(d)に示す発明を包含する。
(a) 基材に無機酸化物を真空蒸着するバリア性フィルムの製造方法において、
マイクロ波を発生させながら、基材と、電子線で加熱する蒸着源との間に、バリア性フィルムの帯電を防止するために必要な量の不活性ガスを含んだ酸素を導入することを特徴とするバリア性フィルムの製造方法。
(b)(a)の製造方法により製造されたことを特徴とするバリア性フィルム。
(c)(b)のバリア性フィルムの基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、さらにガスバリア性塗布膜として、一般式R1 nM(OR2m (ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設け、さらに加熱処理することを含む、ガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムの製造方法。
(d)(c)の製造方法により製造されたことを特徴とするガスバリア性塗布膜が設けられたバリア性フィルム。
本発明においては、基材と蒸着源との間に、酸素ガスおよび不活性ガスからなる混合ガスを導入し、これにマイクロ波を照射する、すなわち蒸着源から蒸発した金属蒸発物等や、バリア性フィルムに帯電する2次電子が存在する空間において、酸素プラズマやAr+等の不活性ガスのプラズマが発生することから、蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの高い反応効率が得られるとともに、バリア性フィルムへの2次電子の帯電を効果的に防止することができる。すなわち本発明の製造方法により、高いガスバリア性を維持しつつ、バリア性フィルムへの2次電子帯電に起因するバリア性フィルムの損傷を防止することができる。
また本発明の製造方法により製造されたバリア性フィルムに、さらに上記ガスバリア性塗布膜を設けることにより、バリア性層を構成する酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜にクラック等が発生することを防止すると共に炙りピンホール等の発生を皆無とし、これにより、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れたバリア性フィルムを提供することができる。
以下に図面等を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
1.本発明のバリア性フィルムの製造方法
本発明のバリア性フィルムの製造方法を説明する。図1は本発明のバリア性フィルムの製造方法に使用する物理気相成長法による無機酸化物の薄膜を形成する巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図1に示すように、巻き取り式真空蒸着装置1のワインディングチャンバー2の中で、巻き出しロール4から繰り出す基材6は、ガイドロール5を介して、冷却したコーティングドラム7に案内される。
このようにして、上記の冷却したコーティングドラム7上に案内された基材6の上に、るつぼ10で熱せられた蒸着源9、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、パイプ11より酸素ガスおよび不活性ガスを噴出させると共に、マイクロ波発生装置14からマイクロ波を照射し、酸素ガスおよび不活性ガスをプラズマ化し、これを供給しながら、マスク15を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化する。次いで、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材6を、ガイドロール5′を介して送り出し、巻き取りロール8に巻き取ることにより、本発明にかかる物理気相成長法によるバリア性フィルムを製造することができる。
上記の蒸着装置において、蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの反応効率の向上、帯電防止効果、およびコスト低減の観点から、パイプ11の酸素ガスおよび不活性ガスの噴出口を蒸着源と基材との間に設けることが必要である。そしてパイプ11の噴出口をこれ以外の部分に設けると、基材と蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの反応効率が低下し、バリア性が低下すると共に、2次電子を不活性ガスのプラズマにより効果的に中和できず、2次電子のバリア性フィルムへの帯電を十分に防止することができない。
また、ワインディングチャンバーの真空度としては、100 〜10-5mbar、好ましくは、10-1〜10-4mbarが望ましい。また、コーティングチャンバーの真空度としては、酸素および不活性ガスの導入前においては、10-2〜10-8mbar、好ましくは、10-3〜10-7mbarが望ましく、酸素および不活性ガスの導入後においては、10-1〜10-6mbar、好ましくは、10-2〜10-5mbarが望ましい。また、可撓性プラスチック基材の搬送速度としては、10〜800m/分、好ましくは、50〜600m/分が望ましい。これらの例示は、その製造法の一例であり、本発明は、この例示により限定されるものではない。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、さらに、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
次に本発明の上記製造方法において使用することができる基材、無機酸化物、不活性ガス、およびマイクロ波の発生条件について説明する。
(1)基材
上記の製造方法において使用する基材は、これに無機酸化物の蒸着膜を設けることから、機械的、物理的、化学的に優れた特性を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシートであることが必要である。
具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、およびこれらの混合物等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましい。
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、さらには、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシートを製造し、さらに、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmが望ましい。
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシートの表面には、後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、予め、所望の表面処理層を設けておいてもよい。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシートと後述する無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
(2)無機酸化物
本発明の製造方法でいう真空蒸着された無機酸化物としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物を挙げることができる。
好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
また、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物ともいうことができ、その表記は、例えば、SiOX
AlOX、MgOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる)で表される。
また、上記のXの値の範囲として、ケイ素(Si)は0〜2、アルミニウム(Al)は0〜1.5、マグネシウム(Mg)は0〜1、カルシウム(Ca)は0〜1、カリウム(K)は0〜0.5、スズ(Sn)は0〜2、ナトリウム(Na)は0〜0.5、ホウ素(B)は0〜1、5、チタン(Ti)は0〜2、鉛(Pb)は0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合は、完全な金属であり、透明ではないので使用することができない。また、Xの範囲の上限は、完全に酸化したときの値である。
望ましくは、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å、好ましくは、100〜1000Åの範囲内で任意に選択することができる。
また、無機酸化物の蒸着膜として、使用する金属、または金属の酸化物は、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
(3)不活性ガス
本発明の製造方法において使用される不活性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン等が挙げられるが、アルゴンが好ましい。また、酸素ガスに対する不活性ガスの導入量は、バリア性フィルムへの帯電を防止するのに必要な量でなければならず、そのような量としては、標準状態(0℃、1atm)での流量(slm)の比で、酸素ガス1slmに対し、0.1slm以上、特に0.2slm以上であることが好ましい。また優れたガスバリア性を得るためには、不活性ガスの導入量を、標準状態での流量(slm)の比で、酸素ガス1slmに対し、0.8slm以下、特に0.5slm以下にすることが好ましい。
また酸素ガスと不活性ガスの導入部分は、蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの反応効率の向上、帯電防止効果、およびコスト低減の観点から、蒸着源と基材との間であることが必要である。これ以外の部分に酸素ガスと不活性ガスを導入すると、基材と蒸着源より蒸発した金属蒸発物等と酸素プラズマとの反応効率が低下し、バリア性が低下すると共に、2次電子を不活性ガスのプラズマにより効果的に中和できず、2次電子のバリア性フィルムへの帯電を十分に防止することができない。
(4)マイクロ波の発生条件
上記のとおり本発明は、アルゴン等の不活性ガスにマイクロ波を照射して、Ar+等の不活性ガスプラズマを形成し、これにより2次電子を中和することにより、バリア性フィルムの帯電防止を図るものであることから、バリア性フィルムへの帯電を十分に防止できるような条件でマイクロ波を発生することが必要である。本発明で用いるマイクロ波の出力としては、5〜15kW、特に6〜10kWが好ましく、周波数としては1〜5GHz、特に2〜4GHzが好ましい。マイクロ波の出力が、5kW未満の場合には、十分な帯電防止効果を得ることができず、15kWを超える場合には、バリア性フィルムが熱損傷を受け、しわになる等の問題が生じる。
2.本発明のバリア性フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けた、バリア性フィルムの製造方法
上記のようにして製造されたバリア性フィルムの無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けることにより、さらにバリア性フィルムのバリア性を改善することができる。以下に本発明のガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムの製造方法について説明する。
ガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムは、以下の(i)〜(iii)を含む工程により形成する。
(i)ガスバリア性組成物として、例えば、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製する工程、
(ii)基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、必要ならば、酸素ガスによるプラズマ処理面等を介して、上記のゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設ける工程、
(iii)上記の塗工膜を設けたバリア性フィルムを、20℃〜180℃で、かつ、上記の基材の融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して、上記の基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、要すれば、酸素ガスによるプラズマ処理面等を介して、上記のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を形成する工程。
なお、本発明において、ガスバリア性塗布膜として、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製し、これを使用し、基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、2層以上重層し、上記のガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成して製造することもできる。
次に本発明の上記製造方法において使用することができる一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシド、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体、およびガスバリア性組成物の製造方法について説明する。
(1)一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシド
一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等を使用することができる。特に本発明においては、MがSiであるアルコキシシランが好ましい。また、単独または2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等のアルキル基を挙げることができる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC494等を使用することができる。これらのアルコキシシランは、単独または2種以上を混合しても用いてもよい。
(2)ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体 ガスバリア性塗布膜を形成するポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂と、エチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、重量比で、ポリビニルアルコール系樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体=10:0.05〜10:6であることが好ましく、さらには、約10:1の配合割合で使用することがさらに好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体との含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であり、好ましくは、約20〜200重量部の配合割合でガスバリア性組成物を調製することが好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
また、エチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
(3)ガスバリア性組成物の調製方法
ガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物は、上記の一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを混合し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合して調製することができる。
上記のガスバリア性組成物を調製するに際し、シランカップリング剤等を添加することによりガスバリア性塗布膜の柔軟性と加工性をさらに向上することができる。このようなシランカップリング剤として、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシラン、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等をあげることができる。このようなシランカップリング剤は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部の範囲内で使用することができる。上記において、20重量部以上を使用すると、形成されるガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、ガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する傾向にあることから好ましくない。
また、上記のガスバリア性組成物において用いられる、ゾル−ゲル法触媒、主として、重縮合触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三級アミンや、酸を使用することができる。
第三級アミンとして、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。これらの第三級アミンは、アルコキシドおよびシランカップリング剤の合計量100重量部当り、0.01〜1.0重量部、好ましくは、約0.03重量部使用することが好ましい。
また、酸としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸等の有機酸等を使用することができる。これらの酸は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル、好ましくは、約0.01モルを使用することが好ましい。
さらに、上記のガスバリア性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは、0.8〜2モルの割合の水を用いることができる。
さらにまた、上記のガスバリア性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。
本発明に係るガスバリア性塗布膜は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾル−ゲル法触媒、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物(塗工液)を調製する。ガスバリア性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物(塗工液)を通常の方法で塗布し、乾燥する。
さらに、上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
このようにして得られた本発明に係るバリア性層は、ガスバリア性に優れているものである。
無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得る。
上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μmの塗工膜を形成することができ、さらに、通常の環境下、50〜300℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、第1または第2のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、ガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできるものであり、また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理等の前処理を任意に施すことができる。
3.本発明のバリア性フィルムの用途
本発明のバリア性フィルムを用いて製造した包装用容器は、透明性、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性等に優れ、さらに、ラミネート加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプー、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
次に本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
[実施例1]
基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスおよびアルゴンガスの混合ガスをるつぼ上のガスパイプから導入し、これにマイクロ波を照射し、前記ガスをプラズマ化しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件で、膜厚20nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、本発明のバリア性フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
酸素ガス導入量;10000sccm
アルゴンガス導入量;5000sccm
蒸着源:アルミニウム
ワインディングチャンバー真空度:2×10-2mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素およびアルゴンガス導入前):1×10-5mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素およびアルゴンガス導入後):5×10-4mbar
EB出力:40kW
搬送速度:400m/min.
マイクロ波発生装置:ON(周波数:2.46GHz、出力:7.2kW)
[実施例2]
アルゴンガス流量を2000sccmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、本発明のバリア性フィルムを製造した。
[実施例3]
アルゴンガス流量を10000sccmに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、本発明のバリア性フィルムを製造した。
[実施例4]
基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着した。次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に酸化ケイ素を蒸着源に用いて、酸素ガスおよびアルゴンガスの混合ガスをるつぼ上のガスパイプから導入し、これにマイクロ波を照射し、前記ガスをプラズマガス化しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件で、膜厚25nmの酸化ケイ素の蒸着膜を形成し、本発明のバリア性フィルムを製造した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面
酸素ガス導入量;11000sccm
アルゴンガス導入量:5000sccm
蒸着源;酸化ケイ素
ワインディングチャンバー真空度;2×10-2mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素およびアルゴンガス導入前);1×10-5mbar
コーティングチャンバー真空度(酸素およびアルゴンガス導入後);5×10-4mbar
EB出力;40kW
ライン速度;300m/min
マイクロ波発生装置;ON(周波数;2.46GHz、出力;7.2kW)
[実施例5]
(1)実施例1と同様の方法で本発明のバリア性フィルムを製造した。その後、酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧8.0×10-5bar、処理速度100m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(2)他方、下記の表1に示す組成に従って、調製した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート、シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、0.5N塩酸水溶液、イオン交換水からなる加水分解液を加え、充分に攪拌し、無色透明のバリア塗工液を得た。
(表1)
a ポリビニルアルコール 2.33(wt%)
(RS−110:株式会社クラレ製、ケン化度=99%、重合度=1,000)
イソプロピルアルコール 2.70
2O 1.75
b エチルシリケート 16.60
シランカップリング剤 1.66
(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
イソプロピルアルコール 3.90
0.5N塩酸水溶液 0.53
2O 20.53
合 計 100.00(wt%)
次に、上記の(1)で形成した酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4μm(乾操状態)のガスバリア性塗布膜を形成した。これにより、本発明の無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[実施例6]
アルゴンガス流量を2000sccmに変更したこと以外は、実施例5と同様の方法で、本発明の無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[実施例7]
アルゴンガス流量を10000sccmに変更したこと以外は、実施例5と同様の方法で、本発明の無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[実施例8]
実施例4と同様の方法で本発明のガスバリア性フィルムを製造した以外は、実施例5と同様の方法で、本発明の無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[比較例1]
アルゴンガスを導入せず、マイクロ波発生装置をOFFにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、バリア性フィルムを製造した。
[比較例2]
マイクロ波発生装置をOFFにしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、バリア性フィルムを製造した。
[比較例3]
アルゴンガスを導入せず、マイクロ波発生装置をOFFにしたこと以外は、実施例4と同様の方法で、無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[比較例4]
マイクロ波発生装置をOFFにしたこと以外は、実施例4と同様の方法で、無機酸化物蒸着膜上に、さらにガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムを製造した。
[実験例]
実施例1〜6、比較例1〜4のバリア性フィルムの酸素透過度、水蒸気透過度、剥離帯電量を以下の条件で測定し、各バリア性フィルムの性能を検討した。
酸素透過度:MOCON法(JIS規格 K7126) 23℃、90%RH条件下で測定を行った。
水蒸気透過度:MOCON法(JIS規格 K7129) 40℃、100%RH条件下で測定を行った。
剥離帯電量測定:バリア剤コーターの巻き出し部からフィルムが繰り出される部に春日電機製静電気測定器KSD−0103にて帯電量を測定した。結果を(表2)に示す。
Figure 0005034257
「測定結果」
上記のとおり、マイクロ波を発生させつつアルゴンガスを導入した実施例1〜4の本発明のバリア性フィルムの剥離帯電量は、マイクロ波を発生させず、かつアルゴンガスを導入しなかった比較例1のバリア性フィルムや、マイクロ波を発生させずにアルゴンガスを導入した比較例2のバリア性フィルムの剥離帯電量と比較して著しく低下した。すなわち、マイクロ波を発生させつつ、アルゴンガスを導入することにより、バリア性フィルムへの2次電子の帯電を防止することができ、2次電子の帯電によるバリア性フィルムの損傷を防止できることが確認された。
さらに、ガスバリア性塗布膜を設けた実施例5〜8のバリア性フィルムは、ガスバリア性塗布膜を設けなかった実施例1〜4のバリア性フィルムと比較して、酸素透過度や水蒸気透過度が著しく低下し、上記ガスバリア塗布膜を設けることにより、優れたガスバリア性が得られることが確認された。
本発明のバリア性フィルムの製造方法に使用する物理気相成長法による無機酸化物の薄膜膜を形成する巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
符号の説明
1 巻き取り式真空装置
2 ワインディングチャンバー
3 コーティングチャンバー
4 巻き出しロール
5、5′ ガイドロール
6 基材
7 コーティングドラム
8 巻き取りロール
9 蒸着源
10 るつぼ
11 パイプ
12 電子銃
13 電子線
14 マイクロ波発生装置
15 マスク

Claims (7)

  1. 基材に無機酸化物を真空蒸着するバリア性フィルムの製造方法において、出力が5〜15kWのマイクロ波を発生させながら、基材と、電子線で加熱する蒸着源との間に、バリア性フィルムの帯電を防止するために必要な量の不活性ガスを含んだ酸素を導入することを特徴とするバリア性フィルムの製造方法。
  2. 不活性ガスが、アルゴンガスであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 酸素ガスと不活性ガスの導入量比が、標準状態の流量比で1:0.1〜1:0.8の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 酸素ガスと不活性ガスの導入量比が、標準状態の流量比で1:0.2〜1:0.5の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
  5. 蒸着源がアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 基材がポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたバリア性フィルムの基材の一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の上に、さらにガスバリア性塗布膜として、一般式R1 nM(OR2m (ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設け、さらに加熱処理することを含む、ガスバリア性塗布膜を設けたバリア性フィルムの製造方法。
JP2006034699A 2006-02-13 2006-02-13 バリア性フィルム、およびその製造方法 Active JP5034257B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006034699A JP5034257B2 (ja) 2006-02-13 2006-02-13 バリア性フィルム、およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006034699A JP5034257B2 (ja) 2006-02-13 2006-02-13 バリア性フィルム、およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007211319A JP2007211319A (ja) 2007-08-23
JP5034257B2 true JP5034257B2 (ja) 2012-09-26

Family

ID=38490016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006034699A Active JP5034257B2 (ja) 2006-02-13 2006-02-13 バリア性フィルム、およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5034257B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5504720B2 (ja) * 2009-07-14 2014-05-28 凸版印刷株式会社 成膜装置
JP2015063024A (ja) * 2013-09-24 2015-04-09 凸版印刷株式会社 ガスバリア性フィルム
JP7163890B2 (ja) 2019-05-16 2022-11-01 大日本印刷株式会社 包装袋

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4203632C2 (de) * 1992-02-08 2003-01-23 Applied Films Gmbh & Co Kg Vakuumbeschichtungsanlage
JP2790054B2 (ja) * 1993-09-30 1998-08-27 凸版印刷株式会社 ガスバリア性積層フィルムおよびこの積層フィルムを用いた包装材料
JPH08325710A (ja) * 1995-03-30 1996-12-10 Toray Ind Inc 金属酸化物蒸着方法
JP3403880B2 (ja) * 1995-12-04 2003-05-06 帝人株式会社 透明ガスバリアー性積層フィルムおよびその製造方法
JP3076774B2 (ja) * 1997-05-29 2000-08-14 株式会社麗光 透明なバリアフィルムとその製造方法
JP4717297B2 (ja) * 2001-09-26 2011-07-06 三井化学東セロ株式会社 酸化アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法
JP4717298B2 (ja) * 2001-09-26 2011-07-06 三井化学東セロ株式会社 酸化アルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法
JP4213451B2 (ja) * 2002-10-30 2009-01-21 東セロ株式会社 積層蒸着フィルム及びその用途
JP4629363B2 (ja) * 2004-05-12 2011-02-09 大日本印刷株式会社 バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007211319A (ja) 2007-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4852822B2 (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4972951B2 (ja) ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法
JP5051494B2 (ja) ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法
WO2006019083A1 (ja) ガスバリア性積層フィルムおよびその製造方法
JP6075080B2 (ja) 紙容器用バリアフィルム、並びにそれよりなる紙容器用積層材及び液体用紙容器
JP5381159B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法
JP2008073993A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2005088415A (ja) 積層フィルムおよびその製造法
JP2010000447A (ja) ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法
JP5228284B2 (ja) 透明バリア性積層フィルム及びその製造方法
JP5741637B2 (ja) 透明ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法、並びにそれを使用した包装材料
JP2007075368A (ja) 輸液バッグ用外装袋
JP2008143103A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP2007210262A (ja) 透明バリアフィルムおよびその製造方法
JP2008073986A (ja) ガスバリア性積層フィルム
JP5381158B2 (ja) ガスバリア性積層フィルム及びその製造方法
JP5201074B2 (ja) 透明ガスバリア性フィルム
JP5034257B2 (ja) バリア性フィルム、およびその製造方法
JP2000127286A (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP5201073B2 (ja) 透明ガスバリア性フィルム
JP2008264998A (ja) ガスバリア性積層フィルム、その製造方法、それを使用した包装用積層材、および包装袋
JP2000052475A (ja) バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP5034258B2 (ja) 透明蒸着フィルム、およびその製造方法
JP2007075363A (ja) 輸液バッグ用外装袋
JP4876750B2 (ja) 真空断熱材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081023

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120605

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120618

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5034257

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150