上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。まず、本発明にかかるバリア性フィルムについてその層構成の一例を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかるバリア性フィルムについてその層構成の一二例を示す概略的断面図である。
まず、本発明において、本発明にかかるバリア性フィルムAとしては、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の無機酸化物の蒸着膜2について、矢印Pで示すように、その水蒸気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、無機酸化物の蒸着膜を構成する式MOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される無機酸化物のX値の変化量、無機酸化物の蒸着膜の表面粗さ、基材フィルムの収縮、その他等の特性を改質した無機酸化物の蒸着膜3を形成することを基本構造とするものである。
具体的には、本発明にかかるバリア性フィルムとして、図2に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P1 に示すように、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3aに改質した構成からなるバリア性フィルムA1 を挙げることができる。
更に、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、別の例を例示すると、図3に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P2 に示すように、アニ−リング処理前に比して、その水蒸気透過度の良化率を、1/100〜99/100の範囲、また、その酸素透過率の良化率を、1/100〜99/100の範囲に向上させた特性を有する無機酸化物の蒸着膜3bに改質した構成からなるバリア性フィルムA2 を挙げることができる。上記において、水蒸気透過度の良化率とは、〔良化率=(アニ−リング処理後の水蒸気透過度÷アニ−リング処理前の水蒸気透過率)〕を意味し、酸素透過度の良化率とは、〔良化率=(アニ−リング処理後の酸素透過度÷アニ−リング処理前の酸素透過率)〕を意味する。
また、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図4に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P3 に示すように、アニ−リング処理前に比して、その水蒸気透過度の低下量を、−0.1〜−30g/m2 ・dayの範囲、また、その酸素透過度の低下量を、−0.1〜−10cc/m2 ・day・atmの範囲に向上させた特性を有する無機酸化物の蒸着膜3cに改質した構成からなるバリア性フィルムA3 を挙げることができる。
更に、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、別の例を例示すると、図5に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P4 に示すように、その黄変度を、−0.3〜−2.0の範囲に向上させた特性を有する無機酸化物の蒸着膜3dに改質した構成からなるバリア性フィルムA4 を挙げることができる。
また、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図6に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P5 に示すように、その無機酸化物の蒸着膜を構成する式MOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される無機酸化物のX値の変化量を、+0 .01〜+0.50の範囲に増大させた特性を有する無機酸化物の蒸着膜3eに改質した構成からなるバリア性フィルムA5 を挙げることができる。
次にまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図7に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P6 に示すように、その無機酸化物の蒸着膜の表面粗さを、3〜30nmの範囲内に変化した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3fに改質した構成からなるバリア性フィルムA6 を挙げることができる。
次にまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図8に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P7 に示すように、その無機酸化物の蒸着膜の表面粗さとして、表面凹凸の標準偏差値、Rms値を、1.01〜100倍に向上させた特性を有する無機酸化物の蒸着膜3gに改質した構成からなるバリア性フィルムA7 を挙げることができる。上記において、表面凹凸の標準偏差値、Rms値については、後述するとおりである。
次にまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図9に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P8 に示すように、その基材フィルムの収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に、−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させると共に無機酸化物の蒸着膜を緊密化させて、その無機酸化物の蒸着膜の膜厚を50Å〜1000Å(5〜100nm)の範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3hに改質した構成からなるバリア性フィルムA8 を挙げることができる。上記において、無機酸化物の蒸着膜の膜厚は、アニ−リング処理前のその膜厚と比して、0.01%〜10%位、更には、0.01%〜5%位薄膜化するものである。
次にまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図10に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P9 に示すように、アニ−リング処理前に比して、その無機酸化物の蒸着膜の表面粗さとし、表面凹凸の標準偏差値、Rms値を、1.01〜100倍に向上させ、更に、その水蒸気透過度を、2.0g/m2・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3iに改質した構成からなるバリア性フィルムA9 を挙げることができる。上記において、表面凹凸の標準偏差値、Rms値については、前述と同じである。
次にまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図11に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P10に示すように、アニ−リング処理前に比してその基材フィルムの収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に対し、−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させると共に無機酸化物の蒸着膜を緊密化させて、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3jに改質した構成からなるバリア性フィルムA10を挙げることができる。
なおまた、本発明にかかるバリア性フィルムとしては、更に別の例を例示すると、図12に示すように、基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1に、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜2について、矢印P11に示すように、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成し、更に、その黄変度を、−0.3〜−2.0の範囲に向上させ、かつ、無機酸化物の蒸着膜を構成する式MOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される無機酸化物の蒸着膜のX値の変化量を、+0.01〜+0.50の範囲に増大させ、また、無機酸化物の蒸着膜の表面粗さを、3〜30nmの範囲内に変化した特性を有する無機酸化物の蒸着膜3kに改質した構成からなるバリア性フィルムA11を挙げることができる。上記の例示は、本発明にかかるバリア性フィルムについてその数例を例示したものであり、これによって本発明は限定されるものではない。本発明は、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、加熱処理温度を室温以上にし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施すことにより、上記の酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を改質することを基本構造とするバリア性フィルムに関するものである。
次に、本発明において、上記の本発明にかかるバリア性フィルムを構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明にかかるバリア性フィルムを構成する基材フィルムとしては、これに酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。具体的には、本発明において、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。なお、本発明においては、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造する。次に、上記で製造した各種の樹脂のフィルムないしシ−トについて、その耐熱性、強度、強靱性、引っ張り強さ、耐衝撃性、耐磨耗性、破断性、その他等の機械的、物理的、化学的、その他等の強度を向上させるべく、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して一方向に延伸する一軸延伸法あるいは二方向に延伸する二軸延伸法等を利用して一軸ないし二軸方向に延伸加工してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造する。上記の延伸加工において、上記の一軸延伸法としては、例えば、Tダイから押し出されたフィルムをロ−ルで縦方向に延伸する縦一軸延伸法あるいはテンタ−と呼ばれる幅出機で横方向に延伸する横一軸延伸法等を利用して行うことができる。また、上記の二軸延伸法としては、例えば、リング状のダイから押し出されたチュ−ブ状のフィルムに、更に空気を吹き込んで膨張させ、同時に、縦方向に引っ張ることにより縦横の二方向に同時に延伸するチュ−ブ法、あるいは、Tダイから押し出されたフィルムを冷却ロ−ルで固化させ、延伸温度(80〜140℃)まで加熱後、加熱下でフィルムの両端をテンタ−のクリップで保持し、横方向の延伸と同時に、一定ピッチでクリップ間隔を拡大して縦方向に同時延伸する同時二軸延伸法、もしくは、縦方向に延伸してから横方向への延伸を行う縦横型方式、または、横方向へ延伸してから縦方向への延伸を行う横縦型方式等の逐次二軸延伸法等を利用して延伸加工を行うことができる。
更に、上記で延伸加工した各種の樹脂のフィルムないしシ−トは、その寸法安定性、温度膨張率、湿度膨張率、平滑性、その他等の物性を改良すべく、その樹脂のフィルムないしシ−トの種類等により異なるが、例えば、70〜150℃、1〜76時間位加熱する熱処理等の熱安定化処理を施して、縦2.5〜6倍、横2.5〜10倍位に延伸加工し、更に、残留応力あるいは残留歪みを有し、而して、その残留応力あるいは残留歪みが、1%以下、具体的には、0.1〜1%の範囲内である各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、而して、本発明においては、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを基材フィルムとして使用するものである。なお、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜100μm位、より好ましくは、9〜50μm位が望ましい。なお、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの残留応力あるいは残留歪みについては、例えば、大山光学株式会社製、機種名、ガラススケ−ル DL−301等の装置を使用し、JIS:C2318電気用ポリエステルフィルム等の方式で測定することができる。
而して、本発明においては、上記のような基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理等を行うことにより、その基材フィルムの収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に対し、−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させると共に無機酸化物の蒸着膜を緊密化させるものである。更に詳述すると、本発明においては、後述するように、上記のような基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理等を行うことにより、基材フィルムが有する1%以下、具体的には、0.1〜1%の範囲内の残留応力あるいは残留歪み等を0.01〜0.999%位の範囲に修正するすることにより、該基材フィルムを一方向あるいは二方向の少なくともいずれかの一方向に−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させると共にその基材フィルムの収縮に伴い無機酸化物の蒸着膜も収縮し、その無機酸化物の蒸着膜を構成する無機酸化物の粒子自体を緊密化させ、これによりその酸素透過度あるいは水蒸気透過度等のガスバリア性を著しく向上させるものである。
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
また、本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面には、後述する酸化珪素の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと後述する酸化珪素の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、メラミン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
次に、本発明において、本発明にかかるバリア性層を構成する酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
本発明において、上記の化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて酸化珪素の蒸着膜を形成することができる。本発明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素の蒸着膜を形成することができる。上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができ、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図13は、上記のプラズマ化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。上記の図13に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置11の真空チャンバ−12内に配置された巻き出しロ−ル13から基材フィルム1を繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロ−ル14を介して所定の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。而して、本発明においては、ガス供給装置16、17および、原料揮発供給装置18等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル19を通して真空チャンバ−12内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム15周面上に搬送された基材フィルム1の上に、グロ−放電プラズマ20によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素の蒸着膜を製膜化する。本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム15は、真空チャンバ−12の外に配置されている電源21から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム15の近傍には、マグネット22を配置してプラズマの発生が促進されている。次いで、上記で酸化珪素の蒸着膜を形成した基材フィルム1は、補助ロ−ル23を介して巻き取りロ−ル24に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜を形成することができるものである。なお、図中、25は、真空ポンプを表す。上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
上記において、真空チャンバ−12内を真空ポンプ25により減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。また、原料揮発供給装置18においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置16、17から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズル19を介して真空チャンバ−12内に導入されるものである。この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。一方、冷却・電極ドラム15には、電源21から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−12内の原料供給ノズル19の開口部と冷却・電極ドラム15との近傍でグロ−放電プラズマ20が生成され、このグロ−放電プラズマ20は、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、基材フィルム1を一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマ20によって、冷却・電極ドラム15周面上の基材フィルム1の上に、酸化珪素の蒸着膜を形成することができるものである。なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルム1の搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
また、上記のプラズマ化学気相成長装置11において、酸化珪素の蒸着膜の形成は、基材フィルム1の上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながら式SiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。また、本発明においては、プラズマにより基材フィルム1の表面が、清浄化され、基材フィルム1の表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素の蒸着膜と基材フィルム1との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。更に、上記のように酸化珪素の蒸着膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、基材フィルム1を原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、樹脂フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、50〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
次に、上記において、酸化珪素の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical VaporDeposition法、PVD法)を用いて酸化珪素の蒸着膜を形成することができる。本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の非結晶の薄膜を形成することができる。上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
而して、本発明において、無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される。また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または、金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜4000Å位、好ましくは、50〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または、金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
次に、本発明において、上記の無機酸化物の蒸着膜を形成する方法についてその具体例を挙げると、図14は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。図14に示すように、巻き取り式真空蒸着装置31の真空チャンバ−32の中で、巻き出しロ−ル33から繰り出す基材フィルム1は、ガイドロ−ル34、35を介して、冷却したコ−ティングドラム36に案内される。而して、上記の冷却したコ−ティングドラム36上に案内された基材フィルム1の上に、るつぼ37で熱せられた蒸着源39、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口39より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク40、40を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化するものである。次いで、本発明においては、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1をガイドロ−ル41、42等を介して巻き取りロ−ル43等に巻き取って、本発明にかかる無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂フィルム1を製造することができる。上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
次に、本発明において、上記で酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに施す、加熱処理温度を室温以上とし、また、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理工程について説明すると、まず、加熱処理方法としては、例えば、温度調節可能な部屋を用意し、その部屋の中に、加熱処理温度を室温以上の所定の温度に調節して、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、一枚毎に枚葉状に積み重ねた状態、あるいは、ロ−ル等に巻き取った状態にて放置し、又は、温度調節が可能な乾燥庫を効率良く温調するために、回転ファンのような空気循環装置等を持った恒温槽内に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、一枚毎に枚葉状に積み重ねた状態、あるいは、ロ−ル等に巻き取った状態にて放置して加熱処理を行う方法、その他等の方法で加熱処理を行うことができる。
上記において、加熱処理温度について更に説明すると、本発明において、加熱処理温度としては、加熱処理時間等にもよるが、例えば、室温以上〜200℃位の範囲内、更に好ましくは、55℃〜150℃位の範囲内であることが望ましいものである。また、上記において、加熱処理時間について更に説明すると、本発明において、加熱処理時間としては、加熱処理温度等にもよるが、例えば、30分間以上〜5日間位の範囲、更に好ましくは、12時間以上〜3日間位の範囲であることが望ましいものである。而して、本発明において、加熱処理温度、および、加熱処理時間としては、具体的には、加熱処理温度が、55℃〜150℃位の範囲、かつ、加熱処理時間が、12時間〜36時間位の範囲で加熱処理することが好ましいものである。本発明において、加熱処理としては、更に具体的には、加熱処理温度を55℃位に設定し、かつ、加熱処理時間を24時間位で加熱処理する方式、更には、加熱処理温度を70℃位に設定し、かつ、加熱処理時間を24時間位で加熱処理する方式、あるいは、加熱処理温度を90℃位に設定し、かつ、加熱処理時間を24時間位で加熱処理する方式等で行うこともできる。上記の加熱処理において、圧力、あるいは、湿度、その他等の条件を、特に、調製する必要は認められなかったものである。
而して、本発明において、上記のような加熱処理は、基材フィルムをある温度まで上げて、その温度にしばらく置いてから室温まで冷やすという基材フィルムのアニ−リング処理に相当するものである。すなわち、本発明においては、模式的に図示すれば、図15に示すように、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設ける基材フィルム1としは、前述のように一軸あるいは二軸延伸加工し、更に、熱処理等の熱安定化処理を施し、残留応力あるいは残留歪みを有し、更に、その残留応力あるいは残留歪みが、1%以下、具体的には、0.1%〜1%の範囲内である各種の樹脂のフィルムないしシ−ト1aを基材フィルムとして使用するものである。而して、本発明においては、例えば、基材フィルム1(1a)の片面に、例えば、酸化珪素あるいは金属アルミニウムもしくは酸化アルミニウム等を蒸着源として使用し、これを加熱して蒸発させて、必要ならば、酸素ガス等を供給しながら、酸化珪素あるいは酸化アルミニウ等の無機酸化物の粒子4を堆積し、蓄積した無機酸化物の蒸着膜2を形成するものである。
次いで、本発明においては、図16に示すように、上記で酸化珪素あるいは酸化アルミニウ等の無機酸化物の粒子4が堆積し、蓄積した無機酸化物の蒸着膜2を形成した基材フィルム1(1a)に加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理を行うことにより、まず、矢印Xで示すように、基材フィルム1(1a)自身あるいはその表層等が熱収縮を起こし、その基材フィルムの収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に対し、−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させると共に無機酸化物の蒸着膜を緊密化させるものである。更に詳述すると、本発明においては、上記のように基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理等を行うことにより該基材フィルム1(1a)が有する1%以下、具体的には、0.1〜1%の範囲内にある残留応力あるいは残留歪みを取り除いて、残留応力あるいは残留歪みを0.01%〜0.99%位の範囲までに修正し、基材フィルムを一方向あるいは二方向の少なくともいずれかの一方向に−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させて、その寸法安定性をもたせたり、欠陥をなくしたり、物理的特性を改善した基材フィルム1bを形成すると共に、それに伴って、その上に設けた酸化珪素あるいは酸化アルミニウ等の無機酸化物の粒子4が堆積し、蓄積した無機酸化物の蒸着膜2も収縮等を起こし、それにより、矢印Yで示すように、無機酸化物の蒸着膜2を構成する酸化珪素あるいは酸化アルミニウ等の無機酸化物の粒子4も何らかの形で相互に近接して緊密化し、その隙間等を密閉し、それを塞いで、緻密な、連続状の薄膜化した薄膜からなる無機酸化物の蒸着膜2aを形成することにより、その水蒸気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、無機酸化物の蒸着膜を構成する式MOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される無機酸化物のX値の変化量、無機酸化物の蒸着膜の表面粗さ、その他等の特性を改質した無機酸化物の蒸着膜(前述の図示の3〜3kに示す無機酸化物の蒸着膜)を形成することができるものである。なお、上記において、基材フィルムが有する1%以下、具体的には、0.1〜1%の範囲内にある残留応力あるいは残留歪みを取り除いて、残留応力あるいは残留歪みを0.01%〜0.99%位の範囲までに修正することは、基材フィルムが有する1%以下、具体的には、0.1〜1%の範囲内にある残留応力あるいは残留歪みを0.01〜95%程度の率で基材フィルムが有する残留応力あるいは残留歪みを修正することに相当するものである。
本発明において、上記の加熱処理温度が、室温以下であると、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムにおいて、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の膜質に変化がなく、その効果を創出することが認められないことから好ましくなく、また、200℃以上、更には、150℃以上であると、基材フィルムが溶融等を起こしてその形状等を保持し得なくなることからから好ましく、更に、その生産性等においても劣ることから好ましくないものである。また、本発明において、上記の加熱処理時間が、30分間以下であると、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムにおいて、前述と同様に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の膜質に変化がなく、その効果を創出することが認められないことから好ましくなく、また、5日以上、更には、3日以上であると、その生産性等に劣ることから好ましくないものである。
以上の説明で明らかなように、本発明においては、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を行うことにより、上記の基材フィルムに設けた酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜が改質され、その水蒸気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの収縮性、無機酸化物の蒸着膜の膜厚、その他等の特性が変化した酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
而して、本発明において、包装用容器等を構成するバリア性素材としては、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上として加熱処理して、上記の基材フィルムに設けた酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の膜質を、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成し、更に、その黄変度、−0.3〜−2.0の範囲に向上させ、かつ、無機酸化物の蒸着膜を構成する一般式MOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲が異なる。)で表される無機酸化物のX値の変化量を、+0.01〜+0.50の範囲に増大させ、また、無機酸化物の蒸着膜の表面粗さを、3〜30の範囲に調整した特性を有する無機酸化物の蒸着膜に改質した構成からなるバリア性フィルムを製造することが好ましいものである。
更に、本発明においては、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を行うことにより、アニ−リング処理後、基材フィルムは、その収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に対し、−0.001〜−1.0%の範囲内に収縮させているものであり、また、無機酸化物の蒸着膜は、その膜厚が50Å〜1000Å(5〜100nm)の範囲内の厚みを有するものである。また、本発明において、上記のようなアニ−リング処理後、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムは、アニ−リング処理前に比して、その水蒸気透過率の良化率〔良化率=(処理後÷処理前)〕が、1/100〜99/100の範囲内であり、また、その酸素透過率の良化率〔良化率=(処理後÷処理前)〕が、1/100〜99/100の範囲内にあるものであり、更に又、その水蒸気透過率の低下量が、−0.1〜−30g/m2 ・dayの範囲内にあり、また、酸素透過度の低下量が、−0.1〜−10cc/m2 ・day・atmの範囲内にあるものである。更に、本発明において、上記のようなアニ−リング処理後、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムは、その無機酸化物の蒸着膜の表面粗さとして、表面凹凸の標準偏差値、Rms値が、アニ−リング処理前に比して、1.01〜100倍に向上しているものである。上記の表面凹凸の標準偏差値、Rms値は、後述するとおりである。
次にまた、本発明においては、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜について、アニ−リング処理前に比して、その無機酸化物の蒸着膜の表面粗さとし、表面凹凸の標準偏差値、Rms値を、1.01〜100倍に向上させ、更に、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜に改質した構成からなるバリア性フィルムを製造し得るものである。
次にまた、本発明においては、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムに、加熱処理温度を室温以上とし、かつ、加熱処理時間を30分間以上とする加熱処理からなるアニ−リング処理を施して、上記の酸化珪素の蒸着膜について、アニ−リング処理前に比して、その基材フィルムの収縮率をフィルム成膜時の流れ方向、および、幅方向の少なくともどちらかの一方向に対し、−0.001〜−1.0%の範囲に収縮させ、更に、その水蒸気透過度を、2.0g/m2 ・day〜0.000001g/m2 ・dayの範囲、また、酸素透過度を、2.0cc/m2 ・day・atm〜0.000001cc/m2 ・day・atmの範囲に構成した特性を有する無機酸化物の蒸着膜に改質した構成からなるバリア性フィルムを製造し得るものである。
なお、本発明において、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理を行うことにより、基材フィルムに設けた酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の膜質が変化し、改質される理由は、詳らかではないが、前述のように、基材フィルムの一方の面に蒸着等により設けた酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜は、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の蒸気が堆積し、その粒子が蓄積した酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等からなる無機酸化物の蒸着膜が形成されるものであることから、その酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等からなる無機酸化物の蒸着膜には、多数の微細孔等が形成され、その微細孔を構成する隙間が、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理等により、基材フィルム自身あるいはその表層等が収縮すると共に酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等からなる無機酸化物の蒸着膜も協働し、該無機酸化物の蒸着膜を構成する酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の粒子が何らかの形で緊密化し、その隙間等を密閉し、それを塞いで、緻密な、連続状の薄膜を形成することによるものであると解されるものである。
次に、本発明において、上記で製造される本発明にかかるバリア性フィルムは、これをバリア性素材として使用し、これと、他のプラスチックフィルム、紙基材、金属箔ないし金属板、セロハン、織布ないし不織布、ガラス板、その他等の種々の基材の1種ないし2種以上と任意に積層して、種々の形態からなる積層材を製造し、而して、該積層材を包装用材料、光学部材、太陽電池モジュ−ル用保護シ−ト、有機ELディスプレイ用保護フィルム、フィルム液晶ディスプレイ用保護フィルム、ポリマ−バッテリ−用包材、または、アルミ包装材料、その他等の種々の用途に適用し得るものである。上記の積層材の製造法について例示すれば、例えば、前述の本発明にかかるバリア性フィルムの酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の面に、まず、プライマ−剤層を形成し、次いで、該プライマ−剤層の面に、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、該プライマ−剤層およびラミネ−ト用接着剤層等を介して、プラスチックチフィルム等の基材をドライラミネ−ト積層法を用いて積層することにより、種々の形態からなる積層材を製造することができる。あるいは、本発明においては、例えば、本発明かかるバリア性フィルムの酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の面に、まず、プライマ−剤層を形成し、次いで、該プライマ−剤層の面に、アンカ−コ−ト剤層を形成し、しかる後、該プライマ−剤層およびアンカ−コ−ト剤層等を介して、各種の樹脂等を溶融押出して所望の基材を積層する押出ラミネ−ト積層法を用いて積層することにより、各種の形態からなる積層材を製造することができる。なお、本発明においては、本発明にかかるバリア性フィルムを構成する基材フィルムの面にも、上記と同様にして所望の他の基材を任意に積層して種々の形態からなる積層材を製造し得るものであり、本発明においては、その使用目的、使用形態、用途、その他等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層材を設計して製造することができるものである。
次に、本発明において、上記のような積層材を使用例として、包装用容器を例にして説明すると、本発明においては、包装用容器としては、例えば、上記の積層材を2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を設けて、三方シ−ル型の軟包装用容器を製造することができる。而して、本発明においては、図示しないが、上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用容器の開口部から、例えば、飲食品、その他等の内容物を充填し、次いで、上方の開口部をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部等を形成し、更に、必要に応じて、例えば、ボイル処理、レトルト処理等を施して、種々の形態からなる包装製品を製造することができるものである。なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装用容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、軟包装用袋、液体紙製容器、紙缶、その他等の種々の形態の包装用容器を製造することができることは言うまでもないことである。
次に、本発明において、上記の積層材を構成するプライマ−剤層について説明すると、かかるプライマ−剤層としては、まず、ポリウレタン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等をビヒクルの主成分とし、該ポリウレタン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等1〜30重量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合してポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を調整し、而して、該ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、前述の酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の上にコ−ティングし、しかる後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。なお、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、例えば、0.1g/m2 〜1.0g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。而して、本発明においては、上記のようなプライマ−剤層により、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜とヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
上記において、ポリウレタン系樹脂組成物を構成するポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官能イソシアネ−トとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、トリレンジイソシアナ−ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソシアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシアナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアクリレ−トポリオ−ル、その他等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液ないし二液硬化型のポリウレタン系樹脂を使用することができる。而して、本発明において、上記のようなポリウレタン系樹脂を使用することにより、酸化珪素の蒸着膜とヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における酸化珪素の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
また、上記において、上記のポリエステル系樹脂組成物を構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、例えば、テレフタル酸等のベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸の一種またはそれ以上と、飽和二価アルコ−ルの一種またはそれ以上との重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。 上記において、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエ−テル−4、4−ジカルボン酸、その他等を使用することができる。また、上記において、飽和二価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ドデカメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、2.2−ビス(4´−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオ−ル、その他の芳香族ジオ−等を使用することができる。
本発明において、上記のポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とテトラメチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸と1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とエチレングリコ−ルと1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとプロピレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリエステルポリオ−ル樹脂、その他等を使用することができる。なお、本発明においては、上記のようなベンゼン核を基本骨格とする飽和芳香族ジカルボン酸に、更に、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸の一種ないしそれ以上を添加して共重縮合することもでき、その使用量としては、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸に対し、1〜10重量%位を添加して使用することが好ましい。而して、本発明において、上記のようなポリエステル系樹脂を使用することにより、その密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
次にまた、上記において、ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を構成するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマ−類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、または、アセトキシ基等が加水分解し、シラノ−ル基(SiOH)を形成し、これが、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を構成する金属、あるいは酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜表面上の活性な基、例えば、水酸基等の官能基と何らかの作用により、例えば、脱水縮合反応等の反応を起こして、酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜表面上にシランカップリング剤が共有結合等で修飾され、更に、シラノ−ル基自体の酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜表面に吸着や水素結合等により強固な結合を形成する。他方、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、あるいは、メルカプト等の有機官能基が、そのシランカップリング剤の薄膜の上に形成される、例えば、印刷模様層、ラミネ−ト用接着剤層、アンカ−コ−ト剤層、その他の層等を構成する物質と反応して強固な結合を形成し、更に、上記の印刷模様層、ラミネ−ト用接着剤層、アンカ−コ−ト剤層等を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層が強固に密接着して、そのラミネ−ト強度を高め、このようにして、本発明においては、ラミネ−ト強度の高い強固な積層構造を形成可能とするものである。本発明においては、シランカップリング剤が有する無機性と有機性とを利用し、酸化珪素の蒸着膜と、印刷模様層、接着剤層あるいはアンカ−コ−ト剤層を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性を向上させ、これにより、そのラミネ−ト強度等を高めるものである。
次に、本発明において、上記のポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を構成する充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末、その他等のものを使用することができる。而して、上記の充填剤は、ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物液の粘度等を調製し、そのコ−ティング適性を向上させると共にバインダ−樹脂としてのポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂とシランカップリング剤を介して結合し、コ−ティング膜の凝集力を向上させるものである。
次に、本発明において、積層材を構成するラミネ−ト用接着剤層について説明すると、かかるラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することができる。上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シ−ト状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。而して、上記の接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
次に、本発明において、積層材を構成するアンカ−コ−ト剤層について説明すると、かかるアンカ−コ−ト剤層を構成するアンカ−コ−ト剤としては、例えば、アルキルチタネ−ト等の有機チタン系、イソシアネ−ト系、ポリエチレンイミン系、ポリプタジエン系、その他等の水性ないし油性の各種のアンカ−コ−ト剤を使用することができる。上記のアンカ−コ−ト剤は、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングすることができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
また、上記の溶融押出積層方式における溶融押出樹脂層としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリエチレン系樹脂、酸変性ポリプロピレン系樹脂、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、サ−リン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。なお、上記の溶融押出積層方式において、より強固な接着強度を得るために、例えば、上記のアンカ−コ−ト剤等のアンカ−コ−ト剤層を介して、積層することができる。
次に、本発明において、積層材の最内層、あるいは、最外層を形成するプラスチックフィルム等の基材としては、例えば、熱によって溶融し相互に融着し得るヒ−トシ−ル性樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
更にまた、本発明において、上記の積層材を構成するプラスチックフィルム等の基材としては、例えば、積層材の基本素材となるものとして、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。なお、本発明においては、上記のような基材フィルムには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
次にまた、本発明において、上記の積層材を構成する基材としては、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができ、具体的には、本発明において、紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。勿論、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げた基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシ−ト等を併用して使用することができる。
更に、本発明において、上記の積層材を構成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
なお、本発明においては、通常、上記の積層材は各種の用途に適用される場合、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、上記の積層材には、厳しい条件が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知の前処理、アンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
なお、本発明においては、上記の積層材を構成するいずれかの層間に所望の印刷模様層を形成することができるものである。而して、上記の印刷模様層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、前述のコ−ティング薄膜の上に、文字、図形、記号、模様等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができる。
なお、本発明においては、前述の酸化珪素あるいは酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜の面に設けるプライマ−剤層としては、前述のポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物によるプライマ−剤層の他に、更に、例えば、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用してプライマ−剤層を形成することができる。なお、本発明においては、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングしてプライマ−コ−ト剤層を形成することができ、而して、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
次に、本発明において、上記のような積層材を使用して包装用容器を製造する製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層材を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性フィルムの面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。而して、その製袋方法としては、上記の積層材を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の物品の充填包装に使用されるものである。而して、本発明においては、特に、例えば、醤油、ソ−ス、ス−プ等を充填包装する液体用小袋、生菓子等を充填包装する軟包装用袋、あるいは、ボイルあるいはレトルト食品等を充填包装する軟包装用袋等の液体飲食物あるいは水分等を含む飲食物等を充填包装する包装用容器として有用なものである。
上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。なお、下記の実施例において、水蒸気透過度、酸素透過度、黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で 表される酸化珪素のX値の変化量、および、蒸着膜表面粗さについては、下記に示す測定法により測定した。
(1).水蒸気透過度の測定これは、バリア性フィルムについて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(2).酸素透過度の測定これは、バリア性フィルムについて、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(3).黄変度の測定これは、バリア性フィルムについて、JIS−K7103の規定に基づいて測定し、加熱前に黄色度(YI0 ) の測定を行い、更に、加熱後に再度黄色度(YI)の測定を行い、而して、その前後差を黄変度(△YI)とした。
(4).蒸着膜を構成する式SiOX で 表される酸化珪素のX値の変化量の測定これは、バリア性フィルムについて、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いて、酸化珪素の蒸着膜表面の元素分析を行い、その際に検出された表面の珪素と酸素の比率を求め、珪素1に対する酸素の比率をX値とし、実施例に記載された条件にて加熱される前後のX値の変化量を算出した測定した。
(5).蒸着膜表面粗さの測定まず、本発明においては、蒸着膜表面粗さについて、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、AFM)を用いて測定した。これは、バリア性フィルムについて、原子間力顕微鏡〔米国、デジタル インストルメント(Digital Instruments)社製、機種名、ナノスコ−プ(NanoScope)IIIa〕を用い、また、探針は、単結晶シリコン〔米国、ナノセンサ−ズ(Nanosensors)社製、製品名、NCH−10T〕を用いた。測定エリア5×5μmエリアにて、256×256点にて測定したデ−タポイント数を『N』、各デ−タの高さの値を『Zi』、その平均値を『Z avg』とした場合、表面凹凸の大きさを求めるために、全デ−タのZ値の標準偏差値、『Rms値』を求めて測定した。標準偏差を求めた理由としては、測定エリアにおけるMax−Min差を求めただけでは特異点が存在した場合の凹凸しか測定できないために、標準偏差値としての測定を行った。計算式としては、下記の数式1のとおりである。
原子間力顕微鏡にて得られたRms値に関しては、事前に表面段差が、既知のサンプルにて校正を行った物にて、表面粗さの測定を実施した。また、本発明においては、蒸着膜表面粗さについて、別に、電子顕微鏡(Scannig Electron Microscope、SEM)を用いて測定した。これは、バリア性フィルムについて、まず、蒸着膜を保護するために、蒸着膜の表面に、シアノアクリレ−ト系接着剤を塗布し、乾燥し、次いで、ダイヤモンドナイフにて、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムを切断し、その切断面について 5万倍以上の倍率で写真を撮影し、蒸着膜のうねり(波打ち状態)の状態を確認した。更に、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムについて、まず、その無機酸化物の蒸着膜の上に他の樹脂フィルムを貼り合わせて積層材(製品状態)を形成し、次いで、その積層材について、上記と同様に、ダイヤモンドナイフにて切断し、その切断面について 5万倍以上の倍率で写真を撮影し、その積層材からなる製品形態での蒸着膜のみのうねり(波打ち状態、凹凸)の状態を確認することも可能である。次に、表面のうねり(波打ち状態、凹凸)を撮影した写真から各凹凸の高さをノギスにて測定した。また、電子顕微鏡写真上に示された、予め校正されているスケ−ルから各凹凸の高さの実際の値を算出した。上記の電子顕微鏡から判定された凹凸に関しては、測定エリアが原子間力顕微鏡と比較して小さく、また、原子間力顕微鏡が面全体からの表面の凹凸を算出するのに対し、電子顕微鏡では、断面での情報を得ることしかできず、測定数が多数得られないことから、電子顕微鏡(SEM)の結果は、凹凸のMAX−MIN差であるRange値とした。その算出法は以下のとおりである。
Range値=MAX−MINその結果、電子顕微鏡のMAX−MIN差は、原子間力顕微鏡から得られたMAX−MIN差とほぼ同じ値となり、加熱処理あるいは加熱処理からなるアニ−リング処理による表面凹凸へ及ぼす効果も確認することができた。この点からも、原子間力顕微鏡、電子顕微鏡どちらの手法にて測定しても、ほぼ同じ結果が得られることがわかった。
(6).基材フィルムの熱収縮率の測定これは、バリア性フィルムについて、「JIS:C2318電気用ポリエステルフィルム」中の6.3.5加熱収縮率の測定に基づき測定を実施した。幅約20mm、長さ150mmの試験片を、基材フィルムの流れ方向及び幅方向共に5枚を取り、それぞれの中央部に約100mmの距離において標点としてナイフでの傷をつける。温度を設定温度±3℃以下に保持された恒温箱中に試験片を垂直につるし、設定された時間加熱したのち取り出し、室温にて30分放置してから標点間距離を測定して、次の式により算出し、その平均値を求める。
加熱収縮率(%)=〔(L1 −L2 )/L1 〕×100ただし、上記の式において、L1 は、加熱前の標点間距離(mm)を表し、また、L2 は、加熱後の標点間距離(mm)を表す。加熱収縮率は、流れ方向及び幅方向についても算出することとした。
実施例1(1).厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、下記に示す条件で、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着面;コロナ処理面導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度;2〜6×10-6mBar蒸着チャンバ−内の真空度;2〜5×10-3mBar冷却・電極ドラム供給電力;10kWライン速度;100m/min(2).次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表1に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間による加熱処理からなるアニ−リング処理を行って、下記の表1に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表1において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表1に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例1(1).次に、上記の実施例1で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torr、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。他方、紙基材〔坪量425g/m2 〕の一方の面に、コロナ放電処理を施した後、該コロナ放電処理面に、 低密度ポリエチレン樹脂を使用し、これを押出コ−トして厚さ30μmの低密度ポリエチレン樹脂層を形成した。次に、タンデム押出ラミネ−ト機を用いて、上記の紙基材の非コ−ト面に、ポリエチレンイミン系アンカ−コ−ト剤層を形成した後、そのアンカ−コ−ト剤層に、上記のバリア性フィルムのプラズマ処理面を対向させ、その層間をエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポン・ポリケミカル株式会社製、商品名、ニュクレルN0908C、押出温度:290℃、押出膜厚20μm)を使用し、これを押出ラミネ−トして、上記の紙基材とバリア性フィルムとを貼り合わせ第1の押出ラミネ−ション工程を経た。次いで、第2の押出ラミネ−ション工程にて、上記のバリア性フィルムを構成する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、2液硬化型アンカ−コ−ト剤〔武田薬品工業株式会社製、商品名、タケラックA3210/タケネ−トA3075、コ−ト量:1g/m2 (乾燥状態)〕をグラビアコ−タ −にて塗布し、乾燥炉を通した後、そのアンカ−コ−ト剤層の面に、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体フィルム(大日本樹脂株式会社製、商品名、JME−12N、フィルム膜厚40μm)を対向させ、その層間に、低密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学株式会社製、商品名、M16P、押出温度:320℃、押出膜厚:20μm)を使用し、これを押出ながらその両者をポリエチレンサンドして、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材を使用し、ゲ−ベルトップ型の液体紙容器の形状に合わせて、縦あるいは横または斜め等に折り罫を刻設すると共に打ち抜き加工して、糊代部を有するブランク板を製造し、次いで、上記で製造したブランク板の端面に、内容物の浸透、液漏れ等を防止するために、スカイブ・ヘミング処理を施して端面処理を行った後、糊代部にホットエア−処理を行い、該糊代部のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムを溶融し、その溶融面に、上記のブランク板の他方の端部を重ね合わせてその両者を貼り合わせて胴貼りシ−ル部を形成して筒状のスリ−ブを製造した。次に、上記で製造した筒状のスリ−ブのボトムの内面をホットエア−により炙り、その内面のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行って底シ−ル部を形成し、しかる後、他方の開口部から果汁ジュ−スを充填した後、トップの内面をホットエア−で炙り、その内面のメタロセン触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体フィルムを溶融させて、プレスシ−ルを行ってゲ−ベルトップシ−ル部を形成して、内容物を充填包装した本発明にかかる密閉液体紙容器を製造した。上記で製造した密閉液体紙容器は、炙りピンホ−ル等の発生は認められず、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、かつ、保香性に優れ、その内容物の変質は認められず、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。なお、上記の実施例1において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例2(1)基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で厚さ150Åの酸化珪素の蒸着膜を上記2軸延伸ナイロン6フィルムの一方の面に形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:5.2×10-6 mbar蒸着チャンバー内の真空度:5.1×10-2 mbar冷却・電極ドラム供給電力:18kWフィルムの搬送速度:70m/分蒸着面:コロナ処理面(2).次に、上記で厚さ150Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表2に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表2に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表2において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表2に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例2(1).次に、上記の実施例2で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムを使用し、その酸化珪素の蒸着膜の面に、上記の実施例1と全く同様にしてプラズマ処理面を形成した。次に、上記で製造したバリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−剤組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.4g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成した。更に、上記で形成したプライマ−層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次に、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用小袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用小袋内に、その開口部から醤油を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して液体小袋包装製品を製造した。上記で製造した液体小袋包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。。なお、上記の実施例2において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例3(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、そのコロナ処理面に、1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO)を加熱蒸発させ、200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表3に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表3に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表3において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表3に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例3(1).次に、上記の実施例3で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムを使用し、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、パワ−9kw、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。次に、上記で製造したバリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−剤組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.4g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成した。更に、上記で形成したプライマ−層の面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次に、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用小袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用小袋内に、その開口部から醤油を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して液体小袋包装製品を製造した。上記で製造した液体小袋包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。。なお、上記の実施例3において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例4(1).厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、そのコロナ処理面に、1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO)を加熱蒸発させ、200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).次に、上記で厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表4に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表4に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表4において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表4に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例4(1).上記の参考例3と同様にして、上記の実施例4で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、上記の参考例3と全く同様に、プライマ−剤層を形成した。次いで、上記で形成したプライマ−層の面に、2液硬化型のウレタン系アンカ−コ−ト剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングし、次いで、乾燥してアンカ−コ−ト剤層を形成した。次に、上記で形成したアンカ−コ−ト剤層面に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用し、これを押出機を用いて溶融押し出しして、厚さ50μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層を押し出しラミネ−ト積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用小袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用小袋内に、その開口部から醤油を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して液体小袋包装製品を製造した。上記で製造した液体小袋包装製品は、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、また、ラミネ−ト強度等に優れ、市場における流通に耐え、かつ、貯蔵保存等に優れているものであった。なお、上記の実施例4において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例5(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、一酸化珪素(SiO)を蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa(1×10-4Torr)
巻き取りチャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa電子ビ−ム電力;25kwフィルム搬送速度;400m/分蒸着面;コロナ処理面次に、上記で膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、更に、パワ−9kw、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5(単位;slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torrで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表5に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表5に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表5において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表5に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例5(1).上記の実施例5で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜の面に、ポリエステル系樹脂(ガラス転移点:67℃、分子量:18000)をビヒクルの主成分とし、更に、希釈溶剤として酢酸エチルを使用したプライマ−剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法によりコ−ティングし、次いで、80℃1分間加熱処理して、膜厚0.7〜0.8g/m2 (乾燥状態)からなる透明樹脂プライマ−剤層を形成した。次いで、上記で形成した透明樹脂プライマ−剤層の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングし、次いで、乾燥してラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面の面を対向させて重ね合わせ、次いで、その両者をドライラミネ−ト積層した。次に、上記で積層した二軸延伸ナイロン6フィルムの面にコロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト包装食品を製造した。上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。上記のバリア性について、レトルト処理前は、酸素透過度、0.38cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.22g/m2 /day・40℃・90%RHであったのに対し、レトルト処理後は、酸素透過度、0.56cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.76g/m2/day・40℃・90%RHであった。なお、上記の実施例5において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例6(1).基材フィルムとして、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、まず、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出し、その二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内の真空度:2×10-4mbar巻き取りチャンバ−内の真空度:2×10-2mbar電子ビ−ム電力:25kWフィルムの搬送速度:420m/分蒸着面:コロナ処理面(2).次に、上記で膜厚200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表6に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表6に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表6において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表6に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例6(1).まず、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの片面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、記号、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記の実施例6で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トした。次に、上記でドライラミネ−トしたバリア性フィルムの二軸延伸ナイロン6フィルムの面にころな放電処理を施し、次いで、そのコロナ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト食品を製造した。上記で製造したレトルト食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。上記のバリア性について、レトルト処理前は、酸素透過度、0.50cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.26g/m2 /day・40℃・90%RHであったのに対し、レトルト処理後は、酸素透過度、0.56cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.38g/m2/day・40℃・90%RHであった。なお、上記の実施例6において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。
実施例7(1).基材フィルムとして、予め、ポリエステルポリオ−ルを0.1〜0.3g/m2 (乾燥状態)塗布した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの塗布面に、一酸化珪素(SiO)を蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa(1×10-4Torr)
巻き取りチャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa電子ビ−ム電力;25kwフィルム搬送速度;400m/分蒸着面;コロナ処理面次に、上記で膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜の面に、グロ−放電プラズマ発生装置を使用し、更に、パワ−9kw、酸素ガス:アルゴンガス=7.0:2.5(単位;slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Torrで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、プラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で膜厚30nmの酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取りロ−ルに巻き取り、次いで、その巻き取りロ−ルを加熱温度を調製できる部屋(加熱オ−ブン)に入れて、下記の表7に示す加熱処理温度、および、加熱処理時間にて加熱処理を行って、下記の表7に示す特性を有する本発明にかかるバリア性フィルムを製造した。
上記の表5において、温度の単位は、〔℃〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕り、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、表面粗さの単位は、〔nm〕であり、基材フィルムの熱収縮率の単位は、〔%〕である。
上記の表7に示す測定結果より明らかなように、本発明にかかるバリア性フィルムは、加熱処理により、基材フィルムに設けた酸化珪素の蒸着膜が改質され、水蒸気気透過度、酸素透過度、色調の黄変度、蒸着膜を構成する式SiOX で表される酸化珪素のX値の変化量、蒸着膜表面粗さ、基材フィルムの熱収縮率等の特性が変化し、改質した酸化珪素の蒸着膜を形成し得ることが確認された。
参考例7(1).上記の実施例7で温度90℃、時間24時間の条件で加熱処理して製造したバリア性フィルムの酸化珪素の蒸着膜の面に、ポリエステル系樹脂(ガラス転移点:67℃、分子量:18000)をビヒクルの主成分とし、更に、希釈溶剤として酢酸エチルを使用したプライマ−剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法によりコ−ティングし、次いで、80℃1分間加熱処理して、膜厚0.7〜0.8g/m2 (乾燥状態)からなる透明樹脂プライマ−剤層を形成した。次いで、上記で形成した透明樹脂プライマ−剤層の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングし、次いで、乾燥してラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面の面を対向させて重ね合わせ、次いで、その両者をドライラミネ−ト積層した。次に、上記で積層した二軸延伸ナイロン6フィルムの面にコロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤を使用し、これを、グラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚4.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成した。次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、積層材を製造した。
(2).次いで、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、レトルト包装食品を製造した。上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。上記のバリア性について、レトルト処理前は、酸素透過度、0.41cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.23g/m2 /day・40℃・90%RHであったのに対し、レトルト処理後は、酸素透過度、0.58cc/m2 /day・23℃・90%RH、水蒸気透過度、0.65g/m2/day・40℃・90%RHであった。なお、上記の実施例7において、その他の条件で加熱処理を行って製造したバリア性フィルムについて、上記と同様にして概ね同様な結果を得た。