JP6413539B2 - ガスバリア性積層フィルム及び該ガスバリア性積層フィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム及び該ガスバリア性積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、対象物をガスから守るガスバリア性積層フィルム及びその製造に関する。
ガスバリアフィルムは、ガスバリア性を持つフィルムであり、空気中の湿気、酸素、炭酸ガス等のガスから対象物を守り、品質・性能の劣化を抑制する役割を有している。ガスバリアフィルムは、食品・医薬品等の包装材料を始め、太陽電池バックシートや電子ペーパー、有機ELディスプレイ(Organic Electro−Luminescence Display:OELD)等のエレクトロニクス分野でのガラスやアルミ箔等の代替としての採用も検討されている。
現在、ガスバリアフィルムの主な種類として、エチレンビニルアルコール共重合樹脂等の単体フィルム、共押出多層ナイロン(Ny)フィルム、塩化ビニリデン(PVDC)コートやポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール)コートのウェットコートフィルム等がある。しかしながら、これらの種類のフィルムは、ガスバリア性が高いものでも、水蒸気透過度は3g/m・day程度であり、良好な(高度な)ガスバリア性を要求される包装材や電子部材としての利用は難しい。従って、良好なバリア性を要求される場合は、アルミニウム等の金属箔を積層せざるを得なかった。しかしながら、金属箔を積層したフィルムを用いた包装材では、内容物が見えない、内容物検査に金属探知機を使用できない、等の問題があった。
これらの問題を克服するために、高分子樹脂基材上に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の無機化合物を蒸着した透明なガスバリア性フィルムについて提案がなされている(例えば特許文献1)。
更に、蒸着層の樹脂基材への密着性を向上させるために、樹脂基材と蒸着層の間に、アンカーコート層を設けた構造のものが多く提案されている(例えば、特許文献2〜4)。これらのアンカーコート層の材料には、アクリル系の樹脂を用いることが多い。特に、アクリルポリオールとイソシアネート系化合物との反応複合物若しくはそれにシランカップリング剤が添加されたものをアンカーコート層として用いることにより、ボイル殺菌やレトルト殺菌後も物性の劣化がなく、デラミネーション(delamination:層間剥離)等の発生がない高い耐ボイル性、耐レトルト性を有するガスバリア性フィルムを実現している。
特公昭63−28017号公報 特開2004−106443号公報 特開2007−69456号公報 特開2002−36419号公報
しかしながら、これらのガスバリア性フィルムについては、良好な水蒸気バリア性は要求されておらず、良好な水蒸気バリア性が要求される電子部品の包装材や太陽電池のバックシート等への利用は想定されていなかった。
そこで、本発明は、従来よりも良好な水蒸気バリア性を持つガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るガスバリア性積層フィルムは、樹脂基材の少なくとも片面に、珪素酸化物若しくはアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を蒸着して蒸着層が形成された積層フィルムを備え、前記蒸着層が珪素酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であり、前記蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であり、且つ上記積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m・day以下であることを特徴とする。
また本発明の一態様ではガスバリア性積層フィルムの製造方法は、樹脂基材に積層した蒸着層に加圧雰囲気での所定条件の湿熱処理、若しくは大気圧雰囲気での所定条件の湿熱処理を施す事で、前記蒸着層が珪素酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Siを1.8以上2.0以下とし、前記蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Alを1.3以上2.0以下とすると共に、前記積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、例えば蒸着層に所定の湿熱処理を施すことにより、樹脂基材に形成した蒸着層を、珪素酸化物の場合は元素比O/Siを1.8以上2.0以下とし、アルミニウム酸化物の場合は元素比O/Alを1.3以上2.0以下とし、更に積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下とする。これによって、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性積層フィルムとして良好な水蒸気バリア性を備えることができる結果、良好な水蒸気バリア性が要求される電子部品の包装材や太陽電池のバックシート等に利用することができる。
本発明の第1実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの断面図である。 本発明の第2実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの断面図である。 本発明の第3実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの断面図である。
<第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、樹脂基材11と樹脂基材11の片面に形成した蒸着層13からなる。なお、実際には、樹脂基材11の両面に蒸着層13を積層した構成であっても良い。ここで、以下の説明において、樹脂基材11に形成(積層)した蒸着膜と、蒸着層13とは同義である。
樹脂基材11の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が考えられる。
樹脂基材11の厚みは、特に制限を設けないが、実用上6μm以上200μm以下程度が良い。特に、12μm以上125μm以下であると好ましい。また、樹脂基材11の表面のうち、蒸着層13を積層する側の表面には、密着性を高めるため、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の物理的処理や、酸やアルカリによる薬液処理等の化学的処理を施しても良い。
蒸着層13は、樹脂基材11上に設けられ、フィルム全体にガスバリア性を付与するために設けられる。蒸着層13を形成する蒸着材料として、珪素酸化物若しくはアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を用いる。更に、亜鉛、スズ、及び鉄のうちいずれかの金属若しくはその金属酸化物を含有した蒸着材料を用いることがより好ましい。
珪素酸化物又はアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を樹脂基材11に蒸着させることで、フィルム全体に高いガスバリア性を付与することができる。更に、亜鉛、スズ、及び鉄のうちいずれかの金属、若しくはその金属酸化物を含有した蒸着材料を樹脂基材11に蒸着させることで、膜密度の高い蒸着層13が形成されて、積層フィルムは高い水蒸気バリア性を発現することが可能となる。
蒸着層13が珪素酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Siが1.8以上2.0以下になるようにする。蒸着膜中の元素比O/Siは、蒸着膜に含まれる酸化物成分が少なくなることによるフィルムの透明性の低下を考慮して、元素比O/Siを1.2以上2.0以下にすることが望ましいが、積層フィルムの透明性をより向上させるためには、元素比O/Siを1.8以上2.0以下にすることが望ましい。
ここで、蒸着膜中の元素比O/Siが1.8以上2.0以下になることで、水蒸気バリア性が低下する場合がある。具体的には、例えば、図1の構成の場合、水蒸気透過度が0.5g/m・dayより大きくなる場合がある。そこで、後述する湿熱処理を施すことで、蒸着膜中の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であっても、積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができる。すなわち、積層フィルムの透明性をより向上させながら、積層フィルムは高い水蒸気バリア性を発現させることができる。
また、蒸着層13がアルミニウム酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Alが1.3以上2.0以下になるようにする。蒸着膜中の元素比O/Alは、蒸着膜に含まれる酸化物成分が少なくなることによるフィルムの透明性の低下を考慮して、元素比O/Alを1.0以上2.0以下にすることが望ましいが、フィルムの透明性をより向上させるためには、元素比O/Alを1.3以上2.0以下にすることが望ましい。
ここで、蒸着膜中の元素比O/Alが1.3以上2.0以下になることで、積層フィルムの水蒸気バリア性が低下する場合がある。具体的には、例えば、図1の構成の場合、積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m・dayより大きくなる場合がある。そこで、後述する湿熱処理を施すことで、蒸着膜中の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であっても、積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができる。すなわち、積層フィルムの透明性をより向上させながら、積層フィルムに高い水蒸気バリア性を発現させることができる。
蒸着材料に含有した亜鉛、スズ、または鉄、若しくはその金属酸化物における金属元素は、蒸着膜中に2atm%以上50atm%以下含有されていることが望ましい。すなわち、蒸着膜中における上記の金属元素の含有率は、2atm%以上50atm%以下であると好ましい。2atm%より小さいと、含有率が低すぎるため、添加による水蒸気バリア性向上効果が得られず、50atm%を超えると、蒸着したフィルムに含まれる金属成分の量が多くなるため、フィルムの耐水性が低下する。
蒸着層13の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法等の公知の方法を適宜用いることが出来る。特に、真空蒸着法が望ましい。
また、蒸着層13の透明性を上げるために、蒸着材料を蒸着させる際に、蒸発した粒子と雰囲気中に導入した酸素ガス等の酸化性ガスと反応させて蒸着させる反応蒸着(酸化雰囲気中での蒸着)をさせても良い。例えば、酸素ガスやアルゴンガスとの反応蒸着を行うことにより、蒸着材料中の金属成分が酸化され、蒸着層13の透明性を向上させることができる。ガスを導入する際は、成膜室の圧力が2×10−1Pa以下にすることが望ましい。成膜室の圧力が2×10−1Paよりも大きくなってしまうと、蒸着層13がきれいに積層されず、水蒸気バリア性が低下してしまう。
蒸着層13の膜厚は、5nm以上500nm以下が好ましい。特に、100nm以上500nm以下であると好ましい。5nmよりも小さいと十分なバリア性が発現しない。特に100nm以上とすることで、バリア層が厚いためバリア性が良好となるので好ましい。また、500nmを超えると、脆くなり、クラック(亀裂、裂け目)が発生しやすくなり、バリア性が発現しない。
<第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、より高い水蒸気バリア性を達成するために、図2に示すガスバリア性積層フィルムのように、図1に示すガスバリア性積層フィルムの樹脂基材11と蒸着層13の間に、アンカーコート層12を形成したものである。樹脂基材11の両面にそれぞれ、アンカーコート層12と蒸着層13を順次積層した構成であっても良い。
アンカーコート層12は、薄膜の乾燥被膜であり、樹脂基材11上に設けられる。このアンカーコート層12は、樹脂基材11と蒸着層13との密着性を高め、ボイル殺菌やレトルト殺菌等の各種殺菌処理や、長期屋外設置による蒸着層の剥離発生を防止するために設けられる。
アンカーコート層12は、ヒドロキシル基を含有するアクリルポリオールと、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物を用いて形成されることにより、樹脂基材11と蒸着層13との密着性を高めることができる。
アクリルポリオールとは、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、又は(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物等のうち、末端と側鎖とにヒドロキシル基を有するもので、イソシアネート系化合物のイソシアネート基と反応するものである。
(メタ)アクリル酸誘導体モノマーは、末端と側鎖とにヒドロキシル基を有する。(メタ)アクリル酸誘導体モノマーの例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が考えられる。
上記のその他のモノマーは、末端と側鎖とにヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーと共重合可能である。上記のその他のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の側鎖にアルキル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、(メタ)アクリル酸等の側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の側鎖に芳香環や環状構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー等が考えられる。(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外では、スチレンモノマー、シクロヘキシルマレイミドモノマー、フェニルマレイミドモノマー等が考えられる。上記のその他のモノマーは、それ自身が末端と側鎖とにヒドロキシル基を有していても良い。
アクリルポリオールは、特に(メタ)アクリル酸等の側鎖にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物であることが好ましい。アンカーコート層12を形成する際、カルボキシル基を有するモノマーを重合させて得られるアクリルポリオールとイソシアネート系化合物との複合物を用いて形成することにより、より高い水蒸気バリア性を有するガスバリア性積層フィルムを得ることができる。
ヒドロキシル基を含有するアクリルポリオールについて、特に規定はしないが、ヒドロキシル基を含有するアクリルポリオールは、水酸基価(mgKOH/g)が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが望ましい。水酸基価とは、アクリルポリオール中のヒドロキシル基量の指標であり、アクリルポリオール1g中のヒドロキシル基をアセチル化するために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
アクリルポリオールの質量平均分子量は特に規定しないが、具体的には、3000以上200000以下であると好ましい。特に、5000以上100000以下であると好ましい。更に、5000以上40000以下であると、より好ましい。
イソシアネート系化合物とは、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものである。モノマー系イソシアネートの例として、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)等の脂肪族系イソシアネート等が考えられる。また、これらのモノマー系イソシアネートの重合体若しくは誘導体も使用可能である。例えば、3量体のヌレート型、1,1,1−トリメチロールプロパン等と反応させたアダクト型、ビウレットと反応させたビウレット型等がある。イソシアネート系化合物は、上記のイソシアネート系化合物若しくはその重合体、誘導体から任意に選択しても良い。すなわち、上記のイソシアネート系化合物若しくはその重合体、及び誘導体を、1種類若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
アンカーコート層12は、上記のアクリルポリオールと上記のイソシアネート系化合物との複合物と溶媒とからなる溶液を樹脂基材11上に塗工し、反応硬化させることにより形成される。ここで用いられる溶媒は、上記アクリルポリオール及びイソシアネート系化合物を溶解する溶媒であれば良い。溶媒の例として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。なお、実際には、これらの溶媒を、1種類若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
アンカーコート層12の形成方法としては、通常のコーティング方法を用いることができる。例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV(紫外線)照射等の熱を加える方法を、1種類若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
アンカーコート層12の膜厚は、50nm以上500nm以下が望ましい。特に、50nm以上300nm以下であると好ましい。50nmよりも薄いと、樹脂基材11と蒸着層13との密着性が不十分となる。500nmよりも厚いと内部応力の影響が大きくなり、蒸着層13がきれいに積層されず、積層フィルムに要求されるバリア性の発現が不十分となる。
<第3実施形態>
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、図3に示すガスバリア性積層フィルムのように、図1若しくは図2のガスバリア性積層フィルムの蒸着層13の上に、オーバーコート層14を形成した場合の例である。
オーバーコート層14は、薄膜の乾燥被膜であり、硬く脆い蒸着層13を保護し、擦れや屈曲によるクラックの発生を防止するために設けられる。オーバーコート層14は、ヒドロキシル基を有する水溶性高分子、若しくはカルボキシル基を有する水溶性高分子のいずれかを含有した成分からなる。例えば、オーバーコート層14は、ヒドロキシル基を有する水溶性高分子、若しくはカルボキシル基を有する水溶性高分子のいずれかを含有するコーティング液を蒸着層13の上に塗工し、乾燥させることにより形成される。
オーバーコート層14の形成方法としては、アンカーコート層12と同様に通常のコーティング方法を用いることができる。例えば、ディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射等熱をかける方法を1種類若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
オーバーコート層14を形成する水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリアクリル酸樹脂(PAA)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVヒドロキシル)、ポリビニルピロリドン樹脂(PVP)を用いることができる。これらを単独若しくは複数組み合わせて用いても良い。
また、蒸着層13とオーバーコート層14との密着性を上げるために、アルコキシシランを添加しても良い。アルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等を用いることができる。また、アルコキシシランの加水分解生成物としては、メタノール等のアルコールにアルコキシシランを溶解し、その溶液に塩酸等の酸の水溶液を添加し、加水分解反応させることにより調製したものが挙げられる。
また、蒸着層13とオーバーコート層14との密着性を上げるために、シランカップリング剤を添加しても良い。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するもの、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するもの、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するもの、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するもの等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤を1種類(若しくは2種類以上組み合わせて)用いることができる。
また、蒸着層13とオーバーコート層14との密着性を上げるために、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物を添加しても良い。
オーバーコート層14の膜厚は、100nm以上1000nm以下が望ましい。100nmよりも薄いと、蒸着層13への保護機能が不十分となる。1000nmよりも厚いと内部応力の影響が大きくなり、積層フィルムが変形し、バリア性の発現が不十分となるおそれがある。
[湿熱処理]
上記の全実施形態に係るガスバリア性積層フィルムでは、樹脂基材11に蒸着層13を積層した積層フィルムに対して湿熱処理が施されている。湿熱処理とは、加熱の際の媒体として水を利用する加熱処理である。
本実施形態で採用する湿熱処理の方法は、「加圧雰囲気で実施される湿熱処理」と、「大気圧雰囲気で実施される湿熱処理」とに分けられる。
(加圧雰囲気での湿熱処理)
まず、加圧雰囲気で実施される湿熱処理の条件について説明する。
湿熱処理の温度は、樹脂基材11のガラス転移点以上融点以下であることが望ましい。湿熱処理の温度が、樹脂基材11のガラス転移点より低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。樹脂基材11の融点より高いと、樹脂基材11が溶融し、フィルム全体が崩壊することで、水蒸気バリア性が低下してしまう。このように、湿熱処理の温度は樹脂基材11の材質によって異なる。具体的には、70℃〜200℃程度の範囲で湿熱処理が行われる。
また、湿熱処理の時間については、温度と同様、樹脂基材11の材質によって異なるが、具体的には、短くて5分程度、長くて100時間程度の湿熱処理が行われる。
湿熱処理の湿度は、40%RH以上100%RH以下(相対湿度40%以上100%以下)が望ましい。湿熱処理の湿度が40%RHより低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。湿度が100%RHを超えることは理論上起こらない。
湿熱処理は、0.12MPa以上0.50MPa以下の加圧雰囲気で実施することが望ましい。0.12MPaより低いと、加圧雰囲気による湿熱処理の効果が現れにくい。0.50MPaより高いと、加圧によりフィルムが変形し、積層フィルムの水蒸気バリア性が低下する。
(大気圧雰囲気での湿熱処理)
次に、大気圧雰囲気で実施される湿熱処理の条件について説明する。
湿熱処理の温度は、樹脂基材11のガラス転移点以上融点以下であることが望ましい。湿熱処理の温度が、樹脂基材11のガラス転移点より低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。樹脂基材11の融点より高いと、樹脂基材11が溶融し、フィルム全体が崩壊することで、水蒸気バリア性が低下してしまう。このように、湿熱処理の温度は樹脂基材11の材質によって異なる。具体的には、70℃〜200℃程度の範囲で湿熱処理が行われる。
また、湿熱処理の時間については、温度と同様、樹脂基材11の材質によって異なる。具体的には、短くて5秒程度、長くて1時間程度の湿熱処理が行われる。
湿熱処理の湿度は、2%RH以上90%RH以下(相対湿度2%以上90%以下)が望ましい。湿熱処理の湿度が2%RHより低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。湿度が90%RHより高いと、結露することによりフィルムの耐水性が低下する。
湿熱処理は、大気圧雰囲気で実施することが望ましい。大気圧雰囲気の大気圧は例えば0.09MPa以上0.11MPa以下の圧力である。
<その他>
なお、上記の全実施形態の一部又は全部は、以下のように記載することも可能である。但し、本実施形態は、実際には、以下の記載例に限定されない。
ガスバリア性積層フィルムは、少なくとも樹脂基材と蒸着層とを備え、樹脂基材の少なくとも片面に蒸着層が積層されている。蒸着層は、珪素酸化物、あるいはアルミニウム酸化物のいずれかを含有した蒸着材料を蒸着させたものである。蒸着層が珪素酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Siは1.8以上2.0以下であり、蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Alは1.3以上2.0以下である。積層フィルムの水蒸気透過度は0.5g/m・day以下である。蒸着層が珪素酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Siを1.8以上2.0以下にすることにより、フィルムの透明性をより向上させることができる。蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Alを1.3以上2.0以下にすることにより、フィルムの透明性をより向上させることができる。なお、珪素酸化物、あるいはアルミニウム酸化物のいずれかを含有した蒸着材料を蒸着させた蒸着層に対して湿熱処理を施すことで、蒸着層が珪素酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であっても、積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができ、蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であっても、水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができる。積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることにより、高い水蒸気バリア性を発現させることができる。
ガスバリア性積層の蒸着層は、更に、亜鉛、スズ、及び鉄のうちいずれかの金属、若しくはその金属酸化物を含有してもよい。ここでは、蒸着膜中における金属元素の含有率は、2atm%以上50atm%以下である。珪素酸化物、あるいはアルミニウム酸化物に加えて、亜鉛、スズ、及び鉄のうちいずれかの金属、若しくはその金属酸化物を含有した蒸着材料を蒸着させることで、膜密度の高い蒸着層が形成され、高い水蒸気バリア性を発現することが可能となる。
ガスバリア性積層フィルムにおいては、蒸着層の膜厚は、5nm以上500nm以下であることが好ましい。5nmよりも小さいと十分なバリア性が発現しない。また、500nmを超えると、脆くなり、クラックが発生しやすくなり、バリア性が発現しない。特に、100nm以上500nm以下であると好ましい。
ガスバリア性積層フィルムにおいては、樹脂基材と蒸着層の間にアンカーコート層が形成されていてもよい。アンカーコート層は、ヒドロキシル基を含有するアクリルポリオールと分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物によって形成されたものである。アンカーコート層を設けることで、樹脂基材と蒸着層との密着性を高め、ボイル殺菌やレトルト殺菌等の各種殺菌処理や、長期屋外設置による蒸着層の剥離発生を防止することができる。
ガスバリア性積層フィルムには、蒸着層の上にオーバーコート層が積層されていてもよい。オーバーコート層は、ヒドロキシル基を有する水溶性高分子、若しくはカルボキシル基を有する水溶性高分子のいずれかを含有して形成されたものである。オーバーコート層を設けることで、硬く脆い蒸着層を保護し、擦れや屈曲によるクラックの発生を防止することができる。
ガスバリア性積層フィルムの製造方法は、例えば、樹脂基材の少なくとも片面に蒸着層を積層して積層フィルムを作製する工程と、更に該積層フィルムを加圧雰囲気若しくは大気圧雰囲気で湿熱処理する工程とを備える。
珪素酸化物又はアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を蒸着させた蒸着層に対して湿熱処理を施すことで、蒸着層が珪素酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であっても、積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができ、蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、蒸着膜中の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であっても、積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m・day以下にすることができる。すなわち、積層フィルムの透明性をより向上させながら、積層フィルムに高い水蒸気バリア性を発現させることができる。
ガスバリア性積層フィルムの製造方法においては、湿熱処理の処理温度は、樹脂基材のガラス転移点以上融点以下である。湿熱処理の温度が、樹脂基材のガラス転移点より低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。樹脂基材の融点より高いと、樹脂基材が溶融し、フィルム全体が崩壊することで、水蒸気バリア性が低下してしまう。
ガスバリア性積層フィルムの製造方法においては、加圧雰囲気での湿熱処理の処理相対湿度は、40%RH以上100%RH以下である。加圧雰囲気での湿熱処理の湿度が40%RHより低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。湿度が100%RHを超えることは理論上起こらない。また、大気圧雰囲気での湿熱処理の処理相対湿度は、2%RH以上90%RH以下である。大気圧雰囲気での湿熱処理の湿度が2%RHより低いと、湿熱処理の効果が現れにくい。湿度が90%RHより高いと、結露することによりフィルムの耐水性が低下する。
ガスバリア性積層フィルムの製造方法においては、加圧雰囲気での湿熱処理の圧力は、0.12MPa以上0.50MPa以下である。加圧雰囲気での湿熱処理の圧力が0.12MPaより低いと、加圧雰囲気による湿熱処理の効果が現れにくい。0.50MPaより高いと、加圧によりフィルムが変形し、水蒸気バリア性が低下する。また、大気圧雰囲気での湿熱処理の圧力は、例えば0.09MPa以上0.11MPa以下である。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
以下、本発明に係るガスバリア性積層フィルムについて、本発明に基づく実施例と、比較のための比較例とにより詳細に説明する。ここでは、下記の実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4を用いて説明する。但し、実際には、下記の例に限定されるものではない。
実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4では、樹脂基材11の少なくとも片面に蒸着層13を設けている。実施例3から実施例5、及び実施例8から実施例10では、更に樹脂基材11と蒸着層13の間にアンカーコート層12を設けている。実施例4、実施例5、及び実施例9、実施例10では、更に蒸着層13の上にオーバーコート層14を設けている。実施例6、実施例11では、蒸着層に金属Snを含有している。例えば、実施例1、実施例2、実施例6、実施例7、実施例11、及び比較例1から比較例4では、図1に示すようなガスバリア性積層フィルムを用いる。実施例3、実施例8では、図2に示すようなガスバリア性積層フィルムを用いる。実施例4、実施例5、及び実施例9、実施例10では、図3に示すようなガスバリア性積層フィルムを用いる。
[樹脂基材の配置工程]
実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4では、樹脂基材11として、片面(蒸着膜形成面)がコロナ処理された厚さ50μmの二軸延伸PETフィルム(東レフィルム加工(登録商標)、T60)を使用した。
[アンカーコート層用の溶液の調液・塗工工程]
実施例3から実施例5、及び実施例8から実施例10では、アンカーコート層12を形成した。すなわち、アンカーコート層12用の溶液として、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メチルメタクリレート(MMA)をモノマーとして共重合させて得られたアクリルポリオール(質量平均分子量10×10)を主剤とし、HDIヌレート型のイソシアネート系硬化剤を主剤のヒドロキシル基量に対して1当量配合したメチルエチルケトン5%溶液を調製した。その後、コロナ処理面にグラビアコート機を使用して、樹脂基材11上に上記調製した溶液を塗工し、乾燥後の厚みが170nmのアンカーコート層12を樹脂基材11上に積層した。
[蒸着層の積層工程]
実施例1、および実施例3から実施例5、及び実施例7から実施例10、及び比較例1、および比較例3、比較例4では、真空蒸着機を使用して厚さ200nmの珪素酸化物からなる蒸着層13を積層し、目的のガスバリア性積層フィルムを作製した。また、実施例2、および比較例2では、真空蒸着機を使用して、厚さ200nmのアルミニウム酸化物からなる蒸着層13を積層し、目的のガスバリア性積層フィルムを作製した。また、実施例6、及び実施例11では、真空蒸着機を使用して厚さ200nmの珪素とスズの混合酸化物からなる蒸着層13を積層し、目的のガスバリア性積層フィルムを作製した。
[オーバーコート層用の溶液の調液・塗工工程]
実施例4、実施例5、実施例9、及び実施例10では、オーバーコート層14を形成した。すなわち、オーバーコート層14用の溶液としてポリアクリル酸(PAA)溶液、及びポリビニルアルコール(PVA)溶液を調製した。その後、グラビアコート機を使用して、蒸着層13の上に上記調製した溶液を塗工し、乾燥後の厚みが300nmのオーバーコート層14を積層した。
[湿熱処理工程]
実施例1から実施例6では、HAST試験機を使用して、作製したガスバリア性積層フィルムを120℃85%RH10分(温度120℃、相対湿度85%、処理時間10分間)の環境下で、加圧雰囲気で湿熱処理した。実施例7から実施例11では、過熱水蒸気発生装置を使用して、作製したガスバリア性積層フィルムを150℃24%RH5分(温度150℃、相対湿度24%、処理時間5分間)の環境下で、加圧雰囲気で湿熱処理した。比較例1、比較例2では、湿熱処理しなかった。比較例3では、恒温恒湿層を使用して、作製したガスバリア性積層フィルムを40℃90%RH24時間(温度40℃、相対湿度90%、処理時間24時間)の環境下で湿熱処理した。比較例4では、乾燥オーブンを使用して、作製したガスバリア性積層フィルムを150℃0%RH5分(温度150℃、相対湿度0%、処理時間5分間)の環境下で熱処理した。
[ガスバリア性積層フィルムの水蒸気透過度の測定]
実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4の各作製したガスバリア性積層フィルムについて、米国MOCON(登録商標)社製の水蒸気透過度計(PERMATRAN−W(登録商標) Model 3/31)によって、40℃90%RH(温度40℃、相対湿度90%)環境下での積層フィルムの水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。
[ガスバリア性積層フィルムの蒸着層中のSn元素含有率の測定]
実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4の各ガスバリア性積層フィルムについて、蒸着層13が形成された積層フィルムを10mm×10mm角に切り取り、X線光電子分光装置(ESCA)により、膜の組成分析を行った。Arイオンで蒸着膜の深さ方向に組成分析を3回以上繰り返し、その平均を求め、Sn元素の含有率、及び蒸着膜中の元素比O/Si若しくはO/Alを算出した。実施例1から実施例11、及び比較例3、比較例4では、湿熱処理前後での元素比O/Si若しくはO/Alを算出した。比較例1、比較例2では、湿熱処理前の元素比O/Si若しくはO/Alのみを算出した。
[ガスバリア性積層フィルムの光線透過率の測定]
実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4の各ガスバリア性積層フィルムについて、蒸着層13が形成された積層フィルムを50mm×50mm角に切り取り、分光光度計により、光線透過率の測定を行った。実施例1から実施例11、及び比較例3、比較例4では、湿熱処理前後での波長350nmにおける光線透過率を算出した。比較例1、比較例2では、湿熱処理前の波長350nmにおける光線透過率のみを算出した。
[評価結果]
上記の実施例1から実施例11、及び比較例1から比較例4についての評価結果を表1に示す。
Figure 0006413539
表1に示すように、実施例1から実施例6のように加圧雰囲気で湿熱処理を行い120℃85%RH10分の環境下で処理をした場合や、実施例7から実施例11のように大気圧雰囲気で湿熱処理を行い150℃24%RH5分の環境下で処理をした場合では、積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m・day以下であった。
それに対し、比較例1、比較例2のように湿熱処理を行なかった場合や、比較例3のように40℃90%RH24時間の環境下で湿熱処理をした場合や、比較例4のように150℃0%RH5分の環境下で熱処理した場合では、積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m・dayを上回る結果となった。
このように、樹脂基材の少なくとも片面に、珪素酸化物若しくはアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を蒸着して蒸着層が形成された積層フィルムであって、蒸着層が珪素酸化物の場合、蒸着層の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であり、蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、蒸着層の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であり、且つ積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m・day以下であるガスバリア性積層フィルムを提供することが出来る。
ここで、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品、医薬品等の包装分野、及び電子機器関連部材等の分野において、高いガスバリア性が必要とされる場合に特に好適に利用が期待される。
11 樹脂基材
12 アンカーコート層
13 蒸着層
14 オーバーコート層

Claims (6)

  1. 樹脂基材の少なくとも片面に、珪素酸化物若しくはアルミニウム酸化物を含有した蒸着材料を蒸着して蒸着層が形成された積層フィルムを備え、
    前記蒸着層が珪素酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Siが1.8以上2.0以下であり、前記蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Alが1.3以上2.0以下であり、且つ上記積層フィルムの水蒸気透過度が0.5g/m2・day以下であり、
    前記樹脂基材と前記蒸着層との間に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとが共重合したアクリルポリオールと、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物を含むアンカーコート層が形成されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記蒸着層は、更に、亜鉛、スズ、及び鉄のうちいずれかの金属、若しくはその金属酸化物を含有し、上記金属の含有量は2atm%以上50atm%以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記蒸着層の膜厚が、5nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記蒸着層の上に、ヒドロキシル基を有する水溶性高分子、若しくはカルボキシル基を有する水溶性高分子のいずれかを含有したオーバーコート層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 少なくとも樹脂基材と蒸着層からなるガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、
    前記樹脂基材の少なくとも片面にアンカーコート層と前記蒸着層を積層して積層フィルムを作製する工程と、
    前記積層フィルムを、0.12MPa以上0.50MPa以下の圧力の加圧雰囲気で、前記樹脂基材のガラス転移点以上融点以下の温度及び40%RH以上100%RH以下の相対湿度での湿熱処理を行うことにより、前記蒸着層が珪素酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Siを1.8以上2.0以下とし、前記蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Alを1.3以上2.0以下とすると共に、前記積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m2・day以下とする工程と、
    を備え
    前記アンカーコート層を、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとが共重合したアクリルポリオールと、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物を含む層とすることを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
  6. 少なくとも樹脂基材と蒸着層からなるガスバリア性積層フィルムの製造方法であって、
    前記樹脂基材の少なくとも片面にアンカーコート層と前記蒸着層を積層して積層フィルムを作製する工程と、
    前記積層フィルムを、大気圧雰囲気で、前記樹脂基材のガラス転移点以上融点以下の温度及び2%RH以上90%RH以下の相対湿度での湿熱処理を行うことにより、前記蒸着層が珪素酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Siを1.8以上2.0以下とし、前記蒸着層がアルミニウム酸化物の場合、前記蒸着層の元素比O/Alを1.3以上2.0以下とすると共に、前記積層フィルムの水蒸気透過度を0.5g/m2・day以下とする工程と、
    を備え
    前記アンカーコート層を、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとが共重合したアクリルポリオールと、分子内にイソシアネート基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物を含む層とすることを特徴とするガスバリア性積層フィルムの製造方法。
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